特許第6757979号(P6757979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757979
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   A63F7/02 315A
【請求項の数】1
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2017-242676(P2017-242676)
(22)【出願日】2017年12月19日
(65)【公開番号】特開2019-107264(P2019-107264A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(74)【代理人】
【識別番号】100101410
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武司
(72)【発明者】
【氏名】巽 正吾
(72)【発明者】
【氏名】茨田 悦臣
(72)【発明者】
【氏名】安藤 繁光
(72)【発明者】
【氏名】田中 友和
(72)【発明者】
【氏名】久保 慶太
(72)【発明者】
【氏名】千村 直彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 博夫
(72)【発明者】
【氏名】水野 博康
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】神谷 美里
【審査官】 廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−042887(JP,A)
【文献】 特開2004−033568(JP,A)
【文献】 特開2016−158978(JP,A)
【文献】 特開2011−050455(JP,A)
【文献】 特開2012−196556(JP,A)
【文献】 特開2016−187655(JP,A)
【文献】 特開2017−12493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に設けられた始動口と、
前記始動口に遊技球が入球することに基づいて、当否判定を行う当否判定手段と、
前記当否判定の結果が大当りになることに基づいて遊技状態を、大入賞口を開閉することによって出玉を獲得可能とする大当り遊技状態に移行させ、前記当否判定の結果が小当りになることに基づいて前記遊技状態を、前記大入賞口若しくは前記大入賞口とは別の大入賞口を開閉することによって前記大当り遊技状態に移行する場合よりも少ない出球を獲得可能とする小当り遊技状態に移行させる当り状態移行手段と、
を備える遊技機であって、
前記大当り遊技状態を終了した後に、前記当否判定の結果が大当りとなる大当り確率を、通常の大当り確率とする低大当り確率状態若しくは該通常の大当り確率よりも高い大当り確率とする高大当り確率状態に設定可能で、前記当否判定の結果が小当りとなる小当り確率を、通常の小当り確率とする低小当り確率状態若しくは該通常の小当り確率よりも高い小当り確率とする高小当り確率状態に設定可能な確率状態設定手段を備え、
前記高小当り確率状態における小当り確率は、前記高大当り確率状態における大当り確率よりも高い確率とされると共に、
前記確率状態設定手段は、
前記低大当り確率状態を設定する場合において、前記大当り遊技状態を終了した後に実行される前記当否判定の実行回数が所定回数になることを上限継続回数として前記高小当り確率状態を設定し、
前記高大当り確率状態を設定する場合において、前記実行回数が前記所定回数よりも多い回数になることを上限継続回数として前記高小当り確率状態を設定することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技興趣を効果的に高めつつも、健全性が高められた遊技機に関し、特に所謂「弾球遊技機」に適用できる。
【背景技術】
【0002】
例えば、「弾球遊技機」では、所定の条件が成立することで当否判定を実行し、当否判定の結果が大当りであると大当り遊技を実行するのが一般的である。また、この種の「弾球遊技機」の中には、当否判定において大当り以外にも小当りか否かを判定するものもあり、小当りに当選する場合に、大当り遊技に比べて有利度が低い小当り遊技を実行するのが一般的である。
【0003】
この小当り遊技は、小当りを所定の確率で発生させることに基づいて実行され、種々の目的で用いられる。つまり、(a)小当り遊技を実行することにより、大当り遊技に比べて少量の賞球を獲得させる目的や、(b)小当り遊技において、大当り遊技で実行される特定の開放パタ−ンと同様な開放パターンを実行し、「直面する当り遊技(大当り遊技)の実行に伴い遊技状態が変化する」のか、「直面する当り遊技(小当り遊技)の実行に伴い遊技状態が変化しない」のかを判りづらくして遊技性を高める目的で用いられる(特許文献1を参照)。
【0004】
また、従来の大当り遊技においては、出玉(賞球)を短時間に、しかも大量に獲得できるため、射幸心を高める効果があるが、その反面、徒に高い射幸心を煽る遊技機は遊技者を「遊技に対する依存症」にしたり、多量の出玉(賞球)を得るために、大量の資金や過度の時間を費やしてしまったりすること(以下、「遊技のめり込み」という。)があり、問題となりつつある。このため、この「遊技に対する依存症」や、「遊技のめり込み」を防止するための種々の提案がなされている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−142332号公報
【特許文献2】特開2000−176137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の「弾球遊技機」では、小当り、ひいては、小当り遊技が大当り遊技(大当り)の補助的な扱いになっていた。また、「弾球遊技機」では、徒に高い射幸心を煽る遊技性を排除し、遊技の健全性を高めることが重要である。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、小当りを効果的に発生させ、遊技興趣を効果的に高めつつも、遊技の健全性が高められた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の遊技機は、
遊技領域に設けられた始動口と、
前記始動口に遊技球が入球することに基づいて、当否判定を行う当否判定手段と、
前記当否判定の結果が大当りになることに基づいて遊技状態を、大入賞口を開閉することによって出玉を獲得可能とする大当り遊技状態に移行させ、前記当否判定の結果が小当りになることに基づいて前記遊技状態を、前記大入賞口若しくは前記大入賞口とは別の大入賞口を開閉することによって前記大当り遊技状態に移行する場合よりも少ない出球を獲得可能とする小当り遊技状態に移行させる当り状態移行手段と、
を備える遊技機であって、
前記大当り遊技状態を終了した後に、前記当否判定の結果が大当りとなる大当り確率を、通常の大当り確率とする低大当り確率状態若しくは該通常の大当り確率よりも高い大当り確率とする高大当り確率状態に設定可能で、前記当否判定の結果が小当りとなる小当り確率を、通常の小当り確率とする低小当り確率状態若しくは該通常の小当り確率よりも高い小当り確率とする高小当り確率状態に設定可能な確率状態設定手段を備え、
前記高小当り確率状態における小当り確率は、前記高大当り確率状態における大当り確率よりも高い確率とされると共に、
前記確率状態設定手段は、
前記低大当り確率状態を設定する場合において、前記大当り遊技状態を終了した後に実行される前記当否判定の実行回数が所定回数になることを上限継続回数として前記高小当り確率状態を設定し、
前記高大当り確率状態を設定する場合において、前記実行回数が前記所定回数よりも多い回数になることを上限継続回数として前記高小当り確率状態を設定することを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明によると、大当り後に移行する確率状態に、小当り確率を高確率とする状態に高小当り確率状態(以下、小高確状態若しくは小確変状態ともいう。)を備えることで、小当りを連続して発生させることが可能となる。つまり、高小当り確率状態の小当り確率を、高大当り確率状態(以下、大高確状態若しくは大確変状態ともいう。)の大当り確率よりも高い確率とし、小当り遊技を所定の頻度(例えば、高頻度)に実行することができる。これにより、小当り遊技に基づいて容易に出玉(賞球)を増加させることが可能となる。
また、一般的に大当り遊技よりも出玉量が少ないと理解される小当り遊技の実行頻度を高くすることによって、遊技者が「遊技に対する依存症」になったり、遊技にのめり込んだりすることを防止できる。
【0010】
なお、請求項1の発明において、在来型の遊技機のように、大当り遊技の中に「多量の出球(例えば、800球以上の出玉)を獲得可能な大当り遊技(以下、在来型の大当り遊技)」を少なくとも含む場合において、小当り遊技を、在来型の大当り遊技よりも少量の出玉(例えば、50球以下の数量の出玉)を獲得可能な遊技とすることができる。小当り遊技として、かかる態様を採用する場合、本発明によると、大当り遊技よりも高頻度に小当り遊技を実行し、複数回の小当り遊技により出玉を得ることになる。そして、本発明によると、出玉獲得速度を低下させ、射幸心を抑えつつ、「遊技のめり込み」を防止して、遊技の健全性が担保されるばかりか、小当り遊技を高頻度に実行することで、遊技興趣を向上させることができる。
【0011】
また、請求項1の発明において、大当り発生から大高確状態が終了するまでの一連の流れ(要は連荘終了まで。)に獲得できる総出玉量は、ある程度上限を定めておかないと遊技者が有利になりすぎてしまうことになる。このため、小確変状態を設ける場合には、大当り遊技の出玉を抑える必要がある。この場合、必然的に従来の一連の流れで獲得できた出玉量(在来型の大当り遊技を伴う連荘で獲得できた出玉量)を獲得するために費やす時間は、従来に比べて長いものとなる。
更に、請求項1の発明によると、大高確率状態ではない場合において小高確状態を、当否判定の実行回数が所定回数になることを上限に設定し、大低確率状態において「小高確状態を設定することを原因として出玉が出過ぎないようにする制限」を設けることにより、射幸心を徒に高め過ぎるのを抑えることができる。そして、大高確率状態においては所定回数を上回って、小高確率状態を実行可能とするので、従来遊技者にとってはあまりうれしくない嵌りを生じても(大高確率状態に移行したのに、なかなか大当りを発生させられない状態を生じても)、小確変状態が継続し、小当り遊技を高頻度に実行できるため、遊技者にとってうれしいものとすること可能となる。
【0016】
求項1の発明において、「小当りの発生確率(小当り確率)」を、「高小当り確率状態における小当り確率が、高大当り確率状態における大当り確率よりも高くなる範囲」で種々選択することができる。また、「低小当り確率状態における小当り確率」は、「高小当り確率状態における小当り確率」よりも低くなる範囲で種々選択でき、例えば、「低小当り確率状態における小当り確率」は「ゼロ」に近い値(例えば、1/1000〜1/500)であっても、「ゼロ」であってもよい。なお、「ゼロ」とは、実質的に、低小当り確率状態を予定せず、高小当り確率状態のみを予定する場合(つまり、小当り確率が終始高確率に維持され、小当り確率の変動機能を備えない場合)である。
【0017】
求項1の発明において、小当り遊技(小当り)は、大入賞口(可変入賞口)を開閉させる当り遊技(当り)のうち、大当り遊技(大当り)とは別のものである。そして、小当り遊技(小当り)を大当り遊技(大当り)に比べて、遊技者にとって利益(例えば、出玉の獲得数)が少ない当り遊技(当り)とすることができる。
具体的に説明すると、在来型の大当り遊技(以下、第1大当り遊技という)に比べて、(a)ラウンド数を少なくすること、(b)1ラウンドにおける大入賞口の開放時間を短くすること、のうちの少なくとも一方を満たす当り遊技を、小当り遊技として例示できる。ここで、在来型の大当り遊技としては、例えば、ラウンド数が多く(6ラウンドから16ラウンド)、しかも、個々のラウンドにおける大入賞口の開放時間が十分(例えば、15秒〜30秒の長開放)にある当り遊技を例示できる。
また、大当り遊技(大当り)として、在来型の大当り遊技(第1大当り遊技)のみを備えてもよいし、在来型の大当り遊技(第1大当り遊技)の他に有利度が低い大当り遊技(以下、第2大当り遊技)を備えてもよい。ここで、第2大当り遊技としては、ラウンド数が少ないこと(例えば、2ラウンド〜3ラウンド)と、大入賞口の開放時間を短くすること(0.1〜1.8秒の短開放)とのうちの少なくとも一方を満たす当り遊技を例示できる。なお、小当り遊技ではラウンド数を「1」、当該ラウンドにおける「大入賞口開放時間」を「1.8秒」以下に設定し、大当り遊技ではラウンド数を「2」以上に設定するのが一般的である。
【0019】
求項の発明の「当り状態移行手段」を
「前記当否判定の結果が大当りになることに基づいて遊技状態を、大入賞口を開閉させることで遊技者に所定の利益を付与可能な第1大当り遊技状態と、前記大入賞口を開閉させることで、遊技者に前記第1大当り遊技状態よりも少ない利益を付与可能な第2大当り遊技状態とのうちで、少なくとも第1大当り遊技状態を実行する大当り遊技状態移行手段」と、
「前記当否判定の結果が小当りになることに基づいて遊技状態を、大入賞口を開閉させることで、遊技者に前記第2大当り遊技状態よりも少ない利益(後述する図5を参照)を付与可能な小当り遊技状態移行手段」と、
で構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の遊技機によると、小当りを効果的に発生させ、遊技興趣を効果的に高めつつも、遊技の健全性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】パチンコ機の正面図。
図2】遊技盤1の正面図。
図3】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図。
図4】パチンコ機の作動内容を示す図表。
図5】(a)は実施例1において大当り遊技及び小当り遊技の内容を示す図表、(b)は変形例1の大当り遊技及び小当り遊技の内容を示す図表。
図6】実施例1のパチンコ機の遊技性を示す説明図。
図7】主制御装置80が実行するメインルーチンを示すフローチャート。
図8】主制御装置80が実行する始動入賞処理を示すフローチャート。
図9】主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート1。
図10】主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート2。
図11】主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート3。
図12】主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート4。
