【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.送信日:平成30年10月16日 送信先:ikeda@wako−c.com ワコウコンサルタント株式会社 池田充伸(和歌山県和歌山市和佐中151番地4) 2.送信日:平成30年10月20日 送信先:s.shigemoto@shineikaihatu.co.jp 伸栄開発株式会社 重本尚志(兵庫県姫路市北条1033番地の1 姫路本店内) 送信先:ushirozako@shineikaihatu.co.jp 伸栄開発株式会社 後迫英樹(兵庫県姫路市北条1033番地の1 姫路本店内)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
最も上流側に位置する前記捕捉体を頂点として下流側に向かって両岸に近づくように、前記複数の捕捉体が、前記河川の流れ方向に対して傾斜する方向に並ぶようにして設置されている、
請求項1又は請求項2に記載の捕捉体の設置構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記捕捉体では、上流側を向く捕捉面が前記延在方向に一直線状に形成されているため、捕捉面に捕捉された流木が増えてくると、捕捉面における水の通り道が流木によって塞がれていく。そのため、上流から流れてくる水は、捕捉面を通過しにくくなる一方、捕捉体と岸との間を通過する水の量が増加していく。そして、捕捉面における水の通り道が流木によってほとんど塞がれてしまうと、上流から流れてくる水は、捕捉体と両岸との間から十分に下流側へ通過することができなくなるので、捕捉体を越流することになる。その結果、上流から流されてくる流木も捕捉体を越流してしまい、流木を効果的に捕捉できなくなるという問題が生じる。
【0006】
特に、不透過型砂防堰堤の水通し部の水通し幅が川幅に対して大きい場合には、捕捉体と両岸との間の間隔が小さくなるので、上流から流れてくる水は、捕捉体を越流しやすくなり、上記問題が顕著に生じる。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に基づいてなされたものであり、その目的は、流木を効果的に捕捉することができる捕捉体の設置構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る捕捉体の設置構造は、不透過型砂防堰堤の上流側に河川の上流から流れてくる流木を捕捉する複数の捕捉体が河川に設置されている捕捉体の設置構造である。前記
複数の捕捉体
それぞれは、河川の横断方向に間隔を空けて配置される複数の柱部と、前記河川の横断方向に延びて前記複数の柱部を前記河川の横断方向に連結する横桟部材とを、少なくとも有して構成されている。前記複数の捕捉体は、互いに前記河川の流れ方向に間隔を空けると共に、前記河川の流れ方向に対して傾斜する方向に並ぶようにして設置されている。
【0009】
この構成によれば、複数の捕捉体は、互いに河川の流れ方向に間隔を空けると共に、河川の流れ方向に対して傾斜する方向に並ぶようにして設置されている。そのため、1つの捕捉体において水の通り道が流木によって塞がれても、その隣の捕捉体との間に水の通り道が確保される。そのため、上流から流れてくる水は、捕捉体を越流しにくくなる。したがって、上流から流されてくる流木を効果的に捕捉することができる。
【0010】
特に、川幅に対して水通し部の水通し幅が大きい堰堤の上流側に捕捉体が設置される場
合において、捕捉体と岸との間から水を下流側に十分に逃がすことができなくても、隣り合う捕捉体と捕捉体との間を通して水を下流側に逃がすことができるので、上流から流れてくる水は、捕捉体を越流しにくくなる。そのため、上流から流されてくる流木を効果的に捕捉することができる。
【0011】
上記構成において、隣り合う前記捕捉体と前記捕捉体との前記河川の流れ方向の間隔が、設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、複数の捕捉体による流木の捕捉効果を維持しつつ、隣り合う捕捉体と捕捉体との間の水の通り道を確保することができる。すなわち、隣り合う捕捉体の間隔が設定された流木長の1/2よりも大きいと、隣り合う捕捉体の間から流木が下流側に流出しやすくなる。また、隣り合う捕捉体の間隔が設定された流木長の1/3よりも小さいと、隣り合う捕捉体と捕捉体との間の水の通り道が流木によって塞がれやすくなる。流木長は、河川の幅や上流側に生えている木の高さに応じて設定される。
