(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
携帯通信端末と交通障害通知サーバとが通信ネットワークを通じて接続されて構成される交通障害通知システムの前記交通障害通知サーバに搭載されたコンピュータで実行されるプログラムであって、
現在時刻を提供する現在時刻提供手段と、拠点となるべき場所の拠点位置と滞在時間帯とを含む拠点情報を記憶する拠点情報記憶手段を参照し、前記現在時刻提供手段が提供する現在時刻が属している滞在時間帯の拠点位置を、戻るべき拠点位置として特定する拠点特定手段と、現在位置を測位する現在位置測位手段と、前記現在位置測位手段からの前記現在位置が、前記拠点特定手段で特定された前記拠点位置から離れたか否かを判別する判別手段と、前記判別手段において、前記現在位置が前記拠点位置から離れたと判別された場合に、前記現在位置と前記拠点位置とを含む探索情報を形成する探索情報形成手段と、前記探索情報形成手段で形成された前記探索情報を、前記交通障害通知サーバに送信する端末側送信手段と、前記交通障害通知サーバから送信されて来る障害等通知を受信する端末側受信手段と、前記端末側受信手段により受信された前記障害等通知に応じて、前記現在位置から前記拠点位置への経路上における交通障害の状況を通知するように制御する通知制御手段とを備えるものであり、
前記携帯通信端末からの現在位置と戻るべき拠点位置とを含む前記探索情報を受信するサーバ側受信ステップと、
前記サーバ側受信ステップを通じて受信した前記探索情報の前記現在位置を出発地とし、前記拠点位置を目的地として、1以上の経路を探索する経路探索ステップと、
前記経路探索ステップにおいて探索した1以上の前記経路のそれぞれでの交通障害の状況を検索する交通障害検索ステップと、
前記交通障害検索ステップでの検索結果に基づいて、前記障害等通知を形成する障害等通知形成ステップと、
前記障害等通知形成ステップで形成した前記障害等通知を、前記携帯通信端末に送信するサーバ側送信ステップと
を実行することを特徴とする交通障害通知プログラム。
携帯通信端末と交通障害通知サーバとが通信ネットワークを通じて接続されて構成される交通障害通知システムの前記携帯通信端末に搭載されたコンピュータで実行されるプログラムであって、
拠点となるべき場所の拠点位置と滞在時間帯とを含む拠点情報を記憶する拠点情報記憶手段を参照し、現在時刻提供手段が提供する現在時刻が属している滞在時間帯の拠点位置を、戻るべき拠点位置として特定する拠点特定ステップと、
現在位置を測位する現在位置測位手段からの現在位置が、前記拠点特定ステップで特定した前記拠点位置から離れたか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて、前記現在位置が前記拠点位置から離れたと判別した場合に、前記現在位置と前記拠点位置とを含む探索情報を形成する探索情報形成ステップと、
前記探索情報形成ステップにおいて形成した前記探索情報を、前記交通障害通知サーバに送信する端末側送信ステップと、
前記交通障害通知サーバから送信されて来る障害等通知を受信する端末側受信ステップと、
前記端末側受信ステップにおいて受信した前記障害等通知に応じて、前記現在位置から前記拠点位置への経路上における交通障害の状況を通知するように制御する通知制御ステップと
を実行することを特徴とする交通障害通知プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、この発明のシステム、装置、方法、プログラムの一実施の形態について説明する。
【0015】
[交通障害通知システムの概要]
図1は、この実施形態の交通障害通知システムの全体の構成例を説明するためのブロック図である。この実施の形態の交通障害通知システムは、携帯通信端末1と交通障害通知サーバ2とが、通信ネットワーク4を介して接続されて構成される。また、通信ネットワーク4には、交通情報提供サーバ3(1)、3(2)、…も接続されている。通信ネットワーク4は、主にインターネットであるが、携帯通信端末1などの端末や交通障害通知サーバ2などのサーバなどからインターネットまでを接続する携帯電話網、無線LAN(Local Area Network)、公衆交換電話網などを含む。
【0016】
携帯通信端末1は、この実施形態ではスマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末により実現される。この他にも、携帯電話端末やタブレットPC(Personal Computer)などにより、携帯通信端末1を実現することも可能である。そして、詳しくは後述もするが、携帯通信端末1は、GPS(Global Positioning System)などの現在位置測位機能を備えると共に、例えば、自宅や勤務先のオフィスといった普段の生活において拠点となる場所の位置情報(拠点位置)を記憶保持している。なお、拠点位置は、いわゆる日常圏判定データを用いて自動判別したり、使用者が手動で設定登録したりするものである。
【0017】
また、携帯通信端末1は、当該携帯通信端末1を所持する使用者が移動した場合に用いた移動手段を特定して、特定した移動手段を示す情報を記憶保持することができるものである。なお、移動手段は、移動速度や携帯通信端末1が備えるセンサの出力などを用いた予め決められた手法により、自動判定し特定できるものである。そして、携帯通信端末1は、自機の現在位置が、拠点位置からある程度離れた位置である場合に、現在位置と拠点位置と当該現在位置に至るまでに用いた移動手段とのそれぞれを示す情報からなる探索情報を、交通障害通知サーバ2に通知する機能を有する。
【0018】
交通障害通知サーバ2は、通知装置部210と経路探索装置部220とを備えている。通知装置部210は、携帯通信端末1からの探索情報に基づいて、経路探索条件を設定し、これを経路探索装置部220に供給する。ここで、経路探索条件は、探索情報に含まれる現在位置、拠点位置、移動手段を、出発地、目的地、移動手段となるようにしたものである。経路探索装置部220は、通知装置部210からの経路探索条件の出発地(現在位置)、目的地(拠点位置地)、移動手段に基づき、当該移動手段で、当該出発地(現在位置)から当該目的地(拠点位置)まで移動する場合の1以上の経路(ルート)を探索する。
