(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
列車を編成する車両の少なくともドア付近を撮像するカメラと、前記カメラによって撮影されたカメラ映像を表示するモニタとを、前記列車に搭載した監視システムにおいて、
車両の両側それぞれに設けられた複数のドアの各々に対して前記カメラが配置され、
前記モニタのディスプレイ領域を複数のエリアに分割し、各車両のカメラによって撮影された複数のカメラ映像を各エリアにそれぞれ割り当てて表示させる制御を行う表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記列車の進行方向を示す情報と、前記ドアが開く側を示す情報とに基づいて、各エリアに対する前記カメラ映像の割り当てを制御することを特徴とする監視システム。
列車を編成する車両の少なくともドア付近を撮像する複数のカメラと、前記複数のカメラによって撮影されたカメラ映像を表示するモニタとを、前記列車に搭載した監視システムによる監視方法において、
前記モニタのディスプレイ領域を複数のエリアに分割して各エリアにエリアIDを設定し、
前記列車の進行方向を示す情報と、前記ドアが開く側の情報と、各カメラの識別情報とに基づいて、各カメラ映像を表示するエリアIDを算出し、
各カメラ映像を前記算出したエリアIDに該当するエリアに表示することを特徴とする監視方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
列車の監視システムでは、乗客の安全の監視にはリアルタイム性が求められるため、遅延が発生しないアナログシステムが優先して用いられていた。しかしながら、近年では、IP技術の進歩により低遅延伝送が可能となったので、全ての装置がIPネットワークに接続されるようになった。IPシステムの一つの利点として、IP技術では一本のケーブルで装置間を接続可能であるため、ケーブルのコストを削減できる。また、一本のケーブルで、映像データだけでなく、アラーム情報や列車情報などの他の情報も伝送することができる。複数のカメラで撮影された映像は、各々のカメラでエンコードされてIPネットワークを介してモニタに伝送され、モニタでデコードされて分割表示される。
【0005】
図1には、従来の車載カメラ型の監視システム500の構成例を示してある。監視システム500は、車両511〜516の6両で編成された列車に適用されている。車両511〜516の各々には、2台のカメラ531,532と、スイッチングハブ535が設置されている。また、1両目と6両目の車両511,516には運転室があり、この運転室内にモニタ541が設置されている。各車両のスイッチングハブ535は、その車両のカメラ531,532やモニタ541及び隣接する車両のスイッチングハブ535と接続されている。
【0006】
図2には、監視システム500におけるカメラ配置の例を示してある。各車両VS1〜VS6には、一方の側面に、前後2つのドア521,522及びカメラ531が配置されると共に、他方の側面に、前後2つのドア523,524及びカメラ532が配置される。すなわち、1台のカメラ531又は532で、1車両の片側の監視エリアVAを全てカバーする。
【0007】
図3には、6分割表示を行える1台のモニタ541で、最大6つのカメラ映像を同時に監視する様子を示してある。この例では、全てのカメラ映像をできる限り同じような画像で見せるようにしている。
このような分割表示に関し、カメラの割り当ては非常に簡単な方法で実現できる。
図4には、6分割表示におけるカメラ割り当ての例を示してある。モニタ541のディスプレイ領域を6つのエリアに分割し、各エリアを識別するディスプレイ番号として、“1”〜“6”のシリアル番号を左上から右下に向かう順番で割り当てる。そして、各エリアに、各車両を識別するVS番号の順にカメラ映像を配置する。VS番号は、例えば、進行方向の先頭から後方に向かう車両順に割り当てられる。
【0008】
上記のような従来の監視システムの潜在的な問題は、乗務員が如何にして、多くのカメラ映像から乗客の動きを瞬時に認識して安全にドアを制御するかである。
例えば、
図2のカメラ配置では、車両の長さとドアの位置によっては、乗務員が遠くのドア付近にいる乗客を認識することが困難になる。すなわち、車両の両端に2つのドアを離して設けてある場合、カメラから遠い方のドアの近辺では乗客の表示サイズが小さいので、乗務員はその乗客の動きを認識し難い。この対策として、特許文献1のように、ドア毎にカメラを設ける構成が考えられる。しかしながら、例えば、12両編成の列車の場合には、乗務員が監視すべきカメラ映像の数は24と非常に多く、乗務員にとって負担が大きい。このため、乗務員が迅速かつ的確に乗客の動きを認識できるように、カメラ映像の表示の仕方を工夫することが求められる。
【0009】
本発明は、上記のような従来の事情を鑑みて為されたものであり、乗務員が迅速かつ的確に乗客の動きを認識できるような仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る監視システム及び監視方法は、以下のように構成される。
(1) 列車を編成する車両の少なくともドア付近を撮像するカメラと、前記カメラによって撮影されたカメラ映像を表示するモニタとを、前記列車に搭載した監視システムにおいて、車両の両側それぞれに設けられた複数のドアの各々に対して前記カメラが配置され、前記モニタのディスプレイ領域を複数のエリアに分割し、各車両のカメラによって撮影された複数のカメラ映像を各エリアにそれぞれ割り当てて表示させる制御を行う表示制御部を備え、前記表示制御部は、前記列車の進行方向を示す情報と、前記ドアが開く側を示す情報とに基づいて、各エリアに対する前記カメラ映像の割り当てを制御することを特徴とする。
