(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正値は、前記第1振れ検出部で検出した検出量および前記第2振れ検出部で検出した検出量の差分であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の振れ補正機能付き撮像システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像ユニットに搭載された振れ検出装置によって検出される振れ量は、外部空間に対する撮像ユニットの振れ量である。ここで、特許文献1のように、撮像ユニットが搭載された車両などの移動体の外部を撮影する場合には、外部空間に対する撮像ユニットの振れ量に基づいて振れ補正を行うことで振れの少ない画像を得ることができる。しかしながら、撮像ユニットが搭載された物体(車両など)の内部空間(車内)を撮影する場合には、外部空間に対する撮像ユニットの振れ量に基づいて振れ補正を行うと、車両自体の揺れ成分が撮影画像の乱れとして加わるため、乱れの少ない撮影画像を得ることができない。特許文献1では、車外を撮影した画像を車内で表示したときに運転席から見て乱れが少ない画像の補正方法が記載されているものの、車内の画像を撮影するときに乱れを少なくする補正方法は提案されていない。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、撮像ユニットが搭載された物体の内部を撮影した撮影画像の乱れを撮像ユニットの振れ補正によって低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、移動体に搭載される振れ補正機能付き撮像システムであって、撮像モジュールを備える可動体と、前記移動体に取り付けられる固定体と、前記固定体に対して前記可動体を揺動可能に支持する支持機構と、前記可動体の揺動方向のうち、前記撮像モジュールの光軸方向、前記光軸方向と交差する第1方向、ならびに
前記光軸方向および前記第1方向と交差する第2方向のうちの少なくとも1方向周りに前記可動体を揺動させる振れ補正用駆動機構と、前記可動体に設けられた第1振れ検出部と、前記固定体もしくは前記移動体の所定位置に設けられた第2振れ検出部と、前記第1振れ検出部の信号および前記第2振れ検出部の信号に基づいて算出した補正値に基づいて前記振れ補正用駆動機構を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、移動体に固定した固定体に対し、撮像モジュールを備える可動体が揺動可能に支持される。可動体には、外部空間に対する撮像モジュールの振れを検出する第1振れ検出部が設けられ、移動体もしくは固定体には、外部空間に対する移動体もしくは固定体の振れを検出する第2振れ検出部が設けられる。移動体に対する撮像モジュールの相対的な振れを打ち消すように振れ補正用駆動機構を駆動するための補正値は、第1振れ検出部の信号と第2振れ検出部の信号から求めることができる。従って、このような補正値を求めて振れ補正用駆動機構を制御することにより、移動体の内部空間を撮影したときの画像の乱れを低減させることができる。
【0009】
本発明において、前記固定体は、固定部材を介して前記移動体に固定され、前記第2振れ検出部は、前記移動体の前記所定位置に固定されることが望ましい。このように、固定部材を用いることにより、振れ補正用駆動機構付き撮像ユニットを移動体の様々な位置に取り付けることができ、確実且つ容易に固定体を固定することができる。また、第2振れ検出部を固定部でなく移動体に取り付けるので、固定体と移動体の間に介在する固定部材の変形などによって固定体が動いてしまう場合においても、移動体に対する撮像モジュールの相対的な振れを正確に求めることができる。従って、移動体の内部空間を撮影したときの画像の乱れを精度良く低減させることができる。
【0010】
本発明において、前記移動体は車両である場合に、前記移動体の前記所定位置は前記車両のフロントガラスであることが望ましい。このようにすると、振れ補正機能付き撮像ユニットを後付けで車両に搭載する場合の第2振れ検出部の取付作業が容易である。また、フロントガラスに第2振れ検出部を固定した場合には、車両(移動体)の振れを共振の影響なく検出できる。従って、移動体に対する撮像モジュールの相対的な振れを正確に求めることができ、移動体の内部を撮影したときの画像の乱れを精度良く低減させることができる。
【0011】
本発明において、前記補正値は、前記第1振れ検出部で検出した検出量および前記第2振れ検出部で検出した検出量の差分である。このようにすると、差分を解消するように振れ補正用駆動機構を駆動できる。従って、移動体に対する撮像モジュールの相対的な振れを正確に補正できる。
【0012】
本発明において、前記検出量は、振れ量もしくは角速度のいずれかを含む。これらの検出量の差分に基づいて振れ補正用駆動機構を駆動することにより、移動体に対する撮像モジュールの相対的な振れを正確に補正できる。
【0013】