図13】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート1。
図14】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート2。
図15】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート3。
図16】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート4。
図17】実施例1のパチンコ機で実現される遊技状態の概要を示す説明図。
図18】実施例1のパチンコ機の遊技態様を説明するためのタイムチャート。
図19】変形例2のパチンコ機の特徴を示す図表。
図20】変形例2のパチンコ機の遊技態様を説明するためのタイムチャート。
図21】実施例2のパチンコ機の遊技性を示す説明図。
図22】実施例2のパチンコ機で実現される遊技状態の概要を示す説明図。
図23】(a)は変形例3のパチンコ機の特徴を示す説明図、(b)は変形例3及び変形例4のパチンコ機の特徴を示す説明図、
図24】(a)は変形例5のパチンコ機の特徴を示すフローチャート、(b)は変形例6のパチンコ機の特徴を示すフローチャート。
図25】変形例7のパチンコ機において実現される遊技状態の概要を示す説明図。
図26】変形例8のパチンコ機の概要を示す図表。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施形態例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
【0023】
(1)実施例1
図1に示すように、本実施形態のパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠5Aにて各構成を保持する構造を有している。外枠5Aの左側上下にはヒンジ5Cが設けられており、ヒンジ5Cにより、板ガラス6Aが嵌め込まれた前枠(ガラス枠)5B及び内枠が、外枠5Aに対し開閉可能に保持される。また、前枠5Bの板ガラス6Aの奥には、内枠に保持された遊技盤1(図2)が設けられている。
【0024】
前枠5Bの下部には、上皿5Dと下皿6Bとが一体に形成されている。また、下皿6Bの右側には発射ハンドル6Eが設けられており、該発射ハンドル6Eを時計回りに操作することにより発射装置が作動し、上皿5Dから供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。また、上皿Dの中央には、遊技ボタン(演出ボタン)67a等が設けられている。更に、パチンコ機50は、いわゆるCR機であり、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属されている。
【0025】
図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が、ほぼ中央部に配置されたセンターケース5を境に第1遊技領域3aと第2遊技領域3bとに分けられており、センターケース5の左側が第1遊技領域3a、右側が第2遊技領域3bとなり、図に示したA部まで到達した遊技球は、第2遊技領域誘導路101を転動し、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に至り、Aに到達しない遊技球が第1遊技領域3a(センターケース5の左側)を流下することになる。また、この第1遊技領域3a,第2遊技領域3bには多数の遊技釘が植設されている。
【0026】
センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11(本発明の始動口に相当)が配置されている。また、第1始動口11の左方には、4個の普通入賞口31が設けられている。なお、この普通入賞口31は、入球率が変化しない常時入球が可能な普通入賞口である。
【0027】
センターケース5の右の第2遊技領域3bには、普通図柄作動ゲート17が配置され、普通図柄作動ゲート17の下には普通電動役物15からなる第2始動口12(本発明の始動口に相当)が配置されており、この普通電動役物15は開閉可能な一対の翼片12bを供え、これらの翼片12bが開放しなければ第2始動口12への入球は不可となっている。
また、普通電動役物15からなる第2始動口12の左下には大入賞口14が配置されている。
【0028】
第1始動口11は、植設された遊技釘及びセンターケース5を構成する成型樹脂により、第2遊技領域3bを流下した遊技球が入球困難な構成となっている。これにより、第1始動口11は、ほぼ第1遊技領域3aを流下した遊技球のみが入球可能となる。
【0029】
第2遊技領域3bの下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7、普通図柄保留数表示装置8と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10と、複数個のLEDからなる第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19とが配置されている。この位置に配置した各種表示装置の表示内容を遊技者が確実に認識することは困難となり、遊技中の遊技者は演出図柄表示装置6の表示内容に注目して遊技を行うことになる。
【0030】
上記のように遊技盤1を構成することによって、第1遊技領域3aに遊技球を流下させた場合に限り第1始動口11に遊技球が入球(第1始動口スイッチ11a(図3参照)が遊技球を検出)し、第1特別図柄表示装置9において第1特別図柄(以下、第1特図とも記載)が変動を開始し、所定時間後に停止する。
【0031】
第2遊技領域3bに遊技球を流下させると、普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球(普通図柄作動スイッチ17a(図3参照)が遊技球を検出)し、普通図柄表示装置7で普通図柄(以下、普図とも記載)が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普図の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド12b(図3参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド12bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物15の翼片が開放して、第2始動口12への入球(第2始動口スイッチ12a(図3参照)の検出)が可能となるように構成されている。第2始動口12である普通電動役物15に遊技球が入球(第2特図始動スイッチ12a(図3参照)が遊技球を検出)すると、第2特別図柄表示装置10において第2特別図柄(以下、第2特図とも記載)が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
【0032】
本実施例では、第2始動口12は普通電動役物15の翼片12bが駆動しなければ遊技球が入球不可能な構成となっているが、入球が困難なだけで入球可能な構成としてもよい。
【0033】
つまり、普通電動役物15を構成する一対の翼片12bは、下端側の支点を基準に回動可能とされている。また、当該一対の翼片12bの上端部の間隔を狭くして、普通電動役物15を閉鎖状態とし、当該上端部の間隔を広げて普通電動役物15を開放状態とする。そして、普通電動役物15が開放状態となると、第2始動口12(一対の翼片12bの上端部)の上部周辺に流下する遊技球は第2始動口12に入球し易くなる。一方、普通電動役物15が閉鎖状態となると、一対の翼片12bの上端部間には、ほぼ1球の遊技球の通過を許容する間隔が形成されるが、当該上端部で構成される隙間の上部には、遊技球の通過を禁止する障害部材12aが設けられている。このため、普通電動役物15が開放状態であると、第2遊技領域3bを流下した遊技球は第2始動口12に入球する可能性があるが、第2始動口12が閉鎖状態であると、第2始動口12に遊技球が入球することが不可能となっている。但し、後述するように、第2始動口12の上部から障害部材12aを排除し、第2始動口12が閉鎖状態であっても第2始動口12に遊技球が入球可能であってもよい。
【0034】
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄(以降、特図ともいう)の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、同時に変動することはなく、第1始動口11と第2始動口12への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動(当否判定)を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し、且つ、第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動(当否判定)を開始する。
【0035】
但し、本実施例と異なり、第1始動口11と第2始動口12への入球順に第1特別図柄と第2特別図柄を変動させたり、第1特別図柄と第2特別図柄を同時に変動させたりしてもよい。この点に関しては後述する。
【0036】
第1特別図柄及び第2特別図柄の確定表示した態様に応じて、後述する大入賞口ソレノイド14b(図3参照)が駆動する。大入賞口ソレノイド14bが駆動すると、ほぼ同期して大入賞口14の扉部材14bが開放し、大入賞口14への遊技球の入球(カウントスイッチ14a(図3参照)が遊技球を検出)が可能となるように構成されている。
【0037】
つまり、大入賞口14の下端側には扉部材(開閉部材)14bが傾動可能に支持されており、非特別遊技状態(大当り遊技や小当り遊技が実行されないとき)には、大入賞口14は扉部材14bによって閉鎖された状態となり、特別遊技状態(大当り遊技若しくは小当り遊技が実行されたとき)には、扉部材14bが傾動し(遊技盤1と対面する遊技者方向に傾動し)、大入賞口14が開放された状態となる。なお、大入賞口14の態様は本実施例に示す態様に限定されず、例えば、センターケース5の左右一方の側部若しくは左右両側部に大入賞口14を開口させ、下端側を支点に傾動可能な単一の翼片を備えてもよい。この場合、翼片を起立状態として大入賞口14を閉鎖状態とし、当該翼片を傾動状態として大入賞口14を開放状態としてもよい。また、本実施例では大当り遊技及び小当り遊技を同一の大入賞口14を閉鎖状態から開放状態に変化させて実行するが、大当り遊技用の大入賞口と、小当り遊技用の大入賞口を別に(例えば、上下若しくは左右に別に)備え、大当り遊技用の大入賞口を閉鎖状態から開放状態に変化させて大当り遊技を実行し、小当り遊技用の大入賞口を閉鎖状態から開放状態に変化させて小当り遊技を実行してもよい。
【0038】
上述のように、普通図柄作動ゲート17、普通電動役物15からなる第2始動口12、及び大入賞口14は、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に配置されているため、特別遊技状態(大当り遊技状態、小当り遊技状態)及び開放延長状態に移行した場合は、発射した遊技球の全てが第2遊技領域3bに到達するように発射ハンドル6Eを調整することになる。
【0039】
なお、センターケース5の右部に第2始動口12を開口させ、第2始動口12の下端側に単一の翼片(開閉部材)を、その下端側の支点で支持する。そして、当該翼片を起立姿勢とすることで、第2始動口12が閉鎖状態とし、当該翼片を支点に右上がり姿勢に変化させることで、第2始動口12が開放状態とされる態様を採用することもでき、この場合も、遊技者は遊技球が第2遊技領域3bに到達するように発射することになる。
【0040】
図3は、パチンコ機の電気的構成を示すブロック図となり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82(サブ制御装置)、サブ統合制御装置83(サブ制御装置)のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0041】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させる普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、普通入賞口31に入球した遊技球を検出する普通入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力され、裏配線中継端子板75を介して、前枠(ガラス枠)5Bおよび内枠が閉鎖しているか否か検出するガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36の検出信号が入力される。
【0042】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
【0043】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド17bを制御することで普通電動役物15の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールコンピュータ87に送られる。
【0044】
主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が行われ、払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を制御して賞球を払い出す。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0045】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニット(CRユニット)56と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
【0046】
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
【0047】
発射制御装置84は発射モータ30を制御して遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル6Eを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル6Eを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0048】
サブ統合制御装置83はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ67aの入力ならびに主制御装置80から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄制御装置82に出力する。
【0049】