【0011】
(2) 上記(1)に記載の監視システムにおいて、前記カメラは、前記車両の両側それぞれに設けられた2つのドアに向けて2つ配置され、前記2つのカメラは、互いに向かい合うように配置されたことを特徴とする。
【0012】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記2つのカメラによって撮像された2つのカメラ映像を、前記モニタ上の隣接する2つのエリアに割り当てることを特徴とする。
【0013】
(4) 上記(3)に記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記ドアが開く側に関わらずに前記2つのカメラ映像内での前記車両の表示位置が一定になるように、各エリアに対する前記カメラ映像の割り当てを制御することを特徴とする。
【0014】
(5) 上記(4)に記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記2つのカメラ映像内での前記車両の表示位置が、前記2つのカメラ映像の中間側になるように、各エリアに対する前記カメラ映像の割り当てを制御することを特徴とする。
【0015】
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記列車における前記ドアの並びと同じ順番で前記カメラ映像が並ぶように、各エリアに対する前記カメラ映像の割り当てを制御することを特徴とする。
【0016】
(7) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記列車における前記カメラの並びと同じ順番で前記カメラ映像が並ぶように、各エリアに対する前記カメラ映像の割り当てを制御することを特徴とする。
【0017】
(8) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、逆さに取り付けられたカメラによるカメラ映像に対し、上下の反転処理を施すことを特徴とする。
【0018】
(9) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記カメラは、逆さに取り付けられている場合に、撮像したカメラ映像に対して上下の反転処理を施すことを特徴とする。
【0019】
(10) 上記(1)〜(9)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記ドアが開く側に関わらずに前記カメラ映像内での前記列車の進行方向が一定になるように、予め定められた側のドアが開かれた場合に使用するカメラ映像の全てに対し、左右の反転処理を施すことを特徴とする。
【0020】
(11) 上記(1)〜(10)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記モニタのディスプレイ領域の各エリアを識別する情報と、各車両を識別する情報と、全ての車両で同一に設定された、前記車両における前記カメラの位置を識別する情報とに基づいて、前記カメラ映像の割り当て先となる前記エリアを決定することを特徴とする。
【0021】
(12) 上記(1)〜(11)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記複数のエリアのいずれかが選択されたことに応じて、当該エリアに割り当てられたカメラ映像を拡大するように前記モニタの表示を切り替えることを特徴とする。
【0022】
(13) 上記(12)に記載の監視システムにおいて、前記表示制御部は、前記複数のエリアのいずれかが選択されたことに応じて、当該選択されたエリアに割り当てられたカメラ映像及び同じ車両の他方のカメラ映像を拡大表示し、当該拡大表示における2つのカメラ映像のいずれかが選択されたことに応じて、当該選択されたエリアに割り当てられたカメラ映像を更に拡大表示することを特徴とする。
【0023】
(14) 上記(1)〜(13)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記モニタのディスプレイ領域の各エリアには、前記カメラ映像と共に、そのカメラ映像を撮像したカメラを識別する情報が表示されることを特徴とする。
【0024】
(15) 列車を編成する車両の少なくともドア付近を撮像する複数のカメラと、前記複数のカメラによって撮影されたカメラ映像を表示するモニタとを、前記列車に搭載した監視システムによる監視方法において、前記モニタのディスプレイ領域を複数のエリアに分割して各エリアにエリアIDを設定し、前記列車の進行方向を示す情報と、前記ドアが開く側の情報と、各カメラの識別情報とに基づいて、各カメラ映像を表示するエリアIDを算出し、各カメラ映像を前記算出したエリアIDに該当するエリアに表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、乗務員が迅速かつ的確に乗客の動きを認識できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、列車を編成する車両の少なくともドア付近を撮像するカメラと、カメラによって撮影されたカメラ映像を表示するモニタとを、列車に搭載した監視システムに関する。本発明に係る監視システムは、車両の両側それぞれに設けられた複数のドアの各々に対してカメラが配置された構成であり、モニタのディスプレイ領域を複数のエリアに分割し、各車両のカメラによって撮影された複数のカメラ映像を各エリアにそれぞれ割り当てて表示させる制御を行う表示制御部を備える。表示制御部は、列車の進行方向を示す情報と、ドアが開く側を示す情報とに基づいて、各エリアに対するカメラ映像の割り当てを制御する。
