特許第6758306号(P6758306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758306
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】摩擦溶接接続を形成するための接続部材
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   B23K20/12 344
   B23K20/12 364
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-541279(P2017-541279)
(86)(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公表番号】特表2018-504281(P2018-504281A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】EP2016052290
(87)【国際公開番号】WO2016124647
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2018年11月19日
(31)【優先権主張番号】102015202074.6
(32)【優先日】2015年2月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516268644
【氏名又は名称】エジョット ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルクマイスター マルコ
(72)【発明者】
【氏名】マイヴァルト マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥビール ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】スピンドラー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ミーリッシュ マルコ
【審査官】 岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101468421(CN,A)
【文献】 特開2004−017084(JP,A)
【文献】 特表2000−510768(JP,A)
【文献】 特開2004−106046(JP,A)
【文献】 特開2015−139788(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0136810(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0232209(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0288559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに当接する2つのコンポーネント(72,74;92)のコンポーネント接続(70)を得るための接続部材(10,20,30,50)であって、
前記接続部材(10,20,30,50)は摩擦によって下層(74)即ち基層に溶接され、
前記接続部材(10,20,30,50)は軸(18)を有し、前記軸は軸セグメント(14)とヘッド(12)を有し、前記ヘッドは軸方向の力を伝達するための前記ヘッドの上側に横たわる平坦面(20)を有し、
トルクを伝達するために、ドライブ切り抜き部(22,32)が前記平坦面(20)に導入され、
軸セグメント(18)の上昇レベル(A)から始まってヘッドの底側まで連続的な直径の増加があり、軸端からが最大距離を有し、
前記上昇レベル(A)からヘッド底側レベル(K)までの距離は、ヘッド外径と上昇レベルでの軸径の差の半分[(DA-DS)/2 = D2]より小さく、ヘッド外径と上昇レベルでの軸径の差の4分の1[(DA-DS)/4 = D1]より大きく、
前記直径の増加が、前記ヘッドの軸方向において、回転軸(R)に対する垂線に対し、第一傾斜(M1、α1)と第二傾斜(M2、α2)と第三傾斜(M3、α3)を有する関数に従い、
前記第二傾斜(M2、α2)が前記第一傾斜(M1、α1)より小さく、前記第三傾斜(M3、α3)が前記第二傾斜(M2、α2)より小さく、
特に前記ヘッドの底面からの距離より大きい曲率半径の湾曲に沿って前記増加が生じることを特徴とする接続部材。
【請求項2】
前記上昇レベル(A)での傾斜(M1)が、垂線に対し80度より小さい角度を形成していることを特徴とする請求項1に記載の接続部材。
【請求項3】
記軸セグメント(14)が円筒形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続部材。
【請求項4】
前記ドライブ切り抜き部(22,32)の深さ(t)が、前記ドライブ切り抜き部(22,32)の径方向伸張(a)の30%より小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の接続部材。
【請求項5】