サブ統合制御装置83の入力端には、遊技者により操作可能な遊技ボタン67の操作を検出する遊技スイッチ67aが接続されている。サブ統合制御装置83の出力端には、前枠5B及び遊技盤1に備えられる各種LED・ランプと、前面枠及びスピーカユニットに備えられるスピーカと、が接続されている。また、サブ統合制御装置83には、音量を調節する音量調節スイッチ83aが備えられ、音量調節スイッチ83aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ66へ送信する内容とを判断し、スピーカ66から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
【0050】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
【0051】
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄等の演出画像を表示する。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
【0052】
次に、図4の図表を用いて、遊技機の作動内容の概要について説明する。本実施形態におけるパチンコ機50は、確率変動機として構成されている。つまり、第1始動口11及び第2始動口12への遊技球入球に基づく当否判定において「大当りとなる確率(大当り確率)」と「小当りとなる確率(小当り確率)」が、通常確率状態(低確率状態)と、該通常確率状態に比べて高い高確率状態とのうちの何れかとされる。
【0053】
具体的に説明すると、当否判定において大当りとなる確率は、通常状態(低確率状態)において「1/320」、高確率状態において「1/60」とされている。また、当否判定において小当りとなる確率は、通常状態(低確率状態)において「1/640」、高確率状態において「11/14」とされている。なお、本実施例においては、大当りとなる確率が通常状態(低確率状態)であるときを「大低確」と表記し、大当りとなる確率が高確率状態であるときを「大高確」と表記することがある。また、小当りとなる確率が通常状態(低確率状態)であるときを「小低確」と表記し、小当りとなる確率が高確率状態であるときを「小高確」と表記することがある。そして、当否判定において大当りとなる確率が、通常確率(低確率)から高確率に変動することを大確率変動と称し、後述する各図面において「大確変」と表記することがある。また、当否判定において小当りとなる確率が、通常確率(低確率)から高確率に変動することを小確率変動と称し、後述する各図面において「小確変」と表記することがある。
【0054】
また、大当り遊技及び小当り遊技において、大入賞口14に遊技球が入球容易なラウンド(開放動作)を実行する。例えば、図5(a)に示すように、大当り遊技及び小当り遊技においては、大入賞口14を所定態様で開放する開放動作を、所定時間(例えば、2秒)のインターバル(大入賞口14を閉鎖状態に維持する休み時間)を挟んで複数回(2回を例示)実行する。ここで、大当り遊技及び小当り遊技においては、起立姿勢の扉部材(開閉部材)14bで大入賞口14を閉鎖した状態から、扉部材(開閉部材)14bに開放動作(扉部材を14b下端側を支点に遊技者方向に傾動させる開放動作)を施して、大入賞口14を開放状態とした後、扉部材(開閉部材)14bを起立姿勢に戻し、大入賞口14を閉鎖状態に戻す開閉動作が実行されていることを、ラウンド(大当りラウンド、小当りラウンド)と称することがある。
【0055】
本実施例では、図5(a)に示すように、大当り遊技において、閉鎖状態の大入賞口14を29秒間、開放状態とし、閉鎖状態に戻す開閉動作(ラウンド)を、所定時間のインターバルを挟んで2回行う。但し、個々ラウンドは、大入賞口14が開放状態となる時間(開放時間)が29秒となるか、大入賞口14への遊技球の入球数が9球になると、大入賞口14が閉鎖状態となり、終了する。そして、本実施例では、大入賞口14に1個の遊技球が入球する毎に、13個の遊技球(出玉)が賞球として払い出されるため、1ラウンド毎に最大117個の遊技球が賞球として払い出され、2ラウンドで234個の遊技球が賞球として払い出される(図4参照)。
また、小当り遊技において、閉鎖状態の大入賞口14を1.8秒間、開放状態とし、閉鎖状態に戻す開閉動作(ラウンド)を1回行う。但し、このラウンドは、大入賞口14が開放状態となる時間(開放時間)が1.8秒となるか、大入賞口14への遊技球の入球数が9球になると、大入賞口14が閉鎖状態となり、終了する。このように、小当り遊技においては、ラウンドの開放時間が短く、しかも、ラウンド数が最小数(1)である。そして、ラウンドが実行されても、大入賞口14に入球可能な遊技球数は、せいぜい3個程度である。このため、小当り遊技が実行される毎に、最大でも「39」個程度の遊技球が賞球として払い出されるに過ぎない。よって、本実施例において、小当りの高確状態を設け、小当り遊技を高頻度に実行しても、賞球払出は緩やかに(在来型の大当り遊技に比べて)行われる。
【0056】
ここで、本実施例のパチンコ機50では、小当り確変の実行頻度を高め、出球(賞球)を増やすタイプなので、大当り遊技のラウンド数を在来型の大当り遊技よりも少なく(2ラウンドのみに)している。
つまり、本実施例のパチンコ機50では、大当り遊技の種類として出玉(賞球)数が少ない大当り遊技のみ(前述の第2大当り遊技のみ)を備え、在来型の大当り遊技(第1大当り遊技)を備えていない。このため、大当り遊技を実行しても、一気に大量の賞球(例えば、1000個以上の賞球)の払出を得ることはできない。但し、小当り確率が高確率となる場合(小高確状態)が設定され、その場合(小高確状態)、小当り遊技の実行頻度が高くなるため、遊技興趣を維持することが容易である。また、このように、小当り遊技の実行頻度が高くなっても、「小当り遊技に伴う緩やかな賞球払出」が高頻度に行われるに過ぎないため、遊技の健全性を担保できる。
【0057】
また、本発明のパチンコ機50が、図5(b)の変形例1のように、大当り遊技として、第2大当り遊技の他に、第1大当り遊技(在来型の大当り遊技)を備えてもよい。つまり、この変形例1では、(1)大当り遊技として、大入賞口14の開放時間を長時間(例えば、最大29秒)とし、ラウンド回数を多数回(10回〜12回)とする第1大当り遊技と、(2)大入賞口14の開放時間を短時間(例えば、1.8秒)とし、ラウンド回数を少数回(例えば、2回)とする第2大当り遊技とを備える。また、変形例1においても、小当り遊技として、実施例1と同様の小当り遊技を備える(開放時間;1.8秒、1ラウンド)。
【0058】
この変形例1では、第2大当り遊技と、小当り遊技の開放パターンとが同一であるため、第2大当り遊技若しくは小当り遊技が開始されても、第2大当り遊技の第1ラウンドが開始されたのか、小当り遊技が開始されたのを判別することが困難となっている。そして、変形例1の場合においても、小高確状態を設け、小当り遊技を高い実行頻度で実行し、遊技の健全性を担保しつつ、遊技興趣を高めることができる。しかも、「大量出玉を期待できる第1大当り遊技」がなかなか実行されない事態(例えば、填まり)を生じても、小当り遊技の実行頻度が高いため、遊技興趣を維持することが容易である。
【0059】
以上のように、本実施例では、小当り遊技を「大入賞口14の開放時間を1.8秒以内とし、ラウンド数を1回(1ラウンド)とする当り遊技」としているが、小当り遊技を「当該1ラウンドにおいて、開放時間を1.8よりも短くする短時間開放を複数回行う当り遊技」とすることもできる。例えば、小当り遊技を「当該1ラウンドにおいて、0.6秒の短時間開放を所定の中間停止時間(例えば、0.5秒間)を挟んで、3回実行する当り遊技」とすることもできる。
また、大当り遊技において、当該大当り遊技開始後、最初に実行される第1ラウンドにおいて大入賞口14の開放時間を1.8秒とし(つまり、小当り遊技と同様な開放パターンとし)、2回以降に実行されるラウンド(第2ラウンド以降)において大入賞口14の開放時間を長時間(例えば、29秒)とする。これにより、大当り遊技の第1ラウンド若しくは小当り遊技のラウンドが開始されたとき、「大当り遊技が開始され、以後、第2ラウンド以降が開始(大入賞口14を長時間開放させるラウンドが開始)される可能性がある」のか、或いは、「小当り遊技が開始されたのか」を判り難くすることができる。この場合、小当り確率が高確率となる状態(小高確状態)を設定することで、小当り遊技の実行頻度を高くされるため、頻繁に小当り遊技が開始される毎に「今度は大当り遊技が開始されるか?」という期待感を持たせることができ、遊技者の遊技興趣を更に高めることができる。
【0060】
また、図4に示すように、本実施例のパチンコ機50は、普通電動役物15(第2始動口12)の作動契機と作動時間を変化させる開放延長機能を備えており、開放延長機能未作動時では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物15は0.2秒の開放動作を1回行い、開放延長機能作動時(開放延長状態)では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物15は1.0秒の開放動作を3回行うよう設定されている。また、開放延長機能が作動する遊技状態(開放延長状態)での第1及び第2特別図柄の変動パターン(変動時間)は、開放延長機能が未作動時の遊技状態で使用する変動パターン選択テーブルよりも平均変動時間が短くなるように設定された変動パターン選択テーブルを用いて選択される構成となっている。これにより、開放延長機能作動時の単位時間あたりの特別図柄の変動回数が、開放延長機能未作動時よりも増加する構成(時短状態)となっており、この時短機能は、開放延長機能の作動開始と終了の契機と同じくして作動する。
【0061】
尚、図4に示すように、開放延長機能作動時には、普通図柄の変動時間を短縮(単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加)する時短機能も作動する構成となっている。具体的には、開放延長機能未作動時となる通常時の普通図柄の変動時間は6.2秒に設定され、開放延長機能作動時の普通図柄の変動時間は0.7秒に設定されている。これにより、開放延長機能作動時では単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加し、普通電動役物の作動契機を大きく増加させている。よって、単位時間当たりの普通電動役物への入球率が増加し、第2特別図柄の変動回数が増えるとともに持球の減少が抑えられる。
【0062】
また、図6に示すように、当否判定(SA1)の結果が大当りである場合(SA5;YES)には、当否判定の結果として確定表示させる大当り図柄を乱数抽選によって確変大当り図柄若しくは通常当り図柄に決定する。このとき、確変大当り図柄が選択される確率(高確変移行率)は65%とされ、通常大当り図柄が選択される確率は35%とされている。
そして、確変大当り図柄が確定表示される場合は(SA10)、ラウンド数を2回とする大当り遊技を実行する(SA13)。また、大当り遊技を終了してから、次回の大当りが発生するまで(次回の大当り図柄が確定表示されるまで)、大当りとなる確率が高確率(大高確)の状態になるとともに、小当りとなる確率が高確率(小高確)の状態となる。更に、次回の大当りが発生するまで(次回の大当り図柄が確定表示されるまで)、時短状態(時短機能及び開放延長機能が作動する状態)となる(SA16)。
【0063】
また、通常大当り図柄が確定表示される場合も(SA20)、ラウンド数を2回とする大当り遊技を実行する(SA23)。そして、大当り遊技を終了した後に実行される「特別図柄の変動表示回数」が、100回になるまで(100回の当否判定が実行されるまで)、小当りとなる確率が高確率(小高確)の状態となるが、大当りとなる確率が通常確率(大低確)の状態になる。更に、大当り遊技を終了した後に実行される「特別図柄の変動表示回数」が、100回になるまで(100回の当否判定が実行されるまで)、時短状態(時短機能及び開放延長機能が作動する状態)となる(SA26)。
【0064】
更に、当否判定の結果が大当りでない場合(SA5;NO)には、当否判定の結果が小当りであるか否かが判定される。ここで、前述のように、「小当りとなる確率が高確率(小高確)」である場合には、「11/14」の確率(ほぼ小当りを発生する状態)で小当りを発生し、「小当りとなる確率」が通常確率(低確率)の状態になるときは、「1/640」の確率(発生困難な状態)で小当りを発生する。
【0065】
そして、当否判定の結果が小当りである場合(SA30;YES)、小当り図柄が確定表示された後(SA32)、ラウンド数を1回とする小当り遊技を実行する(SA35)。なお、「小当りとなる確率が高確率(小高確)」と、「小当りとなる確率が通常確率(小低確)」の確率は、これに限定されず、小高確の確率が「11/14」よりも更に高く(例えば、「13/14」に)されてもよいし、低く(例えば、「7/14」に)されてもよい。更に、小低確の確率が「1/640」よりも高く(例えば、「5/640」に)されてもよいし、低く(例えば、「1/960」に)されてもよい。特に、小低確の確率を「ゼロ」とすること(小当りを発生しないこと)としてもよい。つまり、小当り確率を小高確で設定予定の値に固定し、小当り確率が変動しないこととしてもよい。
また、当否判定の結果が大当りでも、小当りでもない場合は、外れとなる(SA40)。
【0066】
また、特別図柄は遊技領域3の右下にその表示装置(第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10)が配置され、遊技者が判別困難な態様で表示されるため、遊技者は演出図柄表示装置6に表示される擬似図柄の種類によって大当り遊技終了後の遊技状態を認識するが、本実施例では大当り遊技中に擬似大当り図柄が変化(通常図柄から確変図柄へ変化)する昇格演出等の他の演出を単数若しくは複数種類備えてもよい。
【0067】
また、本実施例に示すように、大当り遊技及び小当り遊技の何れが実行されているかが、判断困難な態様では、演出図柄表示装置6に表示される「大当り発生時の表示事項(当否判定の結果を示す擬似図柄の確定表示、表示されるキャラクタ、背景画面等)」と、「小当り発生時の表示事項(当否判定の結果を示す擬似図柄の確定表示、表示されるキャラクタ、背景画面等)」が同一とされてもよい。例えば、大当り発生時と小当り発生時において、同一の擬似図柄(例えば、「V、V、V」のぞろ目図柄)が表示されてもよい。
【0068】
次に、図7を用いて、主制御装置80が実行するメインルーチンを説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S10〜S75までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS80の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
【0069】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、ほとんどが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
