特許第6758394号(P6758394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特許6758394アイライナを塗布するためのアプリケータ
<>
  • 特許6758394-アイライナを塗布するためのアプリケータ 図000002
  • 特許6758394-アイライナを塗布するためのアプリケータ 図000003
  • 特許6758394-アイライナを塗布するためのアプリケータ 図000004
  • 特許6758394-アイライナを塗布するためのアプリケータ 図000005
  • 特許6758394-アイライナを塗布するためのアプリケータ 図000006
  • 特許6758394-アイライナを塗布するためのアプリケータ 図000007
  • 特許6758394-アイライナを塗布するためのアプリケータ 図000008
  • 特許6758394-アイライナを塗布するためのアプリケータ 図000009
  • 特許6758394-アイライナを塗布するためのアプリケータ 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758394
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】アイライナを塗布するためのアプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   A45D34/04 515A
   A45D34/04 515Z
   A45D34/04 510A
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-544409(P2018-544409)
(86)(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公表番号】特表2018-537244(P2018-537244A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】EP2016077177
(87)【国際公開番号】WO2017084947
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2018年6月6日
(31)【優先権主張番号】1561035
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クロエ・カボン
(72)【発明者】
【氏名】ポリーヌ・プラード
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0181143(US,A1)
【文献】 特開2014−037074(JP,A)
【文献】 特開2015−047360(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008063063(DE,A1)
【文献】 特開2006−141979(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0075199(US,A1)
【文献】 特開2002−034648(JP,A)
【文献】 特開2008−289689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイライナに塗布するためのアプリケータ(2)であって、アプリケータ部材(10)を備え、前記アプリケータ部材(10)がその外部表面上に、側面から見て、凹み(12)と、前記凹み(12)と前記アプリケータ部材(10)の遠位端部(25)との間に位置する実質的に平坦な主ファセット(20)と、を有し、前記主ファセット(20)の幅(l)が、正面から見て、前記凹み(12)からの距離の増加に伴って、少なくとも前記主ファセット(20)の長さ(D)の大部分に沿って増加し、前記アプリケータ部材(10)が長手方向軸(X)に沿って延在し、前記アプリケータ部材(10)の前記長手方向軸(X)に平行な方向に計測された前記主ファセット(20)の長さが5mm〜15mmの間であって、前記アプリケータ部材(10)の前記凹み(12)での厚さが1mm〜5mmの間であって、前記アプリケータ部材(10)が多孔質材料で作られていることを特徴とするアプリケータ。
【請求項2】
前記主ファセット(20)が遠位端部(25)まで延在する、請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
