(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブロック共重合体のAブロック中の芳香族基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および架橋性官能基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の合計含有率が、2質量%以下である請求項1に記載の着色感放射線性組成物。
前記脂環式アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率が、前記Aブロック100質量%中において20質量%〜70質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色感放射線性組成物。
前記Aブロックの含有率が、前記ブロック共重合体全体100質量%中において50質量%〜90質量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色感放射線性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0012】
<着色感放射線性組成物>
本発明の着色感放射線性組成物は、着色剤、分散剤、分散媒体、バインダー樹脂、架橋剤および光重合開始剤を含有する。前記分散剤は、脂環式アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および脂肪族アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を合計で80質量%以上含有するAブロックと、アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含有するBブロックとを有し、前記Bブロックにおけるハンセン溶解度パラメータの双極子間力項(δ
pB)と水素結合力項(δ
hB)との和(δ
pB+δ
hB)が、前記Aブロックにおけるハンセン溶解度パラメータの双極子間力項(δ
pA)と水素結合力項(δ
hA)との和(δ
pA+δ
hA)より大きいブロック共重合体である。また、前記着色感放射線性組成物において、前記分散剤のAブロックのハンセン溶解度パラメータとバインダー樹脂のハンセン溶解度パラメータとの距離(Ra)が1.0〜4.0である。
【0013】
本発明において、「Aブロック」は「Aセグメント」と言い換えることができ、「Bブロック」は「Bセグメント」と言い換えることができる。「ビニルモノマー」とは分子中にラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーである。「ビニルモノマーに由来する構造単位」とはビニルモノマーのラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合になった構造単位をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリレート」は「アクレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクロイル少なくとも一方」をいう。
【0014】
ハンセン溶解度パラメータ(Hansen solubility parameter,HSP)とは、Hansenらが提案した方法より算出される物質の溶解性の予測に用いられる値である。
【0015】
具体的には、HSPは下記式(数式(1))により算出された値である。数式(1)中、δはポリマーブロックのHSPを示す。δ
dはHSPのLondon分散力項を示す。δ
pはHSPの双極子間力項を示す。δ
hはHSPの水素結合力項を示す。
δ
2=δ
d2+δ
p2+δ
h2 (1)
【0016】
δ
d、δ
pおよびδ
hは、ポリマーブロックの構造単位を構成する原子団iの各モル引力乗数(F
di,F
pi,E
hi)およびモル体積V
iを用いて下記式(数式(2)〜(4))により算出された値である。
δ
d=ΣF
di/ΣV
i (2)
δ
p=(ΣF
pi2)
1/2/ΣV
i (3)
δ
h=(ΣE
hi/ΣV
i)
1/2 (4)
【0017】
代表的な原子団の各モル引力乗数(F
di,F
pi,E
hi)およびモル体積V
iを表1に示す。
【0019】
複数の構造単位を有するポリマーブロックは、そのポリマーブロックを構成する各構成単位それぞれの単独重合体のHSPを算出し、それらのHSPのそれぞれの構成単位のモル分率を乗じたものを合算して算出される。
【0020】
δ
d、δ
pおよびδ
hの3つのパラメータは3次元空間(ハンセン空間)における座標とみなすことができる。そして2つの物質のHSPをハンセン空間内に置いたとき、2点間の距離が近ければ近いほど互いに溶解または相溶しやすいことを示している。第一のポリマーのHSPと第二のポリマーのHSPの間の距離(Ra)は、下記式(数式(5))により算出できる。数式(5)中、δ
d1は第一ポリマーのHSPのLondon分散力項を示す。δ
p1は第一ポリマーのHSPの双極子間力項を示す。δ
h1は第一ポリマーのHSPの水素結合力項を示す。δ
d2は第二ポリマーのHSPのLondon分散力項を示す。δ
p2は第二ポリマーのHSPの双極子間力項を示す。δ
h2は第二ポリマーのHSPの水素結合力項を示す。
(Ra)
2=4(δ
d1−δ
d2)
2+(δ
p1−δ
p2)
2+(δ
h1−δ
h2)
2 (5)
【0021】
本発明の着色感放射線性組成物(以下、単に「着色組成物」という場合がある。)の各種構成成分等について以下に説明する。
【0022】
−1.着色剤−
本発明の着色組成物は、着色剤として顔料を含有する。顔料としては、有機顔料および無機顔料のいずれでもよいが、有機化合物を主成分とする有機顔料が特に好ましい。顔料としては、例えば、赤色顔料、黄色顔料、橙色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料等の各色の顔料が挙げられる。顔料の構造は、モノアゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合ジアゾ系顔料等のアゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キナクリドン系顔料、インディゴ系顔料、チオインディゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料等の多環系顔料等が挙げられる。着色組成物に含まれる顔料は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
【0023】
顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、122、123、146、149、168、177、178、179、187、200、202、208、210、215、224、254、255、264等の赤色顔料;C.I.Pigment Yellow 1、3、5、6、14、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、93、97、98、104、108、110、138、139、147、150、151、154、155、166、167、168、170、180、188、193、194、213等の黄色顔料;C.I.Pigment Orange 36、38、43等の橙色顔料;C.I.Pigment Blue 15、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60等の青色顔料;C.I.Pigment Green 7、36、58等の緑色顔料;C.I.Pigment Violet 23、32、50等の紫色顔料等が挙げられる。顔料は、これらの中でも、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 255、C.I.Pigment Red 264、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 58等が好ましい。
【0024】
本発明において、分散剤は、C.I.Pigment Yellow 138等のキノフタロン系黄色顔料を含む着色剤と共に使用することが好ましく、特にキノフタロン系黄色顔料とC.I.Pigment Green 58(臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン)を含む着色剤と共に使用することが好ましい。
【0025】
着色組成物における着色剤の含有量の上限値は、輝度の観点から、着色組成物の固形分全量中において、通常80質量%であり、70質量%であることが好ましく、60質量%であることがより好ましい。また、着色組成物における着色剤の含有量の下限値は、着色組成物の固形分全量中において、通常10質量%であり、20質量%であることが好ましく、30質量%であることがより好ましい。ここで固形分とは、後述する分散媒体以外の成分である。
