【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る温風乾燥機は、本体ケース1に送風ファン4と、同ファン4を回転駆動するモーター5と、送風ファン4から送給される空気を加熱するヒーター6が設けられている。温風乾燥機の運転モードが、モーター5およびヒーター6を駆動して温風を送給する温風モードと、モーター5のみを駆動して冷風を送給する冷風モードを備えている。本体ケース1の外面に、温風モードにおいて発光表示する温風モード表示体31〜34と、冷風モードにおいて発光表示する冷風モード表示体35が設けられている。温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35を隣接配置している。
【0007】
本発明に係る温風乾燥機は、温風モードが、温風温度の異なる複数の温風モードを備えている。各温風モードに対応して複数個の温風モード表示体31〜34が設けられている。複数個の温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35を直線列状に配置している。
【0008】
本発明に係る温風乾燥機は、温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35が配置されている本体ケース1の外面に、モード切換えスイッチ9を配置している。
【0009】
本発明に係る温風乾燥機は、温風モード表示体31〜34とモード切換えスイッチ9の間に、冷風モード表示体35を配置して、温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35とモード切換えスイッチ9を直線列状に配置している。
【0010】
本発明に係る温風乾燥機は、モード切換えスイッチ9をオン操作するごとに複数の温風モードを切り換え可能に構成している。
【0011】
本発明に係る温風乾燥機は、モード切換えスイッチ9をオン操作するごとに温風温度が高い温風モードから温風温度が低い温風モードへと順に移行可能に構成されている。
【0012】
本発明に係る温風乾燥機は、複数の温風モードにおいて、冷風スイッチ13をオン操作すると冷風モードに切り換るように構成されている。冷風モードにおいて冷風スイッチ13をオン操作するか、モード切換えスイッチ9をオン操作すると、温風モードに切り換えることができる。
【0013】
本発明に係る温風乾燥機は、モード切換えスイッチ9と、温風モードで運転されている温風乾燥機を冷風モードに切換える冷風スイッチ13を、本体ケース1およびハンドル3からなるケース構造の離れた位置に配置している。
【0014】
本発明に係る温風乾燥機は、本体ケース1に温風モード表示体31〜34と、冷風モード表示体35と、モード切換えスイッチ9が配置され、ハンドル3に冷風スイッチ13が配置されている。
【0015】
本体ケース1に送風ファン4と、同ファン4を回転駆動するモーター5と、送風ファン4から送給される空気を加熱するヒーター6と、モーター5およびヒーター6の作動状態を制御する制御部29が設けてある。制御部29は、ヒーター6で加熱された温風の温度を検知する温度センサー25の検知信号、および、ヒーター6の熱出力を調整するコントローラー12の調整信号を受けてモーター5およびヒーター6の駆動状態を制御する。詳しくは、制御部29は、モーター5およびヒーター6が駆動される運転状態において、コントローラー12から出力された調整信号に応じてヒーター6の熱出力を調整して、温風温度を増減調整できる。ヒーター6の熱出力が増減変化する状態において、制御部29が温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を自動的に増減調整して温風温度を一定に保持するように構成してある。
【0016】
ユーザーによるコントローラー12の調整速度の違いによって、調整信号の調整速度が所定値を下回る緩速調整と、調整信号の調整速度が所定値を上回る急速調整とがある。制御部29は、コントローラー12の調整状態が緩速調整である場合には、温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を大小に調整する常態制御を行って、温風温度を一定に保持するように構成してある。また、コントローラー12の調整状態が急速調整である場合には、制御部29が常態制御から離脱して、所定時間が経過するまでの間予め設定された補正制御へ移行して温風温度を補正し、所定時間が経過したのち常態制御へ復帰して温風温度を一定に保持するように構成してある。
【0017】
コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が低下する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
【0018】
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%を越える急速低下調整である場合には、制御部29が常態制御から補正制御へ移行し、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
【0019】
コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が増加する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最大化して、所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
【0020】
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%を越える急速増加調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
【0021】
コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が低下する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰するように構成されている。また、コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が増加する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最大化して所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
