【実施例1】
【0012】
図1に、本発明の端末共用装置を含むシステム構成を示す。以下では、Mは2以上の整数、mは1以上M以下の整数、Nは1以上の整数、nは1以上N以下の整数、xはm以外の1以上M以下の整数とする。
図1に示したシステムは、端末共用装置100、端末400
1,…,400
M、端末500
1,…,500
N、電話交換機900で構成されている。端末共用装置100と端末400
1,…,400
Mは、データ通信ネットワーク800を介して接続されている。端末400
1,…,400
M、端末500
1,…,500
Nは電話交換機900に接続されている。端末400
1,…,400
Mは、電話交換機900を介して外部電話通信ネットワーク910にも接続できる。電話交換機900は、例えば、PBX(Private Branch eXchange:構内交換機)である。端末400
1,…,400
Mは、表示機能と入力機能と電話機能とデータ通信機能を有する。端末500
1,…,500
Nは、例えば、病院で患者が操作するナースコールなどである。端末500
nは、端末400
1,…,400
Mの中のあらかじめ電話交換機900に登録された端末を呼び出す機能と、通話する機能を有している。電話交換機900と端末500
1,…,500
Nは、既存の装置と端末であり、例えば、特許文献1,2に示されたナースコールに対応する機能を備えた装置などを用いればよい。端末400
1,…,400
Mには、いわゆるスマートフォンなどの携帯端末を用いればよく、端末共用装置100と組み合わせて処理が行えるようなプログラム(アプリ)をインストールしておけばよい。端末共用装置100と端末400
1,…,400
Mを組み合わせた処理については後述する。
【0013】
端末共用装置100は、複数のユーザで、表示機能と入力機能と電話機能とデータ通信機能を有する複数の端末400
1,…,400
Mを共用するための装置である。端末共用装置100は、少なくとも記録部190、関連管理部110、状況表示部120、着信管理部130、共有情報表示部140を備える。端末共用装置100は、さらに、共有情報登録部150、電話連携部160、緊急情報発信部170も備えてもよい。
【0014】
記録部190には、あらかじめ、ユーザを特定するユーザIDと、電話番号と関連付けられている端末を特定する端末IDとを記録しておく。また、記録部190には、あらかじめ、情報を共有する共有グループごとに、共有グループを特定する共有グループIDを共有グループの条件である共有条件と共有情報とユーザと関連付けて記録しておく。記録部190にあらかじめ記録しておく情報は、施設(病院など)の情報管理を行う部門が行えばよい。端末IDには、電話番号を使用してもよいし、別の識別子を用いてもよい。端末IDとして電話番号を使用する場合は、「電話番号と関連付けられている端末を特定する端末ID」とは、電話番号自体である。なお、共有グループとユーザとの関連付けは、共有グループIDとユーザIDを関連付けて記録部190に記録することで実現する。「共有グループIDをユーザと関連付ける」という表現を使うこともあるが、この表現のときも記録部190には、共有グループIDとユーザIDとが関連付けられえて記録される。また、「端末に関連付けられた共有グループ」とは、記録部190に端末IDに関連付けられて共有グループIDが記録されている共有グループを意味している。端末とユーザの関連付けなど、他の関連付けも同様である。
【0015】
図2は関連登録ステップの処理の例を示す図、
図3は関連消去ステップの第1の処理の例を示す図、
図4は関連消去ステップの第2の処理の例を示す図、
図5は関連消去ステップの第3の処理の例を示す図である。ユーザは端末400
mを使い始めるときに、端末400
mからユーザIDを端末共用装置100に送信する。この際、端末400
mは、ユーザIDと端末IDを端末共用装置100に送信する(S111)。関連管理部110は、端末400
mから利用するユーザのユーザIDを受信したときには、ユーザIDと端末IDとの関連付けを記録部190に記録する(S112)。なお、記録部190には、あらかじめ、共有グループごとに、共有グループIDと共有条件と共有情報とユーザとを関連付けて記録している。したがって、ステップS112の処理によって、端末(端末ID)、ユーザ(ユーザID)、共有グループ(共有グループID)、共有条件、共有情報が相互に関連付いた状態となる。
【0016】
関連管理部110は、ユーザが端末400
mの使用を終了したと判断する判断条件を満たしたときには(S118)、記録部190に記録されたユーザIDと端末IDとの関連付けを消去する(S117)。「判断条件」としては、例えば、24時間以上、端末400
mから端末共用装置100へのアクセスがない場合、端末400
mが一定時間電波の届かない状態の場合などにすればよい。また、
図4に示すように、端末400
