特許第6758064号(P6758064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758064
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】電子回路基板、及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/38 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   H05K3/38 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-69098(P2016-69098)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-183538(P2017-183538A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】中山 仁
【審査官】 ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−157537(JP,A)
【文献】 特開2006−188761(JP,A)
【文献】 特開2006−054357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板表面に形成されている下地層と、
前記下地層上に形成されている導電層と、を有し、
前記下地層がカップリング剤によって形成されていると共に、前記導電層の厚みが、前記下地層の厚みよりも厚い、
電子回路基板であって、
前記基板表面には、前記下地層の周囲に保護層が形成されており、
前記下地層は、カップリング剤に含有される官能基によって形成された単分子層であり、
前記保護層は、前記下地層を形成するカップリング剤とは異なる、少なくとも表面が疎水性を有するカップリング剤によって形成されている
ことを特徴とする電子回路基板。
【請求項2】
前記導電層の表面がAuによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子回路基板。
【請求項3】
前記導電層を構成する主成分がAuであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子回路基板。
【請求項4】
前記導電層がめっき層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子回路基板。
【請求項5】
前記下地層の厚みが20nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子回路基板。
【請求項6】
前記保護層を形成するカップリング剤として、アルキルシラン系のカップリング剤、又はフッ化アルキルシラン系のカップリング剤が用いられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子回路基板。
【請求項7】
前記下地層を形成するカップリング剤として、アミノ系シランカップリング剤、又はメルカプト系シランカップリング剤が用いられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子回路基板。
【請求項8】
前記基板が透明材料によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子回路基板。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の電子回路基板を有することを特徴とする電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板、及びそれを備える電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板表面に下地層が形成されており、該下地層上に形成された導電層を介して信号伝達が行われる電子回路基板、及び、この電子回路基板を回路部に備える電子デバイスが知られている。
例えば特許文献1には、スパッタによって形成された下地層と、下地層の表面に形成されためっき導電層を有する電子回路基板が開示されている。また特許文献2には、銅によって形成された下地層の表面に、加圧接合された銅の導電層が形成されている電子回路基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−133669号公報
【特許文献2】特開2003−086922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来技術には次の課題がある。
即ち、スパッタなどの従来の成膜技術によって下地層を形成する場合、下地層の側面など、下地層の露出部分から下地層が浸食され、下地層が基板から剥がれやすい。その結果、下地層と共に導電層も基板から剥がれ、接続不良、動作不良等の課題が生じ、つまり電子回路基板の耐久性が低下するといった課題がある。
【0005】
特に、屋外に設置される太陽光発電機器や、各種ディスプレイ、タッチパネルなど、電子回路基板が外部に露出しやすい環境下では、電子回路基板に水分や粉塵等が付着し、これにより下地層が浸食されやすい。その結果、電子回路基板の耐久性が低下しやすい。
【0006】
そこで本発明は、この課題を解決すべくなされたものであり、下地層と導電層が形成されている電子回路基板、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板、及びそれを備える電子デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
基板と、
前記基板表面に形成されている下地層と、
前記下地層上に形成されている導電層と、を有し、
前記下地層がカップリング剤によって形成されていると共に、前記導電層の厚みが、前記下地層の厚みよりも厚いことを特徴とする。
【0008】
また、上記発明にあっては、
前記導電層の表面がAuによって形成されていると好適である。
【0009】
また、上記発明にあっては、
前記導電層を構成する主成分がAuであると好適である。
