特許第6757844号(P6757844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイコ・エレクトロニクス・コーポレイションの特許一覧 ▶ タイコエレクトロニクスジャパン合同会社の特許一覧

<>
  • 特許6757844-バッテリシステム用コネクタアセンブリ 図000002
  • 特許6757844-バッテリシステム用コネクタアセンブリ 図000003
  • 特許6757844-バッテリシステム用コネクタアセンブリ 図000004
  • 特許6757844-バッテリシステム用コネクタアセンブリ 図000005
  • 特許6757844-バッテリシステム用コネクタアセンブリ 図000006
  • 特許6757844-バッテリシステム用コネクタアセンブリ 図000007
  • 特許6757844-バッテリシステム用コネクタアセンブリ 図000008
  • 特許6757844-バッテリシステム用コネクタアセンブリ 図000009
  • 特許6757844-バッテリシステム用コネクタアセンブリ 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757844
(24)【登録日】2020年9月2日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】バッテリシステム用コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20200910BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20200910BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
   H01M10/48 P
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-500533(P2019-500533)
(86)(22)【出願日】2017年7月7日
(65)【公表番号】特表2019-520686(P2019-520686A)
(43)【公表日】2019年7月18日
(86)【国際出願番号】IB2017054126
(87)【国際公開番号】WO2018011690
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2019年2月6日
(31)【優先権主張番号】15/208,828
(32)【優先日】2016年7月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ウェイピン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ハイフォン
【審査官】 高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−115544(JP,A)
【文献】 特開2011−210710(JP,A)
【文献】 特開2013−054940(JP,A)
【文献】 特開2014−154280(JP,A)
【文献】 特開2014−220171(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/019822(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/20−2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリモジュール(102)に備えられ、セル積重ね方向(109)に積重ね構成に並んで配置された複数の電圧監視バッテリセル(108)のためのコネクタアセンブリ(114)であって、
前記バッテリモジュールに関連付けられた制御モジュールコネクタ(106)と嵌合するように構成されている、複数の端子を有するコネクタ(116)と、
数のフラットワイヤ(140)、および前記複数のフラットワイヤのための共通被覆(160)を有し、ケーブル軸(164)に沿ってコネクタ端部(150)とセンサ端部(152)との間で延びるマルチワイヤ平面ケーブル(118)とを備え、

前記複数のフラットワイヤのそれぞれは、前記ケーブル軸に沿って前記コネクタから延び、前記コネクタ端部において前記コネクタの対応する端子に終端されており、
前記バッテリモジュールの隣接する前記電圧監視バッテリセルを電気的に接続するバスバー(130)に備えられた異なる電圧センサ(136)に終端するための露出終端部(162)を、前記マルチワイヤ平面ケーブルの前記センサ端部(152)に有し、
