特許第6758355号(P6758355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6758355連続気泡発泡体を使用した血液試料の管理
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758355
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】連続気泡発泡体を使用した血液試料の管理
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   G01N1/00 101H
【請求項の数】11
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-189406(P2018-189406)
(22)【出願日】2018年10月4日
(62)【分割の表示】特願2017-519515(P2017-519515)の分割
【原出願日】2015年9月22日
(65)【公開番号】特開2019-20425(P2019-20425A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2018年10月23日
(31)【優先権主張番号】62/063,536
(32)【優先日】2014年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/207,618
(32)【優先日】2015年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラン イヴォセビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー エム.ウィルキンソン
(72)【発明者】
【氏名】シー.マーク ニュービー
(72)【発明者】
【氏名】キショア ケー.ボッカ スリニヴァサ ラオ
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−017281(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0176939(US,A1)
【文献】 特開2011−095157(JP,A)
【文献】 特開2000−262271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料を受容するように適合された血液移送装置であって、
血液入口ポートと、前記血液入口ポートから離れた血液出口ポートと前記血液入口ポートの近傍で第1の位置と第2の位置との間で移行可能な作動部材と、を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配設されており、かつその内部に乾燥抗凝固剤粉末を有する連続気泡発泡体材料と、を備え
前記ハウジングが、前記連続気泡発泡体材料が前記ハウジング内に密封される閉鎖位置と、前記連続気泡発泡体材料の一部が露出する開放位置との間で移動可能な蓋を更に備える、血液移送装置。
【請求項2】
前記連続気泡発泡体材料と流体連通している毛細管を更に備える、請求項1に記載の血液移送装置。
【請求項3】
前記毛細管が、前記血液試料が前記連続気泡発泡体材料内の前記乾燥抗凝固剤粉末と混合された後に前記血液試料を受容するように適合されている、請求項2に記載の血液移送装置。
【請求項4】
前記毛細管が分注先端部を含む、請求項2に記載の血液移送装置。
【請求項5】
前記作動部材の前記第1の位置から前記第2の位置への移動が、前記毛細管の前記分注先端部を通じて前記血液試料を分注する、請求項に記載の血液移送装置。
【請求項6】
前記毛細管が前記ハウジングの前記血液入口ポートと前記連続気泡発泡体材料との間に配設された第1の毛細管であり
前記連続気泡発泡体材料と流体連通している第2の毛細管を更に備え、前記第2の毛細管が、前記ハウジングの前記血液出口ポートと前記連続気泡発泡体材料との間に配設されている、請求項2に記載の血液移送装置。
【請求項7】
前記第2の毛細管が、前記血液試料が前記連続気泡発泡体材料内の前記乾燥抗凝固剤粉末と混合された後に前記血液試料を受容するように適合されている、請求項に記載の血液移送装置。
【請求項8】
前記作動部材の前記第1の位置から前記第2の位置への移動が、前記第2の毛細管の分注先端部を通じて前記血液試料を分注する、請求項に記載の血液移送装置。
【請求項9】
前記第1の毛細管の内表面及び前記第2の毛細管の内表面の少なくとも一方が、抗凝固剤コーティングを含む、請求項に記載の血液移送装置。
【請求項10】
前記第1の毛細管及び前記第2の毛細管が異なる長さを有する、請求項に記載の血液移送装置。
【請求項11】
前記第1の毛細管及び前記第2の毛細管が異なる内径を有する、請求項に記載の血液移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年10月14日出願の米国仮特許出願第62/063,536号、表題「Blood Sample Management Using Open Cell Foam」、及び2015年8月20日出願の米国仮特許出願第62/207,618号、表題「Blood Sample Management Using Open Cell Foam」に対する優先権を主張するものであり、これらの各々の全開示は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、血液移送装置に関する。本開示は、より具体的には、血液移送装置、血液移送及び試験システム、ランセット及び血液移送システム、並びに抗凝固剤を充填する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
採血は、患者から少なくとも1滴の血液を採血することを伴う一般的な医療処置である。血液試料は、一般的に入院患者、在宅治療患者、及び救急治療室の患者から指先穿刺、踵穿刺、又は静脈穿刺によって採取される。採取後、血液試料は、例えば化学組成、血液学的性質、及び凝固をはじめとする医学的に有用な情報を得るために分析することができる。
【0004】
血液検査によって、疾患、ミネラル含量、薬剤の有効性、及び臓器の機能などの患者の生理学的及び生化学的状態が判定される。血液検査は、臨床検査室で、又は患者の近くのポイントオブケアで行うことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、血液試料を受容するように適合された血液移送装置を提供する。血液移送装置は、第1の端部、第2の端部、それらの間に延びる側壁、及び第1の位置と第2の位置との間で移動可能な作動部材を有するハウジングを含む。変形可能な材料がハウジング内に配設されており、該材料が血液試料を保持するように適合された初期位置から、血液試料の一部が該材料から放出される変形位置へと変形可能である。粘弾性部材が、ハウジング内にて、前記材料とハウジングの側壁との間に、かつ材料と作動部材との間に配設されている。粘弾性部材は作動部材及び材料と係合されており、これによって、作動部材の第1の位置から第2の位置への移動が粘弾性部材に力を及ぼし、その力を材料全体に均一に再分配して、材料を初期位置から変形位置へと変形させる。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、試料を受容するように適合された検体移送装置は、第1の端部、第2の端部、それらの間に延びる側壁、及び第1の位置と第2の位置との間で移動可能な作動部材を有するハウジングを含む。本装置は、ハウジング内に配設された変形可能な材料を更に含み、該材料は、材料が試料を含有するように適合された初期位置から、試料の少なくとも一部が材料から放出される変形位置へと変形可能である。本装置は、ハウジング内にて、前記材料とハウジングの前記側壁との間に、かつ材料と作動部材との間に配設された粘弾性部材も含む。粘弾性部材は作動部材及び前記材料が係合されており、これによって、作動部材の第1の位置から第2の位置への移動が粘弾性部材に力を及ぼし、前記材料を初期位置から変形位置へと変形させる。
【0007】
