(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持体における前記挿入部とは反対側の部分に、前記吊り下げ機構を作動させる為の手動昇降操作部が備えられている請求項4又は5に記載の荷物保持用のハンド部。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ビールケース等のハードケースの荷物が想定されており、ハンド部の下側部を荷物の横壁部の開口部に挿入することによって、ハンド部により荷物を保持することが想定されている。
これに対して、例えば米袋やセメント袋等のように、粉粒体を入れた布製や紙製、ビニール製等の形状が変化し易い袋状の荷物があり、このような形状が変化し易い袋状の荷物を、特許文献1のハンド部により保持することは困難である。
【0006】
本発明は、荷物保持用のハンド部において、形状が変化し易い袋状の荷物を適切に保持することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の荷物保持用のハンド部は、
吊り下げ機構に接続されて吊り下げられる荷物保持用のハンド部であって、
荷物の下側に入れられる挿入部が設けられた支持体と、
前記挿入
部の一方の端部及び他方の端部から延出される可撓性を備えた吊り下げ体とが備えられ、
前記吊り下げ体が前記吊り下げ機構に接続され
、
前記荷物が保持された状態において、前記吊り下げ体が前記荷物と当接して前記荷物を挟むと共に、前記挿入部上に前記荷物が載置される。
【0008】
形状が変化し易い袋状の荷物を本発明のハンド部により保持する場合、支持体及び吊り下げ体の中に荷物を入れ、支持体の挿入部を荷物の下側に入れることにより、荷物を保持することができるのであり、この状態で荷物を持ち上げればよい。
【0009】
例えば、袋状の荷物が床に置かれている状態において、本発明のハンド部により荷物を保持する場合、作業者は支持体を持って、支持体の挿入部を床と荷物との間に入れていくと、吊り下げ体が支持体に連れて荷物側に移動する状態となるのであり、支持体の挿入部を荷物の下側に入れることによって、支持体及び吊り下げ体の中に荷物を無理なく入れることができる。
【0010】
前述のように、支持体及び吊り下げ体の中に荷物を入れて、荷物を持ち上げた場合、荷物が支持体(挿入部)及び吊り下げ体に接触した状態で、荷物の重量が支持体(挿入部)及び吊り下げ体に掛かる状態となれば、吊り下げ体が荷物に馴染むように形状を変えながら荷物に食い込む状態となるのであり、これによってハンド部が荷物から外れ難くなる。
吊り下げ体に加えて、支持体(挿入部)も荷物に食い込む状態となることがあり、このような状態になると、ハンド部が荷物からさらに外れ難くなる。
【0011】
本発明によると、支持体及び吊り下げ体の中に荷物を無理なく入れることができる点、及び、吊り下げ体が荷物に馴染むように形状を変えながら荷物に食い込む状態となって、ハンド部が荷物から外れ難くなる点により、形状が変化し易い袋状の荷物を適切に保持するハンド部を得ることができる。
【0012】
本発明において、
前記吊り下げ体がリング状に形成され、
前記挿入部の下側部分に前記吊り下げ体が接続されて、前記挿入
部の前記一方の端部及び
前記他方の端部から、前記吊り下げ体が延出されると好適である。
【0013】
本発明によると、リング状の吊り下げ体に支持体(挿入部)が乗る状態となって、支持体が吊り下げ体に充分な強度で支持(接続)される状態を得ることができて、ハンド部の強度の向上を図ることができる。
【0014】
本発明において、
前記吊り下げ体の長さを変更可能な長さ変更部が備えられていると好適である。
【0015】
本発明によると、吊り下げ体の長さを変更することによって、支持体及び吊り下げ体において荷物を入れる範囲を大きくしたり、小さくしたりすることができるので、荷物の大きさに適切に対応することができる。
【0016】
本発明において、
前記支持体が硬質の平板であり、前記挿入部が前記平板の端部であると好適である。
【0017】
例えば、袋状の荷物が床に置かれている状態において、前述のように、支持体の挿入部を床と荷物との間に入れる場合、支持体が硬質の薄い平板であることにより、床及び荷物の抵抗に負けることなく、支持体の挿入部を床と荷物との間に無理なく入れることができるのであり、作業性の良いハンド部を得ることができる。
【0018】
本発明において、
前記支持体における前記挿入部とは反対側の部分に、持ち手部が備えられていると好適である。
【0019】
本発明によると、支持体の挿入部を荷物の下側に入れる場合、作業者は支持体における挿入部とは反対側の持ち手部を持ちながら作業を行えばよいのであり、支持体の操作が容易に行えるようになる。