【0022】
コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合のモーター5の駆動時間T1と、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合のモーター5の駆動時間T2は、不等式(T1<T2)を満足するように設定してある。
【0023】
コントローラー12が急速低下調整されたのち、所定時間T1内にコントローラー12が急速増加調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するように構成してある。
【0024】
コントローラー12が急速増加調整されたのち、一定時間T2内にコントローラー12が急速低下調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するように構成してある。
【0025】
本体ケース1に複数の温度センサー25を設ける。複数の温度センサー25のうち、最も高い温度を検知した温度センサー25の検知信号に基づき、制御部29が送風ファン4およびヒーター6の駆動状態を制御する。
【0026】
温風乾燥機の運転モードが、モーター5およびヒーター6を駆動して温風を送給する温風モードと、モーター5のみを駆動して冷風を送給する冷風モードを備えている。運転モードが、冷風モードから温風モードに切換えられた状態において、制御部29が補正制御に移行してヒーター6の熱出力を最大出力化して所定時間T3だけ駆動したのち、常態制御に移行して温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を調整するように構成してある。
【0027】
急速低下調整時のヒーター6の駆動時間T1と、急速増加調整時のヒーター6の駆動時間T2と、補正制御におけるヒーター6の駆動時間T3は、不等式(T1>T3>T2)を満足するように設定する。
【0028】
図3に示すように、本体ケース1の外面に、温風モードにおいて発光表示する温風モード表示体31〜34と、冷風モードにおいて発光表示する冷風モード表示体35を設ける。温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35は隣接配置する。
【0029】
温風モードが複数の温風モードで構成されて、各温風モードに対応して複数個の温風モード表示体31〜34が設けてある。温風モード表示体31〜34に隣接してモード切換えスイッチ9を配置する。
【0030】
温風モード表示体31〜34とモード切換えスイッチ9の間に、冷風モード表示体35を配置する。
【0031】
温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35は直線列状に配置する。
【0032】
モード切換えスイッチ9と、温風モードで運転されている温風乾燥機を冷風モードに切換える冷風スイッチ13は、本体ケース1およびハンドル3からなるケース構造の離れた位置に配置する。
【0033】
図2に示すように、本体ケース1に温風モード表示体31〜34と、冷風モード表示体35と、モード切換えスイッチ9を配置し、ハンドル3に冷風スイッチ13を配置する。
【0034】
ヒーター6は、絶縁性を備えた板状のヒーター基板22と、ヒーター基板22に螺旋状に巻掛けられるヒーター線23で構成する。温度センサー25は、検知部25aと一対のリード部25bを備えたラジアルリード型のサーミスタからなる。
図4に示すように、温度センサー25は、一対のリード部25bがヒーター基板22の表面と裏面に位置する状態でヒーター基板22の端子26に固定する。
【0035】
複数のヒーター基板22を交差させて、各基板22の周囲にヒーター線23を螺旋状に巻掛ける。温度センサー25のリード部25bを、ヒーター基板22の交差基部に設けた端子26に固定して、検知部25aを風下側のヒーター線23と正対する状態で配置する。
【0036】
図8に示すように、コントローラー12は、スライド式の可変抵抗器39と、ハンドル3に装着されて可変抵抗器39の操作部39aを往復操作するスライドノブ40を備えている。ハンドル3には、スライドノブ40をスライド案内するガイド部41と、スライドノブ40に摩擦抵抗を付与する抵抗壁42を設ける。スライドノブ40は、ガイド部41でスライド案内されるノブ本体43と、抵抗壁42に摺接する弾性スライド腕45を備えている。往復操作されるスライドノブ40に対して、弾性スライド腕45と抵抗壁42の間の摩擦抵抗を作用させて、スライドノブ40に操作抵抗を付与する。
【0037】
弾性スライド腕45の往復ストロークの両端に臨む抵抗壁42に、弾性スライド腕45の弾性変形量を増加する増摩擦部48を設ける。
【発明の効果】
【0038】
本発明の温風乾燥機は、温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35を隣接配置しているので、表示部を一瞥するだけで現在の運転モードを判別できる。
【0039】
本発明の温風乾燥機は、複数個の温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35を直線列状に配置しているので、各表示体31〜35の発光状況を直視する場合はもちろん、鏡に映っている各表示体31〜35の発光状況を間接的に視認する場合でも、現在の運転モードを明確に判別でき、勘違いを生じる余地がない。
【0040】
本発明の温風乾燥機は、温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35が配置されている本体ケース1の外面に、モード切換えスイッチ9を配置しているので、表示部を視認しながらモード切換えスイッチ9を操作できる。
【0041】
本発明の温風乾燥機は、温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35とモード切換えスイッチ9を直線列状に配置しているので、表示部を視認しながらモード切換えスイッチ9を操作できる。
【0042】
本発明の温風乾燥機は、モード切換えスイッチ9をオン操作するごとに複数の温風モードを切り換え可能に構成しているので、モード切換えスイッチ9をオン操作するごとに温風モードを切り換えることができる。
