(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1a】マウス及びヒト化可変領域のアライメント。
図1a:抗IL−23p19 6B8操作Vk領域。
図1b:抗IL−23p19 6B8操作V
H領域。アミノ酸のナンバリングは、標準的なKabatナンバリングスキームによります。通常フォント=ヒト;イタリック/下線フォント=マウス;影フォント=合成;ボールド/イタリック/下線=CDR。
【
図1b】マウス及びヒト化可変領域のアライメント。
図1a:抗IL−23p19 6B8操作Vk領域。
図1b:抗IL−23p19 6B8操作V
H領域。アミノ酸のナンバリングは、標準的なKabatナンバリングスキームによります。通常フォント=ヒト;イタリック/下線フォント=マウス;影フォント=合成;ボールド/イタリック/下線=CDR。
【
図2】IL−23R/FcへのIL−23結合のヒトの競合結合アッセイ。
【0075】
詳細な説明
IL−23のp19サブユニット(また、「IL−23p19」及び「P19サブユニット」として本明細書において言及される)は、21aaリーダー配列を含む189アミノ酸ポリペプチドである(Oppmann et al.Immunity 13:715 (2000)、配列番号181)。分子の生物学的活性は、それがIL−12p40サブユニットとパートナーになり、IL−23を形成する場合にのみ検出される。IL−23は、活性化樹状細胞(DC)及び食細胞により主に発現される。IL−23についての受容体は、IL−23Rと呼ばれる固有のサブユニットとパートナーとなる、IL−12受容体のIL−12Rβ1サブユニットから構成されていることが見出された(Parham et al. J. Immunol. 168: 5699 (2002))。受容体の発現は、主に記憶T細胞及びNK細胞上で検出される。このように、このサイトカイン:受容体対の発現は、免疫細胞の特定の集団に制限されるように見える。最初にIL−12及びIL−23が多くの機能を共有しうると考えられたが、データによって画像が異なることが示されている。IL−12がTh1細胞の産生において主な役割を有するのに対し、IL−23が、Th17と名付けられた、最近認識されたTh細胞サブセットの産生及び維持に決定的に含まれることが見出された(Kikly et al. Curr. Opin. Immunol. 18: 670 (2006), Kastelein et al. Ann. Rev. Immunol. 25: 221 (2007))。これらの細胞は、IL−17A、IL−17F、IL−22ならびに他の前炎症性サイトカイン(例えばIL−6及びTNF−αなど)を産生する。下に記載する通り、これらのTh17細胞の役割に関する動物モデル試験は、慢性炎症及び自己免疫における原動力としてのそれらの重要性を示す。
【0076】
本発明は、IL−23のp19サブユニット、特にヒトIL−23p19に結合する抗体を提供する。本発明は、また、IL−23のP19サブユニットを認識するヒト化抗体に関する。特定の実施態様において、これらのヒト化抗体の配列は、特定のリードマウス抗体の配列に基づいて同定されている。
【0077】
本発明のリードマウス抗体は、マウスハイブリドーマに由来した。マウスの免疫化は、異なる技術を使用して実施される。例えば、ヒトIL−23p19タンパク質又はそのフラグメントについて特異的である抗体は、免疫原性抗原、例えば単離IL−23p19タンパク質、単離IL−23タンパク質、単離ハイブリッドIL−23タンパク質、及び/又は上のいずれかのその一部(合成ペプチドを含む)に対して産生することができる。例えば、マウスIL−23p40サブユニット及びヒトのIL−23p19サブユニットを含むハイブリッドIL−23タンパク質を使用し、マウスを免疫する。免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体産生は、当技術分野において公知の任意の適した技術を使用して実施することができる。
【0078】
リードマウス抗体は、ヒトIL−23に対するそれらの高い親和性に基づいて選択した。したがって、一局面において、本発明は、高い親和性を伴ってヒトIL−23に結合する抗体を提供する。選択されたマウス抗体をヒト化し、ヒト化抗体をもたらした。本発明のヒト化抗体は、高い親和性を伴ってヒトIL−23に結合する。したがって、別の局面において、本発明は、高い親和性を伴ってヒトIL−23に結合するヒト化抗体を提供する。
【0079】
したがって、一実施態様において、本発明は、40pM未満のK
Dを有する抗IL−23p19抗体を提供する。さらなる実施態様において、本発明は、20pM未満のK
Dを有する抗IL−23p19抗体を提供する。さらなる実施態様において、本発明は、10pM未満のK
Dを有する抗IL−23p19抗体を提供する。さらなる実施態様において、本発明は、1pM未満のK
Dを有する抗IL−23p19抗体を提供する。
【0080】
別の局面において、本発明の抗体は、ヒト血清の非存在下で、又は、50%ヒト血清の存在下で高い親和性を伴ってIL−23p19に結合する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗体は、また、高い親和性を伴ってカニクイザルIL−23に結合する。
【0081】
別の局面において、本発明の抗体は、IL−23に結合するが、しかし、IL−12には結合しない。さらなる局面において、本発明の抗体は、IL−23に密接に関連するファミリーのメンバーであるIL−12の生物学的活性に干渉しない。
【0082】
別の局面において、本発明の抗体は、マウス脾細胞からのIL−17のIL−23刺激性産生を阻害する。
【0083】
さらなる局面において、本発明のヒト化抗体は、DB細胞におけるIL−23誘導性STAT3リン酸化を阻害する。
【0084】
さらなる局面において、本発明のヒト化抗体は、IL−23のp19サブユニットに結合することによりIL−23の作用に拮抗し、その生産がIL−23により刺激されるサイトカイン(例えばIL−17及びIL−22など)の阻害により測定され、これらのサイトカインのレベルにおける低下により検出される。
【0085】
さらなる局面において、本発明のヒト化抗体は、好ましい薬物動態プロファイル(PK)プロファイルを有し、カニクイザルにおけるインビボでの半減期により例示される。
【0086】
さらなる局面において、本発明のヒト化モノクローナル抗IL−23p19抗体は、好ましい生物物理学的特性、例えば、品質、安定性、又は溶解性を有する。
【0087】
一局面において、抗IL−23p19抗体はヒト化抗体である。一局面において、抗IL−23p19抗体はモノクローナル抗体である。一局面において、抗IL−23p19抗体は全長の抗体である。一局面において、抗IL−23p19抗体はヒト化モノクローナル抗体、例えば、全長のヒト化モノクローナル抗体である。
【0088】
本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、特定の「IL−23p19抗原エピトープ」又は「IL−23p19エピトープ」を認識する。本明細書において使用する通り、これらの用語は、抗IL−23p19抗体との免疫反応が可能である分子(例、ペプチド)又は分子のフラグメントを指し、例えば、配列番号84/121、86/123、88/125、90/127、91/128、93/130、95/132、97/134、99/136、101/138、103/140、105/142、107/144、109/146、111/148、113/150、115/152、117/154、119/156、160/166、160/168、158/166、又は158/168の軽鎖/重鎖配列の組み合わせを有する抗体のいずれかにより認識されるIL−23p19抗原決定基を含む。IL−23p19抗原エピトープは、タンパク質、タンパク質フラグメント、ペプチドなどを含むことができる。エピトープは、最も一般には、タンパク質、短いオリゴペプチド、オリゴペプチド模倣体(即ち、IL−23p19抗原の抗体結合特性を模倣する有機化合物)、又はそれらの組合せである。抗体についてのペプチド又はポリペプチドエピトープの最小サイズは、約4〜5のアミノ酸であると考えられる。ペプチド又はポリペプチドエピトープは、例えば、少なくとも7のアミノ酸、又は、例えば、少なくとも9のアミノ酸、又は、例えば、約15〜約20の間のアミノ酸を含む。抗体は、抗原性ペプチド又はポリペプチドをその三次形態において認識することができるため、エピトープを含むアミノ酸は連続している必要はなく、一部の場合において、同一のペプチド鎖上にないことさえある。エピトープは、当技術分野において公知の種々の技術(例えば、X線結晶学、水素/重水素交換質量分析(HXMS)、部位特異的変異誘発、アラニンスキャニング変異誘発、及びペプチドスクリーニング方法など)により決定してもよい。
【0089】
抗体又は免疫グロブリンの一般化された構造は、当業者に周知である。これらの分子は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される、典型的には約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、典型的には全長の抗体として言及される。各々の軽鎖は1つのジスルフィド結合により重鎖に共有結合的に連結され、ヘテロ二量体を形成し、ヘテロ四量体分子はヘテロ二量体の2つの同一の重鎖間の共有結合的なジスルフィド連結を通じて形成される。軽鎖及び重鎖は1つのジスルフィド結合により一緒に連結されるが、2つの重鎖間のジスルフィド結合の数は、免疫グロブリンアイソタイプにより変動する。各々の重鎖及び軽鎖も、規則的なスペースのある鎖内ジスルフィド架橋を有する。各々の重鎖はアミノ末端に可変ドメイン(V
H)で有し、3又は4の定常ドメイン(C
H1、C
H2、C
H3、及びC
H4)、ならびにC
H1とC
H2の間のヒンジ領域が続く。各々の軽鎖は、2つのドメイン、アミノ末端の可変ドメイン(V
L)及びカルボキシ末端の定常ドメイン(C
L)を有する。V
LドメインはV
Hドメインと非共有結合的に会合するのに対し、C
Lドメインは、一般に、ジスルフィド結合を介してC
H1ドメインに共有結合的に連結される。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメインの間の界面を形成すると考えられる(Chothia et al., 1985, J. Mol. Biol. 186: 651-663)。可変ドメインは、また、可変領域として本明細書において言及される。
【0090】
可変ドメイン内の特定のドメインは、異なる抗体の間で広範囲に異なり、即ち、「超可変」である。これらの超可変ドメインは、その特定の抗原決定基についての各々の特定の抗体の結合及び特異性に直接的に含まれる残基を含む。超可変性は、軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方において、相補性決定領域(CDR)又は超可変ループ(HVL)として公知の3セグメントに集中している。CDRは、Kabat et al., 1991, In: Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5
th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.における配列比較により定義されるのに対し、HVL(また、CDRとして本明細書において言及される)は、Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196: 901-917により記載される通りに、可変ドメインの三次元構造に従って構造的に定義される。これらの2つの方法は、CDRのわずかに異なる同定をもたらす。Kabatにより定義される通り、CDR−L1は軽鎖可変ドメイン中のおよそ残基24〜34、CDR−L2はおよそ残基50〜56、及びCDR−L3はおよそ残基89〜97に位置付けられる;CDR−H1は重鎖可変ドメイン中のおよそ残基31〜35、CDR−H2はおよそ残基50〜65、及びCDR−H3はおよそ残基95〜102に位置付けられる。特定のCDRを包含する正確な残基数字は、CDRの配列及び大きさに依存して変動する。当業者は、いずれの残基が、抗体の可変領域のアミノ酸配列により与えられる特定のCDRを含むかをルーチン的に決定することができる。重鎖及び軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3は、従って、所与の抗体について特異的な独特の機能的な特性を定義する。
【0091】
重鎖及び軽鎖の各々の内の3つのCDRは、フレームワーク領域(FR)により分離され、それらはあまり変動しない傾向にある配列を含む。重鎖及び軽鎖可変ドメインのアミノ末端からカルボキシ末端に、FR及びCDRが以下の順番で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。FRの大部分でのβシートの配置によって、鎖の各々の内のCDRを、互いの近接近中に、ならびに、他の鎖からのCDRにもたらす。結果として得られる立体構造は抗原結合部位に寄与するが(Kabat et al., 1991, NIH Publ. No.91-3242, Vol.I, pages 647-669を参照のこと)、全てのCDR残基が必ずしも抗原結合に直接的に関与するわけではない。
【0092】
FR残基及びIg定常ドメインは抗原結合に直接的に関与しないが、しかし、抗原結合に寄与する、及び/又は、抗体エフェクター機能を媒介する。一部のFR残基は、少なくとも3つの方法で抗原結合に対して有意な効果を有すると考えられる:直接的にエピトープへ非共有結合的に結合することにより、1つ又は複数のCDR残基と相互作用することにより、及び、重鎖と軽鎖の間の界面に影響を及ぼすことにより。定常ドメインは、抗原結合に直接的に関与しないが、しかし、種々のIgエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)における抗体の関与などを媒介する。
【0093】
脊椎動物の免疫グロブリンの軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、2つの明らかに異なるクラス、カッパ(κ)及びラムダ(λ)の1つに割り当てられる。比較により、哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖は、定常ドメインの配列に従って、5つの主要なクラスの1つに割り当てられる:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM。IgG及びIgAは、さらに、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1、及びIgA
2に分けられる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。天然免疫グロブリンのクラスのサブユニット構造及び三次元構造は周知である。
【0094】
用語「抗体」、「抗IL−23p19抗体」、「ヒト化抗IL−23p19抗体」、「ヒト化抗IL−23p19エピトープ抗体」、及び「変異体ヒト化抗IL−23p19エピトープ抗体」は、具体的には、モノクローナル抗体(全長のモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異的抗体(例、二重特異性抗体)、及び所望の生物学的活性(例、IL−23p19結合)を示す抗体の他の部分を包含する抗体フラグメント、例えば可変ドメイン。用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、高度に特異的である抗体を指し、単一の抗原決定基、「エピトープ」に対して向けられる。従って、修飾語「モノクローナル」は、同一のエピトープに向けられる実質的に均一な抗体の集団を示しており、任意の特定の方法による抗体の産生を要求とするものとして解釈すべきではない。モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の任意の技術又は方法論により作製することができることを理解すべきである;例えば、ハイブリドーマ方法(Kohler et al., 1975, Nature 256: 495)、又は当技術分野において公知の組換えDNA方法(例、米国特許第4,816,567号を参照のこと)、又はファージ抗体ライブラリーを使用して組換え産生されたモノクローナルの単離方法(Clackson et al., 1991, Nature 352: 624-628及びMarks et al., 1991, J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載される技術を使用する)を含む。
【0095】
用語「単量体」は、均一形態の抗体を指す。例えば、全長抗体について、単量体は、2つの同一の重鎖及び2つの同一の軽鎖を有する単量体抗体を意味する。
【0096】
キメラ抗体は、1つの種(例、非ヒト哺乳動物、例えばマウスなど)からの抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ならびに別の種(例、ヒト)の抗体の重鎖及び軽鎖定常領域からなり、第1の種(例、マウス)からの抗体の可変領域をコードするDNA配列を、第2の(例、ヒト)種からの抗体の定常領域についてのDNA配列に連結し、連結配列を含む発現ベクターを用いて宿主を形質転換し、それがキメラ抗体を産生することを許すことにより得ることができる。あるいは、キメラ抗体は、また、重鎖及び/又は軽鎖の1つ又は複数の領域又はドメインが、別の免疫グロブリンクラス又はアイソタイプからの、あるいはコンセンサス又は生殖系列配列からのモノクローナル抗体における対応する配列と同一である、相同である、又はその変異体である。キメラ抗体は、そのような抗体のフラグメントを含むことができる(抗体フラグメントが、その親抗体の所望の生物学的活性、例えば、同じエピトープへの結合を示すことを条件とする)(例、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855)。
【0097】
用語「抗体フラグメント」、「抗IL−23p19抗体フラグメント」、「抗IL−23p19エピトープ抗体フラグメント」、「ヒト化抗IL−23p19抗体フラグメント」、「ヒト化抗IL−23p19エピトープ抗体フラグメント」、「変異体ヒト化抗IL−23p19エピトープ抗体フラグメント」は、全長抗IL−23p19抗体の部分を指し、それにおいて可変領域又は機能的能力が保持される(例えば、特定のIL−23p19エピトープ結合)。抗体フラグメントの例は、しかし、限定しないが、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fd、Fv、scFv、及びscFv−Fcフラグメント、ダイアボディ、直鎖抗体、一本鎖抗体、ミニボディ、抗体フラグメントから形成されたダイアボディ、及び抗体フラグメントから形成された多特異的抗体を含む。
【0098】
全長抗体は、酵素(例えばパパイン又はペプシンなど)を用いて処理し、有用な抗体フラグメントを生成することができる。パパイン消化を使用し、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合抗体フラグメント(各々が単一の抗原結合部位を伴う)及び残りの「Fc」フラグメントを産生する。Fabフラグメントは、また、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖のC
H1ドメインを含む。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することが可能であるF(ab’)
2フラグメントをもたらす。
【0099】
Fab’フラグメントは、C
H1ドメインのC末端に抗体ヒンジ領域からの1つ又は複数のシステインを含む、追加の残基の存在によりFabフラグメントとは異なる。F(ab’)
2抗体フラグメントは、ヒンジ領域中のシステイン残基により連結されたFab’フラグメントの対である。抗体フラグメントの他の化学共役も公知である。
【0100】
「Fv」フラグメントは、堅固な非共有結合的な会合における1つの重鎖及び1つの軽鎖の可変ドメインの二量体からなる完全な抗原認識及び結合部位を含む。この配置において、各々の可変ドメインの3つのCDRが相互作用し、VHVL二量体の表面上に抗原結合部位が定められる。集合的に、6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。
【0101】
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体フラグメントは、抗体のV
H及びV
Lドメインを含む一本鎖Fv変異体であり、そこで、ドメインが単一のポリペプチド鎖中に存在する。一本鎖Fvは、抗原を認識及び結合することが可能である。scFvポリペプチドは、また、場合により、scFvによる抗原結合のための所望の三次元構造の形成を促進するために、V
HとV
Lドメインの間に位置付けられるポリペプチドリンカーを含みうる(例、Pluckthun, 1994, In The Pharmacology of monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp.269-315を参照のこと)。
【0102】
「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を伴う小さな抗体フラグメントを指し、それらのフラグメントは、同じポリペプチド鎖中に軽鎖可変ドメイン(V.sub.L)に接続された重鎖可変ドメイン(V.sub.H)を含む(V.sub.H−V.sub.L又はV.sub.L−V.sub.H)。ダイアボディは、例えば、Holliger et al.(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448においてより完全に記載される。
【0103】
他の認識された抗体フラグメントは、タンデムFdセグメント(V
H−C
H1−V
H−C
H1)の対を含み、抗原結合領域の対を形成するものを含む。これらの「直鎖抗体」は、例えば、Zapata et al.1995, Protein Eng. 8(10): 1057-1062において記載される通り、二重特異的又は単一特異的でありうる。
【0104】
「ヒト化抗体」又は「ヒト化抗体フラグメント」は、免疫グロブリンのアミノ酸配列変異体又はそのフラグメント(所定の抗原に結合することが可能である)を含み、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する1つ又は複数のFR及び実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する1つ又は複数のCDRを含む、特定の型のキメラ抗体である。この非ヒトアミノ酸配列は、しばしば、「インポート」配列として言及され、典型的には、「インポート」抗体ドメイン、特に可変ドメインから取られる。一般的に、ヒト化抗体は、ヒト重鎖又は軽鎖可変ドメインのFRの間に挿入された非ヒト抗体の少なくともCDR又はHVLを含む。本発明は、ヒト生殖系列配列の重鎖及び軽鎖可変ドメインのFRの間に挿入された、表3及び表4に示すマウスモノクローナル抗体に由来するCDR又はヒト化CDRを含む特定のヒト化抗IL−23p19抗体を記載する。特定のマウスFR残基がヒト化抗体の機能に重要でありうるが、従って、ヒト生殖系列配列の重鎖及び軽鎖可変ドメイン残基のいくつかが、対応するマウス配列のものと同じになるように改変されることが理解されるであろう。
【0105】
別の局面において、ヒト化IL−23p19抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fabc、及びFvフラグメント中に含まれる)の実質的に全てを含み、それにおいて、CDRの全て、又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、具体的には、本明細書において、CDRの全てが、本明細書における下の表1から4において詳述される通りのマウス又はヒト化配列であり、及び、FRの全て、又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス又は生殖系列配列のものである。別の局面において、ヒト化抗IL−23p19抗体は、また、免疫グロブリンFc領域の少なくとも部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの部分を含む。通常、抗体は、軽鎖ならびに重鎖の少なくとも可変ドメインの両方を含む。抗体は、また、適切な場合、重鎖のC