【0020】
本発明において、
前記支持体における前記挿入部とは反対側の部分に、前記吊り下げ機構を作動させる為の手動昇降操作部が備えられていると好適である。
【0021】
本発明のハンド部が接続される吊り下げ機構が昇降するように構成されていた場合、本発明によると、作業者は、支持体における挿入部とは反対側の部分を持ちながら、支持体の挿入部を荷物の下側に入れた後に、支持体における挿入部とは反対側の部分を持つ手により手動昇降操作部を無理なく操作して、吊り下げ機構を昇降させることができるのであり、操作性の良いものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜
図12には、作業者が装着して使用するアシスト器具において、アシスト器具に備えられたハンド部20に、本発明の荷物保持用のハンド部15が取り付けられた状態が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者から視て前側が「前」であり、後側が「後」であり、右側が「右」であり、左側が「左」である。
【0024】
(アシスト器具の全体構成及び本体部)
図1,2,3に示すように、アシスト器具には、作業者の背中部に取り付けられる本体部1、本体部1の上部から上側に延出され前側に延出された右及び左のアーム部2、本体部1の下部に設けられた右及び左の脚作用部3が備えられており、作業者への装着用の取付ベルト4、右及び左の肩ベルト5が備えられている。
【0025】
図1,2,3に示すように、本体部1は、右及び左の縦フレーム6、右及び左の縦フレーム6に亘って連結された支持板7等を備えて、枠状となっている。脚作用部3に取付ベルト4が取り付けられ、支持板7の前面の上部に肩ベルト5が取り付けられている。支持板7の後面の上下中間部に制御装置8が取り付けられており、支持板7の後面の下部にバッテリー9が取り付けられている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、肩ベルト5に作業者の腕部(肩部)を入れ、取付ベルト4を作業者の腰部に巻き付けて固定することにより、作業者の背中部に本体部1が取り付けられる。
【0027】
図1及び
図2に示すように、アシスト器具及び荷物B(
図11及び
図12参照)の重量が取付ベルト4を介して主に作業者の腰部に掛かるのであり、アシスト器具及び荷物Bの重量が作業者の腰部により安定して支持される。右及び左の肩ベルト5は、主に本体部1が作業者の背中部から後方に離れようとする状態を止める機能を発揮する。
【0028】
(右及び左の脚作用部)
図1,2,3に示すように、脚作用部3は、基部10、伝動ケース11、操作アーム12及び脚ベルト13等を備えている。支持板7の下部に左右方向にスライド自在に基部10が支持されており、基部10の外端部に伝動ケース11が前向きに連結されている。
【0029】
図1,2,3に示すように、伝動ケース11の前部の左右方向の横軸芯P1周りに、操作アーム12が揺動自在に支持されており、幅広のベルト状の脚ベルト13が操作アーム12に取り付けられている。複数の平ギヤにより構成された伝動機構(図示せず)が伝動ケース11の内部に備えられて、電動モータ(図示せず)が基部10の内部に備えられており、電動モータにより伝動機構を介して操作アーム12が横軸芯P1周りに揺動駆動される。
【0030】
図1及び
図2に示すように、作業者の背中部に本体部1を取り付ける場合において、作業者が取付ベルト4を腰部に巻き付けて固定する際、取付ベルト4と一緒に、右及び左の脚作用部3(基部10)が支持板7に沿って左右方向に移動可能である。
取付ベルト4の腰部への巻き付け具合によって、作業者の体格に合わせるように右及び左の脚作用部3の間隔が決まるのであり、取付ベルト4により右及び左の脚作用部3の位置が決められる。
【0031】
図1及び
図2に示すように、作業者は脚ベルト13を太腿部に巻き付けて、面ファスナ(図示せず)(マジックテープ(登録商標))により、脚ベルト13を太腿部に取り付ける。
作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者の腰部の右側に右の脚作用部3(伝動ケース11)が位置し、作業者の腰部の左側に左の脚作用部3(伝動ケース11)が位置する。
【0032】
(右及び左のアーム部)
図1,2,3に示すように、右及び左の縦フレーム6の上部が、作業者の右及び左の肩部を越えて斜め上側に延出され斜め前側に延出されて、右及び左のアーム部2となっている。アーム部2の先端の延出部に右及び左の支持部材16が取り付けられて、右及び左のプーリー(図示せず)が支持部材16に回転自在に支持されている。