【0070】
S10が否定判定、即ち、正常割り込みでないと判断されると(S10;NO)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(初期乱数更新処理(S80))に移行する。
【0071】
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10;YES)、初期値乱数更新処理(S20)、大当り決定用乱数更新処理(S25)、大当り図柄決定用乱数1更新処理(S30)、大当り図柄決定用乱数2更新処理(S35)、小当り図柄決定用乱数更新処理(S40)、当り決定用乱数更新処理(S45)、リーチ判定用乱数更新処理(S50)、変動パターン決定用乱数更新処理(S55)が行われる。
【0072】
続く入賞確認処理(S60)では、第1始動口11、第2始動口12への入賞、大入賞口14への入賞、普通入賞口31への入賞及び普通図柄作動ゲート17への入球の確認、及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。各始動口及び作動口への入賞(入球)確認処理(始動入賞処理)については、図8を用いて後述する。
【0073】
続いて、当否判定処理(S65)、画像出力処理等の各出力処理(S70)、不正監視処理(S75)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S80)をループ処理する。
【0074】
次に、図8用いて、主制御装置80が実行する始動入賞処理を説明する。本処理は、図7に示した入賞確認処理(S60)のサブルーチンの一つであり、本発明の保留記憶手段、先読判定手段を含む処理となる。
【0075】
以後、第1始動口11に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄始動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。
【0076】
本処理を開始すると、第1始動口スイッチ11aが遊技球を検出したか否か判定する(S100)。肯定判定であれば(S100;YES)、主制御装置80に既に格納されている第1保留記憶数が上限数(本実施例では4個)未満であるか否か判定する(S105)。肯定判定であれば(S105;YES)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数)を抽出し、第1保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第1保留記憶の数を示す第1保留記憶カウンタに1を加算する(S110)(本発明の保留記憶手段に相当)。
【0077】
S110に続いては、記憶した第1保留記憶の先読判定を行う(S115)。具体的には、大当り決定用乱数の値が大当りを生起させる値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認する。大当り判定がハズレなら、小当りを生起する値か否かを確認し、小当り値なら小当り図柄の種類を確認する。大当りでも小当りでもないハズレなら、ハズレ図柄の種類を確認する(所謂「先読判定手段)に相当)。
【0078】
続いて、S115の先読判定結果に基づいて第1先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置83に送信し(S120)、S110で加算した第1保留記憶カウンタの値を示す第1保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する(S125)。本実施例では、第1先読判定コマンドと第1保留数指示コマンドとを個別のコマンドとしてサブ統合制御装置83に送信しているが、この二つのコマンド内容を一つのコマンドに合成してサブ統合制御装置83に送信する構成も考えられる。また、保留記憶数コマンドの内容は、S110で加算した第1保留記憶カウンタの値を示すものではなく、+1(1増)を示すものでもよい。
【0079】
S125の処理、又はS100、S105の否定判定(S100;NO、S105;NO)に続いては、第2始動口スイッチ12aが遊技球を検出したか否か判定する(S130)。否定判定なら(S130;NO)S160に進み、肯定判定ならば(S130;YES)、主制御装置80に格納されている第2保留記憶の数が上限数(=4個)未満か否か判定する(S135)。そして、否定判定なら(S135;NO)S160に進み、肯定判定であれば(S135;YES)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数)を抽出し、第2保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第2保留記憶の数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算し(S140)、S115と同様に記憶した第2保留記憶の先読判定を行う(S145)。
【0080】
続いて、S145の判定結果に基づいて第2先読判定コマンドを生成しサブ統合制御装置83に送信し(S150)、S140で加算した第2保留記憶カウンタの値を示す第2保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S155)S160に進む。
【0081】
S160では、普通図柄作動スイッチ17aが遊技球を検出したか否か判定する(S160)。否定判定なら(S160;NO)リターンに抜け、肯定判定なら(S160;YES)、主制御装置80に格納されている普図保留記憶数が上限数(=4個)未満か否か判定する(S165)。否定判定なら(S165;NO)リターンに抜け、肯定判定であれば(S165;YES)、抽出した当り判定用乱数と当り図柄決定用乱数とを普図保留記憶として記憶し、普図保留記憶数を示す普図保留記憶カウンタに1を加算し(S170)、加算した普図保留記憶カウンタの値を示す普図保留記憶数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S175)、リターンする。
【0082】
サブ統合制御装置83は第1及び第2保留記憶数指示コマンドを受信すると、受信したコマンドが示す保留記憶数に応じて演出図柄表示装置6上で表示する各保留記憶数を変化(保留図柄を表示)させる指示信号を演出図柄制御装置82に送信する。また、本実施例では、演出図柄表示装置6上では普通図柄の保留記憶数表示は行わないが、普図保留記憶数指示コマンドの受信に応じて表示する構成としてもよいし、普図保留記憶数指示コマンド自体を送信しない構成としてもよい。また、普図の先読判定を実施し判定結果をサブ統合制御装置83に送信する構成も考えられる。これにより、普通電動役物(第2始動口12)の開放を期待させる先読予告の実施が可能となる。
【0083】
次に、図9〜12を用いて、主制御装置80が実行する当否判定処理を説明する。本処理は、本発明の当否判定手段に相当する。本処理を開始すると、条件装置が作動中か否か、即ち、大当り中か否か判定し(S200)、肯定判定なら(S200;YES)リターンし、否定判定なら(S200;NO)、第1又は第2特別図柄が変動中か否か判定する(S203)。そして、S203の処理で否定判定なら(S203;NO)、第1又は第2特別図柄が確定表示中か否か判定を判定する(S206)。
【0084】
S206の処理で否定判定なら(S206;NO)、第2保留記憶が有るか否か判定する(S210)。そして、肯定判定なら(S210;YES)、S215に進み、否定判定なら(S210;NO)、第1保留記憶が有るか否か判定する(S213)。このS213の処理で否定判定なら(S213;NO)、リターンに抜け、肯定判定なら(S213;YES)、S215に進む。このように、S210とS213の判定順により、第2保留記憶の当否判定を優先して実施する構成となっている。
尚、本実施例では、特別図柄が複数(第1特別図柄と第2特別図柄)の構成となっているが、特別図柄を1つとした構成であっても本発明の効果に変わりはない。また、2種類の特図が同時に変動可能な構成であってもよい。
【0085】
S215では時短フラグの値が0か否か判定する(S215)。時短フラグは、主制御装置80が記憶する値であり、値が「1」のときは時短状態、及び開放延長状態であることを、値が「0」のときは非時短状態、非開放延長状態であることを主制御装置80が判断するための値である。肯定判定なら(S215;YES)、S218に進み、否定判定なら(S215;NO)、時短状態中の処理に進む。時短状態中の処理は、特図の変動時間を設定する変動パターン選択テーブルのみが異なる処理となるため説明は割愛する。
【0086】
S218では、保留記憶のシフト処理を行い(S218)、これにより最も古い保留記憶を当否判定の対象とするとともに、保留記憶数を示す保留記憶カウンタから1を減算する。本実施例では、保留数が増加した時のみ保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する構成としているが、この減算に応じて、サブ統合制御装置83に減少を示す保留数指示コマンドを送信する構成としてもよい。
【0087】
S218に続いては、S220以降の処理に移行し、当否判定の対象とした保留記憶の大当り判定用乱数の値と予め設定された当否判定テーブルとを比較して、乱数値が当否判定テーブル内の判定値(当りを示す当り値)と一致するか比較する処理を行う。
具体的に説明すると、先ず、S220の処理において、「大確変フラグ」の値が「1」であるか否かを判定する。ここで、「大確変フラグ」とは、当否判定において大当りとなる確率が、高確率に設定されていることを示すフラグ(主制御装置80が記憶する値)である。そして、当否判定において大当りとなる確率が、高確率に設定されている場合(「大高確」の場合)に値が「1」とされ(1がセットされ)、低確率に設定されている場合(「大低確」の場合)に値が「0」とされる(0がセット、つまり、解除される)。
【0088】
「大確変フラグ」の値が「1」である場合には(S220;YES)、保留記憶の大当り判定用乱数の値と、大確変テーブルに記憶された大当り値(大当りを示す値)とが一致するか否かを比較する(S228)。また、「大確変フラグ」の値が「0」である場合には(S220;NO)、保留記憶の大当り判定用乱数の値と、大通常テーブルに記憶された大当り判定値(大当りを示す値)とが一致するか否かを比較する(S230)。ここで、大確変テーブルは、大当りとなる確率が高確率に設定されているときに参照されるテーブルであり、大通常テーブルは大当りとなる確率が低確率(通常確率)に設定されているときに参照されるテーブルである。また、大確変テーブルには、大通常テーブルに比べて多数の大当り判定値が記憶されている。そして、前述のように、当否判定において大当りとなる確率が高確率に設定されている場合に大当りと判定される確率は「1/60」とされ、大当りとなる確率が低確率に設定されている場合に大当りと判定される確率は「1/320」とされている。
【0089】
S228若しくはS230の処理を行うと、図10のS232の処理に移行し、S228若しくはS230の判定の結果が大当りであるか否かを判定する。つまり、保留記憶の大当り判定用乱数の値が、大当り用の判定値と同一である場合には、S232の処理で肯定判定される。
【0090】
そして、S232の処理で肯定判定されると、S235に移行し、図柄モード設定処理を行う(S235)。図柄モード設定処理では、判定対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数1に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態を決定する図柄モードを設定する。続いて、設定した図柄モードの種類と判定対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数2に基づいて大当り図柄選択処理を行う(S238)。これは、図柄モードの設定によって決定した大当りの種類(大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態)と大当り図柄との関連付けを行うために、図柄モードの種類毎に設定された図柄郡の中から表示する図柄を決定する処理となる。
【0091】
次にS235で設定した図柄モードに基づいてモードバッファ設定処理を行う(S260)。モードバッファは当否判定時に決定した大当り遊技終了後の遊技状態の内容を、該遊技状態を設定する大当り遊技終了時まで記憶する装置である(大当り遊技中は遊技状態を設定する大確変フラグ、小確変フラグ、及び時短フラグをクリアする必要があるため)。モードバッファとしては、具体的な遊技内容(確変機能および開放延長機能(時短機能)の作動とその作動回数)は記憶せず、複数種類の具体的な遊技内容のそれぞれに対応した値を記憶する構成となっている。
【0092】
次に、S235で設定した図柄モードに基づいて大当り遊技の内容となる大入賞口の開放パターン設定処理を行い(S265)、当否判定の対象とした保留記憶のリーチ決定用乱数および変動パターン決定用乱数に基づいて、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10、及び演出図柄表示装置6に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを、変動パターン選択テーブルから選択する(S275)。
【0093】
次に、選択した大当り図柄および変動パターンの情報を、変動指示コマンドとしてサブ統合制御装置83へ送信する(S280)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて、演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、大当り図柄および変動パターンの情報に対応する図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0094】
一方、S232の処理で否定判定されると(即ち、大当りを発生しないならば)、「小確変フラグ」の値が「1」であるか否かを判定する(S240)。ここで、「小確変フラグ」とは、当否判定において小当りとなる確率が、高確率に設定されていることを示すフラグ(主制御装置80が記憶する値)である。そして、当否判定において小当りとなる確率が、高確率に設定されている場合(「小高確」の場合)に値が「1」とされ(1がセットされ)、低確率に設定されている場合(「小低確」の場合)に値が「0」とされる(0がセット、つまり、解除される)。
【0095】
