(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イオン性親水性モノマー又はその塩(b)がカルボキシ基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる1種以上のアニオン性基を有するアニオン性親水性モノマー又はその塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料。
アニオン性親水性モノマー又はその塩がアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である、請求項6に記載の化粧料。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[化粧料(1)]
本発明の化粧料は、
成分(A):
(a)スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、並びに疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー、及び
(b)イオン性親水性モノマー又はその塩
に由来する構成単位を含み、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、テトラヒドロフランへの不溶分率が10%以上100%以下であるイオン性ポリマー粒子、及び
成分(B):紫外線防御剤
を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比が5/95〜30/70である。
本発明の化粧料は、成分(B)である紫外線防御剤に、所定の要件を満たすイオン性ポリマー粒子である成分(A)を所定量組み合わせて用いることにより、飛躍的にSPFが向上することを見出したものである。
【0009】
本発明の化粧料は紫外線防御効果が高く、例えば毛髪、皮膚等に適用することができる。中でも、本発明の化粧料は皮膚化粧料であることが好ましい。皮膚化粧料としては、日焼け止め化粧料等の他、ファンデーション、化粧下地、乳液、美容液、クリーム等が挙げられる。
化粧料の剤型には特に制限はなく、例えば液体状、泡状、ペースト状、クリーム状、固形状等、任意の剤型とすることが可能である。
また本発明の化粧料は、成分(A)が水中油型エマルションを形成している水中油型化粧料であることが好ましい。
【0010】
一般に、紫外線防御剤を含有する化粧料は、紫外線防御剤の配合量を増やせばSPFを向上できる。しかしながら安全性の観点やグローバル展開を考えると、紫外線防御剤の配合量を増やす以外の方法でSPFを向上することが望ましい。
また、紫外線防御剤を含有する化粧料は皮膚等の紫外線防御対象物に塗布した場合にムラなく均一に塗布できることがSPF向上においても重要である。例えば水中油型化粧料を皮膚に塗布した場合、紫外線防御剤を含有する相(油相)が皮溝に落ち込むなどの現象が起こると、紫外線防御効果にムラが生じ、SPFが低下する可能性が考えられる。本発明の化粧料においては、テトラヒドロフランへの不溶分率が所定以上のイオン性ポリマー粒子である成分(A)を用いることで、皮膜形成能が良好で、かつ、紫外線防御剤を含有する相(油相)の粘度を向上させて上記現象を抑制できる効果も奏していると推察される。
【0011】
<成分(A):イオン性ポリマー粒子>
本発明の化粧料は、成分(A)として、
(a)スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、並びに疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー、及び
(b)イオン性親水性モノマー又はその塩
に由来する構成単位を含み、(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、テトラヒドロフランへの不溶分率が10%以上100%以下であるイオン性ポリマー粒子を含有する。
本発明の化粧料は上記成分(A)を成分(B)である紫外線防御剤と組み合わせて用いることで、飛躍的にSPFが向上する。
【0012】
本明細書において「疎水性モノマー」とは、そのホモポリマーの20℃の水への溶解量が1質量%以下であるモノマーをいい、「親水性モノマー」とは、そのホモポリマーの20℃の水への溶解量が1質量%超であるモノマーをいう。疎水性モノマー及び親水性モノマーの具体例については後述する。
【0013】
(不溶分率)
成分(A)であるイオン性ポリマー粒子は、テトラヒドロフラン(THF)への不溶分率(以下「THF不溶分率」ともいう)が10%以上100%以下である。当該不溶分率がこの範囲であると、化粧料のSPFが飛躍的に向上する。
SPF向上の観点から、成分(A)のTHF不溶分率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上、より更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは70%以上、より更に好ましくは80%以上、より更に好ましくは90%以上であり、上限は100%である。
成分(A)のTHF不溶分率は、成分(A)であるイオン性ポリマー粒子を乾燥させて得られた固体をTHFに2週間浸漬後、乾燥させて、THF浸漬前の固体の質量(W
a)と、THFに浸漬、乾燥後の固体の質量(W
b)から下記式により求めることができる。
THF不溶分率(%)=W
b/W
a×100
THF不溶分率は、具体的には実施例に記載の方法で求められる。
【0014】
成分(A)のTHF不溶分率は、成分(A)を構成するモノマーの種類の選択、及び、成分(A)の製造方法の選択により調整することができる。より詳細には、成分(A)を構成するモノマー及び成分(A)であるイオン性ポリマー粒子がラジカルにより引き抜かれやすい3級水素を有していると、水素引き抜き及び架橋が起こり、その結果、THF不溶分率が高くなる。この観点から、成分(A)を構成するモノマーが少なくともアクリル酸、アクリル酸塩、又はアクリル酸エステルを含むことが好ましい。
また、成分(A)のイオン性ポリマー粒子が後述するソープフリー乳化重合法で得られたものであるとTHF不溶分率が高くなり、SPFが向上する。したがって成分(A)は、ソープフリー乳化重合法で得られたものであることが好ましい。
【0015】
(疎水性モノマー(a))
成分(A)は、(a)スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、並びに疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー(以下、単に「疎水性モノマー(a)」ともいう)に由来する構成単位を有する。
【0016】
〔スチレン及びその誘導体〕
疎水性モノマー(a)として用いられるスチレン及びその誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ブチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。上記の中でも、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、スチレンが好ましい。
【0017】
〔ビニルエステル〕
疎水性モノマー(a)として用いられるビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の、アルキル基又はアルケニル基を有するビニルエステルが挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。上記の中でも、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、酢酸ビニルが好ましい。
【0018】
〔疎水性アクリル系モノマー〕
