特許第6758154号(P6758154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758154
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】電気かみそり
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/38 20060101AFI20200910BHJP
   B26B 19/04 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   B26B19/38 Z
   B26B19/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-208594(P2016-208594)
(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-68413(P2018-68413A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセルホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】丹波地 明
(72)【発明者】
【氏名】下田 博史
(72)【発明者】
【氏名】吉武 厚
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−512111(JP,A)
【文献】 特開昭55−047419(JP,A)
【文献】 特開2013−188483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/38
B26B 19/02
B26B 19/44
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かみそりヘッド(2)に、外刃(11)および外刃ホルダー(13)と、内刃(12)および内刃ホルダー(14)が設けられており、切断された毛屑を収容する毛屑室(R)が、外刃ホルダー(13)を支持するヘッドベース(10)と、外刃(11)および外刃ホルダー(13)で区画されている電気かみそりであって、
毛屑室(R)の下方に発光源(35)が設けられており、
毛屑室(R)に、発光源(35)から照射された光を案内する導光体(36)が配置されており、
導光体(36)は屈曲棒状、湾曲棒状、門形棒状のいずれかひとつの立体形状に形成されて、発光源(35)と正対する端部に入光面(40)が形成され、毛屑室(R)に臨む棒状表面に出光面(41)が形成されており、
出光面(41)が、外刃(11)とヘッドベース(10)の間に位置されており、
導光体(36)は、基端側が固定されてヘッドベース(10)側から外刃(11)側へと光を案内する第1導光部(42)と、第1導光部(42)に対して折り曲げられて、水平方向へ光を案内する棒状の第2導光部(43)とを備えており、
第1導光部(42)の基端部に入光面(40)が設けられ、少なくとも第2導光部(43)の棒状表面に出光面(41)が設けられており、
第2導光部(43)の底面に、反射面(47)を備えた反射凹部(48)が凹み形成されており、
第2導光部(43)で案内される光が、反射面(47)で毛屑室(R)の天面側へ向かって反射されることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
第2導光部(43)に沿って複数の反射凹部(48)が形成されており、
反射凹部(48)の深さが、第1導光部(42)から遠ざかるのに伴って大きく形成されている請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
第2導光部(43)に沿って、複数の反射凹部(48)が互いに交差する状態で形成されており、
第2導光部(43)を軸心方向からみるとき、各反射凹部(48)の中心軸の位相が異なるように反射凹部(48)が凹み形成されている請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項4】
第1導光部(42)は、第2導光部(43)に連続する側で集合する複数の分岐導光部(50)で構成されて、各分岐導光部(50)の基端部に入光面(40)が設けられており、
各入光面(40)に正対して発光源(35)がそれぞれ配置されている請求項1に記載の電気かみそり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛屑室に光を照射する発光源を備えている電気かみそりに関し、なかでも毛屑室の外部に発光源が配置されている電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気かみそりは、例えば特許文献1に公知である。係る特許文献1では、毛屑室の周囲壁や内刃、あるいは外刃などに光触媒が塗付されており、本体ケースの内部に設けた2個の光照射手段(発光源)から毛屑室へ向かって紫外光(光)を照射できるようにしている。紫外光は、毛屑室の底壁に配置されたレンズを介して毛屑室へと照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−312599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気かみそりは、光照射手段から照射された紫外光で光触媒を励起して、毛屑室の周囲壁や内刃、あるいは外刃などに付着した有機物を酸化還元作用で分解し、さらに紫外光の殺菌作用で殺菌できる。しかし、特許文献1の電気かみそりでは、毛屑室の底壁にレンズを設け、その下方に光照射手段を配置している。そのため、レンズの上面が毛屑で覆われてしまうと、底壁から離れた位置にある外刃や内刃には、充分な光量の紫外光を照射することができず、酸化還元作用および殺菌作用が適正に発揮されない。とくに、複数の内刃と外刃を備える電気かみそりの場合には毛屑室内の構造が複雑になり、照射された紫外光が毛屑室内の構造体で遮られるため紫外光を充分に照射できない。
【0005】
本発明の目的は、毛屑室内の構造に左右されることもなく、発光源から照射される光を毛屑室に向かって的確に、しかも効率よく照射できる電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、内刃に設けた光触媒の励起を促進し、光触媒による酸化還元作用を活性化できる電気かみそりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かみそりヘッド2に、外刃11および外刃ホルダー13と、内刃12および内刃ホルダー14が設けられており、切断された毛屑を収容する毛屑室Rが、外刃ホルダー13を支持するヘッドベース10と、外刃11および外刃ホルダー13で区画されている電気かみそりを対象とする。毛屑室Rの下方に発光源35が設けられており、毛屑室Rに、発光源35から照射された光を案内する導光体36が配置されている。導光体36は直線棒状、屈曲棒状、湾曲棒状、門形棒状のいずれかひとつの立体形状に形成されて、発光源35と正対する端部に入光面40が形成され、毛屑室Rに臨む棒状表面に出光面41が形成されている。そして、出光面41が、外刃11とヘッドベース10の間に位置されていることを特徴とする。
