特許第6757841号(P6757841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6757841-眼調節機能支援システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757841
(24)【登録日】2020年9月2日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】眼調節機能支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20200910BHJP
   G02C 7/08 20060101ALI20200910BHJP
   A61B 3/103 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   A61F2/16
   G02C7/08
   A61B3/103
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-202909(P2019-202909)
(22)【出願日】2019年11月8日
(62)【分割の表示】特願2015-249807(P2015-249807)の分割
【原出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2020-32238(P2020-32238A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】福間 康文
(72)【発明者】
【氏名】田村 太一
(72)【発明者】
【氏名】池澤 幸男
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−088177(JP,A)
【文献】 特開2015−087824(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/035357(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
G02C 7/08
A61B 3/103
G02B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の調節機能を支援するためにユーザに適用される眼調節機能支援器具と、前記眼調節機能支援器具を制御するための信号を送信する携帯電子機器とを含むシステムであって、
前記眼調節機能支援器具は、
前記眼の外部又は内部に配置され、少なくとも一部の屈折力が可変に構成された屈折力可変素子と、
前記屈折力を変化させるために前記屈折力可変素子を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御部と、
第1通信部と
を含み、
前記携帯電子機器は、
前記携帯電子機器の電源をオンするためのオン操作を行うための電源ボタン及び/又はタッチパネルと、前記携帯電子機器の所定機能をオンするためのオン操作を行うためのハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーとの少なくとも一方を含むユーザインターフェイスと、
前記ユーザインターフェイスを用いて行われた前記オン操作に対応するオン操作情報を含む制御情報を生成する制御情報生成部と、
生成された前記制御情報を送信する第2通信部と
を含み、
前記第1通信部は、前記第2通信部から送信された前記制御情報を受信し、
前記制御情報に前記オン操作情報が含まれるとき、前記制御部は、前記屈折力可変素子の前記屈折力を所定の近用屈折力に変化させるように前記アクチュエータを制御する
ことを特徴とする眼調節機能支援システム。
【請求項2】
前記電源ボタン及び/又は前記タッチパネルは、前記携帯電子機器の前記電源をオフするためのオフ操作を行うために用いられ、
前記ハードウェアキー及び/又は前記ソフトウェアキーは、前記携帯電子機器の前記所定機能をオフするためのオフ操作を行うために用いられ、
前記オフ操作が前記ユーザインターフェイスを用いて行われたとき、前記制御情報生成部は、前記オフ操作に対応するオフ操作情報を含む前記制御情報を生成し、
前記制御情報に前記オフ操作情報が含まれるとき、前記制御部は、前記屈折力可変素子の前記屈折力を前記近用屈折力から他の屈折力に変化させるように前記アクチュエータの制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の眼調節機能支援システム。
【請求項3】
前記他の屈折力は、所定の遠用屈折力である
ことを特徴とする請求項2に記載の眼調節機能支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の調節機能を支援するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼の調節機能は、所望の距離に存在する対象物にピントを合わせる機能であり、毛様体筋により水晶体の厚さを適宜に変更することによって実現される。調節機能は、年齢や生活習慣により低下する。例えば、加齢により水晶体の弾性が失われると調節力が弱まり、近くにピントを合わせることができなくなる(老視)。また、若年層であっても、携帯端末の長時間使用により毛様体筋の緊張が続くと筋肉痛やコリが生じ、調節機能の低下を引き起こすことが問題となっている。
【0003】
一方、調節機能を支援するための装置の開発も進んでいる。例えば、様々な構造の焦点可変レンズを備えた眼鏡やコンタクトレンズや眼内レンズが知られている(例えば特許文献1−6を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013−541049号公報
【特許文献2】特表2014−500981号公報
【特許文献3】特開2011−39549号公報
【特許文献4】特開2012−133106号公報
【特許文献5】米国特許第5182585号明細書
【特許文献6】特表2012−531272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ピント合わせの対象物は、一般にユーザが意図する動作によって変化する。しかし、従来の技術では、ユーザが意図する動作に応じて自動かつ迅速にピントを合わせることは困難であった。例えば、携帯端末の使用の開始や終了などの動作に応じて焦点を変化させることは従来の技術では難しかった。