疎水性モノマー(a)として用いられる疎水性アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、例えば、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルであって、そのホモポリマーの20℃の水への溶解量が1質量%以下であるものが挙げられる。なお本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。
【化1】
式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2はヒドロキシ基を有していてもよい、炭素数1以上24以下の鎖状脂肪族基、炭素数5以上24以下の環状脂肪族基、炭素数6以上24以下のアリール基、又は炭素数7以上24以下のアラルキル基を示し、R
Aは炭素数2以上4以下のアルキレン基を示す。n1は0以上30以下の整数である。
【0019】
R
2における鎖状脂肪族基は、直鎖状脂肪族基、分岐鎖状脂肪族基のいずれでもよい。
R
2は、好ましくは炭素数1以上24以下の鎖状脂肪族基であり、より好ましくは炭素数1以上24以下のアルキル基、更に好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基、より更に好ましくは炭素数1以上8以下のアルキル基、より更に好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基である。
R
Aは炭素数2以上4以下のアルキレン基を示し、エチレン基又はプロピレン基であることが好ましく、n1が2以上のとき、複数存在するR
Aはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
n1は0以上10以下の整数が好ましく、0がより好ましい。
【0020】
疎水性アクリル系モノマーのうち、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルの中でも、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキルの炭素数は、好ましくは1以上24以下、より好ましくは1以上12以下、更に好ましくは1以上8以下、より更に好ましくは1以上6以下である。
【0021】
疎水性モノマー(a)としては、成分(A)であるイオン性ポリマー粒子のTHF不溶分率を制御し、SPFを高める観点、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、好ましくはスチレン、酢酸ビニル及び疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは疎水性アクリル系モノマーであり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より更に好ましくはアルキルの炭素数が1以上8以下、より更に好ましくは1以上6以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0022】
疎水性モノマー(a)は、成分(A)であるイオン性ポリマー粒子のTHF不溶分率を制御し、SPFを高める観点、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、2種以上の疎水性モノマーを含有することが好ましい。中でも、スチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)からなる群から選ばれる2種以上を含有することがより好ましく、メタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)を含有することが更に好ましい。
【0023】
≪メタクリル酸エステル(a1)≫
メタクリル酸エステル(a1)としては、前記疎水性アクリル系モノマーのうちメタクリル酸エステルに相当する化合物が挙げられ、前記一般式(1)においてR
1がメチル基である化合物が好ましい。中でも、成分(A)であるイオン性ポリマー粒子のTHF不溶分率を制御し、SPFを高める観点、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、メタクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキルの炭素数は、好ましくは1以上24以下、より好ましくは1以上12以下、更に好ましくは1以上8以下、より更に好ましくは1以上6以下、より更に好ましくは1以上4以下である。
【0024】
メタクリル酸エステル(a1)の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、及びメタクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
これらのうち、成分(A)であるイオン性ポリマー粒子のTHF不溶分率制御によるSPF向上の観点、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸イソデシル、及びメタクリル酸ラウリルからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸イソオクチルからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、及びメタクリル酸n−ヘキシルからなる群から選ばれる1種以上が更に好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、及びメタクリル酸n−ブチルからなる群から選ばれる1種以上がより更に好ましく、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸n−ブチルからなる群から選ばれる1種以上がより更に好ましい。
【0025】
≪アクリル酸エステル(a2)≫
アクリル酸エステル(a2)としては、前記疎水性アクリル系モノマーのうちアクリル酸エステルに相当する化合物が挙げられ、前記一般式(1)においてR
1が水素原子である化合物が好ましい。中でも、成分(A)であるイオン性ポリマー粒子のTHF不溶分率制御によるSPF向上の観点、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキルの炭素数は、好ましくは1以上24以下、より好ましくは1以上12以下、更に好ましくは1以上8以下、より更に好ましくは1以上6以下、より更に好ましくは1以上4以下である。
【0026】
アクリル酸エステル(a2)の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、及びアクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
これらのうち、成分(A)であるイオン性ポリマー粒子のTHF不溶分率制御によるSPF向上の観点、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸イソデシル、及びアクリル酸ラウリルからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、及びアクリル酸イソオクチルからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、及びアクリル酸n−ヘキシルからなる群から選ばれる1種以上が更に好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、及びアクリル酸n−ブチルからなる群から選ばれる1種以上がより更に好ましく、アクリル酸n−ブチルがより更に好ましい。
【0027】
