(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部を水蒸気が軸方向に流れる第1の管と、前記第1の管と並行に配置された第2の管と、前記軸方向に交差して配置され、前記第1の管と前記第2の管とを流体的に接続し、前記第1の管との接続部および前記第2の管との接続部は溶接されている複数の接続管とを有する復水器と、
所定の検出範囲内の流体のリーク音を超音波ノイズとして検出する超音波センサを複数有しており、複数の前記超音波センサが前記接続部の全てを検出範囲に含むように配置されているリーク検出部と
を備える、復水器用リーク検出システム。
前記超音波センサは、特定の方向に高い指向性を有する指向性センサと、全方向を等しく検知する等方性センサとを含んでいる、請求項1に記載の復水器用リーク検出システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波を利用したリーク検出装置には検出範囲に限りがある。この検出範囲を超える大きさの対象物の全体を検査するためには、リーク検出装置を対象物に沿って走査させることが必要となり、特許文献1のリーク検出装置は手動での走査を前提としている。しかし、手動での走査は、煩わしさに絶えず、人為的な見落としも考えられる。特に、大型の対象物となると、手動での走査にかかる工数も増加し、それらの欠点が助長される。換言すれば、特許文献1では、複数のリーク検出装置を設置して対象物の全体におけるリークを自動で検出することについては言及されていない。また、容器内を一定以上の真空度に保つ必要のある設備(例えば復水器)において、微小なリークでも真空度低下の要因となるため迅速かつ広範なリーク検知が重要である。
【0005】
本発明は、複数の超音波センサを好適に設置して復水器(対象物)において複数存在する全ての接続部のリークの自動検出を可能とする復水器用リーク検出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る復水器用リーク検出システムは、内部を水蒸気が軸方向に流れる第1の管と、前記第1の管と並行に配置された第2の管と、前記軸方向に交差して配置され、前記第1の管と前記第2の管とを流体的に接続し、前記第1の管との接続部および前記第2の管との接続部は溶接されている複数の接続管とを有する復水器と、所定の検出範囲内の流体のリーク音を超音波ノイズとして検出する超音波センサを複数有しており、複数の前記超音波センサが前記接続部の全てを検出範囲に含むように配置されているリーク検出部とを備える。
【0007】
この構成によれば、水蒸気が第1の管から第2の管へと複数の接続管を通じて流れる際に大気と熱交換して冷却されることで凝縮する復水器において、各接続部における水蒸気のリークを確実に検出できる。具体的には、接続部の全てを検出範囲に含むように複数の超音波センサを配置することで、接続部のリークを確実に検出している。特に復水器においては、接続部においてリークが発生し易く、リーク孔も通常目視では発見できないほど小さい。そのため、溶接個所が複数かつ広範囲に及ぶ場合、リークを検出することは一般に容易ではない。しかし、上記のようにリーク音を超音波ノイズとして検出する超音波センサを使用することで所定範囲内のリークを容易に検出できる。そして、この超音波センサが接続部の全てを検出範囲に含むように配置されていることで、復水器全体にて漏れなくリークを検出できる。さらに言えば、上記復水器用リーク検出システムは、超音波センサを手動で走査させる必要がない設置型であるため、リークを自動的に検出できる。そのため、この復水器用リーク検出システムは、大型の復水器を対象とすると一層有効である。また、水蒸気のリークによって水蒸気量が減少する前に迅速にリークを検出できるため、この復水器用リーク検出システムは水蒸気の循環構造を有する復水器に対して特に有効である。
【0008】
前記超音波センサは、特定の方向に高い指向性を有する指向性センサと、全方向を等しく検知する等方性センサとを含んでいてもよい。
【0009】
この構成によれば、指向性センサと等方性センサとを使用することで超音波センサの設置の自由度を向上させることができる。一般に、指向性センサは等方性センサよりも特定の方向の検出範囲が長い。また、等方性センサは、設置方向によらず、全方向に等しく検出範囲を有している。そのため、これらの検出範囲の組み合わせによって、接続部全体を検出範囲に含める配置を採用することができるため、いずれかを単独で用いる場合よりも超音波センサの設置の自由度が向上する。
