特許第6758052号(P6758052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6758052排出口を有する封入構造を有する電磁放射検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758052
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】排出口を有する封入構造を有する電磁放射検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20200910BHJP
   G01J 5/02 20060101ALI20200910BHJP
   G01J 5/20 20060101ALI20200910BHJP
   G01J 5/48 20060101ALI20200910BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20200910BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   G01J1/02 C
   G01J1/02 Q
   G01J5/02 J
   G01J5/20 B
   G01J5/48 D
   H01L27/144 K
   H01L27/146 A
   H01L27/146 D
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-29627(P2016-29627)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-194507(P2016-194507A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2019年1月24日
(31)【優先権主張番号】1551489
(32)【優先日】2015年2月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】デュモン ジョフロワ
(72)【発明者】
【氏名】カール ローラン
(72)【発明者】
【氏名】インペリネッティ ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ポカス ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ジャン−ジャック
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−034547(JP,A)
【文献】 特開2013−102144(JP,A)
【文献】 特開2011−039036(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/061983(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0207281(US,A1)
【文献】 特表2007−514557(JP,A)
【文献】 特開2005−033075(JP,A)
【文献】 特表2014−533838(JP,A)
【文献】 特開2010−045064(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0175284(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/132155(WO,A1)
【文献】 特開2011−232157(JP,A)
【文献】 特開2003−344157(JP,A)
【文献】 特開2009−032501(JP,A)
【文献】 G. DUMONT, et al.,Innovative on-chip packaging applied to uncooled IRFPA,Infrared Materials, Devices, and Applications,2008年 1月24日,6835,68350G,URL,https://doi.org/10.1117/12.756719
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00 − B81B 7/04
B81C 1/00 − B81C 99/00
G01J 1/00 − G01J 1/60
G01J 5/00 − G01J 5/62
G01J 11/00
H01L 21/339
H01L 27/14 − H01L 27/148
H01L 27/30
H01L 29/762
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(3)と、
前記基板上に設けられ、検出すべき放射の吸収に好適な、前記基板(3)の上方に展張され且つ断熱支持素子(11)によって前記基板(3)から断熱された吸収薄膜(9)を有する、少なくとも1つの熱検知器(2)と、
少なくとも1つの熱検知器(2)を内包し、前記少なくとも1つの熱検知器(2)が配置されるキャビティ(4)を前記基板(3)と共に規定するように前記少なくとも1つの熱検知器(2)の周囲及び上方に延在する封入層(6)を有する、封入構造(5)と、を備え、
前記封入層(6)は、前記少なくとも1つの熱検知器(2)のそれぞれの吸収薄膜(9)に面するように配置されたスルーオリフィスとして設けられた少なくとも1つの排出口(8)を有することを特徴とする、
電磁放射検出装置。
【請求項2】
複数の熱検知器(2)が前記キャビティ(4)内に配置され、
前記封入層(6)は複数の前記排出口(8)を有し、前記複数の排出口(8)は、少なくとも前記熱検知器(2)の一部のそれぞれが、対応する前記吸収薄膜(9)に面して配置された単一の排出口(8)を有するように配置され、又は、
単一の熱検知器(2)が前記キャビティ(4)内に配置され、
前記封入層(6)は、前記熱検知器(2)の前記吸収薄膜(9)に面して配置された単一の排出口(8)を有する、
請求項1に記載の電磁放射検出装置。
【請求項3】
前記排出口(8)に面して配置される前記吸収薄膜(9)は、前記排出口(8)に対して垂直に配置され、かつ、前記排出口(8)以上の寸法のスルーオリフィス(19)を有する、
請求項1又は2に記載の電磁放射検出装置。
【請求項4】