【0026】
−2.分散剤−
本発明の着色組成物に用いる分散剤は、AブロックとBブロックとを有するブロック共重合体である。本発明で用いるブロック共重合体は、BブロックにおけるHSPの双極子間力項(δ
pB)と水素結合力項(δ
hB)との和(δ
pB+δ
hB)が、AブロックにおけるHSPの双極子間力項(δ
pA)と水素結合力項(δ
hA)との和(δ
pA+δ
hA)より大きい((δ
pB+δ
hB)>(δ
pA+δ
hA))ことを特徴とする。
【0027】
前記和(δ
pB+δ
hB)から和(δ
pA+δ
hA)を差し引いた値((δ
pB+δ
hB)−(δ
pA+δ
hA))は、0.4以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、3.0以下が好ましく、より好ましくは2.0以下である。分散剤と着色剤との吸着は、Bブロックと着色剤への酸塩基作用が主要因であるが、水素結合の影響を受けることも考えられる。そのため、BブロックのHSPの双極子間力項と水素結合力の和がAブロックのHSPの双極子間力項と水素結合力の和よりも大きいことで、着色剤とBブロックとが、さらに高い親和性を有すると考えられる。HSPの双極子間力項と水素結合力項との和は、AブロックおよびBブロックの各構造単位の種類およびモル分率を適宜選択することで調整することができる。
【0028】
また、AブロックのHSPと後述するバインダー樹脂のHSPとの距離(Ra)は1.0以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上であり、4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下である。Aブロックは、分散媒体に着色剤を溶解または相溶させ、かつ、Aブロックの立体反発や電気的性質により着色剤の凝集を防止する機能を示すと考えられる。さらに、Aブロックとバインダー樹脂とが相溶する考えられることから、前記距離を適切な距離に制御することで、着色剤同士の凝集および着色剤のバインダー樹脂への吸着を防止し、輝度が向上すると考えられる。前記距離(Ra)は、Aブロックおよびバインダー樹脂の各構造単位の種類およびモル分率を適宜選択することで調整することができる。
【0029】
以下、本発明の着色組成物に用いる前記ブロック共重合体の各種構成成分等について以下説明する。
【0030】
(2.1 Aブロック)
Aブロックは、脂環式アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および脂肪族アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位含有する。これらの脂環式アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および脂肪族アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の合計含有率は、Aブロック100質量%中において、80質量%以上であり、85質量%以上が好ましい。
【0031】
前記脂環式アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率は、Aブロック100質量%中において20質量%以上が好ましく、より好ましくは25質量%以上であり、70質量%以下が好ましく、より好ましくは65質量%以下である。
【0032】
前記脂環式アルキル基としては、それを構成する炭素数原子の数が、3以上が好ましく、より好ましくは6以上であり、20以下が好ましく、より好ましくは15以下である。前記脂環式アルキル基が有する環構造としては、単環、縮合環、橋かけ環、スピロ環のいずれでもよい。前記脂環式アルキル基は6員環以上の環構造を有することが好ましい。脂環式炭化水素基の具体例としては、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基等が挙げられる。輝度の観点から、この中でもシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロドデシル基等の単環構造の脂肪族アルキル基が好ましい。
【0033】
脂環式アルキル基を有するビニルモノマーとしては、脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーであることが好ましく、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
前記脂肪族アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率は、Aブロック100質量%中において10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%、さらに好ましくは30質量%以上であり、80質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。
【0035】
脂肪族アルキル基としては、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、それを構成する炭素原子の数が、1以上が好ましく、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0036】
脂肪族アルキル基を有するビニルモノマーとしては、脂肪式アルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーであることが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
前記Aブロックは、アルカリ現像性の観点から、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を有していることが好ましい。Aブロックが酸性基を有するブロック共重合体は、カラーレジスト用に有用である。前記酸性基としては、カルボキシ基(−COOH)、スルホン酸基(−SO
3H)、リン酸基(−OPO
3H
2)、ホスホン酸基(−PO
3H
2)、ホスフィン酸基(−PO
2H
2)が挙げられる。これらの酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を1種のみ有してもよいし、2種以上有していてもよい。
【0038】
前記酸性基を有するビニルモノマーとしては、カルボキシ基を有するビニルモノマー、スルホン酸基を有するビニルモノマー、またはリン酸基を有するビニルモノマーから選択される少なくとも1種が好ましい。これらの中でも好ましくは、カルボキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー、スルホン酸基を有する(メタ)アクリルモノマー、またはリン酸基を有する(メタ)アクリルモノマーから選択される少なくとも1種である。
【0039】
カルボキシ基を有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレアート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のヒドロキシ基を有するビニルモノマー(好ましくはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)に無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー;クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0040】
スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジスルホン酸エチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スルホン酸エチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0041】
リン酸基を有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−(ホスホノオキシ)エチル等が挙げられる。
【0042】
酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率は、Aブロック100質量%中において2質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であり、20質量%以下が好ましく、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは16質量%以下である。酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率が2質量%以上であればアルカリ現像において、アルカリで中和した際の溶解速度が速くなり、20質量%以下であれば親水性が高すぎず、形成される画素が乱雑になることを抑制できる。