前記マルチワイヤ平面ケーブルの前記センサ端部に、前記複数のフラットワイヤのそれぞれの長さが異なるように段が付けられることにより、前記露出終端部は、前記ケーブル軸に沿ってずれ配置され、前記露出終端部が前記電圧監視バッテリセルの前記セル積重ね方向(109)に平行な終端軸(228)に沿って位置合わせされている状態で、前記ケーブル軸が前記セル積重ね方向に非平行であるように、前記マルチワイヤ平面ケーブルは前記セル積重ね方向に対して傾斜している、コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記フラットワイヤ(140)は、前記コネクタ(116)から前記露出終端部(162)までの長さが互いに異なる、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(114)。
【請求項3】
前記フラットワイヤ(140)は対応する前記露出終端部(162)で終端している、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(114)。
【請求項4】
前記露出終端部(162)は他の前記フラットワイヤ(140)から分離され、前記他のフラットワイヤに対して独立して可動である、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(114)。
【請求項5】
前記マルチワイヤ平面ケーブル(118)の前記ケーブル軸(164)は、前記バスバー(130)に対して傾斜している、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(114)。
【請求項6】
前記セル積重ね方向(109)に対する前記マルチワイヤ平面ケーブル(118)の角度は、前記露出終端部(162)の幅(224)および前記露出終端部間のピッチ(222)により画定されている、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(114)。
【請求項7】
前記露出終端部(162)は、前記露出終端部が他の前記フラットワイヤ(140)に対して動くことができるようにするストレインリリーフ部(230)を備えている、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(114)。
【請求項8】
前記マルチワイヤ平面ケーブル(118)は、前記フラットワイヤ(140)に関連付けられた細ケーブル(166)を備え、前記細ケーブルは、対応する前記露出終端部(162)、および前記フラットワイヤを囲む絶縁スリーブ(180)を備え、前記絶縁スリーブは前記マルチワイヤ平面ケーブルの前記共通被覆(160)の一部であり、前記細ケーブルは他の前記フラットワイヤに対して独立して可動である、請求項1に記載のコネクタアセンブリ(114)。
【請求項9】
前記細ケーブル(166)は、分離点(232)で前記マルチワイヤ平面ケーブル(1
18)から分離され、前記分離点は、前記対応する露出終端部(162)を終端させる前記バスバー(130)に位置合わせされている、請求項に記載のコネクタアセンブリ(114)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は、一般に、バッテリコネクタシステム関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両またはハイブリッド車両用などのバッテリモジュールは、通常、まとめられてバッテリモジュールを形成する複数のセルを備える。バッテリモジュール同士を接続してバッテリパックを形成する。セルの各々が正極セル端子および負極セル端子を備え、これらの端子同士が電気的に接続される。正極セル端子および負極セル端子はバスバーを用いて接続される。一部のシステムは、電圧、温度などのバッテリセルの局面を監視するように設計される。そのようなシステムは、監視回路に接続されたセンサを提供する。通常、ラウンドワイヤが、センサと監視回路とを相互接続するワイヤハーネスの一部としてセンサに接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ラウンドワイヤをセルまたはバスバーの各々と監視ユニットとの間に設けると、特にワイヤを積み重ねてシステムに経路決めする場合にバッテリモジュールのかさが大きくなる。ワイヤハーネスはワイヤに損傷を与えるおそれがある。