【0028】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る監視システムの構成例を示す図である。
図5の監視システム100は、車両111〜116の6両で編成された列車に搭載されている。図面左方向に向かって列車が進行する場合には、左端に示す1両目の車両111が先頭となり、右端に示す6両目の車両116が最後尾となる。また逆に、図面右方向に向かって列車が進行する場合には、右端に示す6両目の車両116が先頭となり、左端に示す1両目の車両111が最後尾となる。
【0029】
監視システム100は、カメラ131〜134、スイッチングハブ135、モニタ141〜142、サーバ151、録画装置152、上位サーバ153を含む。これらの機器は、ネットワークケーブルを用いて接続される。また、これらの機器には、電源供給ケーブルが接続されており、各車両の電源供給部(不図示)から電源が供給される。
【0030】
車両111〜116の各々には、4つのカメラ131〜134と、スイッチングハブ135が設置されている。また、1両目の車両111及び6両目の車両116には運転室があり、この運転室内に2台のモニタ141〜142が設置されている。各車両のカメラ131〜134及びモニタ141〜142は、その車両のスイッチングハブ135にネットワークケーブルで接続されている。更に、1両目の車両111には、サーバ151と、録画装置152と、上位サーバ153が設置されている。サーバ151、録画装置152は、スイッチングハブ135にネットワークケーブルで接続されており、上位サーバ153は、サーバ151にネットワークケーブルで接続されている。なお、6両目の車両116にも、1両目の車両111と同様にサーバ151や上位サーバ153を設け、これらの装置を多重化してもよい。
【0031】
また、各車両のスイッチングハブ135は、隣接する車両のスイッチングハブ135とネットワークケーブルで接続されている。このように、隣り合う車両にそれぞれ搭載されたスイッチングハブ135同士を接続することで、列車内に1つのネットワークを構成している。なお、これらのネットワークケーブルは、例えば、車両床下を経由してツナギ箱(不図示)へ接続され、車両間についてはそれぞれ隣り合う車両のツナギ箱間をジャンパ線で接続する。
【0032】
上位サーバ153は、例えば、列車の運行を管理する装置である。上位サーバ153としては、一例として、TMS(Train Management System)が用いられる。上位サーバ153は、列車の運行中には、列車の運行情報をサーバ151に所定の周期で出力する。列車の運行情報には、列車速度情報、乗降ドア開閉情報(乗降用のドアが開いているか、閉じているかの情報)、次に停車する駅若しくは現在停車中の駅のプラットフォームにおける乗降口情報(例えば、左側のドアが乗降口であるか、右側のドアが乗降口であるかの情報)、車両数、列車進行方向情報などが含まれる。
【0033】
乗務員は、列車の進行方向において先頭となる車両(例えば、1両目の車両111)に搭乗し、列車の運行(運転やドアの開閉等)の操作を一人で行う。
全てのカメラ131〜134は、予め定められた視野(画角)内をそれぞれ所定の撮像フレームレートで撮像する。また、カメラ131〜134は、撮像した映像(ライブ映像)をH.264/MPEG4/JPEG等の形式で圧縮し、スイッチングハブ135とネットワークケーブルを経由して録画装置152及びモニタ141〜142に送信する。
【0034】
録画装置152は、入力されたカメラ映像を、その映像を撮像したカメラ及び撮像時刻と関連付けて常時記録している。
モニタ141〜142は、全てのカメラ131〜134のライブ映像又は録画装置152に記録した録画映像を、サーバ151の指示により、切り出しや反転等の映像処理を施して分割表示する。なお、録画映像は、主に事故や犯罪の発生等の有事の際に、解析資料や証拠映像として使用される。また、サーバ151やモニタ141〜142やカメラ131〜134や録画装置152の主な設定は、操作者が予めシステム運用開始時に設定する。ここで、本実施例では、モニタ141〜142が、分割表示を制御するための表示制御部を有しているが、サーバ151に表示制御部を設けてもよい。すなわち、サーバ151が、分割表示用の映像データを生成してモニタに送信し、モニタに表示させるようにしてもよい。
【0035】
カメラ131〜134は、自動的に、録画装置152及びモニタ141〜142に所定のフレームレートで映像を送信する。または、カメラ131〜134は、モニタ141〜142からスイッチングハブ135を介して送信される送信要求に応じて、録画装置152及びモニタ141〜142に所定のフレームレートで映像を送信する。
なお、カメラ131〜134が、映像を自動的に送信するか、モニタ141〜142からの送信要求に応じて映像を送信するかは、操作者が予めシステム運用開始時に設定することが可能である。また、乗務員が、サーバ151を操作して切り替えることも可能である。
【0036】
