【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明によれば、特許請求の範囲の独立項による供給装置と方法によって達成される。特別な実施形態は従属項に記載されている。
【0010】
本発明はしたがって、導管に液体を供給し、膜型ポンプを有する供給装置の操作方法に関する。この方法は、膜型ポンプが、生成される圧力および/または送出速度の点で制御されることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、導管に液体を供給し、少なくとも1つの膜型ポンプを有する供給装置もまた提案される。この装置は、生成された圧力(いくつかの実施形態において、これは負圧または真空を含んでいてもよい)および/または送出速度の点でポンプを制御する制御装置を有する。
【0012】
本発明はさらに、中空カテーテルおよび/またはカテーテルポンプに関する。ここでは、どちらも、中空カテーテルまたはカテーテルポンプの導管を本発明による方法でフラッシュするために、本発明による供給装置を有することが重要である。
【0013】
1つの実施形態は、相応に装備された中空カテーテルは中空カテーテル内(好ましくは導管内)に回転可能なシャフトを有するという事実に関する。
【0014】
別の実施形態によれば、回転可能シャフトが同様にカテーテルポンプを通過し、これは好ましくは本発明による中空のカテーテルを含む。ここでは、この制御可能なシャフトが柔軟であれば有利である。大腿動脈から心室内に挿入され、左心室に到達するまで送り進められる左心補助システムの例に関して、これは、このようなポンプが回転可能なシャフトを含み、これは体外で駆動されて心内のロータを駆動するものであり、このシャフトは、例えば大動脈弓の湾曲に追従できるのに十分に柔軟でなければならないが、それでも高速で回転できる。フラッシュ対象のルーメン/導管内で回転可能なシャフトは高い回転速度、例えば毎分10,000回転超で動作できるべきである。
【0015】
本発明による供給装置によって、ここで、確実に、例えば中空カテーテルまたはカテーテルポンプ内に空気が存在しないようにするためだけでなく、柔軟シャフトを潤滑させるために、本発明による供給装置を介して液体を確実に供給できる。
【0016】
本発明はまた、導管に液体を供給し、導管の相互に離れた地点に配置された2つのポンプを有する供給装置の動作方法にも関する。ここで、両方のポンプの少なくとも1つの動作パラメータのパラメータ値は、相互に調整された方法で制御される。
【0017】
原則として、シリンジポンプによって導管を通じて液体を移動させることが知られており、それが可能である。しかしながら、本発明の特徴、特に複数のポンプの使用により、ポンプの動作パラメータが相互に調整されると、例えば共通の圧力レベルを設定しながら、導管の吸込み領域と排出領域との間の適切な圧力差を維持することが可能である。
【0018】
2つの調整されたポンプによって、一方で、導管を通る特定の流速を設定でき、他方で、入口および出口領域の、または導管内に漏れ/開口がある場合の損失速度を特定の数値に設定、特に制限できるような方法で流速を制御することが可能である。
【0019】
供給装置の動作を特に良好に調節でき、したがって制御できるようにするために、膜型ポンプが供給装置の製造に特に適している。これらは、流れ、すなわち流速の点で、特に正確かつ再現可能に制御できる。
【0020】
供給装置の特に効率的な制御は、液体圧力が有利な点として、導管内の相互に離れた2点において検出される場合に可能となる。特に、液体圧力が検出される点は、各々がそれぞれポンプの一方に割り当てることができ、圧力の検出によって、吸引圧力と超過圧力の比率をポンプの制御で最適にすることができる。このような制御は特に、導管が環状に閉じられておらず、液体が外部の液体貯蔵部から導管内に供給される吸込み領域を有する場合、および/または液体が導管から回収貯蔵部へと除去される排出導管を有する場合に重要である。
【0021】
対応する圧力センサは、導管内に別々に取り付けることができるが、ポンプの各々に1つずつ組み込んでもよい。
【0022】
本発明による方法の場合において、2つのポンプの調整されたパラメータ値が経時的に一定の方式に従って可変であり、特に始動期間以降しばらくは周期的に変化すれば特に有利であることがわかっている。例えば、ポンプのうちの少なくとも一方の能力を始動期間中にゆっくりと増大させることができる。しかしながら、能力ピーク(性能ピーク)もまた、当初、液体が導管内を速い流速で流れるように求められてもよく、この流速は始動期間以降、再び低下する。
【0023】
始動期間の構成に関係なく、ポンプのうちの少なくとも一方の圧力を周期的に上昇、下降するように制御でき、または周期的に上昇、下降する流速を相応に設定できる。すると、これは特に移動部品が導管内に設置されている場合、例えばカニューレ内に駆動可能なシャフトがあり、このシャフト自体から摩擦によって小さい粒子が放出されるような場合に有利である。この粒子は通常、導管に沿ってそれ以上移動させるべきではないが、それに関わらず液体は輸送されるべきである。ポンプの動作パラメータを変化させることによって、導管を液体で効率的にフラッシュすることができ、導管の全ての部分に流動的流れが到達する。液体の流速がより低速である期間があることにより、粒子は流れの中の停止部分に到達しえ、これによって導管に沿った粒子の輸送を最小化できる。
【0024】
ポンプのパラメータの変化は、個々のポンプの各々の能力(性能)の変化のほかに、例えば能力(性能)差またはポンプにより生成される圧力差の変化であってもよい。圧力差によって、確実に液体が加速し、それゆえ圧力差が周期的に変動して、それに対応して液体輸送が周期的に変動する。