【0007】
導光体36は、基端側が固定されてヘッドベース10側から外刃11側へと光を案内する第1導光部42と、第1導光部42に対して折り曲げられて、水平方向へ光を案内する棒状の第2導光部43とを備える。第1導光部42の基端部に入光面40を設け、少なくとも第2導光部43の棒状表面に出光面41を設ける。
【0008】
第1導光部42は、第2導光部43に連続する側で集合する複数の分岐導光部50で構成して、各分岐導光部50の基端部に入光面40を設ける。各入光面40に正対するように、発光源35をそれぞれ配置する。
【0009】
第2導光部43の底面に、反射面47を備えた反射凹部48を凹み形成する。第2導光部43で案内される光を、反射面47で毛屑室Rの周面側へ向かって反射する。
【0010】
第2導光部43に沿って複数の反射凹部48を形成する。反射凹部48の深さを、第1導光部42から遠ざかるのに伴って大きく形成する。
【0011】
第2導光部43に沿って、複数の反射凹部48を互いに交差する状態で形成する。第2導光部43を軸心方向からみるとき、各反射凹部48の中心軸の位相が異なるように反射凹部48を凹み形成する。
【0012】
導光体36は、第2導光部43の先端からヘッドベース10側に折り曲げられる第3導光部54を備える門形棒状に形成する。第3導光部54の先端面をヘッドベース10の表面に接触させる。
【0013】
第1導光部42の基端部と第3導光部54の先端部のそれぞれに入光面40を形成し、各入光面40に正対する状態で発光源35を配置する。
【0014】
第2導光部43に沿って、第2導光部43の基端から先端へと案内される光を毛屑室Rの天面側へ向かって反射する反射面47を備えた反射凹部48と、第2導光部43の先端から基端へと案内される光を毛屑室Rの天面側へ向かって反射する反射面47を備えた反射凹部48とを形成する。
【0015】
第1導光部42の基端部および第3導光部54の先端部を、かみそりヘッド2のヘッドベース10に固定する。
【0016】
少なくとも内刃12の表面に光触媒Cをコーティングする。毛屑室Rの下方に、モーター3の回転動力を往復動力に変換する振動子18を含む往復駆動構造を設ける。毛屑室Rに突出する振動子18の駆動軸21を介して、振動子18の往復動力を内刃ホルダー14に伝動する。駆動軸21に、同軸21を上下に貫通する状態で導光体36を装着する。導光体36の上端の出光面41から照射した光で、内刃12の表面の光触媒Cを励起させる。
【0017】
少なくとも内刃12の表面に光触媒Cをコーティングする。内刃ホルダー14は、内刃12を逆U字状に保持する四角枠状のホルダー枠28を備える。導光体36の一部がホルダー枠28の内部に進入する状態で、導光体36の出光面41を、ホルダー枠28の下端より上方に位置させる。
【0018】
導光体36の基端部を、発光源35へ向かって先広がり状に形成する。入光面40の面積を、入光面40における発光源35の照射領域よりも大きく、かつ導光体36の断面面積より大きく形成する。
【0019】
毛屑室Rの下方に、モーター3の回転動力を往復動力に変換する振動子18を含む往復駆動構造を設ける。振動子18は、導光体36を兼ねる駆動軸21と、駆動軸21を往復揺動自在に支持する揺動軸65とを備える。揺動軸65の近傍に、導光体36の入光面40と発光源35を設ける。
【0020】
発光源35が、電気かみそりの作動状態を表示する表示手段を兼ねている形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電気かみそりは、毛屑室Rの下方に、光を照射する発光源35を配置し、毛屑室Rに、光を案内する導光体36を配置した。また、導光体36は棒状を呈する立体形状に形成して、発光源35と正対する端部に入光面40を形成し、毛屑室Rに臨む棒状表面に出光面41を形成した。さらに、出光面41を外刃11とヘッドベース10の間に位置させた。こうした電気かみそりによれば、毛屑が溜まる毛屑室Rの底から離れた位置に出光面41を位置させることで、出光面41が毛屑で覆われるのを回避でき、入光面40で受光した光を導光体36で案内して出光面41から確実に照射できる。従って、毛屑室R内の構造に左右されることもなく、発光源35から照射される光を毛屑室Rに向かって的確に、しかも効率よく照射できる。例えば、毛屑室Rに臨むヘッドベース10、外刃11、内刃12、外刃ホルダー13、内刃ホルダー14の少なくともいずれかひとつの表面に光触媒Cがコーティングされている構成であれば、光を励起光として利用することができ、この場合、酸化還元作用により殺菌及び脱臭が可能となる。また、外刃11から漏れ出る光量を増すことができるので光をデザイン要素として取り入れることができる。
【0022】
導光体36は、ヘッドベース10側から外刃11側へと光を案内する第1導光部42と、水平方向へ光を案内する第2導光部43とを備えるように構成した。また、第1導光部42の基端部に入光面40を設け、少なくとも第2導光部43の棒状表面に出光面41を設けた。こうした導光体36によれば、毛屑室Rの下方に配置された発光源35から照射される光を第1導光部42で外刃11へと近づくように案内し、次いで水平方向へ伸びる第2導光部43の出光面41から照射できるので、外刃11や内刃12に近接した位置において、光を照射できる。従って、毛屑室Rに臨む部材に光触媒Cがコーティングされていれば発光源35から照射される光を光触媒Cに向かってより的確に、しかもより効率よく照射でき、毛屑室R内に設けた光触媒Cの励起を促進できる。
【0023】
第2導光部43に連続する側で集合する複数の分岐導光部50で第1導光部42を構成し、各分岐導光部50の基端部に入光面40を設けると、出光面41から照射される光の光量を増大させることができる。従って、毛屑室Rに臨む部材に光触媒Cがコーティングされていれば発光源35から照射される光を光触媒Cに向かってより的確に、しかもより効率よく照射でき、光触媒Cによる酸化還元作用および殺菌作用をさらに促進し活発化できる。
【0024】
第2導光部43の底面に反射面47を備えた反射凹部48を凹み形成し、第2導光部43で案内される光を反射面47で毛屑室Rの天面側へ向かって反射すると、毛屑室Rの上側にある外刃11、内刃12、内刃ホルダー14などに向かって、積極的に光を照射できる。従って、とくに汚れが付着しやすい前記3者11・12・14に光触媒Cがコーティングされている場合には、酸化還元作用をより活性化でき、雑菌等が繁殖するのを防止できる。また、反射面47の指向方向により光の反射方向を自在に設定できるので、所望の方向へと光を反射させて出光面41から照射できる利点もある。
【0025】