【0033】
図1,2,3に示すように、支持板7の後面の上部に昇降装置17が取り付けられており、昇降装置17から、右の2本のワイヤ18,19(吊り下げ機構に相当)、及び左の2本のワイヤ18,19(吊り下げ機構に相当)が延出されている。
【0034】
図2及び
図3に示すように、支持板7の上部にアウター支持部21が連結され、支持部材16にアウター支持部16aが備えられている。ワイヤ18,19のアウター18b,19bの端部が、アウター支持部21及び支持部材16のアウター支持部16aに接続されて、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが昇降装置17に接続されている。
【0035】
図1及び
図2に示すように、右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが右の支持部材16のプーリーに掛けられて下側に延出されており、右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端に、右のハンド部20が接続されている。
左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが左の支持部材16のプーリーに掛けられて下側に延出されており、左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端に、左のハンド部20が接続されている。
【0036】
(アシスト器具に備えられたハンド部)
図2及び
図5に示すように、右及び左のハンド部20は、板材が折り曲げられてフック状に形成されており、上下向きの横側部20a、横側部20aの下部から横向きに延出された下側部20b、横側部20aの上部から横向きに延出された上側部20cを備えている。
【0037】
図2及び
図5に示すように、右及び左のハンド部20は左右対称の形状となっている。右のハンド部20の上側部20cに上昇操作スイッチ23が取り付けられ、左のハンド部20の上側部20cに下降操作スイッチ24が取り付けられている。
【0038】
ハンド部20は、ビールケースや果物箱等のように箱状の荷物Bを保持するのに適している。右のハンド部20(下側部20b)を荷物Bの右側部に係合させ、左のハンド部20(下側部20b)を荷物Bの左側部に係合させるようにして、右及び左のハンド部20により荷物Bを保持する。
【0039】
(荷物保持用のハンド部)
図1,2,4,5に示すように、右及び左のハンド部15は、支持体22と吊り下げ体28とを備えており、左右対称の形状となっている。
【0040】
図4及び
図5に示すように、支持体22は、硬質の金属製の板材によって形成されており、平面視で長方形状の所定幅W1を有する挿入部22aと、挿入部22aの端部から上向きに折り曲げられるようにして延出された受け部22bとを備えている。
【0041】
図2,4,5に示すように、支持体22の受け部22bの端部に、持ち手部29が連結されている。右の支持体22の受け部22bに、上昇操作スイッチ30(手動昇降操作部に相当)が取り付けられ、左の支持体22の受け部22bに、下降操作スイッチ31(手動昇降操作部に相当)が取り付けられている。
【0042】
図4及び
図5に示すように、支持体22の端部が挿入部22aとなり、支持体22における挿入部22aとは反対側の部分(受け部22b)に、持ち手部29及び上昇操作スイッチ30(下降操作スイッチ31)が備えられた状態となっている。
【0043】
図4及び
図5に示すように、吊り下げ体28は、幅狭の合成樹脂製のベルトをリング状(ループ状)に巻いて接続したものであり、自由に折れ曲がる可撓性を備えているが、引き延ばすことはできないものとなっている。
【0044】
図4及び
図5に示すように、吊り下げ体28の途中部分に、バックル等による長さ変更部32が備えられている。長さ変更部32により吊り下げ体28の長さを長くすると、吊り下げ体28によるリング(ループ)を大きくすることができ、長さ変更部32により吊り下げ体28の長さを短くすると、吊り下げ体28によるリング(ループ)を小さくすることができる。
【0045】
図4及び
図5に示すように、吊り下げ体28の中間部分に、支持体22の挿入部22aが上側から乗せられて、支持体22の挿入部22aの下側部分(下面)に吊り下げ体28の中間部分が接続されている。
これにより、支持体22の挿入部22aにおける所定幅W1の方向での一方の端部及び他方の端部から、吊り下げ体28が延出された状態となっている。
【0046】