【0019】
さらに、経路探索装置部220は、通信ネットワーク4に接続されている交通情報提供サーバ3(1)、3(2)、…等の情報を参照し、探索した1以上の経路についての交通障害の状況を検索する。この実施形態では、例えば、交通情報提供サーバ3(1)は、道路事情に関する情報を提供するものであり、交通情報提供サーバ3(2)は、電車やバスなどの公共交通機関に関する情報を提供するものである。この他にも、航空機や船舶などの交通機関に関する情報を提供する交通情報提供サーバなども設けられている。
【0020】
そして、経路探索装置部220は、移動手段が自動車である場合の経路については、交通情報提供サーバ3(1)を通じて渋滞や通行止めなどの発生や解消など、交通障害の状況を検索する。また、経路探索装置部220は、移動手段が徒歩である場合の経路については、交通情報提供サーバ3(2)を通じて公共交通機関の運転見合わせや遅延の発生や解消など、交通障害の状況を検索する。そして、検索結果を通知装置部210に提供する。通知装置部210は、経路探索装置部220からの交通障害の状況の検索結果に基づいて、交通障害が発生した場合や発生していた交通障害が解消した場合に、これを今回用いた探索情報の送信元の携帯通信端末1に送信する。
【0021】
これにより、携帯通信端末1の使用者は、自宅や勤務先のオフィスなどの拠点以外の場所にいる場合において、当該拠点以外の場所から当該拠点に戻るための経路上における交通障害の状況を、特別の操作をすることなく、いわゆるプッシュ方式で得ることができる。つまり、当該拠点以外の場所から当該拠点に戻るための経路上における交通障害の発生や当該交通障害の解消といった交通障害の状況を、何の操作もすることなく得ることができる。
【0022】
なお、携帯通信端末1の使用者についての拠点が、例えば、自宅と勤務先のオフィスなどというように複数存在する場合には、その拠点に使用者が通常居る時間帯を考慮して、現在時刻においては、いずれの拠点に戻るかを判別できるようにしている。もちろん、予め戻るべき拠点を携帯通信端末1の使用者が設定しておくようにすることもできる。
【0023】
以下においては、この実施の形態の交通障害通知システムの携帯通信端末1と交通障害通知サーバ2の構成例と、そのそれぞれにおいて行われる処理の詳細について説明する。なお、
図1においては、携帯通信端末1は1つしか示していないが、実際には多数の使用者のそれぞれが使用する多数の携帯通信端末が、通信ネットワーク4を介して交通障害通知サーバ2に接続される。これらの携帯通信端末には種々のものがあるが、基本的な機能は同じであるため、それら種々の携帯通信端末の構成例として、携帯通信端末1について説明する。
【0024】
[携帯通信端末1の構成例]
図2は、この実施の形態の携帯通信端末1の構成例について説明するためのブロック図である。
図2に示した携帯通信端末1において、送受信アンテナ101A及び無線通信部101は通信機能を実現する。制御部102は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)がバスを通じて接続されて構成されたコンピュータ装置部であり、この携帯通信端末1の各部を制御する機能を実現する。操作部103は、電源のオン/オフスイッチや幾つかのファンクションボタンなどが設けられた部分である。
【0025】
記憶装置104は、例えばフラッシュメモリなどの比較的に記憶容量の大きな不揮発性メモリを備え、当該メモリへのデータの書き込み、記憶保持、当該メモリからのデータの読み出し、また、当該メモリに記憶保持したデータの消去などを行う。そして、記憶装置104のメモリ内には、例えば、地図情報提供サーバから提供を受けた地図データや道路ネットワークデータを記憶保持し、ナビゲーション機能を実現することができるようにされる。さらに、この実施の形態の携帯通信端末1においては、記憶装置104のメモリ内に、拠点情報ファイルと現在位置情報ファイルとが設けられている。
【0026】
図3は、記憶装置104のメモリ内に設けられる拠点情報ファイルの格納データの例を説明するための図である。
図3に示すように、拠点情報ファイルには、携帯通信端末1の使用者が普段、長時間にわたって滞在している自宅や勤務先のオフィスなどの拠点となっている場所の拠点位置(代表点)を示す緯度、経度と、滞在時間帯と、滞在曜日と、種別とが記憶保持される。これらの拠点位置情報は、日常圏判定データと地図情報とを用いた自動判定により取得できる。
【0027】
すなわち、所定のタイミングごとに現在位置と現在時刻とからなる日常圏判定データを取得して蓄積し、これらと地図情報と突き合わせを行う。そして、夜から朝まで滞在していることが多い場所が住宅であれば、その場所が自宅であり、朝から夜まで滞在していることが多い場所がオフィスビルなどであれば、その場所が勤務先のオフィスであるというように判定できる。もちろん、拠点は頻繁に変わるものではないので、予め使用者が、携帯通信端末1の
図3に示した拠点情報ファイルに各情報を手動で登録しておくようにしてもよい。
【0028】
図4は、記憶装置104のメモリ内に設けられる現在位置情報ファイルの格納データの例を説明するための図である。
図4に示すように、現在位置情報ファイルには、現在位置を示す緯度、経度と、現在位置に至るために利用した移動手段を示す情報とが記憶保持さされる。ここで、現在位置は、携帯通信端末1が備えるGPS機能により所定のタイミングごとに取得されるものである。また、移動手段を示す情報は、携帯通信端末1で検出可能な現在位置、移動速度、センサ出力、移動経路などの情報に基づいて自動判定可能である。なお、所定のタイミングごとに取得される現在位置が変わらない場合には、現在位置情報ファイルのデータ内容は維持される。
【0029】
また、移動速度は、現在位置が取得されるごとに、その取得タイミングに対応する現在時刻を後述する時計機能を通じて取得し、現在位置と対になる情報として保持しておく。これにより、取得した過去の現在位置に応じて、過去の現在位置間の移動距離が分かり、当該過去の現在位置に対応する現在時刻に応じて、過去の現在位置間の移動時間が分かる。これにより、移動距離を移動時間で割り算することにより、当該区間の移動速度を求めることができる。
【0030】