第2導光部43に沿って複数の反射凹部48を形成し、反射凹部48の深さを、第1導光部42から遠ざかるのに伴って大きく形成すると、最初の反射面47で反射されずに案内される光は、次の反射面47で反射される。さらに反射されずに案内された光は、さらに次の反射面47で反射される。従って、第2導光部43で案内される光の一部を順次反射面47で反射させて出光面41から積極的に照射できるので、毛屑室Rにおける光の照射領域を拡大できる。
【0026】
複数の反射凹部48を互いに交差する状態で第2導光部43に沿って形成し、第2導光部43を軸心方向からみるとき、各反射凹部48の中心軸の位相が異なるように反射凹部48を凹み形成すると、凹み深さを変えずとも第2導光部43の軸方向の広い範囲にわたって光を積極的に照射できる。従って、拡散させた状態で出光面41から光を照射して、毛屑室Rにおける光の照射領域を拡大できる。また、反射凹部48を任意の角度で形成することで反射方向を設定できるので、所望の方向へと拡散させた状態で可視光を照射できる利点もある。
【0027】
導光体36は、第2導光部43の先端からヘッドベース10側に折り曲げられる第3導光部54を備える門形棒状に形成し、第3導光部54の先端面をヘッドベース10の表面に接触させると、第2導光部43の先端部が片持ち支持されないので、導光体36の構造強度を向上し、安定した状態で光を照射できる。
【0028】
第1導光部42の基端部と第3導光部54の先端部のそれぞれに入光面40を形成し、各入光面40に正対する状態で発光源35を配置すると、いずれか一方の導光体36にのみ発光源35を配置する場合に比べて、出光面41から照射される光の光量を増大させることができる。従って、毛屑室Rに臨む部材に光触媒Cがコーティングされていれば発光源35から照射される光を光触媒Cに向かってより的確に、しかもより効率よく照射でき、光触媒Cによる酸化還元作用および殺菌作用をさらに促進し活発化できる。
【0029】
第2導光部43に沿って、第2導光部43の基端から先端へと案内される光を毛屑室Rの天面側へ向かって反射する反射面47を備えた反射凹部48と、第2導光部43の先端から基端へと案内される光を毛屑室Rの天面側へ向かって反射する反射面47を備えた反射凹部48とを形成した。これによれば、個々の発光源35からの光を、それに対応する個々の反射面47で反射させることができるので、毛屑室Rに効果的に光を照射できる。
【0030】
第1導光部42の基端部および第3導光部54の先端部をかみそりヘッド2のヘッドベース10に固定すると、導光体36をより強固に安定よく設けることができる。また、導光体36の両入光面40を毛屑室Rの外部に臨ませやすく、入光面40に正対するように発光源35を配置することが容易となるので、電気かみそりの構造を簡素化できる。
【0031】
毛屑室Rに突出する往復駆動構造の振動子18の駆動軸21に、同軸21を上下に貫通する状態で導光体36を装着し、少なくとも内刃12の表面にコーティングした光触媒Cを、導光体36の上端の出光面41から照射した光で励起するようにした。こうした電気かみそりによれば、従来からある往復動式の電気かみそりの構造を大きく変更する必要もなく、毛屑室Rの下方に配置した発光源35から照射される光を、内刃12の表面の光触媒Cに向かって照射できる。また、毛屑室R内の構造が複雑な電気かみそりであっても、発光源35から照射される光を光触媒Cに向かって的確に、しかも効率よく照射できる。さらに、左右方向に往復駆動される駆動軸21に導光体36を装着することで、切断された毛屑等を振動で振るい落とすことができるので、導光体36の出光面41上に毛屑等が溜まるのを解消でき、従って、毛屑等によって光の照射が阻害されるのを防止できる。
【0032】
ホルダー枠28の前後の枠に内刃12を逆U字状に保持し、導光体36の一部がホルダー枠28の内部に進入する状態で、導光体36の出光面41をホルダー枠28の下端より上方に位置させるようにした。これによれば、内刃ホルダー14に遮られることなく、光を近接した位置からホルダー枠28の内面や内刃12の表面に向かって的確に照射できる。従って、内刃12や内刃ホルダー14にコーティングされた光触媒Cの励起を促進し、光触媒Cによる酸化還元作用を活性化できる。従って、内刃12や内刃ホルダー14にコーティングされた光触媒Cの励起を促進し、光触媒Cによる酸化還元作用を活性化できる。
【0033】
発光源35へ向かって先広がり状に導光体36の基端部を形成し、入光面40の面積を、入光面40における発光源35の照射領域よりも大きく、かつ導光体36の断面面積より大きく形成した。これによれば、発光源35から照射される光を漏れなく入光面40で受光して、導光体36を介して光を照射することによる光量の損失を小さくできる。振動子18の駆動軸21に導光体36が装着される場合には、駆動軸21の往復駆動により入光面40が左右に移動しても、発光源35から照射される光を漏れなく入光面40で受光できる。
【0034】
導光体36を兼ねる駆動軸21と、駆動軸21を往復揺動自在に支持する揺動軸65とを備えるように振動子18を構成し、揺動軸65の近傍に、導光体36の入光面40と発光源35を設けた。これによれば、駆動軸21が往復揺動しても入光面40の位置が大きく移動することがないので、発光源35から照射される光を安定よく入光面40で受光して、出光面41から光を光触媒Cに向かって照射することができる。
【0035】
発光源35が電気かみそりの作動状態を表示する表示手段を兼ねていると、外刃11から漏れ出る発光源35の光の色や点灯状態で電気かみそりの電池残量や運転モードを表示することができ、別途作動状態表示専用の光源等を設ける必要がない分、構造を簡素化して電気かみそりの全体コストを低減することができる。なお、かみそりヘッド2はユーザーの視界に入りやすい部分であり、さらに電気かみそりを握る手などで覆われることがないので、電気かみそりの作動状態をユーザーに確実に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施例1に係る電気かみそりの要部の縦断正面図である。
図2】本発明の実施例1に係る電気かみそりの一部破断正面図である。
図3図1におけるA―A線断面図である。
図4】本発明の実施例2に係る電気かみそりの要部の縦断正面図である。
図5】本発明の実施例3に係る電気かみそりの要部の縦断正面図である。
図6】本発明の実施例4に係る電気かみそりにおける導光体を示す正面図およびX−X線断面図である。
図7】本発明の実施例5に係る電気かみそりの要部の縦断正面図である。
図8】本発明の実施例6に係る電気かみそりの縦断側面図である。
図9】本発明の実施例7に係る電気かみそりの縦断側面図である。
図10】本発明の実施例8に係る電気かみそりの縦断側面図である。
図11】本発明の実施例9に係る電気かみそりの縦断側面図である。
図12】本発明の実施例10に係る電気かみそりの縦断側面図である。
図13】本発明の実施例11に係る電気かみそりの要部の縦断正面図である。
図14】本発明の実施例12に係る電気かみそりの要部の縦断正面図である。
図15】本発明の実施例13に係る電気かみそりの縦断正面図である。
図16】本発明の実施例14に係る電気かみそりの縦断正面図である。