図1,2,5に示すように、ハンド部15の吊り下げ体28を、ハンド部20の下側部20bに掛けることによって、ハンド部15がハンド部20に取り付けられた状態となるのであり、ハンド部15がハンド部20を介してワイヤ18,19のインナー18a,19aに接続されて吊り下げられた状態となる。
【0047】
(制御装置とハンド部とのハーネスによる接続)
図1,2,3に示すように、制御装置8に接続された右及び左のハーネス14が、右及び左のアーム部2の内部に入り、アーム部2の内部を通ってアーム部2の延出部に延出されており、右及び左のアーム部2の延出部の開口部から、ハーネス14が出て下側に延出されている。
【0048】
図1,2,5に示す状態は、前項の(荷物保持用のハンド部)に記載のハンド部15がハンド部20に取り付けられた状態であり、右のハーネス14のカプラ14aが右のハンド部15の上昇操作スイッチ30に接続され、左のハーネス14のカプラ14aが左のハンド部15の下降操作スイッチ31に接続された状態である。
ハンド部15をハンド部20から取り外した状態では、右のハーネス14のカプラ14aを右のハンド部20の上昇操作スイッチ23に接続し、左のハーネス14のカプラ14aを左のハンド部15の下降操作スイッチ24に接続する。
【0049】
図1,2,5に示すように、ハンド部15をハンド部20に取り付けた状態では、作業者が右手で右のハンド部15の持ち手部29を持ち、左手で左のハンド部15の持ち手部29を持つ。この状態で、作業者は右手及び左手の親指により上昇操作スイッチ30及び下降操作スイッチ31を押し操作する。
【0050】
図1及び
図2に示すように、ハンド部15をハンド部20から取り外した状態では、作業者が右手で右のハンド部20を握るようにして持ち、左手で左のハンド部20を握るようにして持つ。この状態で、作業者は右手及び左手の親指により上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を押し操作する。
【0051】
図1,2,5に示すように、上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31は復帰型となっている。上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31を押し操作していると、上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31から操作信号が出力され、上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31の押し操作を止めると、上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31の操作信号が停止する。
【0052】
(昇降装置)
図1及び
図2に示すように、昇降装置17は支持板7に連結されている。伝動機構(図示せず)を内装する上下向きの伝動ケース25、伝動ケース25の上部に横向きに連結された支持ケース26、伝動ケース25の下部に横向きに連結された電動モータ27、支持ケース26の内部で横向きの軸芯周りに回転自在な4個の回転体(図示せず)が、昇降装置17に備えられている。
【0053】
図1及び
図2に示すように、右及び左のワイヤ18,19のアウター18b,19bの端部がアウター支持部21に接続され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが、支持ケース26の内部の4個の回転体の各々に接続されている。
【0054】
図1及び
図2に示すように、制御装置8により電動モータ27が作動する。電動モータ27の動力が伝動ケース25の内部の伝動機構を介して、支持ケース26の内部の回転体に伝達されるのであり、回転体が巻き取り側及び繰り出し側に回転駆動される。
【0055】
図1,2,5に示すように、上昇操作スイッチ23,30を押し操作すると、電動モータ27により回転体が巻き取り側に回転駆動され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体に巻き取られて、ハンド部15,20が上昇する。
下降操作スイッチ24,31を押し操作すると、電動モータ27により回転体が繰り出し側に回転駆動され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体から繰り出されて、ハンド部15,20が下降する。
【0056】