本発明において、前記振れ補正用駆動機構は、鉛直方向の揺動成分を含む第1揺動方向に前記可動体を揺動させ、前記第1振れ検出部と前記第2振れ検出部のそれぞれは、前記第1揺動方向の振れを検出し、前記制御部は、前記補正値として、前記第1揺動方向の振れを打ち消す値を算出するように構成できる。車両などの移動体では、最も振れが大きい方向は鉛直方向である。従って、第1揺動方向として鉛直方向を選択すれば、1方向という最低限の振れ補正により、移動体の内部空間を撮影したときの画像の乱れを効果的に補正することができる。
【0014】
本発明において、前記振れ補正用駆動機構は、前記第1揺動方向、および、前記第1揺
動方向と交差し且つ水平方向の揺動成分を含む第2揺動方向に前記可動体を揺動させ、前記第1振れ検出部と前記第2振れ検出部のそれぞれは、前記第1揺動方向の振れおよび前記可動体の前記第2揺動方向の振れを検出し、前記制御部は、前記補正値として、前記第1揺動方向の振れおよび前記第2揺動方向の振れを打ち消す値を算出するように構成できる。このようにすると、1方向のみの補正よりも精度良く画像の乱れを補正することができる。
【0015】
本発明において、前記第1揺動方向は前記第1方向周りの揺動方向であり、前記第2揺動方向は前記第2方向周りの揺動方向であり、前記振れ補正用駆動機構は、前記第1揺動方向、前記第2揺動方向、および前記光軸周りの第3揺動方向に前記可動体を揺動させ、前記第1振れ検出部と前記第2振れ検出部のそれぞれは、前記第1揺動方向の振れと、前記第2揺動方向の振れと、前記第1揺動方向および前記第2揺動方向と交差する第3揺動方向の振れを検出し、前記制御部は、前記補正値として、前記第1揺動方向の振れ、前記第2揺動方向の振れ、および前記第3揺動方向の振れを打ち消す値を算出するように構成できる。このように、直交する3方向の振れを補正することにより、さらに精度良く画像の乱れを補正することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、移動体に固定した固定体に対し、撮像部である撮像モジュールを備える可動体が揺動可能に支持される。可動体には外部空間に対する撮像モジュールの振れを検出する第1振れ検出部が設けられ、固定体もしくは移動体に、外部空間に対する固定体もしくは移動体の振れを検出する第2振れ検出部が設けられる。移動体に対する撮像モジュールの相対的な振れを打ち消すように振れ補正用駆動機構を駆動するための補正値は、第1振れ検出部の信号と第2振れ検出部の信号から求めることができる。従って、このような補正値を求めて振れ補正用駆動機構を制御することにより、移動体の内部空間を撮影したときの画像の乱れを低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した振れ補正機能付き撮像システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、互いに直交する第1方向、第2方向、第3方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。また、第1方向周り(X軸周り)の揺動方向を第1揺動方向とし、第2方向周り(Y軸周り)の揺動方向を第2揺動方向とし、第3方向周り(Z軸周り)の揺動方向を第3揺動方向とする。
【0019】
振れ補正機能付き撮像システム100は、撮像モジュール5(
図2〜
図5参照)を備える。撮像モジュール5の光軸L(レンズ光軸)に沿う方向がZ軸方向である。また、撮像モジュールの振れのうち、X軸周りの回転はピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転はヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転はローリングに相当する。また、X軸方向の一方側を+X方向、他方側を−X方向とし、Y軸方向の一方側を+Y方向、他方側を−Y方向とし、Z軸方向の一方側(像側)を+Z方向、他方側(被写体側)を−Z
方向とする。
【0020】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き撮像システム100を模式的に示す概略構成図である。振れ補正機能付き撮像システム100(以下、撮像システム100という)は、移動体200に搭載され、移動体200の内部空間を撮影する。撮像システム100は、振れ補正機能付き撮像ユニット1(以下、撮像ユニット1という)と、撮像ユニット1に内蔵される第1振れ検出部2と、移動体200もしくは撮像ユニット1に設けられる第2振れ検出部3と、撮像ユニット1に内蔵される制御ユニット4を備える。第1振れ検出部2および第2振れ検出部3として、例えばジャイロスコープが用いられる。
【0021】
撮像ユニット1は、Z軸方向に沿って光軸Lが延在する撮影用の撮像モジュール5を備える。撮像ユニット1では、撮影時に移動体200に振れ等が発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、撮像ユニット1では、第1振れ検出部2および第2振れ検出部3のそれぞれによって振れを検出する。そして、第1振れ検出部2および第2振れ検出部3の信号に基づいて振れ補正用駆動機構6を駆動することにより、撮像モジュール5を備えた可動体10を光軸Lと直交する2軸(X軸およびY軸)周りに揺動させてピッチングおよびヨーイングを補正するとともに、可動体10をZ軸周り(光軸L周り)に回転させてローリングを補正する。
