(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取引処理部は、前記引落用口座の残高が前記過去の引落金額に所定の余剰金を加算した金額より少ない場合には、前記引落用口座の残高と前記過去の引落金額の差額に前記余剰金を加算した金額を、前記メイン口座から前記引落用口座への振替金額と決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の取引管理装置。
前記取引処理部は、前記引落用口座の残高が前記過去の引落金額に所定の余剰金を加算した金額より大きい場合には、前記メイン口座から前記引落用口座への振替を行わない
ことを特徴とする請求項1に記載の取引管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る取引システム1の構成例を示すブロック図である。
【0012】
取引システム1は、ホストコンピュータ10、記憶装置12、自動取引装置20、店舗端末30及び引落先端末40を有する。ホストコンピュータ10は、ネットワークNWを介して、各支店や店舗に設置された複数の自動取引装置20と接続され、自動取引装置20から指示された取引を管理する。ホストコンピュータ10は、自動取引装置20から送信される取引電文に応じて、取引可否等の顧客情報である口座DB(Database)12aを参照して判断し、対応する応答電文を自動取引装置20に送信する。
【0013】
ホストコンピュータ10には、記憶装置12が接続され、記憶装置12には。顧客の口座情報や取引情報が格納される口座DB12aが保存される。記憶装置は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置である。口座DB12aは、ホストコンピュータ10に管理され、口座の各情報が記録された口座元帳と各口座との取引の履歴が記載された取引履歴等が記録される。
【0014】
自動取引装置20は、金融機関の店舗や駅あるいはコンビニエンスストア内に設置された現金自動預払機である。顧客は、自動取引装置20を利用して、現金の入金や引出しだけでなく振込や振替等の処理を行うことができる。なお、金融機関は、銀行に限らず、信用金庫や郵便局を含むものである。
【0015】
店舗端末30は、行員により操作される端末で、銀行の支店等に設置され、ホストコンピュータ10とネットワークNWで接続される。顧客からの指示を受けて、後述する振替用口座の開設や振替条件が店舗端末30からホストコンピュータ10に送信される。
【0016】
引落先端末40は、クレジット会社、電話会社や電力会社等(まとめて引落先会社と呼ぶ)に設置され、公共料金、電気料金、ガス料金やクレジットカード支払等を所定の決済日に金融機関に設定する。顧客は、引落先会社と、事前に自動引落の契約を結んでいる。
【0017】
ホストコンピュータ10は、所定の決済日に口座引落処理を行う。すなわち、ホストコンピュータ10は、引落先会社から指定された引落金額を顧客の口座から自動的に引落して、引落先会社の口座に移動させる。ホストコンピュータ10、自動取引装置20、店舗端末30及び引落先端末40は、ネットワークNWで接続される。
【0018】
図2は、ホストコンピュータ10のハードウェアブロック図である。ホストコンピュータ10は、CPU100、RAM102、ROM104、入出力IF106及び通信部108を有する。
【0019】
CPU100は、OS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムを読込み、読込んだプログラムに従って処理を実行して、ホストコンピュータ10全体を統括的に制御する。
【0020】
RAM102は、CPU100に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU100による処理に必要な各種データが格納される。ROM104は、OSのプログラムやアプリケーションプログラムを不揮発的に記憶する。また、ROM104は、各種データやテーブルを不揮発的に記憶する。
【0021】
入出力IF106は、接続される周辺機器とデータの送受信を中継する。本例では入出力IF106経由で記憶装置12が接続される、通信部108は、ネットワークNW等を介して、外部の機器とデータの送受信を行う。本例では、通信部108により自動取引装置20、店舗端末30や引落先端末40とデータの送受信が行われる。また、CPU100に対してRAM102等は、バス110で接続される。
【0022】