特定の構成では、変形可能な材料は細孔を含む。本装置は、材料の細孔内に配設された乾燥抗凝固剤粉末も含んでもよい。ハウジングは、第1の端部に分注先端部も含んでもよい。最適には、ハウジングは、分注先端部内に配設された弁を含み、この弁は、閉鎖位置と開放位置との間で移行可能である。前記材料が変形位置にあり、かつ弁が開放位置にある状態で、試料の少なくとも一部が材料から放出されてもよく、前記分注先端部を通じて流れることができる。
【0008】
特定の構成では、粘弾性部材は粘弾性部材硬さを有する。作動部材も作動部材硬さを有してもよい。特定の構成では、粘弾性部材硬さは、作動部材硬さよりも低い。作動部材は、ハウジングの第2の端部に位置してもよい。必要に応じて、作動部材は押しボタンであってもよく、試料は血液であってもよい。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、検体移送及び試験システムは、試料を受容するように適合された血液移送装置を含んでもよい。血液移送装置は、第1の端部、第2の端部、それらの間に延びる側壁、前記第1の端部の分注先端部、前記第2の端部の作動部材、及び前記分注先端部内に配設された弁を含んでもよい。作動部材は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、弁は、閉鎖位置と開放位置との間で移行可能である。検体移送装置は、細孔を有し、かつハウジング内に配設された変形可能な材料も含んでもよく、該材料は、材料が試料を含有するように適合された初期位置から、試料の少なくとも一部が材料から放出される変形位置へと変形可能である。検体移送装置は、ハウジング内にて、前記材料とハウジングの前記側壁との間に、かつ材料と作動部材との間に配設された粘弾性部材も含んでもよい。粘弾性部材は作動部材及び前記材料が係合されており、これによって、作動部材の第1の位置から第2の位置への移動が粘弾性部材に力を及ぼし、前記材料を初期位置から変形位置へと変形させる。前記材料が変形位置にあり、かつ弁が開放位置にある状態で、材料から放出される試料の一部は、分注先端部を通じて流れることができる。検体移送及び試験システムは、試料試験装置であって、検体移送装置から試料試験装置へと試料の少なくとも一部を密閉移送するために検体移送装置の分注先端部を受容するように適合された受容ポートを有する、試料試験装置も含んでもよい。
【0010】
特定の構成では、前記検体移送装置は、材料の細孔内に乾燥抗凝固剤粉末を更に含む。粘弾性部材は粘弾性部材硬さを有してもよく、作動部材は作動部材硬さを有してもよく、粘弾性部材硬さが作動部材硬さよりも低くてもよい。特定の構成では、作動部材は押しボタンである。他の構成では、検体は血液である。
【0011】
本発明の更なる別の実施形態によれば、ランセット及び検体移送装置は、前方端部、後方端部、及び穿刺要素を有するランセットハウジングであって、穿刺要素が、ランセットハウジング内に少なくとも部分的に配設されており、かつ穿刺要素がランセットハウジング内に保持される作動前位置と、穿刺要素の少なくとも一部がランセットハウジングの前方端部を通じて延びる穿刺位置との間で移動するように適合されている、ランセットハウジングを含む。ランセット及び検体移送装置は、ランセットハウジングの後方端部と係合可能な検体移送装置を更に含む。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、血液試料を受容するように適合された血液移送装置は、第1の端部、第2の端部、及び第1の位置と第2の位置との間で移行可能な作動部材を有するハウジングを含む。血液移送装置は、ハウジング内に配設されており、かつその内部に乾燥抗凝固剤粉末を有する連続気泡発泡体材料を更に含む。
【0013】
特定の構成では、血液移送装置は、連続気泡発泡体材料と流体連通している毛細管も含む。ハウジングは、連続気泡発泡体材料がハウジング内に密封される閉鎖位置と、連続気泡発泡体材料の一部が露出する開放位置との間で移動可能な蓋も含んでもよい。毛細管は、血液試料が連続気泡発泡体材料内の乾燥抗凝固剤粉末と混合された後に血液試料を受容するように適合されてもよい。毛細管は、分注先端部を含んでもよい。
【0014】
作動部材の第1の位置から第2の位置への移動が、毛細管の分注先端部を通じて前記血液試料を分注することができる。第1の毛細管は、ハウジングの第1の端部と連続気泡発泡体材料との間に配設されてもよい。本装置は、連続気泡発泡体材料と流体連通しており、かつハウジングの第2の端部と連続気泡発泡体材料との間に配設された第2の毛細管をも含んでもよい。第2の毛細管は、血液試料が連続気泡発泡体材料内の乾燥抗凝固剤粉末と混合された後に血液試料を受容するように適合されてもよい。作動部材の第1の位置から第2の位置への移動が、第2の毛細管の分注先端部を通じて血液試料を分注することができる。第1の毛細管の内表面及び第2の毛細管の内表面の少なくとも一方が、抗凝固剤コーティングを含んでもよい。第1の毛細管及び第2の毛細管は、異なる長さを有してもよい。必要に応じて、第1の毛細管及び第2の毛細管は、異なる内径を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下の本開示の実施形態の説明を添付図面と併せて参照することで、本開示の上記に述べた特徴及び利点並びに他の特徴及び利点、並びにそれらを実現する方法がより明白となり、また本開示自体のより深い理解が得られるであろう。
図1A】本発明の一実施形態による、血液移送装置の変形可能な材料の概略図である。
図1B】本発明の一実施形態による、血液移送装置の変形可能な材料の概略図である。
図1C】本発明の一実施形態による、血液移送装置の変形可能な材料の概略図である。
図1D】本発明の一実施形態による、血液移送装置の変形可能な材料及び粘弾性部材の概略図である。
図1E】本発明の一実施形態による、血液移送装置の変形可能な材料及び粘弾性部材の概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、血液移送装置の正面断面図である。
図3A】本発明の一実施形態による、血液移送装置の正面図である。
図3B】本発明の一実施形態による、使用の一工程における、図3Aの血液移送装置の正面斜視図である。
図3C】本発明の一実施形態による、使用の一工程における、図3Aの血液移送装置の正面図である。
図4A】本発明の一実施形態による、血液移送装置の正面図である。
図4B】本発明の一実施形態による、図4Aの血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図4C】本発明の一実施形態による、図4Aの血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図4D】本発明の一実施形態による、図4Aの血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図4E】本発明の一実施形態による、図4Aの血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図5A】本発明の一実施形態による、血液移送装置の正面図である。
図5B】本発明の一実施形態による、図5Aの血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図5C】本発明の一実施形態による、図5Aの血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図5D】本発明の一実施形態による、図5Aの血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図6A】本発明の一実施形態による、ランセット及び血液移送装置の正面図である。
図6B】本発明の一実施形態による、図6Aのランセット及び血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図6C】本発明の一実施形態による、図6Aのランセット及び血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図6D】本発明の一実施形態による、図6Aのランセット及び血液移送装置を使用する一工程の斜視図である。
