【実施例1】
【0008】
<1>全体構成
図1は、本発明に係る体積測定システムの第1実施例を示す概略構成図である。
本発明に係る体積測定システムは、被搬送物Bを搬送するベルトコンベアAに設置するシステムである。
本実施例に係る体積測定システムは、ラインレーザ10と、複数のデジタルカメラ(一方のデジタルカメラ20a、他方のデジタルカメラ20b)と、移動量センサ30と、解析装置40と、を少なくとも備えて構成する。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0009】
<2>被搬送物
被搬送物Bは、土、砂、砂利、骨材、礫、岩などの土木工事で取り扱うもの全般を想定する。本実施例では、被搬送物として塊状を呈する岩や礫が含まれている。
【0010】
<3>ラインレーザ
ラインレーザ10は、ベルトコンベアAを流れる被搬送物Bの表面に輪郭線B1を描くための装置である。
ラインレーザ10は、ベルトコンベアAの上方に設け、照射するレーザー光11は、下方を向くように配置する。
レーザー光11の照射方向θ1は、水平方向を0°(180°)としたとき、0°<θ1<180°の範囲で適宜決定する。
本実施例では、レーザー光11の照射方向を鉛直方向(90°)としている。
レーザー光11は、常に照射する態様としても良いし、デジタルカメラの撮影時にのみ照射する態様としてもよい。
【0011】
<4>デジタルカメラ
デジタルカメラは、前記ラインレーザ10によって被搬送物Bの表面に描かれた輪郭線B1を撮影するための装置である。
本発明では、デジタルカメラを少なくとも二台以上設け、各デジタルカメラは、互いに、前記ベルトコンベアAの上方で、前記ラインレーザ10の照射方向と異なる位置かつその他のデジタルカメラとも異なる角度から撮影するものとする。これは、一方のデジタルカメラによる画像データが、死角領域Cの存在によって断面解析が不十分である場合に、その他のデジタルカメラによる画像データでもって、補完を行うためである。
図1では、ラインレーザ10を挟んで、ベルトコンベアの進行方向の前側に一方のデジタルカメラ20aを設置し、前記進行方向の後側に他方のデジタルカメラ20bを設置している。
【0012】
各デジタルカメラ20a、20bの画素数は、多ければ大きいほど、画像解析の精度が向上する点で好ましいが、画素数が多ければ大きいほど、解析時間も長くなるため、適切な範囲で決めれば良い。
【0013】
<5>移動量センサ
移動量センサ30は、ベルトコンベアAの移動量を検知するための装置である。
移動量センサ30は、公知の部材を用いることができる。
移動量センサ30は、各デジタルカメラによる被搬送物の画像データの取得間隔(Δt)でのベルトコンベアAの移動量(ΔL)を取得する。
【0014】
<6>解析装置
解析装置40は、ベルトコンベアAを流れる被搬送物Bの体積を算出するための装置である。
解析装置40は、PCなどの情報処理装置を用いることができる。
解析装置40は、前記デジタルカメラ20a、20bから得られる複数の画像データと、前記移動量センサ30で得られるベルトコンベアAの移動量のデータに基づいて、体積を算出する。
【0015】
<6.1>主たる画像データの選択方法
解析装置40は、複数のデジタルカメラ20a、20bから、予め主たるデジタルカメラを特定しておき、このデジタルカメラから得られる画像データを主たる画像データに選択して、主たる画像データで不足する箇所を、その余のデジタルカメラによる画像データで補完するように構成することができる。
また、複数のデジタルカメラ20a、20bのうち、主たるデジタルカメラを特定せずに、解析作業の度に、複数の画像データから不足する箇所が最も少ない画像データを主たる画像データとして選択するように構成してもよい。
なお、何れかのデジタルカメラにおいて、解析に十分な画像データが得られていれば、その他のデジタルカメラの画像データを要しない点は言うまでも無い。
【0016】
<6.2>体積の算出方法の具体例
解析装置40は、前記選択した画像データに基づいて求めた、輪郭線B1を照射した位置での被搬送物Bの鉛直断面図から得た断面積(Bs)と、次の画像データの取得までの移動量センサ30で得られるベルトコンベアAの移動量(ΔL)から、デジタルカメラの撮影間隔(Δt)の間に、ラインレーザ10を通過した被搬送物Bの体積(ΔV)を求める。
そして、このΔVを順次加算していくことによって、所定時間(t)内にラインレーザを通過した被搬送物の体積(V)を求める。
【0017】
上記の計算方法を数式化すると、以下の通りとなる。
【0018】
