(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758170
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】レンズユニットおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20060101AFI20200910BHJP
G03B 11/00 20060101ALI20200910BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20200910BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20200910BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20200910BHJP
G02B 13/04 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
G02B7/02 D
G02B7/02 B
G03B11/00
G02B7/02 Z
G02B5/00 B
G02B3/00 Z
G02B13/18
G02B13/04 D
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-238346(P2016-238346)
(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公開番号】特開2018-97019(P2018-97019A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 忠史
【審査官】
井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−119707(JP,A)
【文献】
特開2017−037155(JP,A)
【文献】
特開2010−271450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 3/00
G02B 5/00
G02B 13/04
G02B 13/18
G03B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズと、前記複数のレンズを保持する筒状のホルダと、を有するレンズユニットであって、
前記複数のレンズには、第1レンズと、前記第1レンズに対して像側に配置された第2レンズとが接着剤によって接合された接合レンズが含まれており、
前記第1レンズは、前記第2レンズ側に位置する第1レンズ面と、前記第1レンズ面を外周側で囲む第1フランジ面と、を備え、
前記第2レンズは、前記第1レンズ側に位置する第2レンズ面と、前記第2レンズ面を外周側で囲む第2フランジ面と、を備え、
前記接着剤は、前記第1レンズ面と前記第2レンズ面との間から前記第1レンズ面と前記第1フランジ面との第1境界部分、および前記第2レンズ面と前記第2フランジ面との第2境界部分を越えて前記第1フランジ面と前記第2フランジ面との間まで設けられ、
前記第2境界部分には、像側に向けて凹んだ凹部、および物体側に向かって突出した凸部のいずれか一方が、前記第2境界部分に沿って延在するように設けられ、
前記第1境界部分には、前記第2レンズに形成された前記凹部の内側に嵌る凸部、または前記第2レンズに形成された前記凸部が内側に嵌る凹部が前記第1境界部分に沿って延在するように設けられ、
前記第1レンズ面と前記第2レンズ面との間隔をGaとし、
前記凸部の先端部と前記凹部の底部との間隔をGbとし、
前記第1フランジ面において前記凸部および前記凹部に径方向外側で隣接する部分と前記第2フランジ面において前記凸部および前記凹部に径方向外側で隣接する部分との間隔をGcとしたとき、
間隔Ga、Gb、Gcは、以下の関係
Ga<Gb<Gc
を満たしていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記第2レンズに形成された前記凹部の底部または前記凸部の先端部は、曲面であることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記接合レンズは、前記複数のレンズのうち、最も像側のレンズであることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記第2レンズ面は、前記凹部から連続した凸状のレンズ面、または前記凸部から連続した凹状のレンズ面であることを特徴とする請求項1から3までの何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記第2レンズは、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項1から4までの何