【0010】
また、上記発明にあっては、
前記導電層がめっき層であると好適である。
【0011】
また、上記発明にあっては、
前記下地層の厚みが20nm以下であると好適である。
【0012】
また、上記発明にあっては、
前記下地層が単分子層であると好適である。
【0013】
また、上記発明にあっては、
前記カップリング剤として、アミノ系シランカップリング剤、又はメルカプト系シランカップリング剤が用いられていると好適である。
【0014】
また、上記発明にあっては、
前記基板が透明材料によって形成されていると好適である。
【0015】
また、本発明の電子デバイスは、上記電子回路基板を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、下地層と導電層が形成されている電子回路基板、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
図2】第2実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
図3】第3実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
図4】第4実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
図5】第5実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
図6】第6実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
図7】第7実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
図8】第8実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
図9】第9実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
図10】第10実施形態に係る導電層形成方法の概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
[第1実施形態]
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る電子回路基板10について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る電子回路基板10の製造プロセスを示す概略図である。
【0020】
(1−1:電子回路基板の概略構成)
図1(f)を参照して、電子回路基板10の概略構成について説明する。
電子回路基板10は、基板11と、その表面に形成されている下地層13と、下地層12上に形成されている導電層15とを有している。また、基板11において下地層13が形成されていない領域には、保護層12が形成されている。
【0021】
基板11は、従来公知の各種基板を用いることができるが、表面が親水化処理された基板が用いられている。なお、本実施形態では、透明材料によって形成される基板11が用いられているが、透明材料ではない材料であってもよい。また、下地層13は、カップリング剤を含有する材料によって形成されており、ここでは、アミノ系シランカップリング剤が用いられている。なお、カップリング剤としてはこれに限られるものではなく、メルカプト系シランカップリング剤を用いてもよい。
【0022】
ここでアミノ系シランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N,N-(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等を用いることができる。
【0023】
また、メルカプト系シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、1,3−ビス(メルカプトメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−メルカプトメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等を用いることができる。
【0024】
上述のカップリング剤によれば、下地層13を基板11上に確実に接着できつつ、一方で、基板11と反対側では、後述するPdとSnの混合材料によって形成される触媒層14と下地層13とを結合しやすくなる。つまり、本実施形態の下地層13は、基板11及び触媒層14のそれぞれに対する接着力が非常に高い層といえる。
【0025】
また、下地層13は、上述のカップリング剤に含有される官能基によって形成される単分子層である。即ち、スパッタ等で形成する従来の下地層と比較すると、その厚みが非常に薄い。具体的には、数nm〜十数nmであり、つまり20nm以下の厚みを有している。
【0026】
また、下地層13以外の領域に形成されている保護層12は疎水性を有しているので、この保護層12によって下地層13及び基板11が保護されると共に、後述する製造工程において、下地層13上にのみ触媒層14を形成することができる(保護層12上には触媒層14、導電層15が形成されない)。
即ち、保護層12が形成されていることによって、下地層13及び基板11の耐久性を向上させると共に、製造プロセスにおいて保護層12のパターニングに基づいて導電層を形成することができ、即ち、導電層の形状精度を向上させることができる。
【0027】
保護層12は、少なくともその表面が疎水性を有しており、後述する触媒層14とは結合しないカップリング剤によって形成されている。該カップリング剤として、例えば、アルキルシラン系、又はフッ化アルキルシラン系のカップリング剤を用いることができる。
【0028】
また、導電層15は、下地層13上にAuとNiによるめっき層によって形成されている。なお、本実施形態では、AuとNiを用いているが、導電層15のめっき材料はこれに限られるものではなく、Auのみであってもよいし、Ag、Cuなどを用いることも可能である。しかしながら、導電層15の耐久性を考慮すると、少なくとも導電層15の表面がAuなどの貴金属類によって形成されていることが好ましい。