「小確変フラグ」の値が「1」である場合には(S240;YES)、保留記憶の大当り判定用乱数の値と、小確変テーブルに記憶された小当り値(小当りを示す値)とが一致するか比較する(S246)。また、「小確変フラグ」の値が「0」である場合には(S240;NO)、保留記憶の大当り判定用乱数の値と、小通常テーブルに記憶された大当り判定値(大当りを示す値)とが一致するか比較する(S248)。ここで、小確変テーブルは、小当りとなる確率が高確率に設定されているときに参照されるテーブルであり、小通常テーブルは小当りとなる確率が低確率(通常確率)に設定されているときに参照されるテーブルである。また、小確変テーブルには、小通常テーブルに比べて多数の小当り判定値が記憶される。そして、前述のように、当否判定において小当りとなる確率が高確率に設定されている場合に小当りと判定される確率は「11/14」とされ、小当りとなる確率が低確率に設定されている場合に小当りと判定される確率は「1/640」とされている。
【0096】
S246若しくはS248の処理を行うと、S250に移行し、S246若しくはS248の判定の結果が小当りであるか否かを判定するする。つまり、保留記憶の大当り判定用乱数の値が、小当り用の判定値と同一である場合には、S250の処理で肯定判定される。
【0097】
そして、S250の処理で肯定判定される場合、つまり、当否判定の結果が小当り)である場合には(S250;YES)、特図の種類、遊技状態、及び小当り図柄決定用乱数に基づいて小当り図柄を選択し(S256)、続いて小当り遊技の開放パターン設定処理を行う(S265)。そして、小当り図柄に対応する前述した変動パターン選択処理を行い(S275)、小当り図柄および変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S280)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、小当り図柄および変動パターンの情報に基づいた第1又は第2特図に対応した演出図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は、第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0098】
S250が否定判定なら(S250;NO)、ハズレ図柄を選択し(S270)、続いてハズレ図柄に対応する変動パターン設定処理を行い(S275)、ハズレに関する図柄及び変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S280)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、ハズレ図柄および変動パターンの情報に基づいた擬似図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0099】
次に、図9のS203の処理で肯定判定の場合、即ち、特別図柄の変動中であれば(S203;YES)、図11のフローチャートに進み、特別図柄の変動時間(S265で選択された変動パターンに基づく)が経過したか否か判定する(S300)。否定判定なら(S300;NO)リターンし、肯定判断なら(S300;YES)、確定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を制御してS238,S256又はS270で選択した確定図柄を確定表示させる(S305)。確定コマンドを受信したサブ統合制御装置83は演出図柄制御装置82に予め選択されていた擬似図柄を確定表示させる指示信号を送信し、演出図柄制御装置82は、その信号に応じて演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄を確定表示させる。これにより、第1又は第2特別図柄と、演出図柄表示装置6に表示される擬似図柄の変動の開始と終了とが同じタイミングになる(同期する)。
【0100】
S305に続いては、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10で確定表示させた第1又は第2特別図柄が、大当り図柄か否か判定し(S310)、肯定判定なら(S310;YES)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S315)、大確変フラグが1か否か(大当り確率の状態が高確率状態か否か)判定し(S320)、肯定判定なら(S320;YES)、大確変フラグに0をセットする(S325)。
【0101】
そして、S325の処理を経るか、S320の否定判定(S320;NO)を経ると、S330の処理に移行し、小確変フラグが1か否か(小当り確率の状態が高確率状態か否か)を判定する(S330)。そして、肯定判定なら(S330;YES)、小確変フラグに0をセットする(S335)。このS335の処理を経るか、S330の否定判定(S380;NO)を経ると、S340の処理に移行する。
【0102】
S340の処理では、時短フラグが1か否を判定し(S340)、肯定判定されると(S340;YES)、時短フラグに0をセットする(S345)。また、S345の処理を経るか、S340の否定判定(S340;NO)を経ると条件装置作動開始処理(S350)と、役物連続作動装置作動開始処理(S355)を行い、大当りフラグに1をセットし(S360)、大当り演出表示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する(S365)。
【0103】
一方、S310が否定判定、即ち、確定図柄が大当り図柄でなければ(S310;NO)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S370)、大確変フラグが1か否か判定する(S375)。そして、肯定判定ならば(S375;YES)、大確変カウンタを1デクリメントし(S380)、大確変カウンタが0か否か判定する(S385)。肯定判定なら(S385;YES)、大確変フラグに0をセットする(S390)。
【0104】
続いて、「S390の処理を実行するか」、「S375の処理若しくはS385の処理で否定判定されると(S375;NO,S385;NO)」、S400の処理に移行し、時短フラグが1か否か判定する(S400)。このS400の判定が、肯定判定ならば(S400;YES)、時短カウンタを1デクリメントし(S405)、時短カウンタが0か否か判定する(S410)。そして、S410の処理で肯定判定されると(S410;YES)、時短フラグに0をセットする(S415)。
【0105】
続いて、「S415の処理を実行するか」、「S400の処理若しくはS410の処理で否定判定されると(S400;NO,S410;NO)」、S430の処理に移行し、小確変フラグが1か否か判定する(S430)。このS430の判定が、肯定判定ならば(S430;YES)、小確変カウンタを1デクリメントし(S435)、小確変カウンタが0か否か判定する(S440)。そして、S440の処理で肯定判定されると(S440;YES)、小確変フラグに0をセットし(S450)、S455以降の処理に移行する。
【0106】
ここで、後述するように、確変大当りに基づく大当り遊技を実行した後においては、大確変カウンタと、時短カウンタと、小確変カウンタに、値「10000」がセットされ、通常大当りに基づく大当り遊技を実行した後においては、大確変カウンタと、時短カウンタと、小確変カウンタに、値「100」がセットされ、S375からS435の処理によって、「大高確率状態を規制する大確変カウンタ」と、「時短(開放延長)状態を規制する時短カウンタ」と、「小高確率状態を規制する小確変カウンタ」の値が、一回の当否判定の実行(1回の特別図柄の変動)に伴い、1デクリメントされる。そして、これらのカウンタが所定値(ゼロ)に至ることで遊技状態が変化する。
【0107】
つまり、本実施例においては、大高確状態(大当り判定を高確率で行う状態)と、時短(開放延長)状態と、小高確状態(小当り判定を高確率で行う状態)とが終了し、通常状態(大確率状態及び小確率状態が低確率(通常確率状態))で、且つ、通常の開放状態(非開放延長状態)に移行する。
【0108】
続いて、「S450の処理を実行するか」、「S430の処理若しくはS440の処理で否定判定されると(S430;NO,S440;NO)」、S455の処理に移行し、確定図柄が小当り図柄であるか否かを判定する(S455)。そして、S455の処理で肯定判定ならば(S455;YES)、小当り遊技の作動開始を行う処理を行い(S460)、S470の処理に移行する。また、S455の処理で否定判定の場合は、そのまま、S470の処理に移行する。
S365若しくはS460の処理を実行した後、又はS455の処理で否定判定(S455;NO)される場合には、S470の処理に移行し、上記処理の結果に基づく遊技状態を示す状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S470)、リターンする。
なお、本実施例では、特別図柄の変動が停止し(S300を参照)、S310の処理で否定判定されると、S405の処理(時短カウンタを減算する処理)やS435の処理(小確変カウンタを減算する処理)を行った。つまり、特別図柄の変動表示を終了したとき、時短カウンタを減算する処理や小確変カウンタを減算する処理を行ったが、特別図柄の変動表示を開始するときに、時短カウンタを減算する処理や小確変カウンタを減算する処理を行ってもよい。
具体的には、「図10に示すS256の処理と、S265の処理と、S275の処理を経た場合」に「図11のS400〜S450の処理に至る処理」を行うと共に、「図10に示すS270の処理と、S275の処理を経た場合」に「図11のS400〜S450の処理に至る処理」を行うこととしてもよい(関連例1という)。
また、「図10に示すS256の処理と、S265の処理と、S275の処理を経た場合」と、「図10に示すS270の処理と、S275の処理を経た場合」に、「図11のS400及びS405の処理(時短フラグが1である場合に時短カウンタを減算する処理)」及び「図11のS430、S435の処理(小確変フラグが1である場合に小確変カウンタを減算する処理)」を行う。そして、特別図柄の変動停止時(つまり、S390の処理を実行するか、S375の処理若しくはS385の処理で否定判定されると)、以下の処理を行ってもよい。つまり、特別図柄の変動停止時に、「S410、S415の処理(時短カウンタが0であるか否かを判定し、0であれば時短フラグを0にする処理)と、「S440、S445の処理(小確変カウンタが0であるか否かを判定し、0であれば小確変フラグを0にする処理)と、を行うこととしてもよい(関連例2という)。
【0109】
図9に戻り、S206の処理で肯定判定すると、即ち、確定図柄の表示中なら(S206;YES)、図12のフローチャートに進み、確定図柄表示時間が経過したか否か判定し(S450)、否定判定なら(S450;NO)リターンし、肯定判定なら(S450;YES)、確定図柄表示終了処理(S455)を行い、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を制御して特別図柄の確定表示を終了させ、サブ統合制御装置83に疑似図柄の確定表示を終了させる指示信号を送信してリターンする。
【0110】
次に、図13から図16を用いて、主制御装置80が実行する特別遊技処理を説明する。本処理は、図10のS265で設定された大入賞口14の開放パターンに基づいて、大入賞口14の開閉を制御する処理となる。
【0111】
本処理を開始すると、大当りフラグに基づいて条件装置が未作動か否かを判定する(S500)。肯定判定、即ち、大当り中でなければ(S500;YES)、小当り遊技として大入賞口14が作動中か否かを判定する(S505)。
そして、S505が否定判定なら(S505;NO)リターンし、肯定判定なら(S505;YES)、小当り開始インターバル中であるか否かを判定する(S510)。
【0112】
そして、S510が肯定判定なら(S510;YES)、小当り開始インターバル時間が経過したか否かを判定する(S515)。更に、S515が否定判定なら(S515;NO)リターンし、肯定判定なら(S515;YES)、小当り遊技として大入賞口14を開放するとともに、サブ統合制御装置83に小当り演出指示コマンドを送信し(S520)リターンする。
また、S510が否定判定なら(S510;NO)、小当り動作中か否かを判定する(S525)。このS525が肯定判定なら(S525;YES)、カウントスイッチ14aが遊技球を検出したか否か判定する(S530)。そして、S530が肯定判定なら(S530;YES)、当該小当り遊技時の大入賞口14への遊技球の入球数が9個未満か否か判定する(S535)。更に、S530が否定判定(S530;NO)、又はS535が肯定判定(S535;YES)なら、大入賞口14の小当り遊技の開放時間が経過したか否か判定し(S540)、否定判定なら(S540;NO)リターンする。
【0113】
S535が否定判定(S535;NO)、又はS540が肯定判定(S540;YES)なら、小当り遊技を行う大入賞口14の閉鎖処理を行い(S545)、続いて小当り終了演出処理を行い(S550)リターンする。
【0114】
一方、S525が否定判定で小当り遊技中ではないなら(S525;NO)、小当り終了演出の時間が経過したか否かを判定する(S555)。そして、S555が否定判定なら(S555;NO)リターンし、肯定判定なら(S555;YES)、小当り遊技終了処理を行ない(S560)リターンに抜ける。
【0115】
S500が否定判定、即ち大当りフラグが立っていれば(S500;NO)、図14のフローチャートに進み、大入賞口14が閉鎖中か否か判定する(S600)。そして、S600が肯定判定なら(S600;YES)、大当り遊技の開始演出中か否か判定する(S605)。更に、S605が肯定判定なら(S605;YES)、大当り遊技の開始演出時間が経過したか否かを判定する(S610)。このS610が否定判定なら(S610;NO)リターンし、肯定判定なら(S610;YES)、大入賞口14の開放処理を行うとともに、サブ統合制御装置83に大入賞口開放演出を指示するコマンドを送信し(S615)リターンする。
【0116】
S605が否定判定なら(S605;NO)、即ち、大当り遊技の開始演出中ではないなら、ラウンド間インターバル中か否か判定する(S620)。そして、S620が否定判定なら(S620;NO)、大当り遊技の終了演出中か否か判定する(S630)。このS630が否定判定なら(S630;NO)、大当り開始演出処理を行いサブ統合制御装置83に大当り開始演出を指示するコマンドを送信し(S635)リターンする。
【0117】
S635で主制御装置80がサブ統合制御装置83に大当り開始演出指示コマンドを送信すると、該コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、パチンコ機に設けられたランプ、LEDを大当り遊技演出用に激しく発光させたり、大当り遊技用の音をスピーカから出力させる。また、サブ統合制御装置83は、演出図柄制御装置82に信号を送信し、演出図柄表示装置6において大当り開始演出を表示させる。
【0118】