【0010】
前記第1の管と前記接続管との前記接続部は前記軸方向に並んで配置されており、前記第2の管と前記接続管との前記接続部は前記軸方向に並んで配置されており、前記指向性センサは、前記接続部が並ぶ前記軸方向に高い指向性を有するように配置され、前記等方性センサは、前記指向性センサと近接するように配置されてもよい。
【0011】
この構成によれば、接続部は第1の管上または第2の管上に軸方向(直線状)に並んで配置されるため、この軸方向に向けて検出範囲の長い指向性センサを配置することで、配置効率を向上でき、即ち設置するセンサ数を少なくすることができる。しかし、指向性センサは特定方向に高い指向性を有するため、取り付け位置の周囲の検出精度は特定方向の検出精度に比べて低下する傾向にある。これに対し、等方性センサを指向性センサに近接させて取り付け、等方性センサによって指向性センサの取り付け位置付近のリークを検出することで、リーク検出の精度を向上できる。ここで使用する用語「近接」は、位置が重複する場合をも含む。
【0012】
前記超音波センサは、特定の方向に高い指向性を有する指向性センサを含んでおり、前記指向性センサは、指向する方向を変更可能であってもよい。
【0013】
この構成によれば、指向性センサ(超音波センサ)を用いて検出できる領域を拡張することができ、指向性センサの数を少なくすることができる。例えば、第1の管上または第2の管上において、180度検出方向を定期的に変更することで管軸方向の両方向の検出を行うことができる。即ち、指向性センサを用いて検出できる範囲を2倍にすることができるため、指向性センサの数を半分にすることができる。
【0014】
前記復水器では、前記第1の管に対して2つの前記第2の管が設けられ、前記第2の管が前記第1の管にそれぞれ複数の前記接続管によって流体的に接続され、前記復水器が複数並べて配置された復水器ユニットを備え、少なくとも一部の前記超音波センサは、隣接する前記復水器同士の間に配置されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、水蒸気が1つの第1の管から2つの第2の管へと複数の接続管を通じて流れるため、水蒸気の流路面積を増加でき、即ち熱交換面積を増加でき、復水器の熱交換効率を向上できる。また、隣接する復水器同士の間に配置された超音波センサは、隣接する2つの復水器のいずれのリークも検出範囲に含めることができるため、超音波センサの数を少なくすることができる。
【0016】
前記リーク検出部は、前記超音波センサの測定結果を無線により通信する無線通信部と、複数の前記超音波センサのそれぞれに電池が取り付けられており、前記電池から前記超音波センサに電力を供給する電力供給部とを備えてもよい。
【0017】
この構成によれば、無線通信部によって通信用の配線を省略でき、電力供給部によって電力供給用の配線を省略することができる。従って、煩雑となる配線系を無くすか、または減らすことができるため、利便性を向上させることができる。
【0018】
前記超音波センサは、所定の周波数の疑似リーク音を発生させるスピーカを備え、前記リーク検出部は、前記超音波センサの前記スピーカから定期的に前記疑似リーク音を発生させる命令部と、前記疑似リーク音を発生させた前記超音波センサ以外の前記超音波センサで前記疑似リーク音を検出可能か否かを診断する診断部とを有する制御装置を備えてもよい。
【0019】
この構成によれば、命令部によって超音波センサのスピーカを制御して定期的に疑似リーク音を発生させ、診断部によって超音波センサが疑似リーク音を検出できるか否かを診断できる。即ち、復水器用リーク検出システムの点検を定期的に自動で行うことができる。また、疑似リーク音までの距離と検出強度から各超音波センサの感度評価を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、復水器用リーク検出システムにおいて、複数の超音波センサを好適に配置することで、復水器において複数存在する全ての接続部のリーク検出を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0023】