また、導電層15を一般的なアンカー効果で密着させる場合際、めっき層に含まれるNiの60%以上がAuに置換されると導電層15が接着しにくくなるが、本実施形態のように、下地層13にカップリング剤を用いることで、例えば、めっき層に含まれるNiの90%以上をAuに置換しても、導電層15の接着力を高く保つことが出来る。即ち、従来と比較すると、導電層15の耐久性を大幅に向上させることが可能になる。なお、めっき層の組成は、エネルギー分散型X線分析装置等で測定することが出来る。
なお、導電層15の厚みは、めっき処理の条件によって可変であるが、本実施形態のように無電解めっきによって導電層15を形成する場合は、導電層15は20nmよりも厚い。
【0029】
(1−2:電子回路基板の製造方法)
図1(a)〜図1(f)を参照して、電子回路基板10の製造方法について説明する。
本実施形態では、まず基板11の準備を行う(図1(a))。ここでは、基板11の表面の親水化を行う。即ち、基板11の材料に基づいて、アルカリ洗浄、オゾン処理、UV照射、プラズマ処理等を適宜選択し、基板11の表面を親水化する。
【0030】
次に、基板11の表面に気相法、又はカップリング剤を含有する溶液への浸漬によって保護層12を形成する(図1(b))。保護層12は、上述のように、少なくともその表面が疎水性を有しており、後述する触媒層14とは結合しないカップリング剤によって形成されている。
【0031】
保護層12を形成した後、保護層12に対してレーザ光を照射することで保護層12をパターニングする。このパターニングは、後の工程で形成される導電層15に基づいて形成されるものである、これにより、レーザ光が照射された部分の保護層12が除去され基板11が露出し、基板11上に導電層15に倣ったパターンが形成される(図1(c))。
【0032】
次に、上述の保護層形成工程においてレーザ加工によって形成されたパターンに対して、導電材料と結合する下地層13を形成する。下地層13の形成方法は、保護層12の形成方法と同一方法であってもよい。なお、上述のように保護層12は、少なくともその表面が疎水性を有しているので、下地層13を形成する工程において、保護層12の表面に下地層13が付着することはない。よって、下地層13は、保護層12が形成されていない基板11の露出領域にのみ付着する。
【0033】
次に、上述の下地層形成工程において形成された下地層13上に、厚み数十nm程度の触媒層14を形成し(図1(e))、さらに触媒層14に対してめっき処理を施してめっき層を形成し、所望の導電層15を得る(図1(f))。導電層15の厚さは上述のように20nmよりも厚い。
【0034】
触媒層14としては、上述のように、PdとSnの混合材料が用いられ、このような材料を用いた場合、主にパラジウムが触媒作用を発揮することになる。なお、触媒層14の形成方法は、下地層13のカップリング分子に対して触媒を確実に結合させることができれば、特に方法を限定するものではないが、例えば、センシタイザー・アクチベータ法、又はキャタリスト・アクセレーター法を採用することができる。
【0035】
センシタイザー・アクチベータ法とは、Sn溶液に基板11を浸漬し、続いてPd溶液に浸漬して下地層13上にパラジウムを付着させる方法であり、複数回、この工程を繰り返すことで、下地層13に対するパラジウム触媒の付着量を増やすことができる。
【0036】
また、キャタリスト・アクセレーター法とは、SnとPdのコロイド溶液に基板11を浸漬し、続いて酸性溶液にて錫を除去することでパラジウム触媒を基板11上に付着する方法である。
【0037】
これらの方法によって触媒層14を形成した後、触媒層14に対してめっき処理(本実施形態では無電解めっき)を施して、めっき層を形成する。本実施形態では、上述のようにAuのめっきを形成している。
【0038】
即ち、めっき処理を施すことで、触媒層14を取り込むようにしてめっき層が成長し、その結果、導電層15が形成される。より具体的には、まず、触媒層14を囲むようにNi層が形成され、さらにNi層がAu層に置換されることで、Auによる耐腐食性に優れた導電層15を得ることができる。
【0039】
(1−3:電子デバイスの構成)
本実施形態では、上述の電子回路基板10を介して、入出力信号が伝送される電子デバイスとして、太陽光発電機器(不図示)が挙げられる。本実施形態に係る電子回路基板10は透明材料であり、かつ、耐久性に優れているので、屋外での使用においても、耐久性に優れた太陽光発電機器を提供することができる。
【0040】
さらには、上述のように導電層15の形状精度が高いので、即ち、微細な導電パターンを形成可能である。よって、従来と比較して、電子回路基板10を透過する太陽光を増加させることができるので、太陽光発電機器の発電効率を向上させることができる。また、発電効率が向上することにより、機器の小型化も達成できる。
【0041】
(1−4:本実施形態の効果)
本実施形態によれば、従来と比較すると厚さが薄く、かつ接着力の高い下地層13を形成し、その上に導電層15が形成されるので、下地層13が侵食されにくい。よって、下地層13が基板から剥がれにくく、下地層13、導電層15の耐久性を向上させることができる。
【0042】
また、導電層15以外の領域には、疎水性を有する保護層12が形成されているので、これによっても、電子回路基板10の耐久性を向上させることが可能である。
【0043】
また、上述の電子回路基板10を有する電子デバイスによれば、耐久性が向上するので、屋外使用が可能になるなど、使用用途を大幅に増やすことができる。また、上述のように、発電効率の向上、及び小型化等、従来では得ることのできない効果を得ることが出来る。なお、本実施形態では、電子デバイスとして太陽光発電機器を挙げているが、例えば、ディスプレイや、タッチパネル等に電子回路基板10を適用することも可能である。
【0044】
このように本実施形態では、下地層13と導電層15が形成されている電子回路基板10、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板10、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【0045】
[第2実施形態]