また、S620が肯定判定、即ち、ラウンド間インターバル中なら(S620;YES)、インターバル時間が経過したか否か判定し(S625)、否定判定なら(S625;NO)リターンし、肯定判定なら(S625;YES)、大入賞口14の開放処理を行い(S615)リターンする。
【0119】
S600が否定判定、即ち、大入賞口14が開放中なら(S600;NO)、図15のフローチャートに進み、カウントスイッチ14aが遊技球を検出したか否か判定し(S700)、肯定判定なら(S700;YES)、当該開放によるカウントスイッチ14aの検出数が9個未満か否か判定する(S705)。S700の否定判定、又はS705が肯定判定(S700;NO、S705;YES)なら、大入賞口14の開放時間が経過したか否か判定する(S710)。そして、S710が否定判定なら(S710;NO)リターンし、S705が否定判定(S705;NO)、又はS710が肯定判定なら(S710;YES)、大入賞口14の閉鎖処理を行い(S715)、終了した大入賞口14のラウンド遊技が最終ラウンドか否か判定する(S720)。
【0120】
そして、S720が肯定判定なら(S720;YES)、大当り終了演出処理を行い、サブ統合制御装置83に大当り終了演出を指示するコマンドを送信し(S725)リターンする。一方、S720が否定判定なら(S720;NO)、ラウンド遊技間インターバル処理を行い、サブ統合制御装置83にインターバル演出を開始する指示信号を送信し(S730)リターンする。
【0121】
図14に戻り、S630が肯定判定、即ち、大当り終了演出中なら(S630;YES)、図16のフローチャートに進み、大当り終了演出時間が経過したか否か判定する(S800)。S800が否定判定なら(S800;NO)リターンに抜け、S800が肯定判定なら(S800;YES)、役物連続作動装置の停止処理(S805)と条件装置の作動停止処理(S810)を行って大当り遊技を終了し、S815以降の処理に移行する。
【0122】
S815の処理では、図10(当否判定処理)のS260で設定したモードバッファを参照して(S815)、当該大当り遊技終了後の遊技状態に関する情報(S235、S238の処理に基づく情報)を取得する。そして、S815の処理で取得(参照)した情報に基づいて、当該大当り遊技終了後の遊技状態が、大当り判定に関する高確率状態(大高確状態)に移行するか否かを判定する(S820)。そして、大高確状態(大確変)に移行すると判定される場合には(S820;YES)、S825以降の処理に移行し、大高確状態(大確変)に移行しないと判定される場合には(S820;NO)、S855以降の処理に移行する。
【0123】
つまり、大高確状態(大確変)に移行するケースでは、大確変フラグ(S825)を設定する処理と、大確変カウンタに「10000」を設定する処理(S830)と、小確変フラグを設定する処理(S835)と、小確変カウンタに「10000」を設定する処理(S840)と、時短フラグを設定する処理(S845)と、時短カウンタに「10000」を設定する処理(S850)とを行った後、S875の処理に移行する。
【0124】
一方、大高確状態(大確変)に移行しないケースでは、小確変フラグを設定する処理(S855)と、小確変カウンタに「100」を設定する処理(S860)と、時短フラグを設定する処理(S865)と、時短カウンタに「100」を設定する処理(S870)とを行った後、S875の処理に移行する。ここで、S860及び870の処理において設定される「100」は、請求項1の発明の「所定回数」の一具体例を構成し、830、S840及び850の処理において設定される「10000」は、請求項1の発明の「所定回数を上回り設定される回数(所定回数よりも多い回数)」の一具体例を構成する。
【0125】
S875の処理に移行すると、モードバッファをクリアする(S875)。そして、主制御装置80はサブ統合制御装置83に終了コマンドと(S885)、設定した確変フラグ(大確変フラグ、小確変フラグ)と、時短フラグに基づく状態指定コマンドを送信し(S886)、大当りフラグに0をセットして(S888)リターンする。
【0126】
ここで、S820の肯定判定を経てS840に至る処理と、S820の否定判定を経てS860に至る処理は、確率状態設定手段として実行する処理の具体例を構成する。
また、確変大当り図柄の確定表示に基づいて実行される大当り遊技の実行後の遊技状態を時短状態に移行させないパチンコ機50においては、図16に示す大当り遊技終了時の処理から、S845とS850の処理が省略される(以下、ケース1という)。なお、通常大当り図柄の確定表示に基づいて実行される大当り遊技の実行後の遊技状態を時短状態に移行させないパチンコ機50においては、図16に示す大当り遊技終了時の処理から、S865とS870の処理が省略される。
更に、第1の確変大当り図柄の確定表示に基づいて実行される大当り遊技の実行後の遊技状態を時短状態に移行させるが、第1の確変大当り図柄とは別の第2の確変大当り図柄の確定表示に基づいて実行される大当り遊技の実行後の遊技状態を時短状態に移行させないパチンコ機50においては、モードバッファを参照して(S815)、図11のS310の処理で、「時短状態に移行させる確変図柄(第1の大当り図柄)」が表示されたか、「時短状態と移行させない確変図柄(第2の大当り図柄、つまり潜伏確変図柄)」が表示されたか(以下、ケース2という)を判定することになる。そして、時短状態に移行させる確変図柄(第1の大当り図柄)」が表示された場合には、S845及びS850の処理が実行され、時短状態に移行させない確変図柄(第2の大当り図柄)が表示された場合にはS845及びS850の処理が実行されない。
【0127】
以上の実施例1によると、図17に示すように、当否判定の判定確率に基づいて区別される3つの遊技状態が択一的に実行される。つまり、(1)大当り確率及び小当り確率が低確率の状態(以下、Aゾーンという)と、(2)大当り確率及び小当り確率が高確率の状態(以下、Bゾーンという)と、(3)大当り確率が低確率で、小当り確率が高確率の状態(以下、Cゾーンという)とを択一的に実行できるため、遊技の多様化が図られている。
【0128】
ここで、Aゾーンは、所謂「ド通常の状態」であり、大当り確率は「1/320」、小当り確率は「1/640」とされ、時短状態には設定されない。
また、Bゾーンは、遊技者にとって最も多くの出球(賞球)が得ることができる状態であり、大当り確率は「1/60」、小当り確率は「11/14」とされ、時短状態には移行する。そして、大当り確率及び小当り確率が高い状態と、時短状態は、設定後に当否判定の結果が大当りにならない限り、累積10000回になるまで(略次回の大当りが発生するまで)」継続する。このBゾーンには、Aゾーン若しくはCゾーンにおいて確変大当りを発生すると当該確変大当りに基づく大当り遊技を実行した後に移行する。また、Bゾーンにおいて確変大当りを生ずると、当該確変大当りに基づく大当り遊技を実行した後、再度、Bゾーンが設定される。この場合、連チャンのチャンス(大当りを連続的に発生されるチャンス)が到来するばかり、次の大当りが発生するまでの間、高頻度で実行される小当り遊技によって、所定量の出球を得ることができる。
【0129】
更に、Cゾーンは、遊技者にとって多くの出球(賞球)が得ることよりも、遊技を楽しむ状態であり、大当り確率は「1/320」、小当り確率は「11/14」とされ、時短状態に移行する。そして、小当り確率が高い状態と時短状態は、設定後に当否判定の結果が大当りにならない限り、累積100回になるまで継続する。このCゾーンには、Aゾーン若しくはBゾーンにおいて通常大当りを発生すると、当該通常大当りに基づく大当り遊技を実行した後に移行する。また、Cゾーンで通常大当りを生ずると、当該通常大当りに基づく大当り遊技を実行した後、再度、Cゾーンが設定される。
なお、本実施例では、遊技者にとって、現在滞在しているゾーンを判り易くするため、演出図柄表示装置6の画面に表示される背景色、画面に表示される画面、擬似図柄の表示態様、表示されるキャラクタ等をゾーン毎に変更してもよい。
【0130】
実施例1のパチンコ機50によると、大当り遊技の実行後に移行する確率状態として、小当り確率を高確率とする状態に高確率状態(高小確率状態)を備えるため、小当りを連続して発生させることができる。つまり、高小確状態の小当り確率を、高大確状態の大当り確率よりも高い確率とするため、図18に示すように、小当り遊技を高頻度に実行することにより、小当り遊技に基づいて容易に出玉(賞球)を増加させることが可能となる。
【0131】
また、一般的に大当り遊技よりも出玉量が少ないと理解される小当り遊技の実行頻度を高くすること(大当り遊技よりも高頻度に実行すること)によって、遊技者が「遊技に対する依存症」になったり、遊技にめり込んだりすることを防止できる。ここで、図18の破線A1〜A2は、在来タイプの大当り遊技(第1大当り遊技)によって獲得可能な出玉数(例えば、12ラウンドで、最大約1400個)を示しており、実線B1〜B2は実施例1において実行される大当り遊技(第2大当り遊技)によって獲得可能な出玉(例えば、2ラウンドで、最大約234個)を示している。更に、実線Cは実施例1の小当り遊技で獲得可能な出球(例えば、2ラウンドで、最大約39個)を示している。
【0132】
実施例1のパチンコ機50では、1回の小当り遊技で獲得できる出玉数は抑制されているが、大当り遊技に比べて高い頻度で実行される。つまり、図18に示すように、大当り遊技B1、B2が実行される間に、多数回の小当り遊技Cが実行される。このため、大当り遊技が実行されない状態が暫く続いたり(填まったり)、射幸性を抑えるために在来型の大当り遊技の実行確率が抑制されていたりしても(つまり、本来、遊技者にとって面白くない状態が継続しても)、頻繁に小当り遊技を実行でき、遊技興趣を維持することができる。そして、高頻度に実行される小当り遊技に伴う、頻繁な「大入賞口14の開閉動作」により、遊技者を視覚的に楽しませたり、射幸性を徒に煽らない範囲で遊技者に適量の出玉を獲得させたりすることができる。
【0133】
このように、実施例1のパチンコ機50によると、出玉獲得速度を低下させている。つまり、小当り確変を設けることを通じて、頻繁に実行される小当り遊技によって出玉を少量ずつ増加させる構成を備える(図18を参照)。そして、「高頻度に小当り遊技を実行することによって得られる出玉獲得速度」は、「高頻度に大当り遊技を実行することによって得られる出玉獲得速度」よりも、遙かに緩やかとなっている。このため、大当り遊技の実行頻度(特に、在来型の大当り遊技の実行頻度)を抑制したり、在来型の大当り遊技を実行しないこととしたりして、遊技の健全性をより高めたとしても、小当り遊技を高頻度に実行可能とすることで、遊技興趣を維持することができる。
【0134】
また、実施例1のパチンコ機50では、大高確率状態においては所定回数(100回)を上回って(10000回)、小高確率状態を実行可能とするので、従来、遊技者にとってはあまりうれしくない嵌りを生じても(大高確率状態に以降したのに、なかなか大当りを発生させられない状態を生じても)、小確変状態が継続し、小当り遊技を高頻度に実行できるため、遊技者にとってうれしいものとすることが可能となる。
【0135】
特に、従来では、十分に連チャンを発生させられず(短期間に大当りを連続発生させられず)、不満を抱いて遊技止め(遊技を終了する)をするケースであっても、実施例1のパチンコ機50では、小当り遊技を高頻度に実行できるため、遊技者に満足感を与えることができる。
【0136】
なお、実施例1においては、前述のように、大当り遊技のラウンド数を抑制した(第2大当り遊技のみを実行し、第1大当り遊技を実行しないこととした)。但し、大当り遊技におけるラウンド数を多く(例えば、6ラウンド以上)してもよい。また、大当り遊技及小当り遊技のうちの少なくとも一方において、ラウンド数を1種類のでなく、複数種類設けてもよい。但し、各実施例では、小当り遊技のラウンド数を1種(1ラウンド)に限定し、遊技の射幸性をより確実に抑制している。
また、大当り遊技及び小当り遊技のうちの少なくとも一方においてラウンド数を複数種類設ける場合には、特図1に基づく当否判定の結果が、当り(大当り、小当り)であることに基づいて実行される当り遊技のラウンド数と、特図2に基づく当否判定の結果が当り(大当り、小当り)に基づいて実行される当り遊技のラウンド数の「平均値」が異なるようにしてもよい。
【0137】
例えば、図19の変形例2に示すように、特図1に基づく当否判定の結果が大当りである場合、乱数抽選(例えば、図10のS235及びS238の処理、若しくは、大当り図柄を決定する乱数抽選)によって、大当り図柄(確定表示図柄)が「A1」〜「D1」の何れかに決定され、特図2に基づく当否判定の結果が大当りである場合、乱数抽選によって、大当り図柄が「A2」〜「D2」の何れかに決定されるものとする。そして、大当り図柄A1、C1、A2若しくはC2に決定されると、大当り遊技のラウンド数が「2」とされ、大当り図柄B1、D1、B2若しくはD2に決定されると、大当り遊技のラウンド数が「12」とされる。そして、大当り図柄A1、B1、A2若しくはB2が通常大当り図柄であり、大当り遊技終了後の小確変回数と時短回数が、当否判定を100回行うことを上限継続回数とする。また、大当り図柄C1、D1、C2若しくはD2が確変大当り図柄であり、大当り遊技終了後の大確変回数と、小確変回数と、時短回数が当否判定を10000回行うことを上限継続回数とする。
【0138】
また、変形例2では、ラウンド数が12回行う大当り遊技を実行される確率が、(1)特図1に基づく当否判定が大当りとなる場合よりも、特図2に基づく当否判定が大当りとなる場合の方が高くなっている。なお、変形例2では、大当り遊技のラウンド数を、特図1よりも特図2の当否判定が大当りとなる場合に多くなる確率を高くした。但し、前述の様に、仮に小当り遊技のラウンド数を複数設ける態様を採用する場合においては、小当り遊技のラウンド数を、特図1よりも特図2の当否判定が大当りとなる場合に多くしたり、逆に、特図2よりも特図1の当否判定が大当りとなる場合に多くしたりしてもよい。
【0139】
また、変形例2に示すように、小当りの開放パターン(開放動作のパターン)は複数種類備えていてもよく、開放回数や開放時間などを異ならせることで、小当りにも有利さに差をつけるようにしてもよい。例えば、前述のように、小当り遊技をラウンド数が「1」、開放時間を「1.8秒の範囲内」とする制限下で、1ラウンドで複数回、短時間開放を繰り返したり、短時間開放の繰り返し回数が異なようにすることもできる。
【0140】