【0043】
本発明の温風乾燥機は、モード切換えスイッチ9をオン操作するごとに温風温度が高い温風モードから温風温度が低い温風モードへと順に移行可能に構成されているので、モード切換えスイッチ9をオン操作するごとに温風温度が高い温風モードから温風温度が低い温風モードへと順にモードを移行することができる。
【0044】
本発明の温風乾燥機は、冷風モードにおいて冷風スイッチ13をオン操作するか、モード切換えスイッチ9をオン操作すると、温風モードに切り換えることができるので、冷風スイッチ13か、モード切換えスイッチ9のいずれかのスイッチ操作で温風モードに復帰させることができる。
【0045】
本発明の温風乾燥機は、モード切換えスイッチ9と、温風モードで運転されている温風乾燥機を冷風モードに切換える冷風スイッチ13を、本体ケース1およびハンドル3からなるケース構造の離れた位置に配置しているので、ユーザーの操作ミスや勘違いによる運転モードの切換え間違いを避けることができる。
【0046】
本発明の温風乾燥機は、本体ケース1に温風モード表示体31〜34と、冷風モード表示体35と、モード切換えスイッチ9が配置され、ハンドル3に冷風スイッチ13が配置されているので、ハンドル3を片手で握り締めた状態において、空いている側の手でモード切換えスイッチ9を操作して運転モードを切換えることができる。また、ハンドル3を片手で握り締めた状態において、握り位置を変え、あるいは握り締めた状態のまま親指で冷風スイッチ13を操作して、冷風モードに切換え、あるいは冷風モードから温風モードへ切換えることができる。従って、モード切換えスイッチ9または冷風スイッチ13を操作するとき、操作すべきスイッチを間違える余地がなく、運転モードの切換えをさらに確実に行うことができる。
【0047】
温風乾燥機は、制御部29が温度センサー25の出力信号、およびコントローラー12の調整信号を受けてモーター5およびヒーター6の駆動状態を制御するようにした。詳しくは、制御部29は、モーター5およびヒーター6が駆動される運転状態において、コントローラー12から出力される調整信号に応じてモーター5の駆動回転数を調整して、送風ファン4の送風量を増減調整できるようにした。そのうえで、制御部29は送風ファン4の送風量が増減する状態において、温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を自動的に増減調整して、送風ファン4の送風量の増減とは無関係に温風温度を一定に保持できるように構成した。
【0048】
上記のような制御部29を備えた温風乾燥機によれば、環境温度とは無関係に温風乾燥機の温風温度の調整を自動的に行って、複数の髪処理状態に適合した風量と温度の温風を供給できる。また、ユーザーがコントローラー12を操作して、送風ファン4の送給風量を好みの風量に調整した場合であっても、送風ファン4の送給風量の変化とは無関係に、制御部29が温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を自動的に増減調整して、温風温度を一定に保持できる。
【0049】
制御部29は、コントローラー12の調整状態が緩速調整である場合には、温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を増減調整する常態制御を行って、温風温度を一定に保持する。このように、コントローラー12が緩速調整される場合に常態制御を行うのは、緩速調整に伴うモーター5の駆動回転数の変化幅が小さいため、モーター5の調整動作に確実に追随してヒーター6の熱出力を常態制御で的確に制御できるからである。また、コントローラー12の調整状態が急速調整である場合に補正制御を行うと、モーター5の調整動作に見合う状態でヒーター6の熱出力を適切に制御して、温風乾燥機から送給される温風の温度を目標温度に近づけて、温風温度を一定に保持できるからである。なお、コントローラー12が急速調整されるとき常態制御を継続した場合には、コントローラー12の調整動作に追随してヒーター6の熱出力を迅速に制御できず、温風乾燥機から送給される温風の温度が目標温度から大きく外れてしまう。
【0050】
コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行して、ヒーター6の熱出力を最小出力化して所定時間T1だけ駆動すると、モーター5の駆動回転数の急激な低下に対応してヒーター6の熱出力を低下できる。これにより、ヒーター6がオーバーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T1が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。ヒーター6の熱出力を最小出力化する場合には、ヒーター6に供給される駆動電流を停止し、あるいは駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を減少する。
【0051】
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速低下調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してヒーター6の熱出力を最小出力化すると、ヒーター6の熱出力が不必要に大きく調整されるのを防止できる。例えば、コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの30%である場合に、補正制御を行ってヒーター6の熱出力を最小出力化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、温風乾燥機から送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。
【0052】
コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行して、ヒーター6の熱出力を最大出力化して所定時間T2だけ駆動すると、モーター5の駆動回転数の急激な増加に対応してヒーター6の熱出力を増加できる。これにより、ヒーター6がアンダーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T2が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。ヒーター6の熱出力を最大出力化する場合には、ヒーター6に供給される駆動電流を最大にし、あるいは駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を増加する。