前記ヘッド(12)のエッジ領域が85度と95度の間の角度で、特に90度の角度で前記接続部材(10,30)の回転軸に対してテーパーがついていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の接続部材。
【請求項6】
前記接続部材には、特に60度から80度の間のテーパー角で、軸端のところで円錐状にテーパーがついていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の接続部材。
【請求項7】
軸端のところで、円筒状セグメント(19)が円錐(18)に追従していることを特徴とする請求項に記載の接続部材。
【請求項8】
コンポーネント接続(70)を得るための設定ツール(40)であって、
前記コンポーネント接続(70)は、
基層(48、74)と、
少なくとも1つの最上層(72,92,46)と、
接続部材(76)と、
を備え、
前記接続部材は、ヘッド(12)と、軸(16)と、を備え、
前記接続部材がその前面を介して前記基層(48,74)と密着接続し、
前記最上層(72,92,46)からの材料が、前記最上層(72,92,46)より上のレベルで、少なくとも部分的に前記ヘッド(12)を横方向に囲み、
前記設定ツール(40)が、
押下げデバイス(42、80、96)とドライブビット(44,82)を備え、
前記ドライブビット(44,82)はその前面に平坦基部(54)を有し、
前記基部(54)には隆起駆動構造が設けられ、
前記基部(54)は、内径(D1)を有し空洞を形成する隆起した縁(60)で囲まれることを特徴とする設定ツール。
【請求項9】
前記接続部材(76)が請求項1ないしのいずれか一項に定義された内容で設計されていることを特徴とする請求項に記載の設定ツール
【請求項10】
前記押下げデバイス(96)は、その前面にテーパー(98)を有することを特徴とする請求項に記載の設定ツール。
【請求項11】
少なくとも2つの吸引穴(58)が前記基部(54)に設けられていることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか一項に記載の設定ツール。
【請求項12】
前記吸引穴(58)が、前記縁(60)からの距離が前記縁の内径(D1)の少なくとも5%である半径(U)に接していることを特徴とする請求項11に記載の設定ツール。
【請求項13】
前記縁(60)が、その前面にテーパーを有することを特徴とする請求項ないし12のいずれか一項に記載の設定ツール。
【請求項14】
請求項ないし13のいずれか一項に記載の設定ツールと、請求項1ないしのいずれか一項に記載の接続部材と、を備えた接続システムであって、
前記縁(D1)の内径が、前記接続部材の前記ヘッドの直径(DA)より少なくとも10%大きいことを特徴とする接続システム。
【請求項15】
前記縁の高さ(HU)が、前記ヘッドの軸方向の最大伸張より大きいか等しいことを特徴とする請求項14に記載の接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の序文に従い、互いに当接する2つのコンポーネントのコンポーネント間接続を得るための接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2289659号明細書には、ヘッドとシャフトを有し、ヘッドにはドライブが形成された摩擦溶接部材が開示されている。ヘッドは、軸方向の力を伝達するのに適した平坦面を有している。ヘッドはさらに、その底面に形成された凹部を有しており、この凹部は摩擦溶接工程中に軟化した材料、特に最上層からの材料を収容するのに適している。
【0003】
接続部材の軸は、複合コンポーネントの下底層に摩擦溶接される。ヘッドの突出長が、底層と最上層の間の積極的な接続を確実にする。底層と最上層は、接続部材によってこのように互いにしっかりと接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
摩擦溶接を行うために設定ツールが提供され、このツールは押下げデバイスとドライブツールを備えている。押下げデバイスはコンポーネントの各層を互いに接続するように押圧し、ドライブツールは接続部材を押下げて回転させ、複合コンポーネント内に突入させる。
【0005】
この設計は、全体的な高さを高く、直径を小さくする必要があるという欠点があった。
【0006】
本発明の目的は、薄い金属シートと小さなヘッド径を備えた低構造高さのコンポーネント接続を得ることのできる接続部材と設定ツールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、接続部材は、その円筒形軸からそのヘッドの底面まで、直径を連続的に増加させるように設計されている。ヘッドの底面は、軸の端部から最大の距離のところのレベルと定義されている。
【0008】
本発明によれば、上昇レベル(ascent level)からヘッドの底面のレベルまでの距離Aは、ヘッドの外径と軸の直径の差の半分より小さく、ヘッドの外径と軸の直径の差の4分の1より大きい。即ち、(DA-DS)/4<A<(DA-DS)/2である。
【0009】