【0013】
上記構成において、最も上流側に位置する前記捕捉体を頂点として下流側に向かって両岸に近づくように、前記複数の捕捉体が、前記河川の流れ方向に対して傾斜する方向に並ぶようにして設置されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、上流から流されてくる流木は、河川の流れに応じて、河川の流れ方向に直交する横断方向の両方向に分けられるように複数の捕捉体に捕捉されるか、または、横断方向の一方に偏るように複数の捕捉体によって捕捉される。そのため、隣り合う捕捉体と捕捉体との間に水の通り道が確保されやすくなるため、上流から流れてくる水は、捕捉体を越流しにくくなる。尚、一部の捕捉体が横断方向に重なる位置に配置されてもよい。
【0015】
上記構成において、前記河川の流れ方向に対して傾斜する方向に互いに間隔を空けて、前記複数の捕捉体が、W字状に並ぶようにして設置されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、最も上流側に位置する捕捉体と最も下流側に位置する捕捉体との間の河川の流れ方向の間隔を長くしなくても、横断方向の両端に位置する捕捉体間の横断方向の間隔を長くすることができるので、例えば、堰堤の上流側に橋などの設置物が存在する場合に、設置物に接触しないように複数の捕捉体を設置しやすくなる。尚、一部の捕捉体が横断方向に重なる位置に設置されてもよい。また、一部の捕捉体が不透過型砂防堰堤の水通し部に配置されてもよい。
【0017】
上記構成において、上記構成において、前記河川の流れ方向に対して一方向に傾斜するよう互いに間隔を空けて、前記複数の捕捉体が設置されていてもよい。最も上流側に設置された前記捕捉体と前記不透過型砂防堰堤との間における前記河川の流れ方向の間隔が、設定された流木長以上の間隔に設定されていてもよい。最も上流側に設置された前記捕捉体と岸との間における前記河川の横断方向の間隔が、前記設定された流木長の1/2以下の間隔に設定されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、最も上流側に設置された前記捕捉体と岸との間における前記河川の横断方向の間隔が、前記設定された流木長の1/2以下の間隔に設定されているので、岸に最も近い捕捉体と岸との間の間隔が狭くなる。そのため、上流から流されてくる流木を、岸に最も近い捕捉体と岸との間から下流側に通過しにくくすることができる。しかも、隣り合う捕捉体と捕捉体との河川の流れ方向の間隔が設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定されている。したがって、流木の捕捉効果を得ながら、水の通り道を確保できる。よって、最も上流側の捕捉体と不透過型砂防堰堤との間における河川の流れ方向の間隔を設定された流木長以上の間隔に設定したとしても、不透過型砂防堰堤の下流側に流木が流出してしまうことを抑制することができる。尚、一部の捕捉体が横断方向に重なる位置に配置されてもよい。
【0019】
上記構成において、前記捕捉体は、各柱部を下流側から支持する支持部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流木を効果的に捕捉することができる捕捉体の設置構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1〜4実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の第1〜4実施形態に係る捕捉体の設置方法に使用される捕捉体1を説明するために必要となる主要な構成要素を簡略化して示したものである。したがって、本発明の第1〜4実施形態に係る捕捉体の設置方法に使用される捕捉体1は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成要素を備え得る。
【0023】
(第1実施形態)