前記主ファセット(20)の幅(l)が、前記凹み(12)からの距離の増加に伴って、前記主ファセット(20)の長さ(D)の第1の部分に沿って増加し、次いで、前記アプリケータ部材(10)の遠位端部(25)に向かって減少する、請求項1または2に記載のアプリケータ。
【請求項4】
前記主ファセット(20)の幅(l)が、前記凹み(12)からの距離の増加に伴って、前記主ファセット(20)の長さ(D)全体に沿って増加する、請求項1または2に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記アプリケータ部材(10)が、長手方向軸(X)に沿って延在し、前記主ファセット(20)が、前記長手方向軸(X)に対して角度αに傾斜した軸(Z)に沿って延在する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記主ファセット(20)が、前記凹み(12)から延在する、請求項1から5のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項7】
凹部(12)が前記主ファセット(20)に、稜線または点(13)によって接続され、前記主ファセット(20)の長手方向軸(Z)と前記凹み(12)とが、30°から145°の間の角度ηをなす、請求項6に記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記主ファセット(20)が、前記凹み(12)から非ゼロ距離(m)のところから延在する、請求項1から5のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項9】
前記主ファセット(20)が、正面から見て、前記アプリケータ部材(10)の遠位端部(25)に向かって広がるとともに、互いの間に10°から40°の間の角度βをなす、実質的に直線状の2つの縁部(35a、35b)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項10】
前記凹み(12)が、側面から見て、その長さ(d)の少なくとも一部に沿って曲線的な形状を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項11】
前記アプリケータ部材(10)が、前記主ファセット(20)から離れたその面上に、前記アプリケータ部材の背部を形成する表面(43)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項12】
背部表面(43)が凹部(24)を有する、請求項11に記載のアプリケータ。
【請求項13】
背部表面(43)が二次ファセット(41)を備える、請求項11または12に記載のアプリケータ。
【請求項14】
前記アプリケータ部材(10)が、前記主ファセット(20)を背部表面(43)に少なくとも部分的に接続する端部ファセット(42)を備える、請求項11から13のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項15】
前記主ファセット(20)の幅(l)が、前記主ファセット(20)の長さ(D)全体に沿って前記アプリケータ部材の幅(L)未満である、請求項1から14のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項16】
ハンドル端部(60)に前記アプリケータ部材(10)が設けられたハンドル(5)を備え、前記ハンドル(5)が、中空であるとともに、前記化粧製品を収容するリザーバを形成し、前記アプリケータ部材(10)が、その近位側に装着用エンドピース(23)を備え、前記アプリケータ部材(10)の前記装着用エンドピース(23)は、少なくとも部分的に、前記ハンドル(5)の開口部(11)に挿入されるとともに、少なくとも部分的に前記リザーバ内に延在する、請求項1から15のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のアプリケータ(2)と、アイライナを収容するコンテナ(100)と、を備える、組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧製品を皮膚、特に瞼に塗布するためのアプリケータ、および対応するメイクアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