上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31の押し操作を止めると、電動モータ27が停止する。電動モータ27に電磁ブレーキ(図示せず)が備えられており、電動モータ27の作動時に電磁ブレーキは自動的に解除状態となり、電動モータ27の停止時及び非通電時に電磁ブレーキは自動的に制動状態となる。
【0057】
(形状が変化し易い袋状の荷物の保持)
例えば米袋やセメント袋等のように、粉粒体を入れた布製や紙製、ビニール製等の形状が変化し易い袋状の荷物Bがあり、このような形状が変化し易い袋状の荷物Bを保持することに、ハンド部15は適している。
以下に、右及び左のハンド部15による袋状の荷物Bの保持について、右のハンド部15により説明する。
【0058】
図6に示すように、パレットや床に荷物Bが置かれていたとする。
図6から
図7に示すように、作業者は持ち手部29を持ちながら、支持体22の挿入部22aを、例えば荷物Bの右前の角部の下側に斜めに入れて、吊り下げ体28の前側部分28aを、荷物Bの右前部に当てる。
【0059】
図7から
図8に示すように、支持体22の挿入部22aを、荷物Bの下側に沿って斜め後側に移動させて、吊り下げ体28の後側部分28bを、荷物Bの右後の角部よりも後側に位置させる。この場合、吊り下げ体28の前側部分28aが、荷物Bの右前部から外れないようにする。
【0060】
図8から
図9に示すように、支持体22の挿入部22aが荷物Bの右部と平行になるように、支持体22の挿入部22aを荷物Bの下側に入れて、吊り下げ体28の後側部分28bを、荷物Bの右後部の後側に位置させる。
図9から
図10に示すように、支持体22の挿入部22aを少し前側に移動させて、支持体22の挿入部22aを、荷物Bの右部の下側の前後中央付近に位置させる。
【0061】
これにより、
図10に示すように、支持体22の挿入部22aが荷物Bの右部の下側に位置し、吊り下げ体28の前側部分28aが荷物Bの右前部に接触し、吊り下げ体28の後側部分28bが荷物Bの右後部に接触して、支持体22及び吊り下げ体28の中に荷物Bの右部が入った状態となる。
【0062】
この場合、最初の状態である
図6において、支持体22の挿入部22aを、荷物Bの右後の角部の下側に斜めに入れて、吊り下げ体28の後側部分28bを、荷物Bの右後部に当てるようにしてもよい。
【0063】
前述のような操作を行うと、次に支持体22の挿入部22aを荷物Bの下側に沿って斜め前側に移動させて、吊り下げ体28の前側部分28aを荷物Bの右前の角部よりも前側に位置させ、支持体22の挿入部22aを荷物Bの下側に入れて、吊り下げ体28の前側部分28aを荷物Bの右前部の前側に位置させ、支持体22の挿入部22aを少し後側に移動させて、支持体22の挿入部22aを荷物Bの右部の下側の前後中央付近に位置させる。左のハンド部15においては、荷物Bの左部に対して、前述と同様な操作を行う。
【0064】
(形状が変化し易い袋状の荷物の持ち上げ)
前項の(形状が変化し易い袋状の荷物の保持)に記載のように、右及び左のハンド部15により荷物Bを保持した状態において、荷物Bを持ち上げると、
図11及び
図12に示すような状態となる。
【0065】
図11及び
図12に示すように、荷物Bが支持体22(挿入部22a、受け部22b)及び吊り下げ体28に接触した状態で、荷物Bの重量が支持体22(挿入部22a、受け部22b)及び吊り下げ体28に掛かる状態となれば、吊り下げ体28が荷物Bに馴染むように形状を変える。吊り下げ体28の前側部分28aが荷物Bの右前部(左前部)に食い込み、吊り下げ体28の後側部分28bが荷物Bの右後部(左後部)に食い込む状態となるのであり、これによってハンド部15が荷物Bから外れ難くなる。
【0066】
図11及び
図12に示すように、荷物Bの右部(左部)が、支持体22の受け部22bに乗る状態になると、支持体22の挿入部22aが斜めになる。これにより、支持体22の挿入部22aの端部が、荷物Bの下部に食い込む状態となり、ハンド部15が荷物Bからさらに外れ難くなる。
【0067】
ハンド部15を荷物Bから取り外す場合、ハンド部15及び荷物Bをパレットや床に置いた状態で、ハンド部15を横外側に移動させて、ハンド部15を荷物Bから取り外す。又はハンド部15及び荷物Bをパレットや床から少し上側に位置させた状態で、ハンド部15を横外側に移動させて、ハンド部15を荷物Bから取り外し、荷物Bをパレットや床に落下させる。
【0068】
図9に示すように、ハンド部15が荷物Bの後側(前側)に偏倚した状態で、荷物Bを持ち上げてもよい。
図9に示す状態で荷物Bを持ち上げると、ハンド部15を偏倚側の斜め横外側(斜め後側の横外側)(斜め前側の横外側)に移動させることによって、ハンド部15を荷物Bから取り外し易くなることがある。
【0069】