H1、ヒンジ、C
H2、C
H3、及び/又はC
H4領域の1つ又は複数を含みうる。
【0106】
ヒト化抗IL−23p19抗体は、免疫グロブリンの任意のクラス(IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む)及び任意のアイソタイプ(IgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1、及びIgA
2を含む)より選択することができる。例えば、定常ドメインは補体固定定常ドメインでありうるが、そこでは、ヒト化抗体は細胞傷害活性を示すことが望ましく、アイソタイプは典型的にはIgG
1である。そのような細胞傷害活性が望ましくない場合、定常ドメインは、別のアイソタイプ(例、IgG
2)でありうる。代替のヒト化抗IL−23p19抗体は、1を上回る免疫グロブリンクラス又はアイソタイプからの配列を含むことができ、特定の定常ドメインを選択し、所望のエフェクター機能を最適化することは当技術分野の通常の技能内にある。特定の実施態様において、本発明は、IgG
1抗体であり、特に、エフェクター機能のノックアウトがあるIgG
1抗体である抗体を提供する。
【0107】
ヒト化抗IL−23p19抗体のFR及びCDR、又はHVLは、親配列に正確に対応する必要はない。例えば、インポートCDR、又はHVL、又はコンセンサスもしくは生殖系列FR配列中の1つ又は複数の残基を、置換、挿入、又は欠失により変化(例、変異誘発)させてもよく、結果として得られるアミノ酸残基は、親配列のいずれかにおける対応する位置における本来の残基ともはや同一ではなく、しかし、抗体は、しかしながら、IL−23p19への結合の機能を保持する。そのような変化は、典型的には、広範ではなく、保存的な変化でありうる。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%が、親コンセンサス配列又は生殖系列FR配列及びインポートCDR配列のものに対応しうる(よりしばしば少なくとも90%、最も頻繁には95%超、又は98%超又は99%超)。
【0108】
重鎖及び軽鎖可変領域の間の界面(「V
L−V
H界面」)に影響を及ぼす免疫グロブリン残基は、互いに関して、2つの鎖の近接性及び配向に影響を及ぼすものである。鎖間相互作用に関与しうる特定の残基は、V
L残基34、36、38、44、46、87、89、91、96、及び98ならびにV
H残基35、37、39、45、47、91、93、95、100、及び103(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987)に示されるナンバリングシステムを利用する)を含む。米国特許第6,407,213号では、また、残基(例えばV
L残基43及び85ならびにV
H残基43及び60など)がこの相互作用に関与しうることが考察される。これらの残基はヒトIgGだけについて示されているが、それらは種をわたり適用可能である。鎖間相互作用に関与することが合理的に予測される重要な抗体残基が、コンセンサス配列への置換のために選択される。
【0109】
用語「コンセンサス配列」及び「コンセンサス抗体」は、任意の特定のクラス、アイソタイプ、又はサブユニット構造(例、ヒト免疫グロブリン可変ドメイン)の全ての免疫グロブリンにおける各位置で最も頻繁に発生するアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を指す。コンセンサス配列は、特定の種の又は多くの種の免疫グロブリンに基づきうる。「コンセンサス」配列、構造、又は抗体は、特定の実施態様において記載する通り、コンセンサスヒト配列を包含し、任意の特定のクラス、アイソタイプ、又はサブユニット構造の全てのヒト免疫グロブリン中の各位置で最も頻繁に発生するアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を指すと理解される。このように、コンセンサス配列は、各々の位置に、1つ又は複数の公知の免疫グロブリンに存在するアミノ酸を有するアミノ酸配列を含むが、しかし、任意の単一の免疫グロブリンのアミノ酸配列全体を正確に複製しないことがある。可変領域のコンセンサス配列は、任意の天然に産生される抗体又は免疫グロブリンから得られない。Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md、及びその変異体。重鎖及び軽鎖コンセンサス配列のFR、ならびにその変異体は、ヒト化抗IL−23p19抗体の調製のために有用な配列を提供する。例えば、米国特許第6,037,454号及び第6,054,297号を参照のこと。
【0110】
ヒト生殖系列配列が、ヒト集団において天然に見出される。それらの生殖系列遺伝子の組み合わせは、抗体多様性を生成する。抗体の軽鎖についての生殖系列の抗体配列は、保存されたヒト生殖系列カッパ又はラムダv遺伝子及びj遺伝子から来る。同様に、重鎖配列は生殖系列v、d、及びj遺伝子から来る(LeFranc, M-P, and LeFranc, G, "The Immunoglobulin Facts Book" Academic Press, 2001)。
【0111】
本明細書において使用する通り、「変異体」、「抗IL−23p19変異体」、「ヒト化抗IL−23p19変異体」、又は「変異体ヒト化抗IL−23p19」は、各々、表1に示す配列のいずれかからの少なくとも軽鎖可変マウスCDR又は表2に示すマウスモノクローナル抗体に由来する重鎖マウスCDR配列を有するヒト化IL−23p19抗体を指す。変異体は、アミノ酸変化がIL−23p19への抗体の結合を実質的に損なわないという条件で、1つ又は両方の軽鎖又は重鎖可変ドメインにおいて1つ又は複数のアミノ酸変化を有するものを含む。本明細書において産生される例示的なヒト化抗体は、抗体A、抗体B、抗体C、及び抗体Dとして指定されるものを含み、同の種々の軽鎖及び重鎖を配列番号174及び180ならびに配列番号176及び178にそれぞれ示す。
【0112】
「単離」抗体は、その自然環境の成分から同定ならびに分離及び/又は回収されたものである。抗体の自然環境での汚染物質成分は、抗体の診断的又は治療的使用に干渉しうるそれらの物質であり、酵素、ホルモン、又は他のタンパク質性もしくは非タンパク質性溶質でありうる。一局面において、抗体は、抗体の重量で少なくとも95%超の単離まで精製されうる。
【0113】
単離抗体は、それが産生された組換え細胞内でインサイツの抗体を含む。なぜなら、抗体の自然環境での少なくとも1つの成分が存在しないからである。通常、しかし、単離抗体は、組換え細胞物質が除去される少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0114】
用語「抗体性能」は、抗体の抗原認識又はインビボでの抗体の有効性に寄与する因子を指す。抗体のアミノ酸配列における変化は、抗体の特性(例えばフォールディングなど)に影響しうる、及び、物理的因子(例えば抗原への抗体結合の初速度(k
a)、抗原からの抗体の解離定数(k
d)、抗原についての抗体の親和性定数(Kd)、抗体の立体構造、タンパク質の安定性、及び抗体の半減期など)に影響しうる。
【0115】
用語「エピトープタグ」は、本明細書において使用される場合、「エピトープタグ」に融合された抗IL−23p19抗体を指す。「エピトープタグ」は、抗体生産のためのエピトープを提供するための十分な数のアミノ酸を有するポリペプチドであるが、しかし、それがヒト化抗IL−23p19抗体の所望の活性に干渉しないように設計される。エピトープタグは、通常は、十分に独特であり、エピトープタグに対して産生された抗体は、他のエピトープと実質的に交差反応しない。適したタグポリペプチドは、一般的に、少なくとも6つのアミノ酸残基を含み、通常は、約8〜50アミノ酸残基、又は約9〜30残基を含む。エピトープタグ及びエピトープに結合する抗体の例は、インフルエンザHAタグポリペプチド及びその抗体12CA5(Field et al., 1988 Mol. Cell. Biol. 8: 2159-2165);c−mycタグならびにそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7、及び9E10抗体(Evan et al., 1985, Mol. Cell. Biol. 5(12): 3610-3616);ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体(Paborsky et al. 1990, Protein Engineering 3(6): 547-553)を含む。特定の実施態様において、エピトープタグは「サルベージ受容体結合エピトープ」である。本明細書において使用する通り、用語「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子のインビボでの血清半減期の増加に関与するIgG分子(例えばIgG
1、IgG
2、IgG
3、又はIgG
4など)のFc領域のエピトープを指す。
【0116】
一部の実施態様において、本発明の抗体は、細胞傷害性薬剤に共役させてもよい。これは、細胞の機能を阻害又は防止する及び/又は細胞の破壊を起こす任意の物質である。この用語は、放射活性アイソトープ(例えばI
131、I
125、Y
90、及びRe
186など)、化学療法薬剤、ならびに毒素(例えば、細菌、真菌、植物、又は動物由来の酵素活性毒素など)、及びそれらの断片を含むことを意図する。そのような細胞傷害性薬剤は、標準的な手順を使用して、本発明のヒト化抗体に結合させ、例えば、抗体を用いた治療について適応される患者を処置するために使用することができる。
【0117】
「化学療法薬剤」は、癌の処置において有用な化合物である。本発明の治療用抗体と共役させることができうる化学療法薬剤の多数の例がある。そのような化学療法薬剤の例は以下:アルキル化薬剤(例えばチオテパ及びシクロフォスファミドなど);アルキルスルホネート(例えばブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファなど);アジリジン(例えばベンゾドーパ、カルボコン、メチュアドーパ(meturedopa)、及びウレドパなど);エチレンイミン及びメチルアメラミン(methylamelamine)(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチルオロメラミン(trimethylolomelamine)を含む);アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン、アウリスタチン(アナログモノメチル−アウリスタチンE及びアナログモノメチル−アウリスタチンFを含む);デュオカルマイシン(合成アナログKW−2189及びCBI−TMIを含む);エレウセロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード(例えばクロランブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、酸化塩酸メクロレタミン、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチンなど);トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素(例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど);抗生物質(例えばエンジイン抗生物質(例、カリケアミシン、特に、カリキアミシンガンマ1I及びカリキアミシンphiI1、例えば、Agnew, Chem. Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと));ダイネミシン(ダイネミシンAを含む);ビスホスホネート(例えばクロドロネートなど);エスペラミシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質色素体)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(Adriamycin(商標))(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン(例えばマイトマイシンCなど)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、プロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤(例えばメトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU)など);葉酸アナログ(例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど);プリンアナログ(例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど);ピリミジンアナログ(例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど);アンドロゲン(例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど);抗副腎物質(例えばアミノグルテチミド、ミトーテン、トリロスタンなど);葉酸補充薬(例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドフォスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エデトラキサート;デホファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エポシロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド(例えばメイタンシン及びアンサミトシンなど);ミトグアゾン、ミトザントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2''−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミタブロニトール(mitabronitol);ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロフォスファミド;チオテパ;タキソイド、例、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)及びドキサタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロラムブシル;ゲムシタビン(Gemzar(商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ(例えばシスプラチン及びカルボプラチンなど);ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトザントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(Navelbine(商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド(例えばレチノイン酸など);カペシタビン;ならびに上のいずれかの医薬的に許容可能な塩、酸、又は誘導体を含む。また、この定義において以下が含まれる:腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン薬剤、例えば抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体修飾物質(例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標)を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston(商標))を含む);酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、それらは副腎におけるエストロゲン産生を調節する。例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(Megace(商標))、エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(Rivisor(商標))、レトロゾール(Femara(商標))、及びアナストロゾール(Arimidex(商標))など;ならびに抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;ならびに上のいずれかの医薬的に許容可能な塩、酸、又は誘導体。これらの薬剤の任意の1つ又は複数を本発明のヒト化抗体に共役させ、種々の障害の処置のための有用な治療用薬剤を提供してもよい。
【0118】
抗体は、また、プロドラッグに共役させてもよい。「プロドラッグ」は、親薬物と比較して、腫瘍細胞に対する細胞傷害性が少ない医薬的に活性な物質の前駆体又は誘導体形態であり、酵素的に活性化される又はより活性な形態に変換されることが可能である。例えば、Wilman, 1986, "Prodrugs in Cancer Chemotherapy", In Biochemical Society Transactions, 14, pp.375-382, 615th Meeting Belfast and Stella et al., 1985, "Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery, In: "Directed Drug Delivery, Borchardt et al., (ed.), pp.247-267, Humana Press.を参照のこと。有用なプロドラッグは、しかし、限定しないが、リン酸含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、Dアミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、βラクタム含有プロドラッグ、場合により、置換フェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、及び場合により置換フェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5フルオロシトシン、及びより活性な細胞傷害性遊離薬物に変換することができる他の5フルオロウリジンプロドラッグを含む。プロドラッグ形態に誘導体化することができる細胞傷害性薬物の例は、しかし、限定しないが、上に記載するそれらの化学療法薬剤を含む。
【0119】
診断的ならびに治療的モニタリングの目的のために、本発明の抗体は、また、標識、標識単独又は標識及び追加の第2の薬剤(プロドラッグ、化学療法薬剤など)のいずれかに共役させてもよい。標識は、他の第2の薬剤から区別され、検出可能な化合物又は組成物である薬剤を指し、それは、本発明のヒト化抗体に直接的又は間接的に共役させてもよい。標識はそれ自体が検出可能でありうる(例、ラジオアイソトープ標識又は蛍光標識)、又は、酵素標識の場合において、検出可能である基質化合物又は組成物の化学変化を触媒しうる。標識したヒト化抗IL−23p19抗体を調製し、種々の適用(インビトロ及びインビボでの診断法を含む)において使用することができる。
【0120】
本発明の抗体は、インビボでのその送達をもたらすために、リポソーム調製物の一部として製剤化してもよい。「リポソーム」は、種々の型の脂質、リン脂質、及び/又は界面活性剤から構成される小さな小胞である。リポソームは、化合物又は製剤(例えば本明細書に開示するヒト化抗IL−23p19抗体など)の哺乳動物への送達のために有用であり、場合により、1つ又は複数の医薬的に活性な薬剤及び/又は標識に共役させる又は組み合わせる。リポソームの成分は、一般に、二重層形成で配置され、生体膜の脂質配置と同様である。
【0121】
本発明の特定の局面は、本発明のヒト化抗体の1つ又は複数のドメインをコードする単離核酸に関する。「単離」核酸分子は、抗体核酸の天然供給源において通常は関連付けられる少なくとも一つの汚染核酸分子から同定及び分離された核酸分子である。単離核酸分子は、それが天然細胞中に存在する時、核酸分子から区別される。
【0122】
本発明の種々の局面において、ヒト化抗体の1つ又は複数のドメインを組換え発現させる。そのような組換え発現では、1つ又は複数の制御配列、即ち、特定の宿主生物において動作可能に連結したコード配列の発現のために必要なポリヌクレオチド配列を用いてもよい。原核細胞における使用のために適した制御配列は、例えば、プロモーター、オペレーター、及びリボソーム結合部位配列を含む。真核生物の制御配列は、しかし、限定しないが、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを含む。これらの制御配列は、原核生物及び真核生物の宿主細胞におけるヒト化抗IL−23p19抗体の発現及び産生のために利用することができる。
【0123】
核酸配列は、それが別の核酸配列と機能的な関係に置かれている場合、「動作可能に連結」されている。例えば、核酸プレ配列又は分泌リーダーは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドをコードする核酸に動作可能に連結されている;プロモーター又はエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に動作可能に連結されている;又は、リボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置付けられている場合、コード配列に動作可能に連結されている。一般的に、「動作可能に連結される」は、連結されているDNA配列が、近接している、分泌リーダーの場合において、近接し、リーディングフレーム中にあることを意味する。しかし、エンハンサーは、場合により、近接している。連結は、便利な制限部位でのライゲーションにより達成することができる。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーを使用することができる。
【0124】
本明細書において使用する通り、表現「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養」は互換的に使用され、全てのそのような命名はその子孫を含む。このように、「形質転換体」及び「形質転換細胞」は、トランスファーの数に関わらず、初代被験細胞及びそれに由来する培養物を含む。
【0125】
処置の目的のための用語「哺乳動物」は、哺乳動物(ヒトを含む)、家畜及び農場動物、ならびに動物園、スポーツ、又はペット動物(例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシなど)として分類される任意の動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0126】
「障害」は、本明細書において使用する通り、本明細書に記載するヒト化抗IL−23p19抗体を用いた処置から利益を得うる任意の状態である。これは、慢性及び急性障害又は疾患(哺乳動物を問題の障害に罹りやすくするそれらの病理学的状態を含む)を含む。本明細書において処置される障害の非限定的な例は、炎症性、血管新生、自己免疫性、及び免疫学的障害、呼吸器障害、癌、血液学的悪性腫瘍、良性及び悪性腫瘍、白血病、及びリンパ系悪性腫瘍を含む。
【0127】
用語「癌」及び「癌性」は、無秩序な細胞成長により典型的に特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を指す又は記載する。癌の例は、しかし、限定しないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病を含む。
【0128】
本明細書において使用する通り、用語「IL−23関連障害」又は「IL−23関連疾患」は、IL−23活性が疾患に寄与する、及び、典型的には、IL−23が異常に発現される状態を指す。IL−23関連障害は、免疫系の疾患及び障害(例えば自己免疫障害及び炎症性障害など)を含む。そのような状態は、しかし、限定しないが、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、シェーグレン症候群、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患(例、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、肺炎症、喘息、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、及び強直性脊椎炎を含む。