【0053】
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速増加調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してヒーター6の熱出力を最大出力化すると、ヒーター6の熱出力が不必要に大きく調整されるのを防止できる。例えば、コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの20%である場合に、補正制御を行ってヒーター6の熱出力を最大出力化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、温風乾燥機から送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。
【0054】
コントローラー12が急速低下調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してヒーター6の熱出力を最小出力化し、コントローラー12が急速増加調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してヒーター6の熱出力を最大出力化するようにした。こうした制御形態によれば、コントローラー12による全ての急速調整動作に対応してヒーター6の熱出力を好適化して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持できる。
【0055】
コントローラー12が急速低下調整されるときのヒーター6の駆動時間T1と、コントローラー12が急速増加調整されるときのヒーター6の駆動時間T2が、不等式(T1>T2)を満足するように設定してあるのは次の理由による。熱出力が最大出力化された状態のヒーター6の温度は、最大出力化される直前の、すでに加熱されて大きな熱量を保持している状態からさらに加熱されて、熱量の増加度合が大きくなる。そのため、より短い時間で目標温度に近づけることができ、オーバーシュートに陥りやすい。そこで、補正制御から常態制御へ早く移行することで、オーバーシュートに陥るのを確実に避けている。従って、時間T1と時間T2の関係は(T1>T2)であればよい。
【0056】
コントローラー12が急速低下調整されたのち、所定時間T1内にコントローラー12が急速増加調整される場合に、制御部29がヒーター6の熱出力を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速低下調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってヒーター6の熱出力を最小出力化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T1が経過する前に、コントローラー12が急速増加調整されると、ヒーター6の温度が低下する補正制御が終了する前に、温度が増加する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、ヒーター6の熱出力が最大出力化されるため、ヒーター6がオーバーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はヒーター6の熱出力を最大出力化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
【0057】
コントローラー12が急速増加調整されたのち、所定時間T2内にコントローラー12が急速低下調整される場合に、制御部29がヒーター6の熱出力を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速増加調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってヒーター6の熱出力を最大出力化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T2が経過する前に、コントローラー12が急速低下調整されると、ヒーター6の温度が増加する補正制御が終了する前に、温度が低下する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、ヒーター6の熱出力が最小出力化されるため、ヒーター6がアンダーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はヒーター6の熱出力を最小出力化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
【0058】
別の温風乾燥機は、制御部29が温度センサー25の出力信号、およびコントローラー12の調整信号を受けてモーター5およびヒーター6の駆動状態を制御するようにした。詳しくは、制御部29は、モーター5およびヒーター6が駆動される運転状態において、コントローラー12から出力される調整信号に応じてヒーター6の熱出力を調整して、温風温度を増減調整できるようにした。そのうえで、制御部29はヒーター6の熱出力が増減する状態において、温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を自動的に増減調整して、ヒーター6の熱出力の変化とは無関係に温風温度を一定に保持できるように構成した。
【0059】
上記のような制御部29を備えた温風乾燥機によれば、環境温度とは無関係に温風乾燥機の温風温度の調整を自動的に行える。また、ユーザーがコントローラー12を操作して、送風温度を好みの温度に調整した場合であっても、制御部29が温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を自動的に増減調整して、温風温度を一定に保持できる。
【0060】