(アシスト器具の作業形態)
例えば、パレットや床に置かれた荷物Bを高い棚やトラックの荷台に置くような場合、作業者がしゃがんでパレットや床の荷物Bを手で持ち、手を下に延ばした状態で荷物Bを持ちながら立ち上がり、手で荷物Bを持ち上げて、荷物Bを高い棚やトラックの荷台に置くような状態が想定される。
【0070】
ビールケースや果物箱等のように箱状の荷物Bの場合、ハンド部15をハンド部20から取り外して、ハンド部20により荷物Bを保持する。
形状が変化し易い袋状の荷物Bを保持する場合、ハンド部20にハンド部15を取り付けて、ハンド部15により荷物Bを保持する。
【0071】
アシスト器具を装着した作業者が前述のような作業を行う状態において、上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31の押し操作に基づいて、制御装置8により右及び左の脚作用部3、昇降装置17が作動する状態について説明する。
【0072】
図1及び
図2に示すように、作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者が上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31の両方を押し操作していないと、昇降装置17の電動モータ27は停止して、右及び左の脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
【0073】
作業者が歩行する場合や、作業者が膝部を曲げて腰部を落とす場合(しゃがむ場合)、作業者の太腿部に追従するように操作アーム12が揺動するのであり、作業者の動作が妨げられることはない。
【0074】
作業者がしゃがんでパレットや床の荷物Bを持つ場合、作業者が下降操作スイッチ24,31を押し操作すると、昇降装置17において電動モータ27が繰り出し側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて、ハンド部15,20が下降する。
【0075】
作業者が下降操作スイッチ24,31の押し操作を止めると、電動モータ27が停止して、ハンド部15,20が停止するので、作業者は、ハンド部15,20により荷物Bを保持する(前項の(形状が変化し易い袋状の荷物の保持)を参照)。
【0076】
前項の(昇降装置)に記載のように、電動モータ27に電磁ブレーキ(図示せず)が備えられており、電動モータ27の停止時及び非通電時に、電磁ブレーキは自動的に制動状態となる。
電動モータ27が停止した状態において、昇降装置17からワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されることはなく、後述するようにハンド部15,20に荷物Bの重量が掛かっても、ハンド部15,20が下降することはない。
【0077】
作業者は、ハンド部15,20により荷物Bを保持した状態で、立ち上がることによって荷物Bを持ち上げる。作業者が上昇操作スイッチ23,30を押し操作すると、脚作用部3において、操作アーム12が下側に駆動され、作業者の太腿部が下側に操作されて、作業者の立ち上がりが補助される。
【0078】
作業者が上昇操作スイッチ23,30を押し操作した状態で立ち上がった後に、脚作用部3において、操作アーム12が略真下に向く位置に達したことが検出されると、作業者が完全に立ち上がったと判断されて、脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
【0079】
次に昇降装置17において、電動モータ27が巻き取り側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが巻き取られて、ハンド部15,20が上昇する。所望の位置までハンド部15,20が上昇すると、作業者が上昇操作スイッチ23,30の押し操作を止めることにより、電動モータ27が停止してハンド部15,20が停止する。
【0080】
作業者は、荷物Bを置くべき高い棚やトラックの荷台等へ歩いて移動する。作業者が高い棚やトラックの荷台等に到着して、作業者が下降操作スイッチ24,31を押し操作すると、昇降装置17において、電動モータ27が繰り出し側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて、ハンド部15,20が下降する。
【0081】
作業者は、荷物Bを高い棚やトラックの荷台等に置いて、ハンド部15,20を荷物Bから取り外す。荷物Bを高い棚やトラックの荷台等に置くと、最初の状態に戻るので、次の荷物Bに対して同様な操作を行う。
【0082】
(発明の実施の第1別形態)