【0022】
後述するように、振れ補正用駆動機構6は、光軸Lに対して直交する2つの軸線周りに可動体10を揺動させる揺動用駆動機構50を備えており、揺動用駆動機構50によってピッチングおよびヨーイングを補正する。また、振れ補正用駆動機構6はローリング補正用駆動機構70を備えており、ローリング補正用駆動機構70によってローリングを補正する。制御ユニット4は振れ補正用駆動機構6を制御する制御部として機能する。
【0023】
図1に示すように、撮像ユニット1は、撮像モジュール5を備えた可動体10と、移動体200の所定箇所に対して固定部材7を介して固定される固定体300と、固定体300に対して可動体10を揺動可能に支持する支持機構8(後述するジンバル機構30、連結部材80、および回転軸745)と、上述した振れ補正用駆動機構6(揺動用駆動機構50、ローリング補正用駆動機構70)および制御ユニット4を備える。移動体200は、例えば自動車や列車などの内部空間のある車両である。なお、撮像ユニット1を航空機や船舶などの移動体200に搭載してもよい。
【0024】
撮像ユニット1は、固定部材7および固定体300を介して移動体200の所定箇所に取り付けられる。固定体300が固定される箇所は、移動体200の中の任意の箇所にすることができるが、移動体200の移動時に振動が少ない箇所が望ましい。例えば、移動体が車両である場合には、ダッシュボードの所定箇所や、フロントウインドウ、サイドウィンドウ、リアウィンドウ等を囲むインナーパネルやピラーの所定箇所などに取り付けることができる。固定体300を移動体200に取り付けるための固定部材7としては、例えば、両面テープや吸盤付きの部材を用いることができる。このような固定部材7を用いれば、移動体200に対して後付けで撮像ユニット1を取り付ける作業が容易である。吸盤付きの部材とは、例えば、剛体の一端に撮像ユニット1を固定する固定部が設けられ、他端に吸盤が設けられたものである。吸盤はフックが付いており、フックを一方に倒すと吸盤が取付面に対して強力に密着し、フックを他方に倒すと吸盤が取付面から離れる。保持部と吸盤が設けられた剛体に角度調整機構などを設ければ、撮像ユニット1の向きを調整することができるのでより便利である。
【0025】
(振れ補正)
第1振れ検出部2は、可動体10に設けられ、可動体10の振れを検出する。撮像用の
撮像モジュール5は可動体10と一体になって揺動するため、撮像モジュール5の振れは第1振れ検出部2によって検出される。一方、第2振れ検出部3は、撮像ユニット1の固定体300に固定されるか、もしくは、移動体200の所定箇所に取り付けられる。
図1において、移動体200に第2振れ検出部3を取りつけた状態を実線で示し、固定体300に第2振れ検出部3を取りつけた状態を破線で示す。例えば、移動体200が車両である場合には、第2振れ検出部3の取付位置は、車両のフロントガラスが好適である。第2振れ検出部3は、両面テープや接着剤によってフロントガラスの表面に固定される。なお、第2振れ検出部3の固定箇所は、フロントガラスでなくリアガラスであってもよいし、ダッシュボードやインナーパネル、ピラーなどの表面であってもよい。また、フロントガラスの上部に位置するバックミラーに第2振れ検出部3を設けることもできる。
【0026】
制御ユニット4は、第1振れ検出部2の信号が入力される第1振れ量算出回路401と、第2振れ検出部3の信号が入力される第2振れ量算出回路402と、補正値算出回路403および制御IC404と、駆動電流制御回路405を備える。制御IC404は、補正値算出回路403によって算出された補正値に基づき、可動体10の振れを打ち消すための、振れ補正用駆動機構6(揺動用駆動機構50、ローリング補正用駆動機構70)の駆動量を求める。制御IC404が求める駆動量は、具体的には、揺動用駆動機構50およびローリング補正用駆動機構70を駆動するための電流値(補正電流)である。制御IC404は、揺動用駆動機構50およびローリング補正用駆動機構70の通電量を制御するための制御指示を駆動電流制御回路405に与える。
【0027】
第1振れ量算出回路401および第2振れ量算出回路402は、第1振れ検出部2および第2振れ検出部3の信号に基づき、所定の検出量を求める。所定の検出量とは、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の3軸周りのそれぞれの振れ方向についての、振れ量(振れ角度)、もしくは速度(角速度)である。すなわち、第1振れ検出部2および第2振れ検出部3は、位置検出センサと角速度センサのどちらかもしくは両方を備える。例えば、第1振れ検出部2および第2振れ検出部3として角速度センサを用いる場合、第1振れ量算出回路401および第2振れ量算出回路402は、X軸周りの回転方向(ピッチング方向)、Y軸周りの回転方向(ヨーイング方向)、およびZ軸周りの回転方向(ローリング方向)のそれぞれについての角速度を求める。具体的には、第1振れ量算出回路401は、第1振れ検出部2の検出量として、X軸周りの角速度ωAxと、Y軸周りの角速度ωAyと、Z軸周りの角速度ωAzを求める。また、第2振れ量算出回路402は、第2振れ検出部3の検出量として、X軸周りの角速度ωBxと、Y軸周りの角速度ωByと、Z軸周りの角速度ωBzを求める。
