(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758293
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】複数の直径プロペラを備えたターボ機械
(51)【国際特許分類】
B64C 11/48 20060101AFI20200910BHJP
B64C 11/18 20060101ALI20200910BHJP
F02C 3/067 20060101ALI20200910BHJP
F01D 5/14 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
B64C11/48
B64C11/18
F02C3/067
F01D5/14
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-532777(P2017-532777)
(86)(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公表番号】特表2018-501142(P2018-501142A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】FR2015053600
(87)【国際公開番号】WO2016097635
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年12月6日
(31)【優先権主張番号】1462652
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビヨン,ローレンス・フランシーヌ
(72)【発明者】
【氏名】グリューベル,マチュー・シモン・ポール
【審査官】
伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0133982(US,A1)
【文献】
特表2000−501676(JP,A)
【文献】
特表2002−531313(JP,A)
【文献】
特開昭57−060999(JP,A)
【文献】
特表2012−517933(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0115083(US,A1)
【文献】
国際公開第2007/057021(WO,A1)
【文献】
特表2013−514923(JP,A)
【文献】
実開平06−072799(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 11/00
B64C 27/467
F03D 1/06
B64C 11/48
B64C 11/18
B63H 5/07
B63H 1/26
B63H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れの方向に1つの上流プロペラ(10)と1つの下流プロペラ(11)とを含む少なくとも2つのアンダクテッドプロペラ(10、11)を備えるターボ機械(1)であって、上流プロペラ(10)は複数のブレード(2a、2b、2c)を備え、その少なくとも1つの第1のブレード(2a)は、少なくとも1つの第2のブレード(2b、2c)とは異なる先端半径を有する、ターボ機械。
【請求項2】
上流プロペラ(10a)の2つの連続するブレード(2a、2b、2c)が、異なる先端半径を有する、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項3】
上流プロペラ(10)のブレード(2a、2b、2c)が、第1のブレード(2a)の少なくとも1つのグループと、第2のブレード(2b、2c)の少なくとも1つのグループとを含む、等しい先端半径を有するブレードの
【数1】
グループに分割される、請求項1および2のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項4】
ブレード(2a、2b、2c)の全てのグループが、異なるブレード(2a、2b、2c)先端半径を有する、請求項3に記載のターボ機械。
【請求項5】
ブレード(2a、2b、2c)の全てのグループが、等しい数のブレード(2a、2b、2c)を備える、請求項3および4のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項6】
ブレード(2a、2b、2c)が、上流プロペラ(10)の周りに配置され、それにより、n個の連続するブレード(2a、2b、2c)の各サブアセンブリが、各々のグループから1つのブレード(2a、2b、2c)を備える、請求項5に記載のターボ機械。
【請求項7】
上流プロペラ(10)が、
【数2】
ブレード(2a、2b、2c)を備え、上流プロペラ(10)上の2つの直径方向に対向するブレード(2a、2b、2c)は、同じグループに属する、請求項3から6のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項8】
上流プロペラ(10)が、
【数3】