疎水性モノマー(a)としてメタクリル酸エステル(a1)とアクリル酸エステル(a2)とを併用する場合、その質量比(a1)/(a2)は、好ましくは5/95〜99/1、より好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜85/15、より更に好ましくは30/70〜80/20、より更に好ましくは30/70〜70/30、より更に好ましくは40/60〜70/30、より更に好ましくは40/60〜65/35である。この範囲であると、THF不溶分率を所望の範囲に調整しやすく、かつ皮膜形成能等の諸物性も良好になる。
【0028】
また、疎水性モノマー(a)中のメタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)の合計量は、THF不溶分率制御によるSPF向上の観点、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
【0029】
(イオン性親水性モノマー又はその塩(b))
成分(A)は、イオン性親水性モノマー又はその塩(b)に由来する構成単位を有する。成分(A)は当該構成単位を有することで、水性媒体に分散された水中油型のエマルション粒子とすることができる。
【0030】
イオン性親水性モノマー又はその塩としては、アニオン性基を有するアニオン性親水性モノマー又はその塩、カチオン性基を有するカチオン性親水性モノマー又はその塩が挙げられる。
【0031】
アニオン性親水性モノマーにおけるアニオン性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシ基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0032】
アニオン性親水性モノマー又はその塩の具体例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、スチレンカルボン酸等のカルボキシ基を有するビニル化合物又はその塩;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニル化合物又はその塩;ビニルホスホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸等のリン酸基を有するビニル化合物又はその塩;等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
カチオン性親水性モノマー又はその塩の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド、及びそれらの塩又は4級塩;ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン等のジアリルアミン化合物、及びそれらの塩又は4級塩;等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
上記の中でも、イオン性親水性モノマー又はその塩(b)としてはアニオン性親水性モノマー又はその塩が好ましく、カルボキシ基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる1種以上のアニオン性基を有するモノマー又はその塩がより好ましく、THF不溶分率制御によるSPF向上の観点、ポリマー粒子の製造における乳化重合の容易性、入手性及び経済性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上が更に好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上がより更に好ましく、アクリル酸又はその塩がより更に好ましい。
【0035】
成分(A)は、疎水性モノマー(a)、及びイオン性親水性モノマー又はその塩(b)に由来する構成単位を含み、(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20である。質量比(a)/(b)がこの範囲であると、成分(A)であるイオン性ポリマー粒子のTHF不溶分率を所望の範囲に制御しやすく、また、乳化安定性が良好である。
上記観点から、質量比(a)/(b)は、好ましくは99/1〜85/15、より好ましくは99/1〜90/10、更に好ましくは98.5/1.5〜90/10、より更に好ましくは98/2〜90/10、より更に好ましくは95/5〜90/10である。
【0036】
成分(A)は、疎水性モノマー(a)及びイオン性親水性モノマー又はその塩(b)以外のモノマーに由来する構成単位を更に有していてもよいが、乳化安定性、及びSPFを向上させる観点からは、成分(A)を構成する全モノマー中の疎水性モノマー(a)及びイオン性親水性モノマー又はその塩(b)の合計量は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上である。また、上限は100質量%である。
【0037】
さらに、架橋によりTHF不溶分率を向上させ、SPFを向上する観点から、成分(A)を構成する全モノマー中のアクリル酸、アクリル酸塩、及びアクリル酸エステルの合計量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上であり、同様の観点及び皮膜形成能の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である。
【0038】
(成分(A)の製造方法)
成分(A)であるイオン性ポリマー粒子は、前記モノマー成分を重合し、微粒子化することにより製造できる。微粒子化の方法としては、(1)乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等によりモノマー成分を重合しながら微粒子化する方法、(2)溶液重合法等によりモノマー成分を重合してポリマーを得た後、転相乳化法、懸濁法等により微粒子化する方法、が挙げられる。これらのうち、製造容易性の観点からは(1)の方法が好ましく、乳化重合法がより好ましい。乳化重合法の中でも、得られる成分(A)のTHF不溶分率制御によるSPF向上の観点、皮膚刺激性の少なさの観点から、界面活性剤を添加しないソープフリー乳化重合法が好ましい。
ソープフリー乳化重合法は、モノマー成分を、重合開始剤の存在下、界面活性剤、高分子型乳化剤、反応型界面活性剤等の乳化剤を用いずに乳化重合する方法であり、公知の方法で行うことができる。乳化重合の場合、用いる溶媒の主成分は水であり、場合によっては低級アルコールなどの親水性溶剤を混合してもよい。反応温度は、溶媒の沸点以下に設定される。反応系内のモノマー濃度は特に限定されないが、生産効率と凝集物抑制の観点から、1〜60質量%が望ましい。
上記方法によれば、成分(A)はイオン性ポリマー粒子の水分散体(エマルション)として得られる。この形態で本発明の化粧料に配合することが、安定性や取り扱いの観点からは好ましい。
【0039】
反応形式としては、製造容易性、モノマー組成の自由度の観点から、ラジカル重合反応であることが好ましい。
ラジカル重合反応に用いられるラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができ、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。ソープフリー乳化重合を行う観点からは、水溶性のラジカル重合開始剤が好ましく、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマー成分の種類及び濃度、ラジカル重合開始剤の種類、重合温度等により適宜選択できるが、通常、全モノマー量に対して好ましくは0.01質量%以上、10質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下である。
【0040】
成分(A)の平均粒径は、SPF向上の観点から、好ましくは150nm以上、より好ましくは200nm以上、更に好ましくは300nm以上である。また、乳化安定性の観点からは、成分(A)の平均粒径は、好ましくは800nm以下、より好ましくは700nm以下、更に好ましくは600nm以下、より更に好ましくは550nm以下である。成分(A)の平均粒径の具体的範囲は、好ましくは150〜800nm、より好ましくは200〜700nm、更に好ましくは300〜600nm、より更に好ましくは300〜550nmである。