図1に示すように、復水器用リーク検出システム1は、複数の復水器11が並べて配置された復水器ユニット10と、リーク検出部(
図1では図示せず)とを備える。復水器用リーク検出システム1は、復水器ユニット10で発生するリークをリーク検出部によって検出するシステムである。
【0024】
復水器11は、1つの上側パイプ(第1の管)12と、上側パイプ12と並行に配置された2つの下側パイプ(第2の管)13と、これらを流体的に接続する複数の接続パイプ(接続管)14とを備える。
図1では、2つの復水器11が並んで配置された復水器ユニット10の一部が示されており、実際には復水器11がさらに複数並んで配置されている。復水器ユニット10における復水器11の数は特に限定されず、その大きさも任意のものであり得るが、以下の各実施形態における復水器ユニット10の大きさは、例えば長さ160m、幅80m、および高さ40m程度である。これは、既存の復水器ユニットに対して著しく大型である。
【0025】
上側パイプ12は、円筒状であり、3種類のパイプ12〜14の中で径が最も大きい。上側パイプ12は、軸方向が概ね水平(水が流れる程度の傾斜を含む)に配置されており、3種類のパイプ12〜14の中で最も上方に配置されている。上側パイプ12の内部には、後述するように、高温の水蒸気が軸方向に流れる。上側パイプ12の材質は、特に限定されないが、高温の水蒸気に耐え得る材質であることが好ましく、例えば鋼鉄製であってもよい。
【0026】
下側パイプ13は、円筒状であり、3種類のパイプ12〜14の中で上側パイプ12に次いで径が大きい。下側パイプ13は、上側パイプ12と並行に配置されており、3種類のパイプ12〜14の中で最も下方に配置され、2つの下側パイプ13は概ね同じ高さに位置している。下側パイプ13の内部には、後述するように、液体状の水が軸方向に流れる。下側パイプ13の材質は、特に限定されないが、例えば上側パイプ12と同じ鋼鉄製であってもよい。
【0027】
図2に併せて示すように、接続パイプ14は、上側パイプ12および下側パイプ13の軸方向に直交して配置され、上側パイプ12と下側パイプ13とを流体的に接続している。上側パイプ12と接続パイプ14との接続部15および下側パイプ13と接続パイプ14との接続部15はそれぞれ溶接されている。接続パイプ14には、放熱性能を向上させる観点から複数の板状のフィン14aが取り付けられている。
図2中の右側には、二点鎖線円内に接続パイプ14の断面図が示されている。接続パイプ14の断面形状は長円形であり、フィン14aは平面視において長方形状である。接続パイプ14は、上側パイプ12から下側パイプ13へと水蒸気(水)を流す役割を有しているとともに、接続パイプ14内を流れる水蒸気(水)を大気と熱交換させて冷却する役割を有している。そのため、接続パイプ14およびフィン14aの材質は、放熱性能の高い金属であることが好ましく、例えばアルミニウム合金であってもよい。また、接続部15を溶接する観点から、接続パイプ14の材質は、上側パイプ12および下側パイプ13と同じであってもよい。
【0028】
図3に示すように、上側パイプ12および下側パイプ13は、三角柱状の骨格を構成する骨格台16に固定されている。骨格台16は、脚部材16aによって床面から所定の高さに固定されている。
図3では、概念的に破断線を入れ、復水器ユニット10の内部(下方)が見えるようにされている。復水器ユニット10の内部(下方)を見ると、骨格台16の下方の床面には、複数の軸流式のファン17が埋め込まれている。
【0029】
図4に示すように、ファン17を駆動して復水器ユニット10に向かって送風することで、複数の放熱用のフィン14aの間を空気が通過する(図中の複数の矢印参照)。そのため、ファン17によって、接続パイプ14外の空気と、接続パイプ14内の水蒸気との間での熱交換が促進される。
【0030】
図1から
図4を参照して、復水器ユニット10内を流れる水蒸気(水)の一連の流れを説明する。
【0031】