前述の(発明を実施するための形態)において、吊り下げ体28を、糸を編んだ紐やロープ、金属製のチェーン、金属製のワイヤケーブル等によって形成してもよい。
【0083】
(発明の実施の第2別形態)
前述の(発明を実施するための形態)において、ハンド部15を
図13及び
図14に示すように構成してもよい。
【0084】
図13及び
図14に示すように、ハンド部15は、細長い金属製の板材の取付部材33と、金属製の丸棒材を側面視でチャンネル状に折り曲げた受け部材34とを備えており、受け部材34の両端部が取付部材33の両端部に連結されている。
この場合、上昇操作スイッチ30を右のハンド部15に備え、下降操作スイッチ31を左のハンド部15に備えてもよい。
【0085】
以上の構造により、
図13及び
図14に示すように、ハンド部15の取付部材33をハンド部20の下側部20bに掛けるのであり、ハンド部15の受け部材34の中に、荷物Bの右部(左部)を入れることにより、ハンド部15により荷物Bを保持する。
【0086】
(発明の実施の第3別形態)
前述の(発明の実施の第2別形態)のハンド部15において、
図15に示すように構成してもよい。
【0087】
図15に示すように、ハンド部15の取付部材33が、ハンド部20の下側部20bにボルト等により連結されている。エルボパイプ状の案内部材35が、ハンド部20、ハンド部15の取付部材33及び受け部材34に連結されている。
右及び左の2本のワイヤ18,19において、ワイヤ18が使用されて、ワイヤ19は使用されない。
【0088】
右のワイヤ18のインナー18aが、右のハンド部20に接続されずに、案内部材35を通り、右のハンド部15の受け部材34の下部から左側に延出されて、左のハンド部15の受け部材34に接続される。
左のワイヤ18のインナー18aが、左のハンド部20に接続されずに、案内部材35を通り、左のハンド部15の受け部材34の下部から右側に延出されて、右のハンド部15の受け部材34に接続される。
【0089】
以上の構造によって、
図14に示すように、右及び左のハンド部15により荷物Bを保持した場合、ハンド部15,20を上昇させて荷物Bの重量がハンド部15に掛かると、
図15に示すように、右及び左のワイヤ18のインナー18aの張力により、右及び左のハンド部15が互いに引き寄せられる状態となり、ハンド部15が荷物Bから外れ難くなる。
【0090】
(発明の実施の第4別形態)
アシスト器具において、右及び左のアーム部2を廃止して、1本のアーム部2を備えてもよい。
この構造によると、1本のアーム部2から2本のワイヤ18を延出して、2本のワイヤ18の一方に右のハンド部20を接続し、2本のワイヤ18の他方に左のハンド部20を接続する。又は、1本のアーム部2から1本のワイヤ18を延出し、1本のワイヤ18の端部を二股状に分岐させて、分岐部分の一方に右のハンド部20を接続し、分岐部分の他方に左のハンド部20を接続する。
【0091】
アシスト器具において、ハンド部20を廃止して、ハンド部15の吊り下げ体28(取付部材33)を、ワイヤ18,19のインナー18a,19aに接続するようにしてもよい。
【0092】
図4及び
図5に示すハンド部15の吊り下げ体28をワイヤ18,19のインナー18a,19aに接続した場合、ハンド部15の持ち手部29、上昇操作スイッチ30及び下降操作スイッチ31を廃止して、上昇操作スイッチ23(下降操作スイッチ24)を備えたハンド部20を、ハンド部15の支持体22(受け部22b)に連結してもよい。この構造によると、ハンド部20が、ハンド部15の持ち手部となる。
【0093】
図13及び
図14に示すハンド部15の取付部材33をワイヤ18,19のインナー18a,19aに接続した場合、上昇操作スイッチ23(下降操作スイッチ24)を備えたハンド部20を、ハンド部15の取付部材33に連結してもよい。この構造によると、ハンド部20が、ハンド部15の持ち手部となる。
【0094】
上昇操作スイッチ23,30を左のハンド部15,20に備えて、下降操作スイッチ24,31を右のハンド部15,20に備えてもよい。上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31の両方を、右又は左の一方のハンド部15,20に備えてもよい。
【0095】
アシスト器具において、右及び左の脚作用部3を備えないように構成してもよい。
アシスト器具において、昇降装置17、上昇操作スイッチ23,30及び下降操作スイッチ24,31を廃止して、ワイヤ18,19を本体部1やアーム部2に連結し、ハンド部15,20の位置を固定して、ハンド部15,20の昇降を行わないように構成してもよい。