一部のシステムは、フレキシブルプリント回路を使用して、バスバーに接続されたワイヤの厚さを低減させる。しかしながらフレキシブルプリント回路は高価であり、回路の再設計または再経路決めが高価になり得る。
フラットワイヤをバッテリ監視システムの部品に終端させるための低コストのフレキシブルフラットケーブルを使用するバッテリモジュールが、依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この解決策は、本明細書に開示されるコネクタアセンブリによって提供される。コネクタアセンブリは、バッテリモジュールの隣接するバッテリセルを電気的に接続するバスバーの電圧監視を提供するものであり、バッテリモジュールに関連付けられた制御モジュールコネクタと嵌合するように構成されている、複数の端子を有するコネクタと、ケーブル軸に沿ってコネクタから延びるマルチワイヤ平面ケーブルとを備えている。マルチワイヤ平面ケーブルは、対応する端子に終端されている複数のフラットワイヤ、および複数のフラットワイヤのための共通被覆を有する。フラットワイヤは、対応するバスバーに関連付けられた異なる電圧センサに終端するための露出終端部を、マルチワイヤ平面ケーブルのセンサ端部に有する。露出終端部は、ケーブル軸に沿ってずれ配置されている。
マルチワイヤ平面ケーブルは傾斜して、露出終端部がバッテリセルのセル積重ね方向に概ね平行な終端軸に沿って位置合わせされている状態で、ケーブル軸がセル積重ね方向に非平行であるようになっている。
以下で、添付図面を参照しながら、例により本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】例示的な実施形態により形成されたバッテリシステムの概略図である。
図2】バッテリシステムのバッテリモジュールの上面斜視図である。
図3】例示的な実施形態により形成されたバッテリモジュールのバッテリセルの上面斜視図である。
図4】例示的な実施形態により形成されたバッテリモジュールのバスバーの上面斜視図である。
図5】例示的な実施形態によるマルチワイヤ平面ケーブルの上面図である。
図6】マルチワイヤ平面ケーブルの断面図である。
図7】バッテリシステムのコネクタアセンブリの一部の斜視図である。
図8】複数のコネクタアセンブリを備えるバッテリシステムのバッテリモジュールに取り付けられたキャリアアセンブリの正面斜視図である。
図9】例示的な実施形態によるキャリアアセンブリの一部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、例示的な実施形態により形成されたバッテリシステム100の上面斜視図である。バッテリシステム100は、1つまたは複数のバッテリモジュール102を備え、対応するキャリアアセンブリ110がバッテリモジュール102に取り付けられている。バッテリモジュール102をバッテリパックとして重ね合わせて、電気車両またはハイブリッド電気車両などの車両のバッテリシステムのようなバッテリシステム100の一部として使用することができる。バッテリシステム100を、代替実施形態において他の用途で使用してもよい。バッテリモジュール102はハウジング内に収容されていてもよい。
【0007】
バッテリシステム100はバッテリ制御モジュール104を備え、このバッテリ制御モジュール104をバッテリモジュール102の近くに取り付けることができる。バッテリ制御モジュール104は、バッテリモジュール102の動作を制御する。バッテリ制御モジュール104は、車両システムコントローラを備えるか、または車両システムコントローラと通信して、バッテリモジュール102がバッテリモジュール102の現在の状態について設定されたパラメータ内で動作していることを検証することができる。バッテリ制御モジュール104は、バッテリモジュール102のセルの電圧を監視することができる。バッテリ制御モジュール104は、バッテリモジュール102の温度を監視することができる。
バッテリ制御モジュール104は、故障コードを車両に提供することができる。バッテリ制御モジュール104を、バッテリモジュール102の上に取り付けても、他の場所に、例えばバッテリモジュール102の側面に沿って、またはバッテリモジュール102から離れたところに設けてもよい。
【0008】
バッテリシステム100は、バッテリ制御モジュール104、例えばバッテリ制御モジュール104の対応する制御モジュールコネクタ106に結合された1つまたは複数のコネクタアセンブリ114を備える。コネクタアセンブリ114は、バッテリモジュール102内の電圧センサ、温度センサなどに電気的に結合され、バッテリ制御モジュール104に引き回される。
