(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吐出口と、前記吐出口からの吐水が原水か浄水かを切り換えうる切換機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切換機構による原水から浄水への切換を規制し、且つ、前記第2状態では前記切換機構による原水から浄水への切換を許容する規制部材と、前記規制部材が配置された浄水流路と、原水流路と、カートリッジ装着部と、を備えた浄水機能付き吐水ヘッドに装着可能な浄水カートリッジであって、
浄水機能部と、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部とを有している浄水カートリッジ。
前記規制解除部が前方に向いた面であり、浄水カートリッジを前方から見た正面視において前記規制解除部が視認される請求項1から3のいずれか1項に記載の浄水カートリッジ。
前記水中の物質が、塩素、揮発性有機化合物、農薬物質、かび臭物質及び重金属からなる群から選択される1以上である請求項14から17のいずれか1項に記載の浄水カートリッジ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
なお、特に説明しない限り、本願における径方向とは、正規位置に取り付けられた浄水カートリッジの径方向を意味する。特に説明しない限り、本願における軸方向とは、正規位置に取り付けられた浄水カートリッジの軸方向を意味する。
【0015】
特に説明しない限り、本願における上流側とは、水の流れにおける上流の側、下流側とは水の流れにおける下流の側を意味する。また、浄水カートリッジにおいては、上記軸方向を基準として、上流側及び下流側が判断される。すなわち、浄水カートリッジでは、軸方向先端側が下流側であり、軸方向後端側が上流側である。また、特に説明しない限り、下流側は前方とも称され、上流側は後方とも称される。
【0016】
本願では、浄水カートリッジがカートリッジ装着部に装着されていない状態が、未装着状態とも称される。また、浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部に装着されている状態が、装着状態とも称される。装着状態では、浄水カートリッジPC1が正規位置に装着されている。
【0017】
[本開示の基礎となった知見]
上述したタイプの水栓では、浄水カートリッジが装着されている時間が長い。浄水カートリッジが装着されている限り、規制部材及び規制解除部は、動かない。PCT/JP2018/000349に開示の水栓では、規制部材及び規制解除部は、長期間、動かない状態(不動状態)におかれる。
【0018】
長期間の不動状態により、規制部材、規制解除部及びそれらの周辺に、水アカや汚れなどが付着しやすい。長期間の不動状態により、規制部材と規制解除部との間、及び、規制部材とそれを支持する支持部との間で、固着が生じやすい。この固着は、動作不良を招来しうる。
【0019】
本開示は、かかる知見に基づくものであり、動作不良を抑制しうる構成を開示する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る水栓装置2の斜視図である。水栓装置2は、流し台(図示されず)に取り付けられている。
図1では、視認されない部分、すなわち、流し台の内部にある部分の記載は省略されている。なお、水栓装置2の設置場所として、流し台の他、洗面台及び浴室が例示される。
【0021】
水栓装置2は、本体部4、レバーハンドル6及び吐水ヘッド8を有する。水栓装置2は、いわゆるシングルレバー式水栓である。レバーハンドル6の左右回動により吐水の温度が調節されうる。レバーハンドル6の上下回動により吐水量が調節されうる。本体部4の内部には、吐水の温度及び吐水量の調節を可能とする弁機構が内蔵されている。この弁機構は公知である。
【0022】
図示しないが、水栓装置2を有する水栓器具は、湯導入管及び水導入管を有する。湯導入管は、例えば、給湯器から延びる配管に接続される。水導入管は、例えば、給湯器を経ることなく、上水道の配管に接続される。
【0023】
前記湯導入管には、加熱された湯が導入される。加熱は、給湯器によりなされる。前記水導入管には、加熱されていない水が導入される。前記弁機構により、湯と水との混合比率が調整される。この混合比率により、吐水の温度調節が達成される。なお以下では、加熱された湯、加熱されていない水及びこれらの混合液体が、単に「水」とも称される。
【0024】
吐水ヘッド8は、導水部10、切換部12、操作部14、水形調整部16、表示部20及び吐出口22を有する。本実施形態では、操作部14は、押しボタンである。導水部10は、把持部としても機能する。押しボタン以外の操作部14として、レバー及びダイヤルが例示される。レバーの操作部及びダイヤルの操作部は、公知である。
【0025】
水形調整部16は、吐出される水の形状(水形)を変化させうる。水形調整部16は、水形調整レバー18を有する。水形調整レバー18を操作することで、水形が変化しうる。水形調整レバー18の操作により、二種以上の水形が選択されうる。二種の水形が選択されうる構成の場合は、ストレート水形とシャワー水形を選択できるようにするのがよい。三種の水形が選択されうる構成の場合は、ストレート水形と、異なるシャワー吐水様態の第一のシャワー水形と第二のシャワー水形とが選択されうるのが好ましく、本実施形態ではこの構成が採用されている。シャワー吐水様態とは、シャワー吐水範囲、シャワー吐水量、シャワー吐水の勢いなどである。
【0026】
吐水ヘッド8は、原水流路及び浄水流路を有する。原水流路が選択された場合、吐出口22から原水が吐出される。原水が吐出される状態が、原水吐出状態とも称される。浄水流路が選択された場合、吐出口22から浄水が吐出される。浄水が吐出される状態が、浄水吐出状態とも称される。
【0027】
切換部12は、操作部14の操作によって浄水か原水かを切り換えうる切換機構を有している。この切換機構の詳細は、後述される。
【0028】
図2は、吐水ヘッド8の正面図である。
図3(a)及び
図3(b)は、未装着状態における吐水ヘッド8の断面図である。
図4(a)及び
図4(b)は、装着状態における吐水ヘッド8の断面図である。
【0029】
図3(a)は、
図3(b)のa−a線に沿った断面図である。
図3(b)は、
図3(a)のb−b線に沿った断面図である。
図3(a)及び
図3(b)において、操作部14は、飛び出し位置にある。
図3(a)及び
図3(b)は、原水吐出状態を示す。なお、図示が省略されているが、浄水カートリッジPC1が装着されている場合も、操作部14が飛び出し位置にあるときには、原水が吐出される。通常の使用状態では、原水吐出状態でも、浄水カートリッジPC1は装着されている。
【0030】
図4(a)及び
図4(b)は、吐水ヘッド8の断面図である。
図4(a)は、
図4(b)のa−a線に沿った断面図である。
図4(b)は、
図4(a)のb−b線に沿った断面図である。
図4(a)及び
図4(b)において、操作部14は、押し込み位置にある。
図4(a)及び
図4(b)は、浄水吐出状態を示す。
【0031】
操作部14は、切換ボタンとして機能する。流路を切り換える際には、操作部14が押圧される。操作部14を押圧するごとに、原水流路と浄水流路との間の切換がなされる。換言すれば、操作部14を押圧するごとに、原水吐出状態と浄水吐出状態との間の切換がなされる。後述するように、前記切換機構は、オルタネイト動作方式のスラストロック機構を有している。このスラストロックにより、操作部14の押しボタン動作が実現されている。押圧操作するごとに、押しボタン14は、飛び出し位置と押し込み位置との間を相互に移行する。
【0032】
なお、原水が吐出されるときの操作部14の位置が、原水吐出位置とも称される。本実施形態では、原水吐出位置が飛び出し位置である。また、浄水が吐出されるときの操作部14の位置が、浄水吐出位置とも称される。本実施形態では、浄水吐出位置が押し込み位置である。
【0033】
本願では、押しボタン14の操作方向が、前後方向である。押圧により、押しボタン14は後方に移動する。飛び出し位置は、押し込み位置よりも前方である。飛び出し位置と押し込み位置との相互移動では、最大押し込み位置が経由される。最大押し込み位置は、押し込み位置よりも後方である。飛び出し位置にある押しボタン14を押圧すると、最大押し込み位置を経由して、押し込み位置で停止する。最大押し込み位置又はその直前に、切換作動位置が設定される。この切換作動位置に達することで、切換が有効となり、押し込み位置に移行する。操作を解除しても、押し込み位置が保持される。押し込み位置にある押しボタン14を押圧すると、最大押し込み位置(切換作動位置)を経由して、飛び出し位置で停止する。操作を解除しても、飛び出し位置が保持される。
【0034】
吐水ヘッド8では、押しボタン14が飛び出し位置にあるとき、原水流路が選択される。吐水ヘッド8では、押しボタン14が飛び出し位置にあるとき、原水が吐出される。逆に、押しボタン14が飛び出し位置にあるとき、浄水が吐出されてもよい。吐水ヘッド8では、押しボタン14が押し込み位置にあるとき、浄水流路が選択される。吐水ヘッド8では、押しボタン14が押し込み位置にあるとき、浄水が吐出される。逆に、押しボタン14が押し込み位置にあるとき、原水が吐出されてもよい。
【0035】
図5は、吐水ヘッド8の分解斜視図である。
【0036】
図5が示すように、吐水ヘッド8は、浄水カートリッジPC1を有する。浄水カートリッジPC1は、外筒部24の内側に配置されている。前述した導水部(把持部)10が、外筒部24と浄水カートリッジPC1とを有する。
【0037】
浄水カートリッジPC1の外側には、原水流路WGが形成されている(
図4(a)参照)。浄水カートリッジPC1の内部には、浄水流路WJが形成されている(
図4(a)参照)。原水吐出状態にあるとき、原水流路WGを通過した原水が、切換機構内の原水流路WGを経由して、吐出口22から排出される。一方、浄水吐出状態にあるとき、原水は、浄水カートリッジPC1の外側から内部に至る過程で、濾過されて浄水となる。浄水は、浄水カートリッジPC1の内部の浄水流路WJ及び切換機構内の浄水流路WJを経由して、吐出口22から排出される。
【0038】
図5に戻り、吐水ヘッド8は、ヘッド本体28と、上ヘッドカバー30と、下ヘッドカバー32とを有する。
【0039】
吐水ヘッド8の切換部12は、スラストロック機構34を有する。スラストロック機構34は、ヘッド本体28に収容されている。スラストロック機構34は、第1切換こま36、第2切換こま38、切換リング40、切換軸42、コイルスプリング44、切換カバー46及びOリング48を有する。切換軸42は、プッシュロッド50、51と、と、ボタン保持部52とを有する。切換カバー46は、後方底部56と、スリット58とを有する。切換リング40は、切換カバー46の前側に固定されている。切換軸42は、スリット58にガイドされて前後方向に移動する。第2切換こま38は、切換軸42とともに移動する。操作部14の押圧操作に連動して、第2切換こま38及び切換軸42が前後方向に移動(往復移動)する。コイルスプリング44は、切換カバー46と切換軸42とを、互いに離間する方向に付勢している。第1切換こま36は、ボタンの押圧操作毎に回転し、異なる2つの位置での保持を可能とする。