図2を参照して、本発明の第2実施形態に係る導電層形成方法について説明する。なお、図2は、本実施形態における導電層形成方法の概略工程を示す図であるが、上述の第1実施形態と同一内容に関してはここでは説明を省略する。
【0046】
(2−1:下地層形成工程)
本実施形態では、まず基板21を準備し(図2(a))、表面の親水化を行った後、基板21に下地層23を形成する(図2(b))。なお、下地層23に用いられるカップリング剤は、上述の実施形態で用いられたカップリング剤と同一のカップリング剤であればよい。
【0047】
その後、レーザ加工によって下地層23をパターニングし、後の工程で形成される導電層25以外の領域の下地層23を、基板21表面から除去する。即ち、本実施形態では、レーザ加工における非加工領域に対して、導電層25が形成されることになる。
【0048】
(2−2:保護層形成工程)
次に、基板11の表面に保護層22を形成する(図2(d))。保護層22は疎水性を有し、上述の第1実施形態と同一の材料を用いることができる。
【0049】
(2−3:導電層形成工程)
次に、下地層23上に厚み数十nm程度の触媒層24を形成し(図2(e))、さらに触媒層14に対してめっき処理を施してめっき層を形成し、所望の導電層25を得る(図2(f))。なお、この工程は上述の実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0050】
このように本実施形態では、下地層23と導電層25が形成されている電子回路基板20、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板10、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【0051】
[第3実施形態]
図3を参照して、本発明の第3実施形態に係る導電層形成方法について説明する。なお、図3は、本実施形態における導電層形成方法の概略工程を示す図であるが、上述の実施形態と同一内容に関してはここでは説明を省略する。
【0052】
(3−1:保護層形成工程)
本実施形態では、準備済みの基板31(図3(a))に対して、保護層32としてレジスト膜を用い、基板31上に形成することが特徴である(図3(b))。そしてレーザ加工によってレジスト膜をパターニングする(図3(c))。
【0053】
(3−2:下地層形成工程、導電層形成工程)
次に、図3(d)〜図3(f)に図示するように、保護層32がパターニングされた基板31に対して、下地層33を形成し、さらに触媒層34、導電層35を形成する(上記第1実施形態と同一であるので説明は省略する)。
なお、導電層35を形成する際に、保護層32上に導電層35が形成された場合は、レジスト除去によって、保護層32ごと、導電層35を除去することが可能になる。よって、不要な領域に導電層35を形成することなく、導電層35を高精度に形成することができる。
【0054】
このように本実施形態では、下地層33と導電層35が形成されている電子回路基板30、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板30、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【0055】
[第4実施形態]
図4を参照して、本発明の第4実施形態に係る導電層形成方法について説明する。なお、図4は、本実施形態における導電層形成方法の概略工程を示す図であるが、上述の実施形態と同一内容に関してはここでは説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、第1実施形態の保護層形成工程において、印刷によって基板41に保護層42を形成する点が特徴である(図4(b))。これにより、導電層45の形状精度を高めることが可能になる。その他の工程、即ち、下地層形成工程、導電層形成工程は、上述の第1実施形態と同一であるので、説明は省略する。(なお、図中43が下地層、44が触媒層、45が導電層である)
【0057】
このように本実施形態では、下地層43と導電層45が形成されている電子回路基板40、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板40、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【0058】
[第5実施形態]
図5を参照して、本発明の第5実施形態に係る導電層形成方法について説明する。なお、図5は、本実施形態における導電層形成方法の概略工程を示す図であるが、上述の実施形態と同一内容に関してはここでは説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、第2実施形態の下地層形成工程において、印刷によって基板51に下地層53を形成する点が特徴である(図5(b))。これにより、導電層55の形状精度を高めることが可能になる。その他の工程、即ち、保護層形成工程、導電層形成工程は、上述の第2実施形態と同一であるので、説明は省略する(なお、図中52が保護層、54が触媒層、55が導電層である)。
【0060】
このように本実施形態では、下地層53と導電層55が形成されている電子回路基板50、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板50、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【0061】
[第6実施形態]
図6を参照して、本発明の第6実施形態に係る導電層形成方法について説明する。なお、図6は、本実施形態における導電層形成方法の概略工程を示す図であるが、上述の実施形態と同一内容に関してはここでは説明を省略する。
【0062】
本実施形態では、第1実施形態の導電層形成工程において、基板61上にパターニングされた保護層62、さらに下地層63に対し、めっき処理ではなく、スパッタで導電層65を形成することを特徴とする。これによれば、疎水性を有する保護層62には導電層65は形成されないので、導電層65の形状精度を高めることが可能になる。その他の工程、即ち、保護層形成工程、下地層形成工程は、上述の第1実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0063】