瞼上にラインを引くために、メイクアップペンシルを使用することは、知られている慣行である。
【0003】
塗布される製品を収容するリザーバと製品を塗布するための可撓性アプリケータ部材とを備える、瞼をメイクアップするためのデバイスであって、アプリケータ部材がリザーバから分離しているデバイスも、特に特許文献1および特許文献2から知られている。これらのデバイスでは、アプリケータ部材は、製品を保持するようにフロック加工されるかもしくはフェルトから作製され得るプラスチック先端部によって、または毛管溝を備える先端部によって、形成される。アプリケータ部材は、微細なブラシの形をとってもよい。
【0004】
リザーバと、先端部を有するアプリケータ部材とを備え、コンテナの壁部にかけられた圧力によってコンテナから製品が先端部に供給されるデバイスも、特許文献3から知られている。
【0005】
そのようなデバイスの場合、使用者は、ペンシルの場合と同じようにラインを引くために、製品が充填された先端部を瞼の一方の側に当て、それを他方の端部まで移動させる。
【0006】
しかし、とりわけ太さが一定の規則正しいラインを、ラインの長さ全体に沿って引くことは、比較的困難である。これは、使用者が、ラインを引く間に先端部を可変の力で押す傾向にあり、したがって、先端部が瞼に対して多かれ少なかれ押しつぶされるためである。その結果、瞼と接触する先端部の表面の幅、したがって引かれるラインの幅が変わる。微細なブラシの場合、規則正しい微細なラインを得ることはやはり、かなり困難である。
【0007】
さらに、両方の瞼上に同一のラインを引くことは、使用者がまったく同じように押すことが決してないので、非常に困難である。具体的には、使用者は、瞼ごとに手を変え、その結果、両手のうちの器用ではないほうが使用されるか、または両方の瞼に同じ手を使用して、異なる2つの動きを行うかのどちらかを余儀なくされる。
【0008】
特定の手の動きを用いてアイライナ組成物を瞼に塗布するための他のタイプのアプリケータについて、記載されている。
【0009】
特許文献4は、所望のデザインの形状を有するパッドの形をとる、皮膚に塗布するためのデバイスを開示している。パッドには、リザーバに圧力を加えることによって化粧製品が供給される。
【0010】
特許文献5は、塗布される製品を収容するコンテナと、コンテナから製品が供給され、皮膚の上で移動されることなく皮膚上、とりわけ瞼上にデザインを形成することを可能にする開口を境界画定する表面とを備える、化粧製品をパッケージングおよび塗布するためのデバイスについて記載している。
【0011】
特許文献6は、瞼用アプリケータであって、その遠位端部のところで離隔されているとともに塗布表面をなす安定化要素によって一緒に接続されている、2本のアームを備え、塗布表面が、皮膚と接触し、変形して所望のデザインを1回の塗布で形成する、瞼用アプリケータを開示している。
【0012】
特許文献7は、皮膚と接触する可撓性アプリケータによって一緒に接続されている2つの部分内にある製品を塗布およびパッケージングするためのデバイスであって、それらの部分の一方が、化粧製品を収容するリザーバをなし、それらの部分の他方が、リザーバの開口部を塞ぐためのキャップをなす、デバイスに関する。
【0013】
特許文献8は、可撓性部分を介してハンドルに接続されているアプリケータ部材を備える、アイライナアプリケータを開示している。
【0014】
特許文献9は、液体製品を塗布するためのペンシルに関する。
【0015】
特許文献10は、アプリケータであって、アプリケータ部材を有し、アプリケータ部材が、その塗布表面に平行な軸に沿ったアプリケータの回転を可能にするように構成された連結部分を通じてハンドルに接続されている、アプリケータを開示している。
【0016】
特許文献11は、多層構造を有するアイライナのアプリケータについて記載している。
【0017】
最後に、特許文献12は、平坦なアプリケータ面とこのアプリケータ面に隣接する凹みとを備える、口唇、皮膚、または爪用のアプリケータについて記載している。
【0018】
これらのデバイスは、多種多様な異なるメイクアップ結果を得ることを可能にせず、使用者の目の形態に十分に適合するとは限らず、かつ/またはとりわけ目尻のところの特定の効果、特に、ある1点で終わる上向きの跳ね上げ(flick)を生み出すことを可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2633256号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2412287号明細書