【0040】
スラストロック機構34は、オルタネイト動作を実現する。前述した特許第3454756号でも、本実施形態と同様のスラストロック機構が採用されている。一般に、いわゆるオルタネイト動作方式のスラストロック機構として、ハート状カム機構、回転カム機構、ラチェットカム機構等が知られている。これらの機構はいずれも公知である。スラストロック機構34として、例えば、これらの機構のいずれかが採用されうる。
【0041】
吐水ヘッド8は、水形切換部70を有する。水形切換部70は、前述した水形調整部16と、水形調整レバー18と、吐出口22とを有している。更に水形切換部70は、弁座形成部80を有している。
【0042】
吐水ヘッド8の切換機構は、上述した操作部14と、第1バルブV1と、第2バルブV2とを有する。2つのバルブの開閉によって、吐水が切り換えられる。
【0043】
第1バルブV1は、弁座101aと第1弁体101bとボール保持体101cと弾性体101dとを有する。第1バルブV1は、ボール弁である。第1弁体101bは、ボールである。弁座101aは、円形孔の開口縁である。弁座101aは弁座形成部80に形成されている。ボール101bは、ボール保持体101cに保持されている。ボール101b及び弾性体101dが、ボール保持体101cに収容されている。ボール保持体101cは、下方に開放されている。ボール保持体101cの上部とボール101bとの間に弾性体101dが配置されている。この弾性体101dはコイルスプリングである。弾性体101dによって、ボール101bは常に弁座101a側に付勢されている。
【0044】
第2バルブV2は、弁座102aと第2弁体102bとボール保持体102cと弾性体102dとを有する。第2バルブV2は、ボール弁である。第2弁体102bは、ボールである。弁座102aは、円形孔の開口縁である。弁座102aは弁座形成部80に形成されている。ボール102bは、ボール保持体102cに保持されている。ボール102b及び弾性体102dが、ボール保持体102cに収容されている。ボール保持体102cは、下方に開放されている。ボール保持体102cの上部とボール102bとの間に弾性体102dが配置されている。この弾性体102dはコイルスプリングである。弾性体102dによって、ボール102bは常に弁座102a側に付勢されている。
【0045】
切換軸42のプッシュロッド50の端部は、ボール保持体101cに接続されている。切換軸42のプッシュロッド51の端部は、ボール保持体102cに接続されている。ボール保持体101c及びボール保持体102cは、切換軸42と共に前後方向に移動する。また、ボール101bは、ボール保持体101cと共に前後方向に移動する。ボール102bは、ボール保持体102cと共に前後方向に移動する。そして、切換軸42は、操作部14と共に前後方向に移動する。
【0046】
弁座101aと弁座102aとは、前後方向に対して略垂直な方向に並列しているが、それらの前後方向位置は(若干)相違している。弁座101aは、弁座102aよりも後方に位置する。
【0047】
操作部14が飛び出し位置にあるとき、ボール102bが弁座102aに嵌まり込み、第2バルブV2が閉じる。このとき、ボール101bの中心は弁座101aの中心からズレているため、第1バルブV1は開いている。この状態では、原水が吐出される。第2バルブV2は、浄水流路を閉じる浄水遮断弁である。
【0048】
操作部14が押し込み位置にあるとき、ボール101bが弁座101aに嵌まり込み、第1バルブV1が閉じる。このとき、ボール102bの中心は弁座102aの中心からズレているため、第2バルブV2は開いている。この状態では、浄水が吐出される。第1バルブV1は、原水流路を閉じる原水遮断弁である。
【0049】
吐水ヘッド8は、規制部材RG1を有している。規制部材RG1は、浄水流路WJに配置されている。規制部材RG1は、回転可能に固定されている。この規制部材RG1は、浄水カートリッジPC1が装着されていないときに、浄水吐出状態への切換を規制する役割を果たす。
【0050】
図3(b)が示すように、浄水カートリッジPC1が装着されていない状態では、規制部材RG1は第1状態J1にある。
図4(b)が示すように、浄水カートリッジPC1が装着されている状態では、規制部材RG1は第2状態J2にある。第1状態J1と第2状態J2との間の相互移行は、規制部材RG1の回転により達成されている。第1状態J1と第2状態J2とでは、規制部材RG1の姿勢が相違する。第1状態J1は、規制部材RG1の第1姿勢である。第2状態J2は、規制部材RG1の第2姿勢である。
【0051】
吐水ヘッド8は、付勢部材104を有している。付勢部材104は、規制部材RG1が第1状態J1(後述)となるように規制部材RG1を付勢している。本実施形態では、付勢部材104は、ねじりバネ(ねじりコイルバネ)である。このように、規制部材RG1は第1状態J1となるように付勢されている。
【0052】
ボール保持体102cは、連動当接部LC1を有する。連動当接部LC1は、棒状部である。連動当接部LC1は、後端が自由端とされている。連動当接部LC1は、操作部14の動きに連動する。連動当接部LC1は、操作部14の操作と共に前後方向に移動する。連動当接部LC1の動きが止められると、操作部14を動かすことができない。連動当接部LC1の動きが止められると、操作部14を操作することができない。
【0053】
吐水ヘッド8は、伝達部材TR1を有する。伝達部材TR1は、前後方向に移動しうる。浄水カートリッジPC1が装着されると、伝達部材TR1は前方に動く。前方に動いた伝達部材TR1は、規制部材RG1に当接する。この当接により、規制部材RG1は、第1状態J1から第2状態J2に移行する。伝達部材TR1は、浄水カートリッジPC1が(正規位置に)装着されているということを、規制部材RG1に伝達する。
【0054】
吐水ヘッド8は、受け部形成部材106を有する。受け部形成部材106は後方に向かって開放されている。この受け部形成部材106に浄水カートリッジPC1の接続端部(後述)が水密に接続される。受け部形成部材106は、浄水カートリッジPC1と水密に接続されうる接続受け部(後述)を有している。
【0055】
吐水ヘッド8は、通水性部材108を有する。通水性部材108は、浄水カートリッジPC1の先端面の前方に配置されている。本実施形態では、通水性部材108は、網である。この網は、金属網(メッシュ金属網)である。
【0056】
図6(a)は、規制部材RG1の斜視図である。
図6(b)は、
図6(a)とは異なる方向から見た規制部材RG1の斜視図である。
図6(c)は規制部材RG1の側面図である。
図6(d)は規制部材RG1の平面図である。
【0057】
規制部材RG1は、軸部110と、規制解除当接部112と、切換規制部114とを有する。更に、規制部材RG1は、第1状態保持部116を有する。軸部110は、規制部材RG1の回転軸である。
【0058】
規制解除当接部112は軸部110の一方側に位置し、切換規制部114は軸部110の他方側に位置する。規制解除当接部112は、軸部110から一方側に延びる突出部の端部である。切換規制部114は、軸部110から他方側に延びる突出部の端部である。第1状態J1(
図3(b)参照)において、規制解除当接部112は軸部110の上流側(後方)に位置し、切換規制部114は軸部110の下流側(前方)に位置する。
【0059】
図7(a)は、ボール保持体102cの斜視図である。ボール保持体102cは、ボール収容部130と、前述した連動当接部LC1とを有する。ボール収容部130は、下方が開放された円筒部である。ボール収容部130に、ボール102bが収容されている。連動当接部LC1は、ボール収容部130から突出する棒状部である。連動当接部LC1は、前後方向に沿って延びている。連動当接部LC1は、端面132を有する。端面132は、連動当接部LC1の後端面である。
【0060】
ボール保持体102cは、接続部134を有する。接続部134は、プッシュロッド51(の後端部)に接続されている(
図5参照)。なお、ボール保持体101cも接続部134と同様の接続部を有しており、この接続部は、プッシュロッド50(の後端部)に接続されている(
図5参照)。
【0061】
図8は、浄水カートリッジPC1の斜視図である。
図9(a)は浄水カートリッジPC1の側面図であり、
図9(b)は浄水カートリッジPC1の正面図であり、
図9(c)は
図9(b)のc−c線に沿った断面図であり、
図9(d)は、
図9(b)のd−d線に沿った断面図である。
【0062】
浄水カートリッジPC1は、中間部150と、中間部150の前端部に配置された接続端部152と、中間部150の後端部に配置された後方形成部154とを有する。接続端部152は、中間部150と同軸である。後方形成部154は、中間部150と同軸である。
【0063】
接続端部152は、中間部150の下流側に設けられている。接続端部152の内部は空洞である。この空洞は浄水流路WJとして機能する。すなわち、接続端部152はその内部に浄水流路WJを有する。接続端部152の材質は、樹脂である。接続端部152は、その全体が一体である。接続端部152は、樹脂により一体成形されている。接続端部152は、別個に成形された複数の部材が組み合わされることで形成されていてもよい。
【0064】
中間部150は、円筒形である。中間部150は、水を透過させうる透過部151を有する。中間部150は、ろ過機能を有する。中間部150は、その内部に、空洞部を有する。この空洞部は浄水流路WJとして機能する。中間部150は、例えば、外側ろ過層と内側ろ過層とを有していてもよい。外側ろ過層と内側ろ過層との間に、水質浄化材が配置されてもよい。水質浄化材は、例えば活性炭を主成分とする。外側ろ過層及び内側ろ過層には、例えば不織布が用いられる。外側ろ過層及び/又は内側ろ過層に、滅菌作用を有するセラミックが採用されてもよい。外側ろ過層及び/又は内側ろ過層に、イオン交換体が採用されてもよい。外側ろ過層は複数層であってもよい。内側ろ過層は複数層であってもよい。なお、本実施形態の中間部150は浄水機能部(浄水機能を発揮する部分)の一例である。中間部150は、ろ過機能を有していなくてもよい。中間部150は、水を透過させない円筒壁部であってもよい。
【0065】
本実施形態の浄水カートリッジPC1は、塩素を除去しうる浄化材を有している。この浄化材として、活性炭が例示される。
【0066】
後方形成部154は、中間部150の後方側を閉塞している。一方、接続端部152は通水可能である。接続端部152の内部空間は浄水流路WJである。中間部150を通過して生じた浄水が、接続端部152を通過して、切換部112に至る。
【0067】
なお、後方形成部154は、通水可能とされていてもよい。例えば、原水が、浄水カートリッジPC1の後方形成部154に設けられた貫通孔から、中間部150の内部に流入してもよい。この場合、中間部150は、非通水性の円筒壁部とされうる。
【0068】