前記吸収薄膜(9)は、ボロメトリック層(20)、2つの分離した部分(12a、21b)を形成するように構成された誘電層(21)、及び、3つの電極(22a、22b、22c)を形成するように構成された電気伝導層(22)の積層を有し、
同じ電位に昇圧される前記電極の2つ(22a、22c)は、中央電極であり、かつ、異なる電位に昇圧される第3の電極の側面に位置し、
各電極は、前記ボロメトリック層(20)と接触し、
前記中央電極(22b)は、前記誘電層(21)によって他の電極(22a、22c)と電気的に絶縁され、
オリフィス(19)は、前記中央電極(22b)と、前記誘電層(21)の前記部分(21a、21b)の間に位置する領域の前記ボロメトリック層(20)と、を貫通する、
請求項3に記載の電磁放射検出装置。
【請求項5】
前記封入構造(5)は、前記キャビティ(4)を密閉するために前記封入層(6)を覆う密閉層(7)を更に備え、
前記基板(3)は、前記密閉層(7)の材料の付着性を確保するのに好適な、対応する薄膜(9)の前記スルーオリフィス(19)に面して配置された固定層(14)を備える、
請求項3又は4に記載の電磁放射検出装置。
【請求項6】
前記固定層(14)は、前記吸収薄膜(9)全体の下に延在しており、かつ、検出すべき電磁放射を更に反射するのに好適な材料からなる、
請求項5に記載の電磁放射検出装置。
【請求項7】
前記排出口(8)は、前記基板の面に直交する面において、幅が前記基板からの距離に従って増加する横断面を有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電磁放射検出装置。
【請求項8】
前記封入構造(5)は、前記キャビティ(4)を密閉するために前記封入層(6)を覆う密閉層(7)を更に備え、
前記密閉層(7)は、前記基板の面に直交する軸に対して0ではない角度αにて、前記密閉層(7)の厚み方向に前記排出口(8)の境界から延在する境界を有し、
前記排出口(8)の前記横断面は、同一の直交軸に対して、前記角度αよりも大きな角度βをなす、
請求項7に記載の電磁放射検出装置。
【請求項9】
前記排出口(8)の長手方向の端部は、円弧形状を有する、又は、互いに傾いている実質的に直線状の部分の連結からなる、
請求項7又は8に記載の電磁放射検出装置。
【請求項10】
前記封入層(6)が少なくとも1つの部分(12)を有する、熱検知器(2)のマトリックスを備え、
前記少なくとも1つの部分(12)は、内部支持部と称され、隣接する2つの検知器(2)の間に配置され、前記基板に対して直接的に配置される、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電磁放射検出装置。
【請求項11】
前記内部支持部(12)は、前記基板(3)の面に対して平行な面において長方形のプロファイルを有する、
請求項10に記載の電磁放射検出装置。
【請求項12】
前記内部支持部(12)は側壁(12a)と底部(12b)とを備え、
前記側壁(12a)は前記基板(3)の面に実質的に直交する面において前記キャビティ(4)全体の高さを超えて延在し、
前記底部(12b)は、前記基板(3)と接触する、
請求項10又は11に記載の電磁放射検出装置。
【請求項13】
少なくとも1つの内部支持部(12)が隣接する2つの吸収薄膜(9)と隣接する2つの支持ピン(11a)との間に配置され、
前記支持ピンのそれぞれは、前記隣接する吸収薄膜の支持に関与し、
前記内部支持部(12)は、長手方向が前記吸収薄膜(9)に並行に指向される、
請求項10乃至12のいずれか一項に記載の電磁放射検出装置。
【請求項14】
前記封入層(6)は、前記検知器のマトリックスを囲み、かつ、前記基板の面と平行な面において、角が丸い正方形又は長方形の断面を有する周囲壁(6a)を備える、
請求項10乃至13のいずれか一項に記載の電磁放射検出装置。
【請求項15】
前記断熱支持素子(11)は支持ピン(11a)を有し、
前記固定層(14)は、前記支持ピン(11a)が設けられた部分、及び/又は、前記封入層(6)の内部支持部(12)が設けられた部分を有し、かつ、前記支持ピン及び/又は前記内部支持部の付着性を確保できる材料からなる、
請求項5又は6のいずれか一項に記載の電磁放射検出装置。
【請求項16】
前記排出口(8)は、前記吸収薄膜(9)の中心に対し垂直になるように配置される、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の電磁放射検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、少なくとも1つの熱検知器と、熱検知器を内包する密封キャビティを構成する封入構造とを有し、封入構造が少なくとも1つの排出口を有する、電磁放射、特に赤外又はテラヘルツ放射を検出する装置である。本発明は、特に赤外線イメージング及びサーモグラフィの分野に応用可能である。
【背景技術】
【0002】
例えば赤外又はテラヘルツ放射などの電磁放射を検出する装置は、少なくとも1つの熱検知器と、典型的には基本的熱検知器と称される熱検知器のマトリックスと、を有し、それぞれの熱検知器は検出すべき放射を吸収できる部位を有する。熱検知器の断熱を確保する目的で、典型的には各部位は基板の上方に展張された薄膜の形態とり、断熱支持素子によって基板から断熱されている。また、これらの支持素子は、一般的に基板に配置される読み出し回路に、熱検知器を電気的に接続するという電気的機能をもたらす。
【0003】
最適な検出器の動作を確保するためには、低圧力レベルが必要である。このため、検知器は、1つであるか2個以上の群であるかを問わず、一般に、真空又は低圧下の密封キャビティ中に閉じ込められ又は封入される。
【0004】
図1は、赤外放射の検出に好適な、例示的な検出装置1を示し、より詳細には、“Dumont et al., “Current progress on pixel level packaging for uncooled IRFPA”, Proc. SPIE 8353, Infrared Technology and Applications XXXVIII, 83531I 2012.”で説明されているような、基板3上に設けられ、キャビティ4に単独で配置されたボロメトリック検知器2によって構成される検出装置の1つのピクセルを示している。
【0005】
この例では、検出装置1は、カプセルとも称される、ボロメトリック検知器2が配置されたキャビティ4を規定する封入構造5を有する。封入構造5は、基板3と共にキャビティ4を規定する薄い封入層6と、封入層6を覆い、かつ、キャビティ4の封入を確保する薄い密閉層7と、を有する。封入層6と密閉層7とは、検出すべき電磁放射に対して、透明である。