【特許文献3】米国特許第4370989号明細書
【特許文献4】国際公開第99/55187号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1669003号明細書
【特許文献6】米国特許第6508255号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1466540号明細書
【特許文献8】国際公開第2012/001347号
【特許文献9】独国特許出願公開第102008063063号明細書
【特許文献10】特開2015−47360号公報
【特許文献11】米国特許出願公開第2012/0037180号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2007/0017544号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特に瞼用のメイクアップデバイスをさらに改善することが必要とされており、とりわけ、使用者の目の形態に適合するとともに、必要に応じて、両目に対して対称なメイクアップ結果を得ることを可能にし、かつ生み出されるラインを容易に仕上げることを可能にするデバイスの便益を得ることが必要とされている。目尻のところの立ち上がる外部跳ね上げ効果を生み出すことの可能なデバイスにも、関心が寄せられている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、化粧製品を皮膚、とりわけ瞼に塗布するためのアプリケータであって、アプリケータ部材を備え、アプリケータ部材がその外部表面上に、凹みと、凹みとアプリケータ部材の遠位端部との間に位置する実質的に平坦な主ファセットとを有し、主ファセットの幅が、凹みからの距離の増加に伴って、少なくとも主ファセットの長さの大部分に沿って増加する、アプリケータを提案することによって、これらの必要性のすべてまたは一部を満たすことを目的とする。
【0022】
好ましくは、アプリケータ部材は、その遠位端部に向かってその厚さが狭まる。例えば、アプリケータ部材はその遠位端部のところで、0.1mmから1.5mmの間の、とりわけ0.5mmから1.5mmの間の厚さを有する。
【0023】
アプリケータ部材の形状は、化粧製品の効果的かつ正確な塗布を可能にする。アプリケータ部材の形状は、必要に応じて、例えば主ファセット、またはアプリケータ部材の側部を使用することによって、得られる効果を変えるために異なる太さのラインを引くことも可能にする。
【0024】
主ファセットが凹みと相まって、皮膚と接触するその広がりの幅が使用者によって加えられる圧力とは比較的無関係である塗布表面を有することが可能になる。
【0025】
凹みによって形成される分離により、主ファセットによって形成される塗布表面とアプリケータの残りの部分との間に明確な境界を作り出すことによって、塗布ゾーンを明確に画定することが可能になる。
【0026】
凹みは、塗布される製品を供給するための、アプリケータ部材の開口部とは異なる。
【0027】
好ましくは、アプリケータ部材は、凹み内にいかなる不連続性も呈さない。例えば、アプリケータの2つの別々に形成された部分の接合は、凹みの長さ内に位置しない。好ましくは、アプリケータ部材は、一体に成形され、すなわち、凹みは主ファセットと一体化して成形される。
【0028】
好ましくは、主ファセットは遠位端部まで延在する。これにより、正確な塗布が可能になる。
【0029】
主ファセットの幅は、その長さ全体に沿って単調に増加してよい。一変形形態では、主ファセットの幅は、凹みからの距離の増加に伴って増加し、次いで、遠位端部に向かって減少する。この場合、主ファセットの幅は、最大値を通過することができる。
【0030】
好ましくは、アプリケータ部材は、その長手方向軸上の、主ファセットの近位端部に対応する横座標から出発して、アプリケータ部材の長さの少なくとも一部に沿って増加するかまたは実質的に一定のままである、幅を有する。
【0031】
好ましくは、主ファセットの幅は、その長さ全体に沿ってアプリケータ部材の幅以下である。主ファセットの幅は、例えば、アプリケータ部材の遠位端部に向かって、アプリケータ部材の幅に実質的に等しくなる。
【0032】
主ファセットは、凹みから延在してよい。例えば、凹みは、一方の側で主ファセットによって境界付けられ、この側から出発してアプリケータの後退表面によって形成される。
【0033】