本明細書において、成分(A)の平均粒径とはメジアン径(D50)を意味する。当該平均粒径はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて25℃で測定した値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
【0041】
前述したソープフリー乳化重合法により成分(A)を製造すると、成分(A)のTHF不溶分率を高め、SPFを向上することができ、さらに平均粒径を上記範囲に調整しやすい。また、ソープフリー乳化重合法では界面活性剤を使用する必要がないため、得られる成分(A)の皮膚刺激性が少なくなる点でも好ましい。
【0042】
化粧料中の成分(A)の含有量は、SPF向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは0.8質量%以上、より更に好ましくは1.2質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下である。化粧料中の成分(A)の含有量の具体的範囲は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜4質量%、更に好ましくは0.5〜3.5質量%、より更に好ましくは0.8〜3質量%、より更に好ましくは1.2〜2.5質量%である。
【0043】
<成分(B):紫外線防御剤>
本発明の化粧料は、成分(B)として紫外線防御剤を含有する。紫外線防御剤としては、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等が挙げられるが、成分(A)と併用してSPF向上効果を得る観点からは紫外線吸収剤が好ましく、前述した作用機構により本発明の効果を得る観点から、油溶性の紫外線吸収剤がより好ましい。
油溶性紫外線吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、及びその他の有機紫外線吸収剤のうち油溶性のものを用いることができる。本明細書において「油溶性」とは水への溶解度が1w/w%以下であることをいう。
【0044】
油溶性紫外線吸収剤の具体例としては、サリチル酸ホモメンチル(ホモサレート、例えばDSM(株)製「パルソールHMS」)、サリチル酸オクチル(例えばDSM(株)製「パルソールEHS」)等のサリチル酸系紫外線吸収剤;
パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(例えば、BASF SE社製「ユビナールMC80」)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;
4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;
2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン(以下、「エチルヘキシルトリアゾン」ともいう。例えば、BASF SE社製「ユビナールT150」)、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン(例えば、BASF SE社製「TINOSORB S」)等のトリアジン系紫外線吸収剤;
2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(例えば、DSM(株)製「パルソール1789」)等のベンゾイルメタン系紫外線吸収剤;
オクトクリレン(例えば、DSM(株)製「パルソール340」)、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−o−アミノベンゾエート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル;
ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル(例えば、味の素(株)製「ソフトシェードDH」)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(例えば、BASF SE社製「ユビナール Aplus Glanular」)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(例えば、BASF SE社製「TINOSORB M」)等が挙げられる。
これらは1種又は2種以上を用いることができる。UV−A及びUV−Bを共に防御する観点からは、油溶性紫外線吸収剤を2種以上組み合わせることがより好ましい。
【0045】
紫外線防御効果の観点からは、成分(B)としては、サリチル酸ホモメンチル(ホモサレート、例えばDSM(株)製「パルソールHMS」)、サリチル酸オクチル(例えばDSM(株)製「パルソールEHS」)、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(例えば、BASF SE社製「ユビナールMC80」)、エチルヘキシルトリアゾン(例えば、BASF SE社製「ユビナールT150」)、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン(例えば、BASF SE社製「TINOSORB S」)、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(例えば、DSM(株)製「パルソール1789」)、オクトクリレン(例えば、DSM(株)製「パルソール340」)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル(例えば、味の素(株)製「ソフトシェードDH」)、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(例えば、BASF SE社製「ユビナール Aplus Glanular」)からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを併用すること、又は、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びオクトクリレンを併用することが更に好ましく、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを併用することがより更に好ましい。
【0046】
本発明の化粧料は成分(A)及び成分(B)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比が5/95〜30/70である。この範囲とすることにより、成分(A)と成分(B)との相乗効果によりSPFが飛躍的に向上する。また、化粧料としての使いやすさにも優れる。
上記の観点から、成分(A)と成分(B)との質量比は、好ましくは10/90〜25/75、より好ましくは10/90〜20/80である。
【0047】
化粧料中の成分(B)の含有量は、上記質量比を満たす限り特に制限されないが、SPF向上の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上である。また、化粧料の使いやすさの観点からは、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは18質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。化粧料中の成分(B)の含有量の具体的範囲は、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは8〜20質量%、より更に好ましくは10〜18質量%、より更に好ましくは10〜15質量%である。
【0048】
〔水性媒体〕