接続端部152は、第1円筒部160を有する。更に、接続端部152は、第2円筒部162を有する。更に、接続端部152は、第3円筒部164を有する。更に、接続端部152は、保持円筒部166を有する。第1円筒部160は、第2円筒部162の下流側に位置する。第2円筒部162は、第3円筒部164の下流側に位置する。第3円筒部164は、保持円筒部166の下流側に位置する。第2円筒部162は、第1円筒部160と第3円筒部164との間に位置する。第1円筒部160と第2円筒部162とは同軸である。第2円筒部162と第3円筒部164とは同軸である。第3円筒部164と保持円筒部166とは同軸である。第1円筒部160の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。第2円筒部162の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。第3円筒部164の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。保持円筒部166の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。
【0069】
接続端部152は、第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2を有している。本実施形態では、第1環状パッキンs1はOリングである。本実施形態では、第2環状パッキンs2はOリングである。
【0070】
接続端部152は、最大外径部を有する。本実施形態では、接続端部152の最大外径部は、保持円筒部166である。この最大外径部(保持円筒部166)は、中間部150の下流側の端部を覆っている。この最大外径部(保持円筒部166)は、中間部150の下流側の端部を保持している。
【0071】
第1円筒部160の外径は、第2円筒部162の外径より小さい。第2円筒部162の外径は、第3円筒部164の外径より小さい。第3円筒部164の外径は、保持円筒部166の外径より小さい。
【0072】
接続端部152は、第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2を有している。第1環状パッキンs1は、第1円筒部160に配置されている。第2環状パッキンs2は、第2円筒部162に配置されている。
【0074】
第1円筒部160は、接続端部152の下流側の端部を構成している。第1円筒部160は、浄水カートリッジPC1の下流側の端部を構成している。
【0075】
第1円筒部160は、浄水カートリッジPC1の下流側の端部を構成している。第1円筒部160は、接続端部152の下流側の端部を構成している。
【0076】
接続端部152は、先端部170を有している。本実施形態では、第1円筒部160が、先端部170である。浄水出口孔240(後述)よりも前方の部分が、先端部170と定義されうる。先端部170は、第1溝172を有している。第1溝172は、先端部170(第1円筒部160)の外周面に形成されている。第1溝172は、周溝である。第1溝172は、前方壁部173aと後方壁部173bとの間に形成されている。前方壁部173aは、第1溝172の前方の側面を形成している。後方壁部173bは、第1溝172の後方の側面を形成している。
【0077】
第1環状パッキンs1は、先端部170に配置されている。第1環状パッキンs1は、第1溝172に配置されている。
【0078】
先端部170は、先端面174を有する。先端面174は、浄水カートリッジPC1の先端面である。先端面174は、接続端部152の先端面である。先端面174は、平面である。先端面174は、径方向に沿って延びている。先端面174は、環状である(
図9(b)参照)。先端面174は、周方向の全体に亘って設けられている。先端面174の中心は、浄水カートリッジPC1の中心線z1上に位置する。先端面174は、規制解除部DR1ではない。先端部170は、規制解除部DR1を有していない。規制解除部DR1については、後述される。
【0079】
先端部170は、非通水性である。先端部170の内面は、浄水流路WJに面している。本実施形態では、先端部170の内面は、後述の内面194を含む。先端部170の外面は、原水流路WGに面している。本実施形態では、先端部170の外面は、先端面174及び凹部176を含む。先端部170の外面は、凹部176を有している。先端部170の内面と外面とは、第1環状パッキンs1によって仕切られている。つまり、先端部の内面が接する水の流路と、先端部の外面が接する水の流路とは、第1環状パッキンs1によって仕切られている。先端部170の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。先端部170は、浄水カートリッジPC1の中心線z1と交差する位置に配置されている。
【0080】
凹部176は、下流側に開放されている。凹部176は、軸方向前方に向かって開放されている。凹部176は、原水流路WGに開放されている。凹部176は、非通水性である。凹部176の断面形状は円形である(
図9(b)参照)。凹部176の周囲(径方向外側)に、先端面174が配置されている。凹部176は、先端部170の内側に、空洞を形成している。凹部176は、円筒状の空洞を形成している。凹部176により形成された空洞は、第1環状パッキンs1の径方向内側に存在している。凹部176により形成された空洞は、第1溝172の径方向内側に存在している。先端面174の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。
【0081】
図10及び
図11が示すように、凹部176は、側面178と、底面180とを有する。側面178は円周面である。側面178は、第1溝172の径方向内側に位置する。底面180は平面である。底面180は径方向に沿って延びている。底面180は円形である。底面180の中心は、浄水カートリッジPC1の中心線z1上に位置する。
【0082】
第1溝172の径方向内側には、凹部176により空洞が形成されている。底面172aの径方向内側には、凹部176により空洞が形成されている。
【0083】
先端部170は、仕切り壁190を有する。仕切り壁190は、非通水性である。仕切り壁190は、先端面174よりも上流側に位置する。仕切り壁190は、径方向に沿って延びている。仕切り壁190の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。
【0084】
仕切り壁190は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に交差している。すなわち、仕切り壁190は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に交差する位置に設けられている。本実施形態では、仕切り壁190は、その中心において、浄水カートリッジPC1の中心線z1に交差している。仕切り壁190は、その中心以外の位置で、浄水カートリッジPC1の中心線z1に交差していてもよい。仕切り壁190は、凹部176の底面180を構成している。底面180は、仕切り壁190の外面192である。このように、先端部170の外面が、仕切り壁190の外面192を底面180とする凹部176を有している。
【0085】
仕切り壁190は、浄水カートリッジPC1の内部と外部とを仕切っている。仕切り壁190の外面192は、浄水カートリッジPC1の外側の面を構成している。外面192は、原水流路WGに面している。仕切り壁190の内面194は、浄水カートリッジPC1の内側の面を構成している。内面194は、浄水流路WJに面している。
【0086】
先端部170は、先端閉塞外面196を有する。先端閉塞外面196は、先端部170の外面の一部を構成している。先端閉塞外面196は、浄水出口孔240よりも下流側に位置する。先端閉塞外面196は、先端面174、凹部176の底面180(外面192)、及び、凹部176の側面178を有する。先端閉塞外面196は、凹部176を有している。先端閉塞外面196は、凹部176を有していなくてもよい。例えば、先端閉塞外面196は、平面であってもよい。先端閉塞外面196は、径方向に沿った面(外面192)を有している。先端閉塞外面196は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に交差する位置に設けられている。先端閉塞外面196は、非通水性である。先端閉塞外面196は、規制解除部DR1(後述)を有していない。
【0087】
先端閉塞外面196は、原水流路WGに面している。先端閉塞外面196の下流側は、原水流路WGである。一方、先端閉塞外面196の上流側は、浄水流路WJである。先端閉塞外面196の上流側は、浄水カートリッジPC1の内部である。
【0088】
接続端部152は、連結延在部200を有する。連結延在部200は、第1円筒部160と第2円筒部162とを繋いでいる。
図9(b)が示すように、複数の連結延在部200が、周方向に等間隔で配置されている。本実施形態では、4つの連結延在部200が周方向に等間隔で配置されている。連結延在部200は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に対して傾斜した方向に延びている。連結延在部200は、下流側に行くほど径方向内側となるように延びている。連結延在部200は、第2円筒部162の下流側と第1円筒部160の上流側とを繋いでいる。
【0089】
第2円筒部162は、第2溝210を有する。第2溝210は、周溝である。第2溝210は、第2円筒部162の外周面に形成されている。第2溝210に、第2環状パッキンs2が配置されている。第2円筒部162の内部は空洞である。第2円筒部162の内部は、浄水流路WJである。
【0090】
第2円筒部162は、下流側端面212を有する。下流側端面212は、平面である。下流側端面212は、径方向に沿って延びている。下流側端面212は、環状である。下流側端面212は、周方向の全体に亘って形成されている。
【0091】
下流側端面212は、周方向全体に途切れなく連続して形成される第一形態でもよい。下流側端面212は、連結延在部200によって区分けされた区分け部が周方向に並ぶことで形成される第二形態でもよい。下流側端面212は、周方向全体に途切れなく連続して形成される部分と、連結延在部200によって区分けされた区分け部が周方向に並んだ部分とを有している第三形態でもよい。本実施形態では、下流側端面212は、連結延在部200によって区分けされた4つの区分け部214が周方向に並ぶことで形成されており、つまり、第二形態である。
【0092】