この場合、凹みは主ファセットに、とりわけ稜線または点によって接続され得る。これにより、塗布表面を明確に境界画定することが可能になり、これが、塗布の正確さに寄与する。
【0034】
一変形形態では、主ファセットが、凹みから非ゼロ距離のところから延在する。アプリケータ部材の長手方向軸に平行な方向に測定されたこの距離は、例えば、凹みの長さの半分未満であり、好ましくは、凹みの長さの3分の1未満であり、例えば、凹みの長さの6分の1未満である。
【0035】
好ましくは、凹みは、アプリケータ部材の近位端部まで延在しない。
【0036】
主ファセットは、正面から見て、液滴形状または多角形の、とりわけ五角形または三角形の、全体形状を有してよい。
【0037】
例えば、主ファセットは、正面から見て、アプリケータ部材の遠位端部のところで広がるとともに、互いの間に、好ましくは、2°から45°の間の、さらに良好には、10°から40°の間の、さらに一層良好には、10°から30°の間の角度βをなす、直線状の2つの縁部を有する。
【0038】
2つの縁部は、主ファセットの近位端部のところに、曲線的な形状を有してよい。
【0039】
一変形形態では、主ファセットは、正面から見て、その近位端部から延在するその長さの少なくとも一部に沿って実質的に放物線形状を有する、2つの縁部を有する。
【0040】
アプリケータ部材は、主ファセットから離れたその面上に、アプリケータ先端部の背部をなす表面を有してよい。この背部表面は、1つまたは複数の円錐部分または円柱部分を有してよい。
【0041】
この背部表面は、例えば凹みによって画定される凹部を有してよい。
【0042】
背部表面は、平坦な二次ファセットを有してよい。
【0043】
好ましくは、この二次ファセットは、アプリケータ部材の長手方向軸に平行に測定された、主ファセットの長さ以下である長さに沿って延在する。
【0044】
好ましくは、二次ファセットは、アプリケータ部材の遠位端部まで延在する。
【0045】
二次ファセットの幅は、アプリケータ部材の遠位端部に向かって増加してよい。
【0046】
二次ファセットは、アプリケータ部材の長手方向軸を含む平面に関して、主ファセットと対称をなしてよい。
【0047】
好ましくは、アプリケータ部材は、アプリケータ部材の遠位端部に面して長手方向軸に沿って見ると、主ファセットを背部表面に少なくとも部分的に接続する端部ファセットを備える。
【0048】
端部ファセットは、例えば、細帯の形をとる。端部ファセットは、背部表面と主ファセットとの間に、一定であるかまたはアプリケータ部材の遠位端部からの距離の増加に伴って減少する、幅を有してよい。
【0049】
端部ファセットは、平坦でもよく、湾曲していてもよい。
【0050】
アプリケータ部材が長手方向軸に沿って延在した状態で、主ファセットは、アプリケータ部材の長手方向軸に対して、好ましくは、0°から60°の間の、さらに良好には、0°から45°の間の、さらに一層良好には、2°から25°の間の角度αに傾斜した軸に沿って、延在してよい。この傾斜が、メイクアップされる皮膚の表面から、特に顔から、ある距離を隔てたところに手があることを可能にするので、製品の皮膚への塗布を容易にすることができる。
【0051】
主ファセットは、アプリケータ部材の長手方向軸がその中を通ってもよく、通らなくてもよい。
【0052】
好ましくは、側面から見て、主ファセットの長手方向軸と凹みが、互いの間に、60°から180°の間の、さらに良好には、90°から180°の間の角度ηをなす。
【0053】
凹みは、アプリケータ先端部の長手方向軸の周りの90°から180°の間の角度セクタにわたって延在してよい。
【0054】
一変形形態では、凹みが、アプリケータ先端部の長手方向軸の周囲全体に延在し、前記軸の周りに一定または非一定の断面を有する。
【0055】
凹みは、側面から見て、曲線的な形状を有してよい。凹みのところでのアプリケータ部材の厚さは、好ましくは、0.5mmから10mmの間であり、さらに良好には、1mmから5mmの間である。
【0056】
アプリケータ部材は、その近位側に装着用エンドピースを備えてよく、装着用エンドピースがアプリケータ部材の長手方向軸に沿って延在することが可能である。
【0057】
装着用エンドピースは、回転円柱の形をとってよく、ハンドルまたはリザーバ内に受領されてよい。
【0058】
アプリケータ部材は、多孔質材料、とりわけフェルトから作製されてよい。
【0059】
アプリケータ部材は、ポリアミドとポリウレタン樹脂との混合物から、またはポリオレフィンから、とりわけポリエチレンから作製されてよい。