図7A】本発明の一実施形態による、血液移送装置の正面図である。
図7B】本発明の一実施形態による、図7Aの血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図7C】本発明の一実施形態による、図7Aの血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図7D】本発明の一実施形態による、図7Aの血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図8】本発明の一実施形態による、血液移送装置キットの平面図である。
図9】本発明の一実施形態による、血液移送装置の正面断面図である。
図10】本発明の一実施形態による、図9の血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図11】本発明の一実施形態による、図9の血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図12】本発明の一実施形態による、図9の血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図13】本発明の一実施形態による、図9の血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図14】本発明の一実施形態による、血液移送装置の正面断面図である。
図15】本発明の一実施形態による、図14の血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図16】本発明の一実施形態による、図14の血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図17】本発明の一実施形態による、図14の血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図18】本発明の一実施形態による、図14の血液移送装置を使用する一工程の正面図である。
図19】本発明の一実施形態による、注射器注射器アセンブリの斜視図である。
図20】本発明の一実施形態による、図19の注射器アセンブリの拡大部分斜視図である。
【0016】
複数の図を通じて、対応する参照符号は、対応する部品を示す。本明細書に記載される具体例は、本開示の例示的な実施形態を示したものであり、かかる具体例は、いかなる意味においても本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明は、本発明を実施するうえで想到される記載される実施形態を当業者が製造及び使用することを可能ならしめるために与えられるものである。しかしながら、様々な改変物、均等物、変形物、及び代替物は当業者には直ちに明らかであろう。かかる改変物、変形物、均等物、及び代替物のいずれも本発明の趣旨及び範囲内に含まれるものとする。
【0018】
以下、説明の目的で、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「最下部」、「横」、「縦」、及びそれらの派生語は、図面の各図において方向付けられた発明に関連するものとする。しかしながら、そうでない旨が明確に断られている場合を除き、本発明は様々な別の変形を取り得る点は理解されるべきである。添付図面に示され、以下の明細書において説明される特定の装置は、本発明の単なる例示的な実施形態にすぎない点も理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される各実施形態に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は限定的なものとしてみなされるべきではない。
【0019】
図2は、本開示の血液移送装置の例示的な一実施形態を示す。図2を参照すると、血液試料12(図3B)を受容するように適合された血液移送装置10は、ハウジング又は本体14、変形可能な材料16、及び粘弾性部材18を含む。
【0020】
一実施形態では、ハウジング14は、第1の端部20、第2の端部22、それらの間に延びる側壁24、第1の端部20の分注先端部26、第2の端部22の作動部材28、弁30、キャップ32、及び指フランジ34を含む。
【0021】
血液移送装置10は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な作動部材28を含んでもよい。一実施形態では、作動部材28は、ハウジング14の第2の端部22に位置する。一実施形態では、作動部材28は押しボタンである。作動部材は、作動部材硬さを有する。
【0022】
血液移送装置10は、血液移送装置10をその使用前に覆って保護するためのキャップ32を含んでもよい。一実施形態では、キャップ32は、血液移送装置10の分注先端部26をその使用前に覆って保護する。
【0023】
血液移送装置10は、閉鎖位置と開放位置との間で移行可能な弁30を含んでもよい。一実施形態では、弁30は、分注先端部26内に配設されている。弁30が開放位置にある状態で、材料16から放出される血液試料12の一部が分注先端部26を通じて流れることができる。一実施形態では、材料16から放出される血液試料12の一部は、分注先端部26を通じて血液試験装置60へと流れることができる。弁30が閉鎖位置にある状態で、血液試料12は血液移送装置10からいっさい流れ出ることはできない。
【0024】
図3A〜7Dを参照すると、血液試験装置60は、血液移送装置10の分注先端部26を受容するように適合された受容ポート62を含む。血液試験装置60は、血液移送装置10の材料16から血液試験装置60へと血液試料12(図3C)の一部を密閉移送するために血液移送装置10の分注先端部26を受容するように適合されている。血液試験装置60は、血液試料12を受容して血液試料を分析し、かつ試験結果を得るように適合されている。一実施形態では、血液試験装置60は、ポイントオブケア試験装置である。
【0025】
一実施形態では、材料16は、細孔40(図2)を有し、血液移送装置10のハウジング14内に配設されている。材料16は、材料16が血液試料12を保持するように適合された初期位置から、血液試料12の一部が材料16から放出される変形位置へと変形可能である。一実施形態では、材料16は、材料16の細孔40内に乾燥抗凝固剤粉末42を含む。細孔40を有する材料16に抗凝固剤を充填する方法について、下記により詳しく述べる。
【0026】
一実施形態では、材料16はスポンジ材料である。一実施形態では、材料16は連続気泡発泡体である。一実施形態では、連続気泡発泡体は、下記により詳しく述べるように抗凝固剤で処理されることによって、材料16の細孔40全体にわたって微細に分配された乾燥抗凝固剤粉末が形成される。連続気泡発泡体には血液試料を充填することができる。血液は、毛細管原理に基づいて連続気泡発泡体内に吸収される。血液が連続気泡発泡体内に充填されると、血液は、連続気泡発泡体の内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末に曝露される。連続気泡発泡体に血液が充填されると、連続気泡発泡体が変形され(例えば、圧縮され)て、安定化された血液試料を絞り出すことができる。一実施形態では、安定化された血液試料は、血液試験装置、ポイントオブケア試験装置、又は同様の分析装置のような診断用機器に移送されてもよい。
【0027】
一実施形態では、材料16は、血液に対して不活性の軟質の変形可能な連続気泡発泡体である。一実施形態では、連続気泡発泡体は、ビーエーエスエフ社(BASF)より市販されるBasotect(登録商標)発泡体などのメラミン発泡体であってもよい。別の実施形態では、連続気泡発泡体は、ホルムアルデヒド−メラミン−亜硫酸水素ナトリウムのコポリマーからなってもよい。連続気泡発泡体は、熱及び多くの有機溶媒に耐性を示す軟質で親水性の連続気泡発泡体であってもよい。一実施形態では、連続気泡発泡体はスポンジ材料であってもよい。
【0028】