図3は、本実施形態の口座振替処理に関する機能ブロック図である。ホストコンピュータ10には取引処理部200が設けられる。取引処理部200は、ROM104に記憶されたアプリケーションを読込んだCPU100によるソフトウェア処理により実現される。取引処理部200を備えるホストコンピュータ10を、取引処理装置とも呼ぶ。
【0023】
取引処理部200は、顧客のメイン口座(主口座とも呼ばれる)及びメイン口座に対応して用意された引落用口座を管理し、メイン口座から引落用口座に引落用の資金を振替え、引落先会社から請求された金額を引落用口座から引落しを行う。具体的には、取引処理部200は、取引後2年目以降は、顧客の過去の引落金額に基づき、メイン口座から引落用口座への毎月の振替金額を決定し、決定した振替金額を、メイン口座から引落用口座に移動させる。
【0024】
また、取引処理部200は、店舗端末30から顧客の口座開設情報を取得して、メイン口座や引落用口座の開設処理を行う。取引処理部200は、開設した口座情報を、口座DB12aに記録する。
【0025】
また、取引処理部200は、店舗端末30から送信された顧客の振替条件(振替日、設定金額、余剰金額)により、記憶装置12に振替基本情報テーブルを作成する。取引処理部200は、顧客の過去の月毎の引落実績及び平均引落金額を記録した引落記録テーブルを記憶装置12に作成する。振替基本情報テーブルと引落記録テーブルについては、
図5A,
図5Bで後述する。
【0026】
図4A、
図4Bは、口座振替処理の手順を説明するフローチャート1,2である。口座振替処理は、取引処理部200により行われる。
【0027】
口座振替処理は、順に、「登録処理」、「振替日処理」、「引落日処理」から構成される。登録処理は、メイン口座と引落用口座とを開設し、口座間の振替条件の登録を行う処理である。顧客からの指示により、行員が銀行店舗等で、メイン口座と引落用口座の開設手続き、および振替条件の登録を行う。前述のように、行員により店舗端末30からホストコンピュータ10に、登録に関する情報が送信される。メイン口座が開設済の場合には、引落用口座の開設の手続きのみでよい。
【0028】
振替条件は、メイン口座から引落用口座への振替日、設定金額及び余剰金額である。設定金額とは、毎月メイン口座から引落用口座への振替られる金額である。なお、設定金額は、1年目のみ有効な金額で、2年目以降は、前年の当月実績に基づき設定される。余剰金額とは、各引落後に引落用口座に残す金額の最低値である。余剰金額は、2年目以降で利用される金額で、1年目は利用されない。メイン口座は、振替元口座とも呼ばれる。引落用口座は、メイン口座に対応して主に引落用の口座として用意される口座である。
【0029】
ホストコンピュータ10の取引処理部200は、口座開設情報に基づき、引落用口座を口座DB12aに登録し(ステップS10)、メイン口座を口座DB12aに登録する(ステップS12)。メイン口座が登録済の場合には、ステップS12はスキップされる。
【0030】
取引処理部200は、振替基本情報テーブルに振替日を登録する(ステップS14)。取引処理部200は、振替基本情報テーブルに引落用口座の設定金額を登録する(ステップS16)。取引処理部200は、振替基本情報テーブルに余剰金額を登録する(ステップS18)。
図5Aは、振替基本情報テーブルの例である。本例では、振替基本情報テーブルに、振替日を毎月26日とし、設定金額を100,000円、余剰金額を10,000円と登録される。
【0031】
図6A〜
図6Cは、1年目・2年目・3年目の毎月の振替処理の例をまとめた表である。
【0032】
なお、本例では、説明を分かりやすくするために、メイン口座への給与振り込み日を毎月25日、メイン口座から引落用口座への設定金額の振替日を毎月26日、引落用口座からの引落日を毎月10日とし、各日は固定で、曜日には無関係とする。また、引落の種類や内容に関わらず、引落日は共通とする。
【0033】
図6Aの例で、登録処理を具体的に説明する。2016年12月20日に、メイン口座と振替用口座が開設され、振替日・設定金額・余剰金額が登録されたとする。口座開設時のメイン口座の残高が1,000,000円である(
図6Aのa1)。以上が、登録処理である。そして、2016年12月25日にメイン口座への給与振り込み(20万円)がされ、メイン口座の残高が1,200,000円になる(
図6Aのa2)。
【0034】
図4Aに戻る。取引処理部200は、ステップS14で登録した振替日(毎月26日)になると、以下の振替日処理を行う。取引処理部200は、口座振替処理開始後、1年目であるかを判断する(ステップS20)。取引処理部200は、口座振替処理開始後、2年目以上であると判断すると(ステップS20のNO)、
