特許第6758641号(P6758641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758641
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】水道栓の取付補助具
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20200910BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20200910BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20200910BHJP
   E03B 7/04 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   E03C1/042 E
   E03C1/02
   F16L5/00 B
   E03B7/04
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-197748(P2016-197748)
(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公開番号】特開2018-59331(P2018-59331A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390009999
【氏名又は名称】日動電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】木村 英生
(72)【発明者】
【氏名】蘆田 洋
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−306473(JP,A)
【文献】 特開2003−106480(JP,A)
【文献】 実開昭62−040385(JP,U)
【文献】 特開平10−159137(JP,A)
【文献】 特開2005−054387(JP,A)
【文献】 特開2003−185062(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3105944(JP,U)
【文献】 特開2005−030027(JP,A)
【文献】 特開平06−034080(JP,A)
【文献】 意匠登録第1516455(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/042
E03B 7/04
E03C 1/02
F16L 5/00
日本意匠分類 M2−440
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物のコンクリート側壁(1)に形成した貫通孔(2)に、一端部に水道栓(16)の接続部を一体形成するとともに、他端部に給水管との接続具(17)を装備した連結送水管(3)を挿入配置する合成樹脂製の水道栓の取付補助具(4)であって、
コンクリート側壁(1)に当接固定される固定板(6)と、この固定板(6)の外面中央部に一体形成したボス部(7)とを有し、ボス部(7)はその内径を連結送水管(3)の外周を抱持可能に形成してあり、前記固定板(6)、ボス部(7)を有する取付補助具(4)は二分割可能に形成してあることを特徴とする水道栓の取付補助具。
【請求項2】
各分割取付補助具(4a)(4b)での一方の分割対向面(7a)に係合突条(12)がボス部軸心と平行に形成されるとともに、他方の分割対向面(7b)に該係合突条(12)を受け入れる受入溝(14)が形成され、両分割取付補助具(4a)(4b)のボス部内周面に連結送水管(3)の外周面に突設された一対の突条(10a)(10b)を受け入れる凹溝(11)(13)が形成され、係合突条(12)を受け入れる受入溝(14)が形成されている分割取付補助具(4b)の凹溝(13)をボス部(7)の先端面に開口させたことを特徴とする請求項1に記載の水道栓取付補助具。
【請求項3】
ボス部(7)に形成した係合突条(12)と、この係合突条(12)を受け入れる受入溝(14)がそれぞれ先窄まりのテーパー状に形成されている請求項1または2に記載の水道栓の取付補助具。
【請求項4】
固定板(6)の分割対向面の一方に係合突片(20)が形成され、他方に該係合突片(20)が係合する係合受部(21)が形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の水道栓の取付補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート側壁を貫通して配置される水道栓の取付補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の側壁面に水道栓を配置する場合、従来、構造物のコンクリート側壁に貫通孔を貫設し、このコンクリート側壁に形成した貫通孔に真鍮等の金属製の連結送水管を挿入し、送水管の一端部に蛇口(水道栓)を固定するとともに、他端部に給水管を接続している。
【0003】