より具体的には、当否判定の結果が小当りである場合には乱数抽選(例えば、小当り図柄を決定する抽選)によって、実行する小当りの態様(短時間開放の時間や回数)が決定されることとしてもよい。この場合、図20に示すように、乱数抽選で選択される種々の態様の小当り遊技をランダムに、しかも、高頻度に実行できる。例えば、「1ラウンドにおいて、0.6秒の短時間開放を1回行う小当り遊技C1」、「1ラウンドにおいて、0.6秒の短時間開放を、0.5秒の中間停止を挟み2回行う小当り遊技C2」、「1ラウンドにおいて、0.6秒の短時間開放を0.5秒の中間停止を挟み3回行う小当り遊技C3」を実行してもよい。この場合、遊技に変化や意外性を生じさせ易く、遊技の健全性を高めつつ、より遊技興趣を高めることができる。なお、図20において、D1〜D3は大当り遊技の出玉量を示す棒グラフである(但し、出玉量は実際に1000個以上であるが、図示の都合上、出玉量の一部のみを図示している)。また、「C1」は小当り遊技C1の出玉量、「C2」は小当り遊技C2の出玉量、「C3」は小当り遊技C3の出玉量を模式的に示す棒グラフであり、小当り遊技では大当り遊技に比べて遙かに出玉量が少ないことを示している。
このように、図20に示す場合においても、小当り確変を設けることを通じて、頻繁に実行される小当り遊技によって出玉を少量ずつ増加させることができ、得られる出玉獲得速度が緩やかであることを示している。
【0141】
更に、小当り高確率状態の付与される回数を複数備えて、大当りの種類(「確変大当り・通常大当り等の種類」、「大当り遊技のラウンド数に基づく種類」)や、遊技状態(例えば、大・小の確率状態、開放延長機能の作動の有無等の遊技状態)によって、異なる回数付与する構成としてもよい。
【0142】
また、実施例1では大当り遊技の実行後に、小当り確変と時短をセットで付与したが、小当り確変時に時短は作動しない構成としてもよい。このような仕様にする場合は、実施例1では普通電動役物15(始動口2)への入賞が困難なため、始動口2を常時入賞可能な入賞口としてもよい。
【0143】
例えば、前述のように、普通電動役物15から前述の障害部材12aを排除したり、センターケース5の左側部に始動口2を設け、センターケース5に傾動可能に支持された翼片より、始動口2を開閉する構成を採用したりして、始動口2を常時入賞可能な入賞口としてもよい。
【0144】
ただ、始動口2を常時入賞可能にした場合、小当り高確率状態時に出玉を増える構成にしようとするとある程度始動口2の入賞は容易にする必要があり、このようにすると、通常状態時から始動口2を狙う遊技者が出てくる可能性があるので、特図2の平均変動時間を特図1より長くすることで変動効率を悪くしたり、特図2は通常状態からの大当りでは、小当り確変に行かないようにしたりと、デメリットを設けるのがよい。このように小当り高確率状態と時短状態をセットにしないことと(例えば、前述のケース1若しくはケース2を採用することと)してもよい。時短状態のように頻繁に入賞し、高速変動するわけではないので、遊技速度があがらないことで単位時間当たりの出玉を抑えることが可能となり、さらに射幸心を抑えることも可能となり、のめり込みといった問題の発生を防ぐこともできる。
【0145】
(2)実施例2
実施例2のパチンコ機50は、(1)所謂「STタイプ(回数切りタイプ)」のパチンコ機50である点と、(2)大当り遊技の実行後の大当り判定に関する確率状態を高確率に設定する場合よりも、低確率に設定する場合に、高小当り確率状態を長く継続可能とする点が実施例1と異なる。そして、実施例2においても、図1〜5、図7図16を適用することできるが、図6の代わりに図21を用い、図17の代わりに図22を用いる。
以下、実施例2のパチンコ機50について、実施例1のパチンコ機50との相違点を中心に説明する。
【0146】
先ず、図21は、実施例2のパチンコ機50で実行される遊技の概要を示している。この実施例2のパチンコ機50においても、当否判定(SA1)の結果が大当りであると(SA5;YES)、当否判定の結果の結果として確定表示させる大当り図柄が乱数抽選によって確変大当り図柄若しくは通常大当り図柄に決定される。このとき、確変大当り図柄が選択される確率(高確変移行率)は99%とされ、通常大当り図柄が選択される確率は1%とされる。
【0147】
そして、確変大当り図柄が確定表示される場合は(SA10)、ラウンド数を2回とする大当り遊技を実行する(SA13)。また、大当り遊技を終了した後、「特別図柄の変動表示回数(当否判定の実行回数)が100回になるまで、大当り確率が高確率(大高確)で、小当り確率が高確率(小高確)の状態となると共に、時短状態(時短機能及び開放延長機能が作動する状態)となる(S16A)。そして、特別図柄の変動表示回数(当否判定の実行回数)が100回を超えると、高確率(大高確、小高確)の状態、時短状態を終了する。なお、特別図柄の変動表示回数(当否判定の実行回数)が100回になるまでに、確変大当り図柄が確定表示されると、当該確大当り変図柄の確定表示に基づく大当り遊技を終了後、特別図柄の変動表示回数が100回になるまで、高確率(大高確、小高確)の状態になると共に、時短状態となる(SA16)。
【0148】
ここで、100回は、請求項2の発明の「第1所定回数」の具体例を構成する。そして、図16のS830、S840、S850の処理においては、各カウンタに「100」が設定される。そして、大当り確率が高確率(大高確)で、特別図柄の変動表示(当否判定)を行うことを「大確変遊技を行う」と称し、100回は「大確変遊技の上限回数」である。つまり、大当り確率が高確率(大高確)としてから実行される特別図柄の変動表示回数が上限回数になっても、大当りを発生しない場合には、大当り確率が低確率(大低確)に移行する。
【0149】
また、通常大当り図柄が確定表示される場合も(SA20)、ラウンド数を2回とする大当り遊技を実行する(SA23)。そして、大当り遊技を終了した後に実行される「特別図柄の変動表示回数」が10000回になるまで(次回の大当りを発生するまで)、小当りとなる確率が高確率となる。また、大当り遊技を終了した後に実行される「特別図柄の変動表示回数」が10000回になるまで(次回の大当りを発生するまで)、時短状態(時短機能及び開放延長機能が作動する状態)となる。ここで、10000回は、請求項2の発明の「第2所定回数」の具体例を構成する。そして、図16のS860、S870の処理においては、各カウンタに「10000」が設定される。
【0150】
更に、実施例2においても、当否判定の結果が大当りでない場合(SA5;NO)には、当否判定の結果が小当りであるか否かが判定される。なお、実施例2においても、「小当りとなる確率が高確率(小高確)」である場合には、「11/14」の確率で小当りを発生し、「小当りとなる確率」が通常確率(低確率)の状態になるときは、「1/640」の確率で小当りを発生する。
【0151】
そして、当否判定の結果が小当りである場合(SA30;YES)、小当り図柄が確定表示された後(SA32)、ラウンド数を1回とする小当り遊技を実行する(SA35)。なお、実施例2においても、小低確の確率を「ゼロ」とすること(小当りを発生しないこと)としてもよい。
また、実施例2においても、当否判定の結果が大当りでも、小当りでもない場合は、外れとなる(SA40)。
【0152】
実施例2のパチンコ機50においても、図22に示すように、(1)大当り確率及び小当り確率が低確率の状態のAゾーン(大当り確率;1/320、小当り確率;1/640、時短状態に設定されない非時短状態)と、(2)大当り確率及び小当り確率が高確率の状態のBゾーン(大当り確率は;1/60、小当り確率;11/14、時短状態)と、(3)大当り確率が低確率で、小当り確率が高確率の状態のCゾーン(大当り確率;1/320、小当り確率;11/14、時短状態)を択一的に実行でき、遊技の多様化が図られている。
【0153】
そして、Bゾーンには、「Aゾーン若しくはCゾーン」において確変大当りを発生させると、当該確変大当りに基づく大当り遊技を実行した後に移行する。また、Cゾーンには、「Aゾーン若しくはBゾーン」において通常大当りを発生させると、当該通常大当りに基づく大当り遊技を実行した後に移行する。更に、Bゾーンで確変大当りを発生させると、当該確変大当りに基づく大当り遊技を実行した後、再度、Bゾーンが設定される。また、Cゾーンで通常大当りを発生させると、当該通常大当りに基づく大当り遊技を実行した後、再度、Cゾーンが設定される。
【0154】
実施例2においても、Bゾーンは、遊技者にとって最も多くの出球(賞球)を得ることができる状態であり、大当り確率は「1/60」、小当り確率は「11/14」とされ、時短状態には移行する。但し、大当り確率及び小当り確率が高い状態と、時短状態は、当否判定の実行回数が100(第1所定回数)になることを上限に継続する。
また、実施例2においても、Cゾーンは、遊技者にとって多くの出球(賞球)を得ることよりも、遊技の楽しみを得ることができる状態であり、大当り確率は低確率とされるが、小当り確率が高い状態と時短状態は、設定後に当否判定の結果が大当りにならない限り、当否判定の回数が10000回になるまで継続する。
【0155】
実施例2のパチンコ機50によると、「大当り確率を低確率とする大当り(通常大当り)を発生させた場合でも「小当り確率を高確率とする状態」が、「大当り確率を高確率とする大当り(確変大当り)を発生させた場合よりも、多い回数(当否判定回数)付与される。つまり、通常大当りを発生させても、長い期間に亘って、小当り遊技を高頻度に実行可能とする。このため、遊技者に有利な状態を付与し、出玉を増やすことが可能となる。従って、小高確状態に移行することで、高頻度に出玉を獲得できる可能性を作ることで、遊技者に「大低確状態に移行する大当り(通常大当り)」を発生させても、ガッカリさせることを無くすことができる。
また、実施例2のパチンコ機50によっても、小当り遊技の実行に伴う増加は、出玉獲得速度を緩やかにするので、遊技者が「遊技に対する依存症」になったり、遊技にのめり込んだりすることを防止できる。
【0156】
更に、実施例2のパチンコ機50においては、次のように大当り確率を定めることで以下の効果を得ることができる。
つまり、「(1)低大当り確率状態において、大当り確率の分子を1とした場合の分母の数値を、(2)高大当り確率状態において、大当り確率の分子を1とした場合の分母の数値に大高確で連続して移行する平均回数より1を減じた数値を乗算した値と、第1回数(大高確の上限回数)と、を加えた数値よりも大きい数値とすると」、遊技者が「大低確率状態に移行する大当りを発生させたい」と考える遊技性を得ることができる。
【0157】
ここで、変形例3では、大高確の大当り確率を「1/60」、低高確の大当り確率を「1/345」、大高確における当否判定の上限実行回数を「100」とする。この場合、図23(a)に示すように、大高確状態で当否判定を繰り返した場合、「大高確状態の上限実行回数(100)」になるまでに、大当りを発生させられる確率は「約80%」となる。
つまり、大高確で行う当否判定(以下、大確変遊技という)を繰り返すことで大当りを発生させる確率は「1−(59/60)100」となる。
ここで、「59/60」は大高確状態であるとき、1回の当否判定で大当りとならない確率である。よって、大当りを発生し、大高確状態が設定されると、大確変遊技の上限回数100回になるまでに、大当りを発生する確率は「1−(59/60)100」、つまり、約80%となる。
【0158】
このため、大低確状態で大当り(99%確変大当り)を発生させ、遊技状態が大高確状態に移行すると、約80%の割合で大当りを発生させることができる。そして、初当りで大高確状態になったとき、平均で4回の大当りを発生させることができ、初当りを含めて平均5回の大当りが、ほほ連続的に発生すること(平均5連チャンすること)になる。つまり、初当り後に4回の大当りを発生させ、短期間に5回(初当りを含めて5回)の大当りを発生する。
【0159】
そして、遊技状態が大高確状態に移行すると、大高確の大当り確率が「1/60」であるため、「高確変遊技」を平均340回(60回×4+100回)実行でき、小高確状態で実行される当否判定の回数(ゲーム数)も平均340となる。
一方、変形例3では、大低確状態であるとき、大当り確率が「1/345」であるため、小高確状態で実行される当否判定の回数(ゲーム数)は平均345回(ゲーム数)となる。つまり、変形例3によると、大低確状態の方が大高確状態よりも、小高確状態で実行されるゲーム数(当否判定回数)が多くなり易い。
【0160】
しかも、変形例3においては、1回の大当り遊技が実行されると得られる出玉数と、1回の小当り遊技が実行されると得られる出玉数が同じであるため、従来にはない遊技性(大低確率状態に移行する大当りを発生させたいという遊技性)を実現することができる。
なお、変形例4として、大高確の大当り確率を「1/45」、低高確の大当り確率を「1/300」、大高確における当否判定の上限実行回数を「70」とする態様を例示できる。この場合も、大低確状態であるとき、小高確状態で実行される当否判定の回数(ゲーム数)を、大高確状態で実行される回数(ゲーム数)よりも多くし易いため、変形例3と同様な効果を得ることができる。
【0161】
また、実施例2、変形例2及び変形例3において、大低確状態で小高確状態であるとき(Cゾーンに滞在するとき)には、大高確状態で小高確状態を継続中(Bゾーンに滞在中)よりも、大当りを含めた総獲得量(総出玉数)が多くなることが望ましい。つまり、前者の場合(Cゾーンに滞在中)は、小高確状態が実行されるゲーム数が多くなるため、小当り遊技の実行回数を増やし、総獲得量よりも多くすることで、前者の場合(Cゾーンに滞在中)を有利な状態とできる。この場合、射幸性を向上させない程度の賞球を多数回行い、遊技興趣を向上させることができる。
【0162】
また、実施例2では、通常大当りを発生させると、小高確状態が「当否判定を10000回行うことを限度」に付与される構成であったが、通常大当りを発生させても、小高確状態に移行しないものを含んでもよい。更に、小高確状態が実行される上限回数を必ずしも10000回に限定せず、100回、200回、300回等、複数種類設定してもよい。例えば、乱数抽選(例えば、大当り発生時に決定される大当り図柄に応じて)、小高確状態で行う当否判定回数を選択してもよい。
【0163】
また、実施例2では、確変大当りの発生に基づいて設定される有利状態(大当り判定を高確率で行う状態、時短状態)の上限回数(上限当否判定回数)として「100回」を例示したが、当該上限回数を「100回」よりも多くしてもよい。例えば、実施例1と同様、10000回(次回の大当りを発生するまで)設定してもよい。そして、図24(a)の変形例5に示すように、大当り確率を高確率から低確率に転落させる転落抽選(従来の確変転落抽選)を備え、所定確率で「大当り確率の高確率状態(大高確の状態)」など有利な状態を終了する構成としてもよい。ここで、図24(a)は、図9の処理を変形例5に適用するため、図9の読み替え部分を示す説明図である。
つまり、変形例5では、図9のS220の処理で肯定判定される場合(S220;YES)、図24(a)に示すように、転落抽選処理を行い(S222)、転落抽選に当選すると(S224;YES)、大確変フラグを解除(「0」をセット)し(S226)、S230の処理に移行し、転落抽選に落選すると(S224;NO)、大確変フラグを維持し、S228の処理に移行する。以下、S228の若しくはS230以降の処理は、実施例1と同様である。
【0164】