そして、例えば、時速7km未満の速度で、振動センサからの検出出力が徒歩に応じた周期的なものである場合には、移動手段は徒歩であると判別できる。また、時速8km以上の速度で一定時間以上移動し、かつ、振動センサからの検出出力が、徒歩に応じた周期的なものでない場合には、移動手段は自動車であると判定できる。なお、この場合に、移動経路が鉄道路線であれば電車による移動と判断し、移動手段は徒歩であると判別できる。また、緯度経路が道路であっても、バス停が設置されている場所で停車をするようにして移動している場合には、路線バスによる移動と判断し、移動手段は徒歩であると判別できる。
【0031】
そして、時計回路105は、カレンダー機能を備え、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供する。センサ部106は、6軸センサ、地磁気センサ(方位センサ)、振動センサなどの種々のセンサなどからなる。6軸センサは、3軸の加速度センサと3軸のジャイロセンサとが組み合わされたもので、自機の姿勢がどのような状態にあるのかを正確に検知できる。また、地磁気センサは、自機を基準にして、東西南北などの方位を正確に検知できるものである。また、振動センサは、自機に加わる振動を検出できるものである。
【0032】
このセンサ部106の機能により、自機の姿勢と自機の進行方位(移動方向)とを検知することができる。これにより、使用者が観視する表示部108Dの表示画面の上側が、自機の進行方位となるようにして、表示部108Dにナビゲーション用の地図を表示するなどことが可能になる。また、歩行時に発生する振動を検知して、移動手段の判別に用いたり、また、歩数計の機能を実現したりすることができる。
【0033】
GPSアンテナ107A及びGPS部107は、現在位置取得機能を実現する。表示部108D及びタッチセンサ108Sとからなるタッチパネル108と、音声出力部109及びスピーカ110とは、ユーザーインターフェースを構成する。表示部108Dには、地図と自機の現在位置とを表示したり、必要となる案内情報を表示したりできる。また、音声出力部109とスピーカ110とを通じて、種々の案内メッセージやアラーム音などを放音することができる。
【0034】
交通障害通知部120は、探索情報形成部121と、通知制御部122とを備え、現在位置から拠点に至る経路に交通障害が発生している場合にこれを通知する機能を実現する。探索情報形成部121は、自機の現在位置が、記憶装置104のメモリに形成されている拠点情報ファイルの拠点位置からある程度離れた位置である場合に機能する。探索情報形成部121は、探索情報を形成し、これを無線通信部101及び送受信アンテナ101Aを通じて交通障害通知サーバ2に送信する処理を行う。
【0035】
図5は、探索情報形成部121で形成される探索情報の例を説明するための図である。探索情報は、
図5に示すように、端末IDと、現在位置と、拠点位置と、移動手段と、その他とからなる。端末IDは、携帯通信端末1を一意に特定可能な情報であり、例えば、携帯通信端末1のIP(Internet Protocol)アドレスなどが用いられる。現在位置は携帯通信端末1の現在位置であり、移動手段は当該現在位置に至るために利用した移動手段である。これら現在位置と移動手段とは、
図4を用いて説明した現在位置情報ファイルの現在位置と移動手段とが用いられる。
【0036】
また、探索情報の拠点位置は、現在位置から戻るべき拠点の位置を示す情報であり、
図3を用いて説明した拠点情報ファイルの拠点位置が用いられる。但し、拠点が2以上ある場合には、現在時刻と、各拠点の滞在時間帯とに基づいて、現時点においては、どの拠点に向かうべきかを自動判定する。例えば、
図3に示した拠点情報ファイルのデータを用いる場合を例にして説明する。
【0037】
簡単には、現在時刻が、いずれかの拠点の滞在時間帯に属している場合には、その属している滞在時間帯の拠点を戻るべき拠点として判別するようにすればよい。この場合の滞在時間帯以外の時間帯は、自宅から勤務先への通勤時間と、勤務先から自宅への帰宅時間とであるものとして考え、拠点判別には用いないようにする。もちろん、これは一例であり、他の判別方法を用いてもよい。
【0038】
例えば、現在時刻が、勤務先等の滞在時間帯の終了時点より後(20時より後)で、自宅の滞在時間帯の終了時点まで(6時30分まで)であれば、拠点位置が(X1,Y1)で種別が自宅である拠点を戻るべき拠点と判別する。これは、業務終了後において、同僚などと食事等に出かける場合が多いことを考慮した場合である。戻るべき拠点が勤務先等であると判別する場合においても、同様にして調整可能である。
【0039】
なお、その他の情報として、必要となる種々の情報を探索情報に付加して送信することができる。例えば、携帯通信端末1の使用者により設定された探索条件、例えば、移動手段が自動車の場合には、有料道路優先、下道優先、距離優先、時間優先といった探索条件を付加できる。また、移動手段が徒歩の場合には、電車優先、バス優先、雨にぬれない経路優先、タクシーの利用可などの探索条件を付加できる。これらの探索条件は、予め携帯通信端末1の使用者が携帯通信端末1の記憶装置104のメモリに登録しておけばよい。
【0040】
その他にも、当該探索情報の送信日時情報や携帯通信端末1のMAC(Media Access Control)アドレスといった情報をその他の情報として探索情報に含めて送信することも可能である。なお、この実施形態では説明を簡単にするため、その他の情報により種々の探索条件を送信することはしないものとする。そして、
図5にも示したように、探索情報の現在位置は出発地として、拠点位置は目的地として、移動手段は出発地から目的地へ向かう場合の移動手段として、それぞれ用いられることになる。
【0041】
このような探索情報が、携帯通信端末1から交通障害通知サーバ2に送信される。そして、当該探索情報に基づいて、交通障害通知サーバ2において、現在位置(出発地)から拠点位置(目的地)に当該移動手段で向かう経路において、交通障害の状況が探索され、探索結果が通知される。ここで、交通障害の状況は、少なくとも、交通障害の発生と、当該交通障害の変化と、当該交通障害の解消とを含む。
【0042】
なお、同じ交通障害が同一箇所で繰り返し検出される場合には、発生した交通障害が継続していると判別できる。また、交通障害の変化は、例えば、道路の渋滞の場合には、渋滞区間の増加や