【0006】
本発明に係るシステムの目的は、ユーザが意図する動作に応じて自動かつ迅速に焦点を変化させることにより調節に掛かる負担を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の眼調節機能支援システムは、眼の調節機能を支援するためにユーザに適用される眼調節機能支援器具と、眼調節機能支援器具を制御するための信号を送信する携帯電子機器とを含む。
【0008】
眼調節機能支援器具は、屈折力可変素子とアクチュエータと制御部と第1通信部とを含む。屈折力可変素子は、眼の外部又は内部に配置され、少なくとも一部の屈折力が可変に構成されている。アクチュエータは、屈折力を変化させるために屈折力可変素子を駆動する。制御部はアクチュエータを制御する。
【0009】
携帯電子機器は、ユーザインターフェイスと制御情報生成部と第2通信部とを含む。ユーザインターフェイスは、携帯電子機器の電源をオンするためのオン操作を行うための電源ボタン及び/又はタッチパネルと、携帯電子機器の所定機能をオンするためのオン操作を行うためのハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーとの少なくとも一方を含む。制御情報生成部は、ユーザインターフェイスを用いて行われたオン操作に対応するオン操作情報を含む制御情報を生成する。第2通信部は、生成された制御情報を送信する。
【0010】
眼調節機能支援器具の第1通信部は、電子機器の第2通信部から送信された制御情報を受信する。制御情報にオン操作情報が含まれるとき、制御部は、屈折力可変素子の屈折力を所定の近用屈折力に変化させるようにアクチュエータを制御する。
【発明の効果】
【0011】
実施形態によれば、ユーザが意図する動作に応じて自動かつ迅速に焦点を変化させることができ、調節に掛かる負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る眼調節機能支援システムの構成の一例を表す概略図。
図2】実施形態に係る眼調節機能支援システムの構成の一例を表す概略図。
図3】実施形態に係る眼調節機能支援システムの動作の一例を表すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の幾つかの実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。実施形態の眼調節機能支援システムは、眼調節機能支援器具と電子機器とを含む。眼調節機能支援器具は、眼の調節機能を支援するためにユーザに適用される。電子機器は、眼調節機能支援器具を制御するための信号を生成して発信する。
【0014】
図1及び図2は、眼調節機能支援システムの構成例を表す。図1は、システムの全体構成の例を表す。図2は、当該システムの電子機器に含まれるデータ取得部の構成例を表す。なお、図2に示すデータ取得部には複数の要素が含まれているが、これら要素の一部のみを備えたデータ取得部を適用することも可能である。また、図2と異なる構成を備えたデータ取得部を適用することもできる。なお、図1及び図2に示す構成は典型例に過ぎず、本発明を限定するものではない。また、以下に説明する様々な構成や動作の一部又は全部を任意に組み合わせることが可能である。
【0015】
眼調節機能支援システム1は、眼調節機能支援器具100と電子機器200とを含む。眼調節機能支援器具100と電子機器200とは通信可能である。この通信は、少なくとも、電子機器200による信号の送信と、眼調節機能支援器具100による信号の受信とを含む。ただし、この逆の通信が更に含まれてもよい(つまり、双方向通信が可能であってもよい)。眼調節機能支援器具100と電子機器200との間の通信は、任意の通信規格に準拠していてよく、また、有線通信でも無線通信でもよい。通信方式は、他の機器を経由した間接通信でもよいし、眼調節機能支援器具100と電子機器200との間の直接通信でもよい。
【0016】
眼調節機能支援システム1に含まれる電子機器200の個数は任意であり、1つには限定されない。2以上の電子機器が設けられる場合、例えば、各電子機器には識別情報(機器ID)が割り当てられる。この場合、各電子機器から送信される信号には機器IDが含まれる。眼調節機能支援器具100は、受信した信号に含まれる機器IDに応じて動作する。
【0017】
また、眼調節機能支援システム1に含まれる眼調節機能支援器具100の個数も任意であってよい。例えば、単一のユーザの左眼と右眼とにそれぞれ眼調節機能支援器具が設けられていてよい。この場合、左右の眼調節機能支援器具が連動して制御される。
【0018】
他の例として、2以上のユーザがそれぞれ1以上の眼調節機能支援器具を使用している場合がある。この場合、例えば、各ユーザの眼調節機能支援器具に識別情報(ユーザID)が割り当てられる。電子機器が個人用である場合、電子機器と眼調節機能支援器具とが事前に対応付けられている。一方、例えばテレビ等の電子機器については、2以上のユーザによって使用される場合がある。その場合、電子機器は、それを使用しているユーザや使用するための動作を行ったユーザを識別する機能を備える。例えば、電子機器は、ユーザIDやパスワード等の識別情報の入力、生体認証(顔認証、指紋認証、虹彩認証等)等の公知技術を利用してユーザを識別することができる。電子機器はユーザIDを含む信号を発信する。この信号を受信した眼調節機能支援器具は、この信号に含まれるユーザIDと、自身に割り当てられたユーザIDとを照合し、これらが一致した場合に当該信号に応じた動作を実行する。
【0019】
〈眼調節機能支援器具100〉
眼調節機能支援器具100は、眼の調節機能を支援するためにユーザに適用される。眼調節機能支援器具100の例として、視力矯正器具(眼鏡、コンタクトレンズ等)、眼内レンズ、ウェアラブルデバイスなどがある。図1に示すように、眼調節機能支援器具100は、制御部110と屈折力可変素子120とアクチュエータ130と通信部140とを含む。
【0020】
〈制御部110〉
制御部110は、眼調節機能支援器具100の各部の制御を行う。制御部110が実行する制御については後述する。制御部110はプロセッサ(及び制御用ソフトウェア)を含む。
【0021】
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
【0022】
〈屈折力可変素子120〉