【0129】
用語「静脈内注入」は、約15分超、一般的には約30〜90分の間の期間にわたる動物又はヒト患者の静脈中への薬剤の導入を指す。
【0130】
用語「静脈内ボーラス」又は「静脈内プッシュ」は、身体が約15分又はそれ以下で、一般的には5分又はそれ以下で薬物を受けるような、動物又はヒトの静脈中への薬物投与を指す。
【0131】
用語「皮下投与」は、動物又はヒト患者の皮膚下に、好ましくは皮膚と下層組織の間のポケット内に、薬物レセプタクルから比較的遅い持続性送達により薬剤を導入することを指す。下層組織から上に及び離れて皮膚を挟む又は引くことによって、ポケットを作ってもよい。
【0132】
用語「皮下注入」は、動物又はヒト患者の皮膚下に、好ましくは、皮膚と下層組織の間のポケット内に、薬物レセプタクルからの比較的遅い持続性送達により、しかし、限定しないが、30分又はそれ以下、あるいは90分又はそれ以下を含む期間にわたり薬物を導入することを指す。場合により、注入は、動物又はヒト患者の皮膚下に移植された薬物送達ポンプの皮下移植により作製してもよく、それにおいて、ポンプは、所定の期間(例えば30分、90分、又は処置計画の長さにわたる期間など)にわたり、所定量の薬物を送達する。
【0133】
用語「皮下ボーラス」は、動物又はヒト患者の皮膚下への薬物投与を指し、ここで、ボーラス薬物送達は約15分未満;別の局面において、5分未満、さらに別の局面において、60秒未満である。さらに別の局面において、投与は、皮膚と下層組織の間のポケット内にあり、ここで、ポケットは、下層組織から上に及び離れて皮膚を挟む又は引くことにより作製されうる。
【0134】
用語「治療的に効果的な量」を使用し、処置されている障害の症状の1つ又は複数を軽減又は寛解する活性薬剤の量を指す。別の局面において、治療的に効果的な量は、例えば、疾患進行を遅くする際に効果的であることが示されている目標血清濃度を指す。効力は、処置する状態に依存して、従来の方法で測定することができる。
【0135】
用語「処置」及び「治療」などは、本明細書において使用する通り、任意の臨床的に望ましい又は有益な効果(しかし、限定しないが、1つ又は複数の症状の緩和又は軽減、疾患又は障害の進行の退行、減速、又は休止を含む)に導く、治療的、ならびに予防的、又は抑制的な対策を含むことを意味する。このように、例えば、用語「処置」は、疾患又は障害の症状の発症の前又はそれに続く薬剤の投与を含み、それにより、疾患又は障害の1つ又は複数の徴候を防止又は除去する。別の例として、この用語は、疾患の症状と戦うための疾患の臨床所見後の薬剤の投与を含む。さらに、発症後及び臨床症状が発生した後での薬剤の投与は、ここでは、投与が疾患又は障害の臨床パラメーター(例えば組織損傷の程度又は転移の量もしくは範囲など)に影響を及ぼし(処置が疾患の寛解に導くか否かに関わらず)、本明細書において使用する「処置」又は「治療」を含む。さらに、本発明の組成物は、単独又は別の治療用薬剤との組み合わせのいずれかで、ヒト化IL−23p19抗体組成物の使用の非存在におけるその症状と比較して、処置されている障害の少なくとも1つの症状を緩和又は寛解させる限り、結果は、障害の全ての症状が緩和されるか否かに関わらず、基礎障害の効果的な処置と考えるべきである。
【0136】
用語「添付文書」を使用し、治療用産物の市販パッケージに習慣的に含まれる説明書を指し、そのような治療用産物の使用に関する適応症、使用法、投与、禁忌、及び/又は警告に関する情報が含まれる。
【0137】
抗体
一局面において、本明細書に記載及び開示されるのは抗IL−23抗体、特に、ヒト化抗IL−23抗体であり、及び、1つ又は複数の抗IL−23抗体、特に、本発明の1つ又は複数のヒト化抗IL−23抗体を含む組成物及び製造品である。また、記載するのは、抗IL−23p19抗体、特にヒト化抗IL−23p19抗体の抗原結合フラグメントを含む結合薬剤である。ヒト化抗IL−23抗体及び結合薬剤は、慢性自己免疫疾患及び炎症性疾患に寄与する、Th17に関連するサイトカインの産生を阻害することができる。ヒト化抗IL−23p19抗体及び結合薬剤は、このように、種々の疾患又は障害の処置において使用することができる。ヒト化抗IL−23p19抗体及びIL−23p19結合薬剤は、各々が、IL−23p19エピトープ(即ち、抗原結合フラグメント)を特異的に認識する少なくとも部分を含む。
【0138】
初期の特徴付けにおいて、マウス抗体をIL−23p19結合の特徴付けに基づいて選択した。
【0139】
したがって、一局面に従い、本発明の抗体は、IL−23、特にヒトIL−23についての100pM未満のK
Dを有する。別の局面において、本発明の抗体は40pM未満のK
Dを有する。別の局面において、本発明の抗体は20pM未満のK
Dを有する。別の局面において、本発明の抗体は10pM未満のK
Dを有する。別の局面において、本発明のモノクローナル抗体は1pM未満のK
Dを有する。
【0140】
選択されたマウス抗体は、表1及び2に示す通り、以下の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する:
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
ヒトフレームワーク配列を、フレームワーク相同性、CDR構造、保存された基準残基、保存された界面充填残基、及び他のパラメーターに基づき、マウスリードの各々について選択した。
【0144】
種々のマウス抗体のマウス軽鎖及び重鎖CDRを、表3及び表4にそれぞれ示す。表4は、また、ヒト化プロセスを通じてマウス抗体6B8に由来する3つの重鎖CDRを示す。
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
【0147】
表3及び4において上に掲載するCDRは、Chothiaナンバリングシステム(Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948)を使用して定義される。
【0148】
キメラ親Fabと比較して、より良好な又は等しい結合を示したFabを、IgGへの変換のために選択した。6B8をIgG1KOフォーマットに変換した。IgG1KO(エフェクター機能のノックアウト)は、Fc領域中に2つの変異(Leu234Ala及びLeu235Ala)を有し、それらによって、エフェクター機能(例えばFcγR及び補体結合など)が低下する。IgGフォーマットが文献中に記載されている(例えば、Hezareh et al.(2001) Journal of Virology 75: 12161-12168を参照のこと)。実施例1は、ヒト化プロセスをさらに詳細に記載する。そのようなヒト化の結果は、ヒト化抗体配列をもたらした。代表的なナンバーのマウス抗体6B8に由来するヒト化軽鎖及び重鎖可変領域を提供し、表5及び6に示す。マウス抗体6B8に由来するヒト化軽鎖及び重鎖可変領域とマウス抗体6B8からの鎖及び重鎖可変領域の間のアライメントを
図1に示す。
【0149】
マウス抗体6B8に由来するヒト化軽鎖及び重鎖可変領域の選択された組み合わせは、抗体A、B、C、及びDをもたらした:
抗体A:IgK−66を伴う6B8−IgG1KO−2(重鎖可変領域6B8CVH−02及び軽鎖可変領域6B8CVK−66);
抗体B:IgK−66を伴う6B8−IgG1KO−5(重鎖可変領域6B8CVH−05及び軽鎖可変領域6B8CVK−66);
抗体C:IgK−65を伴う6B8−IgG1KO−2(重鎖可変領域6B8CVH−02及び軽鎖可変領域6B8CVK−65);
抗体D:IgK−65を伴う6B8−IgG1KO−5(重鎖可変領域6B8CVH−05及び軽鎖可変領域6B8CVK−65)。
【0150】
抗体A、B、C、及びDは、表7に示す重及び軽鎖配列を有する。
【0151】
【表5】
【0152】
【表6】
【0153】
【表7】
【0154】
抗体A、B、C、及びDの軽鎖及び重鎖可変領域に、上の表7において下線を引いている。
【0155】
一局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の特性の少なくとも1つを有する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の特性の少なくとも2つ、又は少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11の任意の組み合わせを有する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の全ての特性を有する。
【0156】
・ ヒトIL−23についてのK
D≦1pM(50%ヒト血清中の結合速度におけるシフトなし)。
・ インビトロでヒトIL−23R/FcへのIL−23結合を遮断する。
・ ヒトIL−12への結合なし。
・ IC
50≦20pMを伴いマウス脾細胞においてヒトIL−23誘導性IL−17産生を阻害する。
・ IC
50≦40pMを伴いヒトDB細胞においてヒトIL−23誘導性STAT3リン酸化を阻害する。
・ ADCC/CDCにおける予測される活性なし。
・ カニクイザルIL−23についてK
D≦1pM。
・ マウス又はラットIL−23への交差反応性なし。
・ マウス耳においてヒトIL−23誘導性IL−17及びIL−22産生を阻害する(1mg/kgでの両方のサイトカインの≧80%阻害)。
・ 安定性83℃(示差走査熱量測定により決定された融解温度83℃)。
・ 溶解性≧100mg/ml(UV分光法により測定し、濁度によりモニターした)。
・ 3匹のカニクイザルにおける1.0mg/kgの皮下投与は、持続的な≧10nM曝露を約28日間にわたり示し、約70%のバイオアベイラビリティを伴う。
【0157】
ADCC/DCにおける予測される活性なしにより、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体が、Fc受容体への低下した親和性を有し、従って、ADCC/DCにおいて活性を有さないと予測されることを意味する。
【0158】
一局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の特性の少なくとも1つを有する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の特性の少なくとも2つ、又は少なくとも3、4、5、6、7、8、9、もしくは10の任意の組み合わせを有する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の全ての特性を有する。
【0159】
・ ヒトIL−23についてのK
D≦1pM(50%ヒト血清中の結合速度におけるシフトなし)。
・ インビトロでヒトIL−23R/FcへのIL−23結合を遮断する。
・ ヒトIL−12への結合なし。
・ IC
50≦20pMを伴いマウス脾細胞においてヒトIL−23誘導性IL−17産生を阻害する。
・ IC
50≦40pMを伴いヒトDB細胞においてヒトIL−23誘導性STAT3リン酸化を阻害する。
・ ADCC/CDCにおける予測される活性なし。
・ カニクイザルIL−23についてK
D≦1pM。
・ マウス又はラットIL−23への交差反応性なし。
・ マウス耳においてヒトIL−23誘導性IL−17及びIL−22産生を阻害する(1mg/kgでの両方のサイトカインの≧80%阻害)。
・ 安定性83℃(示差走査熱量測定により決定された融解温度83℃)。
・ 溶解性≧100mg/ml(UV分光法により測定し、濁度によりモニターした)。
【0160】
さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、以下の結合特性の少なくとも1つを有する(特性A)。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の特性の少なくとも2つ、又は少なくとも3つの任意の組み合わせを有する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の全ての特性を有する。
【0161】
・ ヒトIL−23についてのK
D≦1pM(50%ヒト血清中の結合速度におけるシフトなし)。
・ ヒトIL−12への結合なし。
・ カニクイザルIL−23についてK
D≦1pM。
・ マウス又はラットIL−23への交差反応性なし。
【0162】
特に、本発明のヒト化抗体は、ヒトIL−23についてのK
D≦1pM(50%ヒト血清中の結合速度におけるシフトなし)を有し、ヒトIL−12への結合を有さない。
【0163】
さらなる局面において、本発明のヒト化抗体は、以下の機能的特性の少なくとも1つを有する(特性B)。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の特性の少なくとも2つ、又は少なくとも3つの任意の組み合わせを有する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の全ての特性を有する。
【0164】
・ インビトロでヒトIL−23R/FcへのIL−23結合を遮断する。
・ IC
50≦20pMを伴いマウス脾細胞においてヒトIL−23誘導性IL−17産生を阻害する。
・ IC
50≦40pMを伴いヒトDB細胞においてヒトIL−23誘導性STAT3リン酸化を阻害する。
・ マウス耳においてヒトIL−23誘導性IL−17及びIL−22産生を阻害する(1mg/kgでの両方のサイトカインの≧80%阻害)。
【0165】
さらなる局面において、本発明のヒト化抗体は、以下の特性の少なくとも1つを有する(特性C)。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の特性の少なくとも2つ、又は少なくとも3つの任意の組み合わせを有する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の全ての特性を有する。
【0166】
・ ADCC/CDCにおける予測される活性なし。
・ 安定性83℃(示差走査熱量測定により決定された融解温度83℃)。
・ 溶解性≧100mg/ml(UV分光法により測定し、濁度によりモニターした)。
・ 3匹のカニクイザルにおける1.0mg/kgの皮下投与は、持続的な≧10nM曝露を約28日間にわたり示し、約70%のバイオアベイラビリティを伴う。
【0167】
さらなる局面において、本発明のヒト化抗体は、以下の特性の少なくとも1つを有する(特性C)。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の特性の少なくとも2つの任意の組み合わせを有する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、下の全ての特性を有する。
【0168】
・ ADCC/CDCにおける予測される活性なし。
・ 安定性83℃(示差走査熱量測定により決定された融解温度83℃)。
・ 溶解性≧100mg/ml(UV分光法により測定し、濁度によりモニターした)。
【0169】
さらなる局面において、本発明のヒト化抗体は、少なくとも1つの特性A、少なくとも1つの特性B、及び少なくとも1つの特性Cを有する。さらなる局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、特性A、B、及びCの少なくとも2、又は少なくとも3の任意の組み合わせを有する。
【0170】
一部の局面において、ヒト化抗体は遮断活性を呈し、それにより、それはIL−23受容体へのIL−23の結合を、少なくとも45%だけ、少なくとも50%だけ、少なくとも55%だけ、少なくとも60%だけ、少なくとも65%だけ、少なくとも70%だけ、少なくとも75%だけ、少なくとも80%だけ、少なくとも85%だけ、少なくとも90%だけ、又は少なくとも95%だけ減少させる。IL−23受容体へのIL−23の結合を遮断する抗体の能力を、当技術分野において公知の競合結合アッセイを使用して測定することができる。あるいは、抗体の遮断活性を、IL−23の生物学的効果(例えばIL−17及びIL−22の産生など)を評価することにより測定し、IL−23受容体により媒介されるシグナル伝達が阻害されるか否かを決定することができる。
【0171】
さらなる局面において、本発明は、好ましい生物物理学的特性を有するヒト化抗IL−23p19抗体を提供する。一局面において、本発明のヒト化抗IL−23p19抗体は、少なくとも90%単量体形態で、又は少なくとも92%単量体形態で、又は少なくとも95%単量体形態で、緩衝液中で存在する。さらなる局面において、本発明のヒト化IL−23p19抗体は、少なくとも90%単量体形態、又は少なくとも92%単量体形態、又は少なくとも95%単量体形態で緩衝液中に1ヶ月間にわたり又は4ヶ月間にわたり残る。
【0172】
一局面において、本発明のヒト化抗体は、抗体A、抗体B、抗体C、又は抗体Cである。したがって、一実施態様において、本発明のヒト化抗体は、配列番号174の軽鎖配列及び配列番号176の重鎖配列を含む(抗体A)。別の実施態様において、本発明のヒト化抗体は、配列番号174の軽鎖配列及び配列番号178の重鎖配列を含む(抗体B)。別の実施態様において、本発明のヒト化抗体は、配列番号180の軽鎖配列及び配列番号176の重鎖配列を含む(抗体C)。別の実施態様において、本発明のヒト化抗体は、配列番号180の軽鎖配列及び配列番号178の重鎖配列を含む(抗体D)。
【0173】
さらなる実施態様において、本発明のヒト化抗体は、配列番号174の軽鎖配列及び配列番号176の重鎖配列からなる(抗体A)。さらなる実施態様において、本発明のヒト化抗体は、配列番号174の軽鎖配列及び配列番号178の重鎖配列からなる(抗体B)。さらなる実施態様において、本発明のヒト化抗体は、配列番号180の軽鎖配列及び配列番号176の重鎖配列からなる(抗体C)。さらなる実施態様において、本発明のヒト化抗体は、配列番号180の軽鎖配列及び配列番号178の重鎖配列からなる(抗体D)。
【0174】
一部の実施態様において、ヒト化抗IL−23p19抗体(その抗原結合フラグメント、例えば重鎖及び軽鎖可変領域などを含む)は、抗体A(軽鎖配列=配列番号174;重鎖配列=配列番号176)、抗体B(軽鎖配列=配列番号174;重鎖配列=配列番号178)、抗体C(軽鎖配列=配列番号180;重鎖配列=配列番号176)、又は抗体D(軽鎖配列=配列番号180;重鎖配列=配列番号178)に由来する残基のアミノ酸配列を含む。
【0175】
さらなる実施態様において、本発明は、配列番号181のアミノ酸残基108〜126及びアミノ酸残基137〜151からなるエピトープでヒトIL−23p19に結合する、抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0176】
さらなる実施態様において、本発明は、本発明の抗体、例えば、本明細書に記載する抗体A、抗体B、抗体C、又は抗体Dと競合的にヒトIL−23p19に結合する、抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。IL−23p19に競合的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの能力を、当技術分野において公知の競合アッセイを使用して測定することができる。
【0177】
ヒト化抗IL−23p19抗体は、場合により、コンセンサス領域又は生殖系列フレームワーク領域中に特定のアミノ酸置換を含む。これらのフレームワーク位置におけるアミノ酸残基の特定の置換は、ヒト生殖系列フレームワーク領域中へのCDR又はHVLの「直接的スワップ」により形成されるヒト化抗体において実証されるものを上回り、抗体性能の種々の局面(結合親和性及び/又は安定性を含む)を改善することができる。
【0178】
一部の実施態様において、本発明は、配列番号84、86、88、90、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、又は119に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を伴う他のモノクローナル抗体を記載する。一部の実施態様において、本発明は、配列番号121、123、125、127、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、又は156に示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を伴う他のモノクローナル抗体を記載する(上の表1及び2を参照のこと)。これらのマウス抗体のCDRを表3及び4に示す。これらのマウス抗体のCDR配列を表3及び表4に示し、そのようなCDRをヒトコンセンサス重鎖及び軽鎖可変ドメインのFR中に配置することによって、本発明の有用なヒト化抗体をもたらす。
【0179】
特に、本発明は、配列番号84/121、86/123、88/125、90/127、91/128、93/130、95/132、97/134、99/136、101/138、103/140、105/142、107/144、109/146、111/148、113/150、115/152、117/154、又は119/156の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の組み合わせを伴うモノクローナル抗体を提供する。そのような可変領域を、ヒト定常領域と組み合わせることができる。
【0180】
一部の実施態様において、本発明は、配列番号158、160、162、又は164に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列を伴う他のヒト化抗体を記載する。一部の実施態様において、本発明は、配列番号166、168、170、又は172に示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列を伴う他のヒト化抗体を記載する(上の表5及び6を参照のこと)。これらの抗体のCDRを表3及び4に示す。本発明は、配列番号160/166、160/168、158/166、又は158/168の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の組み合わせを伴うモノクローナル抗体を提供する。そのような可変領域を、ヒト定常領域と組み合わせることができる。
【0181】
さらなる実施態様において、本発明は、配列番号160のCDR及び配列番号160の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメインならびに配列番号166のCDR及び配列番号166の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様において、抗IL−23p19抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0182】
さらなる実施態様において、本発明は、配列番号160のCDR及び配列番号160の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメインならびに配列番号168のCDR及び配列番号168の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様において、抗IL−23p19抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0183】
さらなる実施態様において、本発明は、配列番号158のCDR及び配列番号158の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメインならびに配列番号166のCDR及び配列番号166の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様において、抗IL−23p19抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0184】