第1実施形態の捕捉体の設置方法は、河川の上流から流れてくる流木を捕捉する捕捉体1を既設の不透過型砂防堰堤2の上流側に設置するものである。堰堤2は、その底部が地盤に埋設されており、河川の流れ方向(以下、単に「流れ方向D1」という)に直交する方向(以下、単に「横断方向D2」という)に沿って延在するように構築されている。
【0024】
堰堤2は、上端部において横断方向の中央部分から下方に凹むように切り欠かれた水通し部8と、横断方向D2における水通し部8の両側から両岸まで延びるように設けられた袖部9と、を有する。水通し部8は、上流から流れてくる水を堰堤2の下流に流すために形成されている。
【0025】
捕捉体1は、
図1、2に示すように、横断方向D2に間隔を空けて配置される複数の柱部3と、横断方向D2に延びて複数の柱部3を横断方向D2に連結する横桟部材4と、各柱部3を下流側から支持する支持部5と、を有する。
【0026】
複数の柱部3は、鋼管によって形成されている。横断方向D2に隣り合う柱部3と柱部3との間隔は、設定された流木長の1/2以下に相当する間隔に設定される。流木長は、河川の幅や上流側に生えている木の高さに応じて設定され、例えば、河川の幅の1.3倍に設定することができる。
【0027】
尚、柱部3は、本実施形態では、3本設けられているが、少なくとも2本以上あれば足りる。各柱部3の形状は、上方に延びるように形成されていれば、例えば、円柱状や角柱状であってもよい。また、柱部3は、H型鋼によって形成されてもよい。
【0028】
支持部5は、鋼管によって形成されている。尚、支持部5は、H型鋼によって形成されてもよい。支持部5の形状は、柱部3を支持することができれば、円柱状や角柱状であってもよい。支持部5は、
図2に示すように、各柱部3の下流側を向く面から水平方向に延びるとともに斜め下方に屈曲するように延びている。尚、支持部5は、各柱部3の下流側を向く面から水平方向に延びるとともに垂直に屈曲して真っ直ぐ下方に延びていてもよい。尚、支持部5は、省略されてもよい。
【0029】
捕捉体1は、横断方向に隣り合う柱部3や横桟部材4によって流木を捕捉するとともに、隣り合う柱部3と横桟部材4との間における隙間に水の通り道を形成している。
【0030】
捕捉体1は、河川の川床に埋設されるベース部6に連結される。ベース部6は、H型鋼を枠状に組合せたものである。ベース部6は、捕捉体1を川床に設置した際の安定性を確保するためのものである。尚、ベース部6は、鋼管によって形成されてもよい。
【0031】
ベース部6は、流れ方向D1に延びる第1連結部6aと、横断方向D2に延びる第2連結部6bと、を有する。柱部3の下端部と支持部5の下端部とは、第1連結部6aによって連結されている。複数の柱部3の下端部同士は、第2連結部6bによって連結されている。複数の支持部5の下端部同士は、第2連結部6bによって連結されている。
【0032】
第1連結部6aの一部は、柱部3の下端部から上流方向に突出する位置まで流れ方向D1に延びるとともに、支持部5の下端部から下流方向に突出する位置まで流れ方向D1に延びている。第1連結部6aの一部は、流れ方向D1に対して傾斜する方向に互いに間隔を空けて設置された捕捉体1と捕捉体1とを流れ方向D1に連結している。以下、流れ方向D1に対して傾斜する方向に互いに間隔を空けて設置された捕捉体1と捕捉体1とを隣り合う捕捉体1、1と言う。
【0033】
ベース部6の第1連結部6aにおいて柱部3の下端部から上流方向に突出する部分と、第1連結部6aにおいて支持部5の下端部から下流方向に突出する部分と、にはコンクリートブロック7が載置される。これにより、ベース部6の自重を稼ぎ、捕捉体1を川床に設置した際の安定性を向上させている。
【0034】
上記のように構成された捕捉体1は、次のようにして既設の不透過型砂防堰堤2の上流側に設置される。
【0035】
まず、設置現場において、複数の捕捉体1を所定の位置に配置すべく捕捉体1の設置位置を決定する決定工程が行われる。決定工程では、流れ方向D1に対して傾斜する方向に間隔を空けて複数の捕捉体1が並ぶように捕捉体1の設置位置が決定される。設置位置は、各捕捉体1の中心(
図1の例では、真ん中の柱部3)が流れ方向D1に傾斜した方向に間隔を空けて位置するように決定される。