【0043】
前記Aブロックは、脂環式アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位、脂肪族アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。
【0044】
Aブロックに含まれ得る他の構造単位は、脂環式アルキル基を有するビニルモノマー、脂肪族アルキル基を有するビニルモノマー、酸性基を有するビニルモノマーおよび後述のBブロックを形成するビニルモノマーと共重合し得るビニルモノマーにより形成されるものであれば特に制限はない。Aブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
Aブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、α−オレフィン、ヘテロ環を含有するビニルモノマー、ビニルアミド、カルボン酸ビニル、ジエン類、(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。これらのビニルモノマーはヒドロキシ基、エポキシ基を有していてもよい。
【0046】
α−オレフィンとしては、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。
ヘテロ環を含有するビニルモノマーとしては、2−ビニルチオフェン、N−メチル−2−ビニルピロール、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
ビニルアミドとしては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−ε−カプトラクタム等が挙げられる。
カルボン酸ビニルとしては、酢酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。
ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等が挙げられる。
【0047】
(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド;ポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物;アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0048】
(メタ)アクリルアミドとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0049】
ポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(n=1〜5)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=1〜5)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=1〜5)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=1〜5)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=1〜5)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=1〜5)プロピルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン1mol付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン2mol付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン3mol付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン4mol付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン5mol付加物等が挙げられる。
【0052】
アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0053】
Aブロックに含まれ得る他の構造単位を形成し得るビニルモノマーは、(メタ)アクリルモノマーが好ましく、ポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートおよびヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。Aブロックで使用し得る前記ビニルモノマーは、それぞれ1種または2種以上を使用することができる。
【0054】
Aブロック中の芳香族基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および架橋性官能基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の合計含有率は、2質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0質量%である。Aブロックは、芳香族基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および架橋性官能基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を実質的に含まないことが好ましい。ここで「実質的に含まない」とは、その含有率がAブロック100質量%中において0.1質量%以下であることを意味する。芳香族基を有することで黄色に着色しやすく輝度が低下するおそれがある。架橋性官能基を有することでバインダー樹脂と反応してバインダー樹脂との距離を適切な距離に制御できなくなるおそれがある。
【0055】
芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ベンジル基等が挙げられる。架橋性官能基としては、例えば、オキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等の含酸素飽和ヘテロ環基、エチレン性不飽和基、エピチオ基、(ジチオ)カーボナート基等が挙げられる。
【0056】
Aブロック中のアミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率は、2質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0質量%である。Aブロックにアミノ基が多量に存在すると、分散剤として使用した際に、着色剤がAブロックおよびBブロックの両方に吸着されてしまい、着色剤の分散性能が低下する。また、Aブロックは、アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を実質的に含まないことが好ましい。
【0057】
Aブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Aブロックに含有される各種構造単位は、Aブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等の何れの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Aブロックが、a1ブロックからなる構造単位とa2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
【0058】
(2.2 Bブロック)
Bブロックは、アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含有するポリマーブロックである。Bブロックは、アミノ基を有することから、着色剤との高い親和性を有し、着色剤または酸性基含有色素誘導体で処理された着色剤に吸着する機能を示すと考えられる。
【0059】
アミノ基を有するビニルモノマーとしては、従来公知のものが挙げることができ、好ましくはアミノ基を有する(メタ)アクリレートである。また、使用されるアミノ基の形態としては、第1級、第2級、第3級および第4級アンモニウム塩の形で使用される。
【0060】