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記第2レンズに形成された前記凹部または前記凸部は、少なくとも一部が前記接合レンズより像側に形成された前記ホルダの像側開口部の縁より径方向内側に位置することを特徴とする請求項1から5までの何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記第1フランジ面および前記第2フランジ面のいずれか一方側のフランジ面には、前記第2レンズに形成された前記凹部または前記凸部より径方向外側で他方側のフランジ面とは反対側に向けて凹んだ接着剤溜まり部が設けられていることを特徴とする請求項1から6までの何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記一方側のフランジ面には、前記第2レンズに形成された前記凸部または前記凹部より径方向外側、かつ、前記接着剤溜まり部より径方向内側に光軸に対して交差する平面部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記一方側のフランジ面および前記他方側のフランジ面には、前記接着剤溜まり部より径方向外側で、光軸に対して交差する平面同士が接する当接部が設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載のレンズユニット。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか一項に記載のレンズユニットを備えた撮像装置であって、
前記複数のレンズに対して像側に配置された透光性板状部材と、
前記透光性板状部材に対して像側に配置された撮像素子と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズが筒状のホルダに保持されたレンズユニット、および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のレンズが筒状のホルダに保持されたレンズユニットでは、収差を低減することを目的に接合レンズを用いられることがある。また、レンズユニットを用いて撮像装置を構成する場合、ホルダの像側の端部に赤外線フィルタ等の透光性板状部材が配置される。接合レンズを製造するには、2つのレンズの各々にレンズ面を囲むフランジ面を設けておき、レンズ面同士およびフランジ面同士を接着剤によって接合する。その際、レンズ面の周りでフランジ面同士が軸に対して交差する平面部のみで接していると、接着剤が外周側に大量に流出することから、フランジ面の平面より径方向外側に凹状の接着剤溜まり部が設けられることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−119707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、接合レンズにおいてレンズ面の周りでフランジ面同士が光軸に対して交差する平面部で接している場合に、平面部で接着剤が途切れて空気が介在すると、像側の透光性板状部材等で物体側に向けて反射した光が平面部の界面で像側の特定方向に向けて反射してしまい、ゴーストが発生しやすいという問題点がある。かかる問題は、特許文献1に記載の構成では解消することが困難である。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、接合レンズのレンズ面の周りに像側から入射した光の特定方向への反射を抑制することのできるレンズユニットおよび撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、複数のレンズと、前記複数のレンズを保持する筒状のホルダと、を有するレンズユニットであって、前記複数のレンズには、第1レンズと、前記第1レンズに対して像側に配置された第2レンズとが接着剤によって接合された接合レンズが含まれており、前記第1レンズは、前記第2レンズ側に位置する第1レンズ面と、前記第1レンズ面を外周側で囲む第1フランジ面と、を備え、前記第2レンズは、前記第1レンズ側に位置する第2レンズ面と、前記第2レンズ面を外周側で囲む第2フランジ面と、を備え、前記接着剤は、前記第1レンズ面と前記第2レンズ面との間から前記第1レンズ面と前記第1フランジ面との第1境界部分、および前記第2レンズ面と前記第2フランジ面との第2境界部分を越えて前記第1フランジ面と前記第2フランジ面との間まで設けられ、前記第2境界部分には、像側に向けて凹んだ凹部、および物体側に向かって突出した凸部のいずれか一方が、前記第2境界部分に沿って延在するように設けられ、
前記第1境界部分には、前記第2レンズに形成された前記凹部の内側に嵌る凸部、または前記第2レンズに形成された前記凸部が内側に嵌る凹部が前記第1境界部分に沿って延在するように設けられ、前記第1レンズ面と前記第2レンズ面との間隔をGaとし、前記凸