減少などを含み、鉄道路線の場合には、運転見合わせから遅延への変化、遅延時間の増加や
減少などを含む。
【0043】
通知制御部122は、送受信アンテナ101A及び無線通信部101を通じて受け付けた交通障害通知サーバ2からの後述する障害等通知に応じた通知処理を行う。通知制御部122は、例えば、交通障害が発生したことを通知したり、発生した交通障害が変化したり、発生した交通障害が解消したりした場合に、これを通知する処理を行う。なお、発生した交通障害が継続している場合には、同じ経路について、繰り返し交通障害の発生を通知しないようにされる。
【0044】
このように、この実施形態の携帯通信端末1は、現在位置が拠点位置からある程度離れた場合に、交通障害通知サーバ2と協働し、現在位置から拠点に戻る経路においての交通障害の状況について、プッシュ方式で通知を受けることができる。なお、現在位置が拠点からある程度離れた場合は、通常、自動車や公共交通機関を用いなければ容易に移動することができない場合を意味し、現在位置から拠点位置までの例えば直線距離が2km以上離れた場合などとして規定される。
【0045】
もちろん、現在位置が拠点からある程度離れた場合の判断基準は、現在位置から拠点位置までの直線距離が2kmの場合に限定するものではない。当該判断基準となる距離を、携帯通信端末1の使用者によって、3kmにしたり、4kmにしたりするなど、適宜の距離とすることができる。
【0046】
また、現在位置と拠点位置との間の距離ではなく、現在位置が拠点の位置する市区町村とは異なる市区町村に位置している場合を、現在位置が拠点からある程度離れた場合として判断してもよい。また、現在位置が、拠点の位置する都道府県と異なる都道府県に位置している場合を、現在位置が拠点からある程度離れた場合として判断してもよい。この他にも、種々の方法により、現在位置が拠点からある程度離れた場合を判別してもよい。
【0047】
[交通障害通知サーバ2の構成例]
図6は、この実施形態の交通障害通知サーバ2の構成例について説明するための図である。
図6において、通信I/F201は、通信ネットワーク4を通じた通信機能を実現する。制御部202は、図示しないが、CPU、ROM、RAMがバスを通じて接続されて構成されたコンピュータ装置部であり、交通障害通知サーバ2の各部を制御するものである。記憶装置203は、記録媒体としてハードディスクを備え、種々の処理により得られたデータ等の当該ハードディスクへの書込み、記憶保持、当該ハードディスクからのデータの読み出し、また、当該ハードディスクに記憶保持したデータの消去などを行う。
【0048】
地図情報DB204、道路NWDB205、歩行者NWDB206、交通機関NWDB207のそれぞれは、ハードディスクなどの大容量記録媒体に形成され、所定のデータを記憶保持する。ここで、地図情報DB204における文字「DB」は、データベース(Data Base)の略称である。また、道路NWDB205等における文字「NWDB」はネットワークデータベース(Network Data Base)の略称である。
【0049】
地図情報DB204は、地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ、注記(注釈)データ等の種々の地図情報(地図データ)を緯度・経度情報に対応付けて記憶保持する。具体的に、地図情報DB204に蓄積されている地図情報は、例えば、道路、鉄道、河川、山岳、施設、住宅、標識などの所定の種別毎(レイヤ毎)に形成されている。
【0050】
道路NWDB205は、ノードデータ及びリンクデータからなる道路ネットワークデータを記憶保持する。ノードデータは、ランドマーク、建物、施設、交差点、分岐点、屈曲点などの地点を表す。また、リンクデータは、ノードデータを結ぶ線分によって、国道、県道などの自動車が通行可能な道路などを示す。そして、各リンクデータには、そのリンクを構成するノードの番号と、リンクコストと、リンク種別等の情報が対応付けられている。
【0051】
リンクコストは、そのリンクが表す道路を通行する際に使用者(ユーザ)にかかる負荷を表している。この実施の形態においてリンクコストは、そのリンクが表す道路の長さに応じて設定されている。なお、リンクコストは、そのリンクが表す道路を通行するのに要する時間に応じて設定されていてもよい。そして、リンクコストは、いわゆるダイクストラ法により、リンクコストが最小となる経路を探索する場合に参照される。リンク種別は、当該リンク部分が、国道、県道、市道、私道などのどれであるかを示すものである。
【0052】
歩行者NWDB206は、基本的なデータ構成は、道路NWDB205と同様である。しかし、歩行者NWDB206で管理されるリンクデータは、歩行者が通行可能な一般道、種々の道路に付随する歩道、横断歩道、歩道橋、建物内や公園内の通り抜け可能な歩行者用通路など、歩行者が通行可能な種々の道路(通路)を示す。そして、上述もしたように、各リンクデータには、そのリンクを構成するノードの番号と、リンクコストと、リンク種別等の情報が対応付けられている。リンク種別は、当該リンク部分が、一般道、種々の道路に付随する歩道、横断歩道、歩道橋、建物内や公園内の通り抜け可能な歩行者用通路などを示す。
【0053】
交通機関NWDB207は、公共交通機関として、電車、バス、モノレール、飛行機、船舶などのネットワークデータ、時刻表、料金表などの情報を記憶保持する。電車ネットワークデータは、各鉄道会社の路線別の駅ノードデータと駅間リンクデータ、路線間の乗り換えリンクデータ、アクセス・イグレスリンクデータなどから構成される。駅ノードデータは、運営主体、路線名、駅名などの情報を持ち、駅間リンクデータは、運営主体、路線名、距離、速度、運賃などの情報を持つ。乗り換えリンクデータは、距離、速度、運賃などの情報を持つ。
【0054】
また、出発地から最寄り駅までのリンクがアクセスリンクであり、下車駅から目的地までのリンクがイグレスリンクである。アクセス・イグレスリンクは、簡単には、駅間リンク以外の駅ノードへの種々のリンクを意味する。また、電車ネットワークデータは、電車の各路線のダイヤ情報などをも備えている。この電車ネットワークデータにより、出発地から目的地まで経路において、使用者が電車で移動すべき経路の探索と案内とを実現できる。