【0060】
アプリケータ部材は、機械加工によって、特に研削またはレーザ加工によって形作られてよい。
【0061】
アプリケータ部材は、エラストマから、特にSEBSから、またはポリエステル、例えばHytrel(登録商標)から作製されてよい。
【0062】
アプリケータ部材、特に主ファセットは、少なくとも部分的にフロック加工されてよい。
【0063】
アプリケータは、その端部にアプリケータ部材が設けられたハンドルを備えてよい。
【0064】
ハンドルは、中空とすることができ、塗布される製品を収容するリザーバをなしてよい。上で示したように、アプリケータ部材は、その近位側に装着用エンドピースを備えてよく、装着用エンドピースは、好ましくは、少なくとも部分的に、さらに良好には全体が、ハンドルの開口部に挿入され、少なくとも部分的にリザーバ内に延在する。
【0065】
アプリケータ部材は、ハンドル上にオーバーモールドされてもよく、ハンドルと一緒に成形されてもよい。
【0066】
ハンドルの端部は、アプリケータ部材の主ファセットの側から離れた側に取り付けられてよい。
【0067】
アプリケータは、ハンドルに取外し可能に取り付けられ、アプリケータ部材を覆う、閉塞キャップを備えてよい。
【0068】
ハンドルは、直線状とすることができる。一変形形態では、ハンドルは、その長手方向軸がとりわけ平面内で曲がった状態で、湾曲している。
【0069】
主ファセットの、アプリケータ部材の長手方向軸に平行な方向に測定された長さは、好ましくは、3mmから20mmの間であり、さらに良好には、5mmから15mmの間である。
【0070】
主ファセットの最大幅lmaxは、好ましくは、10mm以下であり、さらに良好には、2mmから5mmの間である。
【0071】
本発明の別の主題は、上で定められた、本発明によるアプリケータと、塗布される製品、好ましくはアイライナを収容するコンテナとを備える、組立体である。コンテナは、アプリケータから分離していてよい。
【0072】
本発明は、本発明によるアプリケータを用いて化粧製品、好ましくはアイライナを皮膚に塗布するステップを含む、メイクアップ方法にも関する。この方法は、化粧製品を瞼に塗布するステップを含み得る。
【0073】
製品は、皮膚、とりわけ瞼を、アプリケータで軽く叩くことによって塗布され得る。一変形形態では、皮膚上、とりわけ瞼上に、アプリケータを用いてラインが引かれ得る。
【0074】
ラインは、アプリケータを用いて、好ましくは、主ファセットの長手方向軸が瞼の縁に実質的に平行に配置された状態で引かれ得、遠位端部が顔の外側のほうに向けられるか、またはラインを顔の外側に向かって跳ね上げて延ばすように、アプリケータがラインの終わりで上向きにわずかに傾けられる。
【0075】
本発明は、その非限定的な実装例についての以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照することから、より良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】本発明によるアプリケータ部材の斜視図である。
図2図1のアプリケータ部材の矢印IIに沿った正面図である。
図3図2のアプリケータ部材の矢印IIIに沿った側面図である。
図4】本発明による一変形アプリケータ部材の斜視図である。
図5】本発明による別の変形アプリケータ部材の、図3に類似した側面図である。
図6図5のアプリケータ部材の、矢印VIに沿った軸方向図である。
図7図5のアプリケータ部材の、矢印VIIに沿った図である。
図8】本発明による一変形アプリケータ部材の、図5に類似した図である。
図9】本発明による一変形アプリケータ部材の、図7に類似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図3図5、および図8に示す側面図は、アプリケータ部材の長手方向軸に垂直かつその主ファセットに平行な方向に観察される図を指すことが理解できよう。
【0078】
図2図7、および図9に示す正面図は、アプリケータ部材の側面図がそれに従って観察される方向に垂直かつアプリケータ部材の長手方向軸に垂直な方向に観察される図を指し、その主ファセットの観察を可能にするものである。
【0079】
図1は、ハンドル5、および長手方向軸Xに沿って延在するアプリケータ部材10を備える、本発明によるアプリケータ2を示す。
【0080】
好ましくは、ハンドル5は、直線状であるが、湾曲していてもよい。ハンドル5は、アプリケータ部材の長手方向軸Xに平行な方向に延在してよい。