部の先端部と前記凹部の底部との間隔をGbとし、前記第1フランジ面において前記凸部および前記凹部に径方向外側で隣接する部分と前記第2フランジ面において前記凸部および前記凹部に径方向外側で隣接する部分との間隔をGcとしたとき、間隔Ga、Gb、Gcは、以下の関係
Ga<Gb<Gc
を満たしていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、第2レンズの第2レンズ面と第2フランジ面との境界部分(第2境界部分)では、第2レンズに形成された凹部または凸部が接着剤によって第1レンズに接合されているため、第2レンズの第2レンズ面と第2フランジ面との境界部分には、光軸に対して交差する平面部が存在しない。このため、第2レンズ面の周りで接着剤が途切れて空気層が存在している場合に第2レンズ面の周りに像側から光が入射したときでも、光は凹部または凸部が形成されている部分に入射する。従って、第2レンズ面の周りに像側から光が入射した場合でも、光は凹部または凸部によって拡散するように反射するので、特定方向への反射を抑制することができる。それ故、接合レンズにおいてレンズ面の周り(第1レンズ面および第2レンズ面の周り)での反射に起因するゴースト等の発生を抑制することができる。
かかる態様によれば、第1レンズと第2レンズとを接合する際、第1レンズの第1境界部分や第2レンズの第2境界部分に空気層が残りにくい。従って、接合レンズのレンズ面の周りでの反射に起因するゴースト等の発生を抑制することができる。かかる態様によれば、割型で第1レンズの第2レンズ側の面や第2レンズの第1レンズ側の面を形成する際に割面にバリが発生した場合でも、第1レンズと第2レンズとを適正に接合することができる。
【0008】
本発明において、前記第2レンズに形成された前記凹部の底部または前記凸部の先端部は、曲面である態様を採用することができる。かかる態様によれば、凹部の底部や凸部の先端部に空気層が存在した場合でも、凹部の底部や凸部の先端部では拡散するような反射が発生するので、ゴースト等の発生を抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記接合レンズは、前記複数のレンズのうち、最も像側のレンズである態様を採用することができる。かかる態様によれば、ホルダの像側の端部に赤外線フィルタ等の透光性板状部材を配置した場合に、透光性板状部材で物体側に向けて反射した光が接合レンズのレンズ面の周りに入射した場合でも、レンズ面の周りでは拡散するような反射が発生する。従って、接合レンズのレンズ面の周りでの反射に起因するゴースト等の発生を抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記第2レンズ面は、前記凹部から連続した凸状のレンズ面、または前記凸部から連続した凹状のレンズ面である態様を採用することができる。かかる態様によれば、第2レンズの形状を簡素化することができるので、第2レンズを精度よく制作しやすい。
【0011】
本発明において、前記第2レンズは、プラスチックレンズである態様を採用することができる。かかる態様によれば、第2レンズの成形時に凹部または凸部を形成すればよいので、ガラスレンズに凹部または凸部を設ける場合と比較して、第2レンズに凹部または凸部を設けやすい。
【0012】
本発明において、前記第2レンズに形成された前記凹部または前記凸部は、少なくとも一部が前記接合レンズより像側に形成された前記ホルダの像側開口部の縁より径方向内側に位置する態様を採用することができる。かかる態様によれば、第2レンズ面が余裕をもって像側開口部の内側に位置するので、光の利用効率を高めることができる。
【0015】
本発明において、前記第1フランジ面および前記第2フランジ面のいずれか一方側のフランジ面には、前記第2レンズに形成された前記凹部または前記凸部より径方向外側で他方側のフランジ面とは反対側に向けて凹んだ接着剤溜まり部が設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、接着剤が第1レンズと第2レンズとの間から径方向外側に接着剤が大量に流出することを抑制することができる。従って、第1レンズと第2レンズとの間で接着剤が途切れるという事態が発生しにくい。
【0016】
本発明において、前記一方側のフランジ面には、前記
第2レンズに形成された前記凸部または前記凹部より径方向外側、かつ、前記接着剤溜まり部より径方向内側に光軸に対して交差する平面部が形成されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、接着剤が硬化する際に収縮して、凹部または凸部が形成されている領域から接着剤溜まり部に向けて接着剤が引き寄せられても、接着剤が途切れにくい。従って、接合レンズのレ
ンズ面の周りに接着剤の途切れが発生しにくい。
【0017】
本発明において、前記一方側のフランジ面および前記他方側のフランジ面には、前記接着剤溜まり部より径方向外側で、光軸に対して交差する平面同士が接する当接部が設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1レンズと第2レンズとを適正に接合することができる。