【0028】
補正値算出回路403は、第1振れ検出部2および第2振れ検出部3の検出量から補正値を算出する。補正値は、第1振れ検出部2および第2振れ検出部3の検出量の差分である。例えば、上記のように、検出量が3軸周りの角速度である場合、補正値算出回路403は、補正値として、ピッチング補正量ωAx−ωBx、ヨーイング補正量ωAy−ωBy、およびローリング補正量ωAz−ωBzを算出する。
【0029】
制御IC404は、補正値算出回路403で算出された補正値(3軸周りの相対的角速度)に基づき、可動体10を振れ方向と逆方向に補正値の分だけ回転(揺動)させるための振れ揺動用駆動機構50およびローリング補正用駆動機構70の駆動量を求める。揺動用駆動機構50はX軸周り(ピッチング方向)およびY軸周り(ヨーイング方向)の振れ補正を行うため、制御IC404は、ピッチング補正量ωAx−ωBxとヨーイング補正量ωAy−ωByに基づき、揺動用駆動機構50を駆動するための電流値(補正電流)を求める。また、制御IC404は、ローリング補正量ωAz−ωBzに基づき、ローリング補正用駆動機構70を駆動するための電流値(補正電流)を求める。
【0030】
補正値算出回路403が算出する補正値(第1振れ検出部2および第2振れ検出部3の検出量の差分)は、第2振れ検出部3が移動体200に取り付けられている場合には、移動体200に対する可動体10の相対変位量(相対的角速度)である。また、第2振れ検出部3が固定体300に取り付けられている場合には、固定体300に対する可動体10の相対変位量(相対的角速度)である。この場合に、固定体300が移動体200に対して一体に取り付けられていれば、固定体300の角速度は移動体200の角速度と略一致するため、第1振れ検出部2および第2振れ検出部3の検出量の差分は、移動体200に対する可動体10の相対変位量(相対的角速度)と略一致する。
【0031】
制御IC404は、移動体200に対する可動体10の相対変位量(相対的振れ量)を打ち消すように振れ補正用駆動機構6(揺動用駆動機構50およびローリング補正用駆動機構70)を駆動するので、移動体200の内部空間を撮影した撮影画像は、移動体200の振動などによる乱れが加わらない撮影画像となる。
【0032】
(撮像ユニット)
次に、撮像ユニット1の具体的な構成を説明する。
図2(a)は撮像ユニット1の外観斜視図であり、
図2(b)は撮像ユニット1の分解斜視図である。
図3は、撮像ユニット1の内部機構の分解斜視図である。また、
図4は、可動体10を備える上部ユニット9に対するローリング補正用駆動機構70の取付構造を示す分解斜視図である。
図5は上部ユニット9の分解斜視図であり、
図6はローリング補正用駆動機構70の分解斜視図である。
【0033】
図2(a)、
図2(b)に示すように、撮像ユニット1は、Z方向に延在するユニットケース310を有する。ユニットケース310の内部には、Z方向の一方側+Zから他方側−Zに向かって、制御ユニット4、ローリング補正用駆動機構70および上部ユニット9が順に配置される。ユニットケース310は、第1ケース部材320と第2ケース部材330を備える。第1ケース部材320と第2ケース部材330は、それぞれ、ローリング補正用駆動機構70の支持部材77にねじ340によって固定される。第1ケース部材320と第2ケース部材330は、制御ユニット4、ローリング補正用駆動機構70および上部ユニット9をY軸方向の両側から覆う。
【0034】
支持部材77およびユニットケース310は、撮像ユニット1における上述した固定体300として機能する。すなわち、撮像ユニット1は、ユニットケース310に固定された固定部材7を介して移動体200に固定される。ユニットケース310に対する固定部材7の固定は、例えば、固定部材7に固定ネジを設け、ユニットケース310のネジ孔に固定ネジをネジ止めすることによって行うことができる。また、上述した第2振れ検出部3として機能するジャイロスコープを移動体200でなく固定体300に設ける場合、ユニットケース310もしくは支持部材77に第2振れ検出部3を固定することができる。
【0035】
図2(b)、
図3に示すように、ユニットケース310においてZ軸方向の他方側−Zの端部には、上部ユニット9を覆うようにスペーサ171が保持される。スペーサ171と上部ユニット9との間にはカバーガラス172が配置される。
【0036】
制御ユニット4は、コネクタやIC等が実装された第1基板351と、外部との信号の入出力を行う第2基板352とを有する。上部ユニット9と第1基板351は、フレキシブル配線基板353によって接続される。上述した第1振れ量算出回路401、第2振れ量算出回路402、補正値算出回路403、制御IC404は第1基板351に搭載される。また、駆動電流制御回路405のうち、ピッチング補正およびヨーイング補正のための回路部分は第1基板351に搭載される。
【0037】
制御ユニット4には、上述した第2振れ検出部3として機能する図示しないジャイロスコープからの信号が入力される。本形態では、第2振れ検出部3は、上述したように、撮像ユニット1の外部に設けられる。また、上部ユニット9には、上部ユニット9に設けられる可動体10のX軸周りの振れおよびY軸周りの振れを検出するジャイロスコープ187(