次に、細孔40を有する材料16に抗凝固剤を充填する方法について述べる。一実施形態では、本方法は、材料16を抗凝固剤と水との溶液中に浸漬することと、前記溶液の水を蒸発させることと、材料16の細孔40内に乾燥抗凝固剤粉末42を形成することと、を含む。
【0029】
本開示の方法は、材料16を抗凝固剤と水との溶液に浸漬した後、材料16を乾燥して材料16の細孔40全体にわたって微細に分配された乾燥抗凝固剤粉末42を形成することによって材料16中に抗凝固剤を正確に制御して充填することを可能とするものである。
【0030】
ヘパリン又はEDTA(エチレンジアミン四酢酸)などの抗凝固剤及び他の血液安定化剤を、所望の濃度の溶液中に材料16を浸漬することによって材料16中に溶液として導入することができる。液相を蒸発させた後、例えば、水とヘパリンとの溶液から水を蒸発させた後、乾燥抗凝固剤粉末が形成され、材料16の内部構造全体にわたって微細に分配され得る。例えば、乾燥抗凝固剤粉末は、材料16の細孔40全体にわたって微細に分配され得る。同様にして、疎水性、親水性、又は反応性の内部細孔表面を与えるように材料16を処理することができる。
【0031】
一実施形態では、粘弾性部材18は、血液移送装置10のハウジング14内にて、材料16とハウジング14の側壁24との間に、かつ材料16と作動部材28との間に配設されている。例えば、図2を参照すると、粘弾性部材18は、材料16とハウジング14の側壁24との間に配設される第1の部分50と、材料16と作動部材28との間に配設される第2の部分52とを含む。
【0032】
例示的な一実施形態の粘弾性部材18は、好ましくは、例えば軟質エラストマーのような柔軟な材料で作製される。例示的な一実施形態では、粘弾性部材18は、シリコーン又は熱可塑性エラストマー(TPE)のような粘弾性材料で作製される。粘弾性部材18は、材料16と、その周囲の剛性の構成要素、例えばハウジング14の側壁24及び作動部材28との間の中間部材として機能する。一実施形態では、粘弾性部材18は、ダンパー又は軟質粘弾性ダンパーとして機能する。粘弾性部材18は、後述するように、作動部材28を介して材料16に外側から加えられる歪みを均一に再分配する。このようにして、粘弾性部材18は、材料16の局所的な過剰な変形による血液の溶血を最小限に抑える。更に、粘弾性部材18は、材料16の変形の速さを制御し、作動部材28を介して材料16を変形させるために加えられる力の速度を緩和する。
【0033】
粘弾性部材18は、粘弾性部材硬さを有する。粘弾性部材硬さは、作動部材硬さよりも低い。一実施形態では、粘弾性部材18を形成する材料の粘弾性部材硬さは、ショアデュロメータスケールで軟質エラストマーについてのタイプA範囲内の硬さの値を有し得る。例示的な一実施形態では、粘弾性部材18は、およそショアA5の硬さを有する。
【0034】
血液移送装置10は、指フランジ34を含んでもよい。材料16から血液試料12の一部を放出又は供給したい場合、血液移送装置10は、作動部材28上に置かれた使用者の親指と、指フランジ34の周囲に延びる使用者の他の指とによって把持される。このようにして、血液移送装置10は、従来の皮下注射器の動作と同様の、周知の広く認識された方法で使用者によって把持される。次に、使用者は、作動部材28上に置かれた親指と、指フランジ34を把持する他の指との間で絞る動作を達成し、それにより作動部材28を第1の位置から第2の位置へと矢印A(図2)に概ね沿った方向に移動させる。
【0035】
粘弾性部材18は作動部材28及び材料16と係合されており、これによって、作動部材28の第1の位置から第2の位置への移動が粘弾性部材18に力を及ぼし、その力を材料16全体に均一に再分配して材料16を初期位置から変形位置へと変形させる。このようにして、粘弾性部材18は、材料16の局所的な過剰な変形による血液の溶血を最小限に抑える。更に、粘弾性部材18は、材料16の変形の速さを制御し、作動部材28を介して材料16を変形させるために加えられる力の速度を緩和する。
【0036】
材料16が変形位置にあり、かつハウジング14の弁30が開放位置にある状態で、材料16から放出された血液試料12の部分は分注先端部26を通じて流れることができる。
【0037】
図3A〜7Dは、他の例示的な実施形態を示している。図3A〜3Cに示される実施形態は、図2に示される実施形態と同様の構成要素を含み、これらの同様の構成要素は文字Aが続く参照番号によって示されている。図4A〜4Eに示される実施形態は、図2に示される実施形態と同様の構成要素も含み、これらの同様の構成要素は文字Bが続く参照番号によって示されている。図5A〜5Dに示される実施形態は、図2に示される実施形態と同様の構成要素も含み、これらの同様の構成要素は文字Cが続く参照番号によって示されている。図6A〜6Dに示される実施形態は、図2に示される実施形態と同様の構成要素も含み、これらの同様の構成要素は文字Dが続く参照番号によって示されている。図7A〜7Dに示される実施形態は、図2に示される実施形態と同様の構成要素も含み、これらの同様の構成要素は文字Eが続く参照番号によって示されている。簡潔さのため、これらの同様の構成要素及び血液移送装置10A〜10E(図3A〜7D)を使用する同様の工程は、図3A〜7Dに示される各実施形態とともにすべてを説明することはしない。
【0038】
図3A〜3Cを参照すると、一実施形態では、血液移送装置10Aは、本体又はベローズ70、及び開放位置と閉鎖位置との間で移行可能なキャップ72を含む。一実施形態では、キャップ72は、ヒンジ部74を介してベローズ70に接続されている。
【0039】
血液移送装置10Aの使用に際しては、ランセット装置を使用して患者の皮膚表面Sに穿刺することができる。次に、キャップ72が開放位置に移動して、材料16Aを露出させる。次いで、材料16Aが穿刺された患者の皮膚表面Sに隣接して設置され、これによって、血液試料12が材料16Aに移送され得るように、血液移送装置10Aが位置付けられる。例えば、材料16Aは、血液試料12を吸収するように穿刺された皮膚表面Sと接触させることができる。血液12が材料16A内に充填されると、血液12は、材料16Aの内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末に曝露される。材料16Aに血液12が充填されると、キャップ72が閉鎖位置に移動し、材料16Aが変形され(例えば、圧縮され)て、安定化された血液試料12を絞り出す。一実施形態では、安定化された血液試料12は、血液試験装置60Aのような診断用機器に移送されてもよい。
【0040】
図4A〜4Eを参照すると、一実施形態では、血液移送装置10Bは、第1の本体部分80、ヒンジ部84を介して第1の本体部分80に接続された第2の本体部分82、材料16Bを受容するための第1の本体部分80内のチャンバ86、第1の本体部分80に向かう方向に第2の本体部分82内に延びる突出要素88、及びチャンバ86と流体連通している滅菌キャップ89を含む。血液移送装置10Bは、開放位置と閉鎖位置との間で移行可能である。
【0041】
血液移送装置10Bの使用に際しては、ランセット装置100を使用して患者の皮膚表面Sに穿刺することができる。次に、血液移送装置10Bが開放位置に移動して、チャンバ86内の材料16Bを露出させる。次いで、材料16Bが穿刺された患者の皮膚表面Sに隣接して設置され、これによって、血液試料12が材料16Bに移送され得るように、血液移送装置10Bが位置付けられる。例えば、材料16Bは、血液試料12を吸収するように穿刺された皮膚表面Sと接触させることができる。血液12が材料16B内に充填されると、血液12は、材料16Bの内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末に曝露される。材料16Bに血液12が充填されると、血液移送装置10Bが閉鎖位置に移動し、材料16Bが変形され(例えば、圧縮され)て、安定化された血液試料12を絞り出す。例えば、突出要素88が材料16Bを変形させるように血液移送装置10Bが絞られてもよく、それにより滅菌キャップ89を通じて安定化された血液試料12を絞り出すことができる。一実施形態では、安定化された血液試料12は、血液試験装置60Bのような診断用機器に移送されてもよい。