【0081】
ハンドル5は、中空とすることができ、塗布される化粧製品を収容してよい。ハンドル5はしたがって、リザーバとしての働きをする。
【0082】
アプリケータ部材10は、化粧製品が塗布に使用される表面に、特に毛管作用によって到達するのを可能にするために、多孔質とすることができる。
【0083】
一変形形態では、アプリケータは、ハンドルと一体に成形され、アプリケータから分離しているリザーバから、塗布される化粧製品を取り出すのに使用される。
【0084】
アプリケータ部材10は、例えば、多孔質材料、とりわけフェルトから作製される。
【0085】
アプリケータ部材10は、ポリアミドとポリウレタン樹脂との混合物から、またはポリオレフィンから、とりわけポリエチレンから作製されてよい。
【0086】
アプリケータは、ハンドル5に取り付けられ、したがってアプリケータ部材10を覆う、図示されていない閉塞キャップを備えてよい。
【0087】
図1から図4により詳細に示すように、アプリケータ部材10は、その外部表面上に、凹み(indentation)12と、凹み12からアプリケータ部材10の遠位端部25まで延在する主ファセット20とを有する。
【0088】
主ファセット20の幅lは、図2に見ることができるように、凹みからの距離の増加に伴って増加し、最大値lmaxに到達してから、アプリケータ先端部15の遠位端部25に向かって減少する。長手方向軸X上の所与の横座標から出発して、主ファセット20の幅lは、アプリケータ部材10の幅Lに等しい。
【0089】
主ファセット20の最大幅lmaxは、好ましくは、10mm以下であり、さらに良好には、2mmから5mmの間である。
【0090】
主ファセットの、アプリケータ部材10の長手方向軸Xに平行な方向に測定された長さDは、例えば、3から20mmの間であり、さらに良好には、5mmから15mmの間である。
【0091】
好ましくは、主ファセット20は、長手方向軸Xに対して傾斜している。主ファセット20は、好ましくは、0から60°の間の、さらに良好には、0から45°の間の、さらに一層良好には、2°から45°の間の角度αを軸Xとなす軸Zに沿って、延在する。
【0092】
主ファセット20は、図3に示すように、アプリケータ部材の長手方向軸Xがその中を通ってもよく、図5および図8に示すように、通らなくてもよい。
【0093】
好ましくは、主ファセット20は、その軸Zに関して対称である。主ファセット20は、図1から図3に示すように、液滴形状とすることができる。
【0094】
図4から図9に示す変形形態では、主ファセット20は、アプリケータ部材10の遠位端部25に向かって広がる直線状の2つの主縁部35aおよび35bのある、実質的に三角形の形状を有する。
【0095】
凹み12と主ファセット20は、図1から図3に示すように、互いの間に稜線13をなす。好ましくは、稜線13は、図2に見ることができるように、直線状である。
【0096】
好ましくは、ファセット20と凹み12は、図2に示すように、それらの接合部で互いの間に、30°から145°の間の、さらに良好には、80°から130°の間の角度ηをなす。
【0097】
凹み12は、その近位端部および遠位端部からある距離のところで、稜線13に平行な方向に延在する稜線16を備えてよい。
【0098】
凹み12は、図3に示すように、側面から見て、奥部のところで少なくとも部分的に曲線的な形状を有してよい。奥部の曲線的な部分17では、凹み12は、例えば、0.5mmから3mmの間の、さらに良好には、1mmから2mmの間の曲率半径rを有する。
【0099】
図2および図3に見ることができるように、アプリケータ部材10は、主ファセット20の、アプリケータ部材10の遠位端部25の側に位置する一部を、アプリケータ部材10の背部をなす表面43に接続する、端部ファセット42を備える。背部表面43は、その底部18が凹み12の底部19に対してアプリケータ部材の長手方向軸Xに沿ってオフセットされている、凹み24を備えてよい。
【0100】
図5から図9に示す変形形態では、主ファセット20が、凹み12から非ゼロ距離mのところから延在する。アプリケータ部材の長手方向軸Xに平行な方向に測定されたこの距離mは、例えば、0.5から1.5mmの間である。
【0101】
主ファセット20は、主ファセット20の近位端部34から出発してアプリケータ部材10の遠位端部25に向かって広がる直線状の2つの主縁部35aおよび35bのある、実質的に三角形の形状を有する。
