(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
肥満を予防または治療する効果を示す前記医薬製剤が、GLP−1受容体アゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、DPP−IV阻害剤、Y5受容体アンタゴニスト、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト、Y2/3受容体アゴニスト、MC3/4受容体アゴニスト、胃/膵リパーゼ阻害剤、5HT2cアゴニスト、3A受容体アゴニスト、アミリン受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、またはグレリン受容体アンタゴニストである、請求項11に記載の医薬組成物。
肥満を予防または治療するための医薬品の調製における、請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチドまたは請求項9から12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【背景技術】
【0002】
近年の経済的進歩および生活様式の変化は、食習慣の大きな変化を伴ってきた。特に、今日の忙しい人々は、高カロリー食および不十分な運動のために過体重および肥満になっている。世界保健機関(WHO)の報告によると、世界中で10億人超の成人が過体重であり、そのうち300万人超が重度の肥満と臨床的に診断されており、毎年、欧州では25万人、世界中で250万人が体重過剰または肥満関連疾患で死亡している(World Health Organization, Global Strategy on Diet, Physical Activity and Health, 2004)。
【0003】
過体重および肥満は、血圧および血中コレステロールレベルを上昇させるので、心臓病、糖尿病、関節炎等を含む種々の疾患の原因となる、または疾患を悪化させる。さらに、過体重および肥満は、疾患、例えば小児および青年ならびに成人における動脈硬化、高血圧、高脂血症および心臓病のリスクを増加させる主因のいくつかである。
【0004】
このように、肥満は世界中で流行している重い疾患として現在認識されており、種々の疾患の原因となっている。しかしながら、肥満は自助努力によって克服されると考えられているため、肥満患者は自己制御の低い人として評価されている。それにもかかわらず、肥満は食欲調節およびエネルギー代謝の作用機序と密接に関連する複雑な疾患であるため、容易に治療可能でない。したがって、肥満治療のためには、食欲調節のための個人の努力とエネルギー代謝の異常な作用機序の治療の両方を同時に行うことが必要である。これに関して、異常な作用機序を治療することができる薬物の開発が必要であった。
【0005】
上記努力の結果として、抗肥満薬、例えばRimonabant(登録商標)(Sanofi−Aventis)、Sibutramin(登録商標)(Abbott)、Contrave(登録商標)(Takeda)、Orlistat(登録商標)(Roche)等が開発されてきた。しかしながら、これらの薬物は欠点、例えば致命的な有害反応を有するまたは肥満の治療にほとんど有効性がない、を有していた。例えば、Rimonabant(登録商標)は中枢神経系障害の有害反応を示し、Sibutramin(登録商標)およびContrave(登録商標)は有害な心血管系効果を示し、Orlistat(登録商標)は1年間の投与後にわずか約4kgの体重減少という効果を示すにすぎない。したがって、肥満患者に安全に処方するための確実な抗肥満薬は存在しないように思われる。
【0006】
よって、従来の抗肥満薬の課題を解決するための新たな医薬品を開発するための活発な研究が行われており、近年、グルカゴン誘導体に注目が集まっている。グルカゴンは、例えば薬物治療、疾患、ホルモンまたは酵素欠乏のために血糖値が低下したときに膵臓によって分泌される。グルカゴンは、肝臓に信号を送って、グリコーゲンをグルコースに分解し、血糖値を上昇させて正常レベルに戻す。さらに、グルカゴンは、食欲を抑制し、脂肪細胞のホルモン感受性リパーゼを活性化し、それによって、脂肪分解を促進することにより、血糖値上昇効果に加えて抗肥満効果を有することが報告されている。
【0007】
グルカゴン誘導体であるグルカゴン様ペプチド−1(以下、「GLP−1」と呼ぶ)は、糖尿病患者の高血糖を改善する薬物として開発中の物質である。GLP−1は、インスリン合成を増加させ、その分泌を促進し、グルカゴン分泌を阻害し、胃内容排出を阻害し、グルコースの使用を増強し、食物摂取を阻害する機能を有する。また、トカゲ毒によって分泌され、GLP−1とのアミノ酸配列の約50%の相同性を示すエキセンディン−4は、GLP−1受容体を活性化することにより、糖尿病患者の高血糖を軽減することが知られている。しかしながら、GLP−1またはエキセンディン−4を含有する抗肥満薬は、嘔吐および悪心を引き起こすという副作用を有することが報告されている。
【0008】
これに関して、GLP−1代替物として、GLP−1とグルカゴンペプチドの両方に結合することができるオキシントモジュリンが強調されている。オキシントモジュリンは、グルカゴンの前駆体であるプレグルカゴンから作られたペプチドであり、GLP−1と同じ効果を有する、例えば食物摂取を阻害し、満腹および脂肪分解を促進するので、抗肥満薬としての可能性を高める。
