特許第6758319号(P6758319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6758319-切削器具、特に歯科用切削器具 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758319
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】切削器具、特に歯科用切削器具
(51)【国際特許分類】
   A61C 3/02 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   A61C3/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2017-554385(P2017-554385)
(86)(22)【出願日】2016年4月11日
(65)【公表番号】特表2018-514276(P2018-514276A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】IB2016052039
(87)【国際公開番号】WO2016166647
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年1月31日
(31)【優先権主張番号】15163782.4
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】デルヴァル アラン
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−519416(JP,A)
【文献】 特開2004−350936(JP,A)
【文献】 特開2001−269356(JP,A)
【文献】 特表2014−512893(JP,A)
【文献】 米国特許第06428317(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効切削部分(2)及び柄(3)を備え、前記有効部分(2)が金属カーバイド製である、特に掘削器具型の回転式切削器具(1)であって、前記柄(3)が、ニッケルチタン合金製であり、前記器具が、前記有効部分(2)と前記柄(3)との間に配置されるとともに前記有効部分(2)及び前記柄(3)にろう付けまたは溶接されたステンレス鋼製の中間部分(4)をさらに備えることを特徴とする、器具。
【請求項2】
前記有効部分(2)が、タングステンカーバイド製であることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記中間部分(4)が0.05mmと50mmとの間の長さを有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記中間部分(4)が1.5mmの長さを有することを特徴とする、請求項3に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削器具、特に歯科用又は外科用器具などの医療分野用に意図された器具の分野に関する。より具体的には、本発明は、掘削器具(bur)のような回転切削器具を対象としている。
【背景技術】
【0002】
掘削器具は、例えば、医療分野において骨外科のために用いることができ、又は、歯科分野においてインプラント歯科学のために若しくは歯内治療において、根管を穿孔し、歯根の断端(stump)を整形し、歯冠を調製及びトリミングし、窩洞を調製し、歯から象牙質、エナメル質、又はアマルガム、複合材、セラミック若しくは金属などの修復材を除去するために、用いることができる。
【0003】
歯科学及び骨外科の分野において、少なくともその有効切削部分が金属カーバイド、特にタングステンカーバイドで作られた掘削器具を使用することが知られている。この材料は、特にその切削性能及びその耐久性ゆえに用いられる。実際に、炭素鋼とは対照的に、カーバイドは、腐食せず、また、骨を切削する場合であっても、高速での使用に十分に硬質である。有効部分がカーバイド製の切削器具は、柄がステンレス鋼製の器具、又は有効部分及び柄によって形成された器具全体がカーバイド製の単一部品で作られた器具を包含する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、その有効部分がカーバイド製、特にタングステンカーバイド製であり、その切削性能が向上した切削器具、特に掘削器具型の歯科用途又は外科用途の切削器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の対象は、有効切削部分及び柄を備え、有効部分が金属カーバイド製である、特に掘削器具型の回転式切削器具であって、柄がニッケルチタン合金製であり、該器具が、有効部分と柄との間に配置された、有効部分及び柄に冶金学的に接続されたステンレス鋼製の中間部分をさらに備えることとを特徴とする、器具である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】歯科用途用の掘削器具の形態を有する本発明の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、切削器具は、歯科用器具であり、特にインプラント歯科学において又は歯内治療中に、根管を穿孔し、歯根の断端を整形し、歯冠を調製及びトリミングし、窩洞を調製し、歯から象牙質、エナメル質、又はアマルガム、複合材、セラミック若しくは金属などの修復材を除去するため使用される、バー(掘削器具)1である。別の選択肢として、本発明による切削器具は、例えば骨外科用に意図された外科用器具とすることができる。
【0008】
バー1は、有効部分2と、これを回転駆動するためにモータ内、ハンドピース又はコントラアングル内に挿入することを意図した柄3とを備える。有効部分2の形状、その切刃、その長さ、その幾何学的形状等は、本明細書ではより詳細に説明しない。
【0009】
本発明によれば、有効部分2は、金属カーバイド製、好ましくはタングステンカーバイド(WC)製であり、一方、柄3は、ニッケルチタン合金(NiTi)製である。ニッケルチタン合金は、特にその可撓性ゆえに、医療及び歯科分野においてしばしば用いられている。したがって、柄3を形成する合金組成は、本明細書ではより詳細に説明しない。
【0010】
本発明によれば、切削器具1の有効部分2と柄3との間に中間部分4が挿入される。この中間部分4は、ステンレス鋼製であり、ニッケルチタン製の柄3及びカーバイド製の有効部分2に、適宜、冶金学的に接続されている。好ましくは、中間部分4は、カーバイド製の有効部分2にろう付けされ、一方、ニッケルチタン製の柄3に溶接されている。一般に、中間部分4、有効部分2及び柄3は、当業者に公知の任意の適切な手段によって互いに冶金学的に接続される。
【0011】
中間部分4の目的は、タングステンカーバイド製の有効部分2と、ニッケルチタン製の柄3との間の接続を可能にすることである。実際、タングステンカーバイドとニッケルチタンとの間に冶金学的接続を直接形成することは非常に難しい。
【0012】
好ましくは、ステンレス鋼製の中間部分4は、0.05mmと50mmとの間、より好ましくは1.5mmの長さ又は厚さを有する。当業者は、カーバイド製の有効部分2とニッケルチタン製の柄3との間の有効な接続を可能にする中間部分4の適切な長さ/厚さを決定することができる。
【0013】
本発明による器具は、特に柄が鋼製又はカーバイド製の器具と比べて改善された切削性能を有し、実際、ニッケルチタン製の柄3は、鋼又はカーバイド製の柄よりも可撓性である。この可撓性は、特に、外科用に意図された切削器具であって、その柄が、湾曲した管内での作業を可能にするのに十分に可撓性である切削器具の製造を可能にする。そのうえ、柄の可撓性は、その使用(回転)時に器具に沿って振動を発生させ、この振動は、器具の切削性能を向上させる。
【0014】
特に歯科又は外科分野での使用を意図した、良好に機能する、カーバイド製の有効部分の利点とニッケルチタン製の柄の利点とを併せ持つ切削器具が得られる。
図1