【0025】
液体とは、以下、シャフトをフラッシュするために使用される液体を意味するものと理解する。いくつかの例示的実施形態において、これは、ポンプにより送出される予定の液体ではないが、ポンプにより送出される予定の液体が少量またはわずかに導管内に入るかもしれない。他の例示的実施形態において、ポンプにより運ばれる液体は、フラッシュに使用される液体とすることができる。
【0026】
本発明の別の有利な実施形態によれば、2つのポンプの調整されたパラメータ値は、導管内の液体圧力の検出値に所定の方法で依存する相互のある比率をとる。このようにして、導管内の液体圧力または圧力差を周期的に制御できる。
【0027】
ポンプの送出能力は、異なる測定量に基づいて決定できる。いくつかの例示的実施形態において、送出能力を決定する測定量または動作パラメータは、膜のストローク周期および/または膜のストローク高さおよび/または膜の撓みである。ここで、送出能力を決定するために、上記の測定量のうちの1つまたは上記の測定量のうちの少なくとも2つの組合せを調べることができる。そのほかに送出能力を決定しうるものは、いくつかの例示的実施形態において、特に支配的な液体圧力を考えた上でのポンプの電力消費量である。
【0028】
両方のポンプの調整された動作パラメータはしたがって、例えばそれぞれの送出能力であってもよい。すると、例えば、送出能力の特定の違いも2つのポンプ間で設定してよい。これによって例えば、導管の経路全体にわたる液体輸送に関する特定の損失速度を生成できる。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、両方のポンプの調整された動作パラメータは、ポンプにより生成される液体圧力のそれぞれの数値である。液体圧力は導管内で特に容易かつ正確に検出でき、それによって、例えば、圧力値の特定の割合または圧力値の特定の差をポンプの制御によって設定できる。割合および/または差はまた、よどみ領域を持つ非流動的な流れを回避するために周期的に可変となるように設定されてもよい。
【0030】
本発明の別の有利な実施形態によれば、両方のポンプの調整された動作パラメータは、ポンプのそれぞれの電力消費量である。この目的のために、各ポンプに、ポンプの電力消費量を検出するための、特に電流消費量を検出するための電気センサが割り当てられてもよい。
【0031】
有利な態様として、両方のポンプの調整された動作パラメータは、これに加えて、ポンプのそれぞれの流速であってもよい。流速は、例えば流量計センサによって、またはポンプの動作パラメータ、例えば電力消費量と支配的な液体圧力の記録によっても、別々に検出できる。
【0032】
これに加えて、一定の圧力差および/または一定の流速差を、有利な点として、2つのポンプ間で設定されてもよい。ここで、両方のポンプの流速の差は、特に毎日100ミリリットル未満、特に毎日10ミリリットル未満、または毎日1ミリリットル未満であってもよい。
【0033】
それに対応する損失率が導管の開口部で設定される。例えば、導管は輸送導管と戻り導管を有していてもよく、輸送導管の終端には例えば、カニューレの端に配置された血液ポンプがあり、戻り導管は同じ地点から始まる。すると、流速差を補償するために液体の一部が、例えば血液ポンプの中を流れて、これをフラッシュしてもよく、埋植された状態では患者の体内に放出されてもよい。本発明の開発では、生体適合、健康適合液体、 例えば生理食塩水がこのような用途の液体として選択されている。
【0034】
この方法の動作の有利な形態では、さらに、液体の移動方向を逆転させてもよい。このような液体の移動方向の逆転は周期的に提供されても、または特定の場合にのみ提供されてもよい。ポンプカテーテルをフラッシュするために使用される場合、通常は、液体をカテーテルの近位端からカテーテルの遠位端へと輸送し、戻り導管を通じて回収容器に戻す方向が選択される。
【0035】
本発明はまた、供給装置の動作方法と、導管に液体を供給する供給装置の設計にも関し、前記供給装置は、導管の相互に離れた地点に配置された少なくとも2つのポンプ、特に膜型ポンプを有し、また、生成された圧力および/または送出速度の点で個別にポンプを制御する制御装置も有する。
【0036】
制御装置は、それによって個々のポンプの調整された制御が可能となるような方法で設計しなければならない。これは、ポンプのうちの一方に割り当てられても、または別の中央制御ユニットとして形成されてもよい。制御装置はまた、ポンプの動作パラメータを調整する役割も果たしてよく、すると、測定値を検出するためにセンサに接続される。
【0037】
例えば、各ポンプに液体圧力センサを割り当ててもよい。すると、制御装置によって特定の圧力比率を吸引圧力と過剰圧力との間で設定でき、または2つのポンプにより生成される圧力の特定の割合、または特定の圧力差を設定できる。
【0038】
ポンプの送出力を決定するための測定量は圧力に依存してもよいため、ポンプは例えば、その電力消費量が検出され、制御装置に供給される場合に圧力センサとして動作させられてもよい。しかしながら、電力消費量はまた、それぞれのポンプによって達成される流速の指標であってもよく、それとして検出されてもよい。この目的のためには通常、支配的液体圧力もさらに考慮に入れられるため、圧力測定センサが同時に動作することは、この種の動作にとって有利である。
【0039】
しかしながら、流速センサを設置してもよく、その各々がポンプの一方にそれぞれ割り当てられる。すると、第一および第二のポンプのその領域内の流速の特定の比率または所定の差を制御装置によって設定できる。流速のこのような差は、例えば周期的に可変となるようにも制御されてよい。