図1参照)が搭載される。ジャイロスコープ187は、上述した第1振れ検出部2の一部として機能する。ジャイロスコープ187の信号は制御ユニット4に入力される。
【0038】
また、制御ユニット4は、ローリング補正用駆動機構70の制御回路(すなわち、駆動電流制御回路405のうち、ローリング補正のための回路部分)等が構成された回路基板76を有する。上部ユニット9と回路基板76は、フレキシブル配線基板78によって接続される。フレキシブル配線基板78において上部ユニット9に固定された一方側端部には、上部ユニット9の光軸L周りの振れ(ローリング)を検出するジャイロスコープ781が実装される。ジャイロスコープ781は、上述した第1振れ検出部2の一部として機能する。
【0039】
(上部ユニット)
図4、
図5に示すように、上部ユニット9は、支持体20と、撮像モジュール5を備えた可動体10と、可動体10を支持体20に対して揺動可能に支持するジンバル機構30と、可動体10と支持体20との間に構成された揺動用駆動機構50とを有する。ジンバル機構30は、固定体300に対して可動体10を揺動可能に支持する支持機構8の一部として機能する。また、揺動用駆動機構50は、光軸Lに対して直交する2つの軸線(第1軸線L1および第2軸線L2)周りに可動体10を揺動させる。
【0040】
支持体20はモジュールケース21を備える。モジュールケース21は、可動体10の周りを囲む角筒状の胴部211と、胴部211のZ軸方向の他方側−Zの端部から径方向内側に張り出した矩形枠状の端板部212とを備えており、端板部212には矩形の開口部213が形成される。また、支持体20は、モジュールケース21のZ軸方向の他方側−Zに固定されたカバー22と、カバー22のZ軸方向の他方側−Zに固定されたカバーシート23(
図5参照)を有する。カバーシート23には被写体からの光を撮像モジュール5に導く窓230が形成される。
【0041】
支持体20は、モジュールケース21のZ軸方向の一方側+Zを覆う矩形の第1底板24を有する。第1底板24は、矩形の底板部241と、底板部241の外縁からZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した側板部242とを備える。第1底板24には、上部ユニット9に接続されたフレキシブル配線基板18、19を外部に引き出す開口部240が形成され、開口部240は、第1底板24に対してZ軸方向の一方側+Zから重なる第2底板26によって覆われる。また、支持体20は、可動体10の周りを囲むように配置された矩形枠状の板状ストッパ28を有する。板状ストッパ28は、可動体10のZ軸方向の一方側+Zへの可動範囲を規定する。
【0042】
可動体10は、レンズ等の光学素子を備えた撮像モジュール5と、撮像モジュール5を保持するホルダ14と、ウエイト15を有する。ホルダ14のX軸方向の両側端部およびY軸方向の両側端部にコイル56が保持される。ホルダ14には、レンズ、フォーカシング駆動用のアクチュエータ、および撮像素子等を備えた撮像用回路モジュール等が保持される。ウエイト15は、ホルダ14に固定された非磁性の金属部品であり、可動体10の光軸L方向における重心位置を調整する。
【0043】
可動体10には、撮像用回路モジュールで得られた信号を出力するフレキシブル配線基板18が接続される。フレキシブル配線基板18のうち、ホルダ14と重なる部分には、ジャイロスコープ187(
図1参照)や他の電子部品が実装される。ジャイロスコープ1
87は、上述した第1振れ検出部2の一部として機能する。なお、フレキシブル配線基板18は、可動体10から引き出された後、複数個所で湾曲した後、支持体20の外部に引き出される。また、可動体10には、コイル56に対する給電用のフレキシブル配線基板19が接続される。フレキシブル配線基板18、19は、フレキシブル配線基板18の先端部184に実装されたコネクタ185(
図3参照)を介してフレキシブル配線基板353に接続される。
【0044】
揺動用駆動機構50は、板状の磁石52とコイル56を備えた磁気駆動機構である。コイル56は可動体10のホルダ14に保持され、磁石52は、支持体20におけるモジュールケース21の胴部211の内面に保持される。磁石52は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、磁石52は、光軸L方向に2つに分割され、コイル56の側に位置する磁極が光軸L方向で異なるように着磁される。このため、コイル56は、上下の長辺部分が有効辺として利用される。モジュールケース21は磁性材料から構成されており、磁石52に対するヨークとして機能する。
【0045】
可動体10と支持体20との間にはジンバル機構30が構成される。ジンバル機構30は、可動体10を光軸L方向に交差する第1軸線L1周りに揺動可能に支持するとともに、可動体10を光軸L方向および第1軸線L1に交差する第2軸線L2周りに揺動可能に支持する。本形態では、第1軸線L1と第2軸線L2はX軸方向およびY軸方向に対して45度傾いた方向である。ジンバル機構30は、第1軸線L1周りおよび第2軸線L2周りの揺動を組み合わせることにより、可動体10をX軸方向周りおよびY軸方向周りに揺動可能に支持する。