図4Bに進む。
【0035】
取引処理部200は、口座振替処理開始後、1年目であると判断すると(ステップS20のYES)、振替基本情報テーブルの設定金額と当月の引落用口座の残高の差額#1を計算する(ステップS22)。取引処理部200は、差額#1>0であるかを判断する。取引処理部200は、差額#1>0であると判断すると(ステップS24のYES)、メイン口座から引落用口座に差額#1を振替える(ステップS26)。
【0036】
また、取引処理部200は、差額#1>0でないと判断すると(ステップS24のNO)、メイン口座から引落用口座への振替をしないで、ステップS28に進む。引落用口座の残高が十分にあるので、メイン口座からの振替の必要がないからである。
【0037】
図6Aの例で説明する。2016年12月26日に、設定金額100,000円、引落用口座残高0円であるので、差額#1=100,000円となり、差額#1>0となる。メイン口座から引落用口座に差額#1(100,000円)が振替えられ(
図6Aのa3)、引落用口座の残高が100,000円になる(
図6Aのa4)。
【0038】
図4Aに戻る。取引処理部200は、引落日になると、引落日処理を行う。取引処理部200は、引落用口座から当月分を引落す(ステップS28)。取引処理部200は、引落記録テーブルに当月の引落金額#1を記録して(ステップS30)、ステップS20に戻る。
【0039】
図6Aの例で説明する。2017年1月10日に、引落用口座から95,000円が引き落とされ(
図6Aのa5)、引落用口座の残高は、100,000円から5,000円になる(
図6Aのa6)。そして、
図5Bの引落記録テーブルの1年目の1月の欄に、95,000円が記録される(
図5Bのm1)。
【0040】
さらに、翌月の2017年1月25日に給与が振り込まれ、メイン口座の残高は、1,300,000円になる(
図6Aのa7)。2017年1月26日に、メイン口座から引落用口座に差額#1(95、000円)が振替えられる(
図6Aのa8)、設定金額100,000円−引落用口座の残高5,000円→差額#1(95、000円)となる。そして、引落用口座の残高が100,000円になる(
図6Aのa9)。
【0041】
2017年1月26日に、引落用口座から90,000円が引き落とされ(
図6Aのa10)、引落用口座の残高は、10,000円になる(
図6Aのa11)。以上の処理が、2017年12月10日まで繰り返される。
【0042】
〈2年目以降の処理〉
ステップS20に戻る。取引処理部200は、口座振替処理開始後、1年目でないと判断すると(ステップS20のNO)、
図4Bに進み、振替日処理及び引落日処理を行う。
【0043】
取引処理部200は、直近過去数年間の引落実績から当月の平均引落金額を算出する(ステップS40)。直近過去数年間とは、例えば直近の過去3年間である。ただし、口座振替処理実績が1年以上2年未満の場合には、当月の平均引落金額は、前年当月の引落金額とする。また、口座振替処理実績が2年以上3年未満の場合には、当月の平均引落金額は、過去2年の当月の平均引落金額とする。
【0044】
取引処理部200は、平均引落金額を引落記録テーブルに記録する(ステップS42)。取引処理部200は、平均引落金額と引落用口座の残高の差額#2を計算する(ステップS44)。
【0045】
図6Bの例で説明する。2年目の最初の月である2017年12月26日とする。翌月の2018年1月度引落用の振替を行う。取引処理部200は、前年当月(2017年1月)の引落金額95,000円(
図6Aのa5)を平均引落金額とし、
図5Bの引落記録テーブルの1年目の1月の欄に記録する(
図5Bのm1)。取引処理部200は、平均引落金額95,000円(
図5Bのm1)と引落用口座の残高18,000円(
図6Bのb1)の差額#2を計算して、77,000円を算出する。
【0046】
図4Bに戻る。取引処理部200は、差額#2+余剰金額>0であるかを判断する(ステップS46)。取引処理部200は、差額#2+余剰金額>0であると判断すると(ステップS46のYES)、メイン口座から引落用口座に、差額#2+余剰金額を振替える(ステップS48)。取引処理部200は、差額#2+余剰金額>0でないと判断すると(ステップS46のNO)、メイン口座からの振替をしないでステップS50に進む。
【0047】
図6Bの例で説明する。2017年12月26日で、差額#2(77,000円)+余剰金額10,000円>0であるので、ステップS46はYESとなる。取引処理部200は、差額#2(77,000円)+余剰金額10,000円→移動金額87,000円を、メイン口座から引落用口座に移動する(