第1級アミノ基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート;第2級アミノ基を有する(メタ)アクリレートとしては、イソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート;第3級アミノ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジシクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート;第4級アンモニウム塩を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのメチルクロライド塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのベンジルクロライド塩等を挙げることができる。
【0061】
Bブロックは、アミノ基を有するビニルモノマーのみであっても良いし、他の構造単位が含まれていてもよい。着色剤との親和性を保持する観点から、Bブロック中のアミノ基を有するビニルモノマーの合計含有率は、Bブロック100質量%中において80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは93質量%以上である。
【0062】
Bブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、Aブロックの他の構造単位を形成し得るビニルのモノマーの具体例として例示したものと同一のものを挙げることができる。また、Bブロックは、Aブロックが有する酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を実質的に有しないことが好ましい。Bブロック中の酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率は、2質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
【0063】
Bブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Bブロックに含有される各種構造単位は、Bブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等の何れの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Bブロックが、b1ブロックからなる構造単位とb2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
【0064】
(2.3 ブロック共重合体)
本発明で用いるブロック共重合体の構造は、線状ブロック共重合体であることが好ましい。また、線状ブロック共重合体は、いずれの構造(配列)であっても良いが、線状ブロック共重合体の物性、または組成物の物性の観点から、AブロックをA、BブロックをBと表現したとき、(A−B)
m型、(A−B)
m−A型、(B−A)
m−B型(mは1以上の整数、例えば1〜3の整数)よりなる群から選択される少なくとも1種の構造を持つ共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い性、組成物の物性の観点から、A−Bで表されるジブロック共重合体であることが好ましい。A−Bで表されるジブロック共重合体を構成することで、Aブロックに有する脂環式アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および脂肪族アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位と、Bブロックに有するアミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位とが局在化し、効率的に着色剤と、分散媒体、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂)と好適に作用することができると考えられる。
【0065】
Aブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。Bブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。AブロックおよびBブロックの含有率を、上記範囲内に調整することで、分散剤として使用した際の分散性能がより良好となる。
【0066】
ブロック共重合体の分子量は、ゲルパーミエーショングラフィー(以下「GPC」という)法により測定される。前記ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は3,000以上が好ましく、より好ましくは5,000以上、さらに好ましくは6,000以上であり、15,000以下が好ましく、より好ましくは12,000以下、さらに好ましくは10,000以下である。重量平均分子量が上記範囲内にあれば、分散剤として使用した際の分散性能がより良好となる。
【0067】
ブロック共重合体の分子量分布(PDI)は、2.0以下であることが好ましく、1.6以下であることより好ましい。なお、本発明において、分子量分布(PDI)とは、(ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw))/(ブロック共重合体の数平均分子量(Mn))によって求められるものである。PDIが小さいほど分子量分布の幅が狭い、分子量のそろった共重合体となり、その値が1.0のとき最も分子量分布の幅が狭い。本発明のブロック共重合体の分子量分布(PDI)が、2.0を超えると、分子量の小さいものや、分子量の大きいものが含まれることになる。
【0068】
ブロック共重合体のアミン価は、着色剤への吸着性および顔料分散性の観点から、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは20mgKOH/g以上、さらに好ましくは30mgKOH/g以上であり、200mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは150mgKOH/g以下、さらに好ましくは100mgKOH/g以下である。
【0069】
ブロック共重合体の酸価は、10mgKOH/g以上が好ましく、好ましくは60mgKOH/g以下である。酸価をこの範囲にすることで、ブロック共重合体の着色剤との親和性を損なうことなく、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂)と好適に作用することができる。
【0070】
着色組成物において、分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、200質量部以下が好ましく、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
【0071】
(2.3 ブロック共重合体の製造方法)
本発明で用いるブロック共重合体の製造方法としては、ビニルモノマーの重合反応によって、Aブロックを先に製造し、AブロックにBブロックのモノマーを重合する方法;Bブロックを先に製造し、BブロックにAブロックのモノマーを重合する方法;AブロックとBブロックとを別々に製造した後、AブロックとBブロックとをカップリングする方法;が挙げられる。
【0072】
重合法は特に限定されないが、リビングラジカル重合が好ましい。すなわち、本発明で用いるブロック共重合体としては、リビングラジカル重合を用いて重合されたものが好ましい。従来のラジカル重合法は、開始反応、成長反応だけでなく、停止反応、連鎖移動反応により成長末端の失活が起こり、様々な分子量、不均一な組成のポリマーの混合物となり易い傾向がある。前記リビングラジカル重合法は、従来のラジカル重合法の簡便性と汎用性を保ちながら、停止反応や、連鎖移動が起こりにくく、成長末端が失活することなく成長するため、分子量分布の精密制御、均一な組成のポリマーの製造が容易である点で好ましい。
【0073】
リビングラジカル重合法には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、遷移金属触媒を用いる方法(ATRP法);硫黄系の可逆的連鎖移動剤を用いる方法(RAFT法);有機テルル化合物を用いる方法(TERP法)等がある。ATRP法は、アミン系錯体を使用するため、酸性基を有するビニルモノマーの酸性基を保護しなければ、使用できない場合がある。RAFT法は、多種のモノマーを使用した場合、低分子量分布になりづらく、かつ硫黄臭や着色等の不具合がある場合がある。これらの方法の中でも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、均一な組成、あるいは着色の観点から、TERP法を用いることが好ましい。
【0074】
TERP法とは、有機テルル化合物を重合開始剤として用い、ラジカル重合性化合物(ビニルモノマー)を重合させる方法であり、例えば、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および、国際公開第2004/096870号に記載された方法である。