本発明の化粧料は、水性媒体を含有することができる。水性媒体としては、水;エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;1,3−ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数6以下の低分子ジオール及びトリオールが挙げられ、水及び低級アルコールからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、少なくとも水を含有することが好ましい。
化粧料中の水性媒体の含有量は、化粧料の剤型により適宜選択することができるが、通常、1〜95質量%の範囲である。化粧料中の水性媒体の含有量は、化粧料中のすべての有効成分の残部であってよい。
【0049】
〔その他の成分〕
本発明の化粧料は、前記成分の他、化粧料の用途に応じて使用される美容成分や薬効成分、並びに、皮膚化粧料等に通常使用される成分を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜含有してもよい。当該成分としては、例えば、酸化防止剤、ゲル化剤、界面活性剤、増粘剤、油剤、pH調整剤、安定剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、着色剤、キレート剤、保湿剤、パール剤、セラミド類、香料等が挙げられる。
【0050】
本発明の化粧料の製造方法は特に限定されない。例えば、成分(A)、成分(B)、及び必要に応じて用いられるその他の成分を実施例に記載の方法で配合し、公知の攪拌装置等を用いて混合することにより製造できる。
【0051】
[化粧料(2)]
本発明はまた、
成分(A1):
(a)スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、並びに疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー、及び
(b)イオン性親水性モノマー又はその塩
に由来する構成単位を含み、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、ソープフリー乳化重合法で得られたイオン性ポリマー粒子、及び
成分(B):紫外線防御剤
を含有し、成分(A1)と成分(B)との質量比が5/95〜30/70である化粧料(以下「化粧料(2)」ともいう)に関する。
成分(A1)に用いられる疎水性モノマー(a)、イオン性親水性モノマー又はその塩(b)、(a)と(b)の質量比、成分(B)、並びにこれらの好適態様は、化粧料(1)において記載したものと同じである。
成分(A1)は、ソープフリー乳化重合法で得られたものであることを特徴とし、これにより成分(A1)のTHF不溶分率を高め、成分(B)と併用することにより化粧料のSPFを飛躍的に向上させることができる。
成分(A1)がソープフリー乳化重合法で得られたものであることにより上記効果が得られる理由は定かではないが、次のように考えられる。ソープフリー乳化重合法では、重合開始剤が水相中のモノマーを攻撃して重合が開始され、重合が進行するとポリマーが水相中に析出して凝集し、一次粒子を形成する。この一次粒子が生成反応場となって重合が進行することから、該粒子内に複数のラジカルが存在するため架橋が起こりやすく、THF不溶分率が向上すると考えられる。これに対し通常の乳化重合法では、重合中のポリマー粒子へのラジカル侵入速度とラジカル脱出速度が同じであり、該粒子内に1つのラジカルしか存在しないため、架橋が起こり難いと推察される。
【0052】
成分(A1)は、例えば、成分(A1)に用いられる疎水性モノマー(a)、イオン性親水性モノマー又はその塩(b)等のモノマーを、成分(A)の製造方法において記載したソープフリー乳化重合法により重合して製造することができる。反応形式としては、製造容易性、モノマー組成の自由度の観点から、ラジカル重合反応であることが好ましい。ソープフリー乳化重合を行う観点からは、重合開始剤として水溶性のラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、全モノマー量に対して好ましくは0.01質量%以上、10質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下である。
【0053】
成分(A1)の平均粒径及びTHF不溶分率の好適態様は、化粧料(1)において記載した成分(A)と同じである。
【0054】
化粧料(2)中の成分(A1)の含有量は、SPF向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは0.8質量%以上、より更に好ましくは1.2質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下である。化粧料(2)中の成分(A1)の含有量の具体的範囲は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜4質量%、更に好ましくは0.5〜3.5質量%、より更に好ましくは0.8〜3質量%、より更に好ましくは1.2〜2.5質量%である。
【0055】
化粧料(2)中の成分(A1)と成分(B)との質量比は、5/95〜30/70である。この範囲とすることにより、成分(A1)と成分(B)との相乗効果によりSPFが飛躍的に向上する。また、化粧料としての使いやすさにも優れる。
上記観点から、成分(A1)と成分(B)との質量比は、好ましくは10/90〜25/75、より好ましくは10/90〜20/80である。
【0056】
化粧料(2)中の成分(B)の含有量は、上記質量比を満たす限り特に制限されないが、SPF向上の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上である。また、化粧料の使いやすさの観点からは、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは18質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。化粧料(2)中の成分(B)の含有量の具体的範囲は、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは8〜20質量%、より更に好ましくは10〜18質量%、より更に好ましくは10〜15質量%である。
【0057】
[紫外線防御方法]
本発明はまた、本発明の化粧料を対象物に塗布する工程を有する、紫外線防御方法に関する。本発明の方法は、前記本発明の化粧料(化粧料(1)及び(2))を対象物に塗布する工程を有していれば特に制限されない。対象物としては毛髪、皮膚等が挙げられ、皮膚であることが好ましい。
本発明の化粧料は紫外線防御効果が高いため、当該方法により紫外線による皮膚の炎症や老化を抑え、さらには皮膚癌等を予防することも期待できる。
【0058】
[紫外線防御効果向上剤]
本発明は更に、
成分(A):
(a)スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、並びに疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー、及び
(b)イオン性親水性モノマー又はその塩
に由来する構成単位を含み、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、テトラヒドロフランへの不溶分率が10%以上100%以下であるイオン性ポリマー粒子
を含有する紫外線防御効果向上剤を提供する。
上記成分(A)は紫外線防御効果向上剤として使用することができ、例えば、本発明の紫外線防御効果向上剤を、前記成分(B)等の紫外線防御剤を含有する化粧料に配合することにより、該化粧料のSPFを飛躍的に向上させることができる。
【0059】
成分(A)及びその好適態様は、化粧料(1)において記載した成分(A)と同じである。成分(A)は、ソープフリー乳化重合法で得られたものであることが好ましく、すなわち、化粧料(2)において記載した成分(A1)であることが好ましい。