このように本実施形態では、下地層63と導電層65が形成されている電子回路基板60、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板60、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【0064】
[第7実施形態]
図7を参照して、本発明の第7実施形態に係る導電層形成方法について説明する。なお、図7は、本実施形態における導電層形成方法の概略工程を示す図であるが、上述の第2実施形態と同一内容に関してはここでは説明を省略する。
【0065】
本実施形態では、第2実施形態の導電層形成工程において、基板71上にパターニングされた下地層73、さらに保護層72に対し、めっき処理ではなく、スパッタで導電層75を形成することを特徴とする。これによれば、疎水性を有する保護層72には導電層75は形成されないので、導電層75の形状精度を高めることが可能になる。その他の工程、即ち、保護層形成工程、下地層形成工程は、上述の第2実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0066】
このように本実施形態では、下地層73と導電層75が形成されている電子回路基板70、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板70、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【0067】
[第8実施形態]
図8を参照して、本発明の第8実施形態に係る導電層形成方法について説明する。なお、図8は、本実施形態における導電層形成方法の概略工程を示す図であるが、上述の第3実施形態と同一内容に関してはここでは説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、第3実施形態の導電層形成工程において、基板81上にパターニングされた保護層82、さらに下地層83に対し、めっき処理ではなく、スパッタで導電層85を形成することを特徴とする。これによれば、疎水性を有する保護層82には導電層85は形成されないので、導電層85の形状精度を高めることが可能になる。その他の工程、即ち、保護層形成工程、下地層形成工程は、上述の第3実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0069】
このように本実施形態では、下地層83と導電層85が形成されている電子回路基板80、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板80、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【0070】
[第9実施形態]
図9を参照して、本発明の第9実施形態に係る導電層形成方法について説明する。なお、図9は、本実施形態における導電層形成方法の概略工程を示す図であるが、上述の第4実施形態と同一内容に関してはここでは説明を省略する。
【0071】
本実施形態では、第4実施形態の導電層形成工程において、基板91上に印刷によってパターニングされた保護層92、さらに下地層93に対し、めっき処理ではなく、スパッタで導電層95を形成することを特徴とする。これによれば、疎水性を有する保護層82には導電層95は形成されないので、導電層95の形状精度を高めることが可能になる。その他の工程、即ち、保護層形成工程、下地層形成工程は、上述の第4実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0072】
このように本実施形態では、下地層93と導電層95が形成されている電子回路基板90、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板90、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【0073】
[第10実施形態]
図10を参照して、本発明の第10実施形態に係る導電層形成方法について説明する。なお、図10は、本実施形態における導電層形成方法の概略工程を示す図であるが、上述の実施形態と同一内容に関してはここでは説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、第5実施形態の導電層形成工程において、基板101上に印刷によってパターニングされた下地層103、さらに保護層102に対し、めっき処理ではなく、スパッタで導電層105を形成することを特徴とする。これによれば、疎水性を有する保護層102には導電層105は形成されないので、導電層105の形状精度を高めることが可能になる。その他の工程、即ち、保護層形成工程、下地層形成工程は、上述の第5実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0075】
このように本実施形態では、下地層103と導電層105が形成されている電子回路基板100、及びそれを備える電子デバイスにおいて、耐久性を向上させることが可能な電子回路基板100、及びそれを備える電子デバイスを提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0076】
10、20、30、40、50、60、70、80、90、100…電子回路基板、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101…基板、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102…保護層、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103…下地層、14、24、34、44、54…触媒層、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105…導電層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10