【0009】
しかしながら、オキシントモジュリンまたはその誘導体は、その短いインビボ半減期および低い効力のために、高用量で毎日投与されなければならないという欠点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記目的を達成するために、一態様では、本発明は、以下の式1:
【0016】
X1−X2−QGTFTSDYSKYL−X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−F−X23−X24−W−L−X27−X28−X29 (式1)
【0017】
(式中、X1はヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジル、N−ジメチル−ヒスチジル、β−ヒドロキシイミダゾプロピオニル、4−イミダゾアセチル、β−カルボキシイミダゾプロピオニルまたはチロシンであり;
【0018】
X2はα−メチル−グルタミン酸、アミノイソ酪酸(Aib)、D−アラニン、グリシン、Sar(N−メチルグリシン)、セリンまたはD−セリンであり;
【0019】
X15はシステイン、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
【0020】
X16はグルタミン酸、アスパラギン酸、セリン、α−メチル−グルタミン酸または非存在であり;
【0021】
X17はシステイン、グルタミン、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリンまたは非存在であり;
【0022】
X18はシステイン、アラニン、アルギニン、バリンまたは非存在であり;
【0023】
X19はアラニン、アルギニン、セリン、バリンまたは非存在であり;
【0024】
X20は、リジン、ヒスチジン、グルタミン、アルギニン、α−メチル−グルタミン酸または非存在であり;
【0025】
X21はアスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシンまたは非存在であり;
【0026】
X23はイソロイシン、バリンまたは非存在であり;
【0027】
X24はアルギニン、アラニン、システイン、グルタミン酸、リジン、グルタミン、α−メチル−グルタミン酸または非存在であり;
【0028】
X27は、バリン、アラニン、リジン、メチオニン、グルタミン、アルギニンまたは非存在であり;
【0029】
X28は、グルタミン、リジン、アスパラギンまたは非存在であり;
【0030】
X29はリジン、アラニン、グリシン、スレオニンまたは非存在である)
のアミノ酸配列を有する新規なペプチドであって、
【0031】
但し、配列番号1と同一のアミノ酸配列は除外されるペプチドを提供する。
【0032】
本発明のペプチドは、置換を介してアミノ酸の一部を修飾することによって、GLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方を活性化することができるペプチド、そのペプチド誘導体およびペプチド模倣物を含み得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、「天然グルカゴン」という用語は、His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr(配列番号1)のアミノ酸配列を有する天然ヒトグルカゴンを指す。
【0034】
本発明は、天然グルカゴンの誘導体として上で定義されるペプチドを提供し、本発明で提供されるペプチドを定義する際に、ペプチドは変化によって配列中のX位でのみ天然グルカゴンと異なることを意図している。
【0035】
本発明による式1の配列では、アミノ酸が、N末端からC末端の従来の方向で、第1のアミノ酸から第29のアミノ酸まで番号を連続して付けられると考えられ得る。したがって、式1の配列中の「位置」の記載は、天然ヒトグルカゴンおよび他の分子の位置に関する記載と同様に解釈されるべきである。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」という用語は、2つまたはそれ以上のアミノ酸がペプチド結合によって連結されている形態の化合物を指す。本発明の目的のために、ペプチドは、GLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方を活性化することによって抗肥満効果を示すものを指し得る。
【0037】
本発明を通して、異なるアミノ酸、例えばα−アミノイソ酪酸(Aib)、Sar(N−メチルグリシン)およびα−メチル−グルタミン酸について一般的に許容される3文字表記が、天然アミノ酸の従来の1文字または3文字表記と共に使用される。
【0038】
さらに、本発明で記載されるアミノ酸は、IUPAC−IUB命名法にしたがって以下に示されるように省略される。
【0040】
アスパラギン(N)アスパラギン酸(D)
【0045】
メチオニン(M)フェニルアラニン(F)
【0047】
スレオニン(T)トリプトファン(W)
【0049】
