【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願人は、ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂と、カップリング剤ならびにアルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートとの反応を通して得られた、ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂をベースとする付着防止コーティングプライマー組成物を開発し、カップリング剤は、PIおよび/またはPAI樹脂が、アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートとつながることを可能にする。このような反応は、ゾル−ゲル型の反応を介して、それに続く架橋へとつながり、PIおよび/またはPAI樹脂マトリックス中に完全に分散されたナノスケールシリカドメインのネットワークのインサイチュの形成を伴い、有機−無機ハイブリッド構造が生成される。
【0016】
結果として生じた有機−無機ハイブリッド構造材料は、相乗的組み合わせとなるように設計されたナノ複合体である:
【0017】
有機相:バインダー樹脂PAIおよび/またはPIは、有機ポリマーマトリックスの役割を果たす。それは、得られたコーティングに、そのアミド官能基を介して柔軟性を、そのイミド環を介して高い熱安定性を提供する。一方、このようなポリマーマトリックスの延性は、詳細には、基材(ディスクなど)が続いて打ち抜きされなければならない場合に、その実施を促進する;且つ、
【0018】
無機相:ポリマーマトリックスに浸透したシリカ充填剤で、得られたコーティングの機械的耐性(硬度、剛性)、熱耐性および腐食耐性を補強する。この充填剤は、実際に、無機金属酸化物前駆物質を使用して、ゾル−ゲル反応を介して、ポリマーマトリックス中にインサイチュで作り出された、無機ナノスケールドメインのネットワーク(「ナノ形成された」と言われる)である。
【0019】
したがって、本発明は、有機相および無機相に共有結合されたカップリング剤によって、PAIおよび/またはPI(有機相)のバインダー樹脂を、新たに形成された無機相に結合させることに関する。このようなカップリング剤は、PAI樹脂および/またはPI樹脂のイミド環の開環およびイミド環との結合、ならびに選択された実施条件においてシリカを作り出すことが可能である。
【0020】
ポリアミド−イミド樹脂/シリカハイブリッド材料は、当業者に公知である。
【0021】
したがって、電線のコーティング用のポリアミド−イミド樹脂/シリカハイブリッド材料を生成する方法が記載されている(例えば、特許文献3参照)。記載された方法では、コロイド状シリカが有機シランに添加され、シリカシランをベースとするコロイド状シリカゾル(すなわち、その表面に有機基を伴うコロイド状シリカ)を形成する。次に、有機溶媒がコロイド状シリカゾルに添加され、これはポリアミド−イミド樹脂に組み込まれ、シリカおよびポリアミド−イミド樹脂のハイブリッドを生成する。
【0022】
最後に、アミノシランがゾル−ハイブリッド溶液に添加され、混合物を撹拌する。特許文献3に基づく方法は、カップリング剤を使用して、存在するシリカをPAI樹脂にグラフトする方法を記載している。しかし、それは、ポリマーマトリックスの全体にわたり良好に分散されたナノスケールシリカドメインを得ることを可能にする、インサイチュでシリカを作り出すゾル−ゲル方法を記載していない。
【0023】
更に、アミン−ベースのカップリング剤またはハロゲン化されたエポキシ基に依存する、カルボキシシランおよびポリマー樹脂からポリマー樹脂およびシリカの複合体フィルムを生成する方法が記載されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この文献中の方法に基づいて使用されるポリマー樹脂は、PAI樹脂の前駆物質であり、且つPAI樹脂自体ではないポリアミド−アミド酸(PAA)である。この文献に記載された複合体フィルムは、電子およびマイクロ電子デバイスならびに光起電力素子のドメインに主に使用される。
【0024】
したがって、本発明の目的は、上記の不完全性を解決する付着防止コーティングプライマー組成物である。特に、これは、
【0025】
− ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂、
【0026】
− アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレート、
【0027】
− ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂と、アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートとを結び付けることができるカップリング剤、ならびに
【0028】
− 極性非プロトン溶媒
を含む付着防止コーティングプライマー組成物に関する。
【0029】
本発明によれば、ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂と、アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートとを結び付けることができるカップリング剤という用語は、一方では、PIおよび/またはPAI樹脂に、および特に、PIおよび/またはPAI樹脂のイミド環につながることができる1つまたは複数の官能基、ならびに他方では、アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートと反応して、インサイチュでシリカを形成するのに好適な1つまたは複数の官能基を有する化合物を意味する。
【0030】
本発明によるプライマー組成物は、ポリアミド−イミド樹脂を含むことが好ましい。
【0031】
有利には、ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂は、前記プライマー組成物の合計重量に関して、本発明に基づくプライマー組成物の20から70重量%を、好ましくは、20から60重量%の間を構成し得る。