屈折力可変素子120は、その少なくとも一部の屈折力が可変に構成された光学素子である。屈折力可変素子120(その少なくとも一部)は眼の外部又は内部に配置される。屈折力可変素子120は、例えば、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズのレンズ部、ウェアラブルデバイス内のレンズなどであってよい。また、屈折力可変素子120の材質や構造は、その少なくとも一部の屈折力が可変であれば任意である。例えば、屈折力可変素子120は、上記引用文献のいずれかに記載された構成を備えてもよいし、他の公知の構成を備えてもよい。屈折力可変素子120は、単焦点レンズとして構成されたものには限定されず、例えば累進焦点レンズ又は他焦点レンズとして構成されてもよい。
【0023】
〈アクチュエータ130〉
アクチュエータ130は、屈折力を変化させるために屈折力可変素子120を駆動する。アクチュエータ130による屈折力可変素子120の駆動方式は任意である。駆動方式は、物理学的原理及び/又は化学的原理を利用したものであってよい。アクチュエータ130は、上記引用文献のいずれかに記載された構成を備えてもよいし、他の公知の構成を備えてもよい。
【0024】
なお、アクチュエータ130の構成は、屈折力可変素子120の構成に応じて決定される。或いは、屈折力可変素子120の構成は、アクチュエータ130の構成に応じて決定される。屈折力可変素子120及びアクチュエータ130を構成するために適用可能な現象・原理・技術等の例として、電気、磁気、熱、流体(液体、気体等)、圧力、膨張/収縮、弾性、液晶、ゲル、エレクトロウェッティングなどがある。
【0025】
第1の例において、屈折力可変素子120は、加熱により膨張し、冷却により収縮する流体が充填された流体レンズであり、アクチュエータ130は、この流体レンズを加熱及び/又は冷却する構成を含む。第2の例において、屈折力可変素子120は、液晶に電圧を印加することにより屈折率が変化する光学素子であり、アクチュエータ130は、この光学素子に電圧を印加する回路を含む。第3の例において、屈折力可変素子120は、導体である第1流体(水溶液等)と絶縁体である第2流体(油等)とが充填されたチャンバを含み、アクチュエータ130は、第1流体と第2流体との境界面の曲率(角度)を変化させるために第1流体に電圧を印加する回路を含む。屈折力可変素子120とアクチュエータ130との組み合わせはこれら例に限定されるものではない。
【0026】
〈通信部140〉
通信部140は、少なくとも、信号を受信する機能を備える。通信部140は、信号を発信する機能を備えてもよい。通信部140は、電子機器200との間の通信に適用される規格に準拠した通信インターフェイスを含む。
【0027】
〈電子機器200〉
電子機器200は、眼調節機能支援器具100を制御するための信号を生成して発信する。電子機器200の例として、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、電子書籍、ノートブックコンピュータ、ウェアラブル端末(スマートウォッチ等)などの携帯電子機器がある。電子機器200の他の例として次のようにスマート家電がある:テレビ、洗濯機、エアコンディショナ、電子レンジ、炊飯器、加湿器、空気清浄機、冷蔵庫、電磁調理器、オーディオ機器、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、掃除機、体重計、活動量計、血圧計など。
【0028】
また、電子機器200は、ユーザの職場にて使用される電子機器を含んでもよい。その具体例として、プリンタ複合機(マルチファンクションプリンタ)やコンピュータやプロジェクタ等のオフィス機器がある。更に、各種医療機器、各種製造装置、各種加工装置、各種搬送装置等も電子機器200の例である。なお、電子機器200は以上に例示したものには限定されない。
【0029】
図1に示すように、電子機器200は、制御部210とデータ取得部220と制御情報生成部230と通信部240とを含む。
【0030】
〈制御部210〉
制御部210は、電子機器200の各部の制御を行う。制御部210が実行する制御については後述する。制御部210はプロセッサ(及び制御用ソフトウェア)を含む。
【0031】
〈データ取得部220〉
データ取得部220は、電子機器200の使用状況に関連するデータを取得する。使用状況とは、例えば、電子機器200の使用に関する電子機器200、ユーザ又はそれら以外の対象の状況を意味する。使用状況の例として次のような状況がある:ユーザが電子機器200の使用を開始又は終了すること;ユーザが電子機器200の機能の使用を開始又は終了すること;電子機器200の状態(姿勢、移動速度、ユーザまでの距離等);ユーザが電子機器200を凝視すること;ユーザが電子機器200に対して近接/遠離すること;ユーザが音声を発すること;電子機器200に接続された他の機器をユーザが使用すること。なお、使用状況はこれらに限定されない。
【0032】
データ取得部220がデータを取得する方法は任意である。例えば、ユーザが電子機器200に対して行った操作入力に基づきデータを取得することや、ユーザの状態(視線方向、顔の向き等)を検知することによりデータを取得することや、電子機器200の物理的状態(姿勢、移動速度、ユーザまでの距離等)を検知することによりデータを取得することが可能である。これら典型的なデータ取得方法を実行可能なデータ取得部220の構成の例を図2に示す。
【0033】
図2に示すデータ取得部220は、ユーザインターフェイス(UI)221とユーザ検知部222と状態検知部223とを備える。ユーザインターフェイス221は、操作入力に基づくデータ取得において用いられる。ユーザ検知部222は、ユーザの状態の検知に基づくデータ取得において用いられる。状態検知部223は、電子機器200の状態の検知に基づくデータ取得において用いられる。
【0034】
なお、データ取得部220は、ユーザインターフェイス(UI)221、ユーザ検知部222、及び状態検知部223のうちいずれか1以上を備えた構成であってよい。或いは、データ取得部220は、これら以外の要素によってデータを取得するよう構成されてもよい。
【0035】
〈ユーザインターフェイス221〉
ユーザインターフェイス221は、例えば、表示装置と操作装置(入力装置)とを含む。表示装置は、制御部210からの制御を受けて情報を表示する。操作装置は、情報や操作や指示の入力に用いられる。ユーザインターフェイス221は、例えばタッチパネルのように表示機能と操作機能とが一体となったデバイスを含んでもよい。制御部210は、情報の表示や入力を行うためのグラフィカルユーザーインターフェイスを表示装置に表示させることができる。