【0009】
図2は、バッテリモジュール102の群の上面斜視図である。バッテリモジュール102は、プリズムバッテリセルなどの複数のバッテリセル108を備える。バッテリセル108は、積重ね構成に並んで配置されて、バッテリモジュール102を形成する。バッテリセル108は、セル積重ね方向109に積み重ねられる。場合により、バッテリモジュール102は、バッテリセル108を保持するケースまたはその他のハウジングを備えていてもよい。バッテリカバーをバッテリセル108の上に設けてもよい。バッテリカバーはバッテリセル108の各々を覆う。
【0010】
各バッテリモジュール102は、正極バッテリ端子と負極バッテリ端子とを備える。バッテリ端子は、外部電力ケーブルに結合するように構成され、あるいは別のバッテリモジュール102のバッテリ端子にバス接続することができる。場合により、速結型コネクタを使用してバッテリ端子を接続してもよい。
【0011】
キャリアアセンブリ110はバッテリモジュール102上に設けられる。キャリアアセンブリ110は1つまたは複数のコネクタアセンブリ114を保持する。キャリアアセンブリ110は、複数のバスバー130(図4に示す)を保持する1つまたは複数のトレイ112を備える。バスバー130は、バスバー130に関連付けられた電圧センサを有する。コネクタアセンブリ114は、バスバー130およびバッテリセル108の電圧を監視するための対応する電圧センサに電気的に接続される。
【0012】
コネクタアセンブリ114は、コネクタ116と、コネクタ116に保持された対応する端子に終端されているマルチワイヤ平面ケーブル118とを備える。コネクタ116は、バッテリ制御モジュール104(図1に示す)の対応する制御モジュールコネクタ106(図1に示す)に嵌合するように構成されている。コネクタアセンブリ114は、バスバー130に電気的に接続されて、関連付けられたバッテリセル108間におけるバスバー130を横切る電圧を測定することにより、バッテリモジュール102の対応するバッテリセル108の電圧を監視する。例えば、ケーブル118の複数のフラットワイヤを、対応するバスバー130に電気的に接続することができる。ケーブル118はフラットフレキシブルケーブルであってよい。
【0013】
図3は、例示的な実施形態により形成されたバッテリセル108の1つの上面斜視図である。バッテリセル108は、上壁122および側壁124を有するセルハウジング120を備える。図示した実施形態において、セルハウジング120は4つの側壁124を有する箱形である。
【0014】
バッテリセル108は、正極セル端子126と負極セル端子128とを備える。図示した実施形態において、端子126、128はフラットパッドを備え、このフラットパッドの上面は、対応するバスバー130(図4に示す)に電気接続する接続インタフェースを画定する。
【0015】
図4は、例示的な実施形態により形成されたバスバー130の1つの上面斜視図である。バスバー130を使用して、隣接するバッテリセル108(図2に示す)のセル端子126または128(図3に示す)を電気的に接続する。
【0016】
バスバー130は正極板132と負極板134とを備える。正極板132は、1つのバッテリセル108の対応する正極セル端子126に終端するように構成され、負極板134は、隣接するバッテリセル108の対応する負極セル端子128に終端するように構成される。場合により、正極板132と負極板134とは、異なる金属、例えばアルミニウムと銅から成っていてもよい。
【0017】
バスバー130は、バスバー130に関連付けられた電圧センサ136を備える。例えば、電圧センサ136は、電圧監視のためにコネクタアセンブリ114に電気的に接続されるバスバー130の一体部分であってもよい。他の様々な実施形態において、電圧センサは、バスバー130に接続される別個の部品またはコネクタであってもよい。図示した実施形態において、電圧センサ136は、板の一方、例えば負極板134の表面により画定される。様々な他の実施形態において、電圧センサ136は、板の一方から、例えばバスバー130の縁部または側部から延びるタブまたは突起であってもよい。場合により、そのようなタブまたは突起をバスバー130と共に打ち抜いて形成してもよい。