【0006】
検出装置1は、薄層、特に犠牲層を堆積する技術を用いて作製される。製造プロセスの間、封入層6に設けられた1以上の排出口8を介して、犠牲層がキャビティから剥離、除去される。犠牲層が除去されてキャビティ4が真空下に置かれた後、密閉層7は排出口8を塞ぐために用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、検出装置は、薄膜の製造工程後のいくつかの製造工程で修正され又は劣化した薄膜の光学的及び/又は電気的特性、特に吸収薄膜の光学的及び/又は電気的特性を確認することとなり得る。
【0008】
本発明の目的は、特に光学的及び/又は電気的特性、特に吸収薄膜の特性が薄膜の製造工程の後の工程で維持される電磁放射検出装置を提供することにより、先行技術の欠点を少なくとも部分的に解決することである。
【0009】
本発明の他の目的は、検知器及び/又は封入構造の機械的劣化のリスクが最小化される検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明は、基板と、断熱支持素子で基板から断熱されて基板上方に展張され、検出する放射の吸収に好適な薄膜を有する、基板上に設けられた少なくとも1つの熱検知器と、少なくとも1つの熱検知器が内部に配置されるキャビティを基板と共に規定する、少なくとも1つの熱検知器の周囲又は上方に延在する封入層を有する、単一の熱検知器を封入する封入構造と、を有する。
【0011】
本発明によれば、封入層は、排出口と称される少なくとも1つのオリフィスを有し、少なくとも1つの熱検知器が、対応する吸収薄膜に対向する、望ましくは吸収薄膜の中心と垂直に配置される単一の排出口を有するように、各排出口が配置される。
【0012】
一実施形態によれば、複数の熱検知器が前記キャビティ内に配置され、封入層は複数の排出口を有し、複数の排出口は、少なくとも熱検知器の一部のそれぞれが、対応する吸収薄膜に面して配置された単一の排出口を有するように配置される。また、単一の熱検知器がキャビティに配置され、封入層は、熱検知器の吸収薄膜に対向して配置される単一に排出口を有する。換言すれば、単一の排出口は、吸収薄膜と垂直に配置される。よって、単一の排出口は、アンカーピン又は断熱アームに面しては配置されない。
【0013】
各吸収薄膜は、対応する排出口と垂直に配置され、前記排出口以上の寸法のオリフィスを有してもよい。換言すれば、排出口に対向する前記吸収薄膜は、対応する排出口と垂直に配置され、前記排出口以上の寸法のオリフィスを有してもよい。
【0014】
吸収薄膜は、ボロメトリック層、2つの分離された部分を形成するように構成された誘電層及び3つの電極を形成するように構成された導電層の積層を有してもよく、、同じ電位に昇圧される電極の2つは、中央電極であり、かつ、異なる電位に昇圧される第3の電極の側面に位置し、各電極はボロメトリック層と接触し、中央電極は誘電層によって他の電極と電気的に絶縁され、スルーオリフィスは、中央電極と、誘電層の部分の間に位置する領域のボロメトリック層と、を貫通してもよい。
【0015】
封入構造は、キャビティを密閉するために封入層を覆う密閉層を更に有し、密閉層の材料の付着性を確保するのに好適な、対応する薄膜のスルーオリフィスに面して配置された固定層を有してもよい。
【0016】
固定層は、対応する薄膜全体の下に延在してもよく、かつ、検出すべき電磁放射を更に反射するのに好適な材料からなっていてもよい。
【0017】
排出口は、基板面に直交する面において、幅が基板からの距離に従って増加する横断面を有してもよい。
【0018】
封入構造は、キャビティを密閉するために封入層を覆う密閉層を更に有し、密閉層は、基板面に直交する軸に対して0ではない角度αにて、密閉層の厚み方向に排出口の境界から延在する境界を有し、排出口の横断面は、同一の直交軸に対して、角度αよりも大きな角度βをなしてもよい。
【0019】
排出口の長手方向の端部は、円弧形状を有してもよく、又は、互いに傾いている実質的に直線状の部分の連結からなってもよい。
【0020】
封入層が少なくとも1つの部分を有する、熱検知器のマトリックスを有し、少なくとも1つの部分は内部支持部又はサポート部分と称され、2つの隣接する検知器の間に配置され、基板に対して直接的に配置されてもよい。
【0021】
内部支持部は、基板面と平行な面において、好適には丸みを帯びた端部を有する細長い形状のプロファイルを有してもよい。
【0022】
内部支持部は側壁と底部とを有し、側壁は基板の面に実質的に直交する面においてキャビティ全体の高さを超えて延在し、底部は前記基板と接触してもよい。
【0023】
少なくとも1つの内部支持部が2つの隣接する吸収薄膜と2つの隣接する支持ピンとの間に配置され、支持ピンのそれぞれは、隣接する薄膜の支持に関与し、内部支持部は長手方向が薄膜に並行して指向されてもよい。
【0024】
封入層は、検知器のマトリックスを囲み、かつ、基板面と平行な面において角が丸みを帯びている正方形又は長方形の断面を有する周囲壁を有してもよい。
【0025】
断熱支持素子は支持ピンを有し、固定層は支持ピンが設けられた部分、及び/又は、封入層の内部支持部が設けられた部分を有し、かつ、支持ピン及び/又は支持部の付着性を確保できる材料からなってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の他の態様、目的、効果及び特徴は、以下の好適な実施の形態の詳細な説明によってより明確になるであろう。この説明は、上述の図1の説明とは別のものであり、例を限定することなく、かつ、添付した図面を参照して与えられる。
図1】赤外放射の検出に好適な、例示的な検出装置を示す図である。
図2】検知器あたり1つの排出口が検知器の展張された薄膜に面して配置される場合の一実施の形態にかかる検出装置の模式的断面図である。
図3】展張された薄膜が中間誘電層を有する場合の他の実施の形態にかかる検出装置の模式的な上面図である。
図4】展張された薄膜が中間誘電層を有する場合の他の実施の形態にかかる検出装置の模式的な断面図である。
図5】排出口が円形の端部を有する細長い形状を有する場合の一実施の形態にかかる排出口の上面の模式図である。
図6】排出口の横断面プロファイルが密閉層に向かって広がっている他の実施の形態にかかる検出装置の模式的断面図である。