【0036】
ユーザインターフェイス221の少なくとも一部が電子機器200の外部に設けられていてよい。例えば、電子機器200のアタッチメントとして構成された操作装置(リモートコントローラ等)を用いることができる。他の例として、電子機器200がスマートフォンやタブレット端末である場合、スマートウォッチを電子機器200のユーザインターフェイス221として用いることが可能である。
【0037】
ユーザは、ユーザインターフェイス221を用いて、電子機器200の電源をオンするための操作や、所定機能をオンするための操作を行うことができる。また、ユーザは、電子機器の電源をオフするための操作や、所定機能をオフするための操作を行うことができる。電源のオン/オフは、例えば、電子機器200の電源ボタンの押下や、タッチパネルに対するタッチ操作によって行われる。所定機能のオン/オフは、例えば、ハードウェアキーの押下や、ソフトウェアキー(アイコン、ボタン等)に対するタッチ操作によって行われる。
【0038】
〈ユーザ検知部222〉
ユーザ検知部222は、ユーザの状態を検知する。例えば、ユーザ検知部222は、ユーザが電子機器200の使用を開始することや、使用を終了することを検知する。図2に示すユーザ検知部222は、ユーザの視線方向及び/又は顔の向きを検知するために、撮影部2221と解析部2222とを備える。一般に、電子機器200の使用が開始されるとき、ユーザの視線や顔は電子機器200に向く。逆に、電子機器200の使用が終了されたとき、ユーザの視線方向や顔の向きは電子機器200から離れる。ユーザ検知部222は、このような動作(現象)を検知する。
【0039】
〈撮影部2221〉
撮影部2221はデジタルカメラを含む。このデジタルカメラは、静止画撮影を行うスティルカメラ、又は動画撮影を行うビデオカメラである。スティルカメラが適用される場合、例えば、制御部210は、所定の時間間隔で静止画撮影を行うようにスティルカメラを制御する。撮影部2221により取得された画像は、(例えば制御部210を介して)解析部2222に送られる。
【0040】
〈解析部2222〉
解析部2222は、撮影部2221により得られた画像を解析してユーザの視線方向又は顔の向きを特定する。解析部2222は、例えば画素値解析やパターン解析を行うことにより画像中の特徴領域を求める。特徴領域は、例えば、眼に相当する領域(又は、瞳孔等の眼の部位に相当する領域)、又は顔に相当する領域を特定する。更に、解析部2222は、この特徴領域が撮影部2221(つまり電子機器200)に向いているか判定する。この処理は、例えば、予め記憶されたテンプレートとの比較によって行われる。なお、このような画像処理は公知であり、また、他の公知の画像処理を適用することも可能である。解析部2222は、このような画像処理を実行するプロセッサ(及びソフトウェア)を含む。
【0041】
〈状態検知部223〉
状態検知部223は、電子機器200の状態を表すデータを検知する。前述したように、電子機器200の状態を表すデータは、例えば、姿勢(傾き)、移動速度、及びユーザまでの距離のうちのいずれかを含む。図2に示す状態検知部223は、姿勢を検知するための姿勢検知部2231と、移動速度を検知するための移動速度検知部2232と、ユーザまでの距離を検知するための距離検知部2233とを含む。なお、状態検知部223は、これらのうちのいずれか1以上を含んだ構成でもよいし、他のデータを検知するための要素を含んでもよい。
【0042】
〈姿勢検知部2231〉
姿勢検知部2231は、電子機器200の傾きを検知するための公知の構成を備える。例えば、姿勢検知部2231は、ジャイロセンサや加速度センサと、これらセンサからの出力に基づいて電子機器200の傾きを算出するプロセッサ(及びソフトウェア)を含んでいてよい。
【0043】
〈速度検知部2232〉
速度検知部2232は、電子機器200の移動速度を検知するための公知の構成を備える。例えば、速度検知部2232は加速度センサ等を含む。或いは、速度検知部2232は、GPS等の衛星測位システム又は地上局を利用した測位システムと、電子機器200の位置の時間変化から移動速度を求めるプロセッサ(及びソフトウェア)とを含んでいてもよい。
【0044】
〈距離検知部2233〉
距離検知部2233は、公知の技術を用いて、ユーザの顔若しくは眼又は眼調節機能支援器具100までの距離を検知する。例えば、距離検知部2233は、三角測距方式又はタイム・オブ・フライト方式のレーザ距離センサ又はLED距離センサなどがある。
【0045】
或いは、距離検知部2233は、撮影部2221と同様のカメラ(撮影部2221と共通であってよい)と、カメラにより得られた画像を解析して距離を算出するプロセッサ(及びソフトウェア)とを含んでいてもよい。このプロセッサは、例えば、画像に描出されたユーザの顔や特徴部位のサイズや、2以上の特徴点の間の距離に基づいて、ユーザまでの距離を算出することができる。また、眼調節機能支援器具100の少なくとも一部が露出している場合、プロセッサは、画像に描出された眼調節機能支援器具100又はその特徴部位のサイズや、2以上の特徴点(マーカ、左右のレンズ等)の間の距離に基づいて、ユーザまでの距離を算出することができる。
【0046】
〈制御情報生成部230〉
制御情報生成部230は、データ取得部220により取得されたデータに基づいて、眼調節機能支援器具100を制御するための情報(制御情報)を生成する。制御情報は、データ取得部220により取得されたデータ、及び/又は、それを処理して得られた情報を含む。
【0047】
ユーザインターフェイス221を用いて操作入力が行われた場合、制御情報生成部230は、この操作入力の内容に基づいて制御情報を生成する。例えば電源をオンするための操作が行われた場合、制御情報生成部230は、電源オンに相当する所定の情報を含む制御情報を生成することができる。
【0048】
ユーザ検知部222によりユーザの視線方向又は顔の向きを表すデータが取得された場合、制御情報生成部230は、このデータに基づいて制御情報を生成する。具体例として、ユーザの視線方向等が電子機器200に向かない状態から電子機器200に向いた状態に遷移したことがユーザ検知部222により検知された場合、制御情報生成部230は、その旨を示す情報又は電子機器200の使用開始を示す情報を含む制御情報を生成する。逆に、ユーザの視線方向等が電子機器200に向いた状態から電子機器200に向かない状態に遷移したことがユーザ検知部222により検知された場合、制御情報生成部230は、その旨を示す情報又は電子機器200の使用終了を示す情報を含む制御情報を生成する。