さらなる実施態様において、本発明は、配列番号158のCDR及び配列番号158の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化軽鎖可変ドメインならびに配列番号168のCDR及び配列番号168の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含むヒト化重鎖可変ドメインを含む抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様において、抗IL−23p19抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0185】
一部の特定の実施態様において、本明細書に開示するヒト化抗IL−23p19抗体は、上の表1から6に示すマウスモノクローナル抗体又はヒト化抗体のCDR又はHVLならびにヒト生殖系列重及び軽鎖可変ドメインのFRを含む少なくとも重又は軽鎖可変ドメインを含む。
【0186】
これらの配列のCDRを表3及び4に示す。したがって、一局面において、本発明は、配列番号1、4、6、7、8、11、15、18、19、22、27、又は30の軽鎖CDR1(L−CDR1)配列;配列番号2、5、9、12、16、20、23、25、28、又は31の軽鎖CDR2(L−CDR2)配列;配列番号3、10、13、14、17、21、24、26、29、又は32の軽鎖CDR3(L−CDR3)配列;配列番号33、36、38、40、43、45、48、51、54、57、60、63、66、67、68、69、77、又は80の重鎖CDR1(H−CDR1)配列;配列番号34、39、41、46、49、52、55、58、61、64、70、72、73、75、78、又は81の重鎖CDR2(H−CDR2)配列;及び、配列番号35、37、42、44、47、50、53、56、59、62、65、71、74、76、79、又は82の重鎖CDR3(H−CDR3)配列を含む、抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一局面において、抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントは、上に掲載するL−CDR1、上に掲載するL−CDR2、及び上に掲載するL−CDR3を含む軽鎖可変領域ならびに上に掲載するH−CDR1、上に掲載するH−CDR2、及び上に掲載するH−CDR3を含む重鎖可変領域を含む。
【0187】
さらなる局面において、本発明は、以下を含む抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する:
a)それぞれ配列番号1、2、3、33、34、及び35のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
b)それぞれ配列番号4、5、3、36、34、及び37のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
c)それぞれ配列番号1、2、3、38、39、及び35のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
d)それぞれ配列番号6、2、3、40、41、及び42のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
e)それぞれ配列番号7、2、3、43、41、及び44のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
f)それぞれ配列番号8、9、10、45、46、及び47のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
g)それぞれ配列番号8、9、10、48、49、及び50のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
h)それぞれ配列番号11、12、13、51、52、及び53のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
i)それぞれ配列番号7、2、14、54、55、及び56のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
j)それぞれ配列番号15、16、17、57、58、及び59のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
k)それぞれ配列番号18、16、17、60、61、及び62のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
l)それぞれ配列番号19、20、21、63、66、67又は68、64、及び65のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
m)それぞれ配列番号22、23、24、69、70、及び71のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
n)それぞれ配列番号22、25、26、55、72、及び71のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
o)それぞれ配列番号8、9、10、45、73、及び74のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
p)それぞれ配列番号27、28、29、45、75、及び76のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
q)それぞれ配列番号8、9、10、77、78、及び79のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
r)それぞれ配列番号30、31、32、80、81、及び82のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3。
【0188】
一局面において、抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントは、上に掲載するL−CDR1、L−CDR2、及びL−CDR3の組み合わせを含む軽鎖可変領域ならびに上に掲載するH−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3の組み合わせを含む重鎖可変領域を含む。
【0189】
特定の実施態様において、これらの例示的な免疫グロブリンの間のスイッチしたCDR領域(即ち、例えば、マウス抗体又はそれらに由来するヒト化抗体の1つの1つ又は2つのCDRと別のマウス抗体又はそれらに由来するヒト化抗体からの類似のCDRとのスイッチング)を伴うキメラ抗体が有用な抗体をもたらしうることを熟慮する。
【0190】
特定の実施態様において、ヒト化抗IL−23p19抗体は抗体フラグメントである。種々の抗体フラグメントを、一般的に、上に考察しており、抗体フラグメントの産生のために開発されてきた技術がある。フラグメントは、インタクトな抗体のタンパク分解性消化を介して由来しうる(例、Morimoto et al., 1992, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;及びBrennan et al., 1985, Science 229: 81を参照のこと)。あるいは、フラグメントは、組換え宿主細胞において直接的に産生することができる。例えば、Fab’−SHフラグメントを、大腸菌から直接的に回収し、化学的に結合させてF(ab’)
2フラグメントを形成することができる(例、Carter et al., 1992, Bio/Technology 10: 163-167を参照のこと)。別のアプローチにより、F(ab’)
2フラグメントを組換え宿主細胞培養から直接的に単離することができる。抗体フラグメントの産生のための他の技術が、当業者に明らかであろう。したがって、一局面において、本発明は、本明細書に記載するCDR、特に、本明細書に記載するL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3の組み合わせの1つを含む抗体フラグメントを提供する。さらなる局面において、本発明は、本明細書に記載する可変領域、例えば、本明細書に記載する軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の組み合わせの1つを含む抗体フラグメントを提供する。
【0191】
特定の実施態様は、配列番号176又は178の重鎖配列との組み合わせにおいて、配列番号174又は180のいずれかの軽鎖配列を含む、ヒト化抗IL−23p19抗体のF(ab’)
2フラグメントを含む。そのような実施態様は、そのようなF(ab’)
2を含むインタクトな抗体を含むことができる。
【0192】
一部の実施態様において、抗体又は抗体フラグメントは、エフェクター機能を媒介する定常領域を含む。定常領域は、IL−23発現標的細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の応答を提供することができる。エフェクタードメインは、例えば、Ig分子のFc領域でありうる。
【0193】
抗体のエフェクタードメインは、任意の適した脊椎動物種及びアイソタイプからでありうる。異なる動物種からのアイソタイプは、エフェクター機能を媒介する能力において異なる。例えば、ヒト免疫グロブリンがCDC及びADCC/ADCPを媒介する能力は、一般的に、それぞれIgM≒IgG
1≒IgG
3>IgG
2>IgG
4及びIgG
1≒IgG
3>IgG
2/IgM/IgG
4の順番である。マウス免疫グロブリンは、CDC及びADCC/ADCPを、一般的に、それぞれマウスIgM≒IgG
3>>IgG
2b>IgG
2a>>IgG
1及びIgG
2b>IgG
2a>IgG
1>>IgG
3の順番で媒介する。別の例において、マウスIgG
2aはADCCを媒介し、マウスIgG
2a及びIgMの両方はCDCを媒介する。
【0194】
抗体修飾
ヒト化抗IL−23p19抗体及び薬剤は、ヒト化抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントの修飾を含むことができる。例えば、癌の処置における抗体の有効性を増強するように、エフェクター機能に関して抗体を修飾することが望ましいであろう。1つのそのような修飾はFc領域中へのシステイン残基の導入であり、それにより、この領域における鎖間ジスルフィド結合形成を許す。このようにして生成されたホモ二量体抗体は、改善された内在化能力及び/又は増加した補体媒介細胞死滅及び/又は抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有しうる。例えば、Caron et al., 1992, J. Exp Med.176: 1191-1195;及びShopes, 1992, J. Immunol.148: 2918-2922.を参照のこと。増強された抗腫瘍活性を有するホモ二量体抗体を、また、Wolff et al., 1993, Cancer Research 53: 2560-2565に記載する通りに、ヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製することができる。あるいは、抗体を操作し、二重Fc領域を含むことができ、抗体の補体溶解及びADCC能力を増強する。Stevenson et al., 1989, Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230を参照のこと。
【0195】
ADCCを支持する改善された能力を伴う抗体が、それらのFc領域のグリコシル化パターンを修飾することにより生成されてきた。これは可能である。なぜなら、C
H2ドメイン中のアスパラギン残基N297での抗体グリコシル化が、ADCCに必須のIgG及びFcγ受容体の間での相互作用に関与するからである。宿主細胞株を操作し、変化したグリコシル化(例えば増加した分岐Nアセチルグルコサミン又は低下したフコースなど)を伴う抗体を発現させている。フコース低下は、分岐Nアセチルグルコサミンの存在を増加させるより、ADCC活性のより大きな増強を提供する。さらに、低フコース抗体によるADCCの増強はFcγRIIIA V/F多型に非依存的である。
【0196】
抗体のFc領域のアミノ酸配列を修飾することは、ADCCを増強するためのグリコシル化操作に代わるものである。Fcγ受容体についてのヒトIgG
1上の結合部位が、広範な変異解析により決定されている。これは、FcγRIIIAについての結合親和性を増加させ、インビトロでADCCを増強させるFc変異を伴うヒト化IgG
1抗体の生成に導いた。加えて、Fc変異体は、結合特性の多くの異なる置換(例、他のFcγR受容体への不変の又は減弱した結合を伴う特定のFcγR受容体への改善された結合)を伴い得られている。
【0197】
別の局面は、細胞傷害性薬剤、例えば化学療法薬剤、毒素(例、細菌、真菌、植物、もしくは動物由来の酵素活性毒素又はそのフラグメント)、又はラジオアイソトープ(即ち、放射性複合体)などに共役されたヒト化抗体又はそのフラグメントを含む免疫複合体を含む。
【0198】
そのような免疫複合体の生成において有用な化学療法薬剤が上に記載されている。有用な免疫複合体を形成するために使用することができる酵素活性毒素及びそれらの断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌から)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、ツルレイシ阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリオア・オフィシナリス阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、トリコテセなどを含む。種々の放射性核種が、放射線複合ヒト化抗IL−23p19抗体の産生のために利用可能である。例は、
212Bi、
131I、
131In、
90Y、及び
186Reを含む。
【0199】
ヒト化抗IL−23p19抗体及び細胞傷害性又は化学療法薬剤の複合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング薬剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオン酸(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHC
Lなど)、活性エステル類(例えばスベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド(glutareldehyde)など)、ビス−アジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えばビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6−ジイソシアネートなど)、及びビス活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)を使用して、公知の方法により作製することができる。例えば、リシン免疫毒素を、Vitetta et al., 1987, Science 238: 1098に記載されている通りに調製することができる。炭素14標識1−イソチオシアナートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドの共役のための例示的なキレート薬剤である。複合体は、また、開裂可能なリンカーを用いて形成することができる。
【0200】
本明細書に開示するヒト化抗IL−23p19抗体を、また、免疫リポソームとして製剤化することができる。抗体を含むリポソームを、当技術分野において公知の、例えばEpstein et al., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 3688;Hwang et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4030;ならびに米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号に記載される方法により調製する。増強された循環時間を有するリポソームが、例えば、米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0201】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発方法により生成することができる。リポソームを、定められた孔径のフィルターを通して押出し、所望の直径を伴うリポソームをもたらす。本明細書に開示する抗体のFab’フラグメントを、Martin et al., 1982, J. Biol. Chem. 257: 286-288に記載される通りに、ジスルフィド交換反応を介して、リポソームに共役させることができる。化学療法薬剤(例えばドキソルビシンなど)は、場合により、リポソーム内に含まれる。例えば、Gabizon et al., 1989, J. National Cancer Inst.81(19): 1484を参照のこと。
【0202】
本明細書に記載及び開示する抗体は、また、プロドラッグ(例、ペプチジル化学療法薬剤)を活性抗癌薬に変換するプロドラッグ活性化酵素に抗体を共役させることにより、ADEPT(抗体指向酵素プロドラッグ治療)手順において使用することができる。例えば、WO 81/01145、WO 88/07378、及び米国特許第4,975,278号を参照のこと。ADEPTのために有用な免疫複合体の酵素成分は、それをそのより活性な細胞傷害形態に変換するような方法でプロドラッグに作用することが可能な酵素である。ADEPTにおいて有用である特定の酵素は、しかし、限定しないが、リン酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するためのアルカリホスファターゼ;硫酸塩含有プロドラッグを遊離薬物に変換するためのアリールスルファターゼ;非毒性5フルオロシトシンを抗癌薬5フルオロウラシルに変換するためのシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するための、プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、及びカテプシン(例えばカテプシンB及びLなど)など;Dアミノ酸置換基を含むプロドラッグを変換するためのDアラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するための炭水化物切断酵素、例えばβガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼなど;βラクタムを用いて誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するためのβラクタマーゼ;及び、それぞれフェノキシアセチル基又はフェニルアセチル基を用いてそれらのアミン窒素で誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するためのペニシリンアミダーゼ、例えばペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼなどを含む。あるいは、酵素活性を有する抗体(「アブザイム」)を使用して、プロドラッグを遊離活性薬物に変換することができる(例えば、Massey, 1987, Nature 328: 457-458を参照のこと)。抗体−アブザイム複合体を、腫瘍細胞集団へのアブザイムの送達のための公知の方法により、例えば、上に考察するヒト化抗IL−23p19抗体/ヘテロ二官能性架橋試薬に酵素を共有結合的に結合することにより調製することができる。あるいは、上に記載する酵素の少なくとも機能的に活性な部分に連結された、本明細書に開示する抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質を、組換えDNA技術を使用して構築することができる(例、Neuberger et al., 1984, Nature 312: 604-608を参照のこと)。
【0203】
特定の実施態様において、インタクトな抗体よりむしろ、ヒト化抗IL−23p19抗体フラグメントを使用し、例えば、腫瘍浸潤を増加させることが望ましいであろう。その血清半減期を増加させるために、抗体フラグメントを修飾することが望ましいであろう。これは、例えば、抗体フラグメント中へのサルベージ受容体結合エピトープの取り込みにより達成することができる。1つの方法において、抗体フラグメントの適切な領域を変化(例、変異)させることができる、又は、エピトープをペプチドタグ中に取り込ませることができる。それは、次に、いずれかの末端で、もしくは中央で、例えば、DNAもしくはペプチド合成により抗体フラグメントに融合させる。例えば、WO 96/32478を参照のこと。
【0204】
他の実施態様において、ヒト化抗IL−23p19抗体の共有結合的な修飾も含まれる。共有結合的な修飾は、システイニル残基、ヒスチジル残基、リジニル及びアミノ末端残基、アルギニル残基、チロシル残基、カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)、グルタミニル及びアスパラギニル残基、又はセリル、又はスレオニル残基の修飾を含む。共有結合的な修飾の別の型は、抗体に化学的又は酵素的に結合するグリコシドを含む。そのような修飾は、適用可能な場合、抗体の化学合成により又は酵素的もしくは化学的切断により作製してもよい。抗体の共有結合的な修飾の他の型は、抗体の標的アミノ酸残基を、選択した側鎖又はアミノもしくはカルボキシ末端残基と反応することが可能である有機誘導体化薬剤と反応させることにより分子中に導入することができる。
【0205】
抗体上に存在する任意の炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に達成することができる。化学的な脱グリコシル化が、Hakimuddin et al., 1987, Arch. Biochem. Biophys. 259:52により及びEdge et al., 1981, Anal. Biochem., 118: 131により記載されている。抗体上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura et al., 1987, Meth. Enzymol 138:350に記載される通りに、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼの使用により達成することができる。
【0206】
有用な共有結合的な修飾の別の型は、抗体を、種々の非タンパク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンなどの1つに、米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号、及び米国特許第4,179,337号の1つ又は複数において示された様式で連結することを含む。
【0207】
ヒト化及びアミノ酸配列変異体
抗IL−23p19抗体のアミノ酸配列変異体は、抗IL−23p19抗体DNA中に適切なヌクレオチド変化を導入することにより、又はペプチド合成により調製することができる。そのような変異体は、例えば、本明細書における実施例の抗IL−23p19抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又はその中への挿入、及び/又はその置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを、最終コンストラクトが所望の特徴を有するという条件で、最終構築物に達するまで作られる。アミノ酸変化は、また、ヒト化又は変異体抗IL−23p19抗体の翻訳後プロセスを変化させうる(例えばグリコシル化部位の数又は位置の変化など)。
【0208】
変異誘発のための好ましい位置である、抗IL−23p19抗体の特定の残基又は領域の同定のための有用な方法は、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれ、Cunningham and Wells(Science, 244: 1081-1085 (1989))により記載される通りである。ここで、残基又は標的残基の群を同定し(例、荷電残基、例えばarg、asp、his、lys、及びgluなど)、中性又は陰性荷電アミノ酸(典型的にはアラニン)により置換され、アミノ酸とIL−23p19抗原との相互作用に影響を及ぼす。置換に対する機能的感受性を示すそれらのアミノ酸位置は、次に、置換の部位で又はそれについてさらなる又は他の変異体を導入することにより洗練される。このように、アミノ酸配列変異を導入するための部位は予め決定されるが、変異自体の性質を予め決定する必要はない。例えば、所与の部位での変異の性能を分析するために、アラニンスキャンニング又はランダム変異誘発を標的コドン又は領域で行い、発現された抗IL−23p19抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