mから電源が切断された旨を知らせる通知があったときを「判断条件を満たしたとき」としてもよい(S116)。さらに、
図5に示すように、端末400
mから別のユーザのユーザIDが送信された場合に(S111)、関連付けを消去し(S117)、別のユーザIDと端末IDとの関連付けを記録部190に記録すればよい(S112)。
【0017】
図6に状況表示ステップの処理の例を示す。端末400
mが、状況要求と端末IDを端末共用装置100に送信すると(S121)、状況表示部120は、端末400
mに、ユーザIDと端末IDとの関連付けが記録されているユーザを識別できるように表示させる(S122,S123)。このように、ユーザIDと端末IDとの関連付けが記録されているユーザを識別できるように表示されると、勤務中のユーザが誰かが分かるため、施設内での連絡がスムーズになる。また、例えば、記録部190は、ユーザごとにカスタマイズできる電話帳情報も記録してもよい。そして、端末400
mが、上記の状況要求の代わりに、電話帳情報の提示を求める要求(電話帳情報要求)と端末IDとを端末共用装置100に送信してもよい。この場合は、状況表示部120は、電話帳情報を端末400
mに表示させればよく、端末400
mに関連付けられているユーザの電話帳情報を表示させる際に、ユーザIDと端末IDとの関連付けが記録されているユーザを識別できるように表示させればよい(S122,S123)。ユーザごとにカスタマイズできる電話帳情報とは、他のユーザをグループ分けすること、表示する順番の設定、背景のデザインの選択など様々な設定をユーザの好みに合わせることができる電話帳情報という意味である。このように、電話帳情報をカスタマイズできるようにすれば、端末400
mを使用し始めるときに、記録部190に他のユーザIDと端末IDとの関連付けが記録されたままになっていても、自分のユーザIDと端末IDとの関連付けを記録する処理を行う動機になる。したがって、ユーザと端末とを使用者に応じて関連付けやすい。
【0018】
着信管理部130は、端末400
mから所定の電話機能を利用した着信に関する情報である着信応答情報を受信し、当該着信応答情報がいずれかの共有条件を満たすときは、満たした共有条件に関連付けられた共有グループに関連付けて着信応答情報と当該端末400
mに関連付けられたユーザの情報を共有情報として記録部190に記録する(S132)。「所定の電話機能を利用した着信に関する情報である着信応答情報」とは、例えば、患者からのナースコールへの応答の情報などである。ただし、ナースコールに限定するものではなく、適宜定めておけばよい。「共有条件」は、情報の種類に関する条件であり、あらかじめ記録部190に記録されている。病院であれば、例えば、「共有条件」をあらかじめ定めた患者のナースコールとしておく。そして、あらかじめ定めた患者を担当するユーザ(医師、看護師)を、その患者を担当する共有グループに関連付ければよい。
【0019】
図7に着信管理ステップを含む処理の例を示す。端末500
nが、電話交換機900を介して端末400
mを含むいくつかの端末を呼び出す(S501)。端末400
mを所持しているユーザが、この呼び出しに応答する(S502)。例えば、患者が端末500
n(ナースコール)で複数の端末を呼び出し、端末400
mを所持している看護師が応答し、通話する。その場合に、端末400
mが、所定の電話機能を利用した着信に関する情報である着信応答情報として、ナースコールの情報(患者名,応答した看護師名,時刻など)を端末共用装置100に送信する(S131)。着信管理部130は、当該着信応答情報がいずれかの共有条件を満たすときは、満たした共有条件に関連付けられた共有グループに関連付けて着信応答情報と当該端末400
mに関連付けられたユーザの情報を共有情報として記録部190に記録する(S132)。
【0020】
ステップS501,S502は、既存の電話交換機900が備えている機能で実行すればよい。例えば、4階の入院患者からの電話交換機900を介したナースコールは、4階のナースセンタに配備されている端末を呼び出せばよい。ステップS131では、端末400
mが、その着信応答情報を端末共用装置100に送信する。そして、ステップS132では、着信管理部130が、共有グループに関連付けて着信応答情報を記録部190に記録する。なお、ナースコールで呼び出される端末は、電話交換機900に設定している端末なので、看護師が所持する端末が設定されているし、勤務中の看護師のみ(ナースセンタに配置された端末を所持している看護師のみ)が呼び出されえる。一方、共有グループに関連付けられたユーザを、あらかじめ定めた患者を担当するユーザ(医師、看護師)としていれば、医師、およびナースコールがあった時刻には勤務していなかった看護師とも情報を共有できる。また、このような処理なので、既存の電話交換機900を利用したナースコールをそのまま使いながら、複数の医師と看護師とで情報を共有できる。また、病院に限らなくても、既存の電話交換機を同じように使用している場合は、端末共用装置100を用いれば、既存の電話交換機をそのまま使いながら情報を共有できる。
