【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、請求項1に記載の燃料アセンブリによって達成される。
【0012】
燃料アセンブリは、燃料アセンブリの中心位置において比較的多い数のより短い燃料棒を、その中心短尺燃料棒の「外側」に配置された少なくとも3つの比較的多い水路と共に備えるので、原子炉が冷温状態にあるときに、大量の水は、燃料アセンブリの中心上方領域においてつくられる。次いで、この領域は、過剰減速されて、冷温反応度は低減される。したがって、改良された稼動停止マージンが得られる。さらに、少なくとも3つの比較的多い水路が用いられるので、そして、これらの水路が燃料アセンブリにおいて「広げられる」ので(それらが定義済みの3または4本の中心短尺燃料棒よりも中心燃料チャネル軸からはるかに外側に配置されるので)、これらの水路は、燃料アセンブリにおいて配置される多数の燃料棒の近くに位置する。したがって、高温条件において良好な減速が得られる。そしてそれは、原子炉の反応度が高いことを意味する。さらに、反応度がより多くの燃料棒により均一に広げられるので、燃料アセンブリの横断面にわたる分裂力の分配はより均一である。また、比較的多い数の中心短尺燃料棒のために、いかなる燃料棒もないより大きいボリュームが燃料アセンブリの上部においてつくられる。これは、圧力降下が要望通り燃料アセンブリの上部において比較的低いことを意味する。請求項1の定義を満たす4本以下の短い中心燃料棒が存在するという事実は、これらの燃料棒より上の中央開口部における蒸気および水の流速があまり高くないことを意味する。この領域における高すぎる流速は、燃料アセンブリのより高いレベルに置かれるスペーサ材料の腐食および浸食を増加させうる。浸食によるスペーサ材料の損失は、スペーサの完全性を害しうる。この高い浸食リスクは、短い中心燃料棒より上の空のスペーサ・セルを取り除くことによって取り扱うことができる。しかしながら、例えば、輸送の間または地震の発生において外部負荷にさらされるときに、これは、中央領域におけるスペーサグリッドの機械的強度を弱める。本発明は、空のスペーサ・セルを保つことを可能にする。そしてそれは、浸食の低いリスクを維持する一方で、スペーサグリッドの構造強度を増加させる。
【0013】
さらに、請求項1において定義される種類の4本以下の中心短尺燃料棒を有することによって、核特性はより最適化される。例えば、いわゆるボイド反応度係数は、圧力過渡現象のような特定の予想されたイベントの重大度を最小化するためにこれにより改良され、そして、特に燃料アセンブリの下部に関する停止マージンはよく最適化される。
【0014】
稼働中の沸騰水型原子炉では、蒸気の形成およびそれゆえ減少する密度に起因して、減速は、原子炉によって上へ変化する。これは、その結果冷温状態でのより高い反応度とともに、上部におけるより高い転換(すなわちウラン238からプルトニウム239のより多くの生産)を与える。従来技術におけるこの課題は、より短い燃料棒の使用によって解決された。より短い燃料棒は負の副作用があるので、それらの数、長さおよび位置は重要である。
【0015】
3または4本の中心短尺燃料棒より上の比較的大きい開放領域も、平均蒸気ボリュームを減らして、それゆえ高温条件での減速を増加させる自然な蒸気分離を強化する。蒸気がより高速でアセンブリを通って上方へ進行する蒸気および水の分離は、平均蒸気ボリュームを減らす。このプロセスは、単一の短尺燃料棒より上の空の位置に比べてより大きな開放領域を必要とする。
【0016】
以下は、請求項において用いる表現に関して強調されてよい。
【0017】
燃料チャネルは、例えば、箱壁または流路壁と呼ばれることもできる。
【0018】
燃料チャネルは、その幅(例えば約1.5dm)と比較して、通常、全く長い(例えば約4m)。したがって、それは、長さ方向を有する。