図1の例は、最も上流側に位置する捕捉体1を頂点として下流側に向かって両岸に近づくように、流れ方向D1に対して傾斜する方向に間隔を空けて複数の捕捉体1が並ぶように位置決めされた場合の例である。この場合において、流れ方向D1における隣り合う捕捉体1、1同士の間隔L1は、柱部3を基準に設定される。間隔L1は、設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定される。
【0036】
尚、
図1に示すように、隣り合う捕捉体1、1における柱部3、3同士が流れ方向D1に重なる位置に設置されてもよく、隣り合う捕捉体1、1における柱部3、3同士が流れ
方向D1に重ならないように設置されてもよい。また、隣り合う捕捉体1、1同士が流れ方向D1に重ならないように設置されてもよい。
【0037】
また、最も下流側に位置する2つの捕捉体1の設置位置は、上記設置位置に加えて、堰堤2の袖部9と流れ方向D1に重なる位置に設定される。本実施形態では、捕捉体1において横断方向の約半分に相当する部分が袖部9と流れ方向D1に重なる位置に設定されている。さらに、最も下流側に位置する2つの捕捉体1の設置位置は、捕捉体1の柱部3と袖部9との間における流れ方向D1の間隔L2が、設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定される。
【0038】
設定工程が終了すると、設定工程で設定された設置位置に複数の捕捉体1を設置する設置工程が行われる。設置工程では、まず、上記設置位置に複数の捕捉体1を設置できるように、ベース部8を川床に埋設するための掘削作業が行われる。掘削深さは、ベース部8と複数の捕捉体1の下端部とを川床に埋設できる程度の深さとされる。
【0039】
次いで、上記設置位置に各捕捉体1が位置するように、掘削された掘削部分にベース部6を載置するとともに、ベース部6における柱部3の下端部から上流方向に突出する部分と、支持部5の下端部から下流方向に突出する部分と、の上にコンクリートブロック7を載置する。この状態で、捕捉体1の下端部をベース部6とコンクリートブロック7とともに川床に埋設する(
図2参照)。
【0040】
尚、川床に埋設する部分は、ベース部6のみであってもよい。また、コンクリートブロック7の重量だけで、捕捉体1を川床に安定化できれば、川床を掘削する作業は省略されてもよい。この場合には、ベース部6は、川床に載置されるだけである。また、流れ方向D1に隣り合うコンクリートブロック7、7をチェーンなどの連結部材によって連結してもよい。
【0041】
第1実施形態の捕捉体の設置方法では、流れ方向D1に対して傾斜する方向に互いに間隔を空けて複数の捕捉体1を設置する。そのため、1つの捕捉体1において水の通り道が流木によって塞がれても、その隣の捕捉体1との間に水の通り道が確保される。そのため、上流から流れてくる水は、捕捉体1を越流しにくくなる。したがって、上流から流されてくる流木を効果的に捕捉することができる。
【0042】
特に、水通し部8の水通し幅が大きい堰堤2の上流側に捕捉体1が設置される場合には、最も下流側に設置された捕捉体1と岸との間の間隔が短くなることにより、最も岸に近い捕捉体1と岸との間から水を下流側に十分に逃がすことができなくても、隣り合う捕捉体1と捕捉体1との間を通して水を下流側に逃がすことができる。そのため、上流から流れてくる水は、捕捉体1を越流しにくくなる。したがって、上流から流されてくる流木を効果的に捕捉することができる。
【0043】
第1実施形態の捕捉体の設置方法では、隣り合う捕捉体1と捕捉体1との間における流れ方向D1の間隔L1を設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定しているので、複数の捕捉体1による流木の捕捉効果を維持しつつ、隣り合う捕捉体1と捕捉体1との間の水の通り道を確保することができる。すなわち、隣り合う捕捉体1の間隔が設定された流木長の1/2よりも大きいと、隣り合う捕捉体1と捕捉体1との間から流木が下流側に流出しやすくなる。また、隣り合う捕捉体1と捕捉体1との間隔L1が設定された流木長の1/3よりも小さいと、隣り合う捕捉体1と捕捉体1との間の水の通り道が流木によって塞がれやすくなる。
【0044】
第1実施形態の捕捉体の設置方法では、堰堤2の上流側における河川の形状が直線状で