復水器ユニット10は蒸気タービンおよびボイラなどを含む図示しない熱源装置と流体的に接続されており、復水器ユニット10には蒸気タービンで作用をなした後の水蒸気が送られてくる。復水器ユニット10は、この熱源装置から送られてきた水蒸気を各復水器11内で大気と熱交換させることによって冷却し、凝縮させる機能を有している。詳細には、復水器11の上側パイプ12が、この熱源装置と流体的に接続されており、この熱源装置から送られてきた高温の水蒸気が上側パイプ12内に流入する。上側パイプ12内に流入した高温の水蒸気は、上側パイプ12内を流れ、接続部15を介して接続パイプ14に流入する。接続パイプ14に流入した高温の水蒸気は、接続パイプ14内にて大気と熱交換することで冷却され、凝縮し、液体の水となる。この水は、接続パイプ14から接続部15を介して下側パイプ13内に流入する。下側パイプ13内に流入した水は、下側パイプ13内を流れる。下側パイプ13は上記熱源装置と流体的に接続されており、下側パイプ13内を流れる水は熱源装置に送られる。そして、熱源装置のボイラにて加熱され、蒸気タービンで作用をなした後、再び上側パイプ12に流入する。このように、復水器ユニット10内を流れる水蒸気(水)は、循環使用に供されていてもよい。
【0032】
復水器ユニット10で使用される水蒸気が循環使用に供されていると、復水器ユニット10の付近に水源を要することがない。従って、復水器ユニット10を河川、湖、または海などの水源付近に設置する必要がなく、それらから離れた山間地域などにも設置できる。
【0033】
また、
図5から
図17を参照して、以下の各実施形態にて説明するように、復水器用リーク検出システム1は、上記の復水器ユニット10における接続部15での水蒸気および空気などの流体のリークをリーク検出部20によって検出している。
【0034】
リーク検出部20は、複数の超音波センサ21と、検出結果を表示するモニタ22(例えば
図17にて概念的に例示)とを有している。複数の超音波センサ21は、接続部15の全てを検出範囲に含むように配置されている。また、モニタ22に代えて、警報器22(例えば
図17にて概念的に例示)を備え、警報を発することでリークを検出したことをユーザに知らせてもよい。
【0035】
超音波センサ21は、所定の検出範囲内の流体のリーク音を超音波ノイズとして検出するセンサであり、このセンサには市販のものを使用可能であり、例えば、UE Systems社のULTRAPROVE(登録商標)3000を使用可能である。本実施形態では、一般にリーク音として発せられる超音波ノイズの周波数約40kHzを検出するセンサを使用している。ただし、検出する周波数は特に限定されず、復水器ユニット10の構造等に基づいて20〜100kHz程度の間で変更され得る。
【0036】
(第1実施形態)
図5は、第1実施形態の超音波センサ21の配置を模式的に示している。第1実施形態では、超音波センサ21として、等方性センサ21aを使用している。等方性センサ21aは、指向性を有しておらず、全方向に等しい検出範囲を有している(
図5の破線円参照)。等方性センサ21aは、上側パイプ12および下側パイプ13上に、上側パイプ12および下側パイプ13に沿って等間隔に配置されている。さらに言えば、各等方性センサ21aは、検出範囲を重複させて配置されている。
【0037】
図5では、図を明瞭にするため、接続部15(
図1等参照)の図示が省略されているが、実際は上側パイプ12および下側パイプ13に沿って複数存在している。これは以降の実施形態における超音波センサ21の配置を示す模式図についても同様である。このような接続部15の配置に対し、各等方性センサ21aを、検出範囲を重複させて配置しているため、即ち接続部15の全てを検出範囲に含むように複数の超音波センサ21を配置しているため、接続部15のリークを確実に検出できる。なお、本実施形態では、等方性センサ21aを等間隔に配置しているが、必ずしも等間隔である必要はない。これは以降の実施形態においても同様である。
【0038】
本実施形態によれば、
図1および
図5を参照して、接続部15の全てを検出範囲に含むように複数の超音波センサ21を配置することで、接続部15のリークを確実に検出している。特に復水器11においては、接続部15にてリークが発生し易く、リーク孔も通常目視では発見できないほど小さい。例えば、本実施形態では、リーク孔の大きさは、直径0.1mm〜1.0mm程度である。そのため、溶接個所が複数かつ広範囲に及ぶ場合、リークを検出することは一般に容易ではない。しかし、上記のようにリーク音を超音波ノイズとして検出する超音波センサ21を使用することで所定範囲内のリークを容易に検出できる。そして、この超音波センサ21が接続部15の全てを検出範囲に含むように配置されていることで、復水器ユニット10全体にて漏れなくリークを検出できる。さらに言えば、復水器用リーク検出システム1は、超音波センサ21を手動で走査させる必要がない設置型であるため、リークを自動的に検出できる。そのため、この復水器用リーク検出システム1は、大型の復水器ユニット10を対象とすると一層有効である。また、水蒸気のリークによって循環する水蒸気量(水量)が減少する前に迅速にリークを検出できる。