図7】封入構造が内部支持部を有する他の実施の形態にかかる検出装置の模式図である。
図8】封入構造が内部支持部を有する他の実施の形態にかかる検出装置の模式図である。
図9】封入構造が内部支持部を有する他の実施の形態にかかる検出装置の模式図である。
図10】製造工程の各段階における、図7に示す検出装置の断面図である。
図11】製造工程の各段階における、図7に示す検出装置の断面図である。
図12】製造工程の各段階における、図7に示す検出装置の断面図である。
図13】壁が曲線部位を有する一実施の形態にかかる封入層の周囲壁の上面の部分模式図である。
図14】壁が曲線部位を有する一実施の形態にかかる封入層の周囲壁の上面の部分模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図及び以降の記載においては、同一の符号は同一又は類似する要素を示す。
【0028】
図2に、一実施の形態にかかる電磁放射検出装置の一例を示す。
【0029】
この例では、電磁放射検出装置1は赤外又はテラヘルツの放射を検出するのに好適であり、基本的検知器と称される熱検知器2のマトリックスを有する。図1は、検出装置の部分図であり、1つのキャビティ中に配置された単一の検知器のみを示している。
【0030】
熱検知器は、例えばシリコンからなる基板3を有する。基板3は、例えばCMOS技術で作製される、検知器を動作させ、かつ、検知器から出力される情報の読み取りに必要なバイアスを印加することを可能とする読み出し回路(不図示)を有する。
【0031】
熱検知器2は、検出すべき放射を吸収するのに好適な部位を有する。この吸収部は、一般に、基板に対して断熱され、断熱アーム11bと関連するアンカーピン11aのような断熱支持素子11によって基板3上に展張される、吸収薄膜とも称される薄膜9上に配置されてもよい。検知器が8μmから14μmの波長の赤外線を検出するように設計されている場合には、薄膜9は、典型的には1μmから5μm、望ましくは2μmの距離で基板3から離間される。
【0032】
以下では、熱検知器2はボロメータであり、このボロメータの吸収薄膜9は、誘電率が薄膜の加熱の関数として変化するサーミスタ材料を含む。しかし、この例は、説明を目的とするものであり、これに限定されるものではない。例えば強誘電体もしくは焦電気性の検知器、又は、熱電対列などの、他のいかなる種類の熱検知器を用いてもよい。
【0033】
この例では、検知装置のピクセルは、検知器2とそのアンカーピン11a及び断熱アーム(不図示)とを有する。特に検知器のマトリックスが同一キャビティに配置されている場合、その他の構成をとり得る。この場合、特に隣接する各熱検知器の断熱アームをアンカーピンに接続することによって、検知器を相互に接近して配置してもよく、欧州特許出願公開第1106980号明細書及び欧州特許出願公開第1359400号明細書に記載されているような熱検知器の読み取り機構が構成される。断熱アームの長さの増加及び各ピクセルの電磁放射を吸収しない面積の減少による充填率の増加によって、検知器の感度が改善する。これにより、検出装置は、例えば25μmから、17μmもしくは12μmまでの間の、小さなマトリックスピッチに特に好適である。
【0034】
検出装置1は、内部に熱検知器2が設けられる密封キャビティ4を基板3と共に規定する、封入構造5又はカプセルを有する。封入構造5は、周囲壁6aが検知器2を囲むように、かつ、天井壁6bが検知器2の上方に延在するように堆積された封入層6で形成される。天井壁6bは、実質的に平坦であり、例えば0.5μmから5μm、望ましくは1.5μmの距離で、展張された薄膜9の上方に延在している。封入層は、排出口と称されるスルーオリフィスを少なくとも1つ有し、スルーオリフィスは装置の製造プロセスの間に犠牲層を取り除けるようにすることを目的とするものである。排出口は、封入層6においてキャビティ4に通じる局所的な開口を構成する。
【0035】
また、封入構造は、封入層を覆い、かつ、排出口を塞ぐ密閉層を有する。この密閉層は、慣例的に、付加的な反射防止機能を有する。
【0036】
封入層6は、少なくとも1つの排出口8を有し、キャビティ4に存在する少なくとも1つの熱検知器2は、吸収薄膜9に面して、望ましくは吸収薄膜9の中心に対して垂直な排出口8を有する。換言すれば、単一の排出口8は、吸収薄膜9に対して垂直、すなわち吸収薄膜9に対して直交する。よって、単一の排出口8は、アンカーピン11a又は断熱アーム11bには面しないように配置される。
【0037】
発明者らは、単一の排出口を熱検知器の吸収薄膜に面して配置することで、犠牲層を除去した後に、薄膜に付着する犠牲層の残渣が生じるのを回避することができることに気付いた。これらの残渣の発生は、検知器あたり少なくとも2つの排出口が薄膜の何れかの側に設けられる場合に特に見られるものである。残渣は、一般に、個々の排出口から等距離の領域に位置し、その領域には展張された薄膜が配置されている。これらは、薄膜の光学的及び/又は電気的及び/又は熱的特性に影響し(例えば、薄膜の質量を増やすことで、熱検知器の反応時間を短縮できる)、緩やかなデガスの影響下での残存圧力レベルにも影響する。また、排出口の形成は、トレンチであるハイ・トポグラフィー領域からの距離によって単純化されるので(以下で説明する)、排出口の良好な寸法制御を得ることができる。
【0038】
キャビティ4が単一の熱検知器2を内包する場合、封入層6は、熱検知器の吸収薄膜9に面した単一の排出口8を有する。一般に、検出装置は、熱検知器2のマトリックスを有し、各々の検知器が単一のキャビティに封入されている。そして、封入構造は、全て同じ封入層に形成されるキャビティのマトリックスを有する。各キャビティにおいては、封入層は、キャビティに内包された検知器の吸収薄膜に面した単一の排出口を有する。
【0039】
キャビティ4が複数の熱検知器2を内包する場合、封入層は少なくとも1つの排出口を有し、望ましくは複数の排出口を有し、少なくとも熱検知器2の一部は、それぞれ、対応する吸収薄膜9に面して配置された単一の排出口8を有する。マトリックスの各熱検知器は、対応する吸収薄膜に面して配置された単一の排出口を有してもよい。また、熱検知器のうちの一部だけが、それぞれ、対応する薄膜に面して配置された単一の排出口を有してもよい。これは、熱検知器の列または行に対して、一様でないN番目の各検知器上に配置される排出口において有利である。これにより、排出口が設けられていない検知器の吸収薄膜上の犠牲層の残渣の発生を回避することができる。例として、N=3の場合、排出口が設けられていない2つの隣接する検知器が、それぞれに単一の排出口が設けられた2つの隣接する検知器の間に配置される。この例では、排出口が設けられているか否かに関わらず、熱検知器では、犠牲層の残渣の発生により吸収薄膜が劣化することはない。この変形例は、小さなマトリックスピッチの場合、例えば検知器の位置ピッチが約12μmよりも小さい場合に、特に有利である。