<7>使用方法
次に、再度
図1、2を参照しながら、本実施例に係る体積測定システムの使用方法について説明する。
(1)レーザー光の照射
まず、ベルトコンベアAを流れる被搬送物Bに対し、該ベルトコンベアAの上方に設けたラインレーザ10から、レーザー光11を略鉛直方向に向けて照射する。
被搬送物Bの表面には、照射したレーザー光11によって輪郭線B1が描かれる。
【0019】
(2)輪郭線の撮影・画像データの合成
前記輪郭線B1を、各デジタルカメラ20a、20bで撮影し、各画像データを取得する。
取得した各画像データを画像処理して鉛直方向に切断した見かけの断面図を
図2に示す。
図2(a)は、
図1におけるデジタルカメラ20aで撮影したデータを鉛直断面に加工した図であり、
図2(b)は、
図1におけるデジタルカメラ20bで撮影したデータを鉛直断面に加工して左右反転した図であり、
図2(c)は、
図2(a)の図における消失部を、
図2(b)の図の輪郭線で補完した後の画像データである。
図2(a)に示すように、被搬送物Bに塊状のものが含まれていると、各画像データにおいて、デジタルカメラ20aから輪郭線B1の一部が隠れて消えたように見える箇所(消失部B2)が生じる場合がある。
同様に、
図2(b)においても、輪郭線B1’の一部に、消失部B2’が生じている。
そこで、解析装置40は、各デジタルカメラ20a、20bの座標関係に基づいて、これらの画像データを適宜合成・補完して、途切れのない輪郭線B3を有する鉛直断面図を生成する。
【0020】
(3)断面積の算出
解析装置は、
図2(c)に示す補完後の鉛直断面図において、被搬送物Bの占める割合(ベルトコンベアAのベルトA1の稜線A11と途切れの無い輪郭線B3とで囲まれた領域)を画像解析することで、撮影時における被搬送物Bの断面積(Bs)を求めることができる。
被搬送物Bの断面積(Bs)は、ベルトコンベアAのベルトA1の稜線A11と途切れの無い輪郭線B3とで囲まれた領域の画素数と、デジタルカメラの一画素が占める面積との乗算によって求めることができる。
デジタルカメラの一画素が占める面積は、デジタルカメラの画素数や画角、デジタルカメラと撮影箇所との距離などの各種条件から求めることができる。
なお、ベルトコンベアの幅を1mとし、デジタルカメラの画素数を1000万画素と仮定した場合、1画素あたりの長さとして1mm以下を確保できる計算となるため、従来方法より高精度な断面積の測定が期待できる。
【0021】
(4)体積の算出
解析装置40は、上記の様に所定間隔でベルトコンベアAを流れる被搬送物Bの瞬間の断面である。断面積(Bs)を算出したのち、あとは移動量センサ30で得られるベルトコンベアAの移動量(ΔL)を乗じていけば、流れる被搬送物の計算上の体積値(ΔV)を求めることができる。
なお、被搬送物Bの別の手段で計測した推定実績率(τ’)が定まっていれば、前記体積値(見かけの体積)(ΔV)に推定実績率(τ’)を乗算することで、より精度の高い実体積(ΔV’)を求めることができる。
【0022】
このように、本発明によれば、被搬送物Bの体積を精度良く把握することができ、施工管理の精度が向上する。
【実施例3】
【0025】
[測定箇所の特定]
次に、本発明に係る体積測定システムの第3実施例について
図4、5を参照しながら説明する。
本実施例は、被搬送物の断面積を求める位置を特定したことを特徴とする。
ベルトコンベアAは、ベルトA1と、ベルトA1を支持および運動させる架台A2とを少なくとも具備してなる(
図4(a))。
ベルトA1に載せられた搬送物Bが重いと、搬送物Bの重みでベルトのたわみA3が変化し、デジタルカメラで撮影した撮影データの解析時に、ベルトA1の稜線A11の位置が特定できないことが考えられる(
図4(b))。
【0026】
そこで、本実施例では、被搬送物Bの断面積を測定する箇所を、前記ベルトコンベアAを構成する架台A2の位置とする(
図5)。
この位置は、ベルトA1が架台A2によって支持されているため、被搬送物Bの重みによってベルトの稜線A11の位置が変化することはない。
そして解析装置40による被搬送物Bの体積を測定する際に、ベルトの稜線A11の位置を固定して解析することで、高精度な体積測定が可能となる。
また、ベルトの稜線A11の位置を初期値として予め入力しておけば、解析のたびにベルトの稜線A11の位置を認識する必要もなくなるため、処理速度の高速化にも寄与する。
【0027】
本実施例によれば、ベルトコンベアAを構成する架台A2の直上で測定を行うことで、ベルトのたわみA3による測定誤差を除去することができる。