図17】本発明の実施例15に係る電気かみそりの縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(実施例1) 図1から図3は、本発明に係る電気かみそりの実施例1を示す。本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後・左右・上下の表記に従う。図2図3において電気かみそりは、グリップを兼ねる四角箱状の本体ケース1と、本体ケース1の上側に配置したかみそりヘッド2とを備えている。本体ケース1の内部には、モーター3と、電気かみそりの電源となる二次電池4と、電気かみそりの動作を制御する制御基板5などの電装品が配置されている。本体ケース1の前面には、モーター3への給電状態をオンオフする上下スライド式のスイッチノブ6が設けられている。
【0038】
図1および図2に示すように、本体ケース1の上壁は、かみそりヘッド2のヘッドベース10を兼ねている。かみそりヘッド2には、外刃11と、下方から外刃11の内面に摺接してひげをせん断する内刃12が前後に二組配置されており、切断された毛屑や皮脂などは、かみそりヘッド2に設けられる毛屑室Rに収容される。外刃11には一群の刃穴が形成されており、各外刃11は四角枠状の外刃ホルダー13でアーチ状に保持されている。外刃ホルダー13は、ヘッドベース10で支持されており、ヘッドベース10に対して上下方向に着脱自在に装着されている。内刃12には一群のスリット刃が形成されており、内刃ホルダー14に逆U字状に保持されている。毛屑室Rは、ヘッドベース10と、外刃11、および外刃ホルダー13とで区画されており、その内部に内刃12、および内刃12を保持する内刃ホルダー14を備える。
【0039】
図2に示すように内刃12は、モーター3の回転動力を往復動力に変換して伝動する、往復駆動構造で左右方向に往復駆動される。図2に示すように往復駆動構造は、毛屑室Rの下方の本体ケース1の内部に設けられており、モーター3の出力軸に固定される偏心カム17と、偏心カム17を間にして配置される前後一対の振動子18・18などで構成されている。偏心カム17は、位相位置が180度異なる上下一対の偏心ピン19・19を備えている。振動子18は、門形の振動枠20と、振動枠20の上面中央から上向きに突設される駆動軸21と、振動枠20の左右両端から連出される一対の弾性脚22などを一体に備えたプラスチック成形品からなる。振動枠20は、偏心カム17から駆動力を受けるための受動カム23を一体に備えており、受動カム23は、偏心カム17へ向かって水平に張出し形成されている。両受動カム23は、偏心カム17の偏心ピン19と係合するスリット状のカム溝を備えている。モーター3の回転動力は偏心カム17と受動カム23とで往復動力に変換される。
【0040】
振動子18は、一対の弾性脚22の先端が本体ケース1で保持され、駆動軸21がヘッドベース10に設けた開口24を上下に貫通するように配置されており、駆動軸21の上半部が毛屑室Rに突出している。駆動軸21と開口24との間には、シール体25が設けられて本体ケース1内へ毛屑等が侵入するのを防止している。駆動軸21の先端は二股状に形成されて、内刃ホルダー14が連結されるようになっており、これにて、駆動軸21介して往復動力が内刃ホルダー14に伝動されて、内刃12は左右方向に往復駆動される。
【0041】
内刃ホルダー14は四角枠状のホルダー枠28と、ホルダー枠28の前後の枠の下端から下方に延設される前後一対のスカート壁29と、ホルダー枠28の前後の枠、および一対のスカート壁29の左右中央を連結する連結リブ30とを一体に備えたプラスチック成型品からなる。内刃12は、その前後縁部がホルダー枠28の前後の枠の外面に固定されている。内刃ホルダー14は、連結リブ30が駆動軸21の先端で挟み込まれるように連結されており、駆動軸21と連結リブ30との間に設けた押上げばね31で、押上げ付勢されている。これにより、内刃12は、外刃11の内面に密着するように押し付けられている。
【0042】
図3に示すように内刃12には、その内面およびスリット刃内面に光触媒Cがコーティングされている。本実施例における光触媒Cは、可視光線波長領域の電磁波(可視光)で励起される可視光応答型光触媒を使用しており、可視光が照射されることにより光触媒Cが励起されて酸化還元作用を発揮する。また、内刃ホルダー14は、後述する導光体36の出光面41から照射される可視光をよく反射させるために、明度の高い色(例えば白色や明灰色)に着色している。
【0043】
光触媒Cを励起するために、毛屑室Rの下方の本体ケース1の内部に可視光(光)を照射するLED(発光源)35が設けられている。本実施例の電気かみそりにおいては、LED35は、紫色に発光する単色LEDを使用しており、LED35から照射された可視光は導光体36を介して光触媒Cに照射されるように構成している。具体的には、図1に示すように、ヘッドベース10に臨む本体ケース1の内部に、可視光を照射するLED35が配置され、毛屑室Rの内部に、LED35から照射された可視光を光触媒Cへ向かって案内する導光体36が配置されている。導光体36は透明なプラスチック成型品からなり、例えばアクリル、ポリカーボネート、ナイロンなどの透明度の高いプラスチック素材を使用することが好適である。なお、LED35は紫色に発光する単色LEDに限らず赤色、青色、緑色などに発光する単色LEDを使用してもよいし、多色発光が可能なフルカラーLEDを使用してもよい。
【0044】
LED35は、ヘッドベース10に設けた上下に貫通する通光孔37の下部に上向きに差込み固定されている。導光体36は、その基端部がヘッドベース10に設けた通光孔37の上部に差込み固定されており、発光源35と正対する導光体36の端部に入光面40が形成されている。これにより、LED35と入光面40とが正対するように配置され、LED35から照射され入光面40で受光された可視光は、光触媒Cに臨む導光体36の棒状表面に形成された出光面41から照射される。
【0045】
図1に示すように導光体36は、ヘッドベース10側から外刃11側(上下方向)へと可視光を案内する第1導光部42と、第1導光部42に対して折り曲げられて、左右(水平)方向へ可視光を案内する第2導光部43とで構成される屈曲棒状に形成されている。先の入光面40は第1導光部42の基端面に形成されている。第1導光部42および第2導光部43は、ともに直線状に形成されており、その断面は長方形状に形成されている。折り曲げられた屈曲部分には、第1導光部42で案内された可視光を第2導光部43へと反射案内する屈折ガイド面44が設けられている。第1導光部42に対して第2導光部43は、90度に折り曲げられており、屈折ガイド面44は第1導光部42の中心軸に対して45度傾斜している。図2および図3に示すように、LED35および導光体36は、駆動軸21の左右に前後二組ずつ設けられている。
【0046】
上記のように、導光体36の基端部をかみそりヘッド2のヘッドベース10に固定すると、構造強度の大きなヘッドベース10で導光体36を支持するので、強固に安定よく導光体36を固定できる。また、後述する第1導光部42の基端の入光面40を毛屑室Rの外部に臨ませやすく、入光面40に正対するようにLED35を配置することが容易となるので、電気かみそりの構造を簡素化できる。