【0040】
検知器の薄膜9に、対応する排出口8に垂直に配置され、かつ、排出口8の寸法以上の寸法のスルーオリフィス19を設けることは、排出口及び/又は薄膜のオリフィスの、約200nmから500nmの位置ズレに対して安全な許容マージンを実現する上で、有利である。これにより、密閉層を堆積する間に、排出口を通じて降下するおそれがある密閉材料が、薄膜上に堆積せず、その代わりに、薄膜のオリフィスを通過して基板上に堆積する。
【0041】
降下密閉物塊が存在する場合にそれを1か所に集めることを保証するためには、薄膜9の下にスルーオリフィス19と一致した固定層を設けることが有利である。これにより、キャビティを密閉する工程で多量の密閉層材料が排出口を通過する場合、通過した量が固定層に堆積し、かつ付着する。これにより、特に基板表面に存在する材料の種類の制限、より詳細には、基板表面の不動態化に用いられる材料の制限を緩和することができる。
【0042】
固定層14は、排出口8に落とし込まれる密閉材料の付着性を確保するために、連続又は不連続にキャビティの各領域上に延在してもよく、より詳細には、薄膜9の下にスルーオリフィス19に面して延在してもよい。固定層14は、検出すべき放射の反射を可能とする光学的機能をもたらすため、薄膜9全体の下に延在してもよい。固定層14は、トレンチの形成及び基板に対する封入層6への付着を向上させるために用いられるエッチング工程の間に基板3を保護するため、各トレンチと同じ高さで延在してもよい。固定層14は、基板に対するピンの付着を向上させるため、かつ、ピンと基板に配置された読み取り回路との間の電気的接続を向上させるため、アンカーピン11aと同一の高さで延在してもよい。固定層の厚みは、好適にはその全範囲で、具体的には前記した各領域のそれぞれで一定である。この固定層は、クロム又はチタニウム、アルミニウム又は窒化チタニウムからなってもよく、これらの材料又は他の材料からなるサブレイヤの積層構造を任意にとってもよく、約100nm〜400nmの厚みを有してもよい。
【0043】
図3及び4に示す一実施の形態によれば、薄膜9がスルーオリフィス19を有している検知器2は、欧州特許出願公開第1067372号明細書に記載されるような中間電気的絶縁性を有する薄膜構造を有する。
【0044】
図3は、この種類の構造を有するボロメトリック検知器の吸収薄膜9の上面図である。この吸収薄膜9は、4本のアンカーピン11aと結合され、かつ、2つの断熱アーム11bによって展張されている。図4は、図3のA−A平面での断面図である。
【0045】
薄膜9は、例えばドープされたアモルファスシリコン又は酸化バナジウムなどの、ボロメトリック(それゆえに抵抗性の)材料の層20を有する。また、薄膜9は、ボロメトリック層20上に配置され、2つの分離された領域21a、21bにおいてボロメトリック層20を覆う、誘電性材料層21を有する。
【0046】
また、薄膜9は、導電性材料の層22を有し、この層は誘電層21及びボロメトリック層20上に堆積され、かつ、3つの離隔した導電部22a、22b、22cが形成されるように、薄膜の幅方向の全域にわたって誘電層まで部分的にエッチングされている。導電層22は、3つの部位22a、22b、22cを読み出し回路に電気的に接続するように、絶縁アーム11bまで延在している。3つの導電部の間では、薄膜9の端に位置する2つの部位22a、22cが、同じ絶縁アーム11bの2つの部位に結合され、これにより、同じ電位に昇圧される2つの電極が構成される。これら2つの端部22a、22cは、他の電位に昇圧される他の絶縁アームに結合される中央部22bの側方に位置する。
【0047】
誘電層21は、電極22a、22b、22cのそれぞれがボロメトリック材料20と電気的に接触するように、かつ、端部電極22a、22cが中央電極22bに対して電気的に絶縁されるようにエッチングされる。
【0048】
本実施の形態では、吸収薄膜9は、中央電極22bの中央に配置された、ここでは長方形のプリファイルのスルーオリフィス19を有する。好ましくは、オリフィス19は、誘電層21がエッチングされる位置と同じ高さに配置される。これにより、オリフィス19は、中央電極22b及びボロメトリック層20のみを貫いている。好ましくは、オリフィス19の幅方向で測定される、オリフィスの境界とオリフィスに面する誘電層21の境界との間の距離は、この領域で中央電極22bと接触するボロメトリック層20の厚み以上である。吸収薄膜の電気的特性へのオリフィスのいかなる影響も、オリフィスをこのように配置することで、最小化ないしは抑制される。
【0049】
図3及び4を参照して説明する例は、上方に誘電層21、電極22a、22b、22cが設けられている薄膜9の底部のボロメトリック層20を示している。しかし、電極22a、22b、22cが薄膜9の底部に位置し、薄膜9の上に誘電層21及びボロメトリック層20が設けられた、層の逆転配置も構成可能である。
【0050】
図5に示す一実施の形態によれば、基板の面と平行な面における排出口8のプルファイルは長方形、すなわち細長い形状である。排出口の幅方向で測定される小寸法Xは、排出口の効果的な密閉を保証できるように選択され、排出口の長さ方向にて測定される大寸法Yは、除去の間に犠牲層材料のエッチングでの反応種及び反応生成物を通過させるように調整されてもよく、これにより犠牲層の除去に要する時間を最適化できる。この点において、幅Xが典型的には約150nmから600nmの間であるのに対し、大寸法Yは約数μm、例えば5μmであってもよい。
【0051】
また、排出口8の長方形は、丸みを帯びた長手方向端部を少なくとも1つ有し、好ましくは両端が丸みを帯びている。長手方向端部は、排出口の長手方向の軸に沿った端部である。例として、端部の曲線形状は、曲率半径が排出口の平均幅Xの半分と等しい円弧であってもよい。より一般的には、端部は、図5の例のような、連続した円、楕円もしくは曲線に対応してもよく、又は、直角ぐ若しくは実質的に曲線状の部分の連続に対応してもよい。
【0052】