【0039】
(第2実施形態)
図6に示すように、第2実施形態では、超音波センサ21として、指向性センサ21bを使用している。指向性センサ21bは、特定の方向に高い指向性を有しており、即ち特定の方向に感度が高く等方性センサ21a(
図5参照)よりも長い検出範囲を有しており、それ以外の方向に等方性センサ21a(
図5参照)よりも短い検出範囲を有している(
図5の破線三角形参照)。指向性センサ21bは、上側パイプ12および下側パイプ13に沿って等間隔に配置されている。さらに言えば、各等方性センサ21aは、前記接続部が並ぶ前記軸方向に高い指向性を有するように配置され、検出範囲を重複させて配置されている。
【0040】
本実施形態によれば、接続部15は上側パイプ12上または下側パイプ13上に直線状に点在するため、この直線方向(管軸方向)に向けて検出範囲の長い指向性センサ21bを配置することで、配置効率を向上でき、即ち設置するセンサ数を少なくすることができる。
【0041】
(第3実施形態)
図7に示すように、第3実施形態では、超音波センサ21として、等方性センサ21aと指向性センサ21bとを使用している。各指向性センサ21bの配置は、第2実施形態(
図6参照)と同じである。第3実施形態では、第2実施形態の指向性センサ21bの配置に加えて、等方性センサ21aが、指向性センサ21bと近接するように配置されている。ここで、「近接する」とは、位置が重複する場合をも含む。
【0042】
本実施形態によれば、等方性センサを指向性センサに近接させて取り付け、等方性センサによって指向性センサの取り付け位置付近のリークを検出することで、リーク検出の精度を向上できる。例えば、
図7中の斜線領域は、等方性センサ21aによって拡張された検出領域を示している。この斜線領域のように、等方性センサ21aによって指向性センサ21bの付近の検出領域を拡張し、リーク検出を一層確実にしている。
【0043】
なお、等方性センサ21aと指向性センサ21bとを組み合わせた配置は、本実施形態のものに限定されない。特に、等方性センサ21aの検出範囲と指向性センサ21bの検出範囲との組み合わせによって、接続部15全体を検出範囲に含める配置を様々に採用することができるため、いずれかを単独で用いる場合よりも超音波センサ21の設置の自由度を向上できる。
【0044】
(第4実施形態)
図8に示すように、第4実施形態では、超音波センサ21として、指向性センサ21bを使用している。指向性センサ21bは、上側パイプ12および下側パイプ13に沿って等間隔に配置されている。この配置間隔は、第1から第3実施形態と比べると広い。また、指向性センサ21bは、図示しない回転機構によって同じ位置で回転駆動される。即ち、指向性センサ21bは、回転によって指向する検出方向を変更できる。指向性センサ21bは、回転によって拡張された各指向性センサ21bの検出範囲が重複するように配置されている。回転は、リーク検出の精度に影響を与えない程度の速度で、かつ、一定速度であってもよい。また、所定のタイミングで一定時間回転を停止して所定の方向のリークを精度よく検出してもよい。例えば、上側パイプ12および下側パイプ13の軸方向に指向方向が向いたときに回転を停止し、軸方向のリークを精度よく検出してもよい。
【0045】
本実施形態によれば、指向性センサ21bを回転させることによって、指向性センサ21bの検出領域を拡張することができ、指向性センサ21bの数を少なくすることができる。例えば、上側パイプ12上または下側パイプ13上において、180度検出方向を定期的に変更することで管軸方向の両方向の検出を行うことができる。即ち、指向性センサ21bの検出範囲を2倍にすることができるため、指向性センサ21bの数を半分にすることができる。
【0046】
(第5実施形態)