【0075】
TERP法の具体的な重合法としては、下記(a)〜(d)が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを、一般式(1)で表される有機テルル化合物を用いて重合する方法。
(b)ビニルモノマーを、一般式(1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤との混合物を用いて重合する方法。
(c)ビニルモノマーを、一般式(1)で表される有機テルル化合物と一般式(2)で表される有機ジテルル化合物との混合物を用いて重合する方法。
(d)ビニルモノマーを、一般式(1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤と一般式(2)で表される有機ジテルル化合物との混合物を用いて重合する方法。
【0076】
【化1】
〔一般式(1)において、R
1は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基を示す。R
2およびR
3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。R
4は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基またはプロパルギル基を示す。〕
【0077】
【化2】
〔一般式(2)において、R
1は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基を示す。〕
【0078】
R
1で表される基は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基や、シクロヘキシル基等の環状アルキル基を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
芳香族ヘテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができ
る。
【0079】
R
2およびR
3で表される基は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、各基は、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基や、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0080】
R
4で表される基は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基またはプロパルギル基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基またはエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。好ましくはフェニル基である。
置換アリール基としては、置換基を有しているフェニル基、置換基を有しているナフチル基等を挙げることができる。置換基を有しているアリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、−COR
41で示されるカルボニル含有基(R
41は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基またはアリーロキシ基)、スルホニル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、1個または2個置換しているのがよい。
芳香族ヘテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルキル基が酸素原子に結合した基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tet−ブトキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクチロキシ基等を挙げることができる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
アミド基としては、−CONR
421R
422(R
421、R
422は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基)を挙げることがきる。
オキシカルボニル基としては、−COOR
43(R
43は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基)で表される基が好ましく、例えばカルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、ter−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等を挙げることができる。好ましいオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が挙げられる。
アリル基としては、−CR
441R
442−CR
443=CR
444R
445(R
441、R
442は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、R
443、R
444、R
445は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基であり、それぞれの置換基が環状構造で繋がっていてもよい)を挙げることができる。
プロパルギル基としては、−CR
451R
452−C≡CR
453(R
451、R
452は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、R
453は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはシリル基)を挙げることができる。
【0081】
一般式(1)で表される有機テルル化合物は、具体的には(メチルテラニルメチル)ベンゼン、(メチルテラニルメチル)ナフタレン、エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート、エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート、(2−トリメチルシロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート、(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネートまたは(3−トリメチルシリルプロパルギル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート等、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および国際公開第2004/096870号に記載された有機テルル化合物の全てを例示することができる。
【0082】
一般式(2)で表される有機ジテルル化合物は、具体的には、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−s−ブチルジテルリド、ジ−t−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリドまたはジピリジルジテルリド等を例示することができる。
【0083】
アゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限なく使用することができる。例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)、2,2’−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、または2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等を例示することができる。
【0084】
前記(a)、(b)、(c)および(d)の重合法において、ビニルモノマーの使用量は、目的とする共重合体の物性により適宜調節すればよいが、通常、一般式(1)の有機テルル化合物1molに対しビニルモノマーを5〜10,000molとすることが好ましい。
前記(b)の重合法において、一般式(1)の有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤とを併用する場合、アゾ系重合開始剤の使用量としては、通常、一般式(1)の有機テルル化合物1molに対してアゾ系重合開始剤を0.01mol〜10molとすることが好ましい。