第二形態及び第三形態のいずれにおいても、連結延在部200の幅が小さい方が、規制解除部DR1となる区分け部214の領域が広くなる。区分け部214の領域が広くなることで、規制解除部DR1と当接して規制解除機能の一部をなす部材(本実施形態では伝達部材TR1)と規制解除部DR1との間で、位置合わせ性、当接性、当接における位置関係の精度などが向上するという、解除機能向上効果が生ずる。この観点から、連結延在部200の幅は、5.0mm以下が好ましく、さらに3mm以下が好ましく、特に2.5mm以下が好ましい。連結延在部200の幅が小さくなりすぎると、連結延在部200の強度が低下しやすくなる。この観点から、連結延在部200の幅は0.5mm以上が好ましく、さらに1mm以上が好ましく、特に1.5mm以上がこのましい。連結延在部200の幅とは、径方向に延びる連結延在部の延在方向に垂直な向きで測定した幅である。幅が変化している場合は平均幅とする。実施形態では、連結延在部200の幅は2mmである。
【0093】
図11において両矢印Pで示されるのは、区分け部214(規制解除部DR1)の径方向中心位置の直径である。この直径Pが過小であると浄水の流量が低下しやすい。この観点から、直径Pは、10mm以上が好ましく、12mm以上がより好ましく、15mm以上が更に好ましい。直径Pが過大であると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなり、水栓が大型化しやすい。この観点から、直径Pは、22mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、17mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、直径Pは15mmである。
【0094】
第二形態又は第三形態では、同じ径方向領域を規制解除部DR1と連結延在部200で共用することになる。この場合、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなって水栓が大型化するのが抑止されうる。この観点から第二形態又は第三形態を採用するのが好ましい。
【0095】
第二形態及び第三形態の内、いずれを選択するかについては、規制解除部DR1の強度と、前述の解除機能向上効果の必要性との観点で選択するのがよい。浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなって水栓が大型化するのを抑止する観点を特に優先する場合は、第二形態を採用するのがよい。規制解除部DR1の強度と、前述の解除機能向上効果の必要性の観点の両方を考慮する必要がある場合は第三形態を採用するのがよい。
【0096】
図11において両矢印Q1で示されるのは、下流側端面212(規制解除部DR1)の径方向幅である。径方向幅Q1が小さいと、前述の解除機能向上効果が不十分になりやすい。この観点から、径方向幅Q1は1.0mm以上が好ましく、さらに2.0mm以上が好ましく、特に2.5mm以上が好ましい。また、径方向幅Q1が大きくなりすぎると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなって水栓が大型化したり、浄水出口孔240が狭くなったりしやすい。この観点から、径方向幅Q1は6.0mm以下が好ましく、5.0mm以下が好ましく、特に4.0mm以下が好ましい。第二形態及び第三形態の場合、径方向幅Q1は、区分け部214の径方向幅である。
【0097】
第三形態は、下流側端面212が、周方向全体に途切れなく連続して形成される部分である連続部分と、連結延在部200によって区分けされた区分け部が周方向に並んだ部分とを有している。連続部分の径方向幅Q2と前記径方向幅Q1との比である比(Q2/Q1)の値が小さくなりすぎると、前述の解除機能向上効果が不十分になりやすい。この観点から、比(Q2/Q1)の値は、0.2以上が好ましく、さらに0.4以上が好ましく、特に0.6以上が好ましい。比(Q2/Q1)の値が大きくなりすぎると、連結延在部200の強度が低下しやすくなる。この観点から比(Q2/Q1)の値、0.9以下が好ましく、さらに0.8以下が好ましく、特に0.7以下が好ましい。
【0098】
連結延在部200は、延在部下流面202を有する。延在部下流面202は、連結延在部200の下流側の面である。延在部下流面202は、下流側に行くほど径方向内側となるように延びているという構成1を備える。この構成1により、浄水カートリッジPC1の接続端部152をカートリッジ装着部の接続受け部に挿入する時に、延在部下流面202に当たった接続受け部274の部位が、接続端部152の中心線と接続受け部の中心線とが一致する方向に変位し、結果として、接続端部152や接続受け部の各部位の傷付きを防止できると共に、浄水カートリッジPC1の接続端部152を接続受け部に挿入する時の操作性が向上するという効果1が生じる。
【0099】
一方、下流側端面212は、径方向に延びている、つまり、軸方向に垂直な面であるという、構成2を備える。後述の通り、吐水ヘッド8は、浄水カートリッジPC1の接続端部152を接続受け部274に挿入する時に、浄水カートリッジPC1に押圧される伝達部材TR1を有している。下流側端面212は、規制解除部DR1である。規制解除部DR1が径方向に延びる、つまり、軸方向に垂直な面であることで、前記押圧部の押圧を正確及び/又は良好に行うことができるという効果2が生じる。規制解除部DR1が径方向に延びることで、この効果2が発現する。
【0100】
上記構成1及び上記構成2は、接続端部152の同じ軸方向領域に配されているにも関わらず、効果1と効果2の両方を実現することができる。さらに、両構成は、接続端部152の同じ軸方向領域に配されているから、結果として、浄水機能付き吐水ヘッド、浄水カートリッジ及び水栓装置の大型化の防止、及び、浄化機能部の配置可能領域の増加をも達成できる。
【0101】
第3円筒部164は、円周面220と、段差面222とを有する。円周面220は、円周面である。円周面220の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1である。段差面222は、平面である。段差面222は、径方向に沿って延びている。段差面222は、環状である。段差面222は、周方向の全体に亘って形成されている。第3円筒部164の内部は、浄水流路WJである。
【0102】
保持円筒部166は、円周面230と、段差面232とを有する。円周面230は、円周面である。円周面230の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1である。段差面232は、平面である。段差面232は、径方向に沿って延びている。段差面232は、環状である。段差面232は、周方向の全体に亘って形成されている。段差面232は、円周面220の上流側と円周面230の下流側とを繋いでいる。
【0103】
接続端部152は、浄水出口孔240を有する。浄水カートリッジPC1で生成された浄水は、浄水出口孔240から浄水カートリッジPC1の外部に排出される。第1環状パッキンs1は、浄水出口孔240よりも下流側に位置する。第2環状パッキンs2は、浄水出口孔240よりも上流側に位置する。浄水出口孔240は第1環状パッキンs1と第2環状パッキンs2との間に位置する。浄水出口孔240は、第1円筒部160(先端部170)と第2円筒部162との間に位置する。第1円筒部160は第2円筒部162から離れており、この離間によって浄水出口孔240が形成されている。周方向に隣り合う連結延在部200同士の間に、浄水出口孔240が形成されている。
【0104】
図11において両矢印G1で示されるのは、第1環状パッキンs1の外径である。外径G1は、第1環状パッキンs1が第1溝172に装着され且つ浄水カートリッジPC1が吐水ヘッド8に装着されていない状態で、測定される。換言すれば、外径G1は、浄水カートリッジPC1単体の状態で測定される。
図11において両矢印G2で示されるのは、第2環状パッキンs2の外径である。外径G2は、第2環状パッキンs2が第2溝210に装着され且つ浄水カートリッジPC1が吐水ヘッド8に装着されていない状態で、測定される。換言すれば、外径G2は、浄水カートリッジPC1単体の状態で測定される。なお、第1溝172の底面172aのように、溝の底面の直径が変化している場合、環状パッキンの外径G1及びG2は、溝の底面の外径が最大である位置に環状パッキンが配置された状態で測定される。第1環状パッキンs1の外径G1は、第2環状パッキンs2の外径G2よりも小さい。
【0105】
第1環状パッキンs1の外径G1を、第2環状パッキンs2の外径G2よりも小さくすることにより、規制解除部DR1である下流側端面212の径方向幅及び/又は面積を大きくすることができ、部品の製造誤差や使用による経時変化があっても、規制解除部DR1と伝達部材TR1のカートリッジ当接面254との接触(相互作用)を良好に機能させることができる。
【0106】
(外径G2−外径G1)の値である差(G2−G1)が過小であると、規制解除部DR1である下流側端面212の径方向幅及び/又は面積を充分に確保しにくくなる。この観点から、差(G2−G1)は、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、6mm以上が更に好ましい。差(G2−G1)が過大であると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなり、水栓が大型化しやすい。この観点から、差(G2−G1)は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、差(G2−G1)は7.8mmである。
【0107】
外径G2と外径G1の比である比(G2/G1)が過小であると、規制解除部DR1である下流側端面212の径方向幅及び/又は面積を充分に確保しにくくなる。この観点から、G2/G1は、1.2以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましい。G2/G1が過大であると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなり、水栓が大型化しやすい。この観点から、G2/G1は、2.5以下が好ましく、2.3以下がより好ましく、1.9以下が更に好ましい。上記実施形態では、G2/G1は1.7である。
【0108】
なお、第1環状パッキンs1の外径G1が過小であると、浄水カートリッジPC1の先端部の強度が低下しやすく、また第1環状パッキンs1での水密性が低下しやすい。この観点から、外径G1は、7mm以上が好ましく、9mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。外径G1が過大であると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなり、水栓が大型化しやすい。この観点から、外径G1は、18mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、13mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、外径G1は11mmである。
【0109】