【0055】
また、電車以外のバス、モノレール、飛行機、船舶などの公共交通機関についても、基本的には電車ネットワークデータの場合と同様に、各公共交通機関の運営会社の路線別の乗降点ノードデータと乗降点間リンクデータ、路線間の乗り換えリンクデータ、アクセス・イグレスリンクデータなどから構成される。これらのデータを備えた交通機関NWDB207があることにより、総合ナビゲーションサービスが実現できる。
【0056】
そして、この実施形態の交通障害通知サーバ2では、通知装置部210と経路探索装置部220とが機能することによって、携帯通信端末1に対して、現在位置から拠点に戻る経路における交通障害の状況をいわゆるプッシュ方式で通知する。交通障害の状況には、上述もしたように、少なくとも、交通障害の発生と、当該交通障害の変化と、当該交通障害の解消とを含む。
【0057】
この実施形態の交通障害通知サーバ2では、通信I/F201を通じて、携帯通信端末1からの探索情報(
図5)を受信すると、制御部202は、これを通知装置部210の探索条件設定部211に供給し、探索条件を設定するように制御する。探索条件設定部211は、これに供給された携帯通信端末1からの探索情報の現在位置、拠点位置、移動手段を、出発地、目的地、移動に用いる移動手段とする探索条件を設定し、制御部202を通じて経路探索装置部220の経路探索部221に供給する。
【0058】
経路探索部221は、制御部202の制御の下、探索条件設定部211からの探索条件に従って、出発地から目的地に至る1以上の経路を探索する。この場合、経路探索部221は、移動手段が自動車であれば、道路NWDB205を用いて、また、移動手段が徒歩であれば、歩行者NWDB206及び交通機関NWDB207を用いて経路探索を行う。
【0059】
経路探索部221の探索結果は、制御部202を通じて交通障害検索部222に通知される。交通障害検索部222は、制御部202の制御の下、経路探索部221により探索された1以上の経路のそれぞれにおいての交通障害の発生の状態を、外部の交通情報提供サーバ3(1)、3(2)、…が保持する最新の情報に基づいて検索を行う。これにより、自動車で移動する経路については渋滞の発生や解消の状況が、公共交通機関を利用して徒歩で移動する経路については公共交通機関の運転見合わせや遅延の発生や解消の状況が検索される。この場合、発生個所や解消箇所も特定される。
【0060】
交通障害検索部222の検索結果は、制御部202を通じて、通知装置部210の障害等通知形成部212に通知される。障害等通知形成部212は、交通障害検索部222からの過去の検索結果をも考慮し、携帯通信端末1の使用者に通知すべき交通障害の発生や交通障害の変化や交通障害の解消があるかを確認し、ある場合には通知メッセージとして障害等通知を形成する。そして、障害等通知形成部212は、形成した障害等通知を、通信I/F201を通じて、当該探索情報の送信元の携帯通信端末1に送信する。
【0061】
これにより、携帯通信端末1の使用者は、何らの操作を行うことなく、拠点に戻るための経路に障害が発生した場合にこれを自動的に知ることができる。また、当該障害が変化したり解消したりした場合にも、これを自動的に知ることができる。
【0062】
[携帯通信端末1の処理と交通障害通知サーバ2の処理]
次に、上述した構成を有する携帯通信端末1と交通障害通知サーバ2のそれぞれにおいて行われる処理について、フローチャートを参照しながら説明する。
【0063】
[携帯通信端末1の処理]
図7は、この実施形態の携帯通信端末1で実行される交通障害等を使用者に通知するための処理(交通障害通知処理)の例について説明するためのフローチャートである。
図7に示す処理は、携帯通信端末1の現在位置が、拠点からある程度(例えば、直線距離で2km)離れるまでは、常時、所定のタイミングごとに、携帯通信端末1の制御部102により実行される。そして、携帯通信端末1の現在位置が、拠点からある程度(例えば、直線距離で2km)離れると、拠点にたどり着くか、例えば終了操作が行われるまで、探索情報送信処理と、通知情報受信処理が継続して行うようにされる。以下、具体的に説明する。
【0064】
まず、制御部102は、現時点において戻るべき拠点を特定する(ステップS101)。具体的に、ステップS101では、記憶装置104のメモリに形成されている拠点情報ファイルの格納データを参照し、拠点データが1つしかない場合には、当該拠点データにより特定される拠点を戻るべき拠点として特定する。また、拠点データが複数存在する時には、制御部102は、時計回路105から取得する現在時刻と、拠点データファイルの各拠点データの滞在時間帯とを比較して戻るべき拠点を特定する(ステップS101)。この実施の形態においては、上述もしたように、現在時刻が、いずれかの拠点の滞在時間帯に属している場合には、その属している滞在時間帯の拠点を戻るべき拠点として判別する。
【0065】
次に、制御部102は、GPS部107を通じて自機の現在位置を取得し(ステップS102)、現在位置が、特定した拠点の拠点位置から所定距離以上離れたか否かを判別する(ステップS103)。具体的には、地図上において、現在位置と戻るべき拠点とされた拠点の拠点位置とを地図上にプロットし、この2点間の直線距離を求め、この直線距離が例えば2km以上離れていれば、現在位置が、特定した拠点の拠点位置から所定距離以上離れたと判別できる。
【0066】
ステップS103の判別処理において、現在位置が、特定した拠点の拠点位置から所定距離以上離れていないと判別したとする。この場合、当該拠点またはその近傍に携帯通信端末1を持つ使用者が位置している状況であるので、制御部102は、
図7に示す処理を終了し、次の実行タイミングを待つことになる。
【0067】
ステップS103の判別処理において、現在位置が、特定した拠点の拠点位置から所定距離以上離れたと判別したとする。この場合、制御部102は、無線通信部101及び送受信アンテナ101Aを通じて、交通障害通知サーバ2にアクセスし、リンク(通信路)を接続する(ステップS104)。そして、制御部102は、探索情報形成部121を制御して、探索情報送信処理を開始する(ステップS105)。このステップS105で開始される探索情報送信処理の詳細は後述する。さらに、制御部102は、通知制御部122を制御して、通知情報受信処理を開始する(ステップS106)。このステップS106で開始される通知情報受信処理の詳細は後述する。
