(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
切削工具(100)の工具本体(110)に形成された第1チップ座(120)及び第2チップ座(130)に対してねじ部材(8)によって締結され、切削に用いられる切削インサート(1)であって、
互いに対向する第1端面(21)及び第2端面(22)と、
前記第1端面(21)の端部と前記第2端面(22)の端部とを接続する側面(3)と、
前記第1端面(21)の端部と前記側面(3)との交差部に形成され、前記第2端面(22)を前記第1チップ座(120)に当接させて締結された場合に切れ刃として機能する第1切れ刃(4)と、
前記第2端面(22)の端部と前記側面(3)との交差部に形成され、前記第1端面(21)及び前記側面(3)を前記第2チップ座(130)に当接させて締結された場合に切れ刃として機能する第2切れ刃(5)と、を有し、
前記第1端面(21)及び前記第2端面(22)を貫通し、前記ねじ部材(8)を挿通させる挿通孔(7)が形成され、
前記挿通孔(7)は、
前記第1端面(21)側から前記第2端面(22)側に向うにつれて内側面間の距離が小さくなる第1テーパ面(71)と、
前記第2端面(22)側から前記第1端面(21)側に向うにつれて内側面間の距離が小さくなる第2テーパ面(72)と、
前記第1テーパ面(71)と前記第2テーパ面(72)とを接続する接続部(73)と、を有し、
前記接続部(73)に、全周にわたって局所的に突出する環状の小突起(74)が形成され、
前記第1切れ刃(4)は、外周刃として機能し、
前記第2切れ刃(5)は、中心刃として機能し、
前記小突起(74)は、前記挿通孔(7)の中心軸(C1)方向において、前記第2端面(22)よりも前記第1端面(21)に近い位置に形成されていることを特徴とする切削インサート。
前記小突起(74)は、前記挿通孔(7)の内側面から前記挿通孔(7)の中心軸(C1)に向かって、前記挿通孔(7)の中心軸(C1)方向における幅が漸次小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0018】
まず、
図1及び
図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る切削インサート1が締結されるドリル100について説明する。
図1及び
図2は、切削インサート1が締結されたドリル100を示す斜視図である。
図1は、ドリル100の外周側チップ座120側を示している。
図2は、ドリル100の中心側チップ座130側を示している。
【0019】
ドリル100は、不図示の被削材を切削して穴を形成する切削工具である(以下、被削材に形成される穴を「加工穴」と称する)。ドリル100は、工具本体110を有している。工具本体110は、軸AXを中心軸とする略円柱形状に形成されている。
【0020】
工具本体110の先端には、切削インサート1が締結される外周側チップ座120及び中心側チップ座130が形成されている。外周側チップ座120は、中心側チップ座130よりも軸AXから遠い位置に形成されている。外周側チップ座120及び中心側チップ座130には、それぞれ1つの切削インサート1がねじ部材8によって締結される。工具本体110の側面には、外周側チップ座120及び中心側チップ座130のそれぞれから延びる排出溝140,140が形成されている。
【0021】
このような構成を有するドリル100では、工具本体110が軸AXを中心として矢印R1,R2で示される方向に回転する。これにより、外周側チップ座120に対して締結されている切削インサート1は、加工穴の外周領域を切削する。また、中心側チップ座130に対して締結されている切削インサート1は、加工穴の中心領域を切削する。各切削インサート1によって生成された被削材の切りくずは、排出溝140,140を介して加工穴の外部に排出される。
【0022】
次に、
図3乃至
図6を参照しながら、切削インサート1の構成について説明する。
図3及び
図4は、切削インサート1を示す斜視図である。
図3は、切削インサート1の第1端面21側を示している。
図4は、切削インサート1の第2端面22側を示している。
図5は、切削インサート1を示す平面図である。
図5は、切削インサート1の第1端面21側を示している。
図6は、切削インサート1を示す底面図である。
図6は、切削インサート1の第2端面22側を示している。
【0023】
切削インサート1は、硬質材料から成る成形体を焼成することによって得られる板状体である。当該硬質材料には、例えば、超硬合金、サーメット、セラミックや、これらにコーティングを施したものを採用することができる。切削インサート1は、第1端面21、第2端面22及び側面3を有している。
【0024】
第1端面21及び第2端面22は、切削インサート1の厚さ方向において、約2.5mmの間隔を空けて互いに対向している。
図3及び