また、第2環状パッキンs2の外径G2が過小であると、浄水の流量が低下しやすい。この観点から、外径G2は、12mm以上が好ましく、14mm以上がより好ましく、16mm以上が更に好ましい。外径G2が過大であると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなり、水栓が大型化しやすい。この観点から、外径G2は、25mm以下が好ましく、23mm以下がより好ましく、21mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、外径G2は18.8mmである。
【0110】
図12(a)は、伝達部材TR1の斜視図である。
図12(b)は、
図12(a)とは異なる角度から見た伝達部材TR1の斜視図である。
図12(c)は、伝達部材TR1を前方から見た正面図である。
図12(d)は、伝達部材TR1の側面図である。
【0111】
伝達部材TR1は、基部250と、後方延在部252とを有する。後方延在部252は、基部250に繋がって後方に延びている。複数(3本)の後方延在部252が設けられている。複数(3本)の後方延在部252のそれぞれは、基部250の異なる位置から延びている。複数(3本)の後方延在部252は、周方向に分散して配置されている。後方延在部252のそれぞれは、基部250から後方に延びている。後方延在部252のそれぞれは、後端が自由端である。
【0112】
本実施形態では、後方延在部252は、脚部253とされている。脚部253は、細長い形態を有しており、脚部253の1本当たりの断面積は小さい。浄水の流量の観点から、1本の脚部253(1本の後方延在部252)の断面積は、15mm
2以下が好ましく、10mm
2以下が更に好ましく、5mm
2以下が特に好ましい。脚部253(後方延在部252)の強度の観点から、1本の脚部253(1本の後方延在部252)の断面積は、1mm
2以上が好ましく、2mm
2以上が更に好ましく、3mm
2以上が特に好ましい。本実施形態では、1本の脚部253(1本の後方延在部252)の断面積は、3.8mm
2である。この断面積は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に対して垂直な断面における断面積である。
【0113】
伝達部材TR1は、カートリッジ当接面254を有する。後方延在部252のそれぞれが、カートリッジ当接面254を有する。本実施形態では、カートリッジ当接面254は、後方延在部252の後端面である。
図12(d)が示すように、複数(3つ)のカートリッジ当接面254において、軸方向位置は一致している。
【0114】
基部250は、ガイド孔256を有する。ガイド孔256は、基部250を貫通している。ガイド孔256は、軸方向に延びる貫通孔である。
【0115】
伝達部材TR1は、解除当接面260を有する。解除当接面260は、基部250に設けられている。基部250の前面が、解除当接面260を有する。
【0116】
図13(a)は、受け部形成部材106の斜視図である。
図13(b)は、受け部形成部材106の側面図である。
図13(c)は、受け部形成部材106を前方から見た正面図である。
【0117】
図14は、
図4(b)の部分拡大図である。
図14は、受け部形成部材106の断面図を含む。
【0118】
受け部形成部材106は、吐水ヘッド8の内部に配置されている。受け部形成部材106は、接続受け部(後述)を構成している。
図13及び
図14を参照して、受け部形成部材106に係る構成が以下に説明される。
【0119】
吐水ヘッド8は、カートリッジ装着部270を有する。カートリッジ装着部270は、浄水カートリッジPC1の中間部が配置される円筒空洞部272と(
図3参照)、接続受け部274(
図14参照)とを有する。
図3(a)及び
図3(b)が示すように、円筒空洞部272は、外筒部24の内側に形成されている。接続受け部274は、円筒空洞部272の前方に設けられている。本実施形態では、受け部形成部材106が、接続受け部274を有している。
【0120】
図14が示すように、接続受け部274は、第1受け円筒部276と、第2受け円筒部278を有する。第1受け円筒部276は、第2受け円筒部278よりも軸方向先端側に位置する。第1受け円筒部276は、第2受け円筒部278よりも下流側に位置する。第1受け円筒部276の内径は、第2受け円筒部278の内径よりも小さい。第1受け円筒部276の外径は、第2受け円筒部278の内径よりも小さい。
【0121】
図14が示すように、浄水カートリッジPC1の接続端部152は、接続受け部274に、水密に接続されている。第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2が、水密性を担保している。第1受け円筒部276の内側に、接続端部152の第1円筒部160(先端部170)が挿入されている。第1環状パッキンs1は、第1受け円筒部276の内周面に密着している。第2受け円筒部278の内側に、接続端部152の第2円筒部162が挿入されている。第2環状パッキンs2は、第2受け円筒部278の内周面に密着している。第2受け円筒部278の端面280は、段差面222に当接している。この当接により、浄水カートリッジPC1の軸方向における位置決めがなされている。
【0122】
図13(a)が示すように、受け部形成部材106は、外側円筒部106aを有する。外側円筒部106aは、小径外壁部106bと、大径外壁部106cとを有する。大径外壁部106cが、第2受け円筒部278を構成している。第2受け円筒部278の端面280は、受け部形成部材106の後端面によって構成されている。
【0123】
接続受け部274は、浄水出口孔240から出た浄水を原水流路WGから区分し浄水流路WJの一部を構成する浄水通路WJ1を有している(
図14参照)。浄水通路WJ1は、第1受け円筒部276と第2受け円筒部278との間の空間は、浄水通路WJ1である。また、接続受け部274は、原水を浄水通路WJ1から区分し原水流路WGの一部を構成する原水通路WG1を有する(
図14参照)。接続受け部274は、原水通路WG1への入口及び出口となる原水用開口282を有する(
図13(a)及び
図13(b)参照)。図示されないが、原水用開口282は、受け部形成部材106の左側及び右側に1つずつ、合計2つ設けられている。原水通路WG1は、第1の原水用開口282から第2の原水用開口282まで貫通することで、受け部形成部材106を貫通している。原水は原水通路WG1を流通しうる。原水通路WG1は、径方向(左右方向)に貫通する原水流路WGを形成している。原水通路WG1は、原水を、浄水カートリッジPC1の先端閉塞外面196に導いている。原水通路WG1は、原水を、浄水カートリッジPC1の先端面174に導いている。原水通路WG1は、原水を、凹部176に導いている。先端閉塞外面196は、原水流路WGに面している。凹部176は、原水流路WGに面している。第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2は、浄水出口孔240から出た浄水が原水流路WGに流れ込むのを防止している。第1環状パッキンs1は、原水通路WG1からの水が浄水流路WJに流入するのを防止している。第2環状パッキンs2は、原水流路WGからの水が浄水出口孔240の出口に流れ込むのを防止している。第2環状パッキンs2は、浄水出口孔240から出た浄水が原水流路WGに流れ込むのを防止している。
【0124】
先端閉塞外面196(凹部176)の下流側に、通水性部材108が設置されている。通水性部材108は、先端面174に対向して配置されている。通水性部材108は、原水通路WG1に面して設置されている。通水性部材108は、原水通路WG1と先端閉塞外面196との間に配置されている。通水性部材108は、原水通路WG1と凹部176との間に配置されている。通水性部材108は、原水流路WGの流れを阻害しない。原水通路WG1の水流は先端閉塞外面196に当たりうる。原水通路WG1の水流は凹部176に流れ込みうる。通水性部材108は、原水通路WG1への異物の侵入を阻止しうる。
【0125】
図13(c)が示すように、受け部形成部材106は、内側円筒部106dを有する。内側円筒部106dが、第1受け円筒部276を構成している(
図14参照)。前述した浄水通路WJ1は、内側円筒部106dと外側円筒部106aとの間に形成されている。
【0126】
図13(a)及び
図13(b)が示すように、吐水ヘッド8(受け部形成部材106)は、規制部材支持部106eを有する。規制部材支持部106eは、規制部材RG1(の軸部110)を回動可能に支持している。
【0127】
図13(a)、
図13(c)及び
図14が示すように、吐水ヘッド8(受け部形成部材106)は、スライド突起106fを有する。スライド突起106fは、軸方向に沿って延びている。スライド突起106fは、前方に延びている。スライド突起106fが、伝達部材TR1のガイド孔256を貫通している(
図14及び
図12参照)。
【0128】
図13(c)が示すように、吐水ヘッド8(受け部形成部材106)は、隙間106gを有する。隙間106gは、外側円筒部106aと内側円筒部106dとの間に形成されている。隙間106gは、円筒状の空間を形成している。隙間106gは、外側円筒部106aの周方向に沿って形成されている。この隙間106gに、伝達部材TR1の後方延在部252が挿入されている。複数(3本)の後方延在部252の全てが、隙間106gに挿入されている。結果として、伝達部材TR1は、複数(3本)の後方延在部252によって、第1受け円筒部276(内側円筒部106d)を抱えている。伝達部材TR1は、第1受け円筒部276(内側円筒部106d)により、前後方向に移動可能な状態で内側から支持されている。伝達部材TR1は、内側円筒部106d及び外側円筒部106aにより、前後方向に移動可能な状態で支持されている。更に前述の通り、スライド突起106fがガイド孔256に挿入されている。ガイド孔256はスライド突起106fに案内されつつスライド移動しうる。すなわち、伝達部材TR1は、スライド突起106fにより、前後方向に移動可能な状態で支持されている。
【0129】
隙間106gは、浄水通路WJ1を形成している。すなわち、隙間106gは、浄水流路WJである。伝達部材TR1は、浄水流路WJに配置されている。浄水流路WJに配置された伝達部材TR1は、浄水流路WJに配置された規制部材RG1に、容易に当接することができる。
【0130】
伝達部材TR1の後方延在部252が、本実施形態に示される複数の脚部253のように構成されることで、後方延在部252同士の間に空間が発生し、その空間は浄水流路WJとなり、浄水の流量確保に役立つ。つまり、伝達部材TR1が、解除当接面260を有する基部250と、基部250から後方に延びてカートリッジ当接面254で終端する後方延在部252とを有し、後方延在部252同士の間に浄水流路WJの一部を構成する空間部を備える構成にすることが、浄水の流量確保に役立つ。
【0131】
図15(a)及び
図15(b)は、浄水カートリッジPC1が装着されていないときにおける規制部材RG1、伝達部材TR1、連動当接部LC1等を示す。
図15(a)及び
図15(b)では、受け部形成部材106の記載が省略されている。