【0042】
図5A〜5Dを参照すると、一実施形態では、血液移送装置10Cは、第1の本体部分90、第1の本体部分90に取り外し可能に接続された第2の本体部分92、材料16Cを受容するための第1の本体部分90内のチャンバ94、及び第2の本体部分92内に移動可能に位置付けられたスライドボタン96を含む。血液移送装置10Cは、開放位置と閉鎖位置との間で移行可能である。スライドボタン96は、第1の位置と第2の位置との間で移行可能である。
【0043】
血液移送装置10Cの使用に際しては、ランセット装置を使用して患者の皮膚表面Sに穿刺することができる。次に、第2の本体部分92が第1の本体部分90から取り外されて、血液移送装置10Cを開放し、チャンバ94内の材料16Cを露出させる。次いで、材料16Cが穿刺された患者の皮膚表面Sに隣接して設置され、これによって、血液試料12が材料16Cに移送され得るように、血液移送装置10Cが位置付けられる。例えば、材料16Cは、血液試料12を吸収するように穿刺された皮膚表面Sと接触させることができる。血液12が材料16C内に充填されると、血液12は、材料16Cの内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末に曝露される。材料16Cに血液12が充填されると、第2の本体部分92が第1の本体部分90に接続されて血液移送装置10Cを閉鎖し、材料16Cが変形さされ(例えば、圧縮され)て、安定化された血液試料12を絞り出す。例えば、スライドボタン96が第1の位置から第2の位置へと移動して、材料16Cを圧縮し、分注先端部26Cを通じて安定化された血液試料12を絞り出すことができる。一実施形態では、図5Dに示されるように、安定化された血液試料12は、血液試験装置60Cのような診断用機器に移送されてもよい。
【0044】
図6A〜6Dは、本開示の別の例示的な実施形態を示す。図6A〜6Dを参照すると、ランセット及び血液移送装置110は、ランセット装置120及び血液移送装置10Dを含む。
【0045】
一実施形態では、ランセット装置120は、前方端部124及び後方端部126を有するランセットハウジング122、穿刺要素130を有するランセット構造128、保護カバー132、並びにグリップ部分134を含む。一実施形態では、ランセット装置120は、接触作動式のランセット装置である。ランセット装置120は、その使用に先立ってランセット装置120を覆って保護するための保護カバー132を含んでもよい。ランセットハウジング122は、ランセットハウジング122と使用者の指先との間のグリップ性を一般的に高めるためのグリップ部分134を含んでもよい。
【0046】
ランセット構造128は、ランセットハウジング122内に少なくとも部分的に配設されており、穿刺要素130がランセットハウジング122内に保持される作動前位置と、穿刺要素130の少なくとも一部がランセットハウジング122の前方端部124を通じて延びる穿刺位置との間で移動するように適合されている。
【0047】
図6A〜6Dを参照すると、一実施形態では、血液移送装置10Dは、材料16Dを受容するための血液移送装置10D内のチャンバ140、第1の位置と第2の位置との間で移行可能な押しボタン142、及び開放位置と閉鎖位置との間で移行可能な滅菌キャップ144を含む。一実施形態では、キャップ144は、ヒンジ部146を介して血液移送装置10Dに接続されている。一実施形態では、血液移送装置10Dは、図6A〜6Dに示されるように、ランセットハウジング122の後方端部126に接続されている。
【0048】
ランセット及び血液移送装置110の使用に際しては、ランセット装置120を使用して患者の皮膚表面Sに穿刺することができる。次に、血液移送装置10Dのキャップ144が開放位置に移動して、チャンバ140内の材料16Dを露出させる。
【0049】
次いで、材料16Dが穿刺された患者の皮膚表面Sに隣接して設置され、これによって、血液試料12が材料16Dに移送され得るように、ランセット及び血液移送装置110が位置付けられる。例えば、材料16Dは、血液試料12を吸収するように穿刺された皮膚表面Sと接触させることができる。血液12が材料16D内に充填されると、血液12は、材料16Dの内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末に曝露される。材料16Dに血液12が充填されると、キャップ144が閉鎖位置に移動して、血液移送装置10Dを閉鎖し、材料16Dが変形され(例えば、圧縮され)て、安定化された血液試料12を絞り出す。例えば、押しボタン142が第1の位置から第2の位置へと移動して、材料16Dを圧縮し、分注先端部26Dを通じて安定化された血液試料12を絞り出すことができる。一実施形態では、安定化された血液試料12は、血液試験装置60Dのような診断用機器に移送されてもよい。
【0050】
図7A〜7Dを参照すると、一実施形態では、血液移送装置10Eは、第1の端部150、第2の端部152、血液移送装置10Eのハウジング14E内の内部機構、及び開放位置と閉鎖位置との間で移行可能なキャップ154を含む。
【0051】
血液移送装置10Eの使用に際しては、ランセット装置を使用して患者の皮膚表面Sに穿刺することができる。次に、キャップ154が取り外されて、血液移送装置10Eを開放し、血液移送装置10E内の材料16Eを露出させる。次いで、材料16Eが穿刺された患者の皮膚表面Sに隣接して設置され、これによって、血液試料12が材料16Eに移送され得るように、血液移送装置10Eが位置付けられる。例えば、材料16Eは、血液試料12を吸収するように穿刺された皮膚表面Sと接触させることができる。血液12が材料16E内に充填されると、血液12は、材料16Eの内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末に曝露される。材料16Eに血液12が充填されると、キャップ154が血液移送装置10Eに接続されて血液移送装置10Eを閉鎖し、材料16Eが変形され(例えば、圧縮され)て、安定化された血液試料12を絞り出す。例えば、血液移送装置10Eの表面を押し込むことによって血液移送装置10Eのハウジング14E内の内部機構を作動させて材料16Eを自動的に圧縮し、分注先端部26Eを通じて安定化された血液試料12を絞り出すことができる。一実施形態では、安定化された血液試料12は、血液試験装置60Eのような診断用機器に移送されてもよい。
【0052】
図8は、本開示の別の例示的な実施形態を示す。図8を参照すると、本開示のランセット及び血液移送装置200は、血液移送装置202、接触作動式ランセット装置204、及びアルコールスワブ206を有するキット201を含んでいる。一実施形態では、キット201の各構成要素はともにパッケージングされる。
【0053】
図1A〜1Eを参照すると、本開示の実施形態の動作原理が示されている。図1B及び1Cを参照すると、変形可能な材料16がその内部に血液12を受容している。血液12が材料16内に充填されると、血液12は、材料16の内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末に曝露される。材料16に血液12が充填されると、材料16が直接変形され(例えば、圧縮され)て、安定化された血液試料12を絞り出す。
【0054】
図1D及び1Eを参照すると、変形可能な材料16がその内部に血液12を受容している。血液12が材料16内に充填されると、血液12は、材料16の内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末に曝露される。材料16に血液12が充填されると、材料16が粘弾性部材18を介して間接的に変形され(例えば、圧縮され)て、安定化された血液試料12を絞り出す。
【0055】
本開示の血液移送装置は、指先穿刺により得られる毛細血管の血液試料などの小量の試料において連続気泡発泡体のマイクロ細孔全体にわたって血液と抗凝固剤との均一な混合を与えるものである。本開示の血液移送装置は、血餅又は他の夾雑物を連続気泡発泡体の細孔内部に捕捉し、それらが診断用の試料ポート内に分注されることを防止することができる。本開示の血液移送装置は、血液試料を受容して分注するための単純かつ低コストの設計を実現するものである。変形可能な連続気泡発泡体に基づいた血液試料の管理は、毛細血管、静脈、及び動脈からの試料の管理に使用し、これらの試料に合わせて調整することができる。
