(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758275
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】エゴマ粕を用いた飼料組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23K 10/37 20160101AFI20200910BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20200910BHJP
A23K 20/20 20160101ALI20200910BHJP
A23K 20/24 20160101ALI20200910BHJP
A23K 10/33 20160101ALI20200910BHJP
A23K 10/12 20160101ALI20200910BHJP
A23K 10/18 20160101ALI20200910BHJP
【FI】
A23K10/37
A23K10/30
A23K20/20
A23K20/24
A23K10/33
A23K10/12
A23K10/18
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-229837(P2017-229837)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-88917(P2018-88917A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年7月5日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0163840
(32)【優先日】2016年12月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517418910
【氏名又は名称】アグリカルチュラル カンパニー コーポレーションズ グリーン グラス フィード カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】517418921
【氏名又は名称】シン、スン ホ
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】シン、スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】アン、オク ジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジェ ギュ
【審査官】
大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−218914(JP,A)
【文献】
特開2011−244704(JP,A)
【文献】
特開2002−360184(JP,A)
【文献】
特開2004−283110(JP,A)
【文献】
特開昭56−055160(JP,A)
【文献】
特開2005−218458(JP,A)
【文献】
特開平09−070260(JP,A)
【文献】
特開2008−212149(JP,A)
【文献】
特開平06−153816(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2014−0005004(KR,A)
【文献】
山田未知・添田輝・関口志真・網中潤・山田幸二・武藤健司,肥育豚へのエゴマ粕給与が発育性,産肉性および脂肪組織と筋肉の脂肪酸組成に及ぼす影響,日豚会誌,日本,2005年 6月,42巻2号,45−53頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)稲藁を含む粗飼料20〜40重量部を準備する段階、
2)直径1.5〜2.5mmのサイズを有するように破砕し、砂糖を添加し、ラクトバチルス菌の存在下で45〜55℃で50〜72時間撹拌すると同時に、発酵したエゴマ粕6〜8重量部を準備する段階、
3)穀物、塩、ミネラル及び炭酸カルシウムのうち少なくともいずれか1つ以上の追加材料20〜55重量部を準備する段階、
4)生菌剤0.5〜1.5重量部を準備する段階、
5)前記粗飼料、前記エゴマ粕、前記追加材料、前記生菌剤を混合した混合物を生産する段階、及び
6)前記混合物を前記生菌剤が投入した時から28〜32時間発酵熟成する段階を含み、
家畜から獲得する肉または牛乳のうち少なくともいずれかの1つの畜産物にオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が1:4以下の比率を有するように獲得し、
畜産物内にアラキドン酸の含有を除去する効果を有することを特徴とする、
エゴマ粕を用いた飼料組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エゴマ粕(perilla meal)を用いた飼料組成物に関し、オメガ3(ω−3)脂肪酸とオメガ6(ω−6)脂肪酸の比率を1:4以下に調整して家畜から得ることができる肉、牛乳などに不飽和脂肪酸が多量に含有された畜産物を獲得することができるが、廉価で生産することができる飼料組成物に関する。