【0047】
LED35から照射された可視光が、入光面40で受光されると、導光体36内を直進、あるいは反射しながら案内される。このとき、第1導光部42の棒状表面は、可視光のほとんどを反射案内する導光面として作用し、第1導光部42の棒状表面から漏れ出る可視光は僅かであり、可視光の大半は第2導光部43の棒状表面から照射される。従って、第2導光部43の棒状表面が出光面41として機能し、出光面41は外刃11とヘッドベース10の間に位置されている。なお、可視光をより効果的に出光面41から照射するために、第1導光部42の棒状表面や出光面41としたくない第2導光部43の棒状表面の一部に被覆層を形成することができる。このように、被覆層を設けることにより、より多くの可視光を出光面41から照射できる。また、第1導光部42の形状を変更して第1導光部42の棒状表面に出光面41を設けることができる。この場合には、可視光の照射領域を拡大することができ、例えば外刃ホルダー13の内面に光触媒がコーティングされた電気かみそりにおいては、光触媒Cの励起を促進できる。
【0048】
上記のように第1導光部42と第2導光部43とで構成した導光体36によれば、毛屑室Rの下方に配置されたLED35から照射される光を第1導光部42で外刃11へと近づくように案内し、次いで水平方向へ伸びる第2導光部43の出光面41から照射できるので、外刃11や内刃12に近接した位置において、光を照射できる。従って、可視光を内刃12の表面にコーティングされた光触媒Cに向かって的確に、しかも効率よく照射でき、光触媒Cの励起を促進できる。
【0049】
第2導光部43における出光面41において、毛屑室Rの天面側により多くの可視光を出光面41から照射するため、図1に示すように第2導光部43の底面に、反射面47を備えた反射凹部48が凹み形成されている。本実施例においては、第2導光部43に沿って三角形状の切欠きで構成された3個の反射凹部48が形成されており、反射凹部48の深さは、第1導光部42から遠ざかるのに伴って大きく形成されている。具体的には、第1導光部42から遠ざかるのに伴ってより大きな三角形状の切欠きが形成されている。このように、第2導光部43に反射凹部48を設けることで、第2導光部43で案内される可視光は反射面47で上向きに反射され、出光面41から毛屑室Rの天面側へ向かって照射される。
【0050】
上記のように、第2導光部43で案内される可視光を反射凹部48の反射面47で毛屑室Rの天面側へ向かって反射すると、毛屑室Rの上側にある外刃11、内刃12、内刃ホルダー14などに向かって、積極的に可視光を照射できる。従って、汚れが付着しやすい内刃12の表面にコーティングされた光触媒Cの酸化還元作用をより活性化でき、雑菌等が繁殖するのを防止できる。また、反射面47の指向方向により可視光の反射方向を自在に設定できるので、所望の方向へと可視光を反射させて出光面41から照射できる利点もある。
【0051】
また、第2導光部43に沿って複数の反射凹部48を形成し、反射凹部48の深さを、第1導光部42から遠ざかるのに伴って大きく形成すると、最初の反射面47で反射されずに案内される可視光は、次の反射面47で反射される。さらに反射されずに案内された可視光は、さらに次の反射面47で反射される。従って、第2導光部43で案内される可視光の一部を順次反射面47で反射させて出光面41から積極的に照射できるので、毛屑室Rにおける光の照射領域を拡大できる。
【0052】
図1に示すように、第1導光部42の上部、および第2導光部43の全部は、ホルダー枠28の内部に進入する状態で設けられており、出光面41はホルダー枠28の下端より上方に位置している。導光体36のホルダー枠28の内部に進入している部分と、ホルダー枠28とは、内刃12が左右方向に往復駆動された際にも、両者28・36が接触しないようクリアランスが設けられている(図3参照)。このように、第1導光部42の上部、および第2導光部43の全部がホルダー枠28の内部に進入する状態で、導光体36の出光面41をホルダー枠28の下端より上方に位置させるようにすると、内刃ホルダー14に遮られることなく、可視光を近接した位置から内刃12の内面およびスリット刃内面の光触媒Cに向かって的確に照射することができるので、光触媒Cの励起を促進し、光触媒Cによる酸化還元作用を活性化できる。
【0053】
LED35は、スライドノブ6を上向きにスライド操作してモーター3が駆動されると点灯され、モーター3の駆動中は常時点灯している。髭剃りが終了しスライドノブ6を下向きにスライド操作してモーター3を停止したのちも、LED35は点灯が継続される。これにより、光触媒Cによる酸化還元作用は動作停止後も発揮され、毛屑室R内の有機物を充分に分解して毛屑室Rを清潔に保ち、雑菌等が繁殖するのを防止できる。LED35は、所定時間(例えば10分)点灯を継続したのち消灯する。なお、モーター3への給電状態をオンオフするスイッチノブ6とは別に、LED35を駆動する専用スイッチを設けてもよい。この場合には、LED35専用スイッチの切り忘れを防止するために、モーター3の停止後所定時間が経過した時点で、LED35を強制的に消灯するように制御する。
【0054】
導光体36を介して毛屑室R内へ照射された可視光は、その一部が外刃11の刃穴から漏れ出すので、毛屑室R内が照明されているのを視認することができる。これを利用して、本実施例のLED35は、二次電池4の残量を表示するようにしている。例えば、二次電池4の残量が20%を超えている場合には、LED35は常時点灯させる。電気かみそりの動作に伴い二次電池4の残量が20%を下回った場合には、例えば5秒間隔で0.5秒間消灯するようにLED35を断続的に駆動する。さらに二次電池4の残量が10%を下回った場合には、先より消灯間隔が短い、例えば2秒間隔で0.5秒間消灯するようにLED35を断続的に駆動する。このように、LED35の点灯状態を変化させることで二次電池4の残量を表示でき、ユーザーに充電を促すことができる。また、フルカラーLEDを使用した場合には、例えは青、緑、赤などの発光色で残量を表示することができる。
【0055】
上記のように、LED35が電気かみそりの二次電池4の残量を表示する表示手段を兼ねていると、外刃11の刃穴から漏れ出るLED35の光の色や点灯状態で電気かみそりの電池残量を表示することができ、別途残量表示用の光源等を設ける必要がない分、構造を簡素化して電気かみそりの全体コストを低減することができる。なお、かみそりヘッド2はユーザーの視界に入りやすい部分であり、さらに電気かみそりを握る手などで覆われることがないので、電気かみそりの電池残量をユーザーに確実に認識させることができる。なお、運転モードの変更機能を備えた電気かみそりの場合には、二次電池4の残量表示に限らず、LED35の点灯状態で現在の運転モードを表示するモード表示として用いてもよい。また、LED35にフルカラーLEDを使用した場合には、点滅に加え、発光色によっても電気かみそりの作動状態を表示できる。
【0056】