図5に示されるように、第1端面21の外形は略六角形状を呈している。
図5に示されるように、第1端面21は、仮想円VC1が内接するように形成されている。また、
図4及び
図6に示されるように、第2端面22の外形は、略九角形状を呈している。
図6に示されるように、第2端面22は、仮想円VC2が内接するように形成されている。仮想円VC1,V2の直径は、いずれも4mm以上かつ15mm以下である。
【0025】
図3及び
図4に示されるように、側面3は、第1端面21の端部と第2端面22の端部との間で延び、両者を接続するように形成されている。側面3は、複数の主側面31及び副側面32を有している。主側面31は平面である。副側面32は、第1端面21から第2端面22に向かって切削インサート1の中心に近づくように傾斜している。側面3は、切削インサート1が外周側チップ座120や中心側チップ座130に締結された場合に、逃げ面として機能する。
【0026】
切削インサート1の中央部には、挿通孔7が形成されている。挿通孔7は、第1端面21及び第2端面22を貫通するように形成された孔であり、切削インサート1の厚さ方向に延びている。挿通孔7には、所定ピッチの雄ねじが形成されたねじ部材8(
図1及び
図2参照)が挿通する。挿通孔7に挿通されたねじ部材8が、外周側チップ座120や中心側チップ座130に形成されたねじ穴と螺合することにより、切削インサート1が締結される。
【0027】
図3に示されるように、第1端面21の端部と側面3との交差部には、外周刃4が形成されている。外周刃4は、加工穴の外周領域を切削する切れ刃である。外周刃4は、3つのコーナ切れ刃41と、第1直線状切れ刃421と、第2直線状切れ刃422と、を有している。コーナ切れ刃41は湾曲しており、第1端面21のコーナ部に形成されている。第1直線状切れ刃421及び第2直線状切れ刃422は直線状に形成され、2つのコーナ切れ刃41,41の間に配置されている。第1直線状切れ刃421及び第2直線状切れ刃422は、第1端面21と主側面31との交差部に形成されている。
【0028】
第1直線状切れ刃421及び第2直線状切れ刃422のそれぞれの一端は、互いに接続されている。また、第1直線状切れ刃421及び第2直線状切れ刃422のそれぞれの他端は、互いに異なるコーナ切れ刃41,41に接続されている。より具体的には、
図5に示される破線で囲んだ部分において、コーナ切れ刃41、第1直線状切れ刃421、及び第2直線状切れ刃422が一つの切れ刃群を構成している。すなわち、外周刃4は、3つの切れ刃群を有している。
【0029】
第1直線状切れ刃421及び第2直線状切れ刃422は、互いに鈍角を成すように交差している。
図5に示される第1直線状切れ刃421の長さL1は、第2直線状切れ刃422の長さL2よりも長い。第1端面21の外形は、挿通孔7の中心軸C1に関して、120°回転対称な形状である。しかし、第1端面21の外形は、
図5に示される平面視において、いずれの方向においても対称軸を有しない左右非対称な形状である。
【0030】
上述したように逃げ面として機能する側面3は、対応する切れ刃に応じて逃げ角の大きさが異なる。具体的には、主側面31は、第1端面21と第2端面22との間で、中心軸C1に対して略平行に延びている。一方、副側面32は、第1端面21側から第2端面22側に向かうにつれて、中心軸C1に近づくように延びている。
【0031】
図4に示されるように、第2端面22の端部と側面3との交差部には、中心刃5が形成されている。中心刃5は、加工穴の中心領域を切削する切れ刃であり、外周刃4が切削する領域とは異なる領域を主に切削する。中心刃5は、第2端面22の端部と複数の側面3とが交差する交差部のうち、主側面31が接続する領域にのみ形成され、副側面32が接続する領域には形成されていない。
【0032】
図3に示されるように、第1端面21には、外周刃4による切削時に機能するチップブレーカ61が形成されている。また、
図4に示されるように、第2端面22には、中心刃5による切削時に機能するチップブレーカ62が形成されている。加工穴の外周領域では切りくずを確実に排出する必要があるため、チップブレーカ61は、チップブレーカ62に比べて溝幅が広く、且つ、浅く形成される。
【0033】
以上の説明のように、切削インサート1は、外周刃4と中心刃5とを備えている。このため、切削インサート1は、加工穴の外周領域及び中心領域の両方の切削に用いることができる。また、外周刃4と中心刃5とが分離されているため、例えば外周刃4に生じた欠損が、加工穴の中心領域を切削するインサートとしての使用可能回数に影響を与えることはない。
【0034】
工具本体110の外周側チップ座120では、切削インサート1は、第2端面22が外周側チップ座120の底面121(