本発明による式1のアミノ酸配列を有するペプチドは、配列番号1によって記載されるグルカゴンのアミノ酸配列への翻訳後の置換、付加、欠失または修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化および分子内共有結合)の導入を介して、グルカゴン受容体とGLP−1受容体の両方を活性化することができる任意のペプチドを含み得る。
【0050】
アミノ酸の置換または付加のために、ヒトタンパク質で通常観察される20種のアミノ酸に加えて、非定型または非天然のアミノ酸を使用してもよい。非定型アミノ酸の市販業者には、Sigma−Aldrich、ChemPep、Genzyme Pharmaceuticals等が含まれる。これらの非定型アミノ酸を含むペプチドの配列および典型的なペプチドの配列は、市販のペプチド製造会社、例えば、American Peptide CompanyもしくはBachem(米国)またはAnygen(韓国)等から合成または購入することができる。
【0051】
配列番号1によって表されるアミノ酸配列でグルカゴン受容体およびGLP−1受容体に対する本発明のペプチドの効果を高めるために、第1のアミノ酸、ヒスチジンを、ヒスチジンのα炭素を欠失させることによって4−イミダゾアセチルで置換してもよいし、N−末端アミノ基を欠失させることによってデスアミノ−ヒスチジルで置換してもよいし、N−末端アミン基を2個のメチル基で修飾することによってN−ジメチル−ヒスチジルで置換してもよいし、N−末端アミン基を水酸基で置換することによってβ−ヒドロキシイミダゾプロピオニルで置換してもよいし、N−末端アミン基をカルボキシル基で置換することによってβ−カルボキシイミダゾプロピオニルで置換してもよいし、またはチロシンで置換してもよい。
【0052】
さらに、GLP−1受容体に結合するドメインが、疎水結合およびイオン結合を強化することができるアミノ酸で置換されていてもよい。さらに、グルカゴン配列の部分配列が、GLP−1受容体の活性を増加させるために、GLP−1のアミノ酸配列またはエキセンディン−4のアミノ配列で置換されていてもよい。
【0053】
さらに、グルカゴン配列の部分配列が、α−ヘリックスを強化することができる配列で置換されていてもよい。好ましくは、10、14、16、20、24および28位の式1のアミノ酸が、αヘリックス形成を助けることが知られているTyr(4−Me)、Phe、Phe(4−Me)、Phe(4−Cl)、Phe(4−CN)、Phe(4−NO
2)、Phe(4−NH
2)、Phg、Pal、Nal、Ala(2−チエニル)もしくはAla(ベンゾチエニル)、またはこれらの誘導体で構成されるアミノ酸で置換されていてもよい。この目的のために付加されるアミノ酸またはその誘導体の種類および数は限定されない。
【0054】
さらに、好ましくは、式1のアミノ酸配列の10位と14位、12位と16位、16位と20位、20位と24位および24位と28位の少なくとも1つのアミノ酸対の少なくとも1つのアミノ酸が、グルタミン酸またはリジンで置換されて、グルタミン酸とリジンの対をもたらし、これが環を形成してもよく、挿入環の数も限定されない。
【0055】
例示的な実施形態では、グルカゴンのアミノ酸配列が、ペプチドがGLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方に対する優れた効果を示すことができるように、GLP−1受容体に結合する能力を有する配列で置換されていてもよい。
【0056】
好ましくは、本発明のペプチドは、式1のアミノ酸配列中、
【0058】
X2がα−メチル−グルタミン酸であり;
【0059】
X15がシステインまたはアスパラギン酸であり;
【0060】
X16がセリン、グルタミン酸またはアスパラギン酸であり;
【0061】
X17がアルギニン、リジン、グルタミン酸またはシステインであり;
【0062】
X18がシステイン、バリンまたはアルギニンであり;
【0063】
X19がアラニンまたはバリンであり;
【0064】
X20がグルタミン、リジンまたはヒスチジンであり;
【0065】
X21がアスパラギン酸、グルタミン酸またはロイシンであり;
【0066】
X23がイソロイシンまたはバリンであり;
【0067】
X24がアルギニン、グルタミン酸またはグルタミンであり;
【0068】
X27がバリン、リジンまたはメチオニンであり;
【0069】
X28がグルタミン、リジンまたはアスパラギンであり;
【0070】
X29がリジン、グリシンまたはスレオニンである、
ペプチドであって、
【0071】
但し、配列番号1と同一のアミノ酸配列が除外されるペプチドであり得る。
【0072】
より好ましくは、本発明のペプチドは、配列番号2〜14のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドであり得る。
【0073】
本発明のペプチドは、標準的な合成方法、組換え発現システムまたは当分野で公知の任意の方法によって調製することができる。したがって、本発明によるグルカゴン類似体は、以下を含む多数の方法によって合成することができる:
【0074】
(a)固相法もしくは液相法、または断片アセンブリを介した段階的方法によってペプチドを合成し、最終ペプチドを分離し、引き続いて精製する;