ある場合、上流から流されてくる流木は、捕捉体1に対してまっすぐ向かってくるので、河川の中央を流されてくる流木は、複数の捕捉体1のうちの横断方向D2の中央に位置する捕捉体1に接触して捕捉される。河川の両岸の近傍を流されてくる流木は、河川の両岸に近い捕捉体1に接触して捕捉される。すなわち、上流から流されてくる流木は、横断方向D2の両方向に分けられるように複数の捕捉体1に捕捉される。また、堰堤2の上流側における河川の形状がカーブしている場合には、上流から流されてくる流木は、捕捉体1に対して斜めに向かってくるので、横断方向D2の一方に偏るように複数の捕捉体1によって捕捉される。そのため、隣り合う捕捉体1と捕捉体1との間に水の通り道が確保されやすく、上流から流れてくる水は、捕捉体1を越流しにくい。
【0045】
以上に説明した捕捉体の設置方法は、本発明の一実施形態であり、その具体的構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、本発明の第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態の変形例において第1実施形態の捕捉体1と対応する要素は、第1実施形態の捕捉体1と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の捕捉体の設置方法では、隣り合う捕捉体1、1は、全て流れ方向D1に対して傾斜する方向に互いに間隔を空けて並ぶように設置されたが、
図3に示すように、河川の中央部分に位置する2つの捕捉体1、1については、横断方向D2に重なるように設置されてもよい。この場合、横断方向D2に重なる位置に設置された捕捉体1と捕捉体1との間における横断方向D2の間隔L3は、設定された流木長の1/2以下に設定される。
【0047】
第1実施形態の捕捉体の設置方法では、下流側の捕捉体1は、上流側の捕捉体1に対して端の柱部3のみが流れ方向D1に重なるように設置されたが、上流側の捕捉体1との間における流れ方向D1に重なる面積が大きくなるように設置されてもよい。
図3の例では、下流側の2つの捕捉体1、1のうちの一方の捕捉体1は、上流側の捕捉体1に対して2本の柱部3、3が流れ方向D1に重なるように設置されている。
【0048】
第1実施形態の捕捉体の設置方法では、捕捉体1は、柱部3と横桟部材4と支持部5とを有するように構成されたが、
参考例に係る捕捉体11は、
図4に示すように、横桟部材4と支持部5とが省略され、横断方向D2に間隔を空けて配置された2本の柱部3、3を有する構成である。この場合、川床に打設したコンクリートブロック7を基礎として2本の柱部3が立設される。
参考例に係る捕捉体11は、横断方向D2に隣り合う2本の柱部3、3によって流木を捕捉するとともに、横断方向D2に隣り合う柱部3と柱部3との間の隙間に水の通り道を形成する。
【0049】
上記のように構成された変形例に係る複数の捕捉体11は、横断方向D2に隣り合う2本の柱部3、3の中央部分が流れ方向D1に傾斜した方向に並ぶように設置される。
図4の例では、隣り合う捕捉体11、11における1本の柱部3、3のみが流れ方向D1に重なるように複数の捕捉体11が、最も上流側に位置する捕捉体11を頂点として下流側に向かって両岸に近づくように設置されている。尚、隣り合う捕捉体11、11同士が流れ方向D1に重ならないように設置されてもよい。
【0050】
隣り合う捕捉体11、11同士の流れ方向D1における間隔L1は、第1実施形態と同様に、柱部3を基準に設定される。間隔L1は、設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定される。
【0051】
また、最も下流側に位置する2つの捕捉体11は、第1実施形態同様に、堰堤2の袖部
9と流れ方向D1に重なる位置に設置される。さらに、最も下流側に位置する2つの捕捉体11の柱部3と袖部9との間における流れ方向D1の間隔L2は、設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定される。
【0052】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の捕捉体の設置方法について説明する。以下、第2実施形態において第1実施形態と対応する要素については、第1実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