発明者は、この排出口の形状により、封入層6でクラックが生じて密閉層7に伝搬するリスクを防止できることを示した。具体的には、局所的な密閉の欠陥は装置全体の動作不良に繋がるので、とりわけ1つのキャビティが検知器のマトリックスを内包している場合には、キャビティの密閉性を損ない得るあらゆるクラックのリスクを防止することが必要である。また、特に犠牲層除去の所要時間の観点から、長方形の排出口と、検知器に対する長方形の中心位置との複合効果により、犠牲層の除去工程が最適化される。
【0053】
図6が示すように、発明者らは、特に、低圧スパッタリング又は蒸着などの真空薄膜堆積法が用いられる場合、排出口8に隣接する密閉層7が垂直に、すなわち、法線、換言すれば基板の面に対して直交する軸に対して0ではない角度αにて、層の厚み方向に延在する傾向が有ることを見出した。排出口の平均幅Xは、密閉層7の厚みeに依存して、実際に密閉を保証する密閉層の小部位の厚みBに依存して、成長角αに依存して、以下の関係性から選択されてもよい。

X = 2・e・(1−B)・tan(α)
【0054】
例として、密閉層の堆積に蒸着法が用いられた場合に、角度αは典型的には約15°〜20°である。1800nmの密閉層の厚みeに対して、密閉を保証するために1200nmの層(B=2/3)が望ましい場合、約320nm〜410nmの排出口の平均幅Xが得られる。
【0055】
更に、図6に示すように、排出口8は、基板3からの距離と共に幅が大きくなる形状の、基板面に対して垂直な断面を有することが好ましい。換言すれば、排出口8は、キャビティの外部に向けて広がる横断面形状を有する。よって、排出口8は、キャビティに向けて開いている底部オリフィスでは狭く、キャビティの外部に向けて開いている頂部オリフィスでは広い。例としては、底部オリフィスにおける幅Xinfは約100nm〜350nmとしてよいのに対し、頂部オリフィスにおける幅Xsupは約250nm〜800nmとしてよい。この例では、封入層6は約800nmの厚みを有する。排出口8のこのような断面形状は、排出口の密閉品質の改善に帰結する。より詳細には、与えられた密閉層の厚みeに対し、発明者らは、排出口が直線状の断面の場合には、実際に密閉を提供する層の小片Bが大きくなり、その結果として密閉性が向上することを見出した。
【0056】
このような排出口断面は、当業者に知られているように、排出口をエッチングする前のレジストの側面に傾斜を設けること、現像後のリフロー又はレジストの露光及び/又は現像条件(露光量、焦点、現像後アニールの温度及び時間)の修正のいずれかによって得てもよい。また、このような排出口断面は、等方性成分を加えること、例えば排出口のエッチングに用いられる化学物質に酸素を加えることで、排出口のドライエッチング中に得ることもできる。また、封入層6がシリコンで形成されている場合には、エッチング物質へのSFやCFのようなフッ素含有ガスの添加が、エッチングの等方性成分の増加に寄与する。
【0057】
この特定の排出口プロファイルの有益な効果は、排出口のプロファイルが基板の法線に対して成す角度βが上記で定義された角度αよりも大きくなる場合に、特に発現する。例として、封入層の厚みが800nm、オリフィス幅Xinfが100nmのとき、頂部オリフィスの幅Xsupは530nm(β=15°)よりも大きくてもよく、680nm(β=20°)より大きくてもよい。
【0058】
図7、8及び9に示す一実施の形態によれば、検出装置は、同一のキャビティ4内に配置された検出器マトリックスを有する。封入構造5は、更に、隣接する2つの検出器2の間に配置された少なくとも1つの内部支持部12、好適には複数の内部支持部を有する。ある内部支持部は、更に、検出器2のマトリックスの周囲に、キャビティ4を縁どるように配置されてもよい。内部支持部12は薄い封入層6で形成され、これにより封入層6は周囲壁6a、天井壁6b及び内部支持部12を含むこととなる。
【0059】
内部支持部12は、基板3上に(に接触して)直接的に置かれる(配置される)。換言すれば、内部支持部12は基板に直接接触する。これにより、これらの内部支持部12は、カプセル5の機械的強度を強化することができる。これにより、一方ではキャビティ周囲の基板に置かれた封入層6の周囲壁6aの底部によって、また他方ではキャビティ内に配置された1以上の内部支持部12によって、基板3へのカプセル5の付着性が確保される。キャビティとその内部を縁どるように分散された接触領域の多重性によって、カプセルの機械的強度を増加させることができる。
【0060】
基板に対して直接的に置かれた又は配置することで、基板を構成する材料や例えばパッシベーション層や固定層のような基板表面上に堆積された薄層に関係なく、これらの薄層が連続的に延在しているかに関係なく、内部支持部12は基板3と直接接触する。よって、内部支持部は、展張された薄膜を支持する素子のような3次元素子を介して基板上に置かれることはない。
【0061】
具体的には、発明者らは、封入層の支持部が基板上ではなく展張された薄膜を支持する素子の上、より詳細にはアンカーピンの上に置かれた場合に、カプセルの剥離や破壊を引き起こし得る、基板へのカプセルの付着性にかかる問題が生じることを見出した。具体的には、アンカーピンは、封入層の支持部の良好な付着性を確保するには、不十分な接触領域及び平面性をもたらすと考えられる。よって、本発明にかかる検出装置は、カプセルが剥離するリスクを低減させる。このリスクは、カプセルの薄層の機械的ストレスに関係し、薄層の内在的するストレスであるか、基板に対するカプセルの相違する熱膨張につながる外在的ストレスであるかに関わらない。
【0062】
よって、封入構造5は、熱検知器2のマトリックスを内包する密封キャビティ4を規定し、密封キャビティ4は相互に繋がった、熱検知器サブアセンブリをそれぞれ内包するサブキャビティ又はセルのネットワークの形態をとる。セルは、それぞれ内部支持部によって相互に分離される。上述したように、このセルのネットワークは、周囲壁6a及び天井壁6b、内部支持部12を形成するように延在する同一の封入層6によって区切られる。
【0063】
これにより、放射検出装置1は、複数の熱検知器2を内包する密封キャビティ4を含み、キャビティの機械的強度は、基板上に直接置かれた1以上の内部支持部12によって強化されることとなる。例えば、マトリックスのピッチを減少さることで、又は、吸収薄膜9のサイズを大きくすることで、或いは、アンカーピン11aを共有化することで、キャビティに複数の熱検知器2を内包させることにより、充填率を増加させることができる。また、内部支持部12がアンカーピンに接触しないかぎり、検知器2間の寄生電気容量を避けることができる。更に、この装置により、吸収薄膜9の断熱性を向上させるために断熱アーム11bの長さを増加させることができる。