【0018】
本発明に係るレンズユニットが撮像装置に用いられる場合、撮像装置には、前記複数のレンズに対して像側に配置された透光性板状部材と、前記透光性板状部材に対して像側に配置された撮像素子と、が設けられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明において、第2レンズの第2レンズ面と第2フランジ面との境界部分(第2境界部分)では、第2レンズに形成された凹部または凸部が接着剤によって第1レンズに接合されているため、第2レンズの第2レンズ面と第2フランジ面との境界部分には、光軸に対して交差する平面部が存在しない。このため、第2レンズ面の周りで接着剤が途切れて空気層が存在している場合に第2レンズ面の周りに像側から光が入射したときでも、光は凹部または凸部が形成されている部分に入射する。従って、第2レンズ面の周りに像側から光が入射した場合でも、光は凹部または凸部によって拡散するように反射するので、特定方向への反射を抑制することができる。それ故、接合レンズにおいてレンズ面の周り(第1レンズ面および第2レンズ面の周り)での反射に起因するゴースト等の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用したレンズユニットおよび撮像装置の断面図である。
【
図2】
図1に示すレンズユニットの接合レンズ等を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図2に示す接合レンズの端部等を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図2に示す接合レンズに用いた第1レンズの製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において、接合レンズ60を構成する第1レンズ61および第2レンズ62のうち、像側L2に位置する第2レンズ62において物体側L1のレンズ面621(第2レンズ面)と第2フランジ面626との境界部分(第2境界部分623)に凹部または凸部が形成される。以下に説明する実施の形態では、レンズ面621と第2フランジ面626との第2境界部分623に凹部627が形成される場合を中心に説明し、凸部が形成されている態様について、他の実施の形態で説明する。
【0022】
(レンズユニットの構成)
図1は、本発明を適用したレンズユニットおよび撮像装置の断面図である。
図1に示すように、本形態のレンズユニット10は、光軸Lに沿って配置された複数のレンズ1、2、3、4、5、6と、複数のレンズ1、2、3、4、5、6を保持するホルダ8とを有している。複数のレンズ1、2、3、4、5、6のうち、最も像側L2のレンズ6は、接合レンズ60からなる。ホルダ8の内側において、レンズ4とレンズ5との間には絞り50が配置されている。レンズ4は、筒状部材40に保持された状態でホルダ8の内側に配置されている。かかるレンズユニット10を撮像装置100に用いる際、複数のレンズ1、2、3、4、5、6に対して像側L2に赤外線フィルタ等の透光性板状部材9が配置され、透光性板状部材9に対して像側L2に撮像素子110が配置される。透光性板状部材9は、ホルダ8の像側端部88に固定されている。本形態では、最も物体側L1に位置するレンズ1は、ホルダ8の物体側開口部8aを塞ぐように配置され、最も像側L2に位置する透光性板状部材9は、ホルダ8の像側開口部8bを塞ぐように配置されている。かかるレンズユニット10において、複数のレンズ1、2、3、4、5、6は、画角が110°以上の広角レンズを構成している。
【0023】
本形態において、レンズ1は、物体側L1のレンズ面11が凸状の曲面からなり、像側L2のレンズ面12が凹状の曲面からなる。レンズ2は、物体側L1のレンズ面21が凸状の曲面からなり、像側L2のレンズ面22が凹状の曲面からなる。レンズ3は、物体側L1のレンズ面31が凹状の曲面からなり、像側L2のレンズ面32が凸状の曲面からなる。レンズ4は、物体側L1のレンズ面41および像側L2のレンズ面42が凸状の曲面からなる。レンズ5は、物体側L1のレンズ面51および像側L2のレンズ面52が凸状の曲面からなる。
【0024】
(接合レンズ60の構成)
図2は、
図1に示すレンズユニット10の接合レンズ60等を拡大して示す断面図である。
図2に示すように、レンズ6は、正のパワーをもつ接合レンズ60からなる。接合レンズ60は、第1レンズ61と、第1レンズ61に対して像側L2に配置された第2レンズ62と、第1レンズ61と第2レンズ62とを接合させる接着剤65とを備えている。本形態において、接着剤65は、UV硬化型接着剤である。接着剤65は、硬化後も弾性を有する材質であることが好ましい。
【0025】