代替実施形態において、電圧センサ136は、例えば、バスバー130にはんだ付け、溶接、締結、またはその他の方法で固定されることによりバスバー130に結合された別個の部品であってもよい。例示的な実施形態において、電圧センサ136は溶接タブを構成し、この溶接タブは、溶接タブに溶接されるコネクタアセンブリ114(図1に示す)のフラットワイヤ140を受けるように構成される。溶接は、正確で確実な感知のために、フラットワイヤ140との確実な接続をもたらす。代替実施形態において、圧着バレル、絶縁変位コンタクト、ばねコンタクト、ピン、ソケット、ポークインワイヤ接続など、コネクタアセンブリ114の対応する部品に接続するために、溶接タブ以外の他のタイプのコンタクトを設けてもよい。
他の代替実施形態において、フラットワイヤ140を、圧着、溶接、はんだ付け、導電性接着剤の使用などにより、バスバー130に固着してもよい。
【0018】
様々な実施形態において、バスバー130は、フラットワイヤ140をバスバー130に固定して、例えばフラットワイヤ140と電圧センサ136との接続点で歪みを低減させるストレインリリーフタブ138を備えることができる。例えば、ストレインリリーフタブ138は、フラットワイヤ140とバスバー130との溶接点で歪みを低減させることができる。図示した実施形態において、ストレインリリーフタブ138は、電圧センサ136の近くでフラットワイヤ140の絶縁体を挟むように折り曲げて構成されたタブである。代替実施形態において、他のタイプのストレインリリーフタブを設けてもよい。
【0019】
図5は、例示的な実施形態によるマルチワイヤ平面ケーブル118の上面図である。図6はケーブル118の断面図である。ケーブル118は、コネクタ端部150とセンサ端部152との間で延びる。フラットワイヤ140は、コネクタ端部150において、コネクタ116(図2に示す)の対応する端子に終端するように構成される。フラットワイヤ140は、センサ端部152において、対応する電圧センサ136(図4に示す)に終端するように構成される。
【0020】
ケーブル118は、複数のフラットワイヤ140と、複数のフラットワイヤ140のための共通被覆160とを有する。フラットワイヤ140は、矩形断面を有する金属導体である。ケーブル118は平坦または平面である。ケーブル118はフレキシブルである。ケーブル118は、並んで積重ね配置されたフラットワイヤ140を有する。フラットワイヤ140の各々は、共通被覆160によりユニットとして共に接続される。例示的な実施形態において、ケーブル118のセンサ端部152には段が付けられ、フラットワイヤ140の各々が異なる長さを有するようになっている。例えば、フラットワイヤ140は、ケーブル118の外側から徐々に短くまたは徐々に長くなっている。フラットワイヤ140は、センサ端部152に終端部162を有する。
例示的な実施形態において、終端部162はセンサ端部152で露出して、例えばバスバー130に溶接することによりバスバー130に終端する。例えば、フラットワイヤ140の端部を囲む被覆材料の一部を除去して、フラットワイヤ140を露出させる。終端部162は、ケーブル118のケーブル軸164に沿ってずれ配置(staggered)される。例えば、終端部162のずれ配置は、段付センサ端部152を画定する。例示的な実施形態において、終端部162はフラットワイヤ140の遠位端に設けられ、この遠位端は、コネクタ端部150およびコネクタ116から異なる距離に設けられる。
【0021】
場合により、フラットワイヤ140を、コネクタ端部150および/またはセンサ端部152において、ある長さだけ互いに分離させることができる。例えば、各終端部162を、他のフラットワイヤ140および主被覆160から分離させることができる。そのような分離部により、フラットワイヤ140を、例えば端子に終端またはバスバー130に終端するために、他のフラットワイヤ140に対して独立して可動にすることができる。例えば、分離部を引き裂くか、または切断して、フラットワイヤ140の一部を分離することができる。分離部をケーブル118の細ケーブル166と称することができる。フラットワイヤ140の一部を細ケーブル166の下流で除去して、ケーブル118のずれ配置されたセンサ端部152を画定することができる。このようにして、細ケーブル166をケーブル軸164に沿ってずれ配置することができる。各細ケーブル166は、フラットワイヤ140の1つ、および被覆160の材料の対応する部分を有する。
細ケーブル166は、互いに対して独立して可動である。細ケーブル166は各々、フラットワイヤ140の対応する露出部を終端部162に備え、フラットワイヤ140の周りの絶縁スリーブを画定する被覆部分の少なくとも一部を備えることができる。