【0209】
アミノ酸配列挿入は、長さが1残基から100又はそれ以上の残基を含むポリペプチドの範囲のアミノ及び/又はカルボキシル末端融合、ならびに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、エピトープタグに融合した抗IL−23p19抗体を含む。抗IL−23p19抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を増加させる酵素又はポリペプチドの抗IL−23p19抗体のN又はC末端への融合を含む。
【0210】
変異体の別の型は、アミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、少なくとも1つのアミノ酸残基が抗IL−23p19抗体分子において除去され、異なる残基がその場所に挿入されている。置換変異誘発のための最も大きな関心部位は、超可変領域を含むが、しかし、FR変化も考慮される。保存的置換を表5において「好ましい置換」の見出しの下に示す。そのような置換が生物学的活性において変化をもたらす場合、次に、より実質的な変化、表示される「例示的な置換」、又は、アミノ酸分類を参照して下にさらに記載される通り、導入し、産物をスクリーニングしてもよい。
【0211】
【表8】
【0212】
タンパク質化学において、抗体の生物学的特性が、(a)置換のエリアにおけるポリペプチド骨格の構造(例えば、シート又はらせん形立体構造として)、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、又は(c)側鎖の原体の維持に対するそれらの効果において有意に異なる置換基を選択することにより達成することができることが一般的に受け入れられている。自然発生する残基は、共通の側鎖特性に基づいて以下の群に分けられる:
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gin、his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro;及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
【0213】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスについて交換することを伴いうる。
【0214】
ヒト化又は変異体抗IL−23p19抗体の適当な立体構造の維持に関与しない任意のシステイン残基は、また、一般的に、セリンと置換してもよく、分子の酸化安定性を改善させる、異常な架橋を防止する、又は細胞傷害性もしくは細胞分裂停止化合物との共役の確立点を提供する。逆に、システイン結合を抗体に加えてもよく、その安定性(特に、抗体が抗体フラグメント、例えばFvフラグメントなどである場合)を改善する。
【0215】
置換変異体の型は、親抗体(例、ヒト化又はヒト抗体)の1つ又は複数の超可変領域残基を置換することを含む。一般的には、さらなる開発のために選択された変異体は、それらが生成された親抗体と比べて、改善した生物学的特性を有しているであろう。そのような置換変異体を生成するための便利な方法は、ファージディスプレイを使用した親和性成熟である。簡単には、いくつかの超可変領域部位(例、6−7部位)を変異させ、各部位での全ての可能なアミノ酸置換を生成する。このように生成された抗体変異体は、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物への融合体として、繊維状ファージ粒子から一価様式でディスプレイされる。ファージディスプレイされた変異体を、次に、その生物学的活性(例、結合親和性)についてスクリーニングする。修飾のための候補の超可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基を同定することができる。あるいは、又は、加えて、抗原−抗体複合体の結晶構造を分析し、抗体とヒトIL−23p19との接触点を同定することが有益でありうる。そのような接触残基及び隣接残基は、本明細書において詳述する技術に従った置換のための候補である。一旦、そのような変異体が生成されれば、変異体のパネルを本明細書に記載する通りにスクリーニングを供し、1つ又は複数の関連アッセイにおける優れた特性を伴う抗体をさらなる開発のために選択してもよい。
【0216】
抗体のアミノ酸変異体の別の型は、抗体の本来のグリコシル化パターンを変化させる。「変化させる」ことにより、抗体中で見出される1つ又は複数の炭水化物部分を欠失すること、及び/又は、抗体中に存在しない1つ又は複数のグリコシル化部位を加えることを意味する。
【0217】
一部の実施態様において、本発明の抗体を修飾し、グリコシル化部位を加えることが望ましいであろう。抗体のグリコシル化は、典型的には、N連結又はO連結のいずれかである。N連結は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着を指す。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(ここでXはプロリンを除く任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付着のための認識配列である。このように、ポリペプチド中でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作製する。O連結グリコシル化は、糖、Nアセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般にはセリン又はスレオニンへの付着を指すが、5ヒドロキシプロリン又は5ヒドロキシリジンも使用してもよい。このように、所与のタンパク質(例、抗体)をグリコシル化するために、タンパク質のアミノ酸配列を操作し、上に記載するトリペプチド配列の1つ又は複数を含む(N連結グリコシル化部位について)。変化は、また、本来の抗体の配列への1つ又は複数のセリン又はスレオニン残基の付加、又はそれによる置換により作られうる(O連結グリコシル化部位について)。
【0218】
抗IL−23p19抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当技術分野において公知の種々の方法により調製される。これらの方法は、限定しないが、天然供給源からの単離(自然発生するアミノ酸配列変異体の場合において)又はオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)変異誘発、PCR変異誘発、抗IL−23p19抗体の以前に調製した変異体又は非変異体バージョンのカセット変異誘発による調製を含む。
【0219】
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、及び組換え方法
他の実施態様は、ヒト化抗IL−23p19抗体をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチド、ベクター、及びポリヌクレオチドを含む宿主細胞、ならびにヒト化抗体の産生のための組換え技術を包含する。単離ポリヌクレオチドは、抗IL−23p19抗体の任意の所望の形態(例えば、全長モノクローナル抗体、Fab、Fab’、F(ab’)
2、及びFvフラグメント、ダイアボディ、直鎖抗体、一本鎖抗体分子、ならびに抗体フラグメントから形成された多特異的抗体を含む)をコードすることができる。
【0220】
一部の実施態様は、配列番号配列番号84、86、88、90、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、又は119のいずれかのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの軽鎖可変領域をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。そのようなアミノ酸配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列は、配列番号83、85、87、89、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、及び118である。一部の実施態様は、配列番号121、123、125、127、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、又は156のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの重鎖可変領域をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。そのようなアミノ酸配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列は、配列番号120、122、124、126、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、又は155である。
【0221】
一部の実施態様は、配列番号158、160、162、又は164のいずれかのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの軽鎖可変領域をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。そのようなアミノ酸配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列は、配列番号157、159、161、又は163である。一部の実施態様は、配列番号166、168、170、又は172のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの重鎖可変領域をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。そのようなアミノ酸配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列は、配列番号165、167、169、又は171である。
【0222】
一部の実施態様は、配列番号174又は180のいずれかのアミノ酸配列を有する抗体の軽鎖をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。そのようなアミノ酸配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列は、配列番号173又は179である。一部の実施態様は、配列番号176又は178のアミノ酸配列を有する抗体の重鎖をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。そのようなアミノ酸配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列は、配列番号175又は177である。
【0223】
一局面において、単離ポリヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号174及び配列番号176;それぞれ配列番号174及び配列番号178;それぞれ配列番号180及び配列番号176;それぞれ配列番号180及び配列番号178のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖可変領域を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする。そのようなアミノ酸配列をコードする例示的なポリヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号173及び175、それぞれ配列番号173及び177、それぞれ配列番号179及び175、それぞれ配列番号179及び177である。
【0224】
ヒト化抗IL−23p19抗体又はそのフラグメントもしくは鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドは、当技術分野において公知の通りに、1つ又は複数の調節又は制御配列に融合することができ、当技術分野において公知の通りに、適した発現ベクター又は宿主細胞に含むことができる。重鎖又は軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド分子の各々は、非依存的に、定常ドメイン(例えばヒト定常ドメインなど)をコードするポリヌクレオチド配列に融合させることができ、インタクトな抗体の産生を可能にする。あるいは、ポリヌクレオチド、又はその部分を一緒に融合することができ、一本鎖抗体の産生のための鋳型を提供する。
【0225】
組換え生産のため、抗体をコードするポリヌクレオチドを、クローニング(DNAの増幅)のため又は発現のために複製可能なベクター中に挿入する。組換え抗体を発現させるための多くの適したベクターが利用可能である。ベクター成分は、一般的に、しかし、限定しないが、以下:シグナル配列、複製起点、1つ又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列の1つ又は複数を含む。
【0226】
ヒト化抗IL−23p19抗体は、また、融合ポリペプチドとして産生することができ、それにおいて、抗体を異種ポリペプチド(例えば成熟タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端に特定の切断部位を有するシグナル配列又は他のポリペプチドなど)と融合する。選択された異種シグナル配列は、典型的には、宿主細胞により認識及びプロセシングされる(即ち、シグナルペプチダーゼにより切断される)ものである。ヒト化抗IL−23p19抗体シグナル配列を認識及びプロセシングしない原核生物宿主細胞について、シグナル配列は原核生物シグナル配列により置換することができる。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、リポタンパク質、熱安定性エンテロトキシンIIのリーダーなどを含む。酵母の分泌のために、天然シグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼアルファ因子(サッカロミセス及びクルイベロミセスα因子リーダーを含む)、酸性ホスファターゼ、Cアルビカンスグルコアミラーゼから得られたリーダー配列、又はWO90/13646に記載されるシグナルを用いて置換することができる。哺乳動物細胞において、哺乳動物シグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルを使用することができる。そのような前駆体領域のためのDNAを、ヒト化抗IL−23p19抗体をコードするDNAにリーディングフレーム中で連結する。
【0227】
発現ベクター及びクローニングベクターは、ベクターが1つ又は複数の選択された宿主細胞において複製することを可能にする核酸配列を含む。一般的に、クローニングベクターにおいて、この配列は、ベクターが宿主染色体DNAに非依存的に複製することを可能にし、複製起点又は自己複製配列を含むものである。そのような配列は、種々の細菌、酵母、及びウイルスについて周知である。プラスミドpBR322からの複製起点は大半のグラム陰性細菌について適しており、2−νプラスミド起点は酵母について適しており、種々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、及びBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターのために有用である。一般的には、複製起点成分は、哺乳動物の発現ベクター(SV40起点を典型的に使用することができる。だた、なぜなら、それは初期プロモーターを含むからである)のために必要とされない。
【0228】
発現ベクター及びクローニングベクターは、発現の同定を促進するための選択可能なマーカーをコードする遺伝子を含みうる。典型的な選択可能なマーカー遺伝子は、抗生物質又は他の毒素(例、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、又はテトラサイクリン)に対する耐性を付与するタンパク質をコードする、又は、あるいは、栄養要求性欠損を補完する、又は、他の選択肢において、複合培地中に存在しない特定の栄養素(例、バシラスについてのDアラニンラセマーゼをコードする遺伝子)を供給する。
【0229】
選択スキームの1つの例では、宿主細胞の成長を停止するための薬物が利用される。異種遺伝子を用いて成功裏に形質転換されたそれらの細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を産生し、このように、選択レジメンを生き延びる。そのような優性選択の例では、薬物ネオマイシン、ミコフェノール酸、及びハイグロマイシンが使用される。哺乳動物細胞のための一般的な選択可能なマーカーは、ヒト化抗IL−23p19抗体をコードする核酸を取り込む能力がある細胞の同定を可能にするもの、例えばDHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)、チミジンキナーゼ、メタロチオネインI及びII(例えば霊長類メタロチオネイン遺伝子など)、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどである。DHFR選択遺伝子を用いて形質転換された細胞を、最初に、メトトレキサート(MTX)、DHFRの競合的アンタゴニストを含む培養培地中で形質転換体の全てを培養することにより同定する。野生型DHFRを用いた場合での適切な宿主細胞は、DHFR活性を欠損するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例、DG44)である。
【0230】
あるいは、抗IL−23p19抗体、野生型DHFRタンパク質、及び別の選択可能なマーカー(例えばアミノグリコシド3’ホスホトランスフェラーゼ(APH)など)をコードするDNA配列を用いて形質転換又は同時形質転換された宿主細胞(特に、内因性DHFRを含む野生型宿主)を、選択可能なマーカーについての選択薬剤、例えばアミノグリコシド系抗生物質(例、カナマイシン、ネオマイシン、又はG418)などの選択薬剤を含む培地中での細胞成長により選択することができる。例えば、米国特許第4,965,199号を参照のこと。
【0231】
組換え産生を宿主細胞としての酵母細胞において実施する場合、酵母プラスミドYRp7(Stinchcomb et al., 1979, Nature 282: 39)中に存在するTRP1遺伝子を選択可能なマーカーとして使用することができる。TRP1遺伝子は、トリプトファン中で成長する能力を欠く酵母の変異株(例えば、ATCC番号44076又はPEP4−1)のための選択マーカーを提供する(Jones, 1977, Genetics 85: 12)。酵母宿主細胞ゲノム中のtrp1破壊の存在は、次に、トリプトファンの非存在における成長により形質転換を検出するための効果的な環境を提供する。同様に、Leu2p欠損酵母株(例えばATCC20622及び38626など)は、LEU2遺伝子を持つ公知のプラスミドにより補完される。
【0232】
また、1.6μmの環状プラスミドpKD1に由来するベクターを、クルイベロミセス酵母の形質転換のために使用することができる。あるいは、組換えウシキモシンの大規模産生のための発現系が、Kラクティスについて報告された(Van den Berg, 1990, Bio/Technology 8: 135)。クルイベロミセスの工業株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌のための安定したマルチコピー発現ベクターも開示されている(Fleer et al., 1991, Bio/Technology 9: 968-975)。
【0233】
発現ベクター及びクローニングベクターは、通常、宿主生物により認識され、抗IL−23p19抗体又はそのポリペプチド鎖をコードする核酸分子に動作可能に連結されたプロモーターを含む。原核生物宿主を用いた使用のために適したプロモーターは、phoAプロモーター、βラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びハイブリッドプロモーター(例えばtacプロモーターなど)を含む。他の公知の細菌プロモーターも適する。細菌系における使用のためのプロモーターは、また、ヒト化抗IL−23p19抗体をコードするDNAに動作可能に連結されたシャイン・ダルガノ(SD)配列を含む。
【0234】
多くの真核生物プロモーター配列が公知である。実質的に、全ての真核生物の遺伝子は、転写が開始される部位から約25〜30塩基上流に位置付けられるATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70〜80塩基上流で見出される別の配列は、CNCAAT領域であり、ここでNは任意のヌクレオチドである。大半の真核生物遺伝子の3’末端には、コード配列の3’末端へのポリAテールの付加のためのシグナルでありうるAATAAA配列がある。これらの配列の全てが、真核生物の発現ベクター中に適切に挿入される。
【0235】
酵母宿主を用いた使用のための適したプロモーター配列の例は、3ホスホグリセリン酸キナーゼ又は他の解糖酵素(例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼなど)のためのプロモーターを含む。
【0236】
誘導プロモーターは、成長条件により制御される転写の追加の利点を有する。これらは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する誘導体酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトース及びガラクトース利用に関与する酵素のための酵母プロモーター領域を含む。酵母発現における使用のための適したベクター及びプロモーターが、EP 73,657にさらに記載されている。酵母エンハンサーが、また、酵母プロモーターと有利に使用される。
【0237】
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのヒト化抗IL−23p19抗体の転写は、例えば、ウイルス、例えばポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びシミアンウイルス40(SV40)などのゲノムから、異種性哺乳動物プロモーター(例、アクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター)から、又は、熱ショックプロモーターから得られるプロモーターにより制御される(そのようなプロモーターが宿主細胞系と適合するという条件で)。
【0238】
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点も含むSV40制限断片として便利に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIII E制限断片として便利に得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを使用した哺乳動物宿主においてDNAを発現するためのシステムが、米国特許第4,419,446号に開示されている。このシステムの改変が、米国特許第4,601,978号に記載されている。また、Reyes et al., 1982, Nature 297: 598-601を参照のこと(単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞におけるヒトpインターフェロンcDNAの発現を開示する)。あるいは、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復をプロモーターとして使用することができる。
【0239】