【0049】
状態検知部223により電子機器200の状態を表すデータが取得された場合、制御情報生成部230は、このデータに基づいて制御情報を生成する。
【0050】
例えば、姿勢検知部2231により電子機器200の姿勢を表すデータが取得された場合、制御情報生成部230は、このデータ又はこれを処理して得られた情報を含む制御情報を生成する。具体例として、水平に対する電子機器200の傾きが小さい状態(傾斜が所定閾値以下である状態)から傾きが大きい状態(傾斜が所定閾値を超える状態)に遷移したことが姿勢検知部2231からの出力に基づいて検知された場合、制御情報生成部230は、電子機器200の傾きが大きくなったことを示す情報又は電子機器200の使用開始を示す情報を含む制御情報を生成することができる。逆に、水平に対する電子機器200の傾きが大きい状態(傾斜が所定閾値を超える状態)から傾きが小さい状態(傾斜が所定閾値以下である状態)に遷移したことが姿勢検知部2231からの出力に基づいて検知された場合、制御情報生成部230は、電子機器200の傾きが小さくなったことを示す情報又は電子機器200の使用終了を示す情報を含む制御情報を生成することが可能である。
【0051】
移動速度検知部2232により電子機器200の移動速度を表すデータが取得された場合、制御情報生成部230は、このデータ又はこれを処理して得られた情報を含む制御情報を生成する。具体例として、電子機器200の移動速度が大きい場合(検知された速度が所定閾値を超える場合)、制御情報生成部230は、この検知データ又は電子機器200の使用禁止を示す情報を含む制御情報を生成することができる。逆に、電子機器200の移動速度が小さい場合(検知された速度が所定閾値以下である場合)、制御情報生成部230は、この検知データ又は電子機器200の使用許可を示す情報を含む制御情報を生成することができる。また、電子機器200の移動速度が小さい状態(検知された速度が所定閾値以下である状態)から移動速度が大きい状態(検知された速度が所定閾値を超える状態)に遷移したことが移動速度検知部2232からの出力に基づいて検知された場合、制御情報生成部230は、電子機器200の移動速度(つまりユーザの移動速度)が大きくなったことを示す情報又は電子機器200の使用終了を示す情報を含む制御情報を生成することができる。逆に、電子機器200の移動速度が大きい状態(検知された速度が所定閾値を超える状態)から移動速度が小さい状態(検知された速度が所定閾値以下である状態)に遷移したことが移動速度検知部2232からの出力に基づいて検知された場合、制御情報生成部230は、電子機器200の移動速度(つまりユーザの移動速度)が小さくなったことを示す情報又は電子機器200の使用許可を示す情報を含む制御情報を生成することができる。
【0052】
距離検知部2233によりユーザまでの距離を表すデータが取得された場合、制御情報生成部230は、このデータ又はこれを処理して得られた情報を含む制御情報を生成する。具体例として、ユーザまでの距離が大きい場合(検知された距離が所定閾値を超える場合)、制御情報生成部230は、この検知データ又は電子機器200の不使用を示す情報を含む制御情報を生成することができる。逆に、ユーザまでの距離が小さい場合(検知された距離が所定閾値以下である場合)、制御情報生成部230は、この検知データ又は電子機器200の使用開始を示す情報を含む制御情報を生成することができる。また、ユーザまでの距離が小さい状態(検知された距離が所定閾値以下である状態)から距離が大きい状態(検知された距離が所定閾値を超える状態)に遷移したことが距離検知部2233からの出力に基づいて検知された場合、制御情報生成部230は、ユーザまでの距離が大きくなったことを示す情報又は電子機器200の使用終了を示す情報を含む制御情報を生成することができる。逆に、ユーザまでの距離が大きい状態(検知された距離が所定閾値を超える状態)から距離が小さい状態(検知された距離が所定閾値以下である状態)に遷移したことが距離検知部2233からの出力に基づいて検知された場合、制御情報生成部230は、ユーザまでの距離が小さくなったことを示す情報又は電子機器200の使用開始を示す情報を含む制御情報を生成することができる。
【0053】
なお、撮影部2221と同様のカメラ(又は光センサ)に検出される光の強度(光量)の変化に基づいて電子機器200の使用開始や使用終了を検知し、それに基づく制御情報を生成するようにしてもよい。
【0054】
図2に示すデータ取得部220の要素のいずれか2以上によりデータが得られた場合、制御情報生成部230は、これらデータ(及び/又はこれらを処理して得られた情報)を組み合わせて制御情報を生成することができる。例えば、ユーザインターフェイス221を用いた操作入力から電源オンが検知され、距離検知部2233により距離が検知された場合、制御情報生成部230は、電源オンを示す情報と、距離(又はそれに応じた屈折力)を示す情報とを含む制御情報を生成することができる。
【0055】
また、データ取得部220の要素のいずれか2以上によりデータが得られた場合、制御情報生成部230は、これらデータ(及び/又はこれらを処理して得られた情報)に割り当てられた優先順位にしたがって、制御情報を生成することができる。
【0056】
制御情報の生成方法は上記の例に限定されない。データ取得部220により取得されるデータの種別などに応じて、制御情報生成部230が実行する処理を任意に選択することができる。
【0057】
電子機器200が機器IDを記憶している場合、制御情報生成部230は、データ取得部220により取得されたデータ又はそれを処理して得られた情報と、機器IDとを含む制御情報を生成することができる。
【0058】
〈通信部240〉
通信部240は、少なくとも、信号を発信する機能を備える。通信部240は、信号を受信する機能を備えてもよい。通信部240は、眼調節機能支援器具100との間の通信に適用される規格に準拠した通信インターフェイスを含む。
【0059】
〈動作〉
実施形態に係る眼調節機能支援システム1の幾つかの動作例を説明する。以下の例では、電子機器200は携帯電子機器とする。
【0060】
〈典型的な動作例〉