乗務員は、列車の進行方向において先頭となる車両にあるモニタ141〜142で、各カメラ131〜134で撮像された映像を確認することができる。すなわち、図面左方向に向かって列車が進行する場合には、1両目の車両111のモニタ141〜142でカメラ映像を確認することができ、図面右方向に向かって列車が進行する場合には、6両目の車両116のモニタ141〜142でカメラ映像を確認することができる。
【0037】
先頭となる車両にある2台のモニタ141〜142は、乗務員が両方のモニタ141〜142を同時に見ることができるように、上下若しくは左右に並べて配置することが好ましい。本実施例のモニタは、ディスプレイ領域を上下に2分割及び左右に6分割することで、合計で12分割してある。したがって、1台のモニタで、6両編成の列車のカメラ映像(列車の片側にある合計12のカメラ映像)を同時に表示できる。また、2台のモニタを併用することで、最大で12両編成の列車のカメラ映像を同時に表示できる。
【0038】
図6には、
図5の監視システム100におけるカメラ配置の例を示してある。各車両には、一方の側面に、2つのドア121,122及び2台のカメラ131,132が配置されると共に、他方の側面にも、2つのドア123,124及び2台のカメラ133,134が配置される。すなわち、1車両の片側の監視エリア(VA1,VA2)を、2台のカメラ131,132又は133,134でカバーする。カメラ131〜134としては、一例として、IPカメラの一種であるDOO(Driver Only Operation)カメラが使用される。このように、本例では、車両の両側それぞれに設けられた複数のドアの各々に対してカメラを個別に配置してある。
【0039】
ここで、プラットフォームがカーブしていると、車両とプラットフォームとの間に大きなギャップが生じることがある。プラットフォームが列車に対して凸形状に湾曲している場合には、車両間のエリアGA1(
図2参照)でギャップが生じる。また、プラットフォームが列車に対して凹形状に湾曲している場合には、車両の中間(前後2つのドアの間)部分のエリアGA2(
図2参照)でギャップが生じる。乗務員は、このようなギャップによる乗客の事故を防げるように、ギャップ近傍の乗客の動きも監視することが好ましい。しかしながら、従来の
図2のようなカメラ配置では、車両間のエリアGA2はカメラから遠すぎて死角になり、そこにギャップがあっても監視することは極めて困難である。このため、死角をできるだけ低減できるように、カメラ配置を工夫することが求められる。
【0040】
本実施例では、ドア付近、プラットフォーム、及び車両とプラットフォームとの間のギャップを撮影できるように、カメラ配置を工夫してある。具体的には、
図6に示すように、各車両の両側それぞれにある前後2つのドアの間に、2台のカメラを互いに異なる方向に向けて配置してある。また、各カメラを、ドアと車両の中央との間に、車両の中央側に向けて配置してある。すなわち、後方のドア側に向けて車体に取り付けたカメラで、当該カメラより後方の監視エリアVA1を監視する。また、前方のドア側に向けて車体に取り付けたカメラで、当該カメラより前方の監視エリアVA2を監視する。
【0041】
このようなカメラ配置により、死角の少ないカメラ配置を提供することができる。つまり、各車両のドア付近だけでなく車両間のエリアGA1を撮影することができ、エリアGA1に生じるギャップを監視できるようになる。また、
図6に示すように、これら2台のカメラを互いに向かい合うように配置することで、車両の中間部分のエリアGA2を撮影することができ、エリアGA2に生じるギャップを監視できるようになる。なお、車両の中間部分のエリアGA2を十分に撮影するためには、これら2台のカメラをある程度離して設けることが好ましい。
【0042】
図6に示すように、各車両に設けた4台のカメラ131〜134には、時計回りにD1〜D4のカメラ番号が割り当てられる。このカメラ番号は、各車両に対するカメラの位置を識別する情報であり、全ての車両で同一に設定される。具体的には、1両目〜3両目の車両では、1両目を先頭車両とした場合の右側前方にあたる図面左上を起点にして、時計回りにD1〜D4のカメラ番号が割り当てられる。また、1両目〜3両目の車両に対して前後を反転して連結される4両目〜6両目の車両では、6両目を先頭車両とした場合の右側前方にあたる図面右下を起点にして、時計回りにD1〜D4のカメラ番号が割り当てられる。
【0043】
ここで、DOOカメラを用いて監視を行う場合には、画像反転の問題がある。
図7A及び
図7Bには、DOOカメラの正面図及び側面図を示してある。DOOカメラ220は、撮像用のレンズ221を有しており、撮影対象となるドア側にレンズ221を向けて車体外壁210に取り付けられる。DOOカメラ220は、空気抵抗と砂利の衝突を減らすために平らな形状をしており、車体外壁210に対する取付面を1つしか持たない。
【0044】
このため、2つのDOOカメラを互いに異なる方向に向けて配置するには、一方のDOOカメラを180度回転させる必要がある。すなわち、D1のDOOカメラに対向するD2のDOOカメラは、D1のDOOカメラに対して180度回転させて、逆さの姿勢で車体に取り付けられる。同様に、D3のDOOカメラに対向するD4のDOOカメラは、D3のDOOカメラに対して180度回転させて、逆さの姿勢で車体に取り付けられる。したがって、
図8にカメラ映像の例を示すように、D1,D3のDOOカメラによるカメラ映像は上下が合っているが、D2,D4のDOOカメラによるカメラ映像は上下が反転してしまう。このように、DOOカメラの撮影方向と取付位置に依存して、カメラ映像が反転することになる。したがって、カメラ番号D2,D4のDOOカメラによるカメラ映像は、上下を反転させる必要がある。