前記(c)の重合法において、一般式(1)の有機テルル化合物と一般式(2)の有機ジテルル化合物とを併用する場合、一般式(2)の有機ジテルル化合物の使用量としては、通常、一般式(1)の有機テルル化合物1molに対して一般式(2)の有機ジテルル化合物を0.01mol〜100molとすることが好ましい。
前記(d)の重合法において、一般式(1)の有機テルル化合物と一般式(2)の有機ジテルル化合物とアゾ系重合開始剤とを併用する場合、アゾ系重合開始剤の使用量としては、通常、一般式(1)の有機テルル化合物と一般式(2)の有機ジテルル化合物の合計1molに対してアゾ系重合開始剤を0.01mol〜100molとするのがよい。
【0085】
重合反応は、無溶媒でも行うことができるが、ラジカル重合で一般に使用される非プロトン性溶媒またはプロトン性溶媒を使用し、前記混合物を撹拌して行なってもよい。使用できる非プロトン性溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、ジオキサン、ヘキサフルオロイソプロパオール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはトリフルオロメチルベンゼン等を例示することができる。また、プロトン性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノールまたはジアセトンアルコール等を例示することができる。
【0086】
溶媒の使用量としては、適宜調節すればよく、例えば、ビニルモノマー1gに対して、0.01ml以上が好ましく、より好ましくは0.05ml以上、さらに好ましくは0.1ml以上であり、50ml以下が好ましく、より好ましくは10ml以下、さらに好ましくは1ml以下である。
【0087】
反応温度、反応時間は、得られる共重合体の分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、0〜150℃で、1分〜100時間撹拌する。TERP法は、低い重合温度および短い重合時間であっても高い収率と精密な分子量分布を得ることができる。
【0088】
重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により、目的とする共重合体を分離することができる。
重合反応により得られる共重合体の成長末端は、−TeR
1(式中、R
1は前記と同じである)の形態であり、重合反応終了後の空気中の操作により失活していくが、テルル原子が残存する場合がある。テルル原子が末端に残存した共重合体は着色したり、熱安定性が劣ったりするため、テルル原子を除去することが好ましい。
【0089】
テルル原子を除去する方法としては、トリブチルスタンナンまたはチオール化合物等を用いるラジカル還元方法;活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、モレキュラーシーブスおよび高分子吸着剤等で吸着する方法;イオン交換樹脂等で金属を吸着する方法;過酸化水素水または過酸化ベンゾイル等の過酸化物を添加したり、空気または酸素を系中に吹き込むことで共重合体末端のテルル原子を酸化分解させ、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留テルル化合物を除去する液−液抽出法や固−液抽出法;特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限界ろ過等の溶液状態での精製方法;を用いることができ、また、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。
【0090】
−3.分散媒体−
本発明の着色組成物は、分散媒体としては、着色組成物を構成する他の成分を分散または溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度に揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用できる。例えば従来公知の有機溶媒を使用することができ、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のグリコールアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート等のグリコールジアセテート類;シクロヘキサノールアセテート等のアルキルアセテート類;アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシプロパノール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の1価または多価アルコール類;n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシル等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類;アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等の鎖状または環状エステル類;3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸等のアルコキシカルボン酸類;ブチルクロライド、アミルクロライド等のハロゲン化炭化水素類;メトキシメチルペンタノン等のエーテルケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類等が挙げられる。有機溶媒は、着色剤等の分散性、分散剤の溶解性、着色組成物の塗布性等の観点から、グリコールアルキルエーテルアセテート類、1価または多価アルコール類であることが好ましい。着色組成物に含まれる溶媒は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
【0091】
着色組成物中の分散媒体の含有量は、特に限定されず、適宜調整することができる。着色組成物中の分散媒体の含有量の上限値は、通常99質量%である。また、着色組成物中の分散媒体の含有量の下限値は、着色組成物の塗布に適した粘度を考慮して、通常70質量%であり、75質量%であることが好ましい。上記分散媒体は、着色組成物から形成される析出物を溶解、除去するための溶媒として使用できる。
【0092】
−4.バインダー樹脂−
本発明の着色組成物は、バインダー樹脂(ただし、前記分散剤は除く)を含有する。これにより、着色組成物のアルカリ現像性や基板への結着性を高めることができる。このようなバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基等の酸性基を有する樹脂であることが好ましい。
【0093】
前記バインダー樹脂としては、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造単位と(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位とを含有するランダム共重合体が好ましい。前記カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸が好ましい。前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0094】
前記バインダー樹脂は、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造単位と(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位との合計含有率が、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、前記バインダー樹脂は、カルボキシ基含有ビニルモノマーに由来する構造の含有率が、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。
【0095】
これらの中でも、カルボキシ基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルとのランダム共重合体であることが好ましい。このような共重合体の具体例としては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ブチルとのランダム共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ベンジルとのランダム共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸ベンジルとのランダム共重合体等が挙げられる。バインダー樹脂と着色剤との親和性の観点からは、バインダー樹脂は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ベンジルとのランダム共重合体であることが特に好ましい。
【0096】