(S1:電子機器が使用開始操作を受ける)
まず、ユーザが、電子機器200の使用を開始するための操作を、ユーザインターフェイス221を用いて行う。この操作は、例えば、電源をオンにするための操作又は所定機能をオンするための操作である。
【0061】
(S2:電子機器が制御情報を生成する)
制御情報生成部230は、ステップS1で行われた使用開始操作に応じた制御情報を生成する。この制御情報には、例えば、使用開始操作が行われたことを示す情報、又は、近用屈折力への切り替えを示す情報が含まれる。このような情報をオン操作情報と呼ぶ。
【0062】
(S3:電子機器が制御情報を送信する)
制御部210は、ステップS2で生成された制御情報を通信部240に送る。通信部240は、この制御情報を送信する。
【0063】
(S4:眼調節機能支援器具が制御情報を受信する)
眼調節機能支援器具100の通信部140は、ステップS3で電子機器200から送信された制御情報を受信する。受信された制御情報は制御部110に送られる。
【0064】
(S5:眼調節機能支援器具が近用屈折力に切り替える)
制御部110は、ステップS4で受信された制御情報に含まれるオン操作情報に基づき、屈折力可変素子120の屈折力を所定の近用屈折力に変化させるようにアクチュエータ130を制御する。それにより、ユーザは、携帯電子機器である電子機器200の画面等を容易に視認することができる。
【0065】
(S6:ユーザが電子機器を使用する)
ユーザは、電子機器200を用いて所望の処理や動作を行う。
【0066】
(S7:電子機器が使用終了操作を受ける)
電子機器200の使用が終わると、ユーザは、電子機器200の使用を終了するための操作を、ユーザインターフェイス221を用いて行う。この操作は、例えば、電源をオフにするための操作又は所定機能をオフするための操作である。
【0067】
(S8:電子機器が制御情報を生成する)
制御情報生成部230は、ステップS7で行われた使用終了操作に応じた制御情報を生成する。この制御情報には、例えば、使用終了操作が行われたことを示す情報、又は、遠用屈折力への切り替えを示す情報が含まれる。このような情報をオフ操作情報と呼ぶ。
【0068】
(S9:電子機器が制御情報を送信する)
制御部210は、ステップS8で生成された制御情報を通信部240に送る。通信部240は、この制御情報を送信する。
【0069】
(S10:眼調節機能支援器具が制御情報を受信する)
眼調節機能支援器具100の通信部140は、ステップS9で電子機器200から送信された制御情報を受信する。受信された制御情報は制御部110に送られる。
【0070】
(S11:眼調節機能支援器具が遠用屈折力に切り替える)
制御部110は、ステップS10で受信された制御情報に含まれるオフ操作情報に基づき、屈折力可変素子120の屈折力を所定の遠用屈折力に変化させるようにアクチュエータ130を制御する。それにより、ユーザは、周囲の環境を容易に視認することが可能である。
【0071】
〈他の動作例〉
姿勢検知部2231により電子機器200の姿勢を表すデータが取得された場合、制御情報生成部230は、このデータ又はこれを処理して得られた情報を含む制御情報を生成する。通信部240は、この制御情報を送信する。眼調節機能支援器具100の通信部140は、この制御情報を受信する。制御部110は、この制御情報に含まれる姿勢に関する情報に基づいてアクチュエータ130を制御を行う。例えば、電子機器200の傾きが小さい状態から傾きが大きい状態に遷移した場合、屈折力可変素子120の屈折力を所定の近用屈折力に変更される。逆に、電子機器200の傾きが大きい状態から傾きが小さい状態に遷移した場合、屈折力可変素子120の屈折力が所定の遠用屈折力に変更される。
【0072】
移動速度検知部2232により電子機器200の移動速度を表すデータが取得された場合、制御情報生成部230は、このデータ又はこれを処理して得られた情報を含む制御情報を生成する。通信部240は、この制御情報を送信する。眼調節機能支援器具100の通信部140は、この制御情報を受信する。制御部110は、この制御情報に含まれる移動速度に関する情報に基づいてアクチュエータ130の制御を行う。例えば、電子機器200の移動速度が大きい場合、ユーザが電子機器200の使用を指示したとしても、近用屈折力への切り替えが禁止される。逆に、電子機器200の移動速度が小さい場合、ユーザが電子機器200の使用を指示したことに対応し、近用屈折力への切り替えが実行される。また、電子機器200の移動速度が小さい状態から移動速度が大きい状態に遷移した場合、屈折力可変素子120の屈折力が所定の遠用屈折力に変更される。逆に、電子機器200の移動速度が大きい状態から移動速度が小さい状態に遷移した場合、ユーザが電子機器200の使用を指示したことに対応し、近用屈折力への切り替えが実行される。
【0073】
距離検知部2233によりユーザまでの距離を表すデータが取得された場合、制御情報生成部230は、このデータ又はこれを処理して得られた情報を含む制御情報を生成する。通信部240は、この制御情報を送信する。眼調節機能支援器具100の通信部140は、この制御情報を受信する。制御部110は、この制御情報に含まれる距離に関する情報に基づいてアクチュエータ130の制御を行う。例えば、ユーザまでの距離が大きい場合、屈折力可変素子120の屈折力が所定の遠用屈折力に維持される。逆に、ユーザまでの距離が小さい場合、ユーザが電子機器200の使用を指示したことに対応し、近用屈折力への切り替えが実行される。或いは、ユーザまでの距離が小さい場合には自動で近用屈折力への切り替えが実行される。また、ユーザまでの距離が小さい状態から距離が大きい状態に遷移した場合、ユーザからの指示に対応し、或いは自動で、屈折力可変素子120の屈折力が所定の遠用屈折力に切り替えられる。逆に、ユーザまでの距離が大きい状態から距離が小さい状態に遷移した場合、ユーザからの指示に対応し、或いは自動で、屈折力可変素子120の屈折力が所定の近用屈折力に切り替えられる。
【0074】