【0068】
そして、制御部102は、終了確認を行う(ステップS107)。このステップS107では、最新の現在位置と戻るべき拠点の拠点位置との間の直線距離が、例えば2kmより短くなったかどうかを確認する。最新の現在位置と戻るべき拠点の拠点位置との間の直線距離が2kmより短くなれば、携帯通信端末1を持つ使用者は拠点近傍までたどり着いたと判別でき、当該交通障害通知処理を終了させる状態になったと確認(特定)する。また、当該交通障害通知処理を終了させる所定の割り込み処理が、携帯通信端末1に対して行われたときにも、当該交通障害通知処理を終了させる状態になったと確認(特定)する。
【0069】
この後、制御部102は、ステップS107の終了確認処理で、当該交通障害通知処理を終了させる状態になったと確認(特定)できたか否かを判別する(ステップS108)。このステップS107の判別処理で、当該交通障害通知処理を終了させる状態になったと確認(特定)できていないと判別した時には、ステップS107からの処理を繰り返す。
【0070】
また、ステップS108の判別処理で、当該交通障害通知処理を終了させる状態になったと確認(特定)できたと判別したとする。この場合には、所定の終了処理を実行し(ステップS109)、この
図7に示す処理を終了する。そして、制御部102は、
図7に示す処理を所定のタイミングごとに実行する状態に戻る。
【0071】
なお、ステップS109の終了処理では、例えば、交通障害通知サーバ2との間に接続したリンク(通信路)を開放する処理が含まれる。また、ステップS105で開始した探索情報送信処理を終了させるための終了指示を出したり、ステップS106で開始した通知情報受信処理を終了させるための終了指示を出したりするなどの処理も含まれる。
【0072】
[探索情報送信処理の説明]
図8は、
図7に示した交通障害通知処理のステップS105で実行される探索情報送信処理について説明するためのフローチャートである。この
図8に示す処理は、制御部102の制御の下、探索情報形成部121が機能して実行される処理である。探索情報形成部121は、
図5を用いて説明した探索情報を形成し、これを交通障害通知サーバ2に送信する処理を行う(ステップS201)。次に、制御部102は、
図8のステップS109の処理において、探索情報送信処理の終了指示が発生したかを確認する(ステップS202)。
【0073】
そして、制御部102は終了指示が発生したか否かを判別する(ステップS203)。ステップS203の判別処理において、終了指示は発生していないと判別した時には、ステップS201からの処理を繰り返す。また、ステップS203の判別処理において、終了指示が発生したと判別した時には、この
図8に示す探索情報送信処理を終了する。このように、この
図8に示す探索情報送信処理は、携帯通信端末1の現在位置が、戻るべき拠点から所定距離以上離れている場合において、所定のタイミングごとに、
図5を用いて説明した探索情報を形成し、これを送信する処理である。
【0074】
[通知情報受信処理の説明]
図9は、
図7に示した交通障害通知処理のステップS106で実行される通知情報受信処理について説明するためのフローチャートである。この
図9に示す処理は、制御部102の制御の下、通知制御部122が機能して実行される処理である。通知制御部122は、交通障害通知サーバ2からの自機宛ての障害等通知を受信するようにし(ステップS301)、自機宛ての当該障害等通知を受信したか否かを判別する(ステップS302)。ステップS302の判別処理により、当該障害等通知を受信したと判別した時には、通知制御部122は、当該通知を出力する処理を実行する(ステップS303)。
【0075】
ステップS303では、例えば、アラーム音を放音する共に、表示部108Dに交通障害の状況を示すメッセージ情報を表情する。例えば、移動手段が自動車であった場合には、例えば、「国道○○号線、□□交差点で事故のため渋滞1km。」、「国道○○号線の渋滞解消。」といった、渋滞の発生や解消などが通知される。この他にも、通行止めの発生や指示された迂回路の通知なども行うことが可能である。また、移動手段が徒歩であった場合には、「JR○○○線、信号機故障のため現在運転見合わせ中」、「JR○○○線、運転再開。30分程度の遅延発生」といった、障害の発生や障害の状況など通知される。
【0076】
そして、ステップS303の通知処理の後とステップS302の判別処理において、自機宛ての障害等通知は受信していないと判別した時には、ステップS304の処理に進む。この場合、制御部102は、
図8のステップS109の処理において、通知情報受信処理の終了指示が発生したかを確認する(ステップS304)。そして、制御部102は終了指示が発生したか否かを判別する(ステップS305)。
【0077】
ステップS305の判別処理において、終了指示は発生していないと判別した時には、ステップS301からの処理を繰り返す。また、ステップS305の判別処理において、終了指示が発生したと判別した時には、この
図9に示す通知情報受信処理を終了する。このように、この
図9に示す通知情報受信処理は、携帯通信端末1の現在位置が、戻るべき拠点から所定距離以上離れている場合において、自機から探索情報を送信したことに呼応して、交通障害通知サーバ2から送信されて来る通知情報を受信するようにする。そしてして、当該通知情報を受信した時には、これを自動的に出力することによって、携帯通信端末1の使用者に通知する処理を行う。
【0078】
[交通障害通知サーバ2の処理]
図10は、この実施形態の交通障害通知サーバ2で実行される交通障害通知処理の例について説明するためのフローチャートである。
図10に示す処理は、交通障害通知サーバ2の制御部202の制御の下、通知装置部210及び経路探索装置部220が機能することにより、常時行うようにされている処理である。
【0079】