ここで、変形例5の場合、確変大当り発生後、100回転未満での転落抽選に当選であれば、時短状態や小当りの高確率状態(小高確状態)が、当否判定を100回行うまで継続するようにされてもよい。また、転落抽選に関する処理(S222、S224、S226の処理)を、S228若しくはS230の処理を実行した後に行ってもよい。つまり、転落抽選に当選し(S224;YES)、大確変フラグを解除すると(S226)、時短フラグ及び小確変フラグも解除し、以後、時短状態及び小高確状態が継続しないこととしてもよいし、時短フラグ及び小確変フラグを解除せずに、時短カウンタの値(上限値)と、小確変フラグの値(上限値)を、当該転落抽選に当選を契機に変更してもよい。例えば、「時短状態及び小高確状態に移行の契機となった通常大当りに基づく大当り遊技の終了から、当否判定の実行回数を10000とする値」から「100回とする値」に変更してもよい。
【0165】
また、変形例5において転落抽選により転落する確率(転落当選確率)よりも、大当り低確率状態による大当り確率の方を低く設定することで、通常大当り後に小当り高確率状態が設定される場合に、前述の実施例2と同様に、小当り高確率状態で実行される当否判定の実行回数を多くでき、本来、遊技者にとって満足度が低い(確変大当りの発生に比べて満足度が低い)、通常大当り発生を、有利なもの(小確変状態に実行回数の点で有利なもの)とすることが可能である。
【0166】
尚、転落抽選として大当り確率が高確率状態(大高確の状態)ではなく、図24(b)に示す変形例6のように、小当り確率が高確率状態(小高確の状態)の転落を抽選する構成でもよい。ここで、図24(b)は、図10の処理を変形例6に適用するため、図10の読み替え部分を示す説明図である。
【0167】
つまり、変形例6によると、図10のS240の処理で肯定判定される場合(S240;YES)、図24(b)に示すように、小当り確率に関する転落抽選処理を行い(S241)、転落抽選に当選すると(S243;YES)、小確変フラグを解除し(S245)、S248の処理に移行し、転落抽選に落選すると(S243;NO)、小確変フラグを維持し、S246の処理に移行することとしてもよい。この場合、S243の転落抽選の当選確率を大低確状態である場合と、大高確状態である場合とで差異を設け、大低状態である場合の方が、転落確率が低くなる構成がよい。蓋し、大低確状態で、かつ、小高確状態に維持できれば、小高確状態で実行できる当否判定の回数を多くすることができるからである。
【0168】
また、実施例2においては、特図1のみの小当り判定の高確率状態(小高確の状態)や、特図2のみの小当り判定の高確率状態(小高確の状態)を備えていてもよい。また、これらは大当り図柄の種類によって分けられていることが望ましい。例えば、特図1の小当り判定において大当りを生じ、大当り図柄Aが選択れされると、小高確の状態となり、大当り図柄Aが選択れされると、小高確の状態とならないこととしてもよい。
更に、特図1のみ小当り判定の高確率状態(小高確の状態)が発生する構成を含む場合は、第1始動口11(特図1始動口)を狙う遊技領域側(第1遊技領域3a)に発射しても大入賞口14に入賞可能な位置に設けることが望ましい。
【0169】
例えば、図2に破線で示すように、センターケース5の下に第1始動口11が設けられ、更に、第1始動口11の下方に大入賞口14が配置される盤面構成を備えると、特図1のみ当り判定の高確率状態(小高確の状態)を発生させる構成が有効となる。つまり、図2に破線で示す盤面構成を備えると、第1始動口11への遊技球の入球を狙い、小当り遊技の実行頻度を高めつつも、大入賞口14に円滑に遊技球を入球させることができる。
【0170】
また、実施例2においては、特図1と特図2で小当り確率が異なるようにしてもよい。
更に、大入賞口14内に特定領域(遊技球が進入することで、小当り確率を向上させる確変口)を設け、小当り高確率状態は大当り中に確変口に入球することで突入するものとしてもよい。但し、特定領域(確変口)が有効となる期間を設定し、大当り遊技が開始してから所定時間経過後に、有効期間が開始され、有効期間内に特定領域(確変口)に遊技球が到達した場合に限り、小当り確率を高確率としてもよい。
【0171】
また、実施例2においては、確変大当りを発生した場合において、「設定される大高確遊技の上限回数(大高確で実行可能な当否判定回数の上限回数)」と、「設定される小高確遊技の上限回数(小高確で実行可能な当否判定回数の上限回数)と、を等しくした。但し、「大高確遊技の上限回数」と「小高確遊技の上限回数」とが異なる発明(以下、参考発明という)を例示することもできる。例えば、(1)「小高確遊技の上限回数」を「大高確遊技の上限回数」よりも多くし、「大高確遊技の上限回数」が終了した後、「大高確遊技及び小高確遊技のうちの小高確遊技」を「小高確遊技の上限回数」まで実行したり、(2)「大高確遊技の上限回数」を「小高確遊技の上限回数」よりも多くし、「小高確遊技の上限回数」が終了した後、「大高確遊技及び小高確遊技のうちの大高確遊技」を「大高確遊技の上限回数」まで実行する態様を例示できる。
【0172】
例えば、図25の変形例7は、遊技状態として、実施例2と同様なAゾーンと、Bゾーンと、Cゾーンを備える。但し、変形例7では、遊技状態として、大低確状態で小高確状態であるが、時短状態に設定されないDゾーンを備え、遊技のより一層の多様化が図られている。
変形例7では、確変大当りを発生ずると、当該確変大当りに基づく大当り遊技を実行した後にBゾーンに移行する点は、実施例2と同様である。但し、「大高確遊技」及び「時短状態」の上限回数が「100」に設定され、「小高確遊技の上限回数」が「300」に設定される。このため、Bゾーンに滞在し、当否判定回数が100回になっても大当りを発生しないと、遊技状態はDゾーンに示す遊技状態に移行する。なお、Dゾーンに移行した後、当否判定回数が200回(300回−100回)になっても大当りを発生しないと、遊技状態はAゾーンに示す遊技状態に移行する。また、通常大当りを発生し、当該通常大当りに基づく大当り遊技を実行した後にCゾーンに移行し、「小高確遊技」の上限回数が「500」に設定され、「時短状態」の上限回数が「100」に設定される。
更に、Dゾーンに滞在しているとき、確変大当りを発生すると、当該確変大当りに基づく大当り遊技を実行した後にBゾーンに移行する。また、Dゾーンに滞在しているとき、通常大当りを発生すると、当該通常大当りに基づく大当り遊技を実行した後にCゾーンに移行する。
このように、変形例4では、「小高確遊技の上限回数」と「大高確遊技の上限回数」とを一致させないため、移行する遊技状態を更に多様化することができる。
【0173】
以上のように本発明の実施例を説明したが、本発明の範囲は前述の実施例や変形例に示す範囲に限定されず、本発明の範囲内で種々の変形例を例示することができる。
つまり、各実施例では、大当りを発生し、大当り遊技を実行した後(役物連続作動装置を作動させた後)に、小確変フラグをセットする態様を説明したが(図16を参照)、小当りを発生することに基づいて、小確変フラグをセットする変形例(以下、変形例8という。)を例示できる。つまり、小当り遊技終了(図13のS560を参照)において、小確変フラグをセットしてもよい。
例えば、図10のS250の処理で肯定判定されると、乱数抽選(例えば、小当り図柄を選択する処理、つまりS256の小当り図柄選択処理を乱数抽選として用いてもよい。)を行い、小当り図柄を選択する。
【0174】
そして、変形例8のパチンコ機50では、例えば、図26に示すように、特図1に基づく当否判定の結果が小当りとなる場合、確定表示される小当り図柄の種類に応じて、異なる開放態様(小当り遊技を大入賞口14を1回開放状態とする開放態様、1ラウンドにおいて実行する小刻みな短時間開放を繰り返す態様)の小当り遊技を実行してもよい。同様に、特図2に基づく当否判定の結果が小当りとなると、確定表示される小当り図柄の種類に応じて、異なる態様の小当り遊技を実行してもよい。
そして、何れの場合でも、確定表示される小当り図柄(つまり、乱数抽選で選択される小当り図柄)として、確変小当り図柄若しくは通常小当り図柄が選択される。ここで、確変小当り図柄は、当該確変小当り図柄の確定表示されることに基づく小当り遊技を実行した後、小当り確率を高確率に設定することになる小当り図柄である。また、通常小当り図柄は、当該通常小当り図柄の確定表示されることに基づく小当り遊技を実行した後、小当り確率を低確率に設定することになる小当り図柄である。
【0175】
ここで、図26の上欄及び下欄には、選択される小当り図柄の種類(小当り図柄は7セグメントLEDの表示態様で区別されるが、変形例ではa1〜a5、b1〜b5と省略して表示)に応じて、実行される小当りの種類、「小高確状態で実行される当否判定の上限回数」が設定される。ここで、図26の上欄及び下欄の何れにおいても、小当り遊技のラウンド数は「1」である。そして、「1K小当り」とは、「当該1ラウンドにおいて、大入賞口14を1.8秒間に亘って開放状態とすることを1回行うことを内容とする小当り遊技」の実行契機となる小当りを示し、「2K小当り」とは、「当該1ラウンドにおいて、大入賞口14を0.9秒間に亘って開放状態とすることを2回行うことを内容とする小当り遊技」の実行契機となる小当りを示す。また、「3K小当り」とは、「当該1ラウンドにおいて、大入賞口14を0.6秒間に亘って開放状態とすることを3回行うことを内容とする小当り遊技」の実行契機となる小当りを示す。
また、図26の上欄及び下欄の何れにおいても、小確変回数とは、小当り確変状態で実行される当否判定の上限回数を示し、発生率とは、個々の小当りが選択される100分率を示している。また、特図2に基づく当否判定の結果が小当りとなる場合の方が、特図1に基づく当否判定の結果が小当りとなる場合よりも賞球上、有利としてもよい。
【0176】
変形例5によると、大当りの発生の有無とは切り離して小当り確変を設定する。そして、変形例8によっても、個々の小当り遊技の出球が在来の大当り遊技を実行する場合よりも抑制している。よって、小当り遊技の実行頻度を高くして、遊技興趣を高めつつも、徒に射幸性を煽ることはない。
【0177】
また、本発明によると、小当りの発生確率が大当りの発生確率よりも高いため、大当りが発生する合間に小当りを発生させることができる。このため、在来型の大当り遊技(例えば、12ラウンドの大当り遊技)の実行契機となる大当りの発生頻度を低くし、射幸性を抑制しても、遊技興趣が低下することを防止できる。つまり、前回の大当り遊技が実行されてから、次回の大当り遊技が実行されるまでの時間が長くなっても、小当り遊技を頻繁に実行することで遊技興趣を維持できる。しかも、小当り遊技の出球が少量であるため、徒に射幸心を煽ることを防止できる。
【0178】
また、前述のように、第1特別図柄と第2特別図柄を同時に変動させることとすれば、当否判定の実行頻度が高められる(例えば、実施例1の場合よりも2倍の頻度とすること等もできる)ため、小当りの発生頻度を更に高めることができる。例えば、第1特別図柄と第2特別図柄を同時に変動させた結果が、第1特別図柄及び第2特別図柄の一方が外れ図柄を表示しても、第1特別図柄及び第2特別図柄の他方が小当りを表示する場合には、小当り遊技を実行することとすれば、小当りの発生頻度を更に高めることができる。しかも、本発明では、小高確状態を設けているため、小高確状態において、当該同時変動によって小当り遊技の実行頻度を更に一層高めること(小低確状態に比べて更に一層高めること)ができ、遊技興趣をより確実に維持することができる。
【0179】
このように、第1特別図柄と第2特別図柄を同時に変動させる態様では、第1始動口11と第2始動口12の入賞頻度を近づけること(第1始動口11への入賞に基づく保留記憶数と、第2始動口12への入賞に基づく保留記憶数を大差がないようにすること)が望ましい。例えば、第2遊技領域3b、第1遊技領域3a、或いは、センターケース5の直下において、第1始動口11と第2始動口12を左右に並べ、しかも、入賞率に差異を生じない状態(例えば、両者とも非可変式の入賞口)とすることで実現できる(以下、応用例1という)。また、遊技領域3に設けられた入球口と、入球口に入球した遊技球の遊技先を第1経路と、第2経路とに交互に振り分ける交互振分手段とを備え、第1経路を第1始動口11に連絡し、第2経路を第2始動口12に連絡することで、実現できる(以下、応用例2という)。
【0180】
応用例1及び応用例2の何れの場合においても、小高確状態において小低確状態よりも、第1特別図柄と第2特別図柄の変動時間を短くして、小高確状態の小当り遊技の実行頻度を更に高くすることで、遊技興趣を更に一層高めることができる。
同様に、第1特別図柄と第2特別図柄を同時に変動するのではなく、実施例1に示すように、第2特別図柄を第1特別図柄よりも優先して変動させたり、始動入賞順に特別図柄を変動させたりする場合にも、遊技状態が小高確状態である場合には、遊技状態が小低確状態である場合に比べて、第1特別図柄と第2特別図柄の変動時間を短く設定し、当否判定の実行頻度を高めることで、小高確状態における小当りの発生頻度を更に高め、遊技興趣を更に高めることができる(以下、応用例3という)。
【0181】
以上、各実施例、各変形例、各応用例で述べたように、小当り確変状態を設けることで、従来に比べて高頻度に小当り遊技を実行することができる。この従来に比べて高頻度に小当り遊技を実行することは、小当り確変(小高確状態)を設けることによって得られる効果であり、遊技状態が小当り確変の状態にないとき(小低確状態にあるとき)に得ることは困難である。このため、小当り確率が通常の状態(小低確状態)にあるとき、小当りを狙う遊技を行うことができないばかりか、その価値も少ない。
【0182】
前記実施形態では、所謂デジパチタイプのパチンコ機50を例示したが、これに限らず、本発明を、所謂ハネモノタイプ、混合機(1種2種混合機)、Vチャレ機等として構成されたパチンコ機にも適用することができる。
【0183】
また、本実施形態のパチンコ機50は遊技球を払出す構成であるが、入賞等に応じて発生した賞球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。発射制御装置84は、発射モータ29を制御して、遊技領域3に遊技球を発射させる。そして、本実施形態では、「発射装置84を遊技領域3の外側下方に配置し、下方から上方に向かって発射し、誘導路を通じて遊技領域3の上方に到達させ、遊技領域3を流下させる下方発射型のパチンコ機1」を例示するが、「発射装置84を遊技領域3の外側上方に配置し、遊技球を遊技領域3の上方から遊技領域3に向かって発射する上方発射型のパチンコ機1」に対しても、本発明を好適に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明は遊技機を製造、販売、使用する分野において使用できる。
【符号の説明】
【0185】
1;遊技盤、3;遊技領域、5;センターケース、6;演出図柄表示装置、7;第1特図表示装置、8;第2特図表示装置、11;第1始動口、11a;第1始動口SW、12;第2始動口、12a;第2始動口SW、80;主制御装置、83;サブ統合制御装置。
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