組換え発現ベクターにおいて使用することができる別の有用なエレメントは、エンハンサー配列であり、それを使用し、より高等な真核生物によるヒト化抗IL−23p19抗体をコードするDNAの転写を増加させる。多くのエンハンサー配列が、現在、哺乳動物遺伝子(例、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、αフェトプロテイン、及びインシュリン)から公知である。典型的には、しかし、真核細胞ウイルスからのエンハンサーが使用される。例は、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100−270bp)、サイトメガロウイルスの初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーを含む。真核生物プロモーターの活性化のための増強エレメントの説明については、Yaniv, 1982, Nature 297: 17-18も参照のこと。エンハンサーは、ヒト化抗IL−23p19抗体をコードする配列に対する位置5’又は3’でベクター中にスプライシングされうるが、しかし、好ましくはプロモーターから5’部位に位置付けられる。
【0240】
真核生物の宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物からの有核細胞)において使用される発現ベクターは、また、転写の終結のために及びmRNAの安定化のために必要な配列を含むことができる。そのような配列は、一般に、真核生物又はウイルスのDNAもしくはcDNAの5’及び、時折3’非翻訳領域から利用可能である。これらの領域は、抗IL−23p19抗体をコードするmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026及びそれにおいて開示される発現ベクターを参照のこと。一部の実施態様において、ヒト化抗IL−23p19抗体は、CHEFシステムを使用して発現することができる(例えば、米国特許第5,888,809号を参照のこと;その開示は参照により本明細書に組み入れられる)。
【0241】
本明細書におけるベクター中でDNAをクローン化又は発現するための適した宿主細胞は、上に記載する原核生物細胞、酵母細胞、又はより高等な真核細胞である。この目的のための適した原核生物は、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性菌、例えば、腸内細菌、例えばエシェリヒア、例、大腸菌、エンテロバクター、エルビニア、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例、サルモネラ・チフィリウム、セラチア、例、セラチア・マルセスセンス、及びシゲラなど、ならびにバシラス、例えばBスブチリス及びBリケニホルミスなど(例、DD266710に開示され、1989年4月12日に公開されたBリケニホルミス41P)、シュードモナス、例えばPエルジノーサなど、及びストレプトミセスを含む。1つの好ましい大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC 31,446)であるが、他の株、例えば大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC 31,537)、及び大腸菌W3110(ATCC 27,325)なども適する。これらの例は、限定的よりむしろ例示的である。
【0242】
原核生物に加えて、真核微生物、例えば糸状菌又は酵母などが、ヒト化抗IL−23p19抗体をコードするベクターのための適したクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレビシエ、又は一般的なパン酵母は、より下等な真核宿主微生物の間で最も一般に使用される。しかし、多数の他の属、種、及び株が一般に利用可能であり、本明細書において有用である:例えばシゾサッカロミセス・ポンベなど;クルイベロミセス宿主、例えばKラクティス、Kフラジリス(ATCC 12,424)、Kブルガリ(ATCC 16,045)、Kウイッケルハミイ(wickeramii)(ATCC 24,178)、Kワルチイ(ATCC 56,500)、Kドロソフィラルム(ATCC 36,906)、Kサーモトレランス、及びKマルキシアナスなど;ヤロウィア(EP 402,226);ピキア・パストリス(pastors)(EP 183,070);カンジダ;トリコデルマ・レーシア(Trichoderma reesia)(EP 244,234);アカパンカビ;シュワンニオミセス、例えばシュワンニオミセス・オシデンタリスなど;及び糸状菌、例えばニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラジウム、ならびにアスペルギルス宿主、例えばAニジュランス及びAニガーなど。
【0243】
グリコシル化されたヒト化抗IL−23p19抗体の発現のための適した宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例は、植物及び昆虫細胞を含み、例えば、多数のバキュロウイルス株及び変異体ならびに宿主、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(毛虫)、ネッタイシマカ(蚊)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、及びカイコガ(カイコ)などからの対応する許容昆虫宿主細胞を含む。トランスフェクションのための種々のウイルス株が公的に利用可能であり、例えば、オートグラファ・カリフォルニカNPVのL−1変異体及びカイコガNPVのBm−5株であり、そのようなウイルスは、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションのために使用してもよい。
【0244】
綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、及びタバコの植物細胞培養物も宿主として利用することができる。
【0245】
別の局面において、ヒト化抗IL−23p19の発現は、脊椎動物細胞において行われる。培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は通常の手順となっており、技術を広く利用可能である。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL 1651)、ヒト胎児腎臓株(293細胞又は浮遊培養中での成長のためにサブクローン化された293細胞(Graham et al., 1977, J. Gen Virol. 36: 59))、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR1(CHO、Urlaub et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216;例、DG44)、マウスセルトリ細胞(TM4, Mather, 1980, Biol. Reprod. 23: 243-251)、サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587)、ヒト子宮頚癌細胞(HELA、ATCC CCL 2)、イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL34)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51)、TR1細胞(Mather et al., 1982, Annals N.Y. Acad. Sci. 383: 44-68)、MRC5細胞、FS4細胞、及びヒト肝癌株(HepG2)である。
【0246】
宿主細胞は、ヒト化抗IL−23p19抗体産生のために、上に記載する発現又はクローニングベクターを用いて形質転換し、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために、適宜改変された従来の栄養培地中で培養される。
【0247】
本明細書に記載するヒト化抗IL−23p19抗体を産生するために使用される宿主細胞は、種々の培地中で培養されうる。商業的に利用可能な培地、例えばハムF10(Sigma-Aldrich Co., St. Louis, Mo.)、最小必須培地((MEM)(Sigma-Aldrich Co.)、RPMI−1640(Sigma-Aldrich Co.)、及びダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma-Aldrich Co.)などが、宿主細胞を培養するために適している。また、Ham et al., 1979, Meth. Enz. 58: 44、Barnes et al., 1980, Anal. Biochem. 102: 255、米国特許第4,767,704号、米国特許第4,657,866号、米国特許第4,927,762号、米国特許第4,560,655号、米国特許第5,122,469号、WO 90/103430、及びWO 87/00195の1つ又は複数において記載される培地のいずれかを、宿主細胞のための培養培地として使用してもよい。これらの培地のいずれかを、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインシュリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子など)、塩(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸など)、緩衝剤(例えばHEPESなど)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジンなど)、抗生物質(例えばゲンタマイシンなど)、微量元素(通常、最終濃度がマイクロモル範囲で存在する無機化合物として定義される)、及びグルコース又は等価のエネルギー供給源を用いて添加してもよい。他のサプリメントは、また、当業者に公知でありうる適切な濃度で含まれうる。培養条件、例えば温度、pHなどは、発現のために選択された宿主細胞を用いて以前に使用されたものであり、当業者に明らかであろう。
【0248】
組換え技術を使用する場合、抗体を、細胞膜周辺腔において細胞内で産生させる、又は培地中に直接分泌させることができる。抗体が細胞内で産生される場合、細胞を、最初の段階として、破壊してタンパク質を放出してもよい。粒子状デブリ(宿主細胞又は溶解断片のいずれか)を、例えば遠心又は限外濾過により除去することができる。Carter et al., 1992, Bio/Technology 10: 163-167には、大腸菌の細胞膜周辺腔に分泌される抗体を単離するための手順が記載されている。簡単には、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の存在において約30分にわたり解凍する。細胞デブリを遠心により除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、そのような発現系からの上清を、一般的には、最初に、商業的に利用可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon又はMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して濃縮する。プロテアーゼ阻害剤(例えばPMSFなど)が先の工程のいずれかに含まれ、タンパク質分解を阻害しうる。抗生物質が含まれ、外来性の汚染物質の成長を防止しうる。種々の方法を使用して、宿主細胞から抗体を単離することができる。
【0249】
細胞から調製した抗体組成物を、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーが典型的な精製技術である。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。プロテインAを使用して、ヒトガンマ1、ガンマ2、又はガンマ4重鎖に基づく抗体を精製することができる(例、Lindmark et al., 1983 J. Immunol. Meth. 62: 1-13を参照のこと)。プロテインGが、全てのマウスアイソタイプについて及びヒトガンマ3について推奨される(例、Guss et al., 1986 EMBO J. 5: 1567-1575を参照のこと)。アフィニティーリガンドが付着しているマトリックスは、最もしばしばアガロースであるが、しかし、他のマトリックスを利用可能である。機械的に安定なマトリックス、例えば孔制御ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどは、アガロースを用いて達成できるものより速い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がC
H3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker, Phillipsburg, N.J.)が精製のために有用である。タンパク質精製のための他の技術、例えばイオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラムなど)上でのヘパリンSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィー上でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿なども、回収すべき抗体に依存して利用可能である。
【0250】
任意の予備的な精製工程に続き、目的の抗体及び汚染物質を含む混合物を、約2.5〜4.5の間のpHの溶出緩衝液を使用する、典型的には低塩濃度(例、約0〜0.25M塩)で実施する、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供してもよい。
【0251】
また、本発明の抗体又は抗体フラグメントをコードする単離ポリヌクレオチド配列により表されるヌクレオチド配列の全て又は部分(例、可変領域をコードする部分)に、本明細書に記載する、低い、中程度の、及び高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸が含まれる。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、典型的には、少なくとも15(例、20、25、30、又は50)ヌクレオチド長である。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、抗IL−23p19ポリペプチド(例、重鎖又は軽鎖可変領域)、又はその相補体をコードする核酸の部分又は全部の配列と、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一である。本明細書に記載する型のハイブリダイズ核酸を、例えば、クローニングプローブ、プライマー(例、PCRプライマー)、又は診断プローブとして使用することができる。
【0252】
一部の実施態様は、配列番号84、86、88、90、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、又は119のいずれか1つのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする、及び、配列番号83、85、87、89、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、又は118のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。
【0253】
一部の実施態様は、配列番号158、160、162、又は164のいずれか1つのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする、及び、配列番号157、159、161、又は163のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。
【0254】
一部の実施態様は、配列番号121、123、125、127、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、又は156のいずれか1つのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする、及び、配列番号120、122、124、126、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、又は155のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。
【0255】
一部の実施態様は、配列番号166、168、170、又は172のいずれか1つのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする、及び、配列番号165、167、169、又は171のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。
【0256】
一部の実施態様は、配列番号84、86、88、90、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、又は119のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。一部の実施態様は、配列番号158、160、162、又は164のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。一部の実施態様は、配列番号121、123、125、127、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、又は156のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である重鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。一部の実施態様は、配列番号166、168、170、又は172のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である重鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。本明細書において使用する通り、「同一」又は「パーセント同一性」という用語は、2つ又はそれ以上の核酸配列又はポリペプチド配列の文脈において、最大の対応について比較及び整列させた場合に、同じである、あるいは、同じであるヌクレオチド又はアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有する2つ又はそれ以上の配列又は部分配列を指す。パーセント同一性を決定するために、配列を、最適な比較の目的のために整列させる(例えば、ギャップを、第2のアミノ酸配列又は核酸配列との最適なアライメントのために第1のアミノ酸配列又は核酸配列の配列中に導入することができる)。対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置のアミノ酸残基又はヌクレオチドを次に比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドにより占められる場合、次に、分子はその位置で同一である。2つの配列の間のパーセント同一性は、配列により共有される同一位置の数の関数である(即ち、%同一性=同一位置の#/位置の合計#(例、重複する位置)×100)。一部の実施態様において、比較される2つの配列は、適切な場合、ギャップを配列内に導入した後に同じ長さである(例、比較されている配列を越えて伸長する追加配列を除く)。例えば、可変領域配列を比較する場合、リーダー及び/又は定常ドメイン配列は考慮されない。2つの配列間での配列比較のために、「対応する」CDRは、両方の配列の同じ位置におけるCDRを指す(例、各配列のCDR−H1)。
【0257】
2つの配列間でのパーセント同一性又はパーセント類似性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin and Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 2264-2268のアルゴリズムであり、Karlin and Altschul, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5877において改変されている。そのようなアルゴリズムは、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215: 403-410のNBLAST及びXBLASTプログラム中に組み入れられる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて実施し、目的のタンパク質をコードする核酸に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実施し、目的のタンパク質に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較の目的ためのギャップ付きアライメントを得るために、Gapped BLASTを、Altschul et al., 1997, NuC
Leic Acids Res.25:3389-3402に記載される通りに利用することができる。あるいは、PSI-Blastを使用し、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施することができる(同上)。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、Myers and Miller, CABIOS (1989)のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムはALIGNプログラム(バージョン2.0)中に組み入れられ、それはGCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部である。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量残基表、ギャップ長ペナルティー12、及びギャップペナルティー4を使用することができる。配列分析のための追加アルゴリズムが当技術分野において公知であり、Torellis and Robotti, 1994, Comput. Appl. Biosci. 10: 3-5において記載されるADVANCE及びADAMを含む;FASTAは、Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444-8に記載されている。FASTA内で、ktupは、検索の感度及びスピードを設定する制御オプションである。ktup=2の場合、比較されている2つの配列における類似の領域が、整列残基の対を見ることにより見出される;ktup=1の場合、単一の整列アミノ酸を検証する。ktupは、タンパク質配列について2又は1に、あるいはDNA配列について1〜6に設定することができる。ktupが特定されていない場合のデフォルトは、タンパク質についての2及びDNAについての6である。あるいは、タンパク質配列アライメントは、Higgins et al., 1996, Methods Enzymol.266:383-402により記載される通り、CLUSTAL Wアルゴリズムを使用して行ってもよい。
【0258】
非治療的な使用
本明細書に記載する抗体は、アフィニティ精製薬剤として有用である。このプロセスにおいて、抗体を、当技術分野において周知の方法を使用して、固相(例えばプロテインA樹脂など)上に固定化する。固定化抗体を、精製するIL−23p19タンパク質(又はそのフラグメント)を含むサンプルと接触させ、その後、支持体を、IL−23p19タンパク質(固定化抗体に結合されている)を除く、サンプル中の実質的に全ての材料を除去する適した溶媒を用いて洗浄する。最後に、支持体を、IL−23p19タンパク質を抗体から放出する別の適した溶媒を用いて洗浄する。
【0259】