撮影部2221と同様のカメラ又は光センサにより検出される光の強度の変化に基づいて電子機器200の使用開始や使用終了を検知する場合、制御情報生成部230は、このデータ又はこれを処理して得られた情報を含む制御情報を生成する。通信部240は、この制御情報を送信する。眼調節機能支援器具100の通信部140は、この制御情報を受信する。制御部110は、この制御情報に含まれる光強度に関する情報に基づいてアクチュエータ130の制御を行う。例えば、光強度が強い場合(所定閾値を超える場合)、ユーザからの指示に対応し、或いは自動で、屈折力可変素子120の屈折力が所定の近用屈折力に切り替えられる。逆に、光強度が弱い場合(所定閾値以下である場合)、ユーザからの指示に対応し、或いは自動で、屈折力可変素子120の屈折力が所定の遠用屈折力に切り替えられる。また、光強度が弱い状態から強い状態に遷移した場合(例えば、テーブルに置かれていた携帯電子機器を持ち上げたとき)、ユーザからの指示に対応し、或いは自動で、屈折力可変素子120の屈折力が所定の近用屈折力に切り替えられる。逆に、光強度が強い状態から弱い状態に遷移した場合(例えば、使用されていた携帯電子機器がテーブルに置かれたとき)、ユーザからの指示に対応し、或いは自動で、屈折力可変素子120の屈折力が所定の遠用屈折力に切り替えられる。
【0075】
制御情報に機器IDが含まれている場合、制御部110は、この機器IDと、自身が予め記憶している機器IDとを照合する。後者の機器IDは、この眼調節機能支援器具100を制御することが許可された電子機器200の識別情報である。制御部110は、双方の機器IDが一致した場合、この制御情報に基づくアクチュエータ130の制御を実行する。他方、双方の機器IDが一致しなかった場合、アクチュエータ130の制御は行われない。
【0076】
〈作用・効果〉
実施形態に係る眼調節機能支援システムの作用及び効果について説明する。
【0077】
実施形態の眼調節機能支援システム(1)は、眼の調節機能を支援するためにユーザに適用される眼調節機能支援器具(100)と、この眼調節機能支援器具(100)を制御するための信号を送信する電子機器(200)とを含む。
【0078】
眼調節機能支援器具(100)は、屈折力可変素子(120)とアクチュエータ(130)と制御部(110)と第1通信部(140)とを含む。屈折力可変素子(120)は、眼の外部又は内部に配置され、少なくとも一部の屈折力が可変に構成されている。アクチュエータ(130)は、この屈折力を変化させるために屈折力可変素子を駆動する。制御部(110)は、アクチュエータを制御する。
【0079】
電子機器(200)は、データ取得部(220)と制御情報生成部(230)と第2通信部(240)とを含む。データ取得部(220)は、電子機器の使用状況に関連するデータを取得する。制御情報生成部(230)は、取得されたデータに基づいて制御情報を生成する。第2通信部(240)は、生成された制御情報を送信する。
【0080】
眼調節機能支援器具(100)の第1通信部(140)は、電子機器(200)の第2通信部(240)から送信された制御情報を受信する。制御部(110)は、受信された制御情報に基づいてアクチュエータ(130)を制御する。
【0081】
このように構成された眼調節機能支援システム(1)によれば、ユーザによる電子機器(200)の使用状況に応じて眼調節機能支援器具(100)の屈折力を変更することができる。例えば、電子機器(200)の使用を開始するための動作や使用を終了するための動作が行われたことに対応して眼調節機能支援器具(100)の焦点を移動することができる。したがって、ユーザが意図する動作に応じて自動かつ迅速に焦点を変化させることができ、調節に掛かる負担を軽減することが可能となる。
【0082】
実施形態において、データ取得部(220)は、電子機器(200)に対する操作入力を行うためのユーザインターフェイス(221)を含んでいてよい。この場合、制御情報生成部(230)は、ユーザインターフェイス(221)を用いて行われた操作入力に基づいて制御情報を生成することができる。
【0083】
例えば、電子機器(200)が携帯電子機器を含む場合において、携帯電子機器の電源又は所定機能をオンするためのオン操作がユーザインターフェイス(221)を用いて行われたとき、制御情報生成部(230)は、このオン操作に対応するオン操作情報を含む制御情報を生成することができる。制御情報にオン操作情報が含まれるとき、制御部(110)は、屈折力可変素子(120)の屈折力を所定の近用屈折力に変化させるようにアクチュエータ(130)の制御を行うことができる。
【0084】
また、携帯電子機器の電源又は所定機能をオフするためのオフ操作がユーザインターフェイス(221)を用いて行われたとき、制御情報生成部(230)は、このオフ操作に対応するオフ操作情報を含む制御情報を生成することができる。制御情報にオフ操作情報が含まれるとき、制御部(110)は、屈折力可変素子(120)の屈折力を近用屈折力から他の屈折力(例えば遠用屈折力)に変化させるようにアクチュエータ(130)の制御を行うことができる。
【0085】
このような構成によれば、電子機器(200)の使用を開始するために電源オン等の操作を行うだけで、眼調節機能支援器具(100)の屈折力が近用屈折力に自動で変化する。逆に、電子機器(200)の使用を終了するために電源オフ等の操作を行うだけで、眼調節機能支援器具(100)の屈折力が近用屈折力から遠用屈折力等に自動で変化する。それにより、調節に掛かる負担が軽減される。
【0086】
実施形態において、データ取得部(220)は、電子機器(200)の状態を表すデータを検知する検知部(223)を含んでいてよい。この場合、制御情報生成部(230)は、検知部(223)により検知されたデータに基づいて制御情報を生成する。
【0087】
ここで、検知部(223)は、電子機器(200)の姿勢を検知する姿勢検知部(2231)、電子機器(200)の移動速度を検知する速度検知部(2232)、及び、ユーザの顔、眼又は眼調節機能支援器具(100)までの距離を検知する距離検知部(2233)のうちのいずれか1つ以上を含んでいてよい。
【0088】
このような構成によれば、電子機器(200)の状態を自動で検知し、検知された状態に応じて眼調節機能支援器具(100)の屈折力を制御することが可能である。それにより、調節に掛かる負担が軽減される。
【0089】
電子機器(200)の姿勢を考慮する構成によれば、電子機器(200)をテーブルから取り上げたりテーブルに置いたり、バッグの中から取り出したりバッグの中にしまったりといった動作に対応して屈折力を制御することができる。
【0090】
移動速度を考慮する構成によれば、自動車や自転車等により高速で移動しているときに電子機器(200)の使用を禁止するなどの制御を行うことが可能である。なお、自動車の助手席や後部座席に座っている場合や、電車で移動している場合に(つまり、車両の運転を行っていない場合に)、電子機器(200)の使用禁止状態を(例えば手動操作により)解除する機能を設けることが可能である。