【0102】
主ファセット20はまた、アプリケータ部材10の遠位端部25のところに、直線状でありlmaxに等しい長さを有する端縁部35cを備える。
【0103】
縁部35aと縁部35bは、互いの間に2から45°の間の、さらに良好には、5から45°の間の、さらに一層良好には、15°から30°の間の角度βをなす。好ましくは、縁部35aおよび35bは、軸Zに関して対称である。
【0104】
好ましくは、主ファセット20は、その近位端部34のところに、曲線的な先端部を有する。
【0105】
一変形形態では、縁部35aおよび35bは、図9に見ることができるように、主ファセット20の近位端部34の付近で放物線をなす。
【0106】
アプリケータ部材の幅Lは、図7に示すように、主ファセット20の長さD全体に沿って一定であってもよく、図9に示すように増加してもよい。これらの例では、主ファセット20の幅lは、主ファセット20の長さD全体に沿って、アプリケータ部材10の幅Lより真に小さい。しかし、それらの間の間隔は、図9に示すように、アプリケータ部材10の端部25のところでごくわずかであってよい。
【0107】
アプリケータ部材10は、その遠位端部に向かってその厚さeが狭まる。遠位端部25のところでのアプリケータ部材10の厚さeは、例えば、0.1mmから1.5mmの間であり、好ましくは、0.8から1mmの間である。
【0108】
アプリケータ部材10の背面43は、図5から図7に示すように、好ましくは、D未満の長さSに沿って延在する、二次ファセット41を備えてよい。
【0109】
二次ファセット41は、図5および図6に見ることができるように、軸Xを含む、主ファセット20の端部の縁部35cに平行な平面に関して、主ファセット20と対称をなしてよい。
【0110】
二次ファセット41は、図5に示すように側面から見て、アプリケータ部材10の長手方向軸Xと角度γをなす。γは、図示の例ではαに等しい。一変形形態では、角度αと角度γが異なっていてよい。
【0111】
角度(γ+α)は、好ましくは、5°から25°の間である。
【0112】
主ファセット20は、図6に見ることができるように、二次ファセット41に、端部ファセット42によって主ファセットの端縁部35cおよび二次ファセット41の端縁部41cを介して接続される。端部ファセット42は、平坦な形状を有する。端部ファセット42の幅hは、端縁部35cと端縁部41cとの間で実質的に一定である。
【0113】
この例では、凹み12が、アプリケータ部材10の長手方向軸Xの周囲全体に延在し、したがって、とりわけその背部表面43の上に延在する環状溝をなす。
【0114】
図8および図9に示す変形形態では、アプリケータ部材の背部表面43が、側面から見て、凹状の変化を有する。背部表面は、凹部24を有する。
【0115】
アプリケータ部材は、図5から図9に示すように、装着用エンドピース(mounting end piece)23を備えてよい。
【0116】
装着用エンドピース23は、好ましくは、ハンドル5の開口部への導入をより容易にするためにその端部に好ましくは面取り部分50のある、実質的に回転円柱の形をとる形状を有する。
【0117】
装着用エンドピース23の直径Eは、例えば、2から20mmの間であり、とりわけ2から10mmの間である。
【0118】
本発明は、今しがた説明してきた例に限定されず、その特徴は、図示していない変形形態の一部として互いに組み合わされ得る。
【0119】
特に、塗布される製品を収容する湾曲したハンドルを有することが可能であり、アプリケータは、多孔質材料から作製されたアプリケータ部材を有するか、または製品用の供給ダクトを備える。
【符号の説明】
【0120】
2 アプリケータ
5 ハンドル
10 アプリケータ部材
12 凹み、凹部
13 稜線、点
15 アプリケータ先端部
16 稜線
17 曲線的な部分
18 底部
19 底部
20 主ファセット
23 装着用エンドピース
24 凹み、凹部
25 遠位端部
34 近位端部
35a 主縁部
35b 主縁部
35c 端縁部、端部の縁部
41 二次ファセット
41c 端縁部
42 端部ファセット
43 背部表面、背面
50 面取り部分
D 長さ
d 長さ
E 直径
e 厚さ
h 幅
L 幅
l 幅
lmax 最大値、最大幅
m 非ゼロ距離
r 曲率半径
S 長さ
X 長手方向軸
Z 長手方向軸
α 角度
β 角度
γ 角度
η 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9