第1レンズ61は、第2レンズ62とは反対側(物体側L1)に位置するレンズ面611と、第2レンズ62側(像側L2)に位置するレンズ面612(第1レンズ面)と、レンズ面611およびレンズ面612を外周側で囲む第1フランジ部615とを備えている。従って、第1レンズ61は、レンズ面612を外周側で囲む第1フランジ面616を備えている。レンズ面611は、凹状の曲面からなり、レンズ面612は、凹状の曲面からなる。第2レンズ62は、第1レンズ61とは反対側(像側L2)に位置するレンズ面622と、第1レンズ61側(物体側L1)に位置するレンズ面621(第2レンズ面)と、レンズ面621およびレンズ面622を外周側で囲む第2フランジ部625とを備えている。従って、第2レンズ62は、レンズ面621を外周側で囲む第2フランジ面626を備えている。レンズ面621は、凸状の曲面からなる。レンズ面622は、凸状の曲面からなる。レンズ面621は、第1レンズ61のレンズ面612と曲率半径等が等しい。本形態において、レンズ面611、レンズ面612(レンズ面621)、およびレンズ面622はいずれも非球面である。また、第1レンズ61および第2レンズ62はいずれもプラスチックレンズからなる。
【0026】
かかる第1レンズ61および第2レンズ62を接合するにあたって、接着剤65は、レンズ面612とレンズ面621との間、および第1フランジ面616と第2フランジ面6
26との間を含む第1レンズ61と第2レンズ62との間の全体に設けられている。従って、接着剤65は、レンズ面612とレンズ面621との間からレンズ面612と第1フランジ面616との境界部分(第1境界部分613)、およびレンズ面621と第2フランジ面626との境界部分(第2境界部分623)を越えて第1フランジ面616と第2フランジ面626との間まで設けられている。
【0027】
本形態において、第1レンズ61は第2レンズ62より外径が大である。このため、第1フランジ部615の外周部分は、第2フランジ部625より径方向外側に張り出している。一方、ホルダ8では、第1フランジ部615において第2フランジ部625より径方向外側に張り出した外周部分を像側L2で支持する段部86が形成されている。また、ホルダ8には、段部86より像側L2に円環状の端板部87が径方向内側に突出している。ここで、端板部87の中央部分には、像側開口部8bが形成されており、端板部87の像側L2の端面に透光性板状部材9が固定されている。像側開口部8bは、物体側L1に向けて縮径しており、最も物体側L1に位置する部分が最小開口部分8cとなっている。
【0028】
(接合レンズ60の詳細構成)
図3は、
図2に示す接合レンズ60の端部等を拡大して示す断面図である。
図4は、
図2に示す接合レンズ60に用いた第1レンズ61の製造方法を示す説明図である。
図3に示すように、第1レンズ61において、第1フランジ部615は、レンズ面612を外周側で囲む第1フランジ面616を像側L2に備えている。第2レンズ62において、第2フランジ部625は、レンズ面621を外周側で囲む第2フランジ面626を物体側L1に備えている。
【0029】
本形態において、第2レンズ62の第2フランジ面626のレンズ面621との境第2境界部分623には、第1レンズ61とは反対側に向けて凹んだ凹部627が第2境界部分623に沿って円環状に延在している。これに対して、第1レンズ61の第1フランジ面616のレンズ面612との第1境界部分613には、第2レンズ62側に向けて突出した凸部617が第1境界部分613に沿って円環状に延在している。従って、第1レンズ61の凸部617は、第2レンズ62の凹部627の内側に嵌って接着剤65によって凹部627の内面と接合されている。
【0030】
凹部627は、断面円弧状である。従って、凹部627の底部627aは凹曲面であり、凹部627は、底部627aから開口縁に向かって拡径している。凸部617も、凹部627と同様、断面円弧状である。従って、凸部617の先端部617aは凸曲面であり、凸部617は、先端部617aから根元に向かって拡径している。ここで、第1レンズ61のレンズ面612の有効径は、ホルダ8の像側開口部8bの最小開口部分8cの縁より径方向内側に位置する。また、第2レンズ62のレンズ面621の有効径は、ホルダ8の像側開口部8bの最小開口部分8cの縁より径方向内側に位置する。従って、凸部617の少なくとも一部、および凹部627の少なくとも一部は、接合レンズ60より像側L2に形成されたホルダ8の像側開口部8bにおいて、最も物体側L1に位置する最小開口部分8cの縁より径方向内側に位置する。すなわち、第1レンズ61の第1境界部分613は、レンズ面612の有効径より外周側であることから、凸部617の少なくとも一部は、像側開口部8bの最小開口部分8cの縁より径方向内側に位置する。また、第2レンズ62の第2境界部分623は、レンズ面621の有効径より外周側であることから、凹部627の少なくとも一部は、像側開口部8bの最小開口部分8cの縁より径方向内側に位置する。
【0031】