【0056】
図9〜20は、本開示の他の例示的な実施形態を示す。本開示はまた、血液試料を採取してその血液試料を安定化させ(例えば血液試料を抗凝固剤と混合する)、血液試料を計量し、安定化された血液試料を診断用装置に分注するための連続気泡発泡体材料及び毛細管を含む血液移送装置も提供するものである。本開示はまた、血液を混合して安定化させるための注射器アセンブリ内に設置され得る連続気泡発泡体材料も提供するものである。例えば、連続気泡発泡体材料は、動脈血ガス注射器とともに使用することができる。このようにして、安定化された血液が血液ガス分析を行うために分注される。
【0057】
図9〜13は、本開示の血液移送装置の例示的な一実施形態を示す。図9〜13を参照すると、血液試料302を受容するように適合された血液移送装置300は、ハウジング304、その内部に乾燥抗凝固剤粉末310を有する連続気泡発泡体材料306、及び毛細管308を含む。
【0058】
図9〜13を参照すると、ハウジング304は、第1の端部320、第2の端部322、第1の部分324、第2の部分326、第3の部分328、第2の部分326と第3の部分328との間に配設された指グリップ330、第1の位置と第2の位置との間で移行可能な作動部材332、及び連続気泡発泡体材料306がハウジング304内に密封される閉鎖位置と、連続気泡発泡体材料306の一部が露出する開放位置との間で移動可能な蓋334を含む。蓋334が開放位置にあり、かつ連続気泡発泡体材料306が血液試料302としている状態で、血液試料302は連続気泡発泡体材料306内に吸収され、その内部の乾燥抗凝固剤粉末310と混合される。一実施形態では、作動部材332は、ゴム材料で形成された押しボタンである。
【0059】
一実施形態では、連続気泡発泡体材料306は細孔312を含み、血液移送装置300のハウジング304内に配設されている。図9〜13を参照すると、一実施形態では、連続気泡発泡体材料306は、ハウジング304の第1の部分324内に配設されている。一実施形態では、連続気泡発泡体材料306は、連続気泡発泡体材料306の細孔312内に乾燥抗凝固剤粉末310を含む。
【0060】
連続気泡発泡体材料306は血液試料302を受容するように適合されており、これによって、血液試料302が連続気泡発泡体材料306内に存在する乾燥抗凝固剤粉末310と混合される。このようにして、安定化された血液試料が連続気泡発泡体材料306から毛細管308内へと移動することができ、下記により詳しく述べるような最終的な計量及び分注が行われる。
【0061】
一実施形態では、連続気泡発泡体306は抗凝固剤で処理されることによって、連続気泡発泡体306の細孔312全体にわたって微細に分配された乾燥抗凝固剤粉末310が形成される。連続気泡発泡体306には血液試料302を充填することができる。血液302は、毛細管原理に基づいて連続気泡発泡体306内に吸収される。血液302が連続気泡発泡体306内に充填されると、血液302は、連続気泡発泡体306の内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末310に曝露される。この安定化された血液試料302は、血液試験装置、ポイントオブケア試験装置、又は同様の分析装置のような診断用機器に移送されてもよい。
【0062】
上記に述べたように、細孔312を有する連続気泡発泡体材料306に抗凝固剤を充填する方法は、連続気泡発泡体材料306を抗凝固剤と水との溶液中に浸漬することと、前記溶液の水を蒸発させることと、連続気泡発泡体材料306の細孔312内に乾燥抗凝固剤粉末310を形成することと、を含んでもよい。
【0063】
本開示の方法は、連続気泡発泡体材料306を抗凝固剤と水との溶液に浸漬した後、連続気泡発泡体材料306を乾燥して連続気泡発泡体材料306の細孔312全体にわたって微細に分配された乾燥抗凝固剤粉末310を形成することによって連続気泡発泡体材料306中に抗凝固剤を正確に制御して充填することを可能とするものである。
【0064】
ヘパリン又はEDTA(エチレンジアミン四酢酸)などの抗凝固剤及び他の血液安定化剤を、所望の濃度の溶液中に連続気泡発泡体材料306を浸漬することによって連続気泡発泡体材料306中に溶液として導入することができる。液相を蒸発させた後、例えば、水とヘパリンとの溶液から水を蒸発させた後、乾燥抗凝固剤粉末が形成され、連続気泡発泡体材料306の内部構造全体にわたって微細に分配され得る。例えば、乾燥抗凝固剤粉末は、連続気泡発泡体材料306の細孔312全体にわたって微細に分配され得る。同様にして、疎水性、親水性、又は反応性の内部細孔表面を与えるように連続気泡発泡体材料306を処理することができる。
【0065】
図9〜13を参照すると、毛細管308は連続気泡発泡体材料306と流体連通しており、毛細管308の一部は血液移送装置300のハウジング304内に配設されている。毛細管308は、第1の端部340、分注先端部342、及び内壁表面344を含む。毛細管308の第1の端部340は、連続気泡発泡体材料306と流体連通している。一実施形態では、毛細管308の内壁表面344は、抗凝固剤コーティングを含む。
【0066】
毛細管308は、血液試料302が連続気泡発泡体材料306内の乾燥抗凝固剤粉末310と混合された後に血液試料302を受容するように適合されている。図13を参照すると、血液試料302が毛細管308内に受容された状態で、作動部材332の第1の位置から第2の位置への移動が、毛細管308の分注先端部342を通じて血液試料302を分注する。
【0067】
一実施形態では、血液移送装置300の毛細管308又はハウジング304は、毛細管308内に収容された安定化された血液試料302の液位又は量に関する表示を与えるために、血液移送装置300の側壁350上に位置する目盛りなどの充填線を含んでもよい。このようなマーキングは、血液移送装置300の側壁350の外表面に設けるか、側壁350の内表面に設けるか、又は側壁350と一体に形成するか若しくは他の形で側壁350内に形成することができる。
【0068】
図10〜13を参照すると、血液試料302を採取し、血液試料302を安定化させ(例えば血液試料302を抗凝固剤と混合する)、血液試料302を計量し、安定化された血液試料302を診断用装置に分注するための血液移送装置300の使用に際しては、ランセット装置を使用して患者の皮膚表面Sに穿刺することができる。
【0069】
次に図10を参照すると、蓋334が開放位置に移動して、連続気泡発泡体材料306の一部が露出される。次いで、連続気泡発泡体材料306が穿刺された患者の皮膚表面Sに隣接して設置され、これによって、血液試料302が連続気泡発泡体材料306に移送され得るように、血液移送装置300が位置付けられる。例えば、血液302の滴が連続気泡発泡体材料306と接触すると、血液302は連続気泡発泡体の多数の細孔312の強い毛細管作用によって直ちに吸収される。
【0070】
血液302が連続気泡発泡体材料306内に充填されると、血液302は、連続気泡発泡体材料306の内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末310に曝露される。図11及び12を参照すると、連続気泡発泡体材料306に血液302が充填されると、蓋334が、連続気泡発泡体材料306がハウジング304内に密封される閉鎖位置に移動し、安定化された血液試料302が連続気泡発泡体材料306から毛細管308内へと引き込まれる。
【0071】
図11を参照すると、血液移送装置300の第2の端部322が第1の端部320の下方に位置付けられた状態では、連続気泡発泡体材料306から毛細管308への毛細管血移送が改善される。一実施形態では、毛細管308の内壁表面344が抗凝固剤コーティングを有することにより、安定化された血液試料302の第2の混合段階が与えられる。
【0072】