【0064】
図8は、図7に示す検出装置1のA−A平面における断面図である。図8は、キャビティ4を形成するために検知器2のマトリックスの周囲及び上方に延在する封入層6の更なる詳細について示している。周囲壁6aはキャビティの境界を形成し、天井壁6bは検知器2の上方に延在している。周囲壁6aは、基板に対するカプセルの付着性を確保するために、基板に対して(基板上に)直接的に配置された(置かれた)周縁底部6cを有する。
【0065】
図9は、図7に示す検出装置1のB−B平面における断面図である。この図では、内部支持部12のそれぞれは、周囲側壁12a及び底部12bを有し、底部壁12bを介して基板3に対して直接的に配置される。換言すれば、基板3の構成材料や、上述したように、基板表面に堆積された薄層にかかわらず、内部支持部12のそれぞれは基板3と直接的に接触している。
【0066】
図7に示すように、内部支持部12は、基板面において、長方形、すなわち長細い形状のプロファイルを有してもよい。これらは、それぞれ、充填率を最適化するように、隣接する2つの展張された薄膜の間、かつ、隣接する2つのアンカーピンの間に配置される。内部支持部12の長方形のプロファイルの端部は、機械的強度の分布を改善することで基板への内部支持部12の付着性を強化できるように、丸みを帯びていていもよい。内部支持部12の幅は、1.5μmよりも小さく、例えば0.5μmから0.8μmの間であってもよく、長さは、検知器と、特にアンカーピンと、の間で利用できるスペースに依存して調整してもよい。
【0067】
図7の例では、断熱アーム11bは、主として、隣接する2つの展張された薄膜9の間、かつ、隣接する2つのアンカーピン11aの間で、第1の軸に沿って延在し、カプセル5の内部支持部12は、第1の軸に対して直交する第2の軸に沿って延在する。内部支持部の幅及び長さは、断熱アームが存在しない領域における自由な領域を利用することで最適化されてもよい。これにより、基板に接触する内部支持部の領域を大きくすることができるので、カプセルの付着性及び機械的強度を強化できる。
【0068】
ここで、図7に示す検出装置のC−C軸における断面図である図10〜12を参照して、例示的な製造工程について説明する。
【0069】
検出装置1は、熱検知器2を読み取り、かつ、制御する回路が設けられた基板3を有する。基板3は、例えば酸化シリコンSiO又は窒化シリコンSiNからなるパッシベーション層13を有してもよい。以下で説明する一実施の形態によれば、基板3は、任意に、パッシベーション層13上に堆積された、連続的な固定層14を有してもよい。固定層14は、チタニウム又はクロムからなっていてもよく、かつ、例えば約100nm〜300nmの厚みを有していてもよい。
【0070】
周知の通り、第1の犠牲層15が堆積され、アンカーピン11a、断熱アーム11b及び吸収薄膜9は、この犠牲層15又は犠牲層15上に形成される。犠牲層は、ポリイミドや酸化シリコン、ポリシリコン又はアモルファスシリコンのような無機材料であってもよい。
【0071】
フォトリソグラフィー及びエッチングが、吸収薄膜9にスルーオリフィス19を設けるために行われる。
【0072】
それから、図11に示すように、第2の犠牲層16が、第1の犠牲層15、アンカーピン11a及び断熱アーム11b及び吸収薄膜9の上に堆積される。第2の犠牲層16は、第1の犠牲層15と同じ材料からなり、かつ、例えば0.5μm〜5μmの厚みを有することが望ましい。
【0073】
犠牲層の厚みを貫通する、すなわち基板に達する、より好ましくは固定層14に達するトレンチ17及び18を形成するためのフォトリソグラフィー、及び、例えばRIEエッチングなどのエッチングの工程が、好ましくは一般的な工程の間に行われる。後段の封入構造の周囲壁の形成のための第1のトレンチ17が、検知器2のマトリックスの周囲に連続して延在するように形成され、少なくとも1つの、好ましくは複数のトレンチ18が、内部支持部が連続的に形成され得るように、隣接する2つの検知器の間に形成される。第1及び第2のトレンチ17、18は実質的に同じ深さを有し、封入構造の周囲壁及び支持部の側壁は、結局として、実質的に同じ高さを有することとなる。これにより、特にエッチング深さに関して、工程が単純化される。
【0074】
犠牲層15、16は、ポリイミドからなり、トレンチを作製する工程は、例えばSiN又はSiOあるいはアモルファスシリコンからなる、第2の犠牲層16上への無機保護層(図示せず)の堆積を含んでもよい。フォトリソグラフィー工程により、トレンチのエッチングが行われるべき位置のレジスト層に、開口が規定される。そして、トレンチのエッチングは、例えばRIEエッチングによって、保護層をレジストの開口に垂直にエッチングする第1の工程と、例えばRIEエッチングによって、第1及び第2の犠牲層を第1のエッチング工程で得られた保護層の開口に垂直に基板までエッチングする第2の工程と、の2工程で行われる。この段階では、保護層は除去されてもよい。
【0075】
この工程の順序は、存在する層の化学的適合性の制約により、かつ、幾何学的制約(トレンチのアスペクト比)によって正当化される。具体的には、レジスト層はポリイミドをエッチングする第2の工程で、これらの層が全て有機性であるために第2の工程におけるエッチングの化学的性質に対して同様に反応するため、消失する。これにより、保護層の開口は、トレンチを形成することが望まれる領域のエッチングの制限を継続するためのリレーとして用いられる。また、第2のエッチング工程は高い異方性を保証するように構成されるので、アンダーカットが生ずることなく、高いアスペクト比及び垂直な側壁を得ることができる。更に、一方では保護層(SiN又はSiOからなる)に対して、他方では、一般にSiO又はSiNからなる絶縁パッシベーション層で覆われた基板表面に対する、高い選択性を保証するように構成される。この高い選択性は、保護層の厚みを(典型的には、30nmに)低減することが可能となるので、後段で保護層を除去する性質上有利である。
【0076】