抗IL−23p19抗体、例えば、ヒト化抗IL−23p19抗体は、また、IL−23タンパク質を検出及び/又は定量化するための診断アッセイ、例えば、特定の細胞、組織、又は血清においてIL−23発現を検出する際に有用である。抗IL−23p19抗体を診断的に使用し、例えば、臨床検査手順の一部として疾患の発生又は進行をモニターし、例えば、所与の処置及び/又は防止の効力を決定することができる。検出は、抗IL−23p19抗体を共役することにより促進することができる。検出可能物質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、放射性材料、種々の陽電子放射断層撮影を使用した陽電子放出金属、及び非放射性常磁性金属イオンを含む。本発明に従った診断法としての使用のために抗体に共役することができる金属イオンについては、例えば、米国特許第4,741,900号を参照のこと。
【0260】
抗IL−23p19抗体を、IL−23関連障害(例、IL−23の異常発現により特徴付けられる障害)を診断するための方法において、又は、被験者がIL−23関連障害を発生する増加リスクを有するか否かを決定するために使用することができる。そのような方法は、被験者からの生物学的サンプルをIL−23p19抗体と接触させること、及び、IL−23p19への抗体の結合を検出することを含む。「生物学的サンプル」により、個体、細胞株、組織培養、又はIL−23を潜在的に発現する細胞の他の供給源から得られた任意の生物学的サンプルが意図される。哺乳動物から組織生検及び体液を得るための方法は、当技術分野において周知である。
【0261】
一部の実施態様において、方法は、さらに、患者サンプル中のIL−23のレベルをコントロールサンプル(例、IL−23関連障害を有さない被験者)と比較し、患者がIL−23関連障害を有する又はIL−23関連障害を発生するリスクがあるか否かを決定することを含みうる。
【0262】
一部の実施態様において、例えば、診断目的のために、検出可能な成分を用いて抗体を標識することが有利でありうる。多数の検出可能な標識を利用可能である(ラジオアイソトープ、蛍光標識、酵素基質標識などを含む)。標識を、種々の公知の技術を使用して、間接的に抗体と共役させてもよい。
【0263】
例えば、抗体をビオチンと共役させることができ、上に言及する標識の3つの広いカテゴリーのいずれかをアビジンと共役させることができる(逆もまた同様)。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、このように、標識は、この間接的な様式で抗体と共役させることができる。あるいは、標識と抗体との間接的な共役を達成するために、抗体を、小さなハプテン(例えばジゴキシンなど)と共役させることができ、上に言及する異なる型の標識の1つを、抗ハプテン抗体(例、抗ジゴキシン抗体)と共役させる。このように、標識と抗体との間接的な共役を達成することができる。
【0264】
例示的なラジオアイソトープ標識は、
35S、
14C、
125I、
3H、及び
131Iを含む。抗体は、例えば、Current Protocols in Immunology, Volumes 1 and 2, 1991, Coligen et al., Ed. Wiley-Interscience, New York, N.Y., Pubsに記載されている技術を使用して、ラジオアイソトープを用いて標識することができる。放射活性は、例えば、シンチレーション計数により測定することができる。
【0265】
例示的な蛍光標識は、希土類キレート(ユーロピウムキレート)に由来する標識を含み、又は、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリトリン、及びテキサスレッドが利用可能である。蛍光標識は、公知の技術、例えば、Current Protocols in Immunology(上記)に開示されているものなどを介して抗体に共役させることができる。蛍光は、蛍光光度計を使用して定量化することができる。
【0266】
当技術分野において公知である種々の十分に特徴付けられた酵素−基質標識がある(例、総説については、米国特許第4,275,149号を参照のこと)。酵素は、一般的に、種々の技術を使用して測定することができる発色基質の化学変化を触媒する。例えば、変化は、分光光度法で測定することができる基質における色の変化でありうる。あるいは、酵素は、基質の蛍光又は化学発光を変化させうる。蛍光における変化を定量化するための技術を上に記載している。化学発光基質は化学反応により電子的に励起され、次に、化学発光計を使用して測定することができる光を放出しうる、例えば、又はエネルギーを蛍光アクセプターに供与する。
【0267】
酵素標識の例は、ルシフェラーゼ、例えばホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)など、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼなど)、複素環(heterocydic)オキシダーゼ(例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなど)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼなどを含む。酵素を抗体に共役させるための技術が、例えば、O'Sullivan et al., 1981, Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay, in Methods in Enzym. (J. Langone & H. Van Vunakis, eds.), Academic press, N.Y., 73: 147-166に記載されている。
【0268】
酵素−基質の組み合わせの例は、例えば、以下:基質として水素ペルオキシダーゼを伴う西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、それにおいて水素ペルオキシダーゼは色素前駆体、例えばオルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB)などを酸化する;発色基質としてパラニトロフェニルリン酸を伴うアルカリホスファターゼ(AP);及び、発色基質、例えばp−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼなど又は蛍光発生基質4メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼを伴うβ−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)を含む。
【0269】
多数の他の酵素−基質の組み合わせが、当業者に利用可能である。これらの一般的な総説については、米国特許第4,275,149号及び米国特許第4,318,980号を参照のこと。
【0270】
別の実施態様において、ヒト化抗IL−23p19抗体を非標識で使用し、ヒト化抗IL−23p19抗体に結合する標識抗体を用いて検出する。
【0271】
本明細書に記載する抗体を、任意の公知のアッセイ方法、例えば競合結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイなどにおいて用いてもよい。例えば、Zola, MonoC
Lonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158 (CRC Press, Inc.1987)を参照のこと。
【0272】
抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントを使用し、IL−23受容体へのIL−23の結合を阻害することができる。そのような方法は、細胞(例、哺乳動物細胞)又は細胞環境に抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントを投与し、それにより、IL−23受容体により媒介されるシグナル伝達が阻害されることを含む。そのような方法は、インビトロ又はインビボで行うことができる。「細胞環境」により、細胞周囲の組織、培地、又は細胞外マトリックスが意図される。抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントを、細胞の細胞環境に投与し、抗体又はフラグメントが、細胞外及び細胞周囲のIL−23分子に結合することが可能であり、従って、IL−23のその受容体への結合を防止するようにする。
【0273】
診断キット
抗IL−23p19抗体は、診断キット、即ち、所定量の試薬と診断アッセイを実施するための指示とのパッケージ化された組み合わせにおいて使用することができる。抗体が酵素を用いて標識される場合、キットは、酵素により要求される基質及び補因子、例えば、検出可能な発色団又はフルオロフォアを提供する基質前駆体などを含んでもよい。また、他の添加剤を含んでもよい(例えば安定化剤、緩衝剤(例えば、ブロック緩衝剤又は溶解緩衝剤)など)。種々の試薬の相対量を広く変動させ、アッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液中での濃度を提供しうる。試薬は、乾燥粉末(通常は凍結乾燥されており、溶解時に適切な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含む)として提供してもよい。
【0274】
治療的な使用
別の実施態様において、本明細書に開示するヒト化抗IL−23p19抗体は、本明細書に記載するIL−23p19の発現に関連する種々の障害の処置において有用である。IL−23関連障害を処置するための方法は、治療的に効果的な量のヒト化抗IL−23p19抗体を、それを必要とする被験者に投与することを含む。
【0275】
ヒト化抗IL−23p19抗体又は薬剤は、任意の適した手段(非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内を含む)、局所の免疫抑制処置のために望ましい場合、病巣内投与(移植前に移植片と抗体を灌流又はそうでなければ接触させることを含む)により投与される。ヒト化抗IL−23p19抗体又は薬剤は、例えば、注入として又はボーラスとして投与することができる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。また、ヒト化抗IL−23p19抗体は、特に減少用量の抗体を用いて、パルス注入により適切に投与する。一局面において、服用は、投与が短時間又は慢性であるかに部分的に依存して、注射により、最も好ましくは静脈内又は皮下注射により与える。
【0276】
疾患の防止又は処置のために、抗体の適切な投与量は、種々の因子、例えば処置すべき疾患の型(上に定義する)、疾患の重症度及び経過、抗体が防止的又は治療的な目的のために投与されるか否か、以前の治療、患者の病歴及び抗体への応答、ならびに主治医の判断に依存する。抗体は、1回又は一連の処置にわたり患者に適切に投与される。
【0277】
疾患の型及び重症度に依存して、抗体の約1μg/kg〜20mg/kg(例、0.1〜15mg/kg)は、例えば、1つ又は複数の別々の投与による又は連続注入によるかを問わず、患者に投与するための初期候補投与量である。典型的な1日投与量は、上に言及する因子に依存して、約1μg/kg〜100mg/kg又はそれ以上の範囲でありうる。数日間にわたり又はそれより長い反復投与のために、状態に依存して、処置は、疾患症状の所望の抑制が生じるまで持続される。しかし、他の投与計画も有用でありうる。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイにより簡単にモニターされる。例示的な服用計画はWO 94/04188に開示されるものである。
【0278】
用語「抑制」は、「寛解」及び「緩和」と同じ文脈で本明細書において使用され、疾患の1つ又は複数の特徴の軽減を意味する。
【0279】
抗体組成物は、良好な医療行為と一致する様式で製剤化、服用、及び投与される。この文脈における考慮のための因子は、処置されている特定の障害、処置されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジュール、及び医療従事者に公知の他の因子を含む。投与される抗体の「治療的に効果的な量」は、そのような考慮により支配され、IL−23発現に関連する障害を防止、寛解、又は処置するために必要な最小量である。
【0280】
抗体は、問題の障害を防止又は処置するために現在使用される1つ又は複数の薬剤を用いて製剤化する必要はないが、しかし、場合による。そのような他の薬剤の効果的な量は、製剤中に存在するヒト化抗IL−23p19抗体の量、障害又は処置の型、及び上で考察する他の因子に依存する。これらは、一般的に、同じ投与量で、上文に使用された投与経路を用いて、又は、先に用いられた投与量の約1〜99%で使用される。
【0281】
IL−23関連障害
抗IL−23p19抗体又は薬剤は、IL−23p19の異常発現により、例えば、免疫細胞(例、リンパ球又は樹状細胞)の不適切な活性化により特徴付けられる免疫学的障害を処置又は防止するために有用である。IL−23のそのような異常発現は、例えば、増加したIL−23タンパク質レベルに起因しうる。抗IL−23p19抗体又はその抗原結合フラグメントでは、また、呼吸器障害、代謝性障害(例えば糖尿病)、及び特定の癌の処置又は防止における使用が見出される。本明細書に記載する方法に従った、免疫学的障害、呼吸器障害、代謝性障害、又は癌の処置又は防止は、そのような処置又は防止を必要とする被験者に、効果的な量の抗IL−23p19抗体又は薬剤を投与することにより達成され、それにより、抗体は、疾患状態に関連するIL−23の活性を減少させる。
【0282】
免疫細胞の不適切な活性化により特徴付けられ、本明細書に記載する方法により処置又は防止することができる免疫学的疾患は、例えば、疾患の基礎となる過敏反応の型により分類することができる。これらの反応は、典型的には、4つの型に分類される:アナフィラキシー反応、細胞傷害性(細胞溶解性)反応、免疫複合体反応、又は細胞媒介性免疫(CMI)反応(また、遅延型過敏(DTH)反応として言及される)。免疫学的疾患は炎症性疾患及び自己免疫疾患を含む(例、Fundamental Immunology (William E. Paul ed., Raven Press, N.Y., 3rd ed.1993)を参照のこと)。
【0283】
そのような免疫学的疾患の特定の例は、以下:関節リウマチ、自己免疫脱髄性疾患(例、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎)、内分泌眼症(endocrine opthalmopathy)、網膜ブドウ膜炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、グレーブス病、糸球体腎炎、自己免疫肝臓疾患、炎症性腸疾患(例、クローン病又は潰瘍性結腸炎)、アナフィラキシー、アレルギー反応、シェーグレン症候群、I型糖尿病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、線維筋痛症、多発性筋炎、皮膚筋炎、炎症性筋炎、多発性内分泌不全、シュミット症候群、自己免疫性ブドウ膜炎、アジソン病、副腎炎、甲状腺炎、橋本甲状腺炎、自己免疫甲状腺疾患、悪性貧血、胃萎縮、慢性肝炎、ルポイド肝炎、アテローム性動脈硬化症、亜急性皮膚エリテマトーデス、副甲状腺機能低下症、ドレスラー症候群、自己免疫性血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑、溶血性貧血、尋常性天疱瘡、天疱瘡、疱疹状皮膚炎、脱毛症アルカタ、類天疱瘡、強皮症、進行性全身性硬化症、CREST症候群(石灰沈着、レイノー現象、食道運動障害、強指症(sC
Lerodactyl))、及び毛細血管拡張)、男性と女性の自己免疫性不妊症、強直脊椎炎(ankylosing spondolytis)、潰瘍性大腸炎、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎(polyarteritis nedosa)、全身性壊死性血管炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、グッドパスチャー症候群、シャーガス病、サルコイドーシス、リウマチ熱、喘息、再発性流産、抗リン脂質症候群、農夫肺、多形性紅斑、心切開術後症候群、クッシング症候群、自己免疫性慢性活動性肝炎、トリ愛好者肺、中毒性表皮壊死症、アルポート症候群、肺胞炎、アレルギー性肺胞炎、線維性肺胞炎、間質性肺疾患、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、輸血反応、高安動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、側頭動脈炎、住血吸虫症、巨細胞性動脈炎、回虫症、アスペルギルス症、サムター症候群(Sampter’s syndrome)、湿疹、リンパ腫様肉芽腫症、ベーチェット病、カプラン症候群、川崎病、デング熱、脳脊髄炎、心内膜炎、心内膜心筋線維症、眼内炎、持続性隆起性紅斑、乾癬、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎(eosinophilic faciitis)、シュルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎、慢性毛様体炎、異時性毛様体炎、フックス毛様体炎、IgA腎症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、移植片対宿主疾患、移植拒絶反応、心筋症、イートン・ランバート症候群、再発性の多発性軟骨炎、クリオグロブリン血症、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、エヴァン症候群、急性呼吸窮迫症候群、肺炎症、骨粗鬆症、遅延型過敏症、及び自己免疫性腺機能不全を含む。
【0284】
一部の実施態様において、免疫学的障害は、T細胞媒介性免疫疾患であり、したがって、本明細書に記載する抗IL−23p19抗体及び薬剤は、また、T細胞媒介性免疫学的障害を処置又は防止するために有用である。
【0285】
一局面において、抗IL−23p19抗体又は薬剤は、IL−23が異常に発現される呼吸器障害を処置又は防止するために有用である。呼吸器障害の処置又は防止は、本明細書に記載する方法に従って、そのような処置又は防止を必要とする被験者に、効果的な量の抗IL−23p19抗体又は薬剤を投与することにより達成され、それにより、抗体は、疾患状態に関連するIL−23の活性を減少させる。これらは、しかし、限定しないが、以下:呼吸器不快感、種々の由来の閉塞性肺疾患、種々の由来の肺気腫、拘束性肺疾患、間質性肺疾患、間質性肺疾患、嚢胞性線維症、種々の由来の気管支炎、気管支拡張症、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)、及び全ての形態の肺水腫;COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、気管支喘息、小児喘息、重度の喘息、急性喘息発作、及び慢性気管支炎の間より選択される閉塞性肺疾患;COPD(慢性閉塞性肺疾患)又はα1プロテイナーゼ阻害剤欠乏においてその由来を有する肺気腫;アレルギー性肺胞炎、仕事関連の有害物質により誘発される拘束性肺疾患(例えば石綿肺又は珪肺など)、及び肺腫瘍により起こされる拘束(例えば癌性リンパ管症、気管支肺胞癌、及びリンパ腫など)の間より選択される拘束性肺疾患;感染、例えば、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、蠕虫、又は他の病原体による感染により起こされる肺炎、種々の因子(例えば、吸引及び左心不全、放射線誘発性肺炎、又は線維症など)により起こされる肺炎、膠原、例えばエリテマトーデス、全身性強皮症又はサルコイドーシス、肉芽腫、例えばベック病、特発性間質性肺炎、又は特発性肺線維症(IPF)など;嚢胞性線維症、細菌又はウイルス感染により起こされる気管支炎、アレルギー性気管支炎、及び毒性気管支炎;気管支拡張症;肺水腫、例えば、有毒物質及び外来物質の吸引又は吸入後の毒性肺水腫;鼻炎、関節炎及び関連関節症、乾癬、骨髄性白血病、多発性硬化症、アルツハイマー病、糸球体腎炎、ならびに慢性アトピー性皮膚炎を含む。
【0286】
別の局面において、本明細書に記載する抗IL−23p19抗体及び薬剤は、また、IL−23が異常に発現される癌を処置するために有用である。
【0287】
本明細書に記載する方法により処置することができるIL−23p19を発現する癌は、例えば、白血病、例えば急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(例、骨髄芽球、前骨髄球、骨髄単球、単球、又は赤白血病)、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、又は慢性リンパ性白血病など;真性多血症;リンパ腫(例、ホジキン病又は非ホジキン病);多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;重鎖病;固形腫瘍、例えば肉腫及び癌腫(例、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫(meningioma)、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、上咽頭癌、又は食道癌)を含む。
【0288】
医薬的組成物及びその投与
IL−23p19結合薬剤(例、抗IL−23p19抗体)を含む組成物を、免疫学的障害、呼吸器障害、又は癌を有する又は有するリスクのある被験者に投与することができる。本発明は、さらに、癌、呼吸器障害、又は免疫学的障害の防止又は処置のための薬物の製造におけるIL−23p19結合薬剤(例、抗IL−23p19抗体)の使用を提供する。用語「被験体」は、本明細書において使用する通り、IL−23p19結合薬剤を投与することができる任意の哺乳動物患者を意味し、例えば、ヒト及び非ヒト哺乳動物、例えば霊長類、齧歯類、及びイヌなどを含む。本明細書に記載する方法を使用した処置について具体的に意図される被験体は、ヒトを含む。抗体又は薬剤は、、免疫学的障害、呼吸器障害、又は癌の防止又は処置において、単独で、あるいは、他の組成物と組み合わせにおいて投与することができる。抗体又は薬剤との組み合わせにおいて投与することができる、そのような組成物は、メトトレキサート(MTX)及び免疫調節剤(例、抗体又は小分子)を含む。
【0289】
そのような医薬的組成物における使用のための抗体の例は、配列番号84、86、88、90、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、又は119のいずれかの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものである。そのような医薬的組成物における使用のための抗体の例は、また、配列番号121、123、125、127、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、又は156のいずれかの重鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものである。
【0290】
そのような医薬的組成物における使用のための抗体のさらなる例は、また、配列番号158、160、162、又は164のいずれかの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものである。そのような医薬的組成物における使用のための好ましい抗体は、また、配列番号166、168、170、又は172のいずれかの重鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものである。
【0291】
そのような医薬的組成物における使用のための抗体のさらなる例は、また、配列番号160及び166、配列番号160及び168、配列番号158及び166、又は配列番号158及び168のいずれかの軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものである。
【0292】
そのような医薬的組成物における使用のための抗体のさらなる例は、また、配列番号174又は180のいずれかの軽鎖領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものである。そのような医薬的組成物における使用のための好ましい抗体は、また、配列番号176又は178のいずれかの重鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものである。
【0293】
そのような医薬的組成物における使用のための抗体のさらなる例は、また、抗体A、抗体B、抗体C、又は抗体Dを含むものである。