カルボキシ基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体において、(メタ)アクリル酸の含有量は、全モノマー成分中、通常5質量%〜90質量%であり、10質量%〜70質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましい。
【0097】
バインダー樹脂のMwは、3,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましく、5,000〜20,000であることがさらに好ましい。バインダー樹脂のMwが3,000以上であると、着色組成物から形成された着色層の耐熱性、膜強度等が良好となり、Mwが100,000以下であると、この塗布膜のアルカリ水溶液による現像性がより一層良好となる。
【0098】
バインダー樹脂の酸価は、20mgKOH/g〜170mgKOH/gであることが好ましく、50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがより好ましく、90mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがさらに好ましい。バインダー樹脂の酸価が20mgKOH以上/gであると、着色組成物を着色層としたときのアルカリ現像性がより一層良好となり、170mgKOH/g以下であると耐熱性が良好となる。
【0099】
着色組成物に含まれるバインダー樹脂は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。顔料分散組成物において、バインダー樹脂の含有量は、着色剤100質量部に対して、5質量部〜200質量部であることが好ましく、10質量部〜100質量部であることがより好ましく、20質量部〜80質量部であることがさらに好ましい。
【0100】
−5.架橋剤−
本発明の着色組成物は、架橋剤を含有する。本発明において架橋剤とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0101】
上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0102】
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等が挙げられる。前記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。前記酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の二塩基酸の無水物;無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の四塩基酸二無水物が挙げられる。
【0103】
本発明の着色組成物において、架橋剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、10質量部〜1,000質量部が好ましく、特に20質量部〜500質量部が好ましい。架橋剤の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、架橋剤の量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上または遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0104】
−6.光重合開始剤−
本発明の着色組成物は、光重合開始剤を含有する。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠赤外線、電子線、X線等の放射線の露光により、架橋剤の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0105】
前記光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0106】
本発明の着色組成物において、光重合開始剤の含有量は、架橋剤100質量部に対して、0.01質量部〜120質量部が好ましく、特に1質量部〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光により硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやくすなる傾向がある。
【0107】
−7.その他配合剤−
本発明の顔料分散組成物には、分散剤に用いる本発明を特徴づけるブロック共重合体中のアミノ基とイオン結合させて吸着させるために、さらに酸性基を有する酸性の色素誘導体を含有させることが好ましい。この色素誘導体は、色素骨格に酸性官能基が導入されたものである。色素骨格としては、着色組成物を構成している着色剤と同一または類似の骨格、該顔料の原料となる化合物と同一または類似の骨格が好ましい。色素骨格の具体例としては、アゾ系色素骨格、フタロシアニン系色素骨格、アントラキノン系色素骨格、トリアジン系色素骨格、アクリジン系色素骨格、ペリレン系色素骨格等を上げることができる。色素骨格に導入される酸性基としては、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基が好ましい。なお、合成の都合上、および酸性度の強さからスルホン酸基が好ましい。また、酸性基は、色素骨格に直接結合してもよいが、アルキル基やアリール基等の炭化水素基;エステル、エーテル、スルホンアミド、ウレタン結合を介して色素骨格に結合してもよい。
【0108】
<着色感放射線性組成物およびカラーフィルタの製造方法>
着色組成物は、着色剤、分散剤、分散媒体、バインダー樹脂、架橋剤、光重合開始剤、必要に応じて他の添加剤等を配合し、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ボールミル、ディゾルバー、ニーダー等の混合分散機を用いて混合することによって製造される。着色組成物は、混合後に濾過することが好ましい。他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤、防カビ剤等が挙げられる。本発明の着色感放射線性組成物を用いることで、優れた輝度の着色層を形成することができる。したがって、本発明の着色感放射線性組成物は、カラーフィルターの形成に好適に使用できる。
【0109】
本発明のカラーフィルタは、前記着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。
【0110】
カラーフィルタを製造する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。まず、基板上に、例えば、赤色の顔料が分散された本発明の着色組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0111】
次いで、緑色又は青色の各着色組成物を用い、上記と同様にして、各着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0112】
着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0113】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。
【0114】
本発明のカラーフィルタは、輝度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に好適に使用することができる。
【実施例】
【0115】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。また、各種物性測定は以下の機器により測定を行った。なお、略語の意味は下記のとおりである。
BTEE:エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート
DBDT:ジブチルジテルリド
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
MMA:メタクリル酸メチル
BMA:メタクリル酸ブチル
EHMA:メタクリル酸2−エチルヘキシル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
BzMA:メタクリル酸ベンジル
HPMA:メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル
THFMA:メタクリル酸テトラヒドロフルフリル
MAA:メタクリル酸
DMAEMA:メタクリル酸ジメチルアミノエチル
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MP:1−メトキシ−2−プロパノール
【0116】
(重合率)
核磁気共鳴(NMR)測定装置(Bruker社製、型式:AVANCE500(周波数500MHz))を用いて、