図9に示すように、第5実施形態では、超音波センサ21として、等方性センサ21aと指向性センサ21bとを使用している。各指向性センサ21bの配置は、第4実施形態(
図8参照)と同じである。第5実施形態では、第4実施形態の指向性センサ21bの配置に加えて、等方性センサ21aが、指向性センサ21bと近接して配置されている。
【0047】
本実施形態によれば、等方性センサ21aを指向性センサ21bと近接させて取り付け、等方性センサ21aによって指向性センサ21bの取り付け位置付近のリークを検出することで、リーク検出の精度を向上できる。例えば、
図9中の斜線領域は、等方性センサ21aによって拡張された検出領域を示している。この斜線領域のように、等方性センサ21aによって指向性センサ21bの付近の検出領域を拡張し、リーク検出を一層確実にしている。
【0048】
(第6実施形態)
図10に示すように、第6実施形態では、超音波センサ21として、等方性センサ21aと指向性センサ21bとを使用している。等方性センサは、上側パイプ12上に等間隔に配置されており、この配置は第1実施形態と同じである。また、上側パイプ12上には指向性センサ21bも等間隔に配置されている。
図10の例では、指向性センサ21bと等方性センサ21aとの位置は一致している。指向性センサ21bは、全て下側パイプ13に向けられており、下側パイプ13上において検出範囲が重複するように配置されている。なお、本実施形態において、上側パイプ12と下側パイプ13との関係は反対であってもよい。即ち、下側パイプ13上に等方性センサ21aおよび指向性センサ21bが配置され、指向性センサ21bが上側パイプ12に向かって取り付けられていてもよい。さらに言えば、本実施形態では、上側パイプ12と下側パイプ13との関係を例に説明したが、下側パイプ13同士の関係にも本実施形態の配置は適用可能である。
【0049】
本実施形態によれば、複数のパイプ12,13間の関係において等方性センサ21aと指向性センサ21bとを好適に配置することができる。本実施形態のように、特に指向性センサ21bは検出範囲が長いため取り付けられたパイプ以外のパイプのリークを検出することもできる。
【0050】
(第7実施形態)
図11に示すように、第7実施形態では、超音波センサ21として、指向性センサ21bを使用している。指向性センサ21bは、上側パイプ12上および下側パイプ上に等間隔に配置されている。上側パイプ12上の指向性センサ21bは、全て下側パイプ13に向けられており、下側パイプ13上において検出範囲が重複するように配置されている。下側パイプ13上の指向性センサ21bは、全て上側パイプ12に向けられており、上側パイプ12上において検出範囲が重複するように配置されている。本実施形態では、上側パイプ12と下側パイプ13との関係を例に説明したが、下側パイプ13同士の関係にも本実施形態の配置は適用可能である。本実施形態の配置を正面から見た図が
図12である。図中の破線矢印は指向性センサ21bの指向方向を示している。
【0051】
本実施形態によれば、複数のパイプ12,13間の関係において指向性センサ21bを好適に配置することができる。本実施形態のように、指向性センサ21bは取り付けられたパイプ以外のパイプのリークを検出することもできるため、指向性センサ21bのみによって複数のパイプ12,13におけるリークを検出することもできる。
【0052】
(第8実施形態)
図13に示すように、第8実施形態では、超音波センサ21として、指向性センサ21bを使用している。指向性センサ21bの配置は概ね第7実施形態と同じであるが、本実施形態では、隣接する下側パイプ13上に取り付けられた指向性センサ21b(
図12の2点鎖線楕円参照)が隣接する復水器11同士の間に配置された指向性センサ21bに置換されている。隣接する復水器11同士の間に配置された指向性センサ21bは、図示しない回転装置によって指向方向が定期的に変更される。即ち、隣接する復水器11同士の間に配置された指向性センサ21bは、隣接する復水器11の各上側パイプ12に定期的に向けられる。
【0053】
本実施形態によれば、隣接する復水器11同士の間に配置された指向性センサ21bは、隣接する2つの復水器11のいずれの上側パイプ12上の接続部15のリークも検出範囲に含めることができるため、指向性センサ21bの数を少なくすることができる。