まず、制御部202は、通信I/F201を通じて、携帯通信端末1からの探索情報を受信するようにし(ステップS401)、探索情報を受信したか否かを判別する(ステップS402)。ステップS402の判別処理において、受信していないと判別した時には、ステップS401からの処理を繰り返す。ステップS402の判別処理において、探索情報を受信したと判別した時には、制御部202の制御の下、受信した探索情報に基づき、探索条件設定部211が、探索条件の設定を行い、設定した探索条件を経路探索部221に提供する(ステップS403)。
【0080】
ステップS403では、探索条件設定部211が、制御部202からの探索情報の現在位置、拠点位置、移動手段のそれぞれを、出発地、目的地、移動手段とする探索条件を設定し、これを経路探索部221に供給する。経路探索部221は、制御部202の制御の下、探索条件設定部211からの探索条件に応じて経路探索を実行して、探索結果を交通障害検索部222に提供する(ステップS404)。
【0081】
交通障害検索部222は、制御部202の制御の下、経路探索部221において探索された1以上の経路のそれぞれにおける交通障害の状況を検索し、検索結果を障害等通知形成部212に供給する(ステップS405)。具体的に、ステップS405において、交通障害検索部222は、通信I/F201を通じて通信ネットワーク4上の交通情報提供サーバ3(1)、…にアクセスし、探索された経路における交通障害の状況を検索する。
【0082】
障害等通知形成部212は、まず、交通障害検索部222からの検索結果に基づいて、交通障害の発生判定を行う(ステップS406)。障害等通知形成部212は、前回の交通障害の状況の検索結果を経路ごとに保持しており、前回の検索結果と同じか、異なる場合には、交通障害の発生か、あるいは、交通障害の解消かを判定する。ここで、交通障害の発生には、発生している交通障害が変化した場合も含むものとする。例えば、発生していた交通渋滞の距離が長くなった場合や短くなった場合にも、新たな交通障害の発生とみなす。同様に、電車の運転見合わせから運転再開に至り、遅延が発生している場合も、新たな交通障害の発生とみなす。
【0083】
そして、障害等通知形成部212は、判定結果が、前回の検索結果と同じか否かを判別し(ステップS407)、同じである場合には、前回と状況は変わっていないので、何も通知することなく、ステップS401からの処理を繰り返す。ステップS407の判別処理において、前回の検索結果と同じではないと判別した時には、判定結果が交通障害の発生か否かを判別する(ステップS408)。
【0084】
ステップS408の判別処理において、判定結果が交通障害の発生であると判別したとする。この場合、障害等通知形成部212は、今回の検索結果に基づいて、交通障害の発生を通知する障害等通知を形成し、これを探索情報の提供元の携帯通信端末1に送信する(ステップS409)。この後、ステップS401からの処理を繰り返す。
【0085】
また、ステップS408の判別処理において、判定結果が交通障害の発生ではないと判別したとする。この場合には、障害等通知形成部212は、交通障害の解消への変化であると判別し、前回と今回の検索結果に基づいて、交通障害の解消を通知する障害等通知を形成し、これを探索情報の提供元の携帯通信端末1に送信する(ステップS410)。この後、ステップS401からの処理を繰り返す。
【0086】
このように、交通障害通知サーバ2は、携帯通信端末1からの探索情報に基づいて、経路探索を行い、探索した経路における交通障害の状況を探索し、これを探索情報の送信元である携帯通信端末1に対して通知することができる。
【0087】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の交通障害通知システムでは、自宅や勤務先のオフィスといった拠点となる場所から所定距離離れた場合であって、当該拠点に戻るための経路に交通障害した場合に、これをいわゆるプッシュ方式で携帯通信端末1の使用者に通知できる。また、当該交通障害が変化したり解消したりした場合にも、これをいわゆるプッシュ方式で携帯通信端末1の使用者に通知できる。そして、プッシュ式の通知であるため、携帯通信端末1の使用者は、交通障害の発生や解消の通知を受けるために、携帯通信端末1に対して操作を行う必要もない。
【0088】
したがって、拠点に戻る場合に用いる経路に交通障害が発生した場合に、これをタイムリーに知ることができる。これにより、交通障害の発生を知らずに、渋滞に巻き込まれたり、駅で長時間にわたり電車を待ったりするといった、不都合を防止できる。そして、拠点に戻るための他の経路を、余裕をもって探索したり、別の場所に寄り道して用事を済ませたりするなど、時間の有効活用を図ることができる。
【0089】
[変形例]
上述した実施の形態においては、現在位置から拠点までの探索された経路上で交通障害が発生している場合に、これを通知したり、発生していた交通障害が解消した場合に、これを通知したりした。しかし、これに限るものではない。例えば、交通障害の発生だけを通知するようにしてもよい。
【0090】
また、拠点が複数存在する場合であって、例えば、勤務先から顧客先などの現在位置に至り、そこから自宅に戻る場合は、勤務先から現在位置に至るまでに用いた移動手段で移動するとは限らない。このような場合には、携帯通信端末1から交通障害通知サーバ2に対して、移動手段を特定せずに経路探索要求を形成して送信する。そして、交通障害通知サーバ2において、携帯通信端末1の現在位置から戻るべき拠点(この例の場合には自宅)までの経路であって、種々の移動手段で移動可能な複数の経路を探索し、それぞれの経路と交通障害の発生の有無とを通知するようにしてもよい。これにより、携帯通信端末1の使用者の経路の選択に自由度を持たせ、より適切な経路の選択が可能になる。
【0091】
また、現在位置から拠点までの経路が複数探索されている場合には、交通障害が発生している経路と発生していない経路とを通知するようにしてもよい。また、例えば、移動手段が自動車の場合には、「国道○○号線□□交差点より渋滞1km。県道△△号線を使う経路には渋滞なし。所要時間50分。」などのように、渋滞の発生と別経路の存在を通知することもできる。また、移動手段が徒歩の場合で、電車を用いる場合には、「JR○○線信号機故障で運転見合わせ。JR□□線を使う経路有り。」などのように、電車の運転見合わせの発生と別経路の存在を通知することもできる。また、交通障害が発生している経路と発生していない経路とを一覧表示して通知することもできる。また、交通障害が発生している経路とは異なる移動手段で移動する経路を、探索して通知することもできる。