【0045】
次に、本実施例の監視システム100の動作について、
図9に示す動作フローを参照して説明する。なお、各車両のカメラ131〜134は、ネットワークを介して映像配信開始や停止を制御することができる。また、モニタ141〜142は、列車の運行開始時に、サーバ151から各カメラの映像切り出し枠の情報と分割表示の制御情報を取得して記憶しており、これらの情報に基づいて分割表示を制御する。分割表示の制御情報には、モニタのディスプレイ領域の分割形式の情報や、分割された各エリアを識別するディスプレイ番号の情報などが含まれる。
【0046】
サーバ151は、上位サーバ153から受信する上述した運行情報の中の列車速度情報に基づいて、列車が駅で停車したか否かを判定する(ステップS11)。例えば、列車の速度が所定の速度以上であるか、所定の速度未満であるかを判定することで、列車が駅で停車したか否かを判断することができる。所定の速度としては、例えば3km/hを用いることができるが、これに限られず、列車が停止しているか否かを判断可能な速度であればよい。
サーバ151は、ステップS11において列車が駅で停車していると判断した場合には、運行情報の中の乗降ドア開閉情報に基づいて、車両のドアが開いているか否かを判定する(ステップS12)。
【0047】
サーバ151は、ステップS12において車両のドアが開いていると判断した場合には、モニタ141〜142に映像表示開始の指令を送信する(ステップS13)。このとき、サーバ151は、運行情報の中の乗降口情報(及び列車進行方向情報)を同時に又は連続してモニタ141〜142に送信する。
モニタ141〜142は、サーバ151から映像表示開始の指令を受信したことに応じて、複数のカメラで撮像されたカメラ映像の分割表示を行う(ステップS14)。分割表示の詳細については後述する。以降、ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
【0048】
また、サーバ151は、ステップS11において列車が駅で停車していないと判断した場合、又は、ステップS12において車両のドアが開いていないと判断した場合には、モニタ141〜142に映像表示停止の指令を送信する(ステップS15)。なお、映像表示を開始していない場合には、何もしなくてもよい。以降、ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
【0049】
ここで、本実施例の監視システム100は、モニタ上での各カメラ映像の配置を考慮して、乗務員が各カメラ映像に対応する監視エリアを簡単に認識できるような態様で分割表示を行う。一例として、進行方向の前方から後方に向かう順のカメラ映像をモニタの左上から右下に順に割り当てるロジックで、モニタにカメラ映像を配置する。
【0050】
以下に、ステップS14における分割表示の具体的な処理について説明する。以下では、モニタ141のディスプレイ領域を12分割して、6両編成の列車のカメラ映像を表示する場合を例にして説明する。なお、第1表示方式、第2表示方式、第3表示方式の3種類を説明するが、これに限られず、他の表示方式により分割表示を行ってもよい。
ここで、
図6に示すように、車両111〜116の各々を識別するVS番号として 、“1”〜“6”のシリアル番号が付されていることとする。例えば、「VS1」は1両目の車両111を示し、「VS6」は6両目の車両116を示す。また、上述したように、各車両に対するカメラの位置を識別する情報として、全ての車両で同一に設定されたカメラ番号D1〜D4が付されている。また、
図10に示すように、モニタ141のディスプレイ領域を12分割した各エリアを識別するディスプレイ番号として、“1”〜“12”のシリアル番号が左上のエリアから右下のエリアに向かう順番で付されていることとする。
【0051】
(第1表示方式)
図11には、監視システム100による分割表示に係る第1表示方式の処理フローを示してある。
モニタの表示制御部は、列車の進行方向及びドアが開く側の情報を入力する(ステップS21)。本例では、列車の進行方向の情報として、列車の接点情報を用いるが、サーバーから送信される列車進行方向情報を用いてもよい。接点情報は、進行方向の先頭となる車両でONとなり、進行方向の最後尾となる車両でOFFとなる信号である。この接点情報から、進行方向の先頭となる車両のVS番号(VS1又はVS6)を得ることができる。また、本例では、ドアが開く側の情報として、サーバーから送信される乗降口情報を用いる。
【0052】
次いで、モニタの表示制御部は、分割表示の対象となる各カメラの識別情報及び該カメラから送信されるカメラ映像を入力する(ステップS22)。本例では、カメラの識別情報として、VS番号(VS1〜VS6)と、カメラ番号(D1〜D4)とを組み合わせて用いる。分割表示の対象となるカメラは、列車の進行方向及びドアが開く側の情報から判断できる。また、モニタの表示制御部は、カメラ毎に予め設定された映像切り出し枠の情報に従って、カメラ映像の切り出しを行う。
【0053】