図15(a)が示すように、この未装着状態では、規制部材RG1は第1状態J1にある。前述の通り、規制部材RG1は、付勢部材104によって、第1状態J1となる回転方向に付勢されている。未装着状態では、伝達部材TR1は後方から押圧されない。この未装着状態では、伝達部材TR1は、後方位置P1にある。なお、伝達部材TR1が後方位置P1より前方に位置していたとしても、浄水カートリッジPC1が装着されない限り、伝達部材TR1は、付勢部材104で付勢された規制部材RG1により、後方位置P1に押し戻される。
【0132】
図15(b)が示すように、規制部材RG1が第1状態J1にある状態で、操作部14を飛び出し位置から押し込み位置に移行させようとすると、操作部14に連動する連動当接部LC1が、第1状態J1の規制部材RG1に当接する。すなわち、連動当接部LC1の端面132が、規制部材RG1の切換規制部114に当接する。この当接により、操作部14は切換作動位置に達することができない。結果として、操作部14を押し込み位置に移行する操作が阻害される。操作部14を押圧しても、操作部14を押し込み位置とすることはできない。このように、第1状態J1の規制部材RG1は、切換機構による原水から浄水への切換を規制する。
【0133】
なお、吐水ヘッド8は、第1状態J1にある規制部材RG1と当接する保持当接部296を有する(
図3(b)参照)。本実施形態では、保持当接部296は、スライド突起106fである(
図13(a)及び
図13(c)参照)。第1状態J1において、保持当接部296は、規制部材RG1の第1状態保持部116(
図6(c)参照)に当接している。第1状態保持部116と保持当接部296との当接は、切換規制部114が連動当接部LC1に押されることによって生じる、規制部材RG1の第1方向の回転を防止するように構成されている。
図3(b)では、切換規制部114が連動当接部LC1に押されることで、規制部材RG1は時計回りに回転しようとするが、第1状態保持部116と保持当接部296との当接が、この時計回り(第1方向)の回転を防止している。
【0134】
図16(a)及び
図16(b)は、浄水カートリッジPC1が装着されているときにおける規制部材RG1、伝達部材TR1、連動当接部LC1等を示す。
図16(a)及び
図16(b)でも、受け部形成部材106の記載が省略されている。
図16(a)が示すように、この装着状態では、規制部材RG1は第2状態J2にある。正規位置に装着された浄水カートリッジPC1が、伝達部材TR1を前方に押圧する。すなわち、浄水カートリッジPC1の下流側端面212が、伝達部材TR1のカートリッジ当接面254を押圧する。この押圧により、伝達部材TR1は前方に移動する。この押圧により、伝達部材TR1は、後方位置P1よりも前方の前方位置P2に移動する。前方位置P2への移動に伴い、伝達部材TR1は規制部材RG1を回転させる。伝達部材TR1の解除当接面260が規制部材RG1の規制解除当接部112を押圧することで、規制部材RG1は回転する。この回転は、前記第1方向とは逆の、第2方向の回転である。保持当接部296は、第1状態J1にある規制部材RG1が第2方向に回転することを阻害しない。このように、伝達部材TR1は、前方位置P2に移動することで、規制部材RG1を第2状態J2に移行させる。第1状態J1から第2状態J2への移行は、軸部110回りの規制部材RG1の回転により達成される。この回転は、付勢部材104による付勢力に抗してなされる。
【0135】
図16(b)が示すように、規制部材RG1が第2状態J2にある状態では、操作部14の飛び出し位置から押し込み位置への移行が許容される。操作部14が切換作動位置に達しても、連動当接部LC1は規制部材RG1に干渉されない。すなわち、連動当接部LC1の端面132は、規制部材RG1の切換規制部114に当接しない。結果として、操作部14の押し込み位置への移行が許容され、浄水吐出状態が達成される。このように、第2状態J2の規制部材RG1は、切換機構による原水から浄水への切換を許容する。
【0136】
規制部材RG1の切換規制部114は、第1状態J1では第1位置にあり、第2状態J2では第2位置にある。本実施形態では、第1位置と第2位置との相互移行は、規制部材RG1の回転によって達成されている。第1位置にある切換規制部114は、切換機構による原水から浄水への切換の過程において、切換機構に連動する連動当接部LC1の当接する(
図15(b)参照)。第2位置にある切換規制部114は、切換機構による原水から浄水への切換の過程において、連動当接部LC1に当接しない(
図16(b)参照)。
【0137】
第1状態J1と第2状態J2との間の移行の方法は、規制部材RG1の回転に限定されない。回転の他、移動(平行移動)、回転を伴う移動、等が例示される。第1状態J1と第2状態J2との間の状態変化は限定されず、第1状態J1及び第2状態J2の目的が達成されればよい。すなわち、第1状態J1では切換機構による原水から浄水への切換が規制されればよく、第2状態J2では切換機構による原水から浄水への切換が許容されればよい。
【0138】
浄水カートリッジPC1は、前記規制部材を第1状態J1から第2状態J2へと移行させる規制解除部DR1を有する。上記実施形態では、下流側端面212(区分け部214)が、規制解除部DR1である(
図8及び
図16(a)、(b)参照)。
【0139】
規制解除部DR1は、前方に向いた面である。浄水カートリッジPC1を前方から見た正面図(
図9(b))には、規制解除部DR1が存在する。規制解除部DR1は、第1環状パッキンs1よりも上流側に位置する。規制解除部DR1は、第2環状パッキンs2よりも下流側に位置する。第1環状パッキンs1と第2環状パッキンs2との間に位置する。規制解除部DR1は、浄水流路WJに配置されている。規制解除部DR1は、浄水流路WJに面している。
【0140】
規制解除部DR1は、伝達部材TR1に当接する。
図16(a)が示すように、浄水カートリッジPC1が正規位置に装着されると、規制解除部DR1が伝達部材TR1を前方に押圧する。すなわち、規制解除部DR1が、伝達部材TR1のカートリッジ当接面254を押圧する。この押圧により、伝達部材TR1は前方に移動する。この押圧により、伝達部材TR1は、後方位置P1よりも前方の前方位置P2に移動する。前方位置P2への移動に伴い、伝達部材TR1は規制部材RG1を回転させる。伝達部材TR1の解除当接面260が規制部材RG1の規制解除当接部112を押圧することで、規制部材RG1は回転する。規制解除部DR1は、直接的には、規制部材RG1に当接しない。規制解除部DR1は、伝達部材TR1を介して、規制部材RG1を第2状態J2に移行させる。
【0141】
原水から浄水への切換では、原水遮断弁V1が閉じられる。原水遮断弁V1が閉じられ、原水の流れが遮断された瞬間に、水撃又は高水圧が生じる。この水撃又は高水圧は、原水遮断弁V1近傍を起点として、原水流路WGを上流側に伝播していく。
【0142】
浄水から原水への切換においても同様である。浄水から原水への切換では、浄水遮断弁V2が閉じられる。浄水遮断弁V2が閉じられ、浄水の流れが遮断された瞬間に、水撃又は高水圧が生じる。この水撃又は高水圧は、浄水遮断弁V2近傍を起点として、浄水流路WJを上流側に伝播していく。
【0143】
水撃又は高水圧は、浄水カートリッジPC1の先端部170の下流側に達する。水撃又は高水圧は、先端閉塞外面196に達し、先端閉塞外面196に圧力を付与する。この圧力により、浄水カートリッジPC1が揺動(振動)する。この揺動により、浄水カートリッジPC1の動きに連動する、伝達部材TR1及び規制部材RG1も振動する。これらの振動により、部材間の固着が抑制されうる。
【0144】
規制部材RG1が原水流路WGに配置されていると、規制部材RG1に汚れ等が付着し、動作不良が生じやすい。同様に、規制解除部DR1が原水流路WGに配置されていると、規制解除部DR1に汚れ等が付着し、動作不良が生じやすい。特に、水栓装置をキッチン等に取り付ける工事をした後、水道配管等の修理がなされた場合、原水に含まれる汚れ等が多くなり、動作不良の問題が起こりやすい。
【0145】
吐水ヘッド8では、規制部材RG1が浄水流路WJに配置されている。このため、規制部材RG1に汚れ等が付着しにくい。規制部材RG1の規制解除当接部112及び切換規制部114に汚れ等が付着しにくい。また、規制部材RG1の軸部110にも汚れ等が付着しにくい。軸部110を回転可能に支持する規制部材支持部106e(
図13(a)参照)も浄水通路WJ1に配置されており、汚れ等が付着しにくい。したがって、規制部材RG1に起因する動作不良が抑制される。
【0146】
吐水ヘッド8では、規制解除部DR1が浄水流路WJに配置されている。このため、規制解除部DR1に汚れ等が付着しにくい。したがって、規制解除部DR1に起因する動作不良が抑制される。
【0147】
吐水ヘッド8では、伝達部材TR1が浄水流路WJに配置されている。このため、伝達部材TR1に汚れ等が付着しにくい。後方延在部252、カートリッジ当接面254、ガイド孔256及び解除当接面260に、汚れ等が付着しにくい。したがって、伝達部材TR1に起因する動作不良が抑制される。
【0148】
吐水ヘッド8では、連動当接部LC1が浄水流路WJに配置されている。このため、連動当接部LC1に汚れ等が付着しにくい。連動当接部LC1の端面132に汚れ等が付着しにくい。したがって、連動当接部LC1に起因する動作不良が抑制される。
【0149】
吐水ヘッド8では、原水から浄水への切換の規制に係る各部材の当接部位、及び、当該規制の解除に係る各部材の当接部位が、浄水流路WJに配置されている。このため、当該規制及び規制解除に係る動作不良が抑制されている。
【0150】
規制部材RG1は、浄水カートリッジPC1の下流側に配置されている。規制部材RG1を浄水流路WJに配置するのに伴い、浄水カートリッジPC1の下流側も浄水流路WJとすることが考えられる。しかしこの場合、浄水カートリッジPC1の振動が低下する。前述の通り、水撃又は高水圧は、原水遮断弁V1が遮断された際にも生じるし、浄水遮断弁V2が遮断された際にも生じるが、原水遮断弁V1が遮断されたときのほうが、水撃又は水圧が大きい。すなわち、浄水流路WJよりも、原水流路WGのほうが、水撃又は水圧が大きい。先端閉塞外面196が原水流路WGに面するように構成することで、水撃又は水圧を高め、浄水カートリッジPC1及びそれに連動する部材の振動を促進することができる。
【0151】
前述の通り、先端閉塞外面196(先端部170の外面)には、凹部176が設けられている。凹部の無い平面等に比較して、凹部176は、水撃又は高水圧を効率的に捕捉しうる。凹部176は、浄水カートリッジPC1及びそれに連動する部材の振動を促進しうる。
【0152】
原水通路WG1は、径方向に沿って延びている。凹部176を設けることで、径方向に沿って延びる原水通路WG1の水流が効果的に捕捉されうる。凹部176は、径方向に沿って延びる原水通路WG1における水撃又は高水圧を効果的に捕捉しうる。よって、浄水カートリッジPC1及びそれに連動する部材の振動が促進されうる。
【0153】
規制部材RG1が浄水流路WJに配置されつつ、先端閉塞外面196が原水流路WGに面する構成を実現するため、吐水ヘッド8では、先端閉塞外面196の下流側に、先端閉塞外面196に面する原水通路WG1を設けている(