結果的に、接続部材の進入中に軟化した任意の最上層材料は、直径の増加した拡大部分となる。それでも、溶接ビードとして立ち上がる接続部材の材料とヘッドのレベルの間には十分な距離が残っているので、十分な引き抜き抵抗が確保される。
【0010】
より具体的には、軸の直径は上昇レベルでの接続部材の直径となる。
【0011】
接続を得るために不必要な追加の軟化した材料は、ヘッドから横方向に(径方向外側に)押出される。このように、低構造高さを得ることができる。
【0012】
本発明の有利な実施例では、傾斜は上昇レベルから開始して、接続部材の軸に対する垂線から80度以下、特に70度以下の角度を形成する。
【0013】
これにより、最上層から移動した任意の軟化した材料は、径方向外側に向かう。
【0014】
本発明の別の実施例では、接続部材は円筒状の第一軸部を有することができる。
【0015】
この設計は、特に効率的な方法で得ることができる。
【0016】
本発明のまた別の好ましい実施例では、ドライブの切り抜き部高さを、ドライブの切り抜き部の径方向伸張の30%未満にする。
【0017】
結果的に、ヘッド自体は小さな軸方向伸張を有するように設計することができるので、構造的な高さをさらに低減できる。
【0018】
摩擦溶接工程によって生じる温度上昇がドライブ構造をさらに軟化させ、駆動トルクの伝達に悪影響を与えるので、ドライブ構造と接続場所での溶融領域は、互いに十分に間隔を開ける必要がある。
【0019】
別の有利な実施例では、接続部材のヘッドは、ヘッドの周辺領域が85度と95度の間の角度で、特に90度の角度でスクリュー軸に対してテーパーがつく(tapers off)ように設計されている。
【0020】
特にヘッドの底面のレベルも周辺領域にあるようなこの実施例は、最大保持力を提供する。なぜなら、第一に溶接ビードとヘッドの底面との間が最大距離であり、第二にヘッド表面の略直交位置のために特別良好な形状フィットが得られるからである。
【0021】
また別の有利な実施例では、直径の増加は、ヘッドの方向に、スクリュー軸に対する第一傾斜とそれに続く第二傾斜を有する関数に従い、第二傾斜は第一傾斜より小さい。
【0022】
この実施例によれば、少なくとも凹状輪郭に近似した道筋(course)が得られる。結果的に、特に有利なアンダーカットが、起立した材料(rising material)によって形成された溶接ビードとヘッドの間で得られ、このアンダーカットは摩擦溶接工程の完了後に最上層からの軟化した材料で満たされる。
【0023】
この凹状輪郭の近似は、第二領域に続く第三傾斜を備えた第三領域を設けることで、さらに向上させることができ、第三傾斜は第二傾斜の領域より小さい。
【0024】
理想的には、この道筋は楕円形又は円形輪郭の形状をした凹部である。
【0025】
この曲率半径は、好ましくはヘッドの底面から上昇レベルまでの距離より大きい。
【0026】
これにより、特に軟化が確実になり、最上層からの任意の軟化した材料が理想的にヘッドと最上層の間の領域の外に向かうようになる。
【0027】
また別の実施例では、軸の前面端では、円筒軸部から円錐軸部に推移する。これにより、接続部材の心だし特性(centering characteristics)が向上する。より具体的には、完全テーパー角度(full taper angle)は60度と80度の間である。
【0028】
本発明のまた別の実施例では、もう1つの円筒部が円錐部に追従して、円筒部を特に最上層に導入することができるため、心だし特性が向上する。
【0029】
また別の態様では、本発明はコンポーネント接続に関する。コンポーネント接続は、基層と、少なくとも1つの最上層(72,92,46)と、上述のタイプの接続部材と、を備えている。接続部材は、少なくともヘッドと軸を備え、軸の前面は基層に溶接される。その結果として、接続部材の軸と基層の間に密着接続が得られ、ヘッドは最上層を確実な係止態様(positive-locking manner)で固定する。
【0030】
本発明によれば、ヘッドを介して横方向に(径方向外側に)放出された材料は、軸方向に対して横方向にヘッドを少なくとも部分的に囲む。ヘッドは、最上層の表面のレベルに位置する。
【0031】
対応するコンポーネント接続を得るために、上述のタイプの接続部材が好ましくは導入される。
【0032】
本発明はさらに上述のタイプのコンポーネント接続を得るための設定ツールに関する。この設定ツールは、押下げデバイスとドライブビットを備える。ドライブビットは、その平坦基部(flat base)に隆起駆動構造を有する。この駆動構造は、接続部材の内側ドライブと合致するように設計されている。本発明によれば、平面基部(planar base)は隆起した縁によって限定される(confined)。この縁は、内径を有する。
【0033】
このように設けられた縁は、ヘッドから横方向に移動した任意の軟化した材料を、ドライブビットとドライブビットを囲む押下げデバイスの間の空間に材料が進入しないように、摩擦溶接工程の間に外側に移動させる。この軟化した材料の最上層からの移動の結果として、移動した材料は内径内に堆積し、少なくとも部分的にヘッドを横方向に包み込む程度にそこに積み上げられる。これにより、せん断強度が向上する。
【0034】