【0002】
一般的に、ニワトリ、豚、牛などのような家畜を飼育するにあたり、家畜の健康を維持し、その家畜が有している生産能力を充分に発揮させるため、適切な栄養成分を含む多様な配合飼料が通常使用されている。
【0003】
その結果、生産畜産物に過度な脂肪が蓄積され、これを摂取した人体に急激にオメガ3脂肪酸(ω−3)とオメガ6(ω−6)の深刻な不均衡を招き、各種心臓系、血管系系統の疾患が発生して社会問題となるや否や、最近は多くの穀物飼料配合に対する研究が活発に行われてきた。
【0004】
ここで、家畜を飼育するために与えられていた従来技術は、亜麻仁、亜麻油、または亜麻粕などの亜麻関連物を添加した飼料組成物を作って提供することにより、オメガ3(ω−3)とオメガ6(ω−6)のバランスを1:4以下にして畜産物を生産する技術が韓国内の畜産市場に登場したが、理論と異なり商品の実用化には失敗した。
【0005】
このような要求条件を満足するために、家畜を飼育するための飼料として与えられていた従来技術は、亜麻仁、亜麻油、または亜麻粕などのような亜麻関連物を添加した飼料組成物を作って提供することにより、オメガ3(ω−3)とオメガ6(ω−6)のバランスを1:4以下にして畜産物を生産する技術が韓国内の畜産市場に登場し、その例として韓国登録特許第10−1267835号(公告日:2013.05.27)の「イチョウの葉粕発酵物を含む飼料組成物及びその製造方法」が開示されている。
【0006】
前記従来技術である飼料組成物の構成を見ると、イチョウの葉粕発酵物20〜30重量%、亜麻仁種発酵物20〜30重量%、及び発酵米糠1〜10重量%を含み、前記イチョウの葉粕、亜麻仁種及び米糠の発酵物はバシラス属(Bacillus)菌及び乳酸菌の発酵物で製造されてオメガ3の含量増進率が高いという長所を有している。
【0007】
しかし、このような従来技術は、現実化されておらず、オメガ含量を増進させるために使用する材料のうち高価な材料(特に、亜麻仁)を使用しており、その高価な材料によって飼料の普及単価が上昇するようになって実際の畜産業者らが使用するには不可能であるという理由で忌避され、現実化が不可能となった問題点がある。
【0008】
また、家畜の感じでは美味でないため、畜産業者から忌避されることによって飼料の嗜好性が落ち、特に乳牛の場合は乳量が落ち、韓牛の場合は肥育(家畜を太らせること)がうまくいかないだけでなく、等級が芳しくなく生産者の所得損失を招くようにまでなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような従来の問題点を解消するために提案されたもので、その目的は、廉価でオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が1:4以下に調整された飼料を製造して家畜(牛または乳牛)に与えて肉、牛乳などを容易に廉価で生産することができると同時に、家畜体内に不飽和脂肪酸が大量に含有された畜産物を生産することができる飼料組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した技術的課題を解決するために、本発明によるエゴマ粕を用いた飼料組成物は、飼料組成物100重量部において、前記飼料組成物は、燕麦または稲藁のうち少なくともいずれか1つを含む粗飼料20〜40重量部、直径1.5〜2.5mmのサイズを有する破砕されたエゴマ粕6〜8重量部、穀物、塩、ミネラル及び炭酸カルシウムの中から選択された1つ以上の追加材料20〜55重量部、及び生菌剤0.5〜1.5重量部を含み、前記エゴマ粕は直径1.5〜2.5mmの設定サイズを有するように破砕され、家畜から獲得する肉または牛乳のうち少なくともいずれかの1つの畜産物にオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が1:4以下の比率を有するように獲得し、前記エゴマ粕に砂糖、塩、糖蜜のうち少なくともいずれか1つを添加し、ラクトバチルス菌の存在下で45〜55℃で50〜72時間撹拌すると同時に、発酵して酸敗を防止することを特徴とする。
【0011】
更に、前述した本発明によるエゴマ粕を用いた飼料組成物を製造する方法は、
1)燕麦または稲藁のうち少なくともいずれか1つを含む粗飼料20〜40重量部を準備する段階、
2)直径1.5〜2.5mmのサイズを有するように破砕し、砂糖、塩、糖蜜のうち少なくともいずれか1つを添加し、ラクトバチルス菌の存在下で45〜55℃で50〜72時間撹拌すると同時に、発酵したエゴマ粕6〜8重量部を準備する段階、
3)穀物、塩、ミネラル及び炭酸カルシウムのうち少なくともいずれか1つ以上の追加材料20〜55重量部を準備する段階、
4)生菌剤0.5〜1.5重量部を準備する段階、
5)前記粗飼料、前記エゴマ粕、前記追加材料、前記生菌剤を混合した混合物を生産する段階、及び