制御部29は、コントローラー12の調整状態が緩速調整である場合には、温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を増減調整する常態制御を行って、温風温度を一定に保持する。このように、コントローラー12が緩速調整される場合に常態制御を行うのは、緩速調整に伴うヒーター6の熱出力の変化幅が小さく、ヒーター6の調整動作に確実に追随してモーター5の駆動回転数を常態制御で的確に制御できるからである。また、コントローラー12の調整状態が急速調整である場合に補正制御を行うと、ヒーター6の調整動作に見合う状態でモーター5の駆動回転数を適切に制御して、温風乾燥機から送給される温風の温度を目標温度に近づけて、温風温度を一定に保持できるからである。なお、コントローラー12が急速調整されるとき常態制御を継続した場合には、コントローラー12の調整動作に追随してモーター5の駆動回転数を迅速に制御できず、温風乾燥機から送給される温風の温度が目標温度から大きく外れてしまう。
【0061】
コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1だけ駆動すると、ヒーター6の熱出力の急激な低下に対応してモーター5の駆動回転数を低下できる。これにより、ヒーター6がアンダーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T1が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。モーター5の駆動回転数を最小化する場合には、モーター5に供給される駆動電流を停止し、あるいは駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を減少する。
【0062】
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速低下調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最小化すると、モーター5の駆動回転が不必要に大きく調整されるのを防止できる。例えば、コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの30%である場合に、補正制御を行ってモーター5の駆動回転を最小出力化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、温風乾燥機から送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。
【0063】
コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行し、モーター5の駆動回転数を最大化して所定時間T2だけ駆動すると、ヒーター6の熱出力の急激な増加に対応してモーター5の駆動回転数を増加できる。これにより、ヒーター6がオーバーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T2が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。モーター5の駆動回転数を最大出力化する場合には、モーター5に供給される駆動電流を最大にし、あるいは駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を増加する。
【0064】
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速増加調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最大化すると、モーター5の駆動回転数が不必要に大きく調整されるのを防止できる。例えば、コントローラー12の単位時間当たりの調整量が、コントローラー12の調整ストロークの20%である場合に、補正制御を行ってモーター5の駆動回転数を最大化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、温風乾燥機から送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。
【0065】
コントローラー12が急速低下調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最小化し、コントローラー12が急速増加調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最大化するようにした。こうした制御形態によれば、コントローラー12による全ての急速調整動作に対応してモーター5の駆動回転数を好適化して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持できる。
【0066】
コントローラー12が急速低下調整されるときのモーター5の駆動時間T1と、コントローラー12が急速増加調整されるときのモーター5の駆動時間T2が、不等式(T1<T2)を満足するように設定してあるのは次の理由による。コントローラー12が急速増加調整される場合には、ヒーター6の熱出力が急激に増加する。そのため、モーター5の駆動時間T2を長くすることで、温風乾燥機から送給される温風の温度をより短い時間で目標温度に近づけることができる。従って、時間T1と時間T2の関係は(T1<T2)であればよい。
【0067】
コントローラー12が急速低下調整されたのち、所定時間T1内にコントローラー12が急速増加調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速低下調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってモーター5の駆動回転数を最小化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T1が経過する前に、コントローラー12が急速増加調整されると、モーター5の駆動回転数が最小化する補正制御が終了する前に、モーター5の駆動回転数が増加する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、モーター5の駆動回転数が最大化されるため、ヒーター6がアンダーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はモーター5の駆動回転数を最大化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