【0075】
(b)ペプチドをコードする核酸構築物を宿主細胞で発現させ、発現産物を宿主細胞培養物から回収する;
【0076】
(c)無細胞チューブ内でペプチドをコードする核酸構築物の発現を行い、発現産物を回収する;または
【0077】
(a)、(b)および(c)のランダムな組み合わせによりペプチドの断片を得て、断片を連結し、それによって対応するペプチドを回収する方法。
【0078】
本発明者らは、本発明のペプチドが天然グルカゴンと比較してGLP−1受容体およびグルカゴン受容体に対する優れた作用を有することを、インビトロ実験を介して確認した(表2参照)。さらに、インビトロ実験を介して、本発明のペプチドが肥満動物モデルにおいて飼料摂取に対する優れた阻害効果を有することが確認されたので、本発明のペプチドが少量投与された場合でさえ優れた抗肥満効果を示すことができることを証明している。
【0079】
したがって、本発明のペプチドは、GLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方においてcAMP形成を刺激することができるデュアルアゴニストであり、既存のグルカゴンと比較して優れた肥満治療効果を有すると予想される。これに関して、本発明のペプチドは、肥満および肥満関連疾患を治療するためのより魅力的な選択肢を提供することができる。
【0080】
デュアルアゴニストである本発明のペプチドは、食物摂取におけるGLP−1の効果と脂質代謝におけるグルカゴンの効果を組み合わせ、それによって、相乗的に作用して脂質蓄積の除去および体重の連続的な減少を加速させることができる。デュアルアゴニストとしての相乗効果は、心血管危険因子、例えば高コレステロールおよびLDLを減少させるのに役立ち、これは体重への効果とは完全に独立し得る。
【0081】
したがって、本発明のペプチドは、体重増加を予防する、体重減少を促進する、過体重を減少させる、および病的肥満を含む肥満を治療する(例えば、食欲、摂食、食物摂取、カロリー摂取および/またはエネルギー消費の調節を介して)だけでなく、それだけに限らないが、肥満関連炎症、肥満関連胆嚢疾患、肥満誘発性睡眠時無呼吸を含む肥満関連疾患、および健康状態も治療するための医薬品として使用することができる。さらに、本発明のペプチドは、肥満に関連し得る健康状態、例えばメタボリックシンドローム、高血圧、動脈硬化誘発性脂質異常、粥状動脈硬化、動脈硬化、冠動脈心臓病、脳卒中等の治療に使用することができる。しかしながら、これらの症状に関して、本発明のペプチドの効果は、体重関連効果を通して全体的または部分的に媒介され得る、またはこれらとは独立し得る。
【0082】
本発明のグルカゴン誘導体の治療効果を改善するために、グルカゴン誘導体を、当分野の従来技術、例えば、ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、グリカン等の修飾、またはアルブミンとの融合、転移、脂肪酸、免疫グロブリン等を用いて修飾することができる。例えば、本発明の化合物中の少なくとも1つのアミノ酸側鎖を、溶解度および/または半減期を増加させる、ならびに/あるいは生物学的利用能を増加させるためにインビボでポリマーに結合することができる。これらの修飾は、治療用タンパク質およびペプチドのクリアランスを減少させることが知られている。
【0083】
好ましくは、ポリマーが、水溶性(両親媒性または親水性)、非毒性および薬学的に不活性であり得、より好ましくは、PEG、PEGのホモポリマーもしくはコポリマー、PEGのモノメチル置換ポリマー(mPEG)、またはポリアミノ酸、例えばポリリジン、ポリアスパラギン酸およびポリグルタミン酸を含み得る。
【0084】
このように修飾されたグルカゴン誘導体が天然グルカゴンよりも優れた治療効果を有することは、当業者に自明である。したがって、グルカゴン誘導体の変異体も本発明の範囲に含まれる。
【0085】
別の態様では、本発明は、ペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0086】
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドに関して使用される「相同性」という用語は、野生型アミノ酸配列および野生型ヌクレオチド配列との配列類似性を指し、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%を共有する遺伝子配列を含む。これらの相同性比較は肉眼で、または容易に購入することができる比較プログラムを用いて行うことができる。市場で入手可能なコンピュータプログラムは、2つまたはそれ以上の配列間の相同性を百分率として計算することができる。相同性(%)は、隣接する配列に対して計算することができる。
【0087】
ペプチドをコードするポリヌクレオチドをベクターに挿入し、引き続いて発現させることによって、ペプチドを大量に得ることができる。
【0088】