本発明の紫外線防御効果向上剤中の成分(A)の含有量は、紫外線防御剤を含有する化粧料に配合してSPFを飛躍的に向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
【0060】
[紫外線防御効果向上方法]
本発明は更に、上記成分(A)を含有する紫外線防御効果向上剤を、紫外線防御剤を含有する化粧料に配合する、紫外線防御効果向上方法も提供する。該紫外線防御剤としては、化粧料(1)において記載した成分(B)と同様のものが挙げられる。
本発明の紫外線防御効果向上方法における、紫外線防御効果向上剤の配合量は、SPF向上効果の観点から、化粧料中の成分(A)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは0.8質量%以上、より更に好ましくは1.2質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下となる量である。
また、化粧料中の成分(A)と、紫外線防御剤との質量比が、好ましくは5/95〜30/70、より好ましくは10/90〜25/75、更に好ましくは10/90〜20/80となる量である。この範囲とすることにより、成分(A)と成分(B)等の紫外線防御剤との相乗効果によりSPFが飛躍的に向上する。また、化粧料としての使いやすさにも優れるものとなる。
【0061】
上述の実施形態に関し、本発明は以下の化粧料、紫外線防御方法、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、及び使用を開示する。
<1>
成分(A):
(a)スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、並びに疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー、及び
(b)イオン性親水性モノマー又はその塩
に由来する構成単位を含み、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、テトラヒドロフランへの不溶分率が10%以上100%以下であるイオン性ポリマー粒子、及び
成分(B):紫外線防御剤
を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比が5/95〜30/70である化粧料。
<2>
成分(A1):
(a)スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、並びに疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー、及び
(b)イオン性親水性モノマー又はその塩
に由来する構成単位を含み、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、ソープフリー乳化重合法で得られたイオン性ポリマー粒子、及び
成分(B):紫外線防御剤
を含有し、成分(A1)と成分(B)との質量比が5/95〜30/70である化粧料。
<3>
成分(A):
(a)スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、並びに疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー、及び
(b)イオン性親水性モノマー又はその塩
に由来する構成単位を含み、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、テトラヒドロフランへの不溶分率が10%以上100%以下であるイオン性ポリマー粒子
を含有する、紫外線防御効果向上剤。
<4>
<3>に記載の紫外線防御効果向上剤を、紫外線防御剤を含有する化粧料に配合する、紫外線防御効果向上方法。
<5>
成分(A):
(a)スチレン及びその誘導体、ビニルエステル、並びに疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー、及び
(b)イオン性親水性モノマー又はその塩
に由来する構成単位を含み、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、テトラヒドロフランへの不溶分率が10%以上100%以下であるイオン性ポリマー粒子
の、紫外線防御効果向上剤としての使用。
<6>
成分(a)がスチレン、酢酸ビニル及び疎水性アクリル系モノマーからなる群から選ばれる1種以上であり、
成分(b)がカルボキシ基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる1種以上のアニオン性基を有するアニオン性親水性モノマー又はその塩である、<1>又は<2>に記載の化粧料、<3>に記載の紫外線防御効果向上剤、<4>に記載の紫外線防御効果向上方法、又は、<5>に記載の使用。
<7>
疎水性アクリル系モノマーが下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルである、<1>〜<6>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
【化2】
式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2はヒドロキシ基を有していてもよい、炭素数1以上24以下の鎖状脂肪族基、炭素数5以上24以下の環状脂肪族基、炭素数6以上24以下のアリール基、又は炭素数7以上24以下のアラルキル基を示し、R
Aは炭素数2以上4以下のアルキレン基を示す。n1は0以上30以下の整数である。
<8>
成分(a)がスチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)からなる群から選ばれる2種以上を含有する、<1>〜<7>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<9>
成分(a)がメタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)を含有する、<8>に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<10>
メタクリル酸エステル(a1)がメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、及びメタクリル酸n−ブチルからなる群から選ばれる1種以上である、<8>又は<9>に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
【0062】
<11>
アクリル酸エステル(a2)がアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、及びアクリル酸n−ブチルからなる群から選ばれる1種以上である、<8>〜<10>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<12>
成分(b)がアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である、<1>〜<11>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<13>
成分(b)がアクリル酸又はその塩である、<12>に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<14>
メタクリル酸エステル(a1)とアクリル酸エステル(a2)との質量比(a1)/(a2)が40/60〜70/30である、<9>〜<13>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<15>