本形態では、第1フランジ面616および第2フランジ面626のうち、一方側のフランジ面には、凸部617および凹部627より径方向外側で他方側のフランジ面とは反対側に向けて凹んだ接着剤溜まり部618が設けられている。本形態では、第1フランジ面
616の側に、凸部617および凹部627より径方向外側で第2フランジ面626とは反対側に向けて凹んだ接着剤溜まり部618が設けられている。また、第1フランジ面616には、凸部617および凹部627より径方向外側、かつ、接着剤溜まり部618より径方向内側に光軸Lに対して交差する平面部614が形成されている。また、第1フランジ面616および第2フランジ面626には、接着剤溜まり部618より径方向外側で、光軸Lに対して交差する平面619、629同士が接する当接部601が設けられている。
【0032】
本形態では、第1レンズ61と第2レンズ62とを接合する際、例えば、第1レンズ61のレンズ面612の側に接着剤65を塗布した後、第1レンズ61と第2レンズ62とを重ねる。その結果、第1レンズ61と第2レンズ62との間で接着剤65が広がるので、その後、接着剤65を硬化すれば、第1レンズ61と第2レンズ62とを接着剤65によって接合される。かかる接合工程で、第1レンズ61と第2レンズ62との間で接着剤65が広がる際、接着剤65は、第1レンズ61と第2レンズ62との間から外側に流出しようとするが、接着剤65は接着剤溜まり部618に溜まる。従って、接着剤65が第1レンズ61と第2レンズ62との間から外側に流出する量を少なくすることができるので、第1レンズ61と第2レンズ62との間には、接着剤65の途切れ部分が発生しにくい。また、第1レンズ61と第2レンズ62とは、平面619、629同士が接するので、第1レンズ61と第2レンズ62との間隔を適正な寸法に制御することができる。それ故、第1レンズ61と第2レンズ62との間には、接着剤65の途切れ部分が発生しにくい。
【0033】
また、接合レンズ60において、レンズ面612とレンズ面621との間隔をGaとし、凸部617の先端部617aと凹部627の底部627aとの間隔をGbとし、第1フランジ面616において凸部617に径方向外側で隣接する部分と第2フランジ面626において凹部627に径方向外側で隣接する部分との間隔をGcとしたとき、間隔Ga、Gb、Gcは、以下の関係
Ga<Gb<Gc
を満たしている。本形態において、Gaは10μm程度、Gbは20μm程度、Gcは30μm程度である。
【0034】
従って、
図4に示すように、円筒状の第1金型150と第1金型150の内側に配置される第2金型160(入れ子)とを備えた割型で第1レンズ61の第2レンズ62側の面を形成する際にバリが発生した場合でも、第1レンズ61と第2レンズ62とを適正に接合することができる。すなわち、第1金型150と第1金型150の割面170が第1フランジ面616において凸部617に径方向外側で隣接する部分に位置する場合には、割面170に相当する部分にバリが発生するが、かかるバリは、第1レンズ61と第2レンズ62との間隔が広い部分に発生する。それ故、バリが発生しても、第1レンズ61と第2レンズ62とを適正に接合することができる。同様に、円筒状の第1金型150と第1金型150の内側に配置される第2金型160(入れ子)とを備えた割型で第2レンズ62の第1レンズ61側の面を形成する際にバリが発生した場合でも、第1レンズ61と第2レンズ62とを適正に接合することができる。すなわち、第1金型150と第1金型150の割面170が第2フランジ面626において凹部627に径方向外側で隣接する部分に位置する場合には、割面170に相当する部分にバリが発生するが、かかるバリは、第1レンズ61と第2レンズ62との間隔が広い部分に発生する。それ故、バリが発生しても、第1レンズ61と第2レンズ62とを適正に接合することができる。
【0035】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の接合レンズ60において、像側L2の第2レンズ62のレンズ面621と第2フランジ面626との第2境界部分623では、第2レンズ62に
形成された凹部627が接着剤65によって第1レンズ61に接合されているため、第2レンズ62のレンズ面621と第2フランジ面626との境界部分には、光軸Lに対して交差する平面部が存在しない。このため、レンズ面621の周りで接着剤65が途切れて空気層が存在している場合にレンズ面621の周りに像側L2から光が入射したときでも、光は凹部627が形成されている部分に入射する。このため、レンズ面621の周りに像側L2から光が入射した場合でも、光は凹部627によって拡散するように反射するので、特定方向への反射を抑制することができる。従って、接合レンズ60においてレンズ面の周り(レンズ面612およびレンズ面621の周り)での反射に起因するゴースト等の発生を抑制することができる。
【0036】
例えば、接合レンズ60は、最も像側L2のレンズ6であるため、
図2および