【0068】
コントローラー12が急速増加調整されたのち、所定時間T2内にコントローラー12が急速低下調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速増加調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってモーター5の駆動回転数を最大化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T2が経過する前に、コントローラー12が急速低下調整されると、モーター5の駆動回転数が増加する補正制御が終了する前に、モーター5の駆動回転数が低下する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、モーター5の駆動回転数が最小化されるため、ヒーター6がオーバーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はモーター5の駆動回転数を最小化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
【0069】
複数の温度センサー25で温風温度を検知するのは、より高い温度を検知した温度センサー25の検知信号に基づき、送風ファン4およびヒーター6の駆動状態を制御部29で制御して温風乾燥機の安全性を高めるためである。
【0070】
運転モードが、冷風モードから温風モードに切換えられた状態において、制御部29が補正制御に移行してヒーター6の熱出力を最大出力化して所定時間T3だけ駆動すると、温風温度の立ち上がりを急激にして目標温度に復帰する時間を短縮できる。また、所定時間T3が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持できる。
【0071】
ヒーター6の駆動時間T1・T2・T3の関係が不等式(T1>T3>T2)を満足するように設定するのは、冷風モードから温風モードへ復帰するときヒーター6がオーバーシュートに陥るのを防止しながら、温風モードへ復帰したときの温風温度の立ち上がりを迅速化するためである。なお、T1=<T3とした場合には、ヒーター6の発熱時間が大きい分だけ発熱量が余分になり、オーバーシュートに陥りやすい。また、T3=<T2とした場合には、ヒーター6の発熱時間が少ない分だけ発熱量が不足し、温風モードへ復帰したときの温風温度が、目標温度になるまでの時間が長引く。
【0072】
温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35が隣接配置してあると、各LED31〜35の点灯個数と、発光色の違いを一瞥するだけで現在の運転モードを明確に判別できる。
【0073】
複数個の温風モード表示体1〜34に隣接してモード切換えスイッチ9を近接配置すると、各表示体31〜34を一瞥するだけで現在の運転モードを明確に判別できる。
【0074】
温風モード表示体31〜34とモード切換えスイッチ9の間に、冷風モード表示体35を配置すると、ユーザーは見間違うこともなく冷風モードであることを確認できる。とくに、冷風モード表示体35の発光色が温風モード表示体31〜34の発光色と大きく異ならせてある場合には、間違いなく冷風モードであることを確認できる。
【0075】
温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35を直線列状に配置すると、各表示体31〜35の発光状況を直視する場合はもちろん、鏡に映っている各表示体31〜35の発光状況を間接的に視認する場合でも、現在の運転モードを明確に判別でき、勘違いを生じる余地がない。
【0076】
モード切換えスイッチ9と冷風スイッチ13をケース構造の離れた位置に配置すると、ユーザーの操作ミスや勘違いによる運転モードの切換え間違いを避けることができる。
【0077】
本体ケース1に温風モード表示体31〜34と、冷風モード表示体35と、モード切換えスイッチ9を配置し、ハンドル3に冷風スイッチ13を配置すると、ハンドル3を片手で握り締めた状態において、空いている側の手でモード切換えスイッチ9を操作して運転モードを切換えることができる。また、ハンドル3を片手で握り締めた状態において、握り位置を変え、あるいは握り締めた状態のまま親指で冷風スイッチ13を操作して、冷風モードに切換え、あるいは冷風モードから温風モードへ切換えることができる。従って、モード切換えスイッチ9または冷風スイッチ13を操作するとき、操作すべきスイッチを間違える余地がなく、運転モードの切換えをさらに確実に行うことができる。
【0078】
温度センサー25をラジアルリード型のサーミスタで構成し、一対のリード部25bがヒーター基板22の表面と裏面に位置する状態で、温度センサー25をヒーター基板22の端子26に固定すると、一対のリード部25bをヒーター基板22で隔離できるので、一対のリード部25bが接触して短絡するのを確実に防止できる。また、一対のリード部25bをヒーター基板22で強固に支持して、使用時に検知部25aがずれ動くのを確実に防止できる。
【0079】
温度センサー25のリード部25bを、ヒーター基板22の交差基部に設けた端子26に固定して、検知部25aを風下側のヒーター線23と正対させると、ヒーター線23に接触して加熱された直後の温風の温度を的確に検知することができる。
【0080】
スライド式の可変抵抗器39とスライドノブ40を備えたコントローラー12において、往復操作されるスライドノブ40に対して、弾性スライド腕45と抵抗壁42の間の摩擦抵抗を作用させると、スライドノブ40を任意の調整位置において停止保持できる。また、スライドノブ40に適度の操作抵抗を付与することにより、スライドノブ40が過度にスライド操作されるのを抑止して、調整時の操作感を円滑で歯切れのよいものにできる。
【0081】
弾性スライド腕45の往復ストロークの両端に臨む抵抗壁42に、弾性スライド腕45の弾性変形量を増加する増摩擦部48を設けると、スライドノブ40の往復ストロークの上下端において、弾性スライド腕45の弾性変形量を増加して操作抵抗を増加できる。従って、スライドノブ40が急操作される場合でも、可変抵抗器39の操作部39aがスライド溝49の溝端に衝撃的に衝突するのを確実に防止できる。