次いで、モニタの表示制御部は、ドアが開く側の情報に基づいて、ドアが開く側が右であるか、左であるかを判定する(ステップS23)。この判定結果に応じて、各カメラに対して設けた変数Aに設定する値が異なる。すなわち、ステップS23において右側のドアが開くと判定した場合には、D1,D3のカメラについての変数Aには“2”を設定し、D2,D4のカメラについての変数Aには“1”を設定する(ステップS24)。一方、ステップS23において左側のドアが開くと判定した場合には、D1,D3のカメラについての変数Aには“1”を設定し、D2,D4のカメラについての変数Aには“2”を設定する(ステップS25)。
【0054】
次いで、モニタの表示制御部は、列車の進行方向がVS1側(1両目方向)であるか、VS6側(6両目方向)であるかを判定する(ステップS27)。この判定結果に応じて、各カメラを割り当てるディスプレイ番号DNの算出式が異なる。すなわち、ステップS27において列車の進行方向がVS1側であると判定された場合には、下記(式1)を用いてディスプレイ番号DNを算出する(ステップS28)。一方、ステップS27において列車の進行方向がVS1側であると判定された場合には、下記(式2)を用いてディスプレイ番号DNを算出する(ステップS29)。ここで、下記(式1)及び(式2)において、nは、VS番号である。
DN=2(n−1)+A ・・・(式1)
DN=2(6−n)+A ・・・(式2)
【0055】
次いで、モニタの表示制御部は、逆さにして車両に取り付けられたD2,D4のカメラ映像に、上下の反転処理を施す(ステップS30)。
次いで、モニタの表示制御部は、ドアが開く側の各カメラ映像(D1,D3のカメラ映像はそのまま、D2,D4のカメラ映像は上下反転)を、そのカメラの識別情報に基づいて算出されたディスプレイ番号DNに該当するエリアに割り当てる(ステップS31)。
以上のように、モニタのディスプレイ領域の各エリアを識別するディスプレイ番号と、各車両を識別するVS番号と、全ての車両で同一に設定された、車両におけるカメラの位置を識別するカメラ番号とに基づいて、カメラ映像の割り当て先となるエリアを決定している。
【0056】
以上の第1表示方式により、6両編成の列車の右ドア側または左ドア側の全てのカメラ映像が、1台のモニタに12分割表示される。
図12Aには、第1表示方式による右ドア側の画面例を示してある。また、
図12Bには、第1表示方式による左ドア側の画面例を示してある。
図12A及び
図12Bに示すように、各車両の2つのカメラによるカメラ映像が、隣接する2つのエリアに割り当てられる。すなわち、カメラ映像が車両単位のセットで表示される。
【0057】
また、進行方向の先頭から後方に向かう車両順のカメラ映像が、モニタの左上のエリアから右下のエリアに向かう順に並ぶように割り当てられる。本実施例では、列車におけるドアの並びと同じ順番でカメラ映像が並ぶように割り当てを行っているが、列車におけるカメラの並びと同じ順番でカメラ映像が並ぶように割り当てを行ってもよい。これにより、実際の車両のドア又はカメラの並びと同じ順番でカメラ映像が分割表示されるので、乗務員は、監視すべき全てのエリアの乗客の動きを認識し易くなる。
また、分割表示における各カメラ映像の右上部分には、その映像を撮影したカメラの識別情報(VS番号とカメラ番号の組み合わせ)が表示される。したがって、乗務員はこの表示を見ることで、各映像がどのカメラで撮影されたのかを認識することができる。
【0058】
ここで、第1表示方式によると、同じ車両の2つのカメラによるカメラ映像が、右ドア側の画面と左ドア側の画面とで異なる見た目となる。例えば、右ドア側の画面では、同じ車両の2つのカメラによるカメラ映像が、映像間で車体同士が離れた態様で表示される(
図12Aを参照)。一方、左ドア側の画面では、同じ車両の2つのカメラによるカメラ映像が、映像間で車体同士を背中合わせに隣接させた態様で表示される(
図12Bを参照)。すなわち、同じ車両の2つのカメラ映像内での車体の表示位置が、右ドア側の画面では、これら2つのカメラ映像の両端側であるのに対し、左ドア側の画面では、これら2つのカメラ映像の中間側になっている。
このような表示の違いは、乗務員に混乱をもたらす可能性がある。乗務員が2つの隣接するカメラ映像を組み合わせて1つの映像として認識しようとする場合、乗客のドアへの移動が右ドア側の画面と左ドア側の画面とで反対方向になってしまう。
この混乱を避けるために、例えば、下記の第2表示方式を使用することができる。
【0059】
(第2表示方式)
図13には、監視システム100による分割表示に係る第2表示方式の処理フローを示してある。
第2処理方式の処理フローにおけるステップS41〜S51は、ステップS44を除いて、第1処理方式の処理フローにおけるステップS21〜S31と同じである。
第2処理方式では、ステップS43において右側のドアが開くと判定された場合に、第1処理方式のステップS24とは異なり、D1,D3のカメラについての変数Aには“1”を設定し、D2,D4のカメラについての変数Aには“2”を設定する(ステップS44)。
【0060】
図14Aには、第2表示方式による右ドア側の画面例を示してある。また、
図14Bには、第2表示方式による左ドア側の画面例を示してある。第2表示方式によると、右ドア側の画面と左ドア側の画面のいずれも、同じ車両の2つのカメラによるカメラ映像が、映像間で車体同士を背中合わせに隣接させた態様で表示される。なお、これとは逆に、同じ車両の2つのカメラによるカメラ映像が、映像間で車体同士が離れた態様で表示されるようにしてもよい。この場合は、ステップS44,S45における変数Aの設定を逆にするだけで実現できる。
【0061】