第2実施形態の捕捉体の設置方法では、
図5に示すように、流れ方向D1に対して傾斜する方向に間隔を空けて複数の捕捉体1を凹型に並ぶように設置する。すなわち、最も下流側に位置する捕捉体1を頂点として、上流側に向かって両岸に近づくように複数の捕捉体1が設置される。また、第2実施形態の捕捉体の設置方法では、最も上流側に位置する捕捉体1と岸との間における横断方向D2の間隔L4を、設定された流木長の1/2以下に設定している。さらに、最も上流側に位置する捕捉体1の柱部3と堰堤2の袖部9との間における流れ方向D1の間隔L5を、設定された流木長以上に設定されている。
【0054】
尚、第2実施形態の捕捉体の設置方法では、最も下流側に位置する捕捉体1は、堰堤2の水通し部8に設置されているが、水通し部8から上流側に間隔を空けて設置されてもよい。また、隣り合う捕捉体1、1同士が流れ方向D1に重ならないように設置されてもよい。一部の捕捉体1については、第1実施形態の変形例と同様に、横断方向D2に互いに重なる位置に設置されてもよい。また、捕捉体1は、横桟部材4と支持部5とが省略され、横断方向D2に間隔を空けて配置された2本以上の柱部3を有する構成であってもよい。
【0055】
第2実施形態の捕捉体の設置方法では、最も上流側に設置された捕捉体1と岸との間の横断方向D2の間隔L4を設定された流木長の1/2以下に設定しているので、岸に最も近い捕捉体1と岸との間の間隔が狭い。そのため、上流から流されてくる流木が、岸に最も近い捕捉体1と岸との間から下流側に通過しにくい。しかも、隣り合う捕捉体1と捕捉体1との間隔L1が設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定されている。したがって、流木の捕捉効果を得ながら、水の通り道を確保できる。よって、最も上流側の捕捉体1と堰堤2との間における流れ方向D1の間隔L5を設定された流木長以上の間隔に設定したとしても、堰堤2の下流側に流木が流出してしまうことを抑制することができる。
【0056】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の捕捉体の設置方法について説明する。以下、第3実施形態において第1実施形態と対応する要素については、第1実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
第3実施形態の捕捉体の設置方法では、流れ方向D1に対して一方向に傾斜するように互いに間隔を空けて複数の捕捉体1を斜直線型に並ぶように設置する。
図6の例では、複数の捕捉体1は、最も上流側かつ右岸に近い位置に設置された捕捉体1から最も下流側かつ左岸に近い位置に設置された捕捉体1に向かって斜直線型に並ぶように設置されている。最も下流側に位置する捕捉体1は、堰堤2の袖部9と流れ方向D1に重なる位置に配置されている。最も下流側に位置する捕捉体1の柱部3と袖部9との間における流れ方向D1の間隔L2は、第1実施形態と同様に、設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定される。最も上流側に設置された捕捉体1と堰堤2の袖部9との間における流れ方向D1の間隔L6は、第2実施形態と同様に、設定された流木長以上の間隔に設定される。最も上流側に設置された捕捉体1と岸との間における横断方向D2の間隔L4は、第2実施形態と同様に、設定された流木長の1/2以下の間隔に設定される。
【0058】
尚、複数の捕捉体1は、最も上流側かつ左岸に近い位置に設置された捕捉体1から最も下流側かつ右岸に近い位置に設置された捕捉体1に向かって斜直線型に並ぶように設置されてもよい。また、隣り合う捕捉体1、1同士が流れ方向D1に重ならないように設置されてもよい。一部の捕捉体1ついては、第1実施形態の変形例と同様に、横断方向D2に互いに重なる位置に設置されてもよい。また、捕捉体1は、横桟部材4と支持部5とが省略され、横断方向D2に間隔を空けて配置された2本以上の柱部3を有する構成であってもよい。
【0059】