本実際例では、駆動軸21の左右に、前後二組のLED35および導光体36を設けたが、外刃11および内刃12の配置個数の増減に対応して、LED35および導光体36の配置数を増減させることができる。第1導光部42は、上下方向に沿う必要はなく、上下方向に対して前後あるいは左右に傾倒していてもよい。同様に、第2導光部43は、上下あるいは前後に傾倒していてもよい。
【0057】
(実施例2) 図4は本発明に係る電気かみそりの実施例2を示す。本実施例では、通光孔37がL字状に設けられて、LED35が横向きに差込み固定されている点が実施例1と異なる。これに伴い、導光体36の入光面40は第1導光部42の基端部の右側面に設けられており、第1導光部42の基端面に左右方向に対して45度傾斜する基端ガイド面49が形成されている。入光面40で受光された可視光は、基端ガイド面49で上向きに反射され第1導光部42で案内される。このように、入光面40は第1導光部42の基端面に設ける必要はなく、第1導光部42の基端部(導光体36の端部)に設けてあればよい。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の説明においても同じとする。
【0058】
(実施例3) 図5は本発明に係る電気かみそりの実施例3を示す。本実施例では、第1導光部42は、第2導光部43に連続する側で集合する2個(複数)の分岐導光部50・50で二股状に構成されており、それぞれの分岐導光部50・50の基端面に入光面40が設けられている点が実施例1と異なる。LED35は、各入光面40に正対するように配置されている。このように、第2導光部43に連続する側で集合する2個の分岐導光部50で第1導光部42を構成し、各分岐導光部50の基端面に入光面40を設けると、出光面41から照射される光の光量を増大させることができるので、LED35から照射される可視光を内刃12にコーティングした光触媒Cに向かってより的確に、しかもより効率よく照射でき、光触媒Cによる酸化還元作用および殺菌作用をさらに促進し活発化できる。
【0059】
(実施例4) 図6は本発明に係る電気かみそりの実施例4を示す。本実施例では、第2導光部43の断面を円形状に形成する点と、反射凹部48の構造を変更する点が実施例1と異なる。第2導光部43には、同導光部43に沿って3個の反射凹部48が互いに交差する状態で形成されており、第2導光部43を軸心方向からみるとき、各反射凹部48の中心軸の位相が異なるように反射凹部48が凹み形成されている。具体的には、中心軸が上下方向に沿うように設けられた中央の反射凹部48に対して、第1導光部42側の反射凹部48の中心軸は45度前傾しており、第2導光部43先端側の反射凹部48の中心軸は45度後傾している。このように、導光体36の断面形状は全体で一様でなくてもよく、導光体36の中途部で断面形状が変化してもよい。
【0060】
上記のように、3個の反射凹部48を互いに交差する状態で第2導光部43に沿って形成し、第2導光部43を軸心方向からみるとき、各反射凹部48の中心軸の位相が異なるように反射凹部48を凹み形成すると、凹み深さを変えずに第2導光部43の軸方向の広い範囲にわたって可視光を積極的に照射できる。さらに、反射面47を僅かに前後方向に向くよう傾斜させることで周方向にも可視光を照射でき、周方向の広い範囲にわたって可視光を照射できる。従って、拡散させた状態で出光面41から可視光を照射して、毛屑室Rにおける可視光の照射領域をさらに拡大できる。また、反射凹部48を任意の角度で形成することで反射方向を設定できるので、所望の方向へと拡散させた状態で可視光を照射できる利点もある。
【0061】
(実施例5) 図7は本発明に係る電気かみそりの実施例5を示す。本実施例では、第2導光部43の反射凹部48を廃し、第2導光部43にレーザー彫刻で多数の微小気泡51が形成した点が実施例1と異なる。第2導光部43の先端下側(導光体36の先端)には、先端側に向かって上り傾斜する先端反射面52が設けられており、第2導光部43の先端まで案内された可視光は先端反射面52で上向きに反射されて、出光面41から毛屑室Rの天面側に向かって照射される。このように、第2導光部43に微小気泡51を形成すると、第2導光部43で案内される可視光を微小気泡51の表面で多方向に反射させることができ、広く拡散する状態で可視光を照射することができる。また、第2導光部43の先端に、先端反射面52を設けると、第2導光部43の先端まで案内された可視光が、第1導光部42側に戻るように反射するのを阻止して、さらに積極的に出光面41から可視光を照射できる。
【0062】
上記の各実施例においては、直線状の第1導光部42と第2導光部43で構成される導光体36を屈曲棒状に形成したが、第1導光部42と、第1導光部42に対して折り曲げられる第2導光部43の全体が、湾曲状に連続する例えば四分円弧形状の湾曲棒状に形成されていてもよい。
【0063】
(実施例6) 図8は本発明に係る電気かみそりの実施例6を示す。本実施例では、導光体36は実施例1と同様であるが、第2導光部43が前後方向に沿うように設けられて、可視光を前後(水平)方向に案内する点が実施例1と大きく異なる。毛屑室Rの内部には、2個の導光体36が互いに逆向きに配置されており、各導光体36の第2導光部43の先端面どうしが密着している。これにより、2個の導光体36が門型に配置されている。前後の導光体36は、第1導光部42の基端部がそれぞれ通光孔37に差込まれてヘッドベース10に固定されており、各導光体36の入光面40に正対するように、それぞれLED35が配置されている。第2導光部43は、ホルダー枠28の下端より下方に配置されている。
【0064】
上記のように、毛屑室Rの内部に配置した2個の導光体36を、各導光体36の先端面どうしが密着する状態で固定すると、導光体36が互いに支え合うことで第2導光部43が第1導光部42で片持ち状に支持されるのを解消して、導光体36の構造強度を向上し、安定した状態で光を照射できる。また、2個の導光体36の入光面40のそれぞれに正対する状態でLED35を配置すると、いずれか一方の導光体36にのみLED35を配置する場合に比べて、出光面41から照射される可視光の光量を増大させることができる。従って、LED35から照射される可視光を内刃12にコーティングされた光触媒Cに向かってより的確に、しかもより効率よく照射でき、光触媒Cによる酸化還元作用および殺菌作用をさらに促進し活発化できる。
【0065】
(実施例7) 図9は本発明に係る電気かみそりの実施例7を示す。本実施例では、導光体36を略横臥S字状の湾曲棒状に形成した点が実施例6と大きく異なる。導光体36は、湾曲部分の中途部に反射凹部48が切欠き形成されており、先端の下半部に先端反射面52が設けられている。導光体36の基端部は直線棒状に形成されている。前側の導光体36は、ヘッドベース10に設けた通光孔37に直線棒状部分が差込み固定されており、後側の導光体36は、ヘッドベース10に設けた有底の固定孔53に直線棒状部分が差込み固定されている。LED35は、前側(一方)の導光体36の入光面40に正対するように配置されている。本実施例では、前側(一方)の導光体36にのみLED35を配したが、前側の導光体36で案内された可視光の一部は、後側の導光体36の先端面を介して、前側の導光体36から後側の導光体36へと入射するので、可視光は、両導光体36の出光面41から照射される。このように、導光体36は湾曲棒状に形成してあってもよい。