図14参照)。この原水通路WG1の下流側が、浄水流路WJとされている。原水通路WG1と、その下流側に位置する浄水流路WJとは、隔壁290で仕切られている。隔壁290は、原水通路WG1の下流側に位置する。隔壁290の下流側に、浄水流路WJ及び規制部材RG1が配置されている。本実施形態では、隔壁290は、受け部形成部材106によって形成されている(
図13(c)参照)。
【0154】
このように、規制部材RG1と浄水カートリッジPC1との間に、原水流路WG及び隔壁290が設けられている。規制部材RG1は浄水カートリッジPC1から離れている。伝達部材TR1が設けられることで、浄水流路WJに設けられた規制部材RG1と、浄水カートリッジPC1との間に、原水流路WG及び隔壁290を設けることができる。伝達部材TR1の基部250は、原水流路WG及び隔壁290よりも下流側に位置する。伝達部材TR1のカートリッジ当接面254は、先端閉塞外面196よりも上流側に位置する。
【0155】
図14が示すように、浄水カートリッジPC1の規制解除部DR1は、先端閉塞外面196よりも上流側に位置している。先端閉塞外面196とは別の位置に規制解除部DR1を設けることで、規制解除部DR1を先端閉塞外面196とは異なる流路に配置することができる。
【0156】
規制解除部DR1は、第1環状パッキンs1と第2環状パッキンs2との間に配置されている。また、浄水出口孔240は、第1環状パッキンs1と第2環状パッキンs2との間に設けられている。第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2は、原水流路WGと浄水流路WJとを仕切っている。したがって、先端閉塞外面196を原水流路WGに配置しつつ、規制解除部DR1を浄水流路WJに配置することができる。規制解除部DR1を浄水流路WJに設けることで、伝達部材TR1及び規制部材RG1を浄水流路WJに設けることが容易となる。
【0157】
図11が示すように、浄水出口孔240は、出口開口縁242を有している。この出口開口縁242は、径方向内側縁242aと径方向外側縁242bとを有している。径方向内側縁242aと径方向外側縁242bとは同軸で配置されている。径方向内側縁242aは円形である。径方向外側縁242bは円形である。径方向外側縁242bは、径方向内側縁242aよりも、径方向外側に位置する。径方向外側縁242bは、径方向内側縁242aよりも上流側に位置する。
【0158】
規制解除部DR1は、浄水カートリッジPC1の内部の浄水流路WJと、接続受け部274の浄水流路WJ(浄水通路WJ1)とを繋ぐ浄水出口孔240に隣接して設けられている。規制解除部DR1は、径方向外側縁242bから径方向外側に延びる面である。前述の通り、規制解除部DR1は下流側端面212(区分け部214)であり、環状面である。環状面である規制解除部DR1の径方向内側縁が、出口開口縁242の径方向外側縁242bを構成している。この構成では、浄水出口孔240の断面積を確保しつつ、先端閉塞外面196よりも上流側の中途位置に規制解除部DR1を形成することができる。
【0159】
図11が示す通り、接続端部152は、浄水出口孔240と、浄水出口孔240よりも下流側に位置する第1環状パッキンs1と、浄水出口孔240よりも上流側に位置する第2環状パッキンs2とを有している。第1環状パッキンs1の外径G1は、第2環状パッキンs2の外径G2よりも小さい。この構成により、第1環状パッキンs1と第2環状パッキンs2との間に規制解除部DR1を形成することが容易となる。この構成により、浄水カートリッジPC1の形状の複雑化、コスト上昇及び流量低下を抑制しつつ、規制解除部DR1を形成することができる。
【0160】
本実施形態では、規制解除部DR1は、複数の区分け部214から構成されている。この規制解除部DR1は、円環状に分布している(
図9(b)参照)。一方、伝達部材TR1における複数のカートリッジ当接面254は、周方向に沿って配置されている。したがって、浄水カートリッジPC1の周方向位置(位相)が変化しても、カートリッジ当接面254は安定的に規制解除部DR1に当接しうる。
【0161】
後方延在部252の数は限定されない。後方延在部252の数は1であってもよいし、2であってもよい。規制解除部DR1との安定的な当接との観点から、後方延在部252の数は、3以上が好ましい。後方延在部252の数が過大であると、後方延在部252が浄水流路WJに配置されている場合に、浄水の流量が低下しうる。この観点から、後方延在部252の数は、8以下が好ましく、6以下がより好ましく、4以下がより好ましい。
【0162】
上記実施形態では、環状パッキンs1,s2として、Oリングが用いられている。このOリングの断面形状は、円形である。環状パッキンの断面形状は、円形でなくてもよい。例えば、環状パッキンとして、断面形状が楕円形のOリングが用いられてもよい。環状パッキンは、Oリングに限定されない。また、環状パッキンの断面形状は限定されない。例えば、環状パッキンとして、断面が方形の方形パッキン、断面がU形のUパッキン、断面がV型のVパッキン、断面がY形のYパッキン、断面がX形のXパッキンなどが使用されうる。なお、浄水カートリッジ及び周辺部材と環状パッキンとの固着抑制及びシール性(水密性)確保の総合面で、Oリングが好ましく、特に断面が円形のOリングを用いるのが好ましい。
【0163】
規制部材RG1の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、規制部材RG1の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。
【0164】
伝達部材TR1の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、伝達部材TR1の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。規制部材RG1等の隣接部材との摺動性を重視する場合は、ポリオキシメチレン(POM)が特に好ましく、また、強度を重視する場合は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。
【0165】
浄水カートリッジPC1の規制解除部DR1の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、規制解除部DR1を含む部材の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。成形性及びコストの観点から、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が特に好ましい。
【0166】
接続受け部274の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、接続受け部274を含む部材の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。成形性及びコストの観点から、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が特に好ましい。
【0167】
浄水カートリッジPC1は所定の使用期間ごとに交換されるのに対して、規制部材RG1は交換されない。長期間繰り返し使用される規制部材RG1は、高い剛性及び高い耐摩耗性を有するのが好ましい。この観点から、規制部材RG1の材質の縦弾性係数は、3GPa以上が好ましく、5GPa以上がより好ましく、10GPa以上が更に好ましい。上述の好ましい材質を考慮すると、規制部材RG1の材質の縦弾性係数は、30GPa以下が好ましく、20GPa以下がより好ましく、15GPa以下が更に好ましい。規制部材RG1の材質の縦弾性係数は、規制解除部DR1の材質の縦弾性係数よりも大きいのが好ましい。規制部材RG1の材質の縦弾性係数は、伝達部材TR1の材質の縦弾性係数よりも大きいのが好ましい。
【0168】
浄水カートリッジPC1は所定の使用期間ごとに交換されるのに対して、伝達部材TR1は交換されない。長期間繰り返し使用される伝達部材TR1は、高い摺動性を有するとともに、高い剛性及び高い耐摩耗性を有するのが好ましい。高い剛性及び高い耐摩耗性を有するとの観点から、伝達部材TR1の材質の縦弾性係数は、0.1GPa以上が好ましく、1.0GPa以上がより好ましく、2.0GPa以上が更に好ましい。上述の好ましい材質を考慮すると、伝達部材TR1の材質の縦弾性係数は、10GPa以下が好ましく、7GPa以下がより好ましく、5GPa以下が更に好ましい。伝達部材TR1の材質の縦弾性係数は、規制解除部DR1の材質の縦弾性係数よりも大きいのが好ましい。
【0169】
浄水カートリッジPC1の構成としては、規制解除部DR1の材質の縦弾性係数EM1を、規制解除部DR1が当接する相手方部位の材質の縦弾性係数EM2より小さくするのがよい。これにより長期間繰り返し使用される相手側部位(例えば伝達部材TR1)の損傷や摩耗を防止できる。この観点により、EM1とEM2の比である比(EM1/EM2)の値は0.9以下が好ましく、さらに0.8以下が好ましく、特に0.7以下が好ましい。また、比(EM1/EM2)の値が小さくなりすぎると、浄水カートリッジPC1の強度や摩耗性が過度に低下しやすくなる。よって、この観点から、比(EM1/EM2)の値は0.2以上が好ましく、さらに0.4以上が好ましく、特に0.5以上が好ましい。
【0170】
上記縦弾性係数は、引張応力に対するひずみ量の関係から求められるもので、弾性範囲におけるひずみ量と応力の比例定数であり、ヤング率とも呼称される。一般的な材質の縦弾性係数は、多くの文献に記載されており、よく知られている。文献値が不明確である場合、縦弾性係数は、ASTM D638に準拠して測定されうる。この測定では、測定対象となる部材と同じ材質からなる試験片が用いられうる。
【0171】
上記実施形態の浄水カートリッジPC1では、中間部150が浄水カートリッジPC1の外周面から内部へと水を透過させうる透過部151を有する。中間部150の構成はこの態様に限られない。例えば、浄水カートリッジPC1の外周面は非通水性の外周壁で形成され、この外周壁の内側に透過部が設けられてもよい。この場合、浄水カートリッジPC1の後端からの水の流入が許容されてもよい。例えば、浄水カートリッジPC1の上流側の端(後端)に流入口が設けられうる。この流入口は、後方形成部154に設けられうる。水は、この流入口から浄水カートリッジPC1に流れ込み、当該透過部を透過して接続端部152に到達しうる。
【0172】
上記実施形態では、浄水機能部が透過部とされ、この透過部に原水を透過させることで浄水が生成される。上述の通り、この透過部は浄水機能部の一例にすぎない。浄水は、透過部を透過せずに生成されてもよい。例えば、浄水カートリッジが金属材を有し、この金属材から、除菌、抗菌、殺菌又は菌増殖抑制の効果を有する金属イオンが放出されることでも、浄水が生成されうる。
【0173】
本願において浄水とは、以下の(1)及び(2)の生成水を含む概念である。
(1)水中の物質又はイオンなどが吸着材又はろ過膜などで取り除かれた生成水。