成分(a)中のメタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)の合計量が50〜100質量%である、<9>〜<14>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<16>
質量比(a)/(b)が98/2〜90/10である、<1>〜<15>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<17>
成分(A)又は成分(A1)を構成する全モノマー中の疎水性モノマー(a)及びイオン性親水性モノマー又はその塩(b)の合計量が、80〜100質量%である、<1>〜<16>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<18>
成分(A)又は成分(A1)を構成する全モノマー中のアクリル酸、アクリル酸塩、及びアクリル酸エステルの合計量が、1質量%以上、60質量%以下である、<1>〜<17>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<19>
成分(A)又は成分(A1)の平均粒径が150〜800nmである、<1>〜<18>のいずれか1に記載の化粧料、紫外線防御効果向上剤、紫外線防御効果向上方法、又は使用。
<20>
化粧料中の成分(A)又は成分(A1)の含有量が0.1〜5質量%である、<1>、<2>、<6>〜<19>のいずれか1に記載の化粧料。
【0063】
<21>
成分(B)がサリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルからなる群から選ばれる1種以上である、<1>、<2>、<6>〜<20>のいずれか1に記載の化粧料。
<22>
成分(B)が2種以上の油溶性紫外線吸収剤の組み合わせである、<1>、<2>、<6>〜<21>のいずれか1に記載の化粧料。
<23>
化粧料中の成分(B)の含有量が2〜40質量%である、<1>、<2>、<6>〜<22>のいずれか1に記載の化粧料。
<24>
さらに水性媒体を含有する、<1>、<2>、<6>〜<23>のいずれか1に記載の化粧料。
<25>
成分(A):
(a)スチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)からなる群から選ばれる2種以上の疎水性モノマー、及び
(b)アクリル酸又はその塩
に由来する構成単位を含み、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、テトラヒドロフランへの不溶分率が10%以上100%以下であるイオン性ポリマー粒子、及び
成分(B):サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルからなる群から選ばれる1種以上の紫外線防御剤
を含有し、
成分(A)の含有量が0.1〜5質量%であり、
成分(B)の含有量が2〜40質量%であり、
成分(A)と成分(B)との質量比が5/95〜30/70である化粧料。
<26>
成分(A1):
(a)スチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)からなる群から選ばれる2種以上の疎水性モノマー、及び
(b)アクリル酸又はその塩
に由来する構成単位を含み、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が99.5/0.5〜80/20であり、ソープフリー乳化重合法で得られたイオン性ポリマー粒子、及び
成分(B):サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルからなる群から選ばれる1種以上の紫外線防御剤
を含有し、
成分(A)の含有量が0.1〜5質量%であり、
成分(B)の含有量が2〜40質量%であり、
成分(A)と成分(B)との質量比が5/95〜30/70である化粧料。
<27>
成分(A):
(a)スチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)からなる群から選ばれる2種以上の疎水性モノマー、及び
(b)アクリル酸又はその塩
に由来する構成単位を含み、
成分(A)を構成する全モノマー中のアクリル酸、アクリル酸塩、及びアクリル酸エステルの合計量が30質量%以上、70質量%以下であり、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が95/5〜90/10であり、テトラヒドロフランへの不溶分率が70%以上100%以下であるイオン性ポリマー粒子、及び
成分(B):サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルからなる群から選ばれる1種以上の紫外線防御剤
を含有し、
成分(A)の含有量が0.1〜5質量%であり、
成分(B)の含有量が2〜40質量%であり、
成分(A)と成分(B)との質量比が5/95〜30/70である化粧料。
<28>
成分(A):
(a)スチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル(a1)及びアクリル酸エステル(a2)からなる群から選ばれる2種以上の疎水性モノマー、及び
(b)アクリル酸又はその塩
に由来する構成単位を含み、
成分(A)を構成する全モノマー中のアクリル酸、アクリル酸塩、及びアクリル酸エステルの合計量が30質量%以上、70質量%以下であり、
(a)と(b)の質量比(a)/(b)が95/5〜90/10であり、ソープフリー乳化重合法で得られたイオン性ポリマー粒子、及び
成分(B):サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルからなる群から選ばれる1種以上の紫外線防御剤
を含有し、
成分(A)の含有量が0.1〜5質量%であり、
成分(B)の含有量が2〜40質量%であり、
成分(A)と成分(B)との質量比が5/95〜30/70である化粧料。
<29>
<1>、<2>、<6>〜<28>のいずれか1に記載の化粧料を対象物に塗布する工程を有する、紫外線防御方法。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
【0065】
(THF不溶分率)
各例で使用するポリマー粒子のエマルションを乾燥させて得られた固体を約0.5g量り取り、室温(25℃)において、固体が十分浸漬する量のTHFに2週間浸漬させた。浸漬後の液をメッシュ(200mesh)で濾過し、濾物を80℃で12時間減圧乾燥させた(−100kPa)。THF浸漬前の固体の質量(W
a)と、THFに浸漬、乾燥後の固体の質量(W
b)から下記式により不溶分率を求めた。
THF不溶分率(%)=W
b/W
a×100
【0066】
(ポリマー粒子の平均粒径)
ポリマー粒子の平均粒径(メジアン径:D50)は、(株)堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−920」を用い、水を分散媒として、相対屈折率:1.200−0.000iとして測定した。
【0067】
(in vitro SPF)
5cm×5cmのポリメチルメタクリレート(PMMA)板上に、各例の化粧料を1.3mg/cm
2になるように均一に塗布し、室温(25℃)で15分乾燥させた。
SPFアナライザー(Optometricus USA社製「SPF 290S plus」)にて、正方形のPMMA板の中央、頂点(4箇所)、及び四辺の中点(4箇所)の計9箇所で、波長350nmにおける透過率(%)を測定し、9箇所の測定値の平均を求めた(N=3)。この平均値から算出したSPF値を表2及び表3に示した。また、表2においては、成分(A)を含まない比較例4のSPF値を100として、表3においては、成分(A)を含まない比較例5のSPF値を100として、SPF相対値を示した。
【0068】
製造例1(ポリマー粒子1の製造)