【0066】
(実施例8) 図10は本発明に係る電気かみそりの実施例8を示す。本実施例は実施例6に近似しているが、導光体36を門型棒状に構成した点が異なる。導光体36は、第1導光部42、第2導光部43に加え、第2導光部43の先端から下向きに折り曲げられる第3導光部54を備えている。導光体36は、第2導光部43が前後方向に沿うように配置されており、第1導光部42の下端および第3導光部54の下端が、ヘッドベース10に固定されている。第2導光部43には、その前半部側に第2導光部43の基端から先端へと案内される光を毛屑室Rの天面側へ向かって反射する反射面47を備えた反射凹部48が設けられ、その後半部側に第2導光部43の先端から基端へと案内される光を毛屑室Rの天面側へ向かって反射する反射面47を備えた反射凹部48が設けられている。入光面40は、第1導光部42の基端部と第3導光部54の先端部に設けられている。
【0067】
上記のように、導光体36は第3導光部54を設けて門型棒状に形成してあってもよく、その両下端をヘッドベース10に固定することにより、第2導光部43の先端部が片持ち支持されないので、導光体36の構造強度を向上し、安定した状態で光を照射できる。個々のLED35からの光を、それに対応する個々の反射面47で反射させることができるので、毛屑室Rに効果的に光を照射できる。
【0068】
(実施例9) 図11は本発明に係る電気かみそりの実施例9を示す。本実施例は実施例7に近似しているが、上記実施例8と同様に第3導光部54を設けて、導光体36を略M字形状の門型棒状に構成した点が異なる。導光体36は、第1導光部42の基端部に入光面40が設けられてヘッドベース10に固定されており、第3導光部54の先端面はヘッドベース10の表面に密着状に接触させている。このように、導光体36の一端をヘッドベース10に固定し、他端をヘッドベース10の表面に接触させた場合でも、導光体36が片持ち支持されないので、安定した状態で可視光を照射できる。
【0069】
(実施例10) 図12は本発明に係る電気かみそりの実施例10を示す。本実施例では、第1導光部42、第2導光部43、および第3導光部54の全体が連続する湾曲状に形成されて、導光体36が半楕円弧形状に形成されている点が実施例8と異なる。第2導光部43の下面には、支持軸70が下向きに延設されており、導光体36は、支持軸70がヘッドベース10の表面に設けた支持ボス71で支持されて、ヘッドベース10に固定されている。固定された状態の導光体36は、第1導光部42の基端面と、第3導光部54の先端面とがヘッドベース10の表面に密着状に接触している。支持軸70の前後の第2導光部43には、それぞれ反射凹部48が凹み形成されている。本実施例においては、毛屑室Rの下方に設けられるLED35は、その上端部が毛屑室R内へと突出している。入光面40は第1導光部42の基端面に凹み形成されており、LED35の毛屑室R内への突出部分は、前記入光面40の凹みに侵入して、第1導光部42の基端部で覆われている。LED35の突出部分を第1導光部42の基端部で覆うことにより、LED35の突出部分が毛屑で覆われるのを防止している。なお、導光体36は半円弧形状に形成することもできる。
【0070】
上記実施例9および実施例10のように、門型棒状の導光体36とは、実施例8に示す矩形形状に限らず、M字形状、半楕円弧形状、半円弧形状などに形成された導光体36をも含むものである。毛屑室Rの下方に設けられるLED35とは、LED35の全体が毛屑室Rの下方、換言すれば、ヘッドベース10の表面より下側に設けられる形態だけでなく、LED35の一部が毛屑室Rに突出する形態をも含むものである。LED35の一部が毛屑室Rに突出する場合には、突出部分を導光体36で覆うことが好ましい。
【0071】
(実施例11) 図13は本発明に係る電気かみそりの実施例11を示す。本実施例では、導光体36の第2導光部43が左右方向に沿うように配置されている点が実施例8と異なる。入光面40は第1導光部42の基端部に設けられており、第2導光部43には、その前半部側に第2導光部43の基端から先端へと案内される光を毛屑室Rの天面側へ向かって反射する反射面47を備えた反射凹部48が設けられている。なお、実施例8と同様に、第3導光部54の先端部にも入光面40を設けてLED35を配置してもよい。
【0072】
(実施例12) 図14は本発明に係る電気かみそりの実施例12を示す。本実施例では、導光体36が直線棒状に構成されている点が、実施例1と大きく異なる。導光体36は断面円形に形成されており、上下方向に対して僅かに右側に傾倒する状態で設けられている。導光体36の中途部の棒状表面は、導光面として作用しており、導光体36の先端が先窄まり状に形成されて、円錐形状の出光面41が設けられている。また、導光体36の基端部は先広がり状に形成されており、入光面40の面積は、入光面40におけるLED35の照射領域よりも大きく、かつ導光体36の断面面積より大きく形成されている。導光体36の先端部は、ホルダー枠28の内部に進入する状態で、ホルダー枠28の下端より上方に位置している。導光体36は、その基端部がヘッドベース10の通光孔37に固定され、LED35は本体ケース1に設けた固定座55に固定されている。なお、先述したとおり、外刃ホルダー13の内面に光触媒Cがコーティングされている場合には、導光体36の中途部にも出光面41を設けてもよい。
【0073】
上記のように、LED35へ向かって先広がり状に導光体36の基端部を形成し、入光面40の面積を、入光面40におけるLED35の照射領域よりも大きく、かつ導光体36の断面面積より大きく形成すると、LED35から照射される可視光を漏れなく入光面40で受光して、導光体36を介して可視光を照射することによる光量の損失を小さくできる。また、導光体36の入光面40部分を大きく形成することで、他の導光体36部分の占めるスペースを小さくした状態で毛屑室R内に導光体36を配置できる。
導光体36の出光面41を円錐形状に形成すると、出光面41に毛屑が溜まりにくく、出光面41から照射される可視光の光量の低下を可及的に防止できる。出光面41は錐体状であれば毛屑が溜まりにくいので、円錐形状に限らず、三角錐形状、四角錐形状、あるいは多角錐形状などであってもよい。
【0074】
先の実施例1〜11においても、出光面41の断面形状を三角形状に形成することで、実施例12と同様に、出光面41に毛屑が溜まりにくくすることができ、出光面41から照射される可視光の光量の低下を可及的に防止できる。この場合、第2導光部43は、その全体、あるいは上半部の断面形状が三角形状であればよい。上半部の断面形状を三角形状に形成した場合には、下半部の断面形状は、三角形状、四角形状、多角形状、あるいは半円形状であってもよい。
【0075】