【0032】
有利には、本発明によるプライマー組成物中のアルコキシシランは、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン(MTES)、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランおよびこれらの混合物の中から選択され得る。
【0033】
本発明によるプライマー組成物中のアルコキシシランに関して、テトラエトキシシラン(TEOS)が使用されることが好ましい。
【0034】
有利には、本発明によるプライマー組成物の金属アルコキシレートは、アルミネート、チタネート、酸化セリウムおよび酸化ジルコニウムの中から選択され得る。
【0035】
有利には、本発明によるプライマー組成物のアルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートは、酸性または塩基性媒体のいずれかにおいて加水分解され得る。アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートは、塩基性媒体において加水分解されることが好ましい。酸性媒体では、加水分解反応は縮合反応の前に迅速に起こり、混合物のゲル化へとつながる;塩基性媒体では、反対に、縮合反応が加水分解よりかなり速く起きて、コロイド状溶液を得ることを可能にする。
【0036】
有利には、本発明によるプライマー組成物はまた、アルコールを更に含有し得る。
【0037】
本発明によるプライマー組成物において使用され得るアルコールの中で、注目すべき例として、テルピネオール、プロパン−2−オール、メタノール、(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール)、イソプロパノール、グリコール(例えば、ブチルグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGBE)、テキサノール(化学名:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メトキシプロパノールおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
有利には、カップリング剤の乾燥重量による相対的な合計量は、本発明によるプライマー組成物において、ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂に対して、2〜20%の間を構成し得る。
【0039】
本発明によるプライマー組成物において使用され得るカップリング剤の中で、注目すべき例として、シラザン(および好ましくはヘキサメチルジシラザン)、シラン誘導体、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
本発明によるプライマー組成物において使用され得るシラン誘導体の中で、注目すべき例として、3−アミノメチルトリメトキシシラン(APrTMOSまたはAPTMOS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTESまたはAPrTEOS)、3−アミノプロピルトリ(メトキシエトキシ−エトキシ)シラン、(4−アミノブチル)トリエトキシシラン、(3−アミノフェニル)トリメトキシシラン(APTMOS)、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTEOS)、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、アミノプロピル−シラントリオール、ビス(メチルジエトキシシリルプロピルアミン)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、およびこれらの混合物などのアミノシランが挙げられる。本発明によるプライマー組成物のカップリング剤は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)であることが好ましい。
【0041】
本発明によるプライマー組成物において使用され得るシラン誘導体の中で、注目すべき例として、エポキシシラン(好ましくはグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS))、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GTMOS)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GTEOS)、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、式OCN−R
1−Si(R
2)
3のイソシアネートシランであって、式中、R
1は、C
1〜C
6アルケン基(メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチリデンおよびヘキサメチレンなど)またはC
1〜C
6アリーレン基(フェニレンもしくはナフタレンなど)であり、且つR
2は、R
1と同一であるか、またはR
1と異なり、したがって、C
1〜C
6アルコキシ基であるもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
本発明に基づいて使用され得るカップリング剤の中で、注目すべき例として、式
【0043】
【化1】
【0044】
のチロシン、
【0045】
または式
【0046】
【化2】
【0047】
のグリシンなどのアミノ酸も挙げられる。
【0048】
有利には、極性非プロトン溶媒は、本発明によるプライマー組成物中に、プライマー組成物の合計重量に対して1から70重量%の濃度で存在する。
【0049】