(2)除菌などの機能を水に与える為に金属イオンを水に含ませるなど、水に金属イオン、電子、物質などを含ませて水に有益な機能を付与させた生成水。
【0174】
具体的には、本願における浄水は、以下の機能A及び/又は機能Bにより生成される水を含む概念である。換言すれば、本願における浄水機能部は、以下の機能A及び/又は機能Bを有する機能部を含む概念である。
【0175】
[機能A]
機能Aとは、以下のA1、A2、A3、A4及びA5からなる群から選択される1以上の機能である。
A1:活性炭などの吸着材を使用して、水中の物質を吸着して取り除く機能。
A2:ろ材を用いて水中の物質をろ過する機能。好ましくは、このろ材が逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜、ナノろ過膜、多孔質中空繊維膜などのろ過膜とされ、このろ過膜を使用して水中の物質をろ過する機能。
A3:イオン交換樹脂などを使用して、水中の金属イオンなどを取り込んで除去する機能。
A4:金属材から除菌、抗菌、殺菌、及び/又は、菌の増殖を抑止する効果を有する金属イオンを放出する機能。
A5:金属材から金属イオンを放出させると共に、この金属イオンの放出に伴って発生する電子を水中の酸素に取り込ませることによって活性酸素を生成させる機能。
【0176】
浄化の対象とする水中の物質として、塩素、揮発性有機化合物、農薬物質、かび臭物質、重金属などが例示される。塩素、揮発性有機化合物、農薬物質、かび臭物質及び重金属からなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
【0177】
なお、本願において「塩素」とは、水道水中の残留塩素を含む概念である。この残留塩素は、遊離残留塩素と結合残留塩素とを含む。遊離残留塩素として、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンとが挙げられる。結合残留塩素として、モノクロラミン、ジクロラミン及びトリクロラミンが挙げられる。水を消毒する目的で、塩素ガスを水に溶かすと、これらの残留塩素が生じうる。
【0178】
前記揮発性有機化合物として、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロロホルム、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、総トリハロメタンなどが例示される。クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロロホルム、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、総トリハロメタンからなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
【0179】
前記農薬物質として、2−クロロ−4,6−ビスチルアミノ−1,3,5−トリアジンなどが例示される。2−クロロ−4,6−ビスチルアミノ−1,3,5−トリアジンが除去されるのが好ましい。
【0180】
前記かび臭物質として、2−メチルイソボルネオール、ジェオスミン、フェノール類などが例示される。2−メチルイソボルネオール、ジェオスミン及びフェノール類からなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
【0181】
前記重金属として、鉛、水銀、銅、ヒ素及びカドニウムなどが例示される。鉛、水銀、銅、ヒ素及びカドニウムからなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
【0182】
前記機能A4における金属イオンとして、亜鉛イオン及び銀イオンが例示される。亜鉛イオン及び銀イオンからなる群から選択される1以上が放出されるのが好ましい。
【0183】
前記機能A4における菌としては、大腸菌及びブドウ球菌などが挙げられ、一般細菌と定義(包括)される雑菌類も含まれる。それらの菌のうちの1以上が除菌、抗菌、殺菌、又は増殖が抑止されるのが好ましい。
【0184】
前記機能A5における活性酸素は、菌などの有機物を分解しうる。この菌として、大腸菌及びブドウ球菌などが挙げられ、一般細菌と定義(包括)される雑菌類も含まれる。それらの菌のうちの1以上が分解されるのが好ましい。
【0185】
なお、塩素や有害物質を効果的に取り除くことができると共に、浄水カートリッジの製造コストを抑えることができると言う観点から、機能A1を備える浄水カートリッジが好ましい。なお、機能A2、A3、A4及びA5から選ばれる1以上の機能と機能A1とを備える浄水カートリッジとすることもできる。
【0186】
[機能B]
機能Bは、雑貨工業品品質表示規程(改正日:平成29年3月30日/施行日:平成29年4月1日)の別表第二(第二条関連)の「六 浄水器」に定められるろ材及び/又は媒体を使用して浄水を行う機能である。言い換えると、浄水カートリッジは、雑貨工業品品質表示規程(改正日:平成29年3月30日/施行日:平成29年4月1日)の別表第二(第二条関連)の「六 浄水器」に定められるろ材及び/又は媒体を使用して浄水を行う浄水機能部を備えるのが好ましい。
【0187】
前記機能A及び/又は機能Bを有する浄水機能部は、浄水流路の一部を構成していてもよいし、浄水流路の中に配置されていてもよいし、浄水流路に流通する水溜まり部に配置されていてもよい。
【0188】
浄水カートリッジは、その全体が分離不能に一体化された一体タイプであってもよいし、互いに分離しうる複数の部材で構成される複合タイプであってもよい。
【0189】
前記複合タイプは、例えば、前記規制解除部を備えるアダプター部材と、カートリッジ本体部とを有する構成とすることができる。アダプター部材は、カートリッジ本体部に連結可能であってもよいし、連結不能であってもよい。換言すれば、アダプター部材は、カートリッジ本体部に装着可能であってもよいし、カートリッジ本体に装着不能であってもよい。アダプター部材がカートリッジ本体部に装着可能である場合、アダプター部材は、カートリッジ本体に取り外し可能に取り付けられてもよいし、取り外し不能に取り付けられてもよい。
【0190】
アダプター部材及びカートリッジ本体の構成は限定されず、例えば、以下の構成B1からB4のいずれであってもよい。
B1:アダプター部材がカートリッジ本体に装着された状態で、カートリッジ装着部に装着する構成。
B2:先にアダプター部材をカートリッジ装着部に装着して、次にカートリッジ本体をアダプター部材に装着する構成。
B3:アダプター部材をカートリッジ装着部の一部に装着し、カートリッジ本体をカートリッジ装着部の他部に装着する構成。
B4:先にアダプター部材をカートリッジ装着部の一部に装着し、次にカートリッジ本体をアダプター部材及びカートリッジ装着部の他部に装着する構成。
【0191】
上記構成B1からB4において、アダプター部材は、カートリッジ装着部に取り外し可能に取り付けられる構成であってもよいし、取り外し不能に取り付けられる構成であってもよい。ただし、取り外し不能の場合は、規制部材が前記第2状態のまま保持されてしまう。よって、アダプター部材は、カートリッジ装着部に取り外し可能に取り付けられているのが好ましい。
【0192】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
吐出口と、
原水流路と、
浄水流路と、
前記吐出口からの吐水が原水か浄水かを切り換えうる切換機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切換機構による原水から浄水への切換を規制し、且つ、前記第2状態では前記切換機構による原水から浄水への切換を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部、及び、非通水性の先端閉塞外面を備えた浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となるように構成されており、
前記先端閉塞外面が、前記原水流路に面しており、
前記規制部材が、前記浄水流路に配置されている浄水機能付き吐水ヘッド。
[付記2]
前方位置と後方位置との相互移行が可能な伝達部材を更に備えており、
前記伝達部材は、前記浄水カートリッジの装着により前記前方位置に移動し、
前記前方位置に移動した前記伝達部材により、前記規制部材が前記第2状態に移行する付記1に記載の吐水ヘッド。
[付記3]
前記規制解除部が、前記先端閉塞外面よりも上流側に位置しており、
前記浄水カートリッジが装着されたとき、前記規制解除部が前記伝達部材を押圧し、この押圧により、前記伝達部材が前記前方位置に移動する付記2に記載の吐水ヘッド。
[付記4]
前記カートリッジ装着部が、接続受け部を有しており、
前記浄水カートリッジが、前記接続受け部に接続される接続端部を有しており、
前記接続端部が、浄水出口孔と、前記浄水出口孔よりも下流側に位置する第1環状パッキンと、前記浄水出口孔よりも上流側に位置する第2環状パッキンとを有しており、
前記第1環状パッキンの外径G1が、前記第2環状パッキンの外径G2よりも小さく、
前記規制解除部が、前記第1環状パッキンと前記第2環状パッキンとの間に形成されている付記3に記載の吐水ヘッド。
[付記5]
前記浄水カートリッジの下流側に、前記原水流路を構成する原水通路が設けられており、
前記先端閉塞外面が、前記原水通路に面しており、
前記原水通路の下流側に、隔壁が設けられており、
前記隔壁の下流側に、前記浄水流路及び前記規制部材が配置されている付記1から4のいずれか1項に記載の吐水ヘッド。
[付記6]
吐出口と、前記吐出口からの吐水が原水か浄水かを切り換えうる切換機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切換機構による原水から浄水への切換を規制し、且つ、前記第2状態では前記切換機構による原水から浄水への切換を許容する規制部材と、前記規制部材が配置された浄水流路と、原水流路と、カートリッジ装着部と、を備えた浄水機能付き吐水ヘッドに装着可能な浄水カートリッジであって、
浄水機能部と、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と、前記原水流路に面する非通水性の先端閉塞外面と、を有している浄水カートリッジ。
[付記7]
前記吐水ヘッドが、前方位置と後方位置との相互移行が可能な伝達部材を更に備えており、
前記伝達部材が、前記浄水カートリッジの装着に伴い前記規制解除部により前記前方位置に移動され、
前記前方位置に移動した前記伝達部材により、前記規制部材を前記第2状態J2に移行させうる付記6に記載の浄水カートリッジ。
[付記8]
付記1から5のいずれか1項に記載の吐水ヘッドを備えた水栓装置。
【0193】
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
【0194】
前記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成を備えなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。