ブレード(2a、2b、2c)を備え、ターボ機械(1)は、第1のブレード(2a)に直径方向に対向して配置された少なくとも1つのカウンターウェイトを備える、請求項3から6のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項9】
ブレード(2a、2b、2c)のグループの数nが、2または3である、請求項3から8のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項10】
前記第2のブレード(2b、2c)が、端部が切り取られた第1のブレード(2a)である、請求項1から9のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項11】
前記第2のブレード(2b、2c)が、第1のブレード(2a)より0.5%から5%短い、請求項1から10のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項12】
下流プロペラ(11)が、第1のブレード(2a)の先端半径を有する複数のブレード(2)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項13】
プロペラ(10、11)が、二重反転式である、請求項1から12のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項14】
下流プロペラ(11)が、固定されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重反転オープンロータを有するタイプのターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
「アンダクテッド」ファンタイプのエンジン(または「プロップファン」または「オープンロータ」タイプのターボプロップ)は、ターボ機械の一タイプであり、ここでは、ファンは、ファンがダクト式である(「ターボファン」タイプの)従来のタービンエンジンとは対照的に、エンジンケーシングの外側に取り付けられる。
【0003】
特に、
図1に示される「二重反転オープンロータ」(Contra−Rotating Open Rotor)(CROR)が知られており、これには、相反する方向に回転する2つのプロペラが装備される。これは、その特に高い推進効率のために大きな関心を集めている。
【0004】
したがって、このタイプのエンジンの目標は、ターボプロップのものと同様の燃料消費量を有しながら、ターボジェットの速度および性能を保持することである。実際に、ファンがダクト式でないという事実により、直径、および推力に使用可能な空気流を増大させることが可能になる。
【0005】
しかし、ダクトがないと、認証において、問題、特に音響問題を生み出す。実際、オープンロータプロペラによって生成されるノイズは、自由場で伝播する。さらに、このタイプの構造では、ノイズ源が非常に多数存在する。音響認証の点に関して、主要なノイズ源が、上流プロペラのブレードから出て下流プロペラのブレードに当たる渦構造に由来することが知られている。現行の規格では、離陸および着陸進入中である近地上ゾーンにおいて最大のノイズ閾値を課している。これらの規格は、時と共にますます制約を課しており、エンジンがサービス開始日にそれらを達成するように、この厳しさの増大を予想することが重要である。
【0006】
この相互作用ノイズを低減するための2つの異なる方法が存在する。
【0007】
−「クリッピング」:下流プロペラは上流プロペラよりも直径が小さいので、後者のプロペラによって発せられた先端の渦は最初のものの上を通り過ぎ、それによってノイズ生成影響を回避する。しかし、このオプションは、十分な推力を確保するために翼弦を長くすることによって下流プロペラのブレードを再設計する必要がある。さらに、クリッピングは、飛行機が迎え角で作動しているときに渦構造の影響を回避することはできない。
【0008】
−上流プロペラのブレードの幾何学的形状を変更し、それによって上流プロペラによって発せられる渦構造の強度および後流におけるそれらの分布を減少させる。これにより、下流プロペラ上の不安定な負荷変動の振幅をより小さくすることが可能になる。例えば、特許出願の仏国特許出願公開第2980818号明細書および仏国特許出願公開第2999151号明細書が挙げられる。しかし、このオプションは複雑であることが判明しており、上流プロペラ上の負荷およびその推力を低減する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2980818号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2999151号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、前述の制限がなく、推進力を失うことなくエンジンの空気音響性能を(大きな迎え角においても)大きく常に改良することができる、簡単で効果的なアンダクテッドプロペラ構造を見出すことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の態様によれば、1つの上流プロペラおよび1つの下流プロペラを含む少なくとも2つのアンダクテッドプロペラを備えるターボ機械であって、上流プロペラは、複数のブレードを備え、その少なくとも1つの第1のブレードは、少なくとも1つの第2のブレードとは異なる長さを有する、ターボ機械を提案する。