この種の組換え発現では、一般的に、本発明のポリヌクレオチドが適当なベクターに挿入され、ポリヌクレオチドを有するクローニングベクターまたは組換えベクターを形成するので、ベクターも本発明の範囲に含まれる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「組換えベクター」という用語は、適当な宿主細胞で標的ペプチドを発現することができる適当な調節配列に作動可能に連結された、標的ペプチドをコードするポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を含むDNA構築物を指す。調節配列は、転写を開始することができるプロモーター、転写を調節するためのオペレーター配列、適当なmRNAリボソーム結合ドメインをコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を調節する配列を含み得る。いったん適当な宿主細胞に形質転換された組換えベクターは、宿主ゲノムとは無関係に複製または機能することができ、ゲノム自体に組み込まれ得る。
【0090】
本発明に使用するための組換えベクターは、宿主細胞内で複製可能なものであれば特に限定されず、当分野で公知の任意のベクターを用いて構築することができる。使用するための従来ベクターの例としては、野生型または組換えのプラスミド、コスミド、ウイルスおよびバクテリオファージが挙げられる。例えば、ファージベクターまたはコスミドベクターとしては、pWE15、M13、MBL3、MBL4、IXII、ASHII、APII、t10、t11、Charon4A、Charon21A等を使用することができる。プラスミドベクターとしては、pBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pCL系およびpET系のプラスミドを使用することができる。本発明に使用するためのベクターは特に限定されず、当分野で公知の任意のベクターを使用することができる。
【0091】
組換えベクターを、本発明のペプチドを産生するために、宿主細胞の形質転換のために使用することができる。さらに、本発明の一部として、形質転換細胞を、核酸断片の増幅、あるいは本発明のベクター、または本発明のペプチドの組換え産生に使用される培養細胞もしくは細胞株の複製に使用することができる。
【0092】
本明細書で使用される場合、「形質転換」という用語は、ポリヌクレオチドによってコードされる標的タンパク質が宿主細胞で発現され得るように、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターを宿主細胞に導入することを指す。形質転換されたポリヌクレオチドが宿主細胞で発現され得る限り、ポリヌクレオチドが染色体内に位置するよう挿入されるかまたは染色体外に位置するよう挿入されるかどうかは重要ではない。
【0093】
さらに、ポリヌクレオチドは、標的タンパク質をコードするDNAおよびRNAを含む。ポリヌクレオチドは、宿主細胞に導入された後に発現され得る限り、任意の形態で導入することができる。例えば、ポリヌクレオチドを、自己発現に必要なす全ての必須の特徴を含むゲノム構造である発現カセットの形態で宿主細胞に導入することができる。発現カセットは、一般的に、ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター、転写終結シグナル、リボソーム結合ドメイン、および翻訳終結シグナルを含み得る。発現カセットは、自己複製可能な発現ベクターであってもよい。さらに、ポリヌクレオチド自体が宿主細胞に挿入され、宿主細胞での発現に必要な配列に作動可能に連結されてもよいが、これに限定されない。
【0094】
さらに、本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドの転写を開始および媒介するプロモーター配列が遺伝子配列に機能的に連結されている状態を指す。
【0095】
本発明に適した宿主細胞は、宿主細胞が本発明のポリヌクレオチドを発現することができる限り、特に限定されない。本発明に使用するための宿主細胞の例としては、例えば、エシェリキア属(Escherichia)の種、例えば、大腸菌;バチルス属(Bacillus)の種、例えば、枯草菌(Bacillus subtilis);シュードモナス属(Pseudomonas)の種、例えば、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida);酵母、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびシゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);昆虫細胞、例えば、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)(SF9);および動物細胞、例えば、CHO、COS、BSC等が挙げられる。
【0096】
別の態様では、本発明は、ペプチドを有効成分として含有する肥満を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
【0097】
本明細書で使用される場合、「予防」という用語は、本発明のペプチドまたは医薬組成物の投与による肥満の発症の抑制または遅延をもたらす任意の作用を指し、「治療」という用語は、本発明のペプチドまたは医薬組成物の投与による肥満の症状の改善または有益な変化をもたらす任意の作用を指す。
【0098】