図3に示すように、透光性板状部材9で物体側L1に向けて反射した光が接合レンズ60のレンズ面612、621の周りに入射した場合でも、レンズ面612、621の周りでは拡散するような反射が発生する。従って、接合レンズ60のレンズ面612、621の周りでの反射に起因するゴースト等の発生を抑制することができる。従って、凸部617および凹部627は、接合レンズ60より像側L2に形成されたホルダ8の像側開口部8bの縁より径方向内側に位置させることができる。それ故、レンズ面612、621が余裕をもって像側開口部8bの内側に位置するので、光の利用効率を高めることができる。
【0037】
また、物体側L1の第1レンズ61において、レンズ面612と第1フランジ面616との第1境界部分613では、第2レンズ62の凹部627に嵌る凸部617が形成されており、凸部617は、接着剤65によって凹部627に接合されている。このため、第1レンズ61と第2レンズ62とを接合する際、第1レンズ61の第1境界部分613や第2レンズ62の第2境界部分623に空気層が残りにくい。従って、接合レンズ60のレンズ面(レンズ面612およびレンズ面621の周り)の周りでの反射に起因するゴースト等の発生を抑制することができる。
【0038】
また、凹部627の底部627aは凹曲面であり、凸部617の先端部617aは凸曲面であるため、凸部617の先端部617aや凹部627の底部627aに空気層が存在した場合でも、凸部617の先端部617aや凹部627の底部627aでは拡散するような反射が発生するので、ゴースト等の発生を抑制することができる。
【0039】
また、凹状のレンズ面612が形成された第1レンズ61の像側L2の面に凸部617を形成し、凸状のレンズ面621が形成された第2レンズ62の物体側L1の面に凹部627を形成したため、第1レンズ61の像側L2の面形状や第2レンズ62の物体側L1の面形状を簡素化することができる。それ故、第1レンズ61および第2レンズ62を精度よく制作しやすい。
【0040】
また、第1レンズ61および第2レンズ62はいずれも、プラスチックレンズであるため、第1レンズ61および第2レンズ62の成形時に凸部617や凹部627を形成すればよい。従って、ガラスレンズに凸部617や凹部627を設ける場合と比較して、第1レンズ61および第2レンズ62に凸部617や凹部627を設けやすい。
【0041】
また、第1フランジ面616には、凸部617および凹部627より径方向外側、かつ、接着剤溜まり部618より径方向内側に光軸Lに対して交差する平面部614が形成されている。従って、接着剤65が硬化する際、接着剤65が収縮しても、凸部617と凹部627との間から接着剤溜まり部618に向けて接着剤65が引き寄せられても、接着剤65の途切れ部分が発生しにくい。従って、凸部617と凹部627との間に接着剤65の途切れ(空気層)が発生しにくいので、レンズ面612、621の周りに反射界面が発生しにくい。
【0042】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、第2レンズ62のレンズ面621と第2フランジ面626との境界部分(第2境界部分623)に凹部627を形成したが、凹部627に代えて、第1レンズ61側に突出した凸部を設けてもよい。この場合、第1レンズ61のレンズ面612と第1フランジ面616との境界部分(第1境界部分)には、第2レンズ62の凸部が嵌る凹部を形成し、第2レンズ62の凸部が接着剤65によって第1レンズの凹部の内周面に接合されていることが好ましい。その場合も、凸部の先端部および凹部の底部が曲面であることが好ましい。また、第2レンズ62のレンズ面621は、凸部に連続する凹曲面であり、第1レンズ61のレンズ面612は、凹部に連続する凸曲面であることが好ましい。
【0043】
上記実施の形態において、6群7枚のレンズ構成を示したが、5群6枚等、いずれのレンズ構成のレンズユニットに本発明を適用してもよい。また、上記実施の形態において、接合レンズ60が1つであったが、複数の接合レンズを備えたレンズユニットに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1、2、3、4、5、6…レンズ、8…ホルダ、8a…物体側開口部、8b…像側開口部、8c…最小開口部分、9…透光性板状部材、10…レンズユニット、612…レンズ面(第1レンズ面)、621…レンズ面(第2レンズ面)、60…接合レンズ、61…第1レンズ、62…第2レンズ、65…接着剤、100…撮像装置、110…撮像素子、150…第1金型、160…第2金型、170…割面、601…当接部、612…レンズ面(第1レンズ面)、613…第1境界部分、614…平面部、615…第1フランジ部、616…第1フランジ面、617…凸部、617a…先端部、618…接着剤溜まり部、619、629…平面、621…レンズ面(第2レンズ面)、623…第2境界部分、625…第2フランジ部、626…第2フランジ面、627…凹部、627a…底部、L…光軸、L1…物体側、L2…像側