【0022】
例示的な実施形態において、ケーブル118は被覆160に溝168を備える。細ケーブル166を溝168で分離することができる。溝168を、隣接するフラットワイヤ140間の中央に設けることができる。溝168はV字形であって、溝168のところで、例えば溝168の間の二等分線に沿って分離を生じさせるようになっていてもよい。溝168は、フラットワイヤ140間の境界線を画定し、溝168に沿って分離を生じさせる。溝がないと、引裂きまたは切断が1つのフラットワイヤ140から離れて別のフラットワイヤ140に向かって行われ、一部のフラットワイヤ140がより多くの被覆材料を有し、他のフラットワイヤ140がより少ない被覆材料を有することになるおそれがある。分離が制御されていないと、フラットワイヤ140の一部が引裂きまたは切断によって露出されるおそれがある。他の様々な実施形態において、フラットワイヤ140間に溝168を画定することなく、ケーブル118を設けてもよい。
そのような実施形態において、細ケーブル166を、刃物、レーザカッタ、またはその他のタイプのデバイスなどにより、機械的に分離することができる。
【0023】
被覆160は絶縁性で、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、ゴムなどの誘電材料から形成される。被覆160は、上面170と、上面170とは反対の下面172とを有する。上面170および下面172は概ね平面である。ケーブル118のケーブル面174(図6)は、上面170および下面172の間に画定される。被覆160は、上面170および下面172の間の厚さを有する。厚さは、ケーブル118の長さおよび幅と比べて比較的小さい。厚さを溝168で小さくしてもよい。例えば、厚さを溝168で約10%、約30%、約50%以上小さくしてもよい。場合により、溝168を上面170および下面172の両方に設けてもよい。しかしながら、代替実施形態において、溝168を上面170または下面172のみに設けてもよい。例示的な実施形態において、溝168をケーブル118の横断方向で互いに位置合わせすることができる。
【0024】
例示的な実施形態において、細ケーブル166はフラットワイヤ140を囲む被覆部180を有し、この被覆部180は絶縁スリーブを画定し、以下で絶縁スリーブ180と称する場合がある。絶縁スリーブ180は、被覆部180が被覆160から裂けている場所である分離点まで被覆160に沿ってフラットワイヤ140の長さだけ延びる。フラットワイヤ140の終端部162は、フラットワイヤ140の遠位端で絶縁スリーブ180を越えて露出し、電圧センサ136に終端する。あるいは、絶縁スリーブ180を越えて終端部162を露出させるのではなく、終端部162を、例えば上面170および/または下面172から絶縁スリーブ180を通して露出させてもよい。例えば、被覆部180の一部を除去して、フラットワイヤ140を露出させる窓を画定してもよい。
フラットワイヤ140の露出部を、端子または電圧センサ136に電気的に接続してもよい。他の様々な実施形態において、電圧センサ136が被覆160を穿孔することにより、フラットワイヤ140を電圧センサ136に電気的に接続してもよい。例えば、電圧センサ136を穿孔クリンプにより終端させてもよい。
【0025】
フラットワイヤ140は、上平坦面190、下平坦面192、ならびに平坦面190、192間で対向する第1の縁部194および第2の縁部196を有する。例示的な実施形態において、絶縁スリーブ180は面190、192および縁部194、196を囲んで、フラットワイヤ140のいずれの部分も確実に露出されないようにする。このような部分が露出されると、短絡またはアーク放電につながるおそれがある。
【0026】
図7は、コネクタアセンブリ114の一部の斜視図である。コネクタアセンブリ114は、マルチワイヤ平面ケーブル118のコネクタ端部150に設けられたコネクタ116を備える。ケーブル118は複数のフラットワイヤ140を備え、これらのフラットワイヤ140は、対応する電圧センサ136(図4に示す)およびコネクタ116の対応する端子に接続される。
【0027】
コネクタ116は、端子(図示せず)を保持するハウジング144を備える。ハウジング144は、前部146と後部148との間で延びる。前部146は、制御モジュールコネクタ106(図1に示す)に嵌合するように構成されたコネクタ116の嵌合端部を画定する。
【0028】