6)前記混合物を発酵熟成する段階を含む。
【0012】
また、前記6)段階では前記生菌剤が投入した日から28〜32時間発酵熟成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来とは差別的に、韓国の畜産物のオメガ3とオメガ6の脂肪酸の比率が1:8乃至1:27である現在の畜産農家の状況と異なり、家畜に与えた6ヶ月後からオメガ3とオメガ6の脂肪酸の比率が世界保健機構(WHO)の勧奨比率である1:4以下で100%生産される効果がある。
【0014】
また、従来とは差別的に、核心成分であるエゴマ粕の酸敗を防止して家畜に安全な飼料を提供することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明によるエゴマ粕を用いた飼料組成物のエゴマ粕に対する栄養成分の分析図である。
【
図2】本発明によるエゴマ粕を用いた飼料組成物のエゴマ粕に対する脂肪酸の分析図である。
【
図3】本発明によるエゴマ粕を用いた飼料組成物の配合比率を示した図面である。
【
図4】本発明によるエゴマ粕を用いた飼料組成物の製造方法を示したフローチャートである。
【
図5】
図5に対する飼料組成物の脂肪酸の分析である。
【
図7】
図5に対する飼料を与えた後の不飽和脂肪酸の変化である。
【
図8】
図7に対する飼料提供期間による不飽和脂肪酸の変化を示すグラフである。
【
図9a】2015年10月20日付の検査成績である。
【
図9b】2015年10月13日付の牛屠体等級判定結果表である。
【
図10】2015年11月12日付のナチュラル1次試料による検査成績書である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例によるエゴマ粕を用いた飼料組成物(以下、単に「飼料組成物」という)について詳細に説明する。説明に先立ち、本発明による飼料組成物はタンニン(tannin)成分がない牛、乳牛、豚などのような家畜に与えられる飼料を意味し、鹿などのような家畜に使用されるものではないことを述べておく。
【0017】
すなわち、鹿はタンニン成分がなければ提供時にあまり食べず飼料として使用することができないため、下記に説明する追加材料にタンニン成分を有する組成物を使用して鹿にも与えることができるが、本発明の要旨を曖昧にしないように、牛と乳牛に限って詳細に説明することを述べておく。
【0018】
まず、
図1及び
図2に示したように、本発明である飼料組成物は、核心組成物であるエゴマ粕は別途の粗飼料、追加材料及び生菌剤が混合されて家畜の飼料として使用するためのものであり、特にエゴマ粕の栄養成分は水分、粗蛋白、粗脂肪、粗繊維、粗灰分、カルシウム、リンなどの多様な栄養成分を含んでいる。
【0019】
図示した資料を通じてエゴマ粕の脂肪酸を見ると、エゴマ粕の100g当たりの脂肪酸の組成をグラム(g)で分析したところ、パルミチン酸(Palmitic acid)が6.81、ステアリン酸(stearic acid)が2.83、カプリン酸(Capric acid)は0.00、ラウリン酸(Lauric acid)は0.01、ミリスチン酸(Myristic acid)は0.04など飽和脂肪酸の総量が9.43%と非常に少なく、代表的な不飽和脂肪酸であるリノレン酸(linolenic acid)(ω−3)は58.05%であり、リノール酸(linoleic acid)(ω−6)は15.60%であり、オレイン酸(oleic acid)(ω−9)は16.04%であり、その他の不飽和脂肪酸含有不飽和脂肪酸の総計90.07%と非常に優れた原料であることが分かる。
【0020】
更に、
図3に示したように、本発明による飼料組成物は肥育期間及び搾乳期間に属するすべての家畜の飼料として使用することができ、その組成比率は粗飼料が20%〜40%、エゴマ粕が3%〜11%、追加材料20%〜55%及び生菌剤が0.5%〜1.5%ずつそれぞれ配合されていることが分かる。
【0021】
この時、粗飼料は燕麦または稲藁のうちいずれか1つ以上の品種が使用でき、追加材料は穀物、塩、ミネラル及び炭酸カルシウムのうちいずれか1つ以上が選択された混合物からなることが好ましい。
【0022】
更に、前述した組成比率を有する本発明による飼料組成物は、生菌剤の投入後に28時間〜32時間発酵熟成し、当該発酵熟成期間前は生菌剤、すなわち微生物が充分に繁殖することができないか、発酵熟成後は微生物の過多繁殖によって腐臭を伴うことがあるため、当該発酵熟成期間に属するように発酵することにより、発酵効果だけでなく、家畜の消化吸収力の増大に寄与するようにする。
【0023】
また、元来エゴマ粕は円型の塊なので、好ましくは、前記エゴマ粕は破砕機を用いて設定されたサイズに粉砕されたものを使用する。
【0024】
この時、エゴマ粕の設定サイズは生菌剤が投入混合後に発酵熟成されるのに適正な程度、そして提供対象家畜に与えるのに容易な程度の粒子に粉砕されなければならないという点を考慮して決定されるが、多年間の畜産現場での試験を経て通常直径1.5〜2.5mm以内に粉砕されることが好ましい。