【0091】
距離を考慮する構成によれば、電子機器(200)を使用するためにそれに近づいたり、使用の終了後にそれから離れたりしたことに対応して屈折力を制御することができる。
【0092】
実施形態において、データ取得部(220)は、撮影部(2221)と、この撮影部(2221)により得られた画像を解析してユーザの視線方向又は顔の向きを特定する解析部(2222)とを含んでいてよい。制御情報生成部(230)は、解析部(2222)により特定された視線方向又は顔の向きに基づいて制御情報を生成することができる。
【0093】
このような構成によれば、ユーザの状態に応じて眼調節機能支援器具(100)の屈折力を制御することが可能である。例えば、電子機器(200)を使用するためにユーザが視線や顔をそれに向けたときや、使用の終了後に電子機器(200)から視線等を外したことに対応して屈折力を制御することができる。それにより、調節に掛かる負担が軽減される。
【0094】
実施形態において、制御情報生成部(230)は、電子機器(200)に割り当てられた識別情報(機器ID)を含む制御情報を生成することができる。制御部(110)は、電子機器(220)から送られた制御情報に含まれる識別情報に基づいてアクチュエータ(130)の制御を行うことができる。
【0095】
このような構成によれば、電子機器(200)の種別に応じて屈折力の制御の内容を切り替えることができる。また、通信可能な範囲内に当該システムのユーザが複数居る場合であっても、ユーザ毎に制御を行うことができる。例えば、電車内や家庭内や会社内に複数のユーザが居る場合であっても、眼調節機能支援器具と電子機器との組み合わせを混同することを防止でき、誤動作等を回避することが可能である。
【0096】
〈眼調節機能支援装置の実施形態〉
上記実施形態の電子機器200は、眼調節機能支援器具100を制御するための眼調節機能支援装置として用いられる。眼調節機能支援器具100は、眼の外部又は内部に配置され少なくとも一部の屈折力が可変に構成された屈折力可変素子120を含む。
【0097】
眼調節機能支援装置としての電子機器200は、データ処理部220と制御情報生成部230と通信部240とを備える。データ取得部220は、電子機器200の使用状況に関連するデータを取得する。制御情報生成部230は、取得されたデータに基づいて制御情報を生成する。通信部は、屈折力可変素子120の屈折力を変化させるために、眼調節機能支援器具100に向けて制御情報を送信する。
【0098】
このように構成された電子機器200(眼調節機能支援装置)によれば、ユーザによる電子機器200の使用状況に応じて眼調節機能支援器具100の屈折力を変更するための制御を行うことができる。したがって、ユーザが意図する動作に応じて自動かつ迅速に焦点を変化させることができ、調節に掛かる負担を軽減することが可能となる。
【0099】
〈眼調節機能支援方法の実施形態〉
上記実施形態の眼調節機能支援システム1によれば、次のような眼調節機能支援方法を実現することが可能である。実施形態の眼調節機能支援方法は、眼の外部又は内部に配置され少なくとも一部の屈折力が可変に構成された屈折力可変素子(120)を含む眼調節機能支援器具(100)を用いて眼の調節機能を支援する方法である。
【0100】
まず、電子機器200が、その使用状況に関連するデータを取得する。図3のステップS1及びS7は、このステップの典型例である。
【0101】
次に、電子機器200が、取得されたデータに基づいて制御情報を生成する。図3のステップS2及びS8は、このステップの典型例である。
【0102】
次に、電子機器200が、生成された制御情報を送信する。図3のステップS3及びS9は、このステップの典型例である。
【0103】
続いて、眼調節機能支援器具100が、電子機器200から送信された制御情報を受信する。図3のステップS4及びS10は、このステップの典型例である。
【0104】
最後に、眼調節機能支援器具100が、受信された制御情報に基づいて屈折力可変素子の屈折力を変化させる。図3のステップS5及びS11は、このステップの典型例である。
【0105】
このような眼調節機能支援方法によれば、ユーザによる電子機器200の使用状況に応じて眼調節機能支援器具100の屈折力を変更するための制御を行うことができる。したがって、ユーザが意図する動作に応じて自動かつ迅速に焦点を変化させることができ、調節に掛かる負担を軽減することが可能となる。
【0106】
〈眼調節機能支援方法の実施形態〉
上記実施形態の眼調節機能支援システム1や眼調節機能支援装置(電子機器200)によれば、次のような眼調節機能支援器具(100)の制御方法を実現することが可能である。実施形態に係る制御方法は、眼の外部又は内部に配置され少なくとも一部の屈折力が可変に構成された屈折力可変素子(120)を含む眼調節機能支援器具(100)を制御する方法である。
【0107】
まず、電子機器200が、その使用状況に関連するデータを取得する。図3のステップS1及びS7は、このステップの典型例である。
【0108】
次に、電子機器200が、取得されたデータに基づいて制御情報を生成する。図3のステップS2及びS8は、このステップの典型例である。
【0109】
最後に、電子機器200が、屈折力可変素子120の屈折力を変化させるために、眼調節機能支援器具100に向けて制御情報を送信する。図3のステップS3及びS9は、このステップの典型例である。
【0110】
このような眼調節機能支援器具の制御方法によれば、ユーザによる電子機器200の使用状況に応じて眼調節機能支援器具100の屈折力を変更するための制御を行うことができる。したがって、ユーザが意図する動作に応じて自動かつ迅速に焦点を変化させることができ、調節に掛かる負担を軽減することが可能となる。
【0111】
以上に説明した実施形態は本発明の例示に過ぎない。本発明を実施しようとする者は、本発明の要旨の範囲内における変形(省略、置換、付加等)を任意に施すことが可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 眼調節機能支援システム
100 眼調節機能支援器具
110 制御部
120 屈折力可変素子
130 アクチュエータ
140 通信部
200 電子機器
210 制御部
220 データ取得部
230 制御情報生成部
240 通信部

図1
図2
図3