【0054】
(第9実施形態)
図14に示すように、第9実施形態では、超音波センサ21として、指向性センサ21bを使用している。指向性センサ21bの配置は概ね第8実施形態と同じであるが、本実施形態では、隣接する復水器11同士の間の指向性センサ21bを、隣接する復水器11の2つの上側パイプ12と2つの下側パイプ13とから等距離に配置している。これらの間に配置された指向性センサ21bは、図示しない回転装置によって隣接する復水器11の各上側パイプ12と各下側パイプ13とに定期的に向けられる。ただし、隣接する復水器11同士の間の指向性センサ21bは、必ずしも隣接する復水器11の2つの上側パイプ12と2つの下側パイプ13とから等距離に配置されている必要はなく、2つの上側パイプ12上の接続部15と2つの下側パイプ13上の接続部とを検出範囲に含めることができる配置であればよい。
【0055】
本実施形態によれば、隣接する復水器11同士の間に配置された指向性センサは、隣接する2つの復水器11のいずれの上側パイプ12上の接続部15と下側パイプ13上の接続部15とのリークも検出範囲に含めることができるため、指向性センサ21bの数を少なくすることができる。
【0056】
(第10実施形態)
図15に示すように、第10実施形態では、超音波センサ21の構成および配置は、第2実施形態と同じである。これに加えて、リーク検出部20は、超音波センサ21の測定結果を無線により通信する無線通信部23と、複数の超音波センサ21のそれぞれに電池24aが取り付けられており、電池24aから超音波センサ21に電力を供給する電力供給部24とを備える。無線通信部23は、各超音波センサ21に取り付けられた送信機23aから構成される。送信機23aは、PCサーバ等の基地局に情報を送信する。
【0057】
本実施形態によれば、無線通信部23によって通信用の配線を省略でき、電力供給部24によって電力供給用の配線を省略することができる。従って、煩雑となる配線系を無くすか、または減らすことができるため、利便性を向上させることができる。また、無線通信によってリークを検出した情報を集約することで、いずれの超音波センサ21にてリークを検出したかを容易に把握できるため、リークの概ねの位置を特定できる。また、超音波センサ21への供給電力を電池に依存することで、システムの設置作業を容易にできる。好ましくは、電池には二次電池または太陽電池等の交換不要型のものを用いる。なお、ここで説明した第10実施形態では、超音波センサ21の構成および配置は、第2実施形態と同じであるが、これに限定されず、任意の配置であり得る。
【0058】
(第11実施形態)
図16に示すように、第11実施形態では、超音波センサ21の構成および配置は、第2実施形態と同じである。これに加えて、超音波センサ21は、所定の周波数(本実施形態では40kHz)の疑似リーク音を発生させるスピーカ21cをそれぞれ備える。また、
図17に示すように、リーク検出部20は、超音波センサ21のスピーカ21cから定期的に疑似リーク音を発生させる命令部25aと、疑似リーク音を発生させた超音波センサ21以外の超音波センサ21で疑似リーク音を検出可能か否かを診断する診断部25bとを有する制御装置30を備える。疑似リーク音を発生させたにも拘らずリーク音を検出できないときは、診断部25bによって異常があると診断され、モニタ22などに診断情報を表示するか、または警報器22を作動させる。
【0059】
本実施形態によれば、命令部25aによって超音波センサ21のスピーカ21cを制御して定期的に疑似リーク音を発生させ、診断部25bによって超音波センサ21が疑似リーク音を検出できるか否かを診断できる。即ち、復水器用リーク検出システム1の点検を定期的に自動で行うことができる。また、疑似リーク音までの距離と検出強度から各超音波センサ21の感度評価を行うことができる。なお、ここで説明した第11実施形態では、超音波センサ21の構成および配置は、第2実施形態と同じであるが、これに限定されず、任意の配置であり得る。
【0060】
以上より、本発明の具体的な実施形態やその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、個々の実施形態の内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。