【0025】
更に、破砕後のエゴマ粕は、温が急上昇する夏期は酸敗が起きるので、原料管理に格別に留意しなければならないが、前記エゴマ粕は酸敗が発生しないものを使用しなければならず、前記エゴマ粕の酸敗を防止するためには破砕しようとする塊形のエゴマ粕とラクトバチルス(乳酸菌)を一緒に破砕し、破砕が行われた後に約50〜72時間の間撹拌すると同時に、発酵する熟成期間を有するようにしてエゴマ粕の酸敗を防止するようにする。
【0026】
この時、エゴマ粕の酸敗防止を極大化することができるように砂糖、塩及び糖蜜のうち少なくともいずれか1つの構成物を含んで熟成させることで、ラクトバチルスが活発に活動することができる栄養分を提供して、発酵熟成に必要な温度は約45〜55℃以内の温度を有するように撹拌すると同時に、発酵させて酸敗防止効果を極大化し、飽和脂肪酸の比率によってオメガ脂肪酸のバランスを1:4以下に維持することができるようになる。
【0027】
生菌剤、すなわち発酵に必要な微生物からなる生菌剤は家畜の消化力と発酵力増大を目的に混合され、
更に、本発明による飼料組成物は肥育期間(出生20ヶ月以後の雄牛を太らせる期間)と搾乳期間(子牛を出産した以後の乳牛から母乳が出る時期)にある乳牛ともに使用可能であり、混合物を構成する追加材料が穀物の場合は搾乳期間よりも泌乳期間により多い量を添加して使用することができるが、その理由は穀物が有している栄養分は家畜を太らせる役割が大きく作用するところ、搾乳期間に乳牛が太りすぎると、その乳牛の乳線が収縮して子牛に十分な母乳を供給することができなくなる場合が発生し得るので、搾乳期間に接する乳牛には追加材料として使用する穀物の量を泌乳期間にある牛よりも少なく供給するようにする。
【0028】
この時、前記の内容で搾乳期間に使用する穀物の量は泌乳期間に使用する穀物の量よりも約20%〜30%以下の量で供給することが好ましい。
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の好適な実施例によるエゴマ粕を用いた飼料組成物の製造方法(以下「飼料製造方法」という)について詳細に説明する。
【0030】
まず、
図4に示すように、本発明による飼料製造方法は、粗飼料が20〜40重量で準備される段階(S110)、破砕されたエゴマ粕が6〜8重量で準備される段階(S120)、追加材料が20〜55重量で準備される段階(S130)、生菌剤が0.5〜1.5重量で準備される段階(S140)、混合物で形成する段階(S150)及び混合物を発酵熟成する段階(S160)を含む製造方法からなる。
【0031】
この時、発酵熟成する段階では生菌剤を投入した日から約28〜32時間発酵熟成することが好ましく、その理由は、当該発酵熟成期間前は微生物が充分に繁殖することができないか、発酵熟成後は微生物の過多繁殖によって腐臭を伴うことがあるため、当該発酵熟成期間に属するように発酵することで、発酵効果だけでなく、家畜の消化吸収力の増大に寄与するようにする。
【0032】
かかる飼料製造方法で製造された飼料組成物の脂肪酸を見ると、
図5の分析図表に示すように、本発明の飼料組成物100g当たりの脂肪酸組成をグラム(g)で分析したところ、飽和脂肪酸であるパルミチン酸(palmitic acid)は12.67、ステアリン酸(stearic acid)は2.39、カプリン酸(Capric acid)は0.00、ラウリン酸(Lauric acid)は0.1、ミリスチン酸(Myristic acid)は0.27などが含有され、不飽和脂肪酸の総量が16.36%であることが分かり、不飽和脂肪酸としてはリノレン酸(ω−3)が25.97%、リノール酸(ω−6)が28.38%、オレイン酸(Oleic acid)は20.98%、その他の不飽和脂肪酸を含む不飽和脂肪酸総量は76.39%含有されていることが分かる。
【0033】
したがって、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率は1:1.08として、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が1:4以下に調整されていることを通じて、本発明による製造方法で製造された飼料組成物のオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率を確認することができる。
【0034】
更に、
図6に示すように、肥育期間(搾乳期間を含む)中の飼料組成分の配合による成分は、依頼試料の原物を基準に、水分は43.33%、粗蛋白は9.13%、粗脂肪は3.60%、粗繊維は11.44%、粗灰分は5.30%、カルシウムは0.49%、リンは0.40%などが含有されていることが分かり、残りの溶解性蛋白質、分解性蛋白質なども図表に記載されたように多様に含有されていることが分かる。
【0035】
以下、前記の本発明による飼料製造方法で製造された飼料組成物の成果を列挙された資料などを通じて確認する。
【0036】
まず、
図7及び