この場合、貫通孔内での送水管の保持は、貫通孔内周面と送水管外周面との間に形成される空間にモルタルを充填することにより行われている(例えば、特許文献1の段落0007、図6参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−54387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンクリート側壁内での送水管の保持を従来のように、貫通孔内周面と送水管外周面との間に形成される空間にモルタルを充填することで行う場合には、貫通孔内周面と送水管外周面との間に形成される狭くて長い空間にモルタルを均一に注入しなければならないうえ、送水管を所定の位置に維持しておかなければならず、準備作業や充填作業に手間がかかるという問題があるうえ、充填したモルタルが所定の強度を発揮するまで時間がかかり、作業効率が悪いという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような点に着目してなされたもので、コンクリート側壁を貫通して配置される水道栓を効率よく固定することのできる補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の本発明は、構造物のコンクリート側壁に形成した貫通孔に、一端部に水道栓の接続部を一体形成するとともに、他端部に給水管との接続具を装備した連結送水管を挿入配置する合成樹脂製の水道栓の取付補助具であって、
コンクリート側壁に当接固定される固定板と、この固定板の外面中央部に一体形成したボス部とを有し、ボス部はその内径を連結送水管の外周を抱持可能に形成してあり、前記固定板、ボス部を有する取付補助具は二分割可能に形成してあることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の構成に加えて、各分割取付補助具での一方の分割対向面に係合突条がボス部軸心と平行に形成されるとともに、他方の分割対向面に該係合突条を受け入れる受入溝が形成され、両分割取付補助具のボス部内周面に連結送水管の外周面に突設された一対の突条を受け入れる凹溝が形成され、係合突条を受け入れる受入溝が形成されている分割取付補助具の凹溝をボス部の先端面に開口させたことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載の構成に加えて、ボス部に形成した係合突条と、この係合突条を受け入れる受入溝がそれぞれ先窄まりのテーパー状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の構成に加えて、固定板の分割対向面の一方に係合突片が形成され、他方に該係合突片が係合する係合受部が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、構造物のコンクリート側壁に形成した貫通孔に、一端部に水道栓の接続部を一体形成するとともに、他端部に給水管との接続具を装備した連結送水管を挿入配置する合成樹脂製の水道栓の取付補助具であって、コンクリート側壁に当接固定される固定板と、この固定板の外面中央部に一体形成したボス部とを有し、ボス部はその内径を連結送水管の外周を抱持可能に形成してあり、固定板、ボス部を有する取付補助具は二分割可能に形成してあることから、連結送水管の一端部と他端部の間の部分の外側に、2つ割構造の取付補助具のボス部によって連結送水管の一端部と他端部の間の部分の外周を抱持した状態で2つ割構造の取付補助具を組み立てて装着することができる。そして、コンクリート側壁に形成した貫通孔に連結送水管を挿通配置し、連結送水管の一端部と他端部の間の部分に装着した取付補助具の固定板をコンクリート側壁に当接固定することで、コンクリート側壁に形成した貫通孔に、連結送水管を挿通した状態で配置することができることができることから、従来のように、コンクリート側壁に形成した貫通孔にモルタルを充填しなくてもよくなり、モルタル固結までの時間も省略することができ、作業性を高めるとともに作業効率も高めることができる。これにより、コンクリート側壁を貫通して配置される水道栓を効率よく固定することができる。
【0012】
また、各分割取付補助具での一方の分割対向面に係合突条がボス部軸心と平行に形成されるとともに、他方の分割対向面に該係合突条を受け入れる受入溝が形成され、両分割取付補助具のボス部内周面に連結送水管の外周面に突設された一対の突条を受け入れる凹溝が形成され、係合突条を受け入れる受入溝が形成されている分割取付補助具の凹溝をボス部の先端面に開口させた構成を加えた場合、取付補助具を連結送水管に装着した状態で取付補助具と連結送水管との相対回動を、連結送水管の外周面に突設された一対の突条と両分割取付補助具のボス部内周面にそれぞれ形成された凹溝との係合によって阻止し、コンクリート側壁に対する連結送水管の軸心回りでの回動するのを阻止することができる。これにより、コンクリート側壁を貫通して配置される水道栓の姿勢を維持することができる。
【0013】
また、ボス部に形成した係合突条と、この係合突条を受け入れる受入溝がそれぞれ先窄まりのテーパー状に形成されている構成を加えた場合、係合突条が形成されている一方の分割取付補助具に対して係合突条を受け入れる受入溝が形成されている他方の分割取付補助具を連結送水管の軸心に沿わせてスライドさせながら係合突条を受入溝に挿入することで、ボルト・ナット等を使用することなく、一方の分割取付補助具と他方の分割取付補助具を結合し、連結送水管の一端部と他端部の間の部分の外側に取付補助具を容易に組み立てて装着することができる。
【0014】
また、固定板の分割対向面の一方に係合突片が形成され、他方に該係合突片が係合する係合受部が形成されている構成を加えた場合、連結送水管の一端部と他端部の間の部分の外側に2つ割構造の取付補助具を組み立てて装着する際に、2つ割構造の取付補助具の一方の分割取付補助具と他方の分割取付補助具との間の位置ずれを、固定板の分割対向面の一方に形成された係合突片と固定板の分割対向面の他方に形成された係合受部との係合によって確実に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明にかかる水道栓取付補助具の一実施形態を使用した水道栓取付状態を示す側面図である。