本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、特定の物質を適当な様式で患者に導入することを指す。本発明の医薬組成物の投与経路は、特に限定されないが、医薬組成物が体内の標的組織に到達することができる限り、一般的な経路のいずれであってもよく、例えば、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経口、局所、鼻腔内、肺内(intrapulmonarily)、直腸内等であり得る。
【0099】
本明細書で使用される場合、「肥満」という用語は、過剰な体脂肪が体内に蓄積している健康状態を指し、肥満指数(BMI;体重(kg)を身長(m)の二乗で割ることによって得られる大きさ)が25以上である場合に肥満とみなされる。肥満は一般にエネルギー消費よりも高いカロリー摂取によるエネルギー不均衡によって誘発される。肥満は代謝性疾患であり、糖尿病および高脂血症を誘発し、性機能障害、関節炎および心血管疾患のリスクを増加させ、場合によってはがんの発生とも関連する。
【0100】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含み得る。
【0101】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、治療効果を示すことができるが、いかなる有害な反応も起こさない十分な量を指し、医学分野で公知の因子、例えば治療する疾患の種類、患者の年齢、体重、性別、薬物に対する感受性、投与経路、投与回数、併用されるまたは同時に使用される薬物等にしたがって当業者によって容易に決定され得る。
【0102】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含み得る。経口投与の場合、薬学的に許容される担体は、それだけに限らないが、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定剤、懸濁化剤、着色剤および香料を含み得る。注射可能な投与の場合、緩衝剤、保存剤、鎮痛剤、可溶化剤、等張剤および安定剤を、使用するために混合することができる。局所投与の場合、薬学的に許容される担体は、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤等を含み得る。
【0103】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせて種々の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、医薬組成物を、錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル、懸濁剤、シロップ、ウエハー等に製剤化することができる。注射可能な投与の場合、医薬組成物を、単位剤形または複数回用量投与としてアンプルに製剤化することができる。医薬組成物を、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤および長期作用性製剤に製剤化することもできる。
【0104】
一方、本発明の医薬組成物に適した担体、賦形剤、希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油等が挙げられる。さらに、本発明の医薬組成物は、充填剤、抗凝固剤、潤滑剤、保湿剤、香料、防腐剤等をさらに含み得る。
【0105】
さらに、医薬組成物を、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内服用液剤、乳剤、シロップ、滅菌水溶液、非水性溶媒、凍結乾燥製剤および坐剤からなる群から選択されるものに製剤化することができる。
【0106】
さらに、医薬組成物を、従来法にしたがって患者の体内への単位投与に適した製剤、好ましくはペプチド薬物の投与に有用な製剤型に製剤化し、これらに限定されないが、従来法にしたがって皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、脳室内、肺内、皮内、皮下、腹腔内、鼻腔内、胃内、局所、舌下、膣内または直腸内経路を介して経口的にまたは非経口的に投与することができる。
【0107】
さらに、ペプチドを、種々の担体、例えば医薬品として許容される生理食塩水溶液または有機溶媒と混合することによって使用することができる。安定性または吸収性を高めるために、ペプチドを、炭水化物、例えばグルコース、スクロースもしくはデキストラン、または抗酸化剤、例えばグルタチオン、キレート剤、低分子量タンパク質、または他の安定剤等と共に使用することができる。
【0108】
本発明の医薬組成物の投与量および投与回数は、他の因子、例えば治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重、病気の重症度等と共に、有効成分としての薬物の種類に応じて決定することができる。
【0109】
本発明の組成物の総有効用量は、単回用量として、または分割治療プロトコルにしたがって長期間にわたり複数回用量として患者に投与することができる。本発明の医薬組成物は、疾患の重症度に応じて有効成分の含量が異なっていてもよい。好ましくは、本発明のペプチドの総用量は、患者の体重1kg当たり約0.0001μg〜500mgであり得る。しかしながら、ペプチドの用量に関して、有効用量は、種々の因子、例えば患者の年齢、体重、健康状態、性別、病気の重症度、食事および排泄率等を考慮して決定され、当業者は本発明の組成物の特定の用途に応じて適当な有効用量を決定することができる。