(実施例13) 図15は本発明に係る電気かみそりの実施例13を示す。本実施例では、駆動軸21に、同軸21を上下に貫通する状態で2個の導光体36が装着されている点が実施例1と大きく異なる。導光体36は断面が円形状の直線棒状に形成されている。導光体36の基端部は駆動軸21の下面から突出しており、突出部分は先広がり状に形成されて基端面が円形の入光面40とされている。導光体36の先端面は部分球面状に形成されて出光面41とされている。LED35は、各入光面40に正対するように本体ケース1に設けた固定座55に固定されている。LED35から照射され入光面40で受光した可視光を、導光体36の上端の出光面41から照射して、内刃12の内面およびスリット刃内面の光触媒Cを励起させる。駆動軸21は受動カム23を一体に備えており、導光体36を内蔵して装着した分、その左右幅が大きく形成されている。入光面40の直径寸法は、駆動軸21が左右方向に往復駆動された場合でも、LED35が正対するよう充分大きく形成されており、LED35から照射される可視光を入光面40で的確に受光できる。
【0076】
上記のような電気かみそりによれば、従来からある往復動式の電気かみそりの構造を大きく変更する必要もなく、本体ケース1の内部に配置したLED35から照射される可視光を、内刃12の内面およびスリット刃内面の光触媒Cに向かって照射できる。また、毛屑室R内の構造が複雑な電気かみそりであっても、LED35から照射される可視光を光触媒Cに向かって的確に、しかも効率よく照射できる。さらに、左右方向に往復駆動される駆動軸21に導光体36を装着することで、切断された毛屑等を振動で振るい落とすことができるので、導光体36の出光面41上に毛屑等が溜まるのを解消でき、従って、毛屑等によって可視光の照射が阻害されるのを防止できる。導光体36の基端部を先広がり状に形成したので、駆動軸21の往復駆動により入光面40が左右に移動しても、LED35から照射される可視光を漏れなく入光面40で受光でき、導光体36を介して可視光を照射することによる光量の損失を小さくできる。
【0077】
(実施例14) 図16は本発明に係る電気かみそりの実施例14を示す。本実施例では、駆動軸21は振動枠20と別体で形成し、駆動軸21が導光体36を兼ねるように構成した点が実施例13と異なる。駆動軸21は、その下端部(基端部)が先広がり状に形成されており、振動枠20に下側から差込み固定されている。入光面40に正対するように、2個のLED35が本体ケース1に設けた固定座55に固定されている。本実施例においては、振動枠20およびシール体25で覆われていない駆動軸21の棒状表面全体が可視光の出光面41とされている。モーター3の出力軸には、1個の偏心ピン19を備える偏心カム17が固定されており、振動子18の振動枠20には、受動ピン60が下向きに突設されている。これら両ピン19・60を、両端に丸穴が形成された駆動アーム61で連結することにより、モーター3の回転動力が往復動力に変換されて、駆動軸21が左右方向に往復駆動される。
【0078】
(実施例15) 図17は本発明に係る電気かみそりの実施例15を示す。本実施例では、振動子18は、駆動軸21と、駆動軸21を往復揺動自在に支持する揺動軸65などで構成し、駆動軸21が導光体36を兼ねるようにした点が実施例13と大きく異なる。揺動軸65は、駆動軸21の下端部に設けられており、揺動軸65の近傍に導光体36の入光面40とLED35が設けられている。具体的には、入光面40は駆動軸21の下端面に設けられて下凸湾曲状に形成されており、LED35は、入光面40に正対するように本体ケース1に設けた固定座55に固定されている。モーター3の出力軸には、1個の偏心ピン19を備える偏心カム17が固定されており、駆動軸21の右側には、上下に長い長穴状の受動孔66が設けられている。偏心ピン19と受動孔66とは、本体ケース1でスライド案内される駆動軸67で連結されている。駆動軸67には、一端に偏心ピン19と係合する前後に長い長穴が形成され、他端に受動孔66と係合する前後に伸びるピンが形成されている。
【0079】
上記のように、導光体36を兼ねる駆動軸21と、往復揺動自在に支持する揺動軸65とで振動子18を構成し、揺動軸65の近傍に、導光体36の入光面40とLED35を設けると、駆動軸21が往復揺動しても入光面40の位置が大きく移動することがない。従って、LED35から照射される可視光を安定よく入光面40で受光して、出光面41から可視光を光触媒Cに向かって照射することができる。
【0080】
以上のように、本発明に係る電気かみそりにおいては、毛屑室Rの下方に光を照射するLED35を配置し、毛屑室Rに光を案内する導光体36を配置した。また、導光体36は棒状を呈する立体形状に形成して、LED35と正対する端部に入光面40を形成し、毛屑室Rに臨む棒状表面に出光面41を形成した。さらに、出光面41を外刃11とヘッドベース10の間に位置させた。こうした電気かみそりによれば、毛屑が溜まる毛屑室Rの底から離れた位置に出光面41を位置させることで、出光面41が毛屑で覆われるのを回避でき、入光面40で受光した光を導光体36で案内して出光面41から確実に照射できる。従って、毛屑室R内の構造に左右されることもなく、LED35から照射される光を毛屑室Rに向かって的確に、しかも効率よく照射でき、内刃12の表面にコーティングされた光触媒Cによる酸化還元作用により殺菌及び脱臭が可能となる。また、外刃11から漏れ出る光量を増すことができるので可視光を電気かみそりの作動状態を表示する表示手段やデザイン要素として取り入れることができる。
【0081】
上記の実施例では、可視光応答型光触媒を用いたが、紫外線波長領域の電磁波(紫外線)で励起される紫外応答型光触媒で構成することができる。その場合には、発光源35は紫外光を照射するLEDで構成する。紫外光を照射するLEDにおいては、光触媒Cを励起して酸化還元作用を発揮するほか、紫外光の殺菌作用で毛屑室R内の毛屑や皮脂の表面を殺菌できる。導光体36は、例えば屈曲棒状と湾曲棒状の異なる棒状形態を複合させた状態で形成してもよい。また、導光体36の断面形状は、上記実施例で示した丸形、四角形以外に、例えば楕円形、三角形、多角形、星形などに形成することができる。本発明はレシプロ式の電気かみそりに限らず、ロータリー式の電気かみそりにも適用できる。また、かみそりヘッド2がグリップで前後、左右、または上下にフロート支持されている形態の電気かみそりにも適用でき、この場合にはかみそりヘッド2のヘッドケース内に発光源35が配置される。
【符号の説明】
【0082】
2 かみそりヘッド
3 モーター
10 ヘッドベース
11 外刃
12 内刃
13 内刃ホルダー
18 振動子
21 駆動軸
28 ホルダー枠
35 発光源(LED)
36 導光体
40 入光面
41 出光面
42 第1導光部
43 第2導光部
47 反射面
48 反射凹部
54 第3導光部
65 揺動軸
C 光触媒
R 毛屑室
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
図11
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図17