【0021】
図8に共有情報表示ステップの処理の例を示す。端末400
mが、共有情報の要求を端末共有装置に送信する(S141)。共有情報表示部140が、端末400
mに関連付けられた共有グループの共有情報を提示する(S142)。端末400
mが、共有情報を表示する(S142)。つまり、共有情報表示部140は、端末400
mから共有情報の要求を受信したときには、端末400
mに関連付けられた共有グループの共有情報を端末400
mに表示させる(S142,S143)。端末400
mへの表示は、共有情報を閲覧させることで実現すればよい。また、端末400
mへの表示を共有情報を送信して行う場合は、表示を終了したときに、端末400
mが、端末400
m内の共有情報を消去すればよい。共有情報表示ステップによって、上述の着信応答情報、後述する登録された共有情報などをユーザが確認できる。
【0022】
図9に共有情報登録ステップの処理の例を示す。共有情報登録部150は、端末400
mから共有グループを指定した情報の登録要求があったときには(S151)、端末400
mが指定された共有グループと関連付けられている場合は、指定された共有グループと関連付けて登録要求があった情報と端末400
mに関連付けられたユーザの情報(氏名など)を共有情報として記録部190に記録する(S152)。共有情報登録ステップによって、チャットの記入が可能になる。例えば、患者Bに対して行った処置を記入すれば、処置の内容を共有できる。
【0023】
図10に電話連携ステップの処理の例を示す。例えば、ステップS123によって端末400
mに電話帳情報が表示されているときに、ユーザが1人のユーザを指定すると、端末400
mは、ユーザを指定した電話番号の要求を送信する(S161)。電話連携部160は、指定されたユーザに関連付けられている端末400
xが存在する場合は、指定されたユーザに関連付けられている電話番号を、端末400
mに送信する(S162)。そして、端末400
mが、受信した電話番号に電話交換機900を使って発呼する。つまり、電話連携部160は、端末400
mからユーザを指定した電話番号の要求を受信したときには、当該ユーザに関連付けられている端末400
xが存在する場合は、当該ユーザに関連付けられている電話番号を、電話番号の要求をした端末400
mに送信する(S162)。端末400
mにインストールしているプログラムが、電話番号を受信したときに自動的に発呼する機能を有していれば、ユーザは電話帳から通話相手を選択するだけなので、端末共用装置100を意識することなく端末を共用できる。
【0024】
図11に緊急対応ステップの処理の例を示す。記録部190は、さらに、緊急時に対応するための緊急対応グループを特定する緊急対応グループIDとユーザとを関連付けて記録してもよい。そして、緊急情報発信部170は、端末400
mから緊急情報の発信要求があったときには(S171)、端末400
mに関連付けられた緊急対応グループの他の端末400
xに、緊急情報を送信する(S172)。端末400
xは、緊急情報を出力する(S173)。具体的には、緊急状態であること知らせる音を出すとともに、端末400
mの位置を知らせる情報、端末400
mに関連付けられているユーザの情報(氏名など)を表示すればよい。
【0025】
端末共用装置100によれば、端末を場所に依存させて運用する場合でも、ユーザが端末を使用し始めるたびにユーザと端末とを関連付ける。また、所定の電話機能を利用した着信に関する情報である着信応答情報を端末から受信すると、共有条件を満たすときには共有情報として記録部に記録するので、複数のユーザで複数の端末を簡易に共用できる。例えば、ナースコールへの応答情報を、上述の所定の電話機能を利用した着信に関する情報である着信応答情報とすれば、どの看護士がナースコールに応答したのかという情報を、共有グループで簡易に共有できる。
【0026】
[プログラム、記録媒体]
上述の各種の処理は、
図12に示すコンピュータ2000の記録部2020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部2010、入力部2030、出力部2040、表示部2050などに動作させることで実施できる。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0027】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0028】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0029】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。