【0012】
他の有利かつ非限定的な特徴によれば、
・上流プロペラの2つの連続するブレードは異なる長さを有し、
・上流プロペラのブレードは、第1のブレードの少なくとも1つのグループおよび第2のブレードの少なくとも1つのグループを含む、等しい長さのブレードの
【数1】
グループに分割され
・ブレードの全てのグループは、異なるブレード長さを有し、
・ブレードの全てのグループは、同じ数のブレードを有し、
・ブレードは、上流プロペラの周りに配置され、それにより、n個の連続するブレードの各サブアセンブリは、各グループから1つのブレードを備え、
・上流プロペラは、
【数2】
ブレードを備え、上流プロペラ上の直径方向に対向する2つのブレードは、同じグループに属し、
・上流プロペラは、
【数3】
ブレードと、第1のブレードに直径方向に対向して配置された少なくとも1つのカウンターウェイトとを備え、
・ブレードのグループの数nは、2または3であり、
・下流プロペラは、第1のブレードの長さを有する複数のブレードを備え、
・前記第2のブレードは、端部が切り取られた第1のブレードであり、
・前記第2のブレードは、第1のブレードよりも0.5%〜5%短く、
・プロペラは、二重反転式であり、
・下流プロペラは、固定されている。
【0013】
第1の発明の他の特徴および利点は、好ましい実施形態の以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。この説明は添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】二重反転オープンロータの一例を示す図である。
【
図2a】知られているターボ機械のアンダクテッド上流プロペラを示す図である。
【
図2b】本発明によるターボ機械の上流プロペラの1つの実施形態を示す図である。
【
図2c】本発明によるターボ機械の上流プロペラの別の実施形態を示す図である。
【
図3】本発明によるターボ機械の一実施形態で観察される流線の変位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
オープンロータ
図1を参照すると、(流体の流れの方向に)1つの上流プロペラ10および1つの下流プロペラ11を含む、少なくとも2つのアンダクテッドプロペラ10、11を備えるターボ機械1が、提案される。他のプロペラが、第1のプロペラの下流に配置され得ることが理解されよう。
【0016】
このターボ機械1は、好ましくは「オープンロータ」(CROR)タイプであり、また、(ケーシング内の)ガスの流れの軸に対して中央にガス発生器4(すなわち、特に燃料の燃焼を行うターボ機械の「コア」)を備え、この例では二重反転式であるプロペラ10、11(すなわち上流プロペラ10が下流プロペラ11の回転方向とは反対の回転方向を有する)を回転駆動するタービンを備える。ターボ機械は、オープンロータ「押出装置」(プロペラ10、11はガス発生器4の下流にあり、ターボ機械1を「押し出す」)であると共に、オープンロータ「引出装置」(プロペラ10、11はガス発生器4の上流にあり、ターボ機械1を「引っ張る」)であることができる。
【0017】
プロペラ10、11は必ずしも二重反転式である必要はなく、第2のプロペラ11は固定子(すなわち固定プロペラ)であってもよく、その場合、ターボ機械1はUSFと呼ばれるタイプのものである(「アンダクテッド単一ファン」)。
【0018】
いずれの場合も、各プロペラ10、11は、中央ケーシングから実質的に半径方向に延びる複数のブレード2を有する。プロペラ10、11は、ケーシングの周りに、ターボ機械1のアンダクテッドファンを画定する。
【0019】
ブレードの構成
知られている方法では、
図2aを参照すると、プロペラ10、11のブレード2は同じ長さのものである。換言すれば、全てのブレードの先端からの「半径」(すなわち、プロペラ10,11の回転軸までの距離)は、一定である。これ以後本明細書では、ブレードの「長さ」という用語が、便宜的に使用されるが、ブレード2の長さは、その先端における半径、すなわち、ブレード2を支持するプロペラ10、11の回転軸(通常は、共通のものであるという理由によりプロペラ10、11の回転軸)と、ブレード2の先端との間の距離を意味することが、理解されよう。
【0020】
本発明のターボ機械は、対照的に、上流プロペラ10の少なくとも1つの第1のブレード2aが上流プロペラ10の少なくとも1つの第2のブレード2b、2cと異なる長さを有する(換言すれば、上流プロペラは異なる長さを有する少なくとも2つのブレード2a、2b、2cを備える)ことで、区別される。慣例により、第1のブレード2aは、第2のブレード2b、2cより長く選択されるが、第2のブレード2b、2cにはいくつかの長さが存在することができることが、以下から分かるであろう。
【0021】
これにより、上流プロペラ10のブレード2a、2b、2cによって発せられた渦構造が、異なる半径方向位置で下流プロペラ11のブレード2に衝突することが可能になる。
【0022】