図9等参照)と当接するように締結される。このように切削インサート1を外周側チップ座120に対して締結することにより、外周刃4が工具本体110の外方に露出するとともに、被削材の表面に対して所定の逃げ角を成すように配置される。これにより、第1端面21がすくい面として機能し、外周刃4が加工穴の外周領域の切削に関与することができる。
【0035】
一方、工具本体110の中心側チップ座130では、切削インサート1は、第1端面21が中心側チップ座130の底面と当接するように締結される。このように切削インサート1を中心側チップ座130に対して締結することにより、中心刃5が工具本体110の外方に露出するとともに、被削材の表面に対して所定の逃げ角を成すように配置される。これにより、第2端面22がすくい面として機能し、中心刃5が加工穴の中心領域の切削に関与することができる。
【0036】
ところで、このような切削インサート1は、外周側チップ座120や中心側チップ座130に対して誤った向きで締結されると、適切に機能することができない。例えば、第1端面21が外周側チップ座120の底面121と当接するように切削インサート1が締結された場合(すなわち、切削インサート1が上述した向きとは逆向きで外周側チップ座120に対して締結された場合)、中心刃5が工具本体110の外方に露出するように外周側チップ座120に配置される。このように誤って配置された中心刃5が外周側チップ座120において切削に関与してしまうと、加工穴の外周側における切削が適切に行われなくなり、加工精度が大きく低下するという不具合が生じる。第2端面22が中心側チップ座130の底面と当接するように切削インサート1が締結された場合にも、やはり不具合が生じる。
【0037】
そこで、切削インサート1には、外周側チップ座120や中心側チップ座130に対して誤った向きで締結されることを防止するために、小突起74が形成されている。
図7及び
図8を参照しながら、小突起74の構成について説明する。
図7は、
図5のVII−VII断面を示す断面図である。
図8は、
図7のVIII部の拡大図である。
【0038】
前述したように、挿通孔7は、第1端面21及び第2端面22を貫通するように形成されている。
図7に示されるように、この挿通孔7の内側面は、第1テーパ面71と、第2テーパ面72と、湾曲面73と、を有している。
【0039】
第1テーパ面71及び第2テーパ面72は、いずれも、挿通孔7に挿通されるねじ部材8の頭部81(
図9参照)に対応する円錐形状を呈している。第1テーパ面71は、第1端面21側から第2端面22側に向かうにつれて内径が漸次縮小するように形成されている。一方、第2テーパ面72は、第2端面22側から第1端面21側に向かうにつれて内径が漸次縮小するように形成されている。
【0040】
湾曲面73は、第1テーパ面71と第2テーパ面72とを接続する面である。湾曲面73は、第1テーパ面71及び第2テーパ面72のそれぞれの端部と接続されている。湾曲面73は、挿通孔7の中心軸C1に向かって緩やかに突出している。
【0041】
小突起74は、この挿通孔7の内側面に局所的に形成されている。小突起74は、環状を呈し、湾曲面73の表面から中心軸C1に向かって突出している。ここで、「局所的に形成」とは、切削インサート1全体のサイズに対して、小突起74が十分小さいサイズで形成されることを意味する。具体的には、まず、切削インサート1は、前述したように第1端面21及び第2端面22に、直径が4mm以上かつ15mm以下の仮想円VC1,VC2が内接するサイズである。これに対し、
図8に示される小突起74の湾曲面73からの突出量L3は、0.05mm以上かつ0.30mm以下である。小突起74の先端は、挿通孔7のうち内径が最も小さい部分を形成している。
【0042】
また、小突起74は、第2端面22よりも第1端面21に近い位置に形成されている。詳細には、
図7に示されるように、小突起74から第1端面21までの距離L1は、小突起74から第2端面22までの距離L2よりも0.5mm程度小さい。
【0043】
また、
図8に示されるように、小突起74は断面視で三角形状を呈している。当該三角形状の頂角の1つは、他の頂角よりも中心軸C1側に位置している。すなわち、小突起74は、湾曲面73から中心軸C1に向かって、中心軸C1方向における幅が漸次小さくなるように形成されている。
【0044】
次に、
図9乃至
図11を参照しながら、小突起74による作用効果について説明する。
図9及び
図10は、切削インサート1が正しい向きで外周側チップ座120に配置された場合の
図1のIX−IX断面を示す断面図である。
図9は、ねじ部材8とねじ穴123との螺合が未完了の状態を示している。
図10は、ねじ部材8とねじ穴123との螺合が完了した状態を示している。また、
図11は、切削インサート1が誤った向きで外周側チップ座120に配置された場合の
図1の
図1のIX−IX断面を示す断面図である。
【0045】
外周側チップ座120にはねじ穴123が形成されている。ねじ穴123は、外周側チップ座120の底面121から延び、工具本体110を貫通している。ねじ穴123の内側面には、所定ピッチの雌ねじが形成されている。