【0046】
図5(b)に示すように、ジンバル機構30を構成するにあたって、カバー22に固定された矩形の固定枠25とホルダ14との間に矩形の可動枠38が配置される。固定枠25は、4つの角部のうち、第1軸線L1が延在する方向の対角に位置する角部にZ軸方向の一方側+Zに向けて突出した支持板部251が形成されている。また、固定枠25は、4つの角部にZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した凸部252が形成されている。
【0047】
可動枠38は、光軸L周りに4つの角部381、382、383、384を有する矩形形状である。4つの角部381、382、383、384のうち、第1軸線L1が延在する方向の対角に位置する2つの角部381、383は、球体(図示せず)等を介して固定枠25の支持板部251に揺動可能に支持され、第2軸線L2が延在する方向の対角に位置する2つの角部382、384は、球体(図示せず)等を介して可動体10のホルダ14を揺動可能に支持する。可動枠38は、バネ性を有する金属材料等で構成される。4つの角部381、382、383、384を繋ぐ4つの連結部385は、各々の延在方向およびZ軸方向に対して直交する方向に湾曲した蛇行部386を有する。従って、可動枠38は、可動体10の自重では下方に撓まないが、外部から衝撃が加わった際、衝撃を吸収可能なバネ性を有する。
【0048】
固定枠25とカバー22との間には板状バネ40が配置される。板状バネ40は、可動体10と支持体20の固定枠25とに接続して、揺動用駆動機構50が停止状態にあるときの可動体10の姿勢を規定する。板状バネ40は、金属板を所定形状に加工したバネ部材であり、矩形枠状の固定体側連結部41と、円環状の可動体側連結部42と、固定体側連結部41と可動体側連結部42とを連結する板バネ部43とを有する。固定体側連結部41は、固定枠25のZ軸方向の他方側−Zの面に重なった状態で固定枠25の角部分に形成された凸部252に固定される。また、固定枠25は、凸部252がカバー22の穴224に嵌った状態でカバー22に固定される。可動体側連結部42は、ホルダ14に対して溶接や接着等により固定される。
【0049】
(ピッチング補正およびヨーイング補正)
撮像ユニット1がピッチング方向およびヨーイング方向に振れると、かかる振れは、上部ユニット9に設けられたジャイロスコープ187によって検出される。また、移動体200が全体としてピッチング方向およびヨーイング方向に振れると、かかる振れは移動体200の所定箇所(例えば、フロントガラス)に固定された第2振れ検出部3としてのジャイロスコープによって検出される。制御ユニット4は、これら2つのジャイロスコープからの信号に基づいて揺動用駆動機構50を制御し、ピッチング補正およびヨーイング補正を行う。すなわち、上述したように、第1振れ量算出回路401によってX軸周りの角速度ωAxおよびY軸周りの角速度ωAyを求めるとともに、第2振れ量算出回路402によってX軸周りの角速度ωBxおよびY軸周りの角速度ωByを求める。そして、補正値算出回路403によってピッチング補正量ωAx−ωBx、ヨーイング補正量ωAy−ωByを算出し、制御IC404はこれらの補正量に基づいて揺動用駆動機構50を制御する。これにより、ピッチング補正量ωAx−ωBxとヨーイング補正量ωAy−ωByに対応する駆動電流がコイル56に供給され、その結果、可動体10は、第1軸線L1周りに振れ方向とは反対方向に揺動するとともに、第2軸線L2周りに振れ方向とは反対方向に揺動する。これにより、ピッチング方向およびヨーイング方向の振れが補正される。
【0050】
(ローリング補正用駆動機構)
図6は、ローリング補正用駆動機構70の分解斜視図である。
図4に示すように、撮像ユニット1において、上部ユニット9は、Z軸方向の一方側+Zに配置されたローリング補正用駆動機構70のロータ74に連結部材80を介して支持される。ローリング補正用駆動機構70は、上部ユニット9を所定の角度範囲において光軸L周りの双方向に回転させ、ローリング補正を行う。
【0051】
図4、
図6に示すように、ローリング補正用駆動機構70はアウタロータ型のモータであり、軸受ホルダ79を介して支持部材77に保持されたステータ71と、光軸L周りに回転するロータ74とを有する。ローリング補正用駆動機構70は単相モータであり、ステータ71は、周方向に複数の突極720を備えたステータコア72と、複数の突極720に巻回されたステータコイル73とを有する。
【0052】
ロータ74は、カップ状のロータケース740と、ロータケース740の端板部742に固定された回転軸745とを有している。ロータ74は、ロータケース740の円筒状の胴部743の内面に保持されたロータ磁石75を有しており、ロータ磁石75は、突極720に対して径方向外側で対向している。ロータ磁石75において、突極720に対向する内周面は、S極とN極とが周方向で交互に等角度間隔に着磁された着磁面751であり、かかる着磁面751は、着磁の際、着磁ヘッドが密接して配置される側の面である。ロータケース740の胴部743は、ロータ磁石75に対するバックヨークである。