【0294】
種々の送達システムが公知であり、IL−23p19結合薬剤を投与するために使用することができる。導入方法は、しかし、限定しないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路を含む。IL−23p19結合薬剤は、例えば、注入、ボーラス、又は注射により投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤(例えば化学療法薬剤など)と一緒に投与することができる。投与は全身的又は局所的でありうる。好ましい実施態様において、投与は皮下注射による。そのような注射用製剤は、例えば、隔週1回投与されうるプレフィルドシリンジ中で調製してもよい。
【0295】
特定の実施態様において、IL−23p19結合薬剤の組成物は、注射により、カテーテルを用いて、座剤を用いて、又はインプラントを用いて(インプラントは多孔性、非多孔性、又はゼラチン状材料であり、膜(例えばシラスティック膜(sialastic membrane)など)又は繊維を含む)投与する。典型的には、組成物を投与する場合、抗IL−23p19抗体又は薬剤が吸収しない材料を使用する。
【0296】
他の実施態様において、抗IL−23p19抗体又は薬剤は制御放出システムにおいて送達される。一実施態様において、ポンプを使用してもよい(例、Langer, 1990, Science 249: 1527-1533;Sefton, 1989, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng.14: 201;Buchwald et al., 1980, Surgery 88: 507;Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321: 574を参照のこと)。別の実施態様において、ポリマー材料を使用することができる(例、Medical Applications of Controlled Release (Langer and Wise eds., CRC Press, Boca Raton, Fla., 1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance (Smolen and Ball eds., Wiley, New York, 1984);Ranger and Peppas, 1983, Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23: 61を参照のこと)。また、Levy et al., 1985, Science 228: 190;During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351;Howard et al., 1989, J. Neurosurg.71: 105を参照のこと。他の制御放出システムが、例えば、Langer(上記)で考察されている。
【0297】
IL−23p19結合薬剤(例、抗IL−23p19抗体)を、治療的に効果的な量の結合薬剤及び1つ又は複数の医薬的に適合する成分を含む医薬的組成物として投与することができる。
【0298】
典型的な実施態様において、医薬的組成物は、ヒトへの静脈内又は皮下投与に適合させた医薬的組成物として、通常の手順に従って製剤化される。典型的には、注射による投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、医薬品は、また、可溶化剤及び局所麻酔薬(例えば注射部位での疼痛を和らげるためのリグノカインなど)を含むことができる。一般的に、成分は、例えば、活性薬剤の量を示す密閉容器(例えばアンプル又はサッシェなど)内の凍結乾燥粉末又は水を含まない濃縮物として、別々に供給する、又は、単位投与形態で一緒に混合する。医薬品が注入により投与される場合、それは、滅菌医薬品グレード水又は生理食塩水を含む注入ボトルを用いて調剤することができる。医薬品が注射により投与される場合、注射用滅菌水又は生理食塩水のアンプルを提供し、成分を投与前に混合することができるようにする。
【0299】
さらに、医薬的組成物は、(a)凍結乾燥形態のIL−23p19結合薬剤(例、抗IL−23p19抗体)を含む容器及び(b)注射用の医薬的に許容可能な希釈剤(例、滅菌水)を含む第2の容器を含む、医薬的キットとして提供することができる。医薬的に許容可能な希釈剤を、凍結乾燥した抗IL−23p19抗体又は薬剤の再構成又は希釈のために使用することができる。場合により、そのような容器に関連するのは、医薬品又は生物学的産物の製造、使用、又は販売を規制する政府機関により規定された形式の通知でありうるが、その通知はヒトへの投与のための製造、使用、又は販売の機関による承認を反映する。
【0300】
免疫学的障害又は癌の処置又は防止において効果的であるIL−23p19結合薬剤(例、抗IL−23p19抗体)の量は、標準的な臨床技術により決定することができる。また、インビトロアッセイを場合により用いて、最適な投与量の範囲を特定することを助けてもよい。製剤中に用いられる正確な用量は、また、投与経路、及び免疫学的障害又は癌のステージに依存し、開業医の判断及び各患者の状況に従って決定すべきである。効果的な用量は、インビトロ又は動物モデルテストシステムに由来する用量反応曲線から外挿してもよい。
【0301】
一般的には、免疫学的障害又はIL−23p19を発現する癌を伴う患者に投与される抗IL−23p19抗体又はIL−23p19結合薬剤の投与量は、典型的には、被験体の体重の約0.1mg/kg〜約100mg/kgである。被験体に投与される投与量は、被験体の体重の約0.1mg/kg〜約50mg/kg、約1mg/kg〜約30mg/kg、約1mg/kg〜約20mg/kg、約1mg/kg〜約15mg/kg、又は約1mg/kg〜約10mg/kgである。
【0302】
例示的な用量は、しかし、限定しないが、1ng/kg〜100mg/kgを含む。一部の実施態様において、用量は、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、又は約16mg/kgである。用量を、例えば、毎日、週1回(毎週)、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、隔週又は毎月、2ヶ月毎、又は3ヶ月毎投与することができる。特定の実施態様において、用量は、約0.5mg/kg/週、約1mg/kg/週、約2mg/kg/週、約3mg/kg/週、約4mg/kg/週、約5mg/kg/週、約6mg/kg/週、約7mg/kg/週、約8mg/kg/週、約9mg/kg/週、約10mg/kg/週、約11mg/kg/週、約12mg/kg/週、約13mg/kg/週、約14mg/kg/週、約15mg/kg/週、又は約16mg/kg/週である。一部の実施態様において、用量は約1mg/kg/週〜約15mg/kg/週の範囲である。
【0303】
一部の実施態様において、IL−23p19結合薬剤を含む医薬的組成物は、さらに、結合薬剤に共役させた又は共役させていない、治療用薬剤を含むことができる。抗IL−23p19抗体又はIL−23p19結合薬剤は、免疫学的障害又は癌の処置又は防止のための1つ又は複数の治療用薬剤と組み合わせにおいて同時投与することができる。
【0304】
そのような組み合わせ治療の投与は、疾患パラメーター(例、症状の重症度、症状の数、又は再発の頻度)に相加的又は相乗的効果を有しうる。
【0305】
組み合わせ投与のための治療計画に関して、特定の実施態様において、抗IL−23p19抗体又はIL−23p19結合薬剤は治療用薬剤と同時に投与される。別の特定の実施態様において、治療用薬剤は、抗IL−23p19抗体又はIL−23p19結合薬剤の投与前又は投与に続き、少なくとも1時間及び最大数ヶ月、例えば、抗IL−23p19抗体又はIL−23p19結合薬剤の投与前又は投与に続き、少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週、1ヶ月、又は3ヶ月目に投与される。
【0306】
製造品
別の局面において、上に記載する障害の処置のために有用な材料を含む製造品が含まれる。製造品は容器及びラベルを含む。適した容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。容器は、種々の材料(例えばガラス又はプラスチックなど)から形成されうる。容器は、状態を処置するために効果的である組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有しうる。例えば、容器は、皮下注射針により貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルでありうる。組成物中の活性薬剤はヒト化抗IL−23p19抗体である。容器上の又は容器に関連するラベルは、組成物が、選んだ状態を処置するために使用されることを示す。製造品は、さらに、医薬的に許容可能な緩衝液(例えばリン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、及びデキストロース溶液など)を含む第2の容器を含みうる。それは、さらに、商業的及び使用者の見地から望ましい他の材料(他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用のための指示を伴う添付文書を含む)を含んでもよい。
【0307】
本発明を、さらに、以下の実施例に記載しており、それらは本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0308】
実施例
実施例1:ヒト化抗IL−23p19抗体の産生
マウスリード抗体6B8を、6B8のマウス可変ドメイン及びヒト定常IgG1KOドメインからなるキメラ抗体に変換した。マウス抗体6B8を、本明細書において上の表1及び2に示す。IgG1KO(ノックアウト)は、エフェクター機能(例えばFcγR及び補体結合など)を低下させることにより、ADCC及びCDC活性を除去する2つの置換変異(Leu234Ala及びLeu235Ala)を有する。マウス抗体及びキメラ抗体の可変ドメインは同一である。キメラ抗体を生成し、抗体の機能を確認し、正しい配列が得られたことを確実にする。抗体の可変領域を、次に、設計及びスクリーニングプロセスを通じてヒト化させる。ライブラリーを作製し、そこでは、ヒト及びマウス残基を変化させ、任意の所与の位置で、ヒト又はマウス残基のいずれかがありうるようにした。そのようなライブラリーを、ヒト生殖系列及びマウス抗体の間で異なっているそれらのアミノ酸について作製した。親マウス抗体の機能を保持するクローンだけを選択した。抗体6B8についての代表的なヒト化可変領域を表5及び6に示す。
この様式において、抗体A、抗体B、抗体C、及び抗体Dは、マウス抗体6B8(ヒトIgG1KO(KO=ノックアウト)/カッパ骨格中にクローニング)に由来するヒト化抗体であった。抗体A、B、C、及びDを表7に示す。
【0309】
実施例2:組換えIL−23タンパク質への抗体の結合
A)組換えヒトIL−23に結合するマウス抗IL−23p19抗体の動態及び親和性を下に示す(表9)。動態及び結合親和性を、単一カラム精製に続いてハイブリドーマから生成された材料を使用し、Fortebio Octet(Fortebio, Menlo Park, CA)を使用して測定した。Octetは流体ベースの技術ではないため、この方法は、オフ率の正確な決定を提供しない。一部の場合において、親和性の推定値だけを得ることができる。
【0310】
【表9】
【0311】
B)親和性を、マウス抗体6B8に由来するヒト化抗体について測定した。ProteON XPR36(Biorad, Hercules, CA)を使用して測定され、1:1結合モデルに全体的に適合された動態結合データによって、高親和性(1pM〜100pMの範囲)であるようにp19及びp40サブユニットを共有結合的に連結する21アミノ酸リンカーを伴い又は伴わず、組換えIL−23との相互作用が実証された(表10)。抗体6H12(WO 2007/027714に開示)、抗体QF20(WO 2007/024846に開示)、及び抗体C1273(WO 2007/005955に開示)もテストした。
【0312】
【表10】
【0313】
C)カニクイザルIL−23への抗IL−23p19抗体についての親和性及び動態データを、ProteON XPR36上で測定し、1:1結合モデルに全体的に適合した(表11)。抗体6H12(WO 2007/027714に開示)、抗体QF20(WO 2007/024846に開示)、及び抗体C1273(WO 2007/005955に開示)もテストした。
【0314】
【表11】
【0315】
D)ヒトIL−12にわたる分子選択性抗IL−23p19抗体も、ヒトIL−12表面にわたり濃度100nMで注射した。Fortebio Octetを使用して測定された、これらの抗体についての結合シグナルはゼロであり、それは、これらの抗体がヒトIL−23に選択的に結合することを示す。IL−23への抗IL−23p19抗体の結合も、50%ヒト血清の存在において分析し、結合速度に対する血清の有意な効果は観察されず、高い特異性が実証された。
【0316】
実施例3:ヒトIL−23R/FcへのヒトIL−23結合の競合結合アッセイ
ヒトIL−23R−Fcをバイオセンサー表面に捕捉し、10nMのヒトIL−23を注射した。センサーグラムは、IL−23とIL−23受容体の間での特異的結合を示す(
図2、最上部のトレース)。抗体を、次に、10nMのヒトIL−23と同時注射し、IL−23への抗体結合が、IL−23とIL−23受容体の間での相互作用を阻害することができるか否かを評価した。この実施例において、抗体がヒトIL−23に結合し、相互作用を阻害することができる場合、結合低下又は無結合は観察されない(
図2、最下部のトレース)。示した実施例において、等モル濃度の抗体Aを、10nMの組換えヒトIL−23と同時注射した。
【0317】
実施例4:機能的細胞アッセイ、IL−23刺激マウス脾細胞からのIL−17産生の阻害
抗IL−23p19抗体についての1つの機能的細胞アッセイでは、マウス脾臓から単離された単核球からのIL−23刺激IL−17産生を阻害するそれらの能力を測定する。ヒト組換えIL−23タンパク質は、マウス脾細胞からのIL−17放出を刺激することが可能である。また、活性化ヒト単球性THP−1細胞の上清中で見出されるヒトIL−23の天然供給源を使用し、マウス単核球細胞からのIL−17産生を刺激することができる。
【0318】
活性化THP−1細胞からのヒト組換えIL−23又は天然ヒトIL−23を、滴定した抗IL−23p19抗体とプレインキュベートした。IL−23/抗体の組み合わせを、次に、新たに単離されたマウス脾細胞に加えた。組換えIL−23単独を、ポジティブコントロールとして使用した。培養中での2日後、細胞上清を収集し、ELISA(R&D Systems, Minneapolis, MN)によりIL−17についてアッセイした。抗IL−23p19抗体についての代表的なIC
50値を下に示す。テスト抗体は、ハイブリドーマに由来するマウス抗体(1〜19列、表1及び2を参照のこと)、キメラ抗体(20〜23例)、及び抗体AからDである。抗体6H12(WO 2007/027714に開示)、抗体QF20(WO 2007/024846に開示)、及び抗体C1273(WO 2007/005955に開示)もテストした。
【0319】
【表12】
【0320】
実施例5:ヒト活性化T細胞アッセイにおけるIL−12に対する機能的特異性テスト
【0321】
抗IL−23p19抗体を、ヒト活性化T細胞アッセイにおいてIL−12の機能的阻害についてテストした。ヒト組換えIL−12(1ng/ml)を、5μg/mlの抗IL−23p19抗体とプレインキュベートした。IL−12/抗体の組み合わせを、次に、ヒトPHA由来T細胞芽球に加えた。組換えIL−12単独をポジティブコントロールとして使用した。抗IL−12p70抗体(Bender MedSystems, Vienna, Austria)をコントロール阻害抗体として使用した。培養中での2日後、細胞上清を収集し、ELISA(R&D Systems, Minneapolis, MN)によりIFN−γについてアッセイした。サンプルをトリプリケートでテストし、IFN−γの平均pg/mlを決定した。結果(標準偏差を伴う)を、下の表中に示す。
【0322】
【表13】
【0323】
実施例6:ヒト細胞株DBにおけるIL−23誘導性STAT3リン酸化の阻害
【0324】
ヒト細胞株DB(ATCC, Manassas, VA)は、内因性IL−23R複合体(IL−23R及びIL−12Rβ1)を通じたIL−23刺激に応答し、IL−23用量に依存的な様式でSTAT3をリン酸化する。アッセイを、IL−23誘導性STAT3リン酸化の抗IL−23p19抗体阻害をテストするために開発した。DB細胞を、1×10e6個細胞/ウェルで、96ウェルプレート中に蒔いた。テストすべき抗体を連続希釈し、組換えヒトIL−23(10ng/ml)と1時間にわたり室温でプレインキュベートした。抗体/IL−23の混合物を、次に、細胞に、30分間にわたり37℃で加えた。細胞を、4℃で10分間にわたる遠心により収集し、次に、氷冷緩衝液(Cell Signaling Technology, Beverly, MA)中で溶解した。ライセートの一部を、リン酸STAT3 ELISA(Invitrogen)において実行した。抗体IC
50値を、抗体を伴わないコントロールウェルと比較した、STAT3リン酸化のパーセント阻害として算出した。代表的なIC
50値を、下の表中に示す。
【0325】
【表14】
【0326】
実施例7:IL−23のインビボモデルは、マウス耳においてサイトカインを誘導した
マウスにおけるインビボモデルを使用した。組換えヒトIL−23を、マウス耳の皮膚中に4連続日にわたり注射し、表皮肥厚ならびにIL−17及びIL−22タンパク質の上方調節をもたらす。抗IL−23p19抗体を、このモデルにおいて評価した。1mg/kg又は5mg/kg抗体の単回の腹腔内注射を、皮膚中への初回のIL−23注射の1時間前に投与した。組換えヒトIL−23(リンカーを伴う)を、3追加日にわたり毎日1回注射し、組織をサイトカイン評価のために収集した。サイトカイン産生の阻害を、抗体について実証した。3つの実験の結果を下の表中に示す(実験1:列1〜7、実験2:例8〜10、実験3:列11〜14)。
【0327】
【表15】
【0328】
実施例8:カニクイザルにおける薬物動態試験
ヒト化抗IL−23p19抗体を、10分間の静脈内注入により、用量1.0mg/kgで、3匹のカニクイザルに投与した。血清サンプルを6週間の時間経過にわたり収集し、遊離抗体濃度を、特異的ELISAを使用して測定した。抗体についての血清濃度−時間プロファイル及び対応する薬物動態パラメーターを、下の表16中にまとめる。
【0329】
【表16】
【0330】
実施例9:NSO細胞における発現及び生物物理学的データ
NS0細胞のトランスフェクション及び安定プールの生成:
NS0細胞を、1%FBSの存在において、トランスフェクション前に成長させた。40×10e6個細胞を収集し、2%FBSを含む0.8ml培地中に、20μgの直線化DNA(重鎖及び軽鎖発現ベクター)と再懸濁し、次に、細胞を、氷上で、約15分間にわたり、750V/25uF(Bio-Rad Gene Pulser Xcell)での細胞のエレクトロポレーション前にインキュベートした。細胞を、2%FBSと、約48時間にわたり、37℃及び5% CO2で回収し、次に、96ウェルプレート中に、G418及びミコフェノール酸を含む2×10e5個細胞/mlで、14〜21日間にわたり、コロニーの形成まで蒔いた。
【0331】
コロニーを伴う96ウェルプレートからの上清をELISAによりスクリーニングした。ELISAプレートを、PBS中の1μg/mlのヤギ抗−カッパ(Southern Biotech, Birmingham, AL)を用いてコートし、次に、ヤギ抗ヒトIgG Fc−HRP(Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA)を用いて検出した。ポジティブコロニーをスケールアップのためにプールした。抗体産生についての力価を、製造プロトコールに従って、プロテインAチップを使用したForteBioにより決定した。抗体A及び抗体Dの力価は250〜350mg/Lの間であり、タンパク質精製からの80%を上回る回収、及びIEX精製後の94%を上回る単量体を伴った。タンパク質を、20mMクエン酸ナトリウム及び115mM NaCLを含む最終緩衝液(pH6.0)中に再懸濁し、4℃で少なくとも4ヶ月間にわたり安定であり、この緩衝液中で最高100mg/mlの溶解性を伴う。
【0332】
【表17】
【0333】
【表18】
抗体AAUC:濃度0.5〜1mg/mlでの沈降速度法により測定した分析的超遠心;SEC:サイズ排除クロマトグラフィー;%M:パーセント単量体。
【0334】
実施例10:エピトープマッピング
水素/重水素交換質量分析(HXMS)を用いて、ヒトIL−23p19への抗体A結合のエピトープをマッピングした。この方法によって、D2Oと交換するためのIL−23p19のアミド骨格水素の感受性を決定した。実験を、IL−23単独及び抗体Aを加えたIL−23を用いて行った。抗体Aの結合に起因する交換からの有意な保護を示すIL−23p19配列の領域を、このように、同定した。方法の分解能は、ペプシン又はプロテアーゼXVIIIでの消化により産生されるペプチドにより決定される。これらのIL−23p19由来ペプチドを、標準的で正確な質量及びHPLC MS/MS技術を用いて、非交換サンプルを用いた追加のコントロール実験により同定した。
【0335】
組換えヒトIL−23を使用した。タンパク質+抗体サンプルについて、50μlのIL−23(0.8mg/ml)を、10μlの抗体A(12.7mg/ml)と15分間にわたり室温でインキュベートした。最終的なモル比抗体A/IL−23は、1.2:1であった。
【0336】
交換については、5μlのIL−23を、50μlの重水素化緩衝液(D
2O中の50mM PBS)に加え、100秒間にわたり室温でインキュベートした。50μlの2M尿素/0.5M TCEPを加えて、60秒間にわたり室温でインキュベートした。5μlのペプシン又はプロテアーゼXVIII(0.1%ギ酸中4mg/ml)を加え、サンプルを直ちに4℃まで冷却した。
【0337】
5分後、50μlのサンプルを、以下の条件下でShimadzu HPLCシステム(SCL10Aコントローラー及び2つのLC10ADポンプ)上に注射した:
移動相A=99/1/0.1(水/アセトニトリル/ギ酸)
移動相B=95/5/0.1(アセトニトリル/水/ギ酸)
流速=100ul/分
カラム=Phenomenex Jupiter C5、5u、50x1.0mm
移動相ライン、カラム、インジェクターループは氷浴中である。
勾配=時間0(3%B)、時間2.2(3%B)、時間10.1(90%B)、時間12.0(90%B)、時間12.1(3%B)
【0338】
質量分析を以下の通りに行った:
質量分析=Thermo Orbitrap Velos(0900865)
方法:
A.断片か(IDペプチドへの):12分間の取得時間(3分間の開始遅延)、30,000分解能でのフルスキャンFTMS、7イオントラップデータ依存的スキャン(CID)。
B.MS実行:12分間の取得時間(3分間の開始遅延)、60,000分解能でのフルスキャンFTMS。
【0339】
ペプシン及びプロテアーゼXVIIIペプチドを、断片化データ及びプログラムProteome Discoverer(Thermoscientific, Waltham, MA)を使用して同定した。同定されたペプチドを、Xcaliburソフトウェア(Thermoscientific)を使用して視覚的に比較した(タンパク質単独に対して、存在する抗体を伴うタンパク質)。交換における有意なシフトは、IL−23p19領域外で、IL−23単独対抗体Aを伴うIL−23について観察されなかった。タンパク質のp19部分について、データを、プログラムPepMap(Thermoscientific)を使用して分析した。このプログラムによって、交換ペプチドについての平均質量を算出する。PepMap結果をチェックし、検証結果をもたらさなかったそれらのペプチドを、Microsoft Excelを用いて算出した。
【0340】
抗体Aの結合に起因する交換からの有意な保護を示すIL−23配列の領域を、配列番号181のアミノ酸残基108〜126及び配列番号181のアミノ酸残基137〜151として同定した。