実際、発せられた各ブレード先端の渦は、上流プロペラのブレード2a、2b、2cのブレード先端フェアリング(すなわち先端)を通過する流線に従う。この流線は、プロペラの吸引による流れの収縮によって制約される。
【0023】
その結果、上流プロペラ10の第2のブレード2b、2cの長さが短くなると、そのブレード先端フェアリングを通る流線は、より長い長さの第1のブレード2aのものよりも小さい半径を有する。したがって、
図3に示されるように、第2のブレード2b、2cによって生じる渦は、第1のブレード2aによって引き起こされるものよりも下側で下流プロペラ11に衝突する。このようにして、異なるブレード2a、2b、2cに関連する上流プロペラ10の渦は、異なる半径方向位置で下流プロペラ11の同じブレード2に衝突し(一方で、均一のブレード長さを有する上流プロペラ10の場合、その影響は全て同じ場所であり)、したがって、音響源の位相をずらすことができ、放射された音響レベルの低下を導く。
【0024】
この構成は、上流プロペラ10の渦が(完全にまたは部分的に)下流プロペラ11に衝突する、すなわち下流側11がクリップされていないか、または十分にクリップされていない場合に適用される。好ましい実施形態では、下流プロペラ11の全てのブレード2は、同じ長さ、特に上流プロペラ10の第1のブレード2aの長さを有する。
【0025】
好ましくは、第2のブレード2b、2cは、単に短縮された第1のブレード2aである。換言すれば、ブレードの設計は、変更されず、端部のみが切り取られる。
【0026】
この変更は、プロペラ10、11の空気力学的性能を変更しないようにあまり大きくしてはならないが、音響源の位相をずらすほど十分に行われなければならない。有利なことに、前記第2のブレード2b、2c(特に、複数の長さが存在する場合は第2のブレード2b、2cの短い方)は、第1のブレード2aよりも0.5%から5%短い。
【0027】
非対称的な定常状態の計算により、事実上、上流プロペラ10の第2のブレード2b、2cの半径の(第1のブレード2aに対する)0.8%(一定のブレードピッチでの)の低減が、巡航高度では、このブレード2b、2c上での0.3%の推力損失および下流プロペラ11のブレード2上の無視できる損失を引き起こすと決定付けることが可能になっている。したがって、上流プロペラ10の1つのブレードの効率は、0.02ポイント低下し、下流プロペラのブレードの効率は0.05ポイントであり、これは許容される。
【0028】
離陸に対する同じ計算では、このブレード2b、2c上の推力は1.3%の損失となり、下流プロペラ11のブレード2の損失は無視できるものである。したがって、上流プロペラ10のブレードの効率は0.15%低下し、下流プロペラ11のブレードの効率は影響を受けない。
【0029】
推力の損失が大きすぎる場合、(同じプロペラの、下流、上流または両方の)全てのブレードの共通ピッチを選択して推力を回復させることが可能である。
【0030】
上流プロペラ10のブレード2b、2cの長さのバリエーションの1つのさらなる結果は、ブレード間流れにおける渦の方位角伝搬速度の変化である。実際、第2のブレード2b、2cの先端の周囲速度Uiは、半径の低減に比例して低減される(Ui=ΩRi、式中、Ωは上流プロペラ10の回転速度であり、Riは第2のブレード2b、2cの半径である)。この速度の変化は、空間的な位相外れに加えて音響源の時間的な位相外れをもたらす。
【0031】
したがって、第2のブレード2b、2cの先端から逃げる周縁渦の方位角速度も同様に低減される。第1および第2のブレード2a、2b、2cの間の十分な長さ変化のために、プロペラ10、11間の渦の方位角における伝播、したがって下流プロペラ11との相互作用はもはや軸対称ではない。同様に、この変更により、音響源の時間的な位相外れが生じる。
【0032】
音源間にさらなる位相外れを導入することに加えて、相互作用の周期性の変化、ひいては可聴スペクトルにおける周波数の変化が結果として生じる。音響エネルギーが保存されていると仮定すると、ノイズレベルは局所的に(周波数において)低減され、線幅(すなわち音響スペクトルにおける周波数ピーク)は、より低い周波数において広がり、またはさらには種々の相互作用線に分割され得る。
【0033】
ブレードのグループ
有利な実施形態によれば、第1および第2のブレード2a、2b、2cは、特定の所定のパターンにしたがって編成される。特に、上流プロペラ10の2つの連続するブレード2a、2b、2cが異なる長さを有すること、すなわち第1のブレード2aが第2のブレード2b、2cによって分離されることが望ましい。
【0034】
この目的のために、上流プロペラ10のブレード2a、2b、2cは、有利には、第1のブレード2aの少なくとも1つのグループおよび第2のブレード2b、2cの少なくとも1つのグループを含む、等しい長さのブレードの
【数4】
グループに分割される。ブレード2a、2b、2cの全てのグループは、異なるブレード2a、2b、2cの長さを有する。便宜上、第1のグループが全て最長のブレード(第1のブレード2a)を含み、n−1個の他のグループが、減少する長さで分類される第2のブレード2b、2cのグループであると考えることができ、第2のグループは、第2のブレードの全ての最長のものを含み、n番目のグループが、第2のブレードの最短のものを含むなどとなる。
【0035】