図6Bのb2)。引落用口座の残高は、105,000円になる(
図6Bのb3)。
【0048】
なお、仮に、2017年12月25日での引落用口座の残高が106,000円とすると、平均引落金額95,000円(
図5Bのm1)−引落用口座の残高106,000円=差額#2(−11,000円)になる。差額#2(−11,000円)+余剰金額10,000円>0でなくなるので、ステップS46はNOとなる。つまり、引落用口座の残高が(平均引落金額+余剰金額)より多い場合には、メイン口座からの振替は行われない。
【0049】
図4Bに戻る。取引処理部200は、引落日になると、引落日処理を行う。取引処理部200は、引落用口座から当月分(引落金額#2)を引落す(ステップS50)。取引処理部200は、当月の引落記録が過去3年分記録されているかを判断する(ステップS52)。取引処理部200は、当月の引落記録が過去3年分記録されていると判断すると(ステップS52のYES)、当月の一番過去の引落金額を削除する(ステップS54)。新しい引落金額の方が、予測性が高いからである。
【0050】
取引処理部200は、当月の引落記録が過去3年分記録されていないと判断すると(ステップS52のNO)、ステップS56に進む。取引処理部200は、当月の引落金額#2を引落記録テーブルの当月当年に記録する(ステップS56)。
【0051】
図6Bの例で説明する。2018年1月10日に、取引処理部200は、引落用口座から97,000円(
図6Bのb4)を引落す。引落用口座の残高は、105,000円から8,000円(
図6Bのb5)に減少する。取引処理部200は、2年目の最初の月であるので、ステップS52はNOと判断し、引落記録テーブルの1月分の2年目の欄に、97,000円を記録する。
【0052】
〈3年目の処理〉
次に、
図6Cの例により、3年目の処理を説明する。3年目の最初の月である2018年12月26日に、取引処理部200は、ステップS40として、引落記録テーブルから1月の平均引落金額として、(95,000+97,000)/2=96,000円を算出する。取引処理部200は、ステップS42として、引落記録テーブルの1月度の1〜2年目平均の欄に平均引落金額(
図5Bのm4)を記録する。
【0053】
2018年12月26日で、引落用口座の残高は9,000円である(
図6Cのc1)。そして、取引処理部200は、平均引落金額(96,000円)−引落用口座の残高(9,000円)+余剰金額(10,000円)=97,000円から、メイン口座から振替用口座に97,000円(
図6Cのc2)を移動する。引落用口座の残高は106,000円になる(
図6Cのc3)。
【0054】
2019年1月10日に、引落用口座から引落金額(96,000円)が引落され(
図6Cのc4)、引落用口座の残高は10,000円になる(
図6Cのc5)。
【0055】
そして、取引処理部200は、前述のステップS56の処理として、引落テーブルの3年目1月の引落金額の欄に、96,000円を記録して(
図5Bのm3)、ステップS40に戻る。更に、翌年1月には、取引処理部200は、ステップS40の処理として、1月の平均引落金額を96,000円と算出する。そして、取引処理部200は、ステップS42の処理として、引落テーブルの1〜3年目1月度の平均引落金額に96,000円を記録する(
図5Bのm5)。さらに、4年目以降は、直近過去3年分の当月の平均引落金額に余剰金額を加算した金額が引落される。
【0056】
〈効果〉
・従来、引落用口座を設けた場合に、引落が出来ない事態を避けるために、引落金額の多い月を基準にして、毎月の振替金額を設定していた。例えば、暖房費の関係で冬に引落金額が多くなるような場合に、冬の引落金額が基準になっていた。本実施形態によれば、過去の引落の実績に基づき、振替金額を毎月変化させるので、毎月適切な金額の振替が行われる。これにより、引落用口座の余剰金額が多くなり過ぎてメイン口座の残高が減ることを防止できる。
・過去の月毎の引落金額の実績に基づき、メイン口座から引落用口座への移動金額が自動的に決められるので、顧客の手間なしに、毎月適切な金額を移動させることができる。
・また、本実施形態によれば、移動金額を直近の複数年の引落金額の実績に基づき設定するので、最新の消費実態に対応した振替金額が設定される。
【0057】
〈変形例〉
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用ができることはもちろんである。