第3実施形態の捕捉体の設置方法では、最も上流側に設置された捕捉体1と岸との間の横断方向D2の間隔L4を設定された流木長の1/2以下に設定しているので、最も岸に近い捕捉体1と岸との間の間隔が狭い。そのため、上流から流されてくる流木が、岸に最も近い捕捉体1と岸との間から下流側に通過しにくい。しかも、隣り合う捕捉体1と捕捉体1との間における流れ方向D1の間隔L1が設定された流木長の1/3〜1/2の間隔に設定されている。したがって、流木の捕捉効果を得ながら、水の通り道を確保できる。よって、最も上流側の捕捉体1と堰堤2との間における流れ方向D1の間隔L6を設定された流木長以上の間隔に設定したとしても、堰堤2の下流側に流木が流出してしまうことを抑制することができる。
【0060】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の捕捉体の設置方法について説明する。以下、第4実施形態において第1実施形態と対応する要素については、第1実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
第4実施形態の捕捉体の設置方法では、
図7に示すように、流れ方向D1に対して傾斜する方向に互いに間隔を空けて複数の捕捉体1をW字状に並ぶように設置していく。
【0062】
図7の例では、最も下流側に位置する捕捉体1を1列目として横断方向D2に間隔を空けて3つ設置するとともに、1列目の捕捉体1の柱部3から上流側に間隔L1を空けて2つの捕捉体1を2列目として横断方向D2に間隔を空けて設置している。河川の川幅が広い場合には、例えば、1列目と2列目とが互い違いになるように横断方向D2に連続するように複数の捕捉体1を設置する。
【0063】
尚、1列目と2列目に設置される捕捉体1の数は、それぞれ3つと2つに限定されるものではない。1列目と2列目に設置される捕捉体1の数は、反対であってもよく、1つや2つでもよい。
【0064】
また、第4実施形態の捕捉体の設置方法では、複数の捕捉体1がW字状に並ぶように設置されれば、流れ方向D1に3列以上並ぶように複数の捕捉体1を設置してもよい。この場合において、岸に最も近い捕捉体1の柱部3と堰堤2の袖部9との間における流れ方向D1の間隔が設定された流木長以上に設定される場合には、岸に最も近い捕捉体1と岸との間における横断方向D2の間隔は設定された流木長の1/2以下に設定される。
【0065】
また、隣り合う捕捉体1、1同士が流れ方向D1に重ならないように設置されてもよい。一部の捕捉体1については、第1実施形態の変形例と同様に、横断方向D2に互いに重なる位置に設置されてもよい。また、捕捉体1は、横桟部材4と支持部5とが省略され、横断方向D2に間隔を空けて配置された2本以上の柱部3を有する構成であってもよい。
【0066】
第4実施形態の捕捉体の設置方法では、最も上流側に位置する捕捉体1と最も下流側に位置する捕捉体1との間の流れ方向D1の間隔を長くしなくても、横断方向D2の両端に
位置する捕捉体1、1間の横断方向D2の間隔を長くすることができるので、例えば、堰堤2の上流側に橋などの設置物が存在する場合に、設置物に接触しないように複数の捕捉体1を設置しやすい。
【0067】
(他の変形例)
上記各実施形態では、3つ以上の捕捉体1を流れ方向D1に対して傾斜する方向に互いに間隔を空けて設置したが、少なくとも2つの捕捉体1、1が流れ方向D1に対して傾斜する方向に互いに間隔を空けて設置されていれば足りる。
【0068】
上記各実施形態では、川床に載置された捕捉体1のベース部6にコンクリートブロック7を載置することによって捕捉体1を川床に安定化したが、かご枠やネットなどに巨石、礫、土砂などを入れたものを捕捉体1のベース部6に載置することによって捕捉体1を川床に安定化してもよい。また、川床にコンクリートを打設し、打設されたコンクリートにベース部6が固定されることによって捕捉体1を川床に安定化してもよい。尚、コンクリートではなく、ソイルセメントでもよい。
【解決手段】捕捉体の設置構造は、不透過型砂防堰堤2の上流側に河川の上流から流れてくる流木を捕捉する複数の捕捉体1が河川に設置されている捕捉体の設置構造であって、各捕捉体1は、河川の横断方向に間隔を空けて配置される複数の柱部3と、河川の横断方向に延びて複数の柱部3を河川の横断方向に連結する横桟部材4とを、少なくとも有して構成されており、複数の捕捉体1は、互いに河川の流れ方向に間隔を空けると共に、河川の流れ方向に対して傾斜する方向に並ぶようにして設置されている。