図8は、バッテリモジュール102に取り付けられたキャリアアセンブリ110および複数のコネクタアセンブリ114の正面斜視図である。図9は、キャリアアセンブリ110の一部の拡大斜視図である。キャリアアセンブリ110は、バスバー130を保持するトレイ112を備える。トレイ112は上部200および下部202を備える。下部202は、バッテリモジュール102に取り付けるように構成される。トレイ112は、前部204、後部206、およびそれらの間の側部208を備える。カバーを上部200でトレイ112に結合して、ケーブル118を覆うことができる。
【0029】
トレイ112は、対応するバスバー130を受けるポケット210を備える。場合により、ポケット210を、概ね前部204および後部206に沿って位置決めしてもよい。トレイ112は、様々なポケット210間で延びるチャネル212を備える。ケーブル118をチャネル212内で経路決めして、対応するバスバー130にインタフェース接続することができる。
【0030】
例示的な実施形態において、ケーブル118のセンサ端部152に段を付けて、終端部162をずれ配置してもよい。終端部162を被覆160から分離してバスバー130に終端させてもよい。終端部162を、長さに切り、分離し、かつ、または剥がしてから、トレイ112に位置決めしてバスバー130に終端させることができる。フラットワイヤ140は異なる長さを有し、終端部162がずれ配置されて異なるバスバー130まで延び、異なる電圧センサ136に終端するようになっている。場合により、ケーブル118を反対方向のような複数の方向に分岐させて、コネクタ116をバッテリモジュール102に対して略中央に設けてもよい。これは、コネクタ116をバッテリモジュール102の端部に設ける場合とは対照的である。
場合により、ケーブル118をトレイ112内でコネクタ116に経路決めするときに、複数のケーブル118を互いに積み重ねるかまたは交差させてもよい。ケーブル118を折り曲げて、ケーブル118の経路方向を変化させてもよい。場合により、ケーブル118の一部のフラットワイヤ140を、電圧センサ以外のセンサ、例えば温度センサへ経路決めしてもよい。
【0031】
例示的な実施形態において、ケーブル118は、セル積重ね方向109に対して位置合わせ角度220でトレイ112に配置される。ケーブル118は傾斜して、ケーブル軸164がセル積重ね方向109に非平行であるようになっている。傾斜したケーブル軸164により、終端部162の各々が、対応するバスバー130に確実結合するように構成される。例えば、センサ端部152に段が付けられ、終端部162がケーブル118の長さに沿って(例えば、ケーブル軸164に沿って)ずれ配置され、かつケーブル118の横断方向に(例えば、並んで)ずれ配置されるため、ケーブル118は傾斜して、終端部162を対応するバスバー130に連続して位置合わせする。バスバー130は、積み重なったバッテリセル108に沿ってセル積重ね方向109に積み重ねられる。各終端部162は、コネクタ116からバスバー130に向かって傾斜して、電圧センサ136に位置合わせされる。
例えば、(トレイ112の中央に対して)最内フラットワイヤ140は、コネクタ116から対応するバスバー130(例えば、コネクタ116から最も遠い、最端バスバー130)へ傾斜している。最内フラットワイヤ140のすぐ内側のフラットワイヤ140は、コネクタ116から対応するバスバー130(例えば、端から2番目のバスバー)に傾斜し、フラットワイヤ140およびバスバー130はそのように繰り返される。ケーブル118のフラットワイヤ140は、バスバー130に対して傾斜している(例えば、バスバー130の縁部に対して傾斜している)。
【0032】
位置合わせ角度220は、セル積重ね方向109に対して任意の非平行角度であってよい。位置合わせ角度220を、終端部162間のピッチ222(例えば、終端部162の溶接点間の距離)、あるいは、最長フラットワイヤ140の長さ(例えば、コネクタ116から最長フラットワイヤ140の溶接点までの距離)に基づいて決定することができる。位置合わせ角度220を、各細ケーブル166の幅224、あるいはケーブル118の幅である細ケーブル166の累積幅に基づいて決定してもよい。
【0033】
例示的な実施形態において、終端部162の各々は、ケーブル軸164に非平行な終端軸228に沿って位置合わせされる。終端軸228は、セル積重ね方向109に概ね平行であってもよい。終端軸228を、バスバー130上で電圧センサ136に位置合わせしてもよい。
【0034】