【0046】
切削インサート1の締結を行う作業者が、
図9に示されるように切削インサート1を正しい向きで外周側チップ座120に配置した場合、切削インサート1の第2端面22と外周側チップ座120の底面121とが当接する。この場合、挿通孔7に挿通されたねじ部材8の軸部82の先端は、小突起74と干渉することなくねじ穴123の端部に配置される。作業者が、工具を用いてねじ部材8の頭部81を回転させると、軸部82の外周面に形成された雄ねじと、ねじ穴123の内側面に形成された雌ねじとが螺合を開始する。当該螺合により、ねじ部材8がねじ穴123内に進入し始める。
【0047】
ねじ部材8の頭部81は、その外側面に円錐面811を有している。円錐面811は、軸部82にかけて外径が漸次縮小する円錐形状を呈している。ねじ部材8がさらにねじ穴123内に進入すると、この円錐面811が切削インサート1の第1テーパ面71と当接する。この当接後、ねじ部材8がさらにねじ穴123内に進入すると、切削インサート1は第1テーパ面71においてねじ部材8から力を受ける。
【0048】
図10に示されるように、ねじ部材8とねじ穴123との螺合が完了すると、ねじ部材8の頭部81は、小突起74と当接する位置に配置される。頭部81は、小突起74から力を受けることにより、軸部82に対して傾斜するように変形する。具体的には、頭部81の中心部8Cが、ねじ穴123の中心軸C2からオフセット量d1でオフセットする。
【0049】
このように変形したねじ部材8は、その弾性により復元しようとするため、小突起74切削インサート1を押すように作用する。これにより、切削インサート1は、その側面3が外周側チップ座120の側面122に押し付けられる。この結果、切削インサート1を工具本体110に対して確実に固定し、切削時の切削インサート1のガタつきを防止することができる。
【0050】
これに対し、作業者が、切削インサート1を誤った向きで外周側チップ座120に配置した場合、
図11に示されるように、切削インサート1の第1端面21と外周側チップ座120の底面121とが当接する。この場合、挿通孔7に挿通されたねじ部材8の軸部82は小突起74と干渉し、ねじ穴123に対して大きく傾斜するように配置される。具体的には、頭部81の中心部8Cが、ねじ穴123の中心軸C2からオフセット量d2でオフセットする。オフセット量d2は、上述したオフセット量d1よりも大きい値である。
【0051】
作業者が、大きくオフセットしたねじ部材8の頭部81を回転させても、軸部82の雄ねじと、ねじ穴123の雌ねじとが螺合しなかったり、螺合させるために不自然に大きな力をねじ部材8に付加する必要があったりする。
【0052】
このように、作業者が切削インサート1を正しい向きで外周側チップ座120に対して締結しようとする場合(すなわち、第2端面22を外周側チップ座120と当接させて切削インサート1を締結しようとする場合)、ねじ部材8の頭部81は比較的小さい第1オフセット量d1でねじ穴123の中心軸C2からオフセットする。この結果、ねじ部材8が挿通孔7の内側面から受ける摩擦抵抗が小さくなる。
【0053】
一方、作業者が切削インサート1を誤った向きで外周側チップ座120に対して締結しようとする場合(すなわち、第1端面21を外周側チップ座120と当接させて切削インサート1を締結しようとする場合)、ねじ部材8の頭部81は比較的大きい第2オフセット量d2でねじ穴123の中心軸C2からオフセットする。この結果、ねじ部材8が挿通孔7の内側面から受ける摩擦抵抗を大きくしたり、ねじ部材8とねじ穴123との螺合を防止したりすることができる。これにより、切削インサート1の向きが誤っていることを作業者に認識させたり、切削インサート1が誤った向きで締結されることを防止したりすることができる。
【0054】
また、小突起74は、挿通孔7の内側面から挿通孔7の中心軸C1に向かって、挿通孔7の軸線C1方向における幅が漸次小さくなるように形成されている。この構成によれば、小突起74を挿通孔7の内側面に対し強固に固定するとともに、小突起74がねじ部材8の挿通を無為に阻害することを防止できる。
【0055】
また、小突起74は、挿通孔7の中心軸C1方向において、第2端面22よりも第1端面21に近い位置に形成されている。この構成によれば、作業者が切削インサート1を誤った向きで外周側チップ座120に対して締結しようとする場合に、ねじ穴123の中心軸C2からのねじ部材8の頭部81のオフセット量をさらに大きくすることができる。この結果、ねじ部材8が挿通孔7の内側面から受ける摩擦抵抗をさらに大きくしたり、ねじ部材8とねじ穴123との螺合を確実に防止したりすることができる。
【0056】