トレンチ17、18、特に内部支持部を形成するための第2のトレンチ18は、高いアスペクト比を有する。例としては、例えば0.5μm〜0.8μmを含む1.5μm以下の幅のトレンチが、2μm〜6μmを含む、例えば4μmの厚みのポリイミド層に形成されてもよい。第2のトレンチの長さは、カプセルの集積性及び頑健性に依存して構成されてもよく、数ミクロンから数ミリメータであってもよい。これらのトレンチの寸法により、例えば17μmあるいは12μmといった、とりわけ小さなマトリックスピッチを有する熱検知器のマトリックスを形成することができる。
【0077】
固定層14は、基板のエッチングを避けるため、好適にはトレンチのエッチングにとって選択的ではない材料からなる。この材料は、チタニウム又はクロムであってもよく、固定層は約100nm〜300nmの厚みを有していてもよい。
【0078】
図12に示すように、薄い封入層6は、検出すべき放射に対して透明であり、実質的に一定の層厚にてトレンチ17、18の垂直な側面を良好に被覆するのに好適なコンフォーマル堆積法を用いて堆積される。例えば、CVDやiPVDで形成された、平面上で測定した場合に典型的には約200nm〜2000nmの厚みのアモルファスシリコン層が挙げられる。少なくとも1つの連続的な周辺トレンチ17(外周は閉じている)を含むトレンチが設けられた表面への封入層6の堆積は、封入層の材料で形成され、基板3に接触し、検出器のマトリックスを内包するキャビティ4を形成する、カプセル5の形成につながる。封入層6による内部トレンチ18の側面の被覆により、好ましくは丸みを帯びた端部を有する細長い形状の内部支持部12を形成するために、内部トレンチの形状を再形成できる。なお、これらの内部支持部12のそれぞれは、内部トレンチ18の幅が封入層6の厚みに対して小さいか否かに依存して、中空でなくても、(空間的に離隔した2つの壁で形成された)中空であってもよい。
【0079】
そして、キャビティ4からの犠牲層15、16の除去を可能とする排出口8を構成するスルーオリフィスは、フォトリソグラフィーと封入層6のエッチングにより形成され、薄膜9のスルーオリフィス19に対して垂直に配置される。排出口8のそれぞれは、基板面に平行な面において、円形の端部を有する細長いプロファイルを有する。好ましくは、排出口のそれぞれのプロファイルは、基板面に直交する面において、基板からの距離に従って広がる裾広がりの形状を有する。
【0080】
次に、犠牲層15、16が、好適には(犠牲層の性質に依存して)気相又は液相の化学攻撃(ここで説明するポリイミドの場合には気相攻撃が用いられる)によって除去され、検知器2のマトリックスを内包するキャビティ4と内部支持部12とが形成される。排出口の長方形によって、時間の観点から工程が最適化される。
【0081】
それから、密閉層(図12では不図示)は、排出口8の密閉又は閉塞を保証するのに十分な厚みにて、封入層6上に堆積される。排出口8の長方形の丸みを帯びた端部によって、かつ、排出口の裾広がりの形状によって、密閉品質が強化される。
【0082】
密閉層は、検出すべき電磁放射に対して透明であり、封入構造を介した放射の透過を最適化するための反射防止機能を有していてもよい。この点において、密閉層は、検出すべき放射が8μm〜12μmの波長範囲である場合、ゲルマニウムと硫化亜鉛のサブレイヤから構成されてもよい。例えば、ゲルマニウムの第1のサブレイヤは約1.7μmの厚みであり、硫化亜鉛の第2のサブレイヤは約1.2μmの厚みである。密閉層は、好適には、電子ビーム真空蒸着法、イオンビーム又はカソードスパッタリングなどの真空薄膜堆積法(EBPVD)で堆積される。これにより、熱検知器2のマトリックスを内包する、真空下又は低圧下の密封キャビティ4が得られる。
【0083】
一実施の形態によれば、図7、13、14に示すように、封入層6が検知器2のマトリックスの周囲に堆積されるので、基板面に平行な面におけるレイヤの断面は、丸みを帯びた角を有する形状を有する。
【0084】
これにより、角のそれぞれにおいて、互いに直交する軸X1、X2に沿って、それぞれが実質的に直線状に延在する2つの部位6a−1、6a−2からなる、封入層6の周囲壁6aが形成される。直線部位6a−1及び6a−2は、直角に接続されることはなく、曲線部位6a−3によって接続される。
【0085】
曲線部位は、少なくとも1つの、例えば円形または楕円形の曲がった部分や、少なくとも1つの、直線部位の軸に対して同一線上にはない軸に沿って延在する直線部分、好適には複数の直線部分を有する部位である。
【0086】
図13は、直線部位6a−1及び6a−2を接続する円弧部分の形態をとる曲線部位6a−3の例を示す。曲線部位6a−3の外表面、すなわちキャビティの外部に向いた表面から測定される円弧(傍接円)の半径は、周囲壁の幅Lの2倍以上であってもよい。好適には、曲線部位の寸法は、曲線部位の内接円、すなわちキャビティに向いている面に接する円の半径は、幅Lの2倍以上である。
【0087】
幅Lは、周囲壁6aの、実質的に直線状の部位6a−1及び6a−2の平均幅によって定義される。曲線部位6a−3は、好適には直線部位と実質的に同じ幅を有する。
【0088】
図14は、図13の曲線部位の変形である、曲線部位の他の例を示す。この例では、曲線部位6a−3は、他方に対して傾いている2つの直線部分の連結によって構成される。各部分の外表面に接する傍接円を規定することが可能である。部分の配置は、傍接円の半径が周囲壁の幅Lの2倍以上になるようなものであってもよい。好適には、部分の配置は、内接円、すなわち部分内側の面に接する円の半径が、幅Lの2倍以上となるようなものである。
【0089】
例としては、封入層の周囲壁の幅Lは、約200nm〜2μmであってもよい。内接円又は傍接円の半径は、幅Lに依存して、400nm〜4μm間の値、例えば幅Lが800nmであるときには2μm以上である。
【0090】
発明者らは、カプセルの角に丸みを帯びた部位を形成することがカプセルの付着性を向上させることを見出した。具体的には、カプセルの付着性は周囲壁に沿って一様ではなく、丸みを帯びた部位が形成された場合にカプセルの角は付着性が強化されることが見出された。
【0091】
これにより、カプセルが丸みを帯びた角と内部支持部とを有する場合、支持領域の多重性とキャビティ角の付着性の局所的強化との複合効果によって、カプセルの基板に対する全体的な付着性が強化される。
【0092】
もちろん、検知器を内包する同一のキャビティを有する、ここで説明したような丸みを帯びた角を有する封入構造は、それぞれが単一の検知器を内包する、複数の密封キャビティが形成される場合に用いられてもよい。
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