以上の第2表示方式により、同じ車両の2つのカメラ映像内での車体の表示位置が、これら2つのカメラ映像を表示する隣接する2つのエリアの中間側または両端側に統一される。すなわち、ドアが開く側に関わらず、2つのカメラ映像内での車両の表示位置が一定に、各エリアに対するカメラ映像の割り当てを制御する。これにより、ドアに向かう(又はドアから出てきた)乗客の移動方向を、右ドア側の画面と左ドア側の画面とで同じにすることができる。特に、2つのカメラ映像内での車両の表示位置が、これら2つのカメラ映像の中間側に統一されるように割り当てを行うことで、乗務員は同じ車両の2つのカメラ映像を1つの映像として認識し易くなり、監視効率が向上する。したがって、乗務員は、監視すべき全てのエリアの乗客の動きをより早く且つ的確に認識できるようになる。
【0062】
ここで、第2表示方式では、分割表示における列車の進行方向が、右ドア側の画面と左ドア側の画面とで異なる。例えば、右ドア側の画面では、分割表示における列車の進行方向は左から右になる(
図15Aを参照)。一方、左ドア側の画面では、分割表示における列車の進行方向は右から左になる(
図15Bを参照)。
このような表示の違いは、乗務員による乗客の安全確認の妨げにはならないが、より好ましいレイアウトを得るために、例えば、下記の第3表示方式を使用することができる。
【0063】
(第3表示方式)
図16には、監視システム100による分割表示に係る第3表示方式の処理フローを示してある。
第3処理方式の処理フローにおけるステップS61〜S71は、ステップS64,S66を除いて、第2処理方式の処理フローにおけるステップS41〜S51と同じである。
第3処理方式では、モニタの表示制御部は、ステップS63で右側のドアが開くと判定された場合に、第1処理方式のステップS24と同様に、D1,D3のカメラについての変数Aには“2”を設定し、D2,D4のカメラについての変数Aには“1”を設定し(ステップS64)、更に、全てのカメラ映像に左右の反転処理を施す(ステップS66)。すなわち、ドアが開く側に関わらずに、カメラ映像内での列車の進行方向が一定になるように、予め定められた側のドアが開かれた場合に使用するカメラ映像の全てに対して左右の反転処理を施している。
【0064】
図17Aには、第3表示方式による右ドア側の画面例を示してある。また、
図17Bには、第3表示方式による左ドア側の画面例を示してある。第3表示方式によると、右ドア側の画面と左ドア側の画面のいずれも、同じ車両の2つのカメラによるカメラ映像が、映像間で車体同士を背中合わせに隣接させた態様で表示される。乗務員は、監視すべき全てのエリアの乗客の動きをより早く且つ的確に認識できるようになる。
【0065】
更に、第3表示方式では、分割表示における列車の進行方向を、右ドア側の画面と左ドア側の画面とで一致させることができる。すなわち、右ドア側の画面の例を
図18Aに示し、左ドア側の画面の例を示す
図18Bに示すように、分割表示における列車の進行方向が右から左に統一されている。これにより、第2表示方式のような分割表示における列車の進行方向の違いを解消することができる。したがって、乗務員は、監視すべき全てのエリアの乗客の動きの確認をより効率的に行える。
【0066】
上記のように、第3表示方式は第2表示方式に対して利点を備えている。しかしながら、第2表示方式も第3表示方式に対して利点を備えている。それは、第2表示方式では、カメラ映像の左右の反転処理が不要なことである。カメラ映像の反転は処理負担が比較的大きいため、処理時間が掛かることが考えられる。リアルタイム監視を要求される監視システムには、第3表示方式よりも第2表示方式の方が適している。
【0067】
なお、上記の実施例では、カメラ映像の切り出し処理や上下の反転処理をモニタで行っているが、これらの処理を各カメラが行ってもよい。この場合には、各カメラが、映像切り出し枠の情報や上下反転の必要の有無を示す情報を予め保持し、又は、モニタやサーバから受信して、処理を行えばよい。すなわち、例えば、取付姿勢を逆さにしたカメラに対して、上下反転の必要がある旨を示す情報を予め保持させておき、或いは該情報をモニタやサーバから送信して、その情報に基づいてカメラ自身がカメラ映像の上下の反転処理を行うようにしてもよい。これにより、カメラの負荷が多少大きくなるが、ネットワーク及びモニタの負荷を軽減することができる。
【0068】
また、上記の実施例では、2台のモニタ141〜142のディスプレイ領域をそれぞれ12分割しており、12車両編成まで対応しているが、これに限定されない。
例えば、列車の車両数に応じて、ディスプレイ領域の分割数を変化させてもよい。一例として、
図19に示すように、2台のモニタ141〜142のディスプレイ領域をそれぞれ8分割するようにしてもよい。この場合には、8両編成の列車のカメラ映像をモニタに無駄なく表示することができる。
【0069】
また、
図20に示すように、3台のモニタ141〜143(又はそれ以上)を用いてもよい。また、左右に並べた複数台のモニタを1台のモニタに見立ててディスプレイ番号を割り振ってもよい。すなわち、
図20に示すように、例えば、“1”〜“24”のディスプレイ番号を、モニタ141の上段のエリア、モニタ142の上段のエリア、モニタ143の上段のエリア、モニタ141の下段のエリア、モニタ142の下段のエリア、モニタ143の下段のエリアの順に割り振ってもよい。
【0070】