図2】本発明にかかる水道栓取付補助具の一実施形態を使用した水道栓取付状態を示す平面図である。
図3】本発明にかかる水道栓取付補助具の一実施形態を示す斜視図である。
図4】本発明にかかる水道栓取付補助具の一実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明にかかる水道栓取付補助具は、構造物のコンクリート側壁(1)に形成された貫通孔(2)に挿通した状態で配置される連結送水管(3)を所定の姿勢で保持するための合成樹脂製の水道栓取付補助具(4)であり、前記コンクリート側壁(1)の一方の壁面(5)(水道栓取付側の壁面とは反対側の壁面)に当接した状態に固定される固定板(6)と、その固定板(6)の外面中央部に突設形成した筒状のボス部(7)とを有している。このボス部(7)の内径は前記連結送水管(3)の外周を抱持可能に設定されている。
【0017】
この取付補助具(4)は図3及び図4に示すように、ボス部(7)に形成した連結送水管挿通空間(9)の軸心を含む一平面で2つ割り可能に構成してある。
【0018】
一方の分割取付補助具(4a)は、連結送水管(3)の外周面の対称位置に突設されている一対の突条(10a)(10b)のうち一方の突条(10a)を受け入れる一方の凹溝(11)を連結送水管(3)の挿通空間(9)の内周面に凹設するとともに、ボス部(7)の分割対向面(7a)に断面形状が略Ω型をなす係合突条(12)が連結送水管挿通空間(9)の軸心と平行に形成されている。そして、この係合突条(12)はボス部(7)の先端面側から固定板(6)側に向けて先窄まりとなるテーパー状をなしている。
【0019】
他方の分割取付補助具(4b)は、連結送水管(3)の外周面の対称位置に突設されている一対の突条(10a)(10b)のうち他方の突条(10b)を受け入れる他方の凹溝(13)を連結送水管(3)の挿通空間(9)の内周面に凹設するとともに、前記一方の分割取付補助具(4a)の分割対向面(7a)に突設されている係合突条(12)を受け入れる断面形状が略Ω型をなす受入溝(14)がボス部(7)の分割対向面(7b)に凹設されている。そして、この他方の分割取付補助具(4b)に形成された他方の溝(13)及び受入溝(14)はボス部(7)の先端面に開口している。
【0020】
一対の分割取付補助具(4a)(4b)の固定板(6)には、コンクリート側壁(1)に取付補助具(4)を釘等の固定具で固定する際の固定具挿通穴(15)がボス部軸心を中心とする同心円上に複数個設けてある。一対の分割取付補助具(4a)(4b)の固定板(6)の分割対向面の一方に係合突片(20)が、他方に該係合突片(20)が係合する係合受部(21)がそれぞれ形成してある。
【0021】
図1図2において、符号(16)は連結送水管(3)の一端部に取り付けられる蛇口等の水道栓、符号(17)は連結送水管(3)の他端部に装備された給水管を接続するための接続具、符号(18)は、連結送水管(3)の水道栓接続部と構造物のコンクリート側壁(1)に形成した貫通孔(2)の内周面との間に装着したスペーサ、符号(19)はスペーサ(18)と水道栓(16)のフランジとの間に充填したコーキング材である。
【0022】
上述の構成からなる取付補助具(4)は、構造物の立上壁を形成しているコンクリート側壁(1)に蛇口等の水道栓を取り付ける場合に使用される。すなわち、コンクリート側壁(1)に貫通形成された貫通孔(2)に挿入される連結送水管(3)に、一方の分割取付補助具(4a)のボス部内周面に形成した一方の凹溝(11)に連結送水管(3)の外周面に突設されている一方の突条(10a)を嵌め込むとともに、他方の分割補助具(4b)を連結送水管(3)の軸心に沿わせてスライドさせながら、他方の分割取付補助具(4b)の凹溝(13)を連結送水管(3)の外周面に突設されている他方の突条(10b)に、また、分割対向面(7b)に開口形成されている受入溝(14)に一方の分割取付補助具(4a)に突設されている係合突条(12)をそれぞれ挿入嵌合させて、一方の分割取付補助具(4a)の分割対向面(7a)に他方の分割取付補助具(4b)の分割対向面(7b)を合致させた状態で、一方の分割取付補助具(4a)と他方の分割取付補助具(4b)を連結送水管(3)の一端部と他端部の間の部分の外側で結合することにより、連結送水管(3)の一端部と他端部の間の部分の外側に、2つ割構造の取付補助具(4)のボス部(7)によって連結送水管(3)の一端部と他端部の間の部分の外周を抱持した状態で、2つ割構造の取付補助具(4)を組み立てて装着する。
【0023】
次いで、取付補助具(4)を装着した連結送水管(3)をコンクリート側壁(1)に貫通形成されている貫通孔(2)に一方から挿入する。そして、コンクリート側壁(1)の他方に開口している開口部に臨んでいる水道栓連結部の外周と貫通孔(2)の周面との間にスペーサ(18)を装着するとともに、コーキング処理を施し、水道栓連結部に蛇口等水道栓(16)を螺着固定する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、散水や手足の泥落とし用として構造物の屋外壁面に配置される水道栓の取付補助具として使用する。
【符号の説明】
【0025】
1…コンクリート側壁、2…貫通孔、3…連結送水管、4…水道栓取付補助具、4a・4b…分割取付補助具、6…固定板、7…ボス部、7a・7b…分割対向面、10a・10b…突条、11…凹溝、12…係合突条、13…凹溝、14…受入溝、15…固定具挿通孔、16…水道栓、17…接続