【0110】
本発明の医薬組成物の製剤、投与経路および投与方法は、医薬組成物が本発明の効果を示すことができれば、特に限定されない。
【0111】
本発明の医薬組成物は優れたインビボ持続時間および力価を有するので、本発明の医薬組成物の投与回数および頻度を有意に減少させることができる。
【0112】
医薬組成物は、単独で、または肥満を予防もしくは治療する効果を示す他の医薬製剤と組み合わせて投与することができる。肥満を予防または治療する効果を示す医薬製剤は、特に限定されないが、GLP−1受容体アゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、DPP−IV阻害剤、Y5受容体アンタゴニスト、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト、Y2/3受容体アゴニスト、MC3/4受容体アゴニスト、胃/膵リパーゼ阻害剤、5HT2cアゴニスト、3A受容体アゴニスト、アミリン受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニストおよび/またはグレリン受容体アンタゴニスト等を含み得る。
【0113】
別の態様では、本発明は、ペプチドまたはペプチドを含有する医薬組成物を対象に投与することを含む、肥満を予防または治療する方法を提供する。
【0114】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、肥満を有する疑いのあるまたは肥満を有するリスクがある対象を指し、具体的には、ヒト、ラットおよびウシを含む哺乳動物を指すが、対象は、限定されないが、本発明のペプチドによって治療することができる任意の対象であり得る。本発明のペプチドを含有する医薬組成物を投与することによって、肥満を有する疑いのある対象を有効に治療することができ、肥満は上記と同様である。
【0115】
本発明の治療方法は、ペプチドを含有する薬学的有効量の医薬組成物を投与することを含み得る。組成物の総一日量は、医師による適当な医学的判断を通して決定することができ、組成物は1回または数回に分けた用量で投与することができる。しかしながら、本発明の目的を考慮すると、特定の患者のための組成物の具体的な治療上有効用量は、達成すべき応答の種類および程度、他の薬剤が一緒に使用されるかされないかによる具体的な組成物、患者の年齢、体重、健康状態、性別および食事、投与の時間および経路、組成物の排出率、治療期間、本発明の組成物と併用されるまたは同時に使用される他の薬物、ならびに医学分野で公知の他の因子を含む医学分野で周知の種々の因子に応じて変化し得る。
【0116】
さらに別の態様では、本発明は、肥満を予防または治療するための医薬品の調製におけるペプチドの使用を提供する。
【0118】
以下、本発明を以下の実施例を参照してさらに詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は例示のためのものにすぎず、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0119】
実施例1:インビボ活性化のための細胞株の作製
【0120】
<1−1>GLP−1に対するcAMP応答を示す細胞株の作製
【0121】
それぞれHindIIIおよびEcoRIの制限部位を含む配列番号15および16によって表される順方向プライマーおよび逆方向プライマーと一緒に、鋳型としてのヒトGLP−1受容体遺伝子のcDNA(OriGene Technologies,Inc.、米国)のオープンリーディングフレーム(ORF)を使用して、PCR反応を行った。
【0122】
特に、PCR反応(95℃で60秒間の変性、55℃で60秒間のアニーリングおよび68℃で30秒間の伸長)を30サイクル行った。PCR産物を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、溶出により405bpの断片を得た。
【0123】
順方向プライマー:5’−CCCGGCCCCCGCGGCCGCTATTCGAAATAC−3’
【0124】
逆方向プライマー:5’−GAACGGTCCGGAGGACGTCGACTCTTAAGATAG−3’
【0125】
このPCR産物を公知の動物細胞発現ベクターx0GC/dhfr(韓国特許第10−0880509号明細書、以下同様)にクローニングして組換えベクターx0GC/GLP1Rを構築した。
【0126】
このようにして構築した組換えベクターx0GC/GLP1Rを、Lipofectamine(Invitrogene、USA)を用いて、10%FBSを含有するDMEM/F12培地で培養したチャイニーズハムスター卵巣細胞株CHO DG44の細胞に形質転換させ、G418(1mg/mL)およびメトトレキサート(10nM)を含有する選択培地で培養した。モノクローナル細胞株をそこから選択し、その中で用量依存的にGLP−1に対する優れたcAMP応答を示す細胞株を最終的に選択した。