また、カメラ映像の拡大機能を設けるようにしてもよい。例えば、モニタ141に複数のカメラ映像が分割表示された状態で、いずれかカメラ映像が選択操作(例えば、タッチ操作)されると、モニタ141を左右2分割に切り替えて、選択操作されたカメラ映像及び同じ車両の他方のカメラ映像を拡大して左右に並べて表示する。または、モニタ141の表示はそのままで、モニタ142を左右2分割に切り替えて、選択操作されたカメラ映像及び同じ車両の他のカメラ映像を拡大して左右に並べて表示する。その後、モニタ141(又はモニタ142)に左右2分割で表示されたカメラ映像のいずれかが選択操作されると、選択操作されたカメラ映像のみを更に拡大した表示に切り替える。これにより、乗務員は、気になったカメラ映像について、より詳細に確認できるようになる。
【0071】
上記のような種々の形式の分割表示に対応するには、分割表示の制御情報(モニタのディスプレイ領域の分割形式の情報や、分割された各エリアを識別するディスプレイ番号の情報などを含む)を複数パターン用意しておき、車両数や拡大表示の指示等に応じて適用する分割表示の制御情報を切り替えればよい。
【0072】
なお、上記の実施例では、
図6に示すように、カメラD1とD2、カメラD3とD4をそれぞれ対向するように2つのドアの間に設けたが、カメラD1〜D4の設置位置は本発明において限定されるものではなく、種々変更してもよい。例えば、
図6において、カメラD1,D4をそれぞれドア121,124より車両先頭側に設置し、カメラD2,D3をそれぞれドア122,124より車両最後尾側に設置してもよい。この場合、例えば、
図11のステップS24,S25における変数Aは、カメラD1とD2、カメラD3とD4でそれぞれ逆になる。
【0073】
また、カメラD1とD2、カメラD3とD4をそれぞれ同じ方向に設置して互いに異なるドアを撮影するように構成してもよい。例えば、
図21に示すように、カメラD1,D4をそれぞれドア121,124より車両先頭側に設置してドア121,124を撮影するともに、カメラD2,D3をカメラD1,D4と同じ方向でそれぞれドア123,124の車両先頭側に設置してドア122,123を撮影するように構成してもよい。この場合、カメラD2,D4の映像を上下反転させる代わりに、カメラD3,D4の映像を上下反転させる処理が必要になる。更に、例えば、
図11のステップS24,S25にける変数Aは、カメラD1とD2、カメラD3とD4でそれぞれ逆になる。
【0074】
更に、上記の実施例では、車両の各側面にドアが2つ設けられた例を挙げて説明したが、ドアの数は本発明において限定されるものではなく、ドアが車両の各側面に3つ以上あってもよい。この場合、上記の実施例の分割表示とするためには、列車の進行方向、ドアが開く側の情報、各カメラの識別情報(VS番号及びカメラ番号)に基づいて、モニタ上のドア映像の並び方が上記の実施例と同じになるように、ディスプレイ番号DNの算出式と変数Aを設定すればよい。
【0075】
この場合には、車両数をV、車両片側のドア数(カメラ数)をD、VS番号をnとして、下記(式3)又は(式4)によりディスプレイ番号DNを算出できる。
DN=D(n−1)+A ・・・(式3)
DN=D(V−n)+A ・・・(式4)
ここで、変数Aは、車両におけるカメラの位置に応じて、1〜Dのいずれかの整数値をとる。また、上記(式3)又は(式4)のいずれを用いるかは、列車の進行方向に応じて決定される。
【0076】
一例として、
図22のような配置で、車両の各側面にドア及びカメラが4つずつある場合における変数Aの設定について説明する。
図22では、1両目の車両311のみを代表して示してある。車両311は、一方の側面に4つのドア321〜324と4つのカメラ331〜334を有し、他方の側面に4つのドア325〜328と4つのカメラ335〜338を有する。各カメラは、車両の両側それぞれに、前方2つのドアの間に互いに向き合うように2つ配置されると共に、後方2つのドアの間に互いに向き合うように配置されている。また、各カメラには、時計回りにD1〜D8のカメラ番号が割り当てられている。この場合には、例えば、右側のドアが開く場合には、D1,D5に係る変数Aに “2”、D2,D6に係る変数Aに “1”、D3,D7に係る変数Aに “4”、D4,D8に係る変数Aに “3”を設定し、左側のドアが開く場合には、D1,D5に係る変数Aに “3”、D2,D6に係る変数Aに “4”、D3,D7に係る変数Aに “1”、D4,D8に係る変数Aに “2”を設定を設定すればよい。
【0077】
以上のように本発明では、モニタのディスプレイ領域を複数のエリアに分割して各エリアにエリアID(実施例におけるディスプレイ番号)を設定し、列車の進行方向を示す情報と、ドアが開く側の情報と、各カメラの識別情報(VS番号及びカメラ番号)とに基づいて、各カメラ映像を表示するエリアIDを算出し、各カメラ映像を算出したエリアIDに該当するエリアに表示する。
【0078】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。
また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法や方式、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【0079】
一例として、モニタの表示を制御する表示制御部は、モニタやサーバのコンピュータ上で所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。すなわち、例えば、表示制御部を構成するコンピュータのプロセッサが、ハードディスクやフラッシュメモリ等のデータ記憶装置に記憶されているプログラムをメモリ上に読み出して実行することで、表示制御部を実現してもよい。