【0019】
原子炉、燃料アセンブリ、および燃料チャネルにおいて使用中に、好ましくは、鉛直方向において主に延びる。長さ方向は、使用中に、このように鉛直方向である。したがって、燃料アセンブリの下部および上部は、意図された使用位置に見られるように燃料アセンブリに関連する。
【0020】
燃料棒は、わずかに傾けられることができる。それゆえ、燃料棒軸が長さ方向において実質的に延びることは、特定される。しかしながら、好ましくは、燃料棒は傾けられず、したがって、燃料棒軸は長さ方向においてだけ延びる。
【0021】
好ましくは、燃料棒は、まっすぐである。しかしながら、燃料棒は、いくらか曲がっていてもよい。定義済みの中心燃料棒軸は、その場合、燃料棒の曲がった形状に続く。すなわち、その場合、中心燃料棒軸も曲げられる。
【0022】
水路にとっても同じようである。水路は、わずかに傾けられることができる。それゆえ、水路軸が長さ方向において実質的に延びることは、特定される。しかしながら、好ましくは、水路は傾けられず、したがって、水路軸は長さ方向においてだけ延びる。また、好ましくは、水路は、まっすぐである。しかしながら、水路は、曲げられることもできる。定義済みの中心水路軸は、その場合、水路の曲がった形状に続く。すなわち、その場合、中心水路軸も曲げられる。
【0023】
この用途の水路は、燃料アセンブリに置かれて、非沸騰水がそれを通って流れることができるために配置される筐体(例えば管形状の)をこのように意味する。
【0024】
さらに、好ましくは、水路は、その長さの少なくとも80%以上の、好ましくはその全長にわたる一定の断面積(断面積は、水路の端部の近くでいくぶん変化することができる)を有する。しかしながら、別の実施形態によれば、水路の断面積は、その長さに沿って変化してもよい。例えば、断面積は、前述の3または4本の短尺中心燃料棒より上のレベルでより大きくなってよい。
【0025】
水路および燃料棒の断面積が互いに比較されるときに、この比較は、燃料アセンブリ(水路または、おそらく、燃料棒がさまざまな断面積を有する場合に)の同じレベルに関する。特に、比較は、短尺燃料棒が配置される燃料アセンブリの下部にあてはまる。
【0026】
断面積は、水路または燃料棒の外面によって定義される領域に関する。
【0027】
原子炉は、好ましくは軽水炉である。
【0028】
本発明による燃料アセンブリの一実施形態によれば、その中心燃料棒軸が前記3または4本の燃料棒のいずれかの中心燃料棒軸に比べて中心燃料チャネル軸により近く配置された完全長燃料棒はない。この事実は、比較的大きい領域が言及された中央に位置する短尺燃料棒より上にあることを確実にする。したがって、比較的多い水量のためのこれらの短尺ロッドより上に空間が設けられる。そしてそれは、稼動停止マージンを改善する。
【0029】
本発明による燃料アセンブリの別の実施形態によれば、燃料アセンブリは、前記第2のグループに属する4本の燃料棒を備え、これらの4本の燃料棒の各々の中心燃料棒軸が水路の水路軸のいずれに比べても中心燃料チャネル軸により近いように、4本の燃料棒は配置される。この種の4本の燃料棒については、より大きい中心空間がつくられる。そしてそれは、さらに改良された稼動停止マージンを意味する。
【0030】
本発明による燃料アセンブリの別の実施形態によれば、燃料アセンブリは、6〜12本の、好ましくは6〜10本の燃料棒のセットから成る。前記セットは、前記3または4本の燃料棒を含む。前記セットの各燃料棒は、前記完全長燃料棒の長さの0.80倍未満の長さを有する。前記セットの燃料棒は、前記セットにおける各燃料棒が前記セットに属する少なくとも1本の他の燃料棒のとなりに配置されるように集めてグループ化される。この実施形態によれば、比較的多数の中央に位置するより短い燃料棒がこのようにある。これは、これらの燃料棒より上に水のためのかなり大きい空間を確実にする。この空間は、水路内部の空間と共に、良好な停止マージンを確実にする。