この設計は、高い強度を維持しながら低い構造高さを得ることを可能にする。なぜなら、ヘッド下部から移動した軟化した材料が、接続強度を増加させるために用いられるからである。
【0035】
別の有利な実施例では、押下げデバイスはテーパーのついた前面を有することができる。内側エッジにテーパーを設けることは、冷めた軟化した材料が押下げデバイス上で固まることを防止する。その結果、押下げデバイスは小さな抵抗力で最上層から確実に取り外すことができる。
【0036】
また、少なくとも2つの吸引穴を基部に設けることができる。これらの吸引穴は挿入された接続部材のヘッドと基部の間に負圧を生み出し、その結果、接続部材を基部に吸着させて、駆動構造を接続部材の内側ドライブと係合させる。
【0037】
より具体的には、吸引穴は中心からずらして配置され、縁から内径の少なくとも5%、特に少なくとも10%、特に少なくとも15%、特に少なくとも17%だけ離間している。その結果、ヘッド径が縁の内径の60%〜90%の挿入された接続部材は、ヘッドの端部を介して吸着して接触することができる。吸着効果はこのように接続部材の最も冷却されうる位置に作用するので、接続部材の軟化した材料が吸引穴に進入することを防ぐ。
【0038】
縁の内径より略小さな直径のヘッドを用いることで、接合工程での中間領域から移動した最上層材料は、ヘッドの側の領域に収容される。これにより、追加の収容容積が提供され、構造高さを最小化できると同時に、接続直径をできる限り小さく維持できる。
【0039】
吸引穴は好ましくは縁の内径の少なくとも5%だけ縁から離間した範囲(radius)に接している。この範囲は縁と同心にすることができ、縁の内径の60%〜90%、特に60%〜80%の直径とすることができる。
【0040】
本発明はさらに、前述のタイプの設定ツールと前述のタイプの接続部材とを備えた接続システムに関する。本発明によれば、設定ツールと接続部材は、縁の内径が接続部材のヘッドの直径より少なくとも10%大きいように互いに構成されている。
【0041】
別の有利な実施例では、縁の高さは軸方向のヘッドの最大伸張より高い。とにかく、縁の高さは接続部材のヘッドの底面レベルを超えている。
【0042】
本発明の追加の長所、特徴、可能な応用は、図面に示された実施例と共に、以下の記載から推測できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1a】本発明に係る接続部材の側面図である。
図1b】本発明に係る接続部材の斜視図である。
図1c】本発明に係る接続部材の部分断面図である。
図2】本発明に係る接続部材の斜視図である。
図3】本発明に係る設定ツールの概略断面図である。
図4a図3のドライブビットの前面端の斜視図である。
図4b図4aのドライブビットの前面の上面図である。
図5】ドライブビットとそれに挿入された接続部材の部分断面図である。
図6】設定プロセスの終わりに形成されたコンポーネント接続の断面図である。
図6a図6の詳細拡大図である。
図7図6aと類似の詳細拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1aは本発明に係る接続部材10の側面図である。接続部材10は,ヘッド12とシャフト14を備え、シャフト14は円筒部16を有している。円筒部16では、胴体部は上昇レベルAから始まってヘッドの底面のヘッドレベルKまで連続的に拡張している。ヘッドレベルKは、シャフト端から最大距離の高さである。本接続部材10では、これはヘッドのエッジである。
【0045】
直径の連続的な増加は、曲率半径Rの湾曲に沿って進む。直径の増加は、ヘッド底面のレベルKからD1 = (DA-DS)/4とD2 = (DA-DS)/2の間の距離に設けられた上昇レベルAから始まる。この実施例は、図2を参照してより詳細に説明する薄いカバープレートの場合に、転位行動(displacement behavior)を生み出す。
【0046】
また、ヘッドから離れた側で対向する接続部材10の端部は、円錐部18を有する。この円錐部18の存在は、シャフトの前面の縮小をもたらす。その結果、接続部材は導入時により良好に中心に位置付けることができる。図示の接続部材10はさらに、最上層を容易に貫通する円錐部に続く円筒部を有し、接続部材10の心だし特性がさらに向上する。
【0047】
この実施例では、スクリュー軸に対する垂線Nに対する傾斜を連続的に減少させるように直径が増加し、この直径は第一傾斜M1(α1)とそれに続く第二傾斜M2(α2)も備えている。
【0048】
図1bは本発明に係る接続部材10の斜視図であって、平坦なヘッド面20に設けられた内側ドライブ22を有し、このスクリュードライブ22は十字形凹部の形状である。
【0049】
図1cは接続部材10の部分断面図であって、径方向のドライブの最大伸張aの最大で30%のみのスクリュードライブ深さtを示している。摩擦溶接接続に必要な軸方向の力は平坦なヘッド20を介して伝達されるので、このような設計が可能である。摩擦溶接工程で発生する熱の為に、内側ドライブはシャフト16から一定の距離だけ離間することが必要なので、低いドライブ深さtは、ヘッドの短い軸方向伸張と、それによる低い構造高さを可能にする。
【0050】