安定化された血液試料302は、上記に述べたような、血液移送装置300の側壁350上に位置する目盛りなどの適当なマーキング又は充填線まで毛細管308を満たす。一実施形態では、マーキングまでの毛細管308の長さは、採取される血液試料の体積を規定する(例えば血液の計量)。
【0073】
図13を参照すると、作動部材332の第1の位置から第2の位置への移動が、毛細管308の分注先端部342を通じて安定化された血液試料302を分注する。例えば、安定化された血液試料302を、空気圧を利用して毛細管308から分注することができる。一実施形態では、作動部材332は、安定化された血液試料302が分注されるように押し込むことができる押しボタンである。例えば、毛細管308内に収容された安定化された血液試料302を排出することが望ましい場合、血液移送装置300を、ハウジング304の作動部材332上に置かれた使用者の親指と、指グリップ330の周囲に延びる使用者の他の指とで把持することができる。次に、使用者が、ハウジング304の作動部材332上に置かれた親指と指グリップ330を把持する4本の指との間で絞る動作を達成し、それにより作動部材332が第1の位置から第2の位置へと押し込まれるか又は移動する。一実施形態では、安定化された血液試料302は、血液試験装置のような診断用機器に移送されてもよい。
【0074】
血液移送装置300は、血液試料302を採取し、血液試料302を安定化させ(例えば血液試料302を連続気泡発泡体材料306内の乾燥抗凝固剤粉末310と混合する)、血液試料302を計量し、安定化された血液試料を診断用装置に分注するための連続気泡発泡体材料306及び毛細管308を含む。
【0075】
毛細血管の血液試料は、乾燥抗凝固剤でコーティングされた内壁を有する毛細管によってされてもよい。このような毛細管では、毛細管流の層流としての性質及び乾燥抗凝固剤の遅い拡散速度のため、血液と抗凝固剤との混合が不十分となる場合がある。本開示の血液移送装置300は、血液試料が最終的に分注されるために毛細管308に流入する前に連続気泡発泡体材料306内で血液試料と乾燥抗凝固剤粉末310とを混合することにより、毛細血管の血液試料のより均一な混合を可能とするものである。
【0076】
図14〜18は、本開示の血液移送装置の例示的な一実施形態を示す。図14〜18を参照すると、血液試料402を受容するように適合された血液移送装置400は、ハウジング404、その内部に乾燥抗凝固剤粉末410を有する連続気泡発泡体材料406、第1の毛細管408、及び第2の毛細管414を含む。
【0077】
図14〜18を参照すると、ハウジング404は、第1の端部420、第2の端部422、第1の部分424、第2の部分426、第3の部分428、第2の部分426と第3の部分428との間に配設された指グリップ430、第1の位置と第2の位置との間で移行可能な作動部材432、並びに第1の毛細管408の入口460及び連続気泡発泡体材料406がハウジング404内に密封される閉鎖位置と、第1の毛細管408の入口460が露出する開放位置との間で移動可能な蓋434を含む。蓋434が開放位置にあり、かつ第1の毛細管408の入口460が血液試料402と接触している状態で、血液試料402は第1の毛細管408を通じて連続気泡発泡体材料406に移送され、その内部の乾燥抗凝固剤粉末410と混合される。一実施形態では、作動部材432はプランジャである。
【0078】
一実施形態では、連続気泡発泡体材料406は細孔412を含み、血液移送装置400のハウジング404内に配設されている。図14〜18を参照すると、一実施形態では、連続気泡発泡体材料406は、ハウジング404の第1の部分424内に配設されている。一実施形態では、連続気泡発泡体材料406は、連続気泡発泡体材料406の細孔412内に乾燥抗凝固剤粉末410を含む。
【0079】
上記に述べたように、連続気泡発泡体材料406は血液試料402を受容するように適合されており、これによって、血液試料402が連続気泡発泡体材料406内に存在する乾燥抗凝固剤粉末410と混合される。このようにして、安定化された血液試料が連続気泡発泡体材料406から第2の毛細管414内へと移動することができ、下記により詳しく述べるような最終的な計量及び分注が行われる。
【0080】
一実施形態では、連続気泡発泡体406は抗凝固剤で処理されることによって、連続気泡発泡体406の細孔412全体にわたって微細に分配された乾燥抗凝固剤粉末410が形成される。連続気泡発泡体406には血液試料402を充填することができる。血液試料402は第1の毛細管408を通じて連続気泡発泡体材料406に移送される。血液402が連続気泡発泡体406内に充填されると、血液402は、連続気泡発泡体406の内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末410に曝露される。この安定化された血液試料402は、血液試験装置、ポイントオブケア試験装置、又は同様の分析装置のような診断用機器に移送されてもよい。
【0081】
一実施形態では、連続気泡発泡体材料406は、血液に対して不活性の軟質の変形可能な連続気泡発泡体である。一実施形態では、連続気泡発泡体材料406は、ビーエーエスエフ社(BASF)より市販されるBasotect(登録商標)発泡体である。このような発泡体は、ホルムアルデヒド−メラミン−亜硫酸水素ナトリウムのコポリマーからなる連続気泡発泡体材料であるメラミン発泡体である。メラミン発泡体は、熱及び多くの有機溶媒に耐性を示す軟質で親水性の連続気泡発泡体である。一実施形態では、連続気泡発泡体材料406はスポンジ材料であってもよい。
【0082】
上記に述べたように、細孔412を有する連続気泡発泡体材料406に抗凝固剤を充填する方法は、連続気泡発泡体材料406を抗凝固剤と水との溶液中に浸漬することと、前記溶液の水を蒸発させることと、連続気泡発泡体材料406の細孔412内に乾燥抗凝固剤粉末410を形成することと、を含んでもよい。
【0083】
本開示の方法は、連続気泡発泡体材料406を抗凝固剤と水との溶液に浸漬した後、連続気泡発泡体材料406を乾燥して連続気泡発泡体材料406の細孔412全体にわたって微細に分配された乾燥抗凝固剤粉末410を形成することによって連続気泡発泡体材料406中に抗凝固剤を正確に制御して充填することを可能とするものである。
【0084】
ヘパリン又はEDTA(エチレンジアミン四酢酸)などの抗凝固剤及び他の血液安定化剤を、所望の濃度の溶液中に連続気泡発泡体材料406を浸漬することによって連続気泡発泡体材料406中に溶液として導入することができる。液相を蒸発させた後、例えば、水とヘパリンとの溶液から水を蒸発させた後、乾燥抗凝固剤粉末が形成され、連続気泡発泡体材料406の内部構造全体にわたって微細に分配され得る。例えば、乾燥抗凝固剤粉末は、連続気泡発泡体材料406の細孔412全体にわたって微細に分配され得る。同様にして、疎水性、親水性、又は反応性の内部細孔表面を与えるように連続気泡発泡体材料406を処理することができる。
【0085】
図14〜18を参照すると、血液移送装置400は、第1の毛細管408及び第2の毛細管414を含む。第1の毛細管408は、連続気泡発泡体材料406と流体連通しており、ハウジング404の第1の端部420と連続気泡発泡体材料406との間に配設されている。第2の毛細管414は、連続気泡発泡体材料406と流体連通しており、ハウジング404の第2の端部422と連続気泡発泡体材料406との間に配設されている。したがって、連続気泡発泡体材料406は、第1の毛細管408と第2の毛細管414との間に配設されている。図14を参照すると、このようにして、ハウジング404、第1の毛細管408、及び第2の毛細管414は、血液移送装置400内の連続気泡発泡体材料406を保護している。
【0086】
第1の毛細管408は、入口460、第2の端部462、及び内壁表面464を含む。第1の毛細管408は連続気泡発泡体材料406と流体連通しており、第1の毛細管408の一部は血液移送装置400のハウジング404内に配設されている。第1の毛細管408の第2の端部462は、連続気泡発泡体材料406と流体連通している。一実施形態では、第1の毛細管408の内壁表面464は、抗凝固剤コーティングを含む。
【0087】