図8を参考にして、本発明の飼料提供後の不飽和脂肪酸の変化を見ると、飼料組成物を提供して6ヶ月後の不飽和脂肪酸が57.4%であり、飼料組成物を提供して7ヶ月後の不飽和脂肪酸が60.2%、58.9%、58.7%であり、飼料組成物を提供して8ヶ月後の不飽和脂肪酸が61.7%、62.4%、61.8%であり、飼料組成物を提供して9ヶ月後は不飽和脂肪酸が65.6%、66.8%であり、提供期間によって徐々に不飽和脂肪酸の含有率が増加した。
【0037】
本実験の結果値を見ると、エゴマ粕が不飽和脂肪酸の増大に影響を及ぼしたことを証明すると考えられる。
【0038】
その後、飼料組成物を10ヶ月、11ヶ月与えて生産物、すなわち肉、牛乳などを分析したが、これ以上の不飽和脂肪酸の含有率の増加はわずかだった。
【0039】
ここで、
図7の下段部最後の部分の数値はω−3とω−6の比率であり、
図6の下段部最後の行のω−3/ω−6の比率を見ると、飼料組成物を提供して6ヶ月後のω−3/ω−6の比率は1:3.74であり、飼料組成物を提供して7ヶ月後のω−3/ω−6の比率は1:3.74、1;2.72、1;3.26、1;1.91であり、飼料組成物を提供して8ヶ月後のω−3/ω−6の比率は1;2.97、1;2.84、1;5.2であり、飼料組成物を提供して9ヶ月後のω−3/ω−6の比率は1;2.48、1;3.01だった。
【0040】
本実験の結果を見ると、大部分の実験家畜でオメガ3とオメガ6(ω−3、ω−6)の脂肪酸の比率が1:4以下に調整されたことが分かり、これはエゴマ粕がω−3/ω−6の比率、すなわちバランスに確実な影響があることが分かる。
【0041】
また、
図9a及び
図9bに示すように、飼料提供後、韓国忠南大学校農業科学研究所で発行された脂肪試料による検査成績書では、オレイン酸(オメガ9)が44.25であり、リノール酸は3.86であり、リノレン酸は1.03などが含有されていることが分かり、図表に示すようにオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が1:3.74であるが、図示した飼料は1:4以下に調整された飼料であることが分かる。
【0042】
したがって、その結果として韓国バクダルジェLPC1では欠陷がない状態で韓牛1+B等級、韓国バクダルジェLPC2では欠陷がない状態で韓牛1B等級、韓国バクダルジェLPC3では欠陷がない状態で韓牛C等級の判定を受けたことが分かる(
図8b参照)。
【0043】
また、
図10に示すように、飼料提供後、韓国忠南大学校農業科学研究所から2015年11月12日付で発行された、ナチュラル1次試料による検査成績書では、オレイン酸20.98、リノール酸28.38、リノレン酸25.97などが含有されていることが分かり、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が1:1.08であるが、図示した飼料は1:4以下に調整された飼料であることが分かる。
【0044】
このように、本発明による飼料組成物は、通常国内の畜産物のオメガ3とオメガ6の脂肪酸の比率が1:8乃至1:27である現在の畜産農家の状況と異なり、家畜に与えた6ヶ月後からオメガ3とオメガ6の脂肪酸の比率が世界保健機構(WHO)の勧奨比率である1:4以下で100%生産される効果がある。
【0045】
更に、現在肉、卵、牛乳などの国内の畜産物の不飽和脂肪酸の含有比率が43%以上であるのと異なり、本発明の飼料組成物を家畜に与えたところ、6ヶ月後から不飽和脂肪酸の含有比率が55%を越え始め、特に8ヶ月後から60%以上の高品質な畜産物が生産されるまた別の効果がある。
【0046】
ここで、脂肪酸のうち、アラキドン酸(arachidonic acid)は炎症誘発脂肪酸として、体内の免疫力を落とす脂肪酸であるが、特に本発明の飼料組成物を家畜に与えた8ヶ月後から畜産物内に前記アラキドン酸の含有を完全に除去する特有の効果がある。
【0047】
また、本発明の飼料組成物の核心成分であるエゴマ粕の酸敗を防止して家畜に安全な飼料を提供することができる効果を有する。
【0048】
以上、本発明の特定の実施例について詳述した。しかし、本発明の思想及び範囲はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で多様に修正及び変形が可能であることを本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば理解するだろう。
【0049】
したがって、以上で記述した実施例は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものなので、すべての面で例示的なものであり、限定的でないことを理解しなければならず、本発明は請求項の範疇によって定義されるに過ぎない。
【符号の説明】
【0050】
S110 粗飼料を準備する段階
S120 エゴマ粕を準備する段階
S130 追加材料を準備する段階
S140 生菌剤を準備する段階
S150 混合物を生産する段階
S160 発酵熟成する段階