【0031】
本発明による燃料アセンブリの別の実施形態によれば、前記3または4本の燃料棒の各々は、前記完全長燃料棒の長さの0.50倍より少ない長さを有する。燃料棒がその短尺であるので、燃料棒より上に水のための広いスペースがあることが確実にされる。
【0032】
好適な実施形態によれば、前記3または4本の燃料棒の各々は、前記完全長燃料棒の長さの0.25〜0.45倍の間にある長さを有する。この種の短尺燃料棒については、水のためのさらにより大きいボリュームがつくられる。
【0033】
別の実施形態によれば、前記完全長燃料棒の長さの0.50倍を超えて、かつ、前記3または4本の燃料棒のいずれの中心燃料棒軸に比べても中心燃料チャネル軸により近く配置される中心燃料棒軸を有するような燃料棒はない。上記説明と同様に、言及された中心短尺燃料棒の中にもはや燃料棒がないことを確実にすることによって、大きくて、邪魔されない、水のためのスペースが作られる。
【0034】
別の実施形態によれば、燃料アセンブリは、前記少なくとも3つの水路のうちの3つだけを備える。まだ充分な空間が比較的多い数の燃料棒のための燃料アセンブリにあると同時に、この種の比較的大きい3つの水路の使用は、高温条件において良好な減速を達成するために最適であることが分かっている。
【0035】
好適な実施形態によれば、燃料アセンブリは、他のいかなる水路も備えない(すなわち、前記燃料棒の各1つの断面積の2倍未満大きい断面積を有する、または、燃料アセンブリが異なる断面積の燃料棒を有する場合には、燃料棒の平均断面積の2倍未満大きい断面積を有する水路もない)。
【0036】
別の実施形態によれば、前記少なくとも3つの水路の各1つは、前記燃料棒の各1つの断面積の3.0〜10.0倍の、好ましくは4.0〜8.0倍の断面積を有し、または、燃料アセンブリが異なる断面積の燃料棒を有する場合には、燃料棒の平均断面積の3.0〜10.0倍の、好ましくは4.0〜8.0倍の断面積を有する。この種の比較的大きい水路については、十分に高い量の非沸騰水は、燃料アセンブリを通って流れる。これは、良好な減速(すなわち高反応性)を確実にする。
【0037】
別の実施形態によれば、前記少なくとも3つの水路の各々は円形断面を有し、水路の少なくとも一部は、前記3または4本の燃料棒のレベルに位置する。流れ力の観点から、丸い水路を使用することは有利である。さらに、この種の丸い水路を製造して、燃料アセンブリ内に置くことは、容易である。
【0038】
別の実施形態によれば、燃料アセンブリは、各々、中心燃料棒軸と中心燃料チャネル軸との間の距離が、前記少なくとも3つの水路のうちの少なくとも1つの中心水路軸と中心燃料チャネル軸との間の距離よりも少ないという基準を満たす、12本の燃料棒だけ、好ましくは8本の燃料棒だけ、より好ましくは6本の燃料棒だけを備える。水路が燃料アセンブリの周辺の方へあまり遠くに配置されないことがこれにより確実にされる。これは、多くの燃料棒のための良好な減速、および高い反応性が、したがって均一に分散される分裂力もまた、達成されることを意味する。
【0039】
好ましい実施形態によれば、燃料アセンブリは、前述の基準を満たす6本の燃料棒を備える。これは、水路の最適位置決めを確実にするように見えた。
【0040】
これは、水路が中心短尺燃料棒の近くに配置されることを意味する。好ましくは、水路の各々は、前記3または4本の燃料棒の少なくとも2つの次に配置される。そうすると、それぞれの水路と前記3または4本の中心短尺燃料棒との間に位置するさらなる燃料棒はない。
【0041】
別の実施形態によれば、燃料アセンブリは、燃料棒位置の実質的に規則的なパターンを備え、前記少なくとも3つの水路の各1つは、この実質的に規則的なパターンにおいて4本の燃料棒を置き換えるように配置される。この種の設計は、燃料アセンブリにおいて実施するのが全く容易である。