1H−NMRを測定(溶媒:重水素化クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)した。得られたNMRスペクトルについて、モノマー由来のビニル基と、ポリマー由来のエステル側鎖のピークの積分比を求め、モノマーの重合率を算出した。
【0117】
(重量平均分子量(Mw)および分子量分布(PDI))
高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、型式:HLC−8320GPC)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。カラムはTSKgel SuperAW3000(Φ4.6mm×150mm)(東ソー社製)およびTSKgel SuperAW4000(Φ4.6mm×150mm)の2本、移動相に10mmol/Lリチウムブロミド/ジメチルホルムアミド溶液、検出器に示差屈折率検出器を使用した。測定条件は、カラム温度を40℃、試料濃度を1mg/mL、試料注入量を10μL、流速を0.6mL/minとした。標準物質としてポリスチレン(東ソー社製、TSK Standard)を使用して検量線(校正曲線)を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。これらの測定値から分子量分布(PDI)を算出した。
【0118】
(アミン価)
アミン価は、固形分1gあたりの塩基性成分と当量の水酸化カリウム(KOH)の質量で表わしたものである。測定サンプルをテトラヒドロフランに溶解し、電位差滴定装置(商品名:GT−06、三菱化学社製)を用いて、得られた溶液を0.1mol/L塩酸/2−プロパノール溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式によりアミン価(B)を算出した。
B=56.11×Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L塩酸/2−プロパノール溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L塩酸/2−プロパノール溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
【0119】
(酸価)
酸価は、固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表わしたものである。測定サンプルをテトラヒドロフランに溶解し、電位差滴定装置(商品名:GT−06、三菱化学社製)を用いて、得られた溶液を0.5mol/L水酸化カリウム/エタノール溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.5×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.5mol/L水酸化カリウム/エタノール溶液の使用量(mL)
f:0.5mol/L水酸化カリウム/エタノール溶液の力価
w:測定サンプル重量(g)(固形分換算)
【0120】
(粘度)
E型粘度計(商品名:TVE−22L、東機産業社製)を用い、コーンローター(1°34’×R24)を使用して、25℃下、ローター回転数60rpmで粘度を測定した。初期粘度が20cps未満のものを「○」、20cps以上のものを「×」とした。
【0121】
(輝度)
大塚電子社製CFコントラスト測定装置(商品名:CM−50)を用いて測定した。得られた輝度について、比較例1の輝度を100として各試料の輝度を指数化し、下記の基準で評価した。
「◎」:100.2以上
「○」:100.1以上、100.2未満
「△」:99.9以上、100.1未満
「×」:99.9未満
【0122】
<共重合体の製造>
(ブロック共重合体No.1)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコに、MMA 9.45g、MAA 1.65g、CHMA 3.63g、AIBN 0.148g、PMA 14.73gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE 0.90g、DBDT 0.55gを加え、60℃で16時間反応させた。重合率は、99%であった。
【0123】
得られた溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA 3.87g、AIBN 0.0493g、PMA 3.17gの混合溶液を加え、60℃で20時間反応させた。重合率は、100%であった。
【0124】
反応終了後、反応液を攪拌しているn−ヘプタン中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することによりブロック共重合体No.1を得た。ブロック共重合体No.1はMwが6,530、PDIが1.60、アミン価が75mgKOH/g、酸価が59mgKOH/gであった。
【0125】
(ブロック共重合体No.2〜8)
ブロック共重合体No.1の作製方法と同様にしてブロック共重合体No.2〜8を作製した。表2に、使用した原料モノマー、有機テルル化合物、有機ジテルル化合物、アゾ系重合開始剤、溶媒、反応条件、重合率を示した。また、表3に、各ブロック共重合体の組成、Mw、PDI、酸価、アミン価を示した。
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
<着色組成物及びカラーフィルタの製造>
(実施例1)
C.I.Pigment Green 58を1.33質量部、C.I.Pigment Yellow 138を0.57質量部、分散剤としてブロック共重合体No.1を0.76質量部、バインダー樹脂(BzMAとMAAとのランダム共重合体(質量比80:20)、Mw=9,800、PDI=1.93、酸価127mgKOH/g)を0.76質量部、MPを1.90質量部、PMAを13.68質量部、および、0.3mmのジルコニアビーズ114gをSUS容器に充填し、縦型ビーズミルにて3時間分散させて顔料分散液を作製した。
【0129】
上記で得られた顔料分散液 70.0質量部、バインダー樹脂(BzMAとMAAとのランダム共重合体(質量比80:20)、Mw=9,800、PDI=1.93、酸価127mgKOH/g)を2.2質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5.0質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.0質量部、PMA 21.8質量部を混合し、着色組成物を得た。得られた着色組成物の粘度を測定し評価は「○」であった。
【0130】
得られた着色組成物をガラス基板上にスピンコーターを用いて塗付し、60℃で10分乾燥することにより、厚さ1.0μmの緑色着色層を形成した。この着色層に超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm
2の紫外線を全面照射し、200℃でポストベークすることでカラーフィルタ基板を製造した。得られたカラーフィルタ基板の輝度の評価は「○」であった。
【0131】
(実施例2〜3、比較例1〜5)
分散剤を表4に記載のブロック共重合体に変更した以外は、実施例1の作製方法と同様にして行った。また、表4に得られた着色組成物の粘度およびカラーフィルタ基板の輝度の評価結果を示した。
【0132】
【表4】
【0133】
実施例1〜3は、分散剤として用いたブロック共重合体が、ブロックAが適切な量の脂環式アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および脂肪族アルキル基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含有し、バインダー樹脂との距離(Ra)が適切であり、かつ、和(δ
pB+δ
hB)が和(δ
pA+δ
hA)より大きい場合である。これらの実施例1〜3では、着色組成物の粘度が低く、かつ、カラーフィルタの輝度が優れている。
【0134】
比較例1および比較例3は、バインダー樹脂との距離が適切でないため、カラーフィルタの輝度が悪い。比較例2は、バインダー樹脂との距離が適切であるものの、Aブロックが芳香族基を多く有しているため、カラーフィルタの輝度が悪い。比較例5は、バインダー樹脂との距離が適切であるものの、Aブロックが架橋性基を多く有しているため、カラーフィルタの輝度が悪い。
【0135】
比較例4は、和(δ
pB+δ
hB)が和(δ
pA+δ
hA)より小さいため、着色組成物の粘度が高い。これは、Bブロックのハンセン溶解度パラメータの双極子間力項と水素結合力項との和が、Aブロックのハンセン溶解度パラメータの双極子間力項と水素結合力項との和より小さいと、Aブロックが、Bブロックと顔料との相互作用に悪影響を及ぼすためと考えられる。