有利には、極性非プロトン溶媒は、以下の1つまたは複数を含み得る:N−ホルミルモルホリン(NFM)、N−エチルモルホリン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−アセチルモルホリン(NAM)、N−エチルピロリドン(NEP)、N−ブチルピロリドン(NBP)、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジオキソラン、2,5,7,10−テトラオキサウンデカン、N−メチルピロリジンケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN,N−ジメチルアセトアミド。
【0050】
有利には、本発明によるプライマー組成物は、任意の熱安定性結合剤、および特にフッ化炭素樹脂を含まなくてもよい。
【0051】
有利には、本発明によるプライマー組成物はまた、少なくとも1つの充填剤または少なくとも1つの顔料も更に含み得る。
【0052】
上に定義したような本発明によるプライマー組成物は、ハイブリッドプライマー組成物を得ることを可能にする。このハイブリッドプライマー組成物は、様々な成分を混合した後に得られる中間生成物であり、そこには樹脂のマトリックス、および前記樹脂内に分散したナノスケールシリカドメインの、マトリックスが形成される。
【0053】
したがって、本発明の目的はまた、ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂のマトリックスを含む付着防止コーティングハイブリッドプライマー組成物であって、200nm未満の大きさを有するシリカドメインが極性非プロトン溶媒中に分散されており、シリカドメインの大きさが、湿潤状態で、本発明によるハイブリッドプライマー組成物においてレーザー粒度分析を使用するか、または本発明によるハイブリッドプライマー組成物から得られた焼成された(cooked)プライマーフィルムの透過型電子顕微鏡(TEM分析)を使用するかのいずれかで測定される、組成物である。
【0054】
シリカドメインが分散しているポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂マトリックスは、有利には、極性非プロトン溶媒中のコロイド状分散体であり得る。
【0055】
有利には、本発明によるハイブリッドプライマー組成物におけるシリカドメインは、100nm未満の大きさで存在し、好ましくは10〜50nmの間で構成され得る。
【0056】
有利には、シリカドメインの相対的乾燥重量は、ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂のマトリックスに対して、前記ハイブリッドプライマー組成物において10〜25%の間、好ましくは10〜20%の間を構成し得る。
【0057】
有利には、極性非プロトン溶媒は、本発明によるハイブリッドプライマー組成物において、ハイブリッドプライマー組成物の合計重量に対して1から70重量%の濃度で存在し得る。
【0058】
有利には、極性非プロトン溶媒は、以下の1つまたは複数を含み得る:N−ホルミルモルホリン(NFM)、N−エチルモルホリン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−アセチルモルホリン(NAM)、N−エチルピロリドン(NEP)、N−ブチルピロリドン(NBP)、およびN−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジオキソラン、2,5,7,10−テトラオキサウンデカン、N−メチルピロリジンケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ならびにN,N−ジメチルアセトアミド。
【0059】
有利には、本発明によるハイブリッドプライマー組成物は、任意の熱安定性結合剤、および特にフッ化炭素樹脂を含まなくてもよい。
【0060】
有利には、本発明によるハイブリッドプライマー組成物はまた、少なくとも1つの充填剤または少なくとも1つの顔料も更に含み得る。
【0061】
本発明の文脈において、本発明によるプライマー組成物におけるか、または本発明によるハイブリッドプライマー組成物における充填剤として、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、重晶石、ケイ灰石、炭化ケイ素、クレイ、層状シートケイ酸カルシウム、層状シリケート水和物、フィロシリケート、ケイ酸カルシウム水和物、カルシウムオルガノシラン、およびこれらの混合物のナノ粒子の使用が優先される。
【0062】
本発明によれば、本発明によるプライマー組成物におけるか、または本発明によるハイブリッドプライマー組成物における顔料として、アルミン酸コバルト(CoAI
2O
4)、チタン酸クロム、アンチモン、酸化鉄、チタン酸ニッケル、カーボンブラック、アルミノケイ酸、二酸化チタン、様々な金属酸化物をベースとする立方晶結晶構造の無機顔料、酸化鉄−または酸化チタン−コーティングされた雲母薄片、酸化鉄−コーティングされたアルミニウム薄片、ペリレンレッド、サーモクロミック半導体顔料(例えば、Fe
2O
3、Bi
2O
3、またはBiVO
4などの金属酸化物半導体)およびこれらの混合物の使用が優先される。
【0063】
本発明の目的はまた、本発明による付着防止コーティングハイブリッドプライマー組成物の少なくとも1つの層を含む付着防止コーティングである。
【0064】
本発明によるハイブリッドプライマー組成物の1つまたは複数の層は、典型的には、基材に、特に調理用品の基材、任意選択で予め表面処理が施された基材上に直接適用される。
【0065】
1つまたは複数のプライマー層の上に、最初の仕上げ層が典型的には適用され、好ましくはそれ自体が少なくとも第2の仕上げ層で覆われている。
【0066】
1つまたは複数の仕上げ層は、ハイブリッドプライマー組成物の1つまたは複数の層と混合可能な少なくとも1つの熱安定性結合剤を含む。
【0067】
本発明による仕上げ層(複数可)において使用され得る熱安定性結合剤の中で、注目すべき例として、エナメル、フッ化炭素樹脂(単独または組み合わせ)、無機ポリマーまたはゾル−ゲル方法を使用して合成された有機−無機ハイブリッドが挙げられる。
【0068】
本発明の目的はまた、本発明による付着防止コーティングプライマー組成物または本発明による付着防止コーティングハイブリッドプライマー組成物を調製する方法であって、
【0069】