【0053】
回転軸745には、Z軸方向で離間する位置でベアリング軸受からなる軸受701、702に回転可能に支持される。軸受701、702は、軸受ホルダ79の円筒部791の内側に保持される。軸受ホルダ79は、ステータコア72を保持するコアホルダとしても用いられており、円筒部791の径方向外側にステータコア72が嵌っている。回転軸745のZ軸方向の一方側+Zの端部には、止め輪703が装着される。
【0054】
軸受ホルダ79は、円筒部791に対してZ軸方向の一方側+Zで隣り合う位置に円板状のフランジ部792を有しており、フランジ部792は、支持部材77にねじ779によって固定される(
図4参照)。支持部材77は、軸受ホルダ79のフランジ部792が固定された矩形の底板部771と、底板部771のX軸方向の両側の端部からZ軸方向の他方側−Zに向けて折れ曲がった一対の側板部772、773と、底板部771のY軸方向の一方側+Yの端部からZ軸方向の他方側−Zに向けて折れ曲がった側板部774とを
有する。側板部772、773、774は、ロータケース740の胴部743に径方向外側で対向する。
【0055】
ローリング補正用駆動機構70の回転軸745のZ軸方向の他方側−Zの端部には、連結部材80を介して上部ユニット9が連結される。本形態において、連結部材80は、上部ユニット9を支持する矩形の板部81と、板部81のX軸方向の両側の端部からZ軸方向の他方側−Zに向けて折れ曲がった板状の位置決め凸部82、83と、板部81のY軸方向の他方側−Yの端部でZ軸方向の他方側−Zに向けて折れ曲がった一対の位置決め凸部84とを有する。上部ユニット9は、位置決め凸部82、83、84によって位置決めされた状態で板部81に固定される。従って、上部ユニット9は、回転軸745(ロータ74)と一体に回転する。なお、連結部材80は、板部81からZ軸方向の一方側に突出した円筒部(図示せず)を有しており、円筒部に回転軸745が嵌った状態でねじ等により回転軸745に固定される。
【0056】
連結部材80は、板部81のX軸方向の一方側+Xの端部からさらにX軸方向の一方側+Xに突出したストッパ用凸部86と、板部81のX軸方向の他方側−Xの端部からさらにX軸方向の他方側−Xに突出したストッパ用凸部87とを有する。連結部材80、上部ユニット9および回転軸745が光軸L周りの一方側に回転した際、所定の回転位置で、ストッパ用凸部86は第1ケース部材320の内面に形成された当接部に当接する。また、連結部材80、上部ユニット9および回転軸745が光軸L周りの他方側に回転した際、所定の回転位置で、ストッパ用凸部87は第1ケース部材320の内面に形成された当接部に当接する。これにより、上部ユニット9の可動範囲が規制される。
【0057】
このように、上部ユニット9は、連結部材80および回転軸745を介して、Z軸周り(光軸L周り)に回転可能に支持される。つまり、本形態では、連結部材80および回転軸745は、固定体300に対して可動体10を揺動可能に支持する支持機構8の一部を構成する。
【0058】
(ローリング補正)
撮像ユニット1がローリングに振れると、かかる振れは、上部ユニット9に設けられたジャイロスコープ781によって検出される。また、移動体200が全体としてローリング方向に振れると、かかる振れは移動体200の所定箇所(例えば、フロントガラス)に固定された第2振れ検出部3としてのジャイロスコープによって検出される。制御ユニット4は、これら2つのジャイロスコープからの信号に基づいてローリング補正用駆動機構70を制御し、ローリング補正を行う。すなわち、上述したように、第1振れ量算出回路401によって可動体10のZ軸周りの角速度ωAzを求めるとともに、第2振れ量算出回路402によって移動体200のZ軸周りの角速度ωBzを求める。そして、補正値算出回路403によってローリング補正量ωAz−ωBzを算出し、制御IC404はこれらの補正量に基づいてローリング補正用駆動機構70を制御する。これにより、ローリング補正量ωAz−ωBzに対応する駆動電流がステータコイル73に供給され、その結果、ロータ74および上部ユニット9が光軸L周りに振れ方向と反対方向に回転する。
【0059】
(本形態の主な効果)
以上のように、本形態の撮像システム100は、移動体200に固定した固定体300(ユニットケース310および支持部材77)に対し、撮像モジュール5を備える可動体10が揺動可能に支持される。可動体10には、外部空間に対する撮像モジュール5の振れを検出する第1振れ検出部2(ジャイロスコープ187、781)が設けられ、移動体200もしくは固定体300には、外部空間に対する移動体200もしくは固定体300の振れを検出する第2振れ検出部3が設けられる。移動体200に対する撮像モジュール5の相対的な振れを打ち消すように振れ補正用駆動機構6(揺動用駆動機構50、ローリ
ング補正用駆動機構70)を駆動するための補正値は、第1振れ検出部2(ジャイロスコープ187、781)の信号と第2振れ検出部3の信号から求めることができる。従って、このような補正値を求めて振れ補正用駆動機構6(揺動用駆動機構50、ローリング補正用駆動機構70)を制御することにより、移動体200の内部空間を撮影したときの画像の乱れを低減させることができる。
【0060】