【0127】
<1−2>グルカゴンに対するcAMP応答を示す細胞株の作製
【0128】
それぞれEcoRIおよびXhoIの制限部位を含む配列番号17および18によって表される順方向プライマーおよび逆方向プライマーと一緒に、鋳型としてのヒトグルカゴン受容体遺伝子のcDNA(OriGene Technologies,Inc.、米国)のオープンリーディングフレーム(ORF)を使用して、PCR反応を行った。
【0129】
特に、PCR反応(95℃で60秒間の変性、55℃で60秒間のアニーリングおよび68℃で30秒間の伸長)を30サイクル行った。PCR産物を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、溶出により435bpの断片を得た。
【0130】
順方向プライマー:5’−CAGCGACACCGACCGTCCCCCCGTACTTAAGGCC−3’
【0131】
逆方向プライマー:5’−CTAACCGACTCTCGGGGAAGACTGAGCTCGCC−3’
【0132】
このPCR産物を公知の動物細胞発現ベクターx0GC/dhfrにクローニングして組換えベクターx0GC/GCCRを構築した。
【0133】
このようにして構築した組換えベクターx0GC/GCCRを、Lipofectamine(Invitrogene、USA)を用いて、10%FBSを含有するDMEM/F12培地で培養したチャイニーズハムスター卵巣細胞株CHO DG44の細胞に形質転換させ、G418(1mg/mL)およびメトトレキサート(10nM)を含有する選択培地で培養した。モノクローナル細胞株をそこから選択し、その中で用量依存的にグルカゴンに対する優れたcAMP応答を示す細胞株を最終的に選択した。
【0134】
実施例2:グルカゴン誘導体の合成
【0135】
GLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方に対する優れた効果を有するグルカゴン誘導体を開発するために、配列番号1によって表される天然グルカゴンのアミノ酸配列を、GLP−1受容体に結合する能力を有するアミノ酸配列で置換し、グルカゴン誘導体を以下の表1に示されるように合成した。
【0136】
【表1】
【0137】
上記表1において、配列番号2〜14の配列中の「X」として示されるアミノ酸は、非天然アミノ酸であるα−メチル−グルタミン酸を表し、これらの配列中のリジン残基は、グルタミン酸残基と環を形成することができる。
【0138】
実施例3:グルカゴン誘導体のインビトロ活性の測定
【0139】
実施例2で合成したグルカゴン誘導体の抗肥満活性を測定するために、実施例1−1および1−2で調製した形質転換細胞株を用いてグルカゴン誘導体のインビトロ細胞活性を測定した。
【0140】
ヒトGLP−1受容体遺伝子およびヒトグルカゴン受容体遺伝子がそれぞれCHOで発現され、GLP−1およびグルカゴンの活性を測定するのに適するように、形質転換細胞株を調製した。したがって、本発明により合成されたグルカゴン誘導体の活性を、それぞれ形質転換細胞株を用いて測定した。
【0141】
具体的には、形質転換細胞株を毎週2〜3回継代培養し、1×10
5個/ウェルの96ウェルプレートに分注し、それぞれ24時間培養した。
【0142】
培養した細胞をクレブス−リンガー重炭酸(KRB)緩衝液で洗浄し、1mMの3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)を含有するKRB緩衝液40mLに懸濁し、室温で5分間置いた。
【0143】
天然グルカゴン(配列番号1)または本発明によるグルカゴン誘導体(代表的には、配列番号12〜14のペプチド)を、1000nM〜0.02nMに及ぶ5倍間隔で連続希釈し、上記細胞40mLをこれに添加し、37℃のCO
2インキュベーターで1時間培養した。
【0144】
次いで、細胞溶解緩衝液20mLをそれぞれの結果に添加し、細胞溶解液をcAMPアッセイキット(Molecular Device、米国)にアプライしてcAMP濃度を測定し、EC
50値を計算してこれらを比較した。結果を以下の表2に示す。
【0145】
【表2】
【0146】
上記表2に示されるように、本発明によるグルカゴン誘導体は、配列番号1によって表される天然グルカゴンと比較してGLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方に対する優れた効果を示した。
【0147】
グルカゴンは、GLP−1受容体およびグルカゴン受容体を活性化し、それにより食欲を抑制し、満腹を改善し、脂肪細胞溶解を促進することによって肥満治療効果を有することが知られている。本発明によるグルカゴン誘導体は、天然グルカゴンと比較してGLP−1受容体とグルカゴン受容体の両方に対する優れたインビトロ効果を有することがここで示されているので、これらのグルカゴン誘導体を、既存のグルカゴンよりも肥満を治療するための有効な薬剤として使用することができる。
【0148】
本発明の好ましい実施形態を例示目的で開示してきたが、当業者であれば、付随する特許請求の範囲で開示される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、種々の修正、付加および置換が可能であることを認識するだろう。