イオン交換水510gを1Lのガラス製セパラブルフラスコに入れ、窒素雰囲気下で30分間攪拌した。フラスコを70℃付近まで昇温し、系内が70℃に達した後、過硫酸アンモニウム1.5gをイオン交換水15gに溶解した溶液を添加した。次いで、メタクリル酸メチル204g、アクリル酸n−ブチル87g、及びアクリル酸9gを均一に混合したモノマー溶液を、3時間かけて系内に一定速度で滴下した。滴下終了後、70℃付近で1時間保持した後、75℃付近まで昇温し3時間保持することで重合及び熟成を行った。得られた反応溶液を冷却した後、1N−水酸化ナトリウム水溶液43.7gを添加して中和した。さらに凝集物をメッシュ濾過(200mesh)で取り除き、水を加えて有効成分30質量%のポリマー粒子1の分散液を得た。ポリマー粒子1のTHF不溶分率は42%、平均粒径は450nmであった。
【0069】
製造例2〜7、比較製造例1(ポリマー粒子2〜8の製造)
表1に示す量及び種類のモノマーを使用したこと以外は、製造例1と同様の方法でポリマー粒子2〜8の分散液を製造した。なお、ポリマー粒子5〜7は水を加えて有効成分20質量%のポリマー粒子の分散液に調整した。ポリマー粒子2〜8のTHF不溶分率を表1に示す。
【0070】
比較製造例2(ポリマー粒子9の製造)
イオン交換水510g、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製「エマール20C」)6gを内容量1Lのガラス製セパラブルフラスコに入れ、窒素雰囲気下で30分間攪拌した。フラスコを70℃付近まで昇温し、系内が70℃に達した後、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(富士フイルム和光純薬(株)製「V−501」)1.5gをイオン交換水15gに分散させた分散液を添加した。系内が均一透明になったのを確認した後、メタクリル酸メチル204g、アクリル酸n−ブチル87g、及びアクリル酸9gを均一に混合したモノマー溶液を、3時間かけて反応容器に一定速度で滴下した。滴下終了後、70℃付近で1時間保持した後、75℃付近まで昇温し3時間保持することで重合及び熟成を行った。得られた反応溶液を冷却した後、1N−水酸化ナトリウム水溶液43.7gを添加して部分中和した。さらに凝集物をメッシュ濾過(200mesh)で取り除き、水を加えて有効成分30質量%のポリマー粒子9の分散液を得た。ポリマー粒子9のTHF不溶分率を表1に示す。
【0071】
比較製造例3(ポリマー粒子10の製造)
表1に示す量及び種類のモノマーを使用したこと以外は、比較製造例2と同様の方法でポリマー粒子10の分散液を製造した。ポリマー粒子10のTHF不溶分率を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
*1:4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(富士フイルム和光純薬(株)製「V−501」)
*2:ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製「エマール20C」)
【0074】
実施例1〜7、比較例1〜5(水中油型日焼け止め化粧料の製造及び評価−1)
表2に示す量の精製水を入れた配合槽をディスパーで撹拌しながら、室温で、表2に示す防腐剤、粘度調整剤、安定剤、及び95度合成アルコールを添加し、さらにpH調整剤を添加して水相を調製した。一方で、成分(B)、油剤である安息香酸アルキル(C12−C15)、及びゲル化剤であるパルミチン酸デキストリンを約85℃で加熱撹拌し、油相を調製した。水相に油相を添加し、撹拌した後、成分(A)又は成分(A)以外のポリマー粒子(表2において「成分(A’)」と表記する)の分散液を添加、撹拌して、表2に示す組成の水中油型日焼け止め化粧料を得た。なお、成分(A)及び成分(A’)は、化粧料中の有効成分の濃度として2質量%となる量を配合した。
得られた化粧料を用いて、前記方法によりin vitro SPF評価を行った。結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
表2の配合成分は下記である。
*1 アクリル酸アルキル共重合体:ヨドゾール GH810F(アクゾノーベル(株)製、有効成分量:46質量%)
*2 パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル:ユビナール MC80(BASF SE社製)
*3 ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル:ユビナール Aplus Glanular(BASF SE社製)
*4 ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン:TINOSORB S(BASF SE社製)
*5 エチルヘキシルトリアゾン:ユビナール T−150(BASF SE社製)
*6 安息香酸アルキル(C12−15):フィンソルブ TN(Innospec Active Chemicals LLC社製)
*7 パルミチン酸デキストリン:レオパールKL2(千葉製粉(株)製)
*8 フェノキシエタノール:ハイソルブ EPH(東邦化学工業(株)製)
*9 (アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー:PEMULEN TR−1(Lubrizol Advanced Materials, Inc.製)
*10 EDTA・2Na・2H
2O:クレワット N(ナガセケムテックス(株)製)
*11 エタノール:95度合成アルコール(日本合成アルコール(株)製)
【0077】
表2より、実施例1〜7の化粧料は、THF不溶分率が低いイオン性ポリマー粒子を用いた比較例1〜5の化粧料よりもSPFが向上したことがわかる。比較例2は、モノマー組成はポリマー粒子1と同一であるが、ソープフリー乳化重合法ではなく、乳化剤及びアゾ系ラジカル重合開始剤を用いて乳化重合して得られたポリマー粒子9を用いた例である。また比較例3は、モノマー組成はポリマー粒子4と同一であるが、ソープフリー乳化重合法ではなく、乳化剤及びアゾ系ラジカル重合開始剤を用いて乳化重合して得られたポリマー粒子10を用いた例である。しかしながらポリマー粒子9、10はTHF不溶分率が低く、実施例1と比較例2との対比、及び実施例4と比較例3との対比によれば、これらのポリマー粒子を用いた化粧料はいずれもSPF向上効果に劣るものであった。
【0078】
実施例8、比較例6(水中油型日焼け止め化粧料の製造及び評価−2)
表3に示す量の精製水を入れた配合槽をディスパーで撹拌しながら、室温で、表3に示す防腐剤、粘度調整剤、安定剤、及び95度合成アルコールを添加し、さらにpH調整剤を添加して水相を調製した。一方で、成分(B)、油剤である安息香酸アルキル(C12−C15)、及びゲル化剤であるパルミチン酸デキストリンを約85℃で加熱撹拌し、油相を調製した。水相に油相を添加し、撹拌した後、成分(A)の分散液を添加あるいは添加せず、撹拌して、表3に示す組成の水中油型日焼け止め化粧料を得た。なお、成分(A)は、化粧料中の有効成分の濃度として2質量%となる量を配合した。
得られた化粧料を用いて、前記方法によりin vitro SPF評価を行った。結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
表3の配合成分のうち、表2に記載以外の成分は下記である。
*12 4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン:パルソール1789(DSM(株)製)
*13 サリチル酸オクチル:パルソールEHS(DSM(株)製)
*14 ホモサレート:パルソールHMS(DSM(株)製)
*15 オクトクリレン:パルソール340(DSM(株)製)
【0081】
表3より、実施例8の化粧料は、比較例6の成分(A)を用いない化粧料よりもSPFが向上したことがわかる。