図15を参照すると、ハウジング404の蓋434が開放位置にあり、かつ第1の毛細管408の入口460が血液試料402と接触している状態で、血液試料402は第1の毛細管408を通じて連続気泡発泡体材料406に移送され、その内部の乾燥抗凝固剤粉末410と混合される。
【0088】
第2の毛細管414は、第1の端部470、分注先端部472、及び内壁表面474を含む。第2の毛細管414は連続気泡発泡体材料406と流体連通しており、第2の毛細管414の一部は血液移送装置400のハウジング404内に配設されている。第2の毛細管414の第1の端部470は、連続気泡発泡体材料406と流体連通している。一実施形態では、第2の毛細管414の内壁表面474は、抗凝固剤コーティングを含む。
【0089】
第2の毛細管414は、血液試料402が連続気泡発泡体材料406内の乾燥抗凝固剤粉末410と混合された後に血液試料402を受容するように適合されている。図18を参照すると、血液試料402が第2の毛細管414内に受容された状態で、作動部材432の第1の位置から第2の位置への移動が、第2の毛細管414の分注先端部472を通じて血液試料402を分注する。
【0090】
一実施形態では、血液移送装置400の第2の毛細管414又はハウジング404は、第2の毛細管414内に収容された安定化された血液試料402の液位又は量に関する表示を与えるために、血液移送装置400の側壁450上に位置する目盛りなどの充填線を含んでもよい。このようなマーキングは、血液移送装置400の側壁450の外表面に設けるか、側壁450の内表面に設けるか、又は側壁450と一体に形成するか若しくは他の形で側壁350内に形成することができる。
【0091】
図14〜18を参照すると、一実施形態では、第1の毛細管408と第2の毛細管414とは異なる長さを有する。例えば、一実施形態では、第1の毛細管408は第2の毛細管414よりも短くてもよい。一実施形態では、第1の毛細管408と第2の毛細管414とは異なる内径を有する。
【0092】
図15〜18を参照すると、血液試料402を採取し、血液試料402を安定化させ(例えば血液試料402を抗凝固剤と混合する)、血液試料402を計量し、安定化された血液試料402を診断用装置に分注するための血液移送装置400の使用に際しては、ランセット装置を使用して患者の皮膚表面Sに穿刺することができる。
【0093】
次に図15を参照すると、蓋434が開放位置に移動して、第1の毛細管408の入口460が露出される。次いで、第1の毛細管408の入口460が、穿刺された患者の皮膚表面Sに隣接して設置され、これによって、血液試料402が第1の毛細管408を通じて連続気泡発泡体材料406に移送され得るように、血液移送装置400が位置付けられる。
【0094】
血液402が第1の毛細管408を通じて連続気泡発泡体材料406内に充填されると、血液402は、連続気泡発泡体材料406の内部マイクロ細孔構造全体にわたって抗凝固剤粉末410に曝露される。図16及び17を参照すると、連続気泡発泡体材料406に血液402が充填されると、蓋434が、第1の毛細管408の入口460及び連続気泡発泡体材料406がハウジング404内に密封される閉鎖位置に移動し、安定化された血液試料402が連続気泡発泡体材料406から第2の毛細管414内へと引き込まれる。
【0095】
図16を参照すると、血液移送装置400の第2の端部422が第1の端部420の下方に位置付けられた状態で、連続気泡発泡体材料406から第2の毛細管414への毛細管血移送が改善される。一実施形態では、第2の毛細管414の内壁表面474が抗凝固剤コーティングを有することにより、安定化された血液試料402の第2の混合段階が与えられる。
【0096】
安定化された血液試料402は、上記に述べたような、血液移送装置400の側壁450上に位置する目盛りなどの適当なマーキング又は充填線まで第2の毛細管414を満たす。一実施形態では、マーキングまでの第2の毛細管414の長さは、採取される血液試料の体積を規定する(例えば血液の計量)。
【0097】
図18を参照すると、作動部材432の第1の位置から第2の位置への移動が、第2の毛細管414の分注先端部472を通じて安定化された血液試料402を分注する。例えば、安定化された血液試料402を、空気圧を利用して第2の毛細管414から分注することができる。一実施形態では、作動部材432は、安定化された血液試料402が分注されるように押し込むことができるプランジャである。例えば、第2の毛細管414内に収容された安定化された血液試料402を排出することが望ましい場合、血液移送装置400を、ハウジング404の作動部材432上に置かれた使用者の親指と、指グリップ430の周囲に延びる使用者の他の指とで把持することができる。次に、使用者が、ハウジング404の作動部材432上に置かれた親指と指グリップ430を把持する4本の指との間で絞る動作を達成し、それにより作動部材432が第1の位置から第2の位置へと押し込まれるか又は移動する。一実施形態では、安定化された血液試料402は、血液試験装置のような診断用機器に移送されてもよい。
【0098】
血液移送装置400は、血液試料402を採取し、血液試料402を安定化させ(例えば血液試料402を連続気泡発泡体材料406内の乾燥抗凝固剤粉末410と混合する)、血液試料402を計量し、安定化された血液試料を診断用装置に分注するための連続気泡発泡体材料406並びに第1の毛細管408及び第2の毛細管414を含む。
【0099】
毛細血管の血液試料は、乾燥抗凝固剤でコーティングされた内壁を有する毛細管によって移送することができる。このような毛細管では、毛細管流の層流としての性質及び乾燥抗凝固剤の遅い拡散速度のため、血液と抗凝固剤との混合が不十分となる場合がある。本開示の血液移送装置400は、血液試料が最終的に分注されるために第2の毛細管414に流入する前に連続気泡発泡体材料406内で血液試料と乾燥抗凝固剤粉末410とを混合することにより、毛細血管の血液試料のより均一な混合を可能とするものである。
【0100】
図19及び20は、本開示の注射器アセンブリの例示的な一実施形態を示す。図19及び20を参照すると、注射器アセンブリ500は、その内部に乾燥抗凝固剤粉末504を有する連続気泡発泡体材料502を含む。連続気泡発泡体材料502は、注射器アセンブリ500内に配設されている。
【0101】
一実施形態では、注射器アセンブリ500は、第1の端部508、第2の端部510、及びそれらの間に延在して内部514を画定する側壁512を有する注射筒506を含む。図19及び20を参照すると、連続気泡発泡体材料502は、注射筒506の内部514内に配設されている。
【0102】
一実施形態では、注射器アセンブリ500は、プランジャロッド516及びストッパ518を含む。プランジャロッド516は、第1の端部及び第2の端部を含む。ストッパ518は、プランジャロッド516の第2の端部522と係合されており、注射筒506の内部514内に摺動可能に配設されている。ストッパ518は、注射筒506の側壁512とのシール係合を提供するように注射筒506の内部514にして寸法決めされている。
【0103】
連続気泡発泡体材料502は、血液を混合して安定化させるために注射筒506内に設置されている。血液は、注射筒506内に嵌め込まれた連続気泡発泡体材料502を有する注射筒506内に採取される。次いで、安定化された血液が分析のために分注されてもよい。一実施形態では、注射器アセンブリは動脈血ガス注射器であり、安定化された血液を分注して血液ガス分析を行うことができる。
【0104】
以上、本開示を、例示的な設計を有するものとして説明したが、本開示は、本開示の趣旨及び範囲内で更に改変することが可能である。したがって、本出願は、本開示の一般的原理を利用した本開示のあらゆる変形例、使用例、又は適応例を包含することを目的としたものである。更に、本出願は、そのような本開示からの逸脱を、本開示が関連する、付属の特許請求の範囲の境界内に含まれる当該技術分野では周知又は慣例である実施の範囲内のものとして包含することを目的としたものである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20