【0092】
当該通知は、交通障害通知サーバ2の障害等通知形成部212で対応する通知を形成して、携帯通信端末1に送信し、携帯通信端末1の通知制御部122が、当該通知を表示部108Dに表示したり、対応する音声メッセージを、音声出力部109を通じてスピーカ110から放音したりすることにより対応可能である。
【0093】
また、例えば、電車の運転見合わせが発生した場合は、例えばバスなどの別の移動手段で移動する経路の方が携帯通信端末1の使用者にとって都合がよい場合もある。そこで、携帯通信端末1から交通障害通知サーバ2に対して、移動手段を特定しない経路探索要求を形成して送信する。そして、交通障害通知サーバ2において、携帯通信端末1の現在位置から拠点までの種々の移動手段で移動する複数の経路を探索し、それぞれの経路と交通障害の発生の有無とを通知するようにしてもよい。このようにした場合には、携帯通信端末1の使用者が、自分にとってより都合の良い移動手段で移動が可能な経路の選択ができる。
【0094】
また、別経路の選択を可能にしておくことにより、当該選択された経路を案内するように、ナビゲーション処理を開始させるようにすることもできる。すなわち、交通障害の発生の通知と、別経路の選択及び選択された経路のナビゲーション処理を一連の処理として実行するように構成することもできる。この場合には、選択された経路を案内するための地図情報と道路ネットワークデータ、歩行者ネットワークデータ、交通機関ネットワークデータを交通障害通知サーバ2から取得して、記憶装置104に格納する。そして、制御部102が機能して、記憶装置104に格納した地図情報に応じた地図を表示部108Dに表示すると共に、当該地図上に選択された経路を示すと共に、当該地図上に自機の現在位置を示して、例えば制御部102の機能により経路案内を行うようにすればよい。
【0095】
また、上述した実施の形態では、交通障害通知部120を備え、交通障害通知サーバ2が、通知装置部210と経路探索装置部220を備えるものとして説明したが、これに限るものではない。携帯通信端末1が、交通障害通知部120と通知装置部210との機能を備え、交通障害通知サーバ2が経路探索装置部220の機能を備えるように構成することもできる。
【0096】
この場合、携帯通信端末1の探索情報形成部と探索条件設定部が機能して、経路探索のための探索条件まで作成して交通障害通知サーバ2に送信する。交通障害通知サーバ2では、携帯通信端末1から探索条件に従って経路探索部221が経路探索を行うと共に、探索された経路について交通障害検索部222が交通障害の状況の検索を行って、検索結果を携帯通信端末1に返信する。携帯通信端末1では、交通障害通知サーバ2からの交通障害の状況の検索に基づいて、障害等通知形成部が通知すべき状況が発生しているか否かを判別し、発生している場合に、通知制御部が通知を形成して出力する構成となる。
【0097】
また、上述した実施の形態では、交通障害通知サーバ2が備えていた地図情報DB204、道路NWDB205、歩行者NWDB206、交通機関NWDB207は、通信ネットワーク4上の他のサーバに存在するものを用いるようにしてもよい。また、交通障害通知サーバ2が備えている通知装置部210と、経路探索装置部220とを、異なるサーバが備える構成とすることもできる。
【0098】
また、上述した実施の形態では、拠点は日常圏判定データを用いて特定するようにしたが、これに限るものではない。携帯通信端末1の使用者が手動で拠点を登録してもよい。例えば、旅行や出張などに出かけ、特定の1つのホテルを拠点にして、各地に出かける場合にも、この発明を適用できる。
【0099】
また、移動手段は、現在位置に至るまでに用いた移動手段を常に用いるように設定したり、移動手段は特定しないように設定したりしておくようにすることもできる。また、拠点ごと、時間帯ごと、曜日ごとに、用いる移動手段を予め設定しておくようにすることもできる。
【0100】
[その他]
また、上述した実施の形態の説明からも分かるように、携帯通信端末の現在位置測位手段の機能は、携帯通信端末1のGPS部107が実現し、携帯通信端末の探索情報形成手段の機能は、携帯通信端末1の探索情報形成部121が実現している。また、携帯通信端末の端末側送信手段と端末側受信手段の機能は、主に送受信アンテナ101A及び無線通信部101が実現し、携帯通信端末の通知制御手段の機能は、携帯通信端末1のG通知制御部122が実現している。
【0101】
また、交通障害通知サーバのサーバ側受信手段とサーバ側送信手段の機能は、主に交通障害通知サーバ2の通信I/F201が実現し、交通障害通知サーバの経路探索手段の機能は、交通障害通知サーバ2の経路探索部221が実現し、交通障害通知サーバの交通障害検索手段の機能は、交通障害通知サーバ2の交通障害検索部が実現している。また、交通障害通知サーバの障害等通知形成手段の機能は、交通障害通知サーバ2の障害等通知形成部が実現している。
【0102】
また、
図7〜
図10のフローチャートを用いて説明した方法が、この発明の交通障害通知方法の一実施の形態が適用されたものである。また、
図7〜
図10のフローチャートに示した処理を実行するプログラムが、この発明の交通障害通知プログラムの一実施の形態が適用されたものである。また、携帯通信端末1の交通障害通知部120を構成する探索情報形成部121と通知制御部122の機能は、携帯通信端末1の制御部102において実行されるプログラムにより制御部102の機能として実現することもできる。
【0103】
また、交通障害通知サーバ2の通知装置部210を構成する探索条件設定部211と障害等通知形成部212の機能、及び、経路探索装置部220を構成する経路探索部221と交通障害検索部222の機能は、交通障害通知サーバ2の制御部202において実行されるプログラムにより制御部202の機能として実現することもできる。また、通知装置部210を構成する探索条件設定部211と障害等通知形成部212の機能を、携帯通信端末1側に設ける場合には、これらの機能を、携帯通信端末1の制御部102において実行されるプログラムにより制御部102の機能として実現することもできる。