本形態の撮像システム100は、車両などの移動体200に搭載して車内を撮影する場合には、車両の振動が撮影画像の乱れとして加わることがない。従って、車両の振動によって撮影画像の乱れが悪化することがないので、乱れの少ない車内の撮影画像を得ることができる。つまり、車内の撮影でも高い振れ補正能力を実現できる。
【0061】
また、本形態では、固定体300(ユニットケース310および支持部材77)は、固定部材7を介して移動体200に固定され、第2振れ検出部3は、移動体200の所定位置、例えば移動体200が車両である場合には、フロントガラスに固定される。このように、固定部材7を用いることにより、撮像ユニット1を移動体200の様々な位置に取り付けることができ、確実且つ容易に固定体300を固定することができる。また、第2振れ検出部3を固定体300でなく移動体200に取り付けるので、固定体300と移動体200の間に介在する固定部材7の変形などによって固定体300が移動体200に対して相対移動してしまう場合においても、移動体200に対する撮像モジュール5の相対的な振れを正確に求めることができる。従って、移動体200の内部を撮影したときの画像の乱れを精度良く低減させることができる。また、移動体200が車両である場合に、フロントガラスに第2振れ検出部3を固定した場合には、車両の振れを共振の影響なく検出できる。従って、移動体200に対する撮像モジュール5の相対的な振れをより正確に求めることができ、移動体200の内部を撮影したときの画像の乱れをより精度良く低減させることができる。
【0062】
本形態では、撮像ユニット1を制御する制御ユニット4は、振れ補正に用いる補正値として、第1振れ検出部2で検出する検出量および第2振れ検出部3で検出する検出量の差分を用いる。また、第1振れ検出部2で検出する検出量および第2振れ検出部3で検出する検出量は、振れ量(振れ角度)とすることができる。これにより、差分を解消するように振れ補正用駆動機構6(揺動用駆動機構50、ローリング補正用駆動機構70)を駆動できる。従って、移動体200に対する撮像モジュール5の相対的な振れを正確に補正できる。
【0063】
また、第1振れ検出部2で検出する検出量および第2振れ検出部3で検出する検出量は、振れ量(振れ角度)であってもよい。また、振れ量(振れ角度)と角速度の両方を用いてもよい。角速度や加速度の差分を用いて振れ補正を行うことにより、正確に振れ補正を行うことができる。
【0064】
本形態では、振れ補正用駆動機構6(揺動用駆動機構50、ローリング補正用駆動機構70)は、ピッチング方向、ヨーイング方向、およびローリング方向の3方向の振れ補正を行う。このように、直交する3方向の振れを補正することにより、精度良く画像の乱れを補正することができる。
【0065】
(変形例)
(1)上記形態は、互いに直交する3方向の全方向において振れ補正を行うが、いずれか1方向の振れ補正のみをおこなってもよい。例えば、鉛直方向(第1揺動方向:ピッチング方向)の振れ補正のみを行うようにしてもよい。また、XYZの3軸がいずれも鉛直方向に対して傾いている場合に、鉛直方向の振れ成分が最も大きい方向を第1揺動方向とし、第1揺動方向の振れ補正のみを行うようにしてもよい。車両などの移動体200では、
最も振れが大きい方向は鉛直方向である。従って、このようにすると、1方向という最低限の振れ補正により、移動体200の内部を撮影したときの画像の乱れを効果的に補正することができる。
【0066】
この場合には、制御ユニット4は、補正値として、第1揺動方向の振れを打ち消す値を算出する。例えば、ピッチング補正量ωAx−ωBxのみを算出し、ピッチング補正量ωAx−ωBxに基づき、揺動用駆動機構50を駆動するための電流値(補正電流)を求める。そして、求めた補正電流に基づいてコイル56に通電する。
【0067】
なお、鉛直方向と関係なく、いずれか1方向の振れ補正のみ行うようにしてもよい。この場合には、ヨーイング補正量ωAy−ωByとローリング補正量ωAz−ωBzのどちらかを算出し、算出した補正値に基づいて揺動用駆動機構50を駆動するための電流値(補正電流)を求めればよい。
【0068】
(2)上記形態において、互いに直交する3方向のうちのいずれか2方向の振れ補正のみを行うようにしてもよい。例えば、鉛直方向(第1揺動方向:ピッチング方向)の振れ補正、および、水平方向(第2揺動方向:ヨーイング方向)の振れ補正のみを行うようにしてもよい。また、XYZの3軸がいずれも鉛直方向および水平方向に対して傾いている場合に、鉛直方向の振れ成分が最も大きい方向を第1揺動方向とし、水平方向の振れ成分が最も大きい方向を第2方向とし、第1揺動方向および第2方向の振れ補正のみを行うようにしてもよい。
【0069】
この場合には、制御ユニット4は、補正値として、第1揺動方向および第2方向の振れを打ち消す値を算出する。例えば、ピッチング補正量ωAx−ωBxおよびヨーイング補正量ωAy−ωByを算出し、ピッチング補正量ωAx−ωBxおよびヨーイング補正量ωAy−ωByに基づき、揺動用駆動機構50を駆動するための電流値(補正電流)を求める。そして、求めた補正電流に基づいてコイル56に通電する。なお、鉛直方向および水平方向と関係なく、いずれか2方向の振れ補正のみ行うようにしてもよい。