ブレード2a、2b、2cのグループのこの数nは、好ましくは2つ(
図2bの場合)または3つ(
図2cの場合、この場合、2つの第2のブレードの長さが存在し、ブレード2bは、「中間」長さの第2のブレードの1つのグループを形成し、2cのブレードは、「短い」長さの第2のブレードの1つのグループを形成する)であるが、これより大きくてもよい。少なくとも3つのグループの場合、各グループに関連するブレードの長さは、公称長さ(第1のブレード2aの長さ)と(その長さが、有利には、第1のブレード2aの長さの98.5%から99.5%の間である)最短の第2のブレード2b、2cの間に規則的に分散されるように選択される。
【0036】
これらの長さをL
minおよびL
maxとすると、例えば、
【数5】
があり、式中、L
iはi番目のグループのブレードの長さである。
【0037】
ブレード2a、2b、2cのすべのグループは、(6つのブレード2a、2b、2cの2つのグループがある
図2bの場合のように)等しい数のブレード2a、2b、2cを備えることができ、または(4つの第1のブレード2aの1グループ、6つの第2のブレード2bの1グループ、および2つの第2のブレード2cの1グループを含む3つのグループがある
図2cの場合のように)異なる数のブレードが存在する。これにより、隣接する2つのブレード2a、2b、2cは、常に1つのグループjおよび1つのグループj+1、
【数6】
のものであり、すなわち2つの隣接するブレード間の長さは常に相違があるが、最小の相違であることが可能になり得る。
【0038】
ブレード2a、2b、2cのグループの分布は、種々の変形形態の目的となることもでき、好ましくは、
【数7】
の連続するブレード毎にそれ自体が繰り返されるパターンの形態をとる。
【0039】
最適なモードでは、ブレード2a、2b、2cは、上流プロペラ10の周りに配置され、それにより、n個の連続するブレード2a、2b、2cの各サブアセンブリ(すなわち、nブレードの配列)が、各グループから1つのブレード2a、2b、2cを備え、換言すれば、上流プロペラ10は、グループの数nに等しい次数を有するパターンに適合する(すなわち、n個のブレード毎にパターンを繰り返す、換言すればm=n)。例えば、ブレード2a、2b、2cの配列は、パターン1、2、...、n、1、2、...、n、1、2、...、nなどに適合することができる。これは
図2bの場合であり、ブレードの配列は2a、2b、2a、2bなどとなる。
【0040】
n>2の場合、n(最短)とf(最長)の番号を付されたブレード間の長さにかなりの不連続性が潜在的に存在することに留意されたい。これが、より複雑なパターン(ただし常に次数nのパターンをたどる(例えば、n=5の場合、1、3、5、4、2)が可能である理由である。
【0041】
バランシング
好ましくは、上流プロペラ10は、不均衡を回避するように構成されている。最も簡単な場合、上流プロペラ10は、
【数8】
のブレード2a、2b、2cを備え、nはここでもグループの数であり、各々は、偶数(2k)のブレードを含む(そのため、nのパリティに関係なく必然的に偶数ブレードが存在する)。
【0042】
2つの直径方向に対向するブレード2a、2b、2cは、次に、同じグループに属するように上流プロペラ10上で選択される(故に、ブレード2a、2b、2cの可変長さにもかかわらず不均衡がない)。
【0043】
これらの2knブレードが、各グループから1つのブレード2a、2b、2cを備えるn個のブレードの配列で編成されている場合(換言すれば、配列の数が偶数である特定の場合)、配列の数は2kであり、2つの直径方向に対向するブレード2a、2b、2cは、自動的に同じグループに属する(そして、結果としてバランスがとられる)。
【0044】
図2cに適合するプロペラ10がこの分配原理を守り、それによってカウンターウェイトの使用を避けることができることに留意されたい。
【0045】
上流プロペラ10が、
【数9】
のブレード2a、2b、2cを備え、式中、nはここでもグループの数であり、各々は、奇数(2k+1)のブレードを備える場合(これは、n個ブレードの2k+1配列を提供する特定の場合を含む)、好ましい構成は、nのパリティに依存するが、第1のブレード2aに直径方向に対向して配置された少なくとも1つのカウンターウェイトが必要となる。
【0046】
nが偶数である場合、ブレード2a、2b、2cの総数は偶数のままであり、これは、各ブレードが、直径方向に対向するブレードを有するが、直径方向に対向する2つのブレード2a、2b、2cが、常に同じグループに属することを確実にすることが不可能であることを意味する。換言すれば、第1のブレード2aおよび第2のブレード2b、2cを備える少なくとも1対の直径方向に対向するブレードが必然的に存在する。必要であれば後者にカウンターウェイトが装備される。
【0047】
nが奇数である場合、ブレード2a、2b、2cの総数は奇数であり、これは直径方向に対向するブレード2a、2b、2cが存在しないこと、故にカウンターウェイトの使用を意味する。この場合、カウンターウェイトは、直径方向に対向するいくつかのブレードの間に分配される。
【0048】
別の実施形態では、カウンターウェイトは、ロータ内の他の場所に配置され得る。