a)カップリング剤を、ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂ならびに極性非プロトン溶媒を含む溶液に導入するステップ、ならびに
【0070】
b)塩基性媒体において、アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレート、ならびに水を、ステップa)の結果として生じた混合物に添加するステップ
を含む、方法である。
【0071】
本発明による付着防止コーティングハイブリッドプライマー組成物の調製の場合では、本発明の目的はまた、
【0072】
a)カップリング剤を、ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂ならびに極性非プロトン溶媒を含む溶液に導入するステップ、ならびに
【0073】
b)アルコキシシランおよび/または予備加水分解された金属アルコキシレートを、ステップa)の結果として生じた混合物に添加するステップ
を含む方法である。
【0074】
この特定の場合では、本発明による方法は、c)アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートを加水分解して、予備加水分解されたアルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートを生成するステップを有利には更に含んでもよく、この加水分解ステップc)はステップb)の前に実施され、
【0075】
− 塩基性媒体における、アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートの、水とアルコールの混合物中での加水分解、または
【0076】
− 塩基性媒体における、アルコキシシランおよび/または金属アルコキシレートの、水と極性非プロトン溶媒の混合物中での加水分解
を含む。
【0077】
PIおよび/またはPAI樹脂、カップリング剤、極性非プロトン溶媒、アルコキシシランおよび金属アルコキシレートは、上に規定された通りである。
【0078】
本発明による付着防止コーティングプライマー組成物の調製のための使用においても、本発明による付着防止コーティングハイブリッドプライマー組成物の調製のための使用においても、本発明による方法は、d)充填剤および/または顔料の、ステップb)で得られた混合物への添加のためのステップを有利には更に含んでもよい。
【0079】
充填剤および/または顔料は、上に規定された通りである。
【0080】
同様に、本発明による付着防止コーティングプライマー組成物の調製のための使用においても、本発明による付着防止コーティングハイブリッドプライマー組成物の調製のための使用においても、本発明による方法は、e)ポリイミド樹脂および/またはポリアミド−イミド樹脂の、極性非プロトン溶媒への溶解のためのステップを有利には更に含んでもよく、このステップe)はステップa)の前に実施されてもよい。
【0081】
本発明の別の目的はまた、本発明による付着防止コーティングを含む物品を製造する方法であって、
【0082】
A)2つの対向面を有する基材を用意するステップと、
【0083】
B)前記基材の少なくとも1つの表面に、
【0084】
− 本発明による付着防止コーティングハイブリッドプライマー組成物の少なくとも1つの層、または
【0085】
− 付着防止コーティングプライマー組成物または付着防止コーティングハイブリッドプライマー組成物の調製に関して、本発明に基づいて定義された方法に基づいて得られた付着防止コーティングハイブリッドプライマー組成物の少なくとも1つの層
を適用するステップと、
【0086】
C)390℃〜430℃の間の温度で全ての集合体を焼結させるステップと
を含む、方法である。
【0087】
有利には、本発明による物品の製造の方法は、B’)付着防止コーティングの少なくとも1つの仕上げ層が、焼結ステップC)の前に、ステップB)で得られた層に適用されるステップを更に含み得る。有利には、適用ステップB’)は、ステップB)で得られた層上に、湿潤状態で実行され得る。ステップB)で得られた層が、ステップB’)の前に乾燥されると、それは疎水性となり、それに続いて適用される仕上げ層の接着を妨げるおそれがある。
【0088】
付着防止コーティング仕上げ層は、上に規定された通りである。
【0089】
最後に、本発明の別の目的は、本発明による物品を製造する方法に基づいて得ることができる物品である。
【0090】
様々な種類の、様々な形態の、本発明と一致した材料から作製される物品が考えられ得る。
【0091】
したがって、それは、様々な金属、ガラス、セラミックまたはプラスチックから選択される材料から作製される基材を含む物品であってもよい。
【0092】
本発明に基づいて使用され得る金属基材の中で、有利な例として、アルミニウムまたは陽極酸化されたか、もしくは陽極酸化されてないアルミニウム合金、または研磨され、ブラシをかけられ、ビードブラストされたかもしくはやすりをかけられたアルミニウムから作製される、化学的に処理されたか、または研磨され、ブラシをかけられたかもしくはビードブラストされたステンレス鋼、または鋳造された鉄もしくはアルミニウム、チタンまたは打ち出されたかもしくは研磨された銅から作製される基材が挙げられる。
【0093】
本発明による物品は、特に、調理用品であり、より詳細には、その一表面が、前記物品内に入れられた食品と接触することを意図した内部面を含み、且つ他の表面が、熱源と接触することを意図した外部凸表面である調理用品であり得る。
【0094】
本発明の範囲下に入る調理用品の非限定的な例の中で、注目すべき例として、ポットおよび平鍋、中華鍋、ソテーパン、蒸し煮皿、シェフパン、圧力釜、クレープメーカー、グリル、パン焼き焼き型およびシート、ラクレット皿、バーベキュー料理板およびグリル、ミキシングボール、フライヤー槽ならびに炊飯器などの調理用品が挙げられる。
【0095】
調理分野に限定されず、他の種類の基材もまた、考えられ得る。したがって、本発明による物品の範囲内で、アイロン、カールアイロン、ストレートヘアアイロンなど、断熱容器(例えば、コーヒーメーカー用)、またはミキシングボールなどの家庭電気機器も予想することができる。