【0042】
概念「実質的に規則的なパターン」が使われる。というのも、いくらかの燃料棒は、絶対に規則的なパターンからわずかに変位されてよいからである。好ましくは、規則的なパターンは、(燃料アセンブリの横断面が見られるときに)行および列の形である。
【0043】
別の実施形態によれば、燃料アセンブリは、65〜160本、好ましくは100〜120本、より好ましくは105〜113本、最も好ましくは109本の燃料棒(10)を備える。この種の比較的多数の燃料棒は、燃料アセンブリが冷却媒体に効率的な熱伝達を達成することができることを確実にする。そして、燃料棒および水路の配列のため、良好な減速が得られる。
【0044】
別の実施形態によれば、燃料アセンブリは、2〜10本、好ましくは6〜8本の燃料棒を備え、燃料棒の各々は、前記完全長燃料棒の長さの0.59〜0.79倍の長さを有する。この種の燃料棒の配置は、稼動停止マージンに、そして燃料アセンブリの上部の圧力降下の減少に貢献する。
【0045】
一実施形態によれば、燃料アセンブリは、8〜16本、好ましくは10〜12本の燃料棒を備え、燃料棒の各々は、前記完全長燃料棒の長さの0.25〜0.45倍の長さを有する。この種の短尺燃料棒のこの数については、稼動停止マージンが改善される。
【0046】
別の実施形態によれば、燃料アセンブリは、少なくとも70本、好ましくは少なくとも80本、または少なくとも90本の完全長燃料棒を備える。効率的な熱伝達は、多くの完全長燃料棒を用いることによって得られる。
【0047】
一実施形態によれば、燃料アセンブリは、5〜20本、好ましくは10〜15本の燃料棒を備え、燃料棒の各々は、前記完全長燃料棒の長さの0.80〜0.95倍の長さを有する。この種の燃料棒の配置は、水/蒸気の出口の近くでの、燃料アセンブリの上部における圧力降下を減らす。
【0048】
別の実施形態によれば、燃料アセンブリは、燃料棒より下に配置される下部タイプレートであって、前記少なくとも3つの水路の各々の下端が前記タイプレートに取り付けられる、下部タイプレート、燃料棒より上に配置される上部リフティング装置であって、燃料棒の束を把持して、持ち上げるためのハンドルを含む、上部リフティング装置、燃料棒を保持するための複数のスペーサグリッドであって、少なくとも大部分のスペーサグリッドは、前記少なくとも3つの水路に取り付けられる、複数のスペーサグリッド、下端部が前記少なくとも3つの水路の上部に取り付けられ、上端部が前記上部リフティング装置に取り付けられる、取付けロッド、を備える。
【0049】
この種の設計は、燃料棒の束を扱うことをより容易にする。上方ハンドルおよびリフティング装置は取付けロッドに取り付けられ、そしてそれは水路に取り付けられ、そしてそれは下部タイプレートに取り付けられるので、そしてスペーサグリッドは燃料棒を保持するので、そして少なくとも大部分のスペーサグリッドは水路に取り付けられるので、ハンドルを把持して持ち上げることによって、燃料棒の全部の束を持ち上げることができる。
【0050】
1つの設計原則によれば、燃料チャネルは、破片フィルタを含む底部遷移ピースに永久に固定され、そして、(上方ハンドルおよびリフティング装置、取付けロッド、水路、下部タイプレート、およびスペーサグリッドを含む)上記の通りの全部の燃料束は、燃料チャネルへと降ろされて、遷移ピースの上で自由に静止している。
【0051】
他の設計原則によれば、(上方ハンドルおよびリフティング装置、取付けロッド、水路、下部タイプレート、およびスペーサグリッドを含む)上記の通りの全部の燃料束は、破片フィルタを含む底部遷移ピースに永久に固定される。そして、燃料チャネルは、燃料束にわたって配置されて、上部リフティング装置またはハンドル上に静止する。