図2は本発明に係る接続部材30の斜視図であって、図1bに示した接続部材とは対照的に、五芒星の形状のドライブ凹部32を有している。これにより、大きな温度上昇時に、トルクの伝達性が向上する。鎖線はドライブ構造の範囲(radius)と、その径方向の最大伸張を示している。
【0051】
図3は本発明に係る設定ツール40の概略断面図である。この設定ツール40は、押下げデバイス42とドライブビット44を備えている。押下げデバイス42は、接続工程中、コンポーネント層46、48を共に押圧するために用いられる。ドライブビット44は、押下げ(hold-down)デバイス42に対して回転自在に設けられて、接続部材50を押下げ(press down)ながら回転させ、コンポーネント層46,48に導入する。上部最上層(upper top layer)46の材料は、好ましくは軽金属、特にアルミニウムである一方で、基層48は高張力鋼からなる。ドライブビット44は、接触面に負圧を生成するために用いることのできる中央吸引チャネル52を有し、接続行程中、接続部材50をドライブビット44上に保持する。ドライブビット44の前面端の設計は、図4a,4bを参照して以下により詳細に説明する。
【0052】
図4aはドライブビット44の前面端の斜視図である。ドライブビット44は平坦基部54を有する。隆起駆動構造56は平坦基部54上に設けられ、対応する接続部材を内側ドライブで駆動するために用いられ、その場合、軸方向の力は平坦基部を介して接続部材に伝達される。駆動構造56の間には吸引穴58が設けられ、中央吸引チャネルに接続されて連通している。平坦基部54は、平坦基部54に対して隆起した縁60によって囲まれている。
【0053】
図4bは、ドライブビットの前面の上面図である。吸引穴58が範囲(radius)Uに接している。縁60は内径D1を有している。縁と範囲Uは同心で、範囲Uの直径DUは縁の内径D1の略65%である。その結果、吸引接触は縁の内径D1よりも略小さなヘッド径を有する接続部材のエッジ領域で行われる。この場合、接続部材の吸引ポイントは理想的には接続部材の中央からある距離を開けて配置される。
【0054】
図5はドライブビット44とそれに挿入された接続部材10の部分断面図である。ドライブビット44は吸引穴58が接続された中央吸引チャネル52を有している。挿入された接続部材10は、D1の略90%のヘッド径DKを有している。この図では、隆起した縁60の高さHUを特に良く見ることができる。縁は接続部材の底面レベルKを超えて延びている。これにより、設定中に径方向外側に移動した任意の材料がドライブビットによって取り込まれ、ドライブツールを囲む押下げデバイス(図示せず)とドライブビットの間の空間に進入できなくする。ヘッドレベルKと平坦基部54の間の領域は、最上層からの材料を受け取ることができるので、構造高さを低減した直径と共に維持できる。
【0055】
図6は設定プロセスの終わりに形成されたコンポーネント接続70の断面図である。このコンポーネント接続70は、接続部材76によって互いに接続された最上層72と基層74を備えている。接続部材76は溶接によって基層74と密着する一方で、最上層72は接続部材76に確実に(positively)保持される。また、設定ツール78は、コンポーネント接続70を押下げて最上層72と基層74を共に固定(clamp)する押下げデバイス80を備えていることが示されている。
【0056】
ドライブビット82は、設定プロセス完了時に最上層72のレベルに当接して押下げデバイス80と同一平面になるのに十分な高さを有する縁84を備えている。
【0057】
図6aは図6の詳細拡大図である。この図は、基層74で実施された摩擦溶接工程の間に起立した(rise)接続部材76の材料とヘッドの間に、軟化し最上層72から移動した材料が収容される状態を特に良く示している。この工程の終わりに、押下げデバイス80と縁84は同じレベルで当接するので、押下げデバイス80にはわずかなテーパーのみが必要である。なぜなら、最上層72からの材料は、大部分が縁84内に保持され、押下げデバイス80自体は型(mold)として主には働かないからである。
【0058】
図7図6aと類似の詳細拡大図である。図7に示した設計では、縁94は設定工程の終わりに最上層92のレベルから距離Sだけ離間するように選択される。その結果、縁94は摩擦溶接工程の間に最上層92から移動した任意の材料の向きを変えて、ドライブビットと押下げデバイス96の間の空間に進入しないようにしつつも、最上層92から移動した材料がこの設計では押下げデバイス96によって閉じ込められることを可能にしている。最大構造高さは一般に押下げデバイス96によって定義されるので、このようにして追加の受け入れ容積を形成できて、同じ外形寸法を維持しながら全体の高さをさらに低減できる。この実施例では、押下げデバイス96はその内縁に沿ってテーパーを設けている。これが設定工程に続く押下げデバイス96の取り外しを容易にする。なぜなら、これにより押下げデバイス96が最上層92から変形した材料によって動きが取れなくなることを防ぐからである。
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図6a
図7