例示的な実施形態において、バスバー130は互いに同一で、バッテリセル108に対して同じ位置(例えば、トレイ112の前部204から同じ距離、および/またはバッテリセル108の外縁部から同じ距離)に位置決めされる。コネクタ116は、トレイ112の中央寄りなどバスバー130の概ね横断方向内側に位置決めされる。このようにして、最内フラットワイヤ140は、バスバー130の最も近くに位置決めされた最外フラットワイヤ140より横断方向内側に位置決めされる。終端部162の各々を対応するバスバー130の同じ位置で終端させるために、ケーブル118は位置合わせ角度220で傾斜している。終端部162の各々を対応するバスバー130の同じ位置で終端させることにより、製造および組立が容易になる。
例えば、露出終端部162を電圧センサ136にレーザ溶接するのに使用するレーザ溶接工具を、終端部162に対して容易に位置決めすることができる。例えば、レーザ溶接工具は、終端軸228に沿って直線方向に動くだけでよく、横断方向にずれて終端部162に位置合わせする必要はない。電圧センサ136をすべて同じ位置に位置決めすることができ、横断方向にずらしてずれ配置された終端部162に合わせる(これは、ケーブル118がセル積重ね方向109に平行な場合に当てはまる)必要はないため、バスバー130はすべて同一とすることができる。
【0035】
例示的な実施形態において、コネクタアセンブリ114は、トレイ112の前部204および後部206の両方に沿って設けられる。第1のコネクタアセンブリ114および第2のコネクタアセンブリ114は、バッテリモジュール102の同じ側にコネクタ116を有し、ケーブル118がバッテリモジュール102の反対側に向かって延びている。第1のケーブル118は前部204でバスバー130に終端し、第2のケーブル118は後部206でバスバー130に終端する。ケーブル118は互いに離れるように傾斜している。例えば、前部204寄りのケーブル118は前部204側に傾斜し、後部206側のケーブル118は後部206側に傾斜している。ケーブル118の遠位端は、ケーブル118のコネクタ端部150よりもさらに離れている。
【0036】
例示的な実施形態において、ケーブル118はストレインリリーフ部230を備える。ストレインリリーフ部230は、終端部162近くに設けられて、バスバー130において、例えば終端部162とバスバー130との溶接点において歪みを緩和する。場合により、各細ケーブル166は、ストレインリリーフ部230の1つを備える。ストレインリリーフ部230を対応するバスバー130に位置合わせすることができ、例えば、バスバー130に対する終端部162の終端点に近接して位置合わせすることができる。ストレインリリーフ部230を、終端部162または細ケーブル166の、ひだを寄せてたるみをもたせた部分により画定することができる。ストレインリリーフ部230により、終端部162がケーブル118の他の部分に対して動くことができる。例えば、バッテリセル108および/またはバスバー130が膨張/収縮および/または振動を受けると、終端部162のたるみにより溶接点の応力を緩和する。ストレインリリーフ部230は、ケーブル118からの分離点232の下流に設けられる。
場合により、分離点232は、バスバー130に対する終端部162の終端点の近くであってもよい。例えば、分離点232をバスバー130に位置合わせしてもよい。場合により、ストレインリリーフ部230をストレインリリーフタブ138(図4に示す)と分離点232との間に設けてもよい。
【0037】
上記説明は例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。例えば、上記実施形態(および/またはその態様)を互いに組み合わせて使用してもよい。加えて、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適応させるための多くの修正を行うことができる。本明細書に記載された寸法、材料の種類、様々な部品の向き、様々な部品の数および位置は、ある実施形態のパラメータを定義するものであり、決して限定的なものではなく、例示的な実施形態にすぎない。上記の説明を検討すれば、特許請求の範囲の趣旨および範囲内の多くの他の実施形態および修正が当業者に明らかになろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによって、この特許請求の範囲によって権利が与えられる等価物の全範囲と併せて、決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9