また、第1端面21、第2端面22は、直径が4mm以上かつ15mm以下の仮想円VC1,VC2が内接する形状を呈している。小突起74の湾曲面73からの突出量L3は、0.05mm以上かつ0.30mm以下である。切削インサート1及び小突起74のサイズをこのようなものとすることにより、切削インサート1の実用性を維持しながらも、小突起74に上記効果を発揮させることが可能になる。
【0057】
次に、
図12及び
図13を参照しながら、切削インサート1の製造方法について説明する。ここでは、切削インサート1の製造工程の1つである加圧成形工程について説明する。
図12及び
図13は、成形装置200を示す模式図である。
図12は、成形装置200の上型210が下降する前の状態を示している。
図13は、成形装置200の上型210が下降した後の状態を示している。
【0058】
成形装置200は、加圧成形工程に用いられる金型である。加圧成形工程では、成形体1A(
図13参照)が成形される。当該成形体1Aは、成形後に焼成され、研削やコーティング等の処理が施されることによって切削インサート1となる。成形装置200は、上型210と、下型220と、コアロッド230と、型枠240と、を有している。
【0059】
上型210は、その下面212に突出部211が形成されている。突出部211は、下面212の中央部から下方に向かって突出している。上型210は、不図示のアクチュエータが駆動することにより、鉛直方向に移動可能に構成されている。
【0060】
下型220は、その中央部を貫通する挿通孔221が形成されている。当該挿通孔221には、コアロッド230が挿通されている。コアロッド230は円柱形状を呈しており、挿通孔221の軸方向に沿って上昇及び加工することができる。コアロッド230の上端部には、上方に向かって突出する突出部231が形成されている。突出部231の外径は、上型210に形成されている突出部211の外径と同程度に設定されている。
【0061】
型枠240は、下型220の上部側面を包囲するように配置されている。また、型枠240は、下型220の上面222よりも上方に延びており、その内側面241と、下型220の上面222との間に充填空間243を形成している。充填空間243は、上部が開放されている。
【0062】
成形体1Aの成形開始時、
図12に示されるように、コアロッド230は、その突出部231が型枠240の上端と同程度の高さに位置するように配置される。コアロッド230の周囲の充填空間243には、硬質材料から成る原料粉末1Pが充填される。
【0063】
アクチュエータが駆動を開始すると、上型210が矢印Pで示されるように下降し、その突出部211がコアロッド230の突出部231と当接する。このとき、突出部211と突出部231とは、それらの中心が互いに略一致するように当接する。
【0064】
上型210は、コアロッド230の突出部231との当接を維持しながら、コアロッド230を押し下げるように下降する。上型210が充填空間243に嵌入すると、上型210の下面212と、下型220の上面222と、型枠240の内側面241と、の間で原料粉末1Pが加圧され、凝縮する。
【0065】
上型210は、
図13に示される位置で下降を停止する。このとき、上型210の下面212と下型220の上面222との距離は、切削インサート1の厚さ(約2.5mm)よりもやや大きい。また、突出部211及び突出部231の先端は、前述した切削インサート1の挿通孔7の内部に対応する位置において互いに対向して当接している。
【0066】
これにより、外形が切削インサート1よりもやや大きい成形体1Aの成形が完了する。成形完了後、上型210及び下型220が上昇することにより、成形体1Aが充填空間243から排出される。
【0067】
このように、切削インサート1の製造方法は、金型である上型210及び下型220によって原料粉末1Pを加圧して成形する加圧成形工程を備える。加圧成形工程において、突出形成された突出部211及び突出部231の先端を互いに対向させて当接させる。
【0068】
このような加圧成形工程によれば、突出形成された突出部211及び突出部231先端を互いに対向させて当接させることにより、切削インサート1の挿通孔7を形成することができる。また、当該当接部分は、所謂パーティングラインPLとなる。パーティングラインPLでは、成形体1Aにバリが生じやすい。したがって、成形された成形体1Aに生じたバリを、切削インサート1の挿通孔7の小突起74として利用することができる。
【0069】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されず、適宜変更することができる。
【0070】
例えば、上記実施形態では、第1端面21と第2端面22とを接続する接続部として、湾曲面73を有している。しかしながら、本発明に係る接続部は、面形状を呈する形態に限定されない。すなわち、第1端面21と第2端面22とは、それぞれの端部において互いに接続されていてもよい。この場合、互いに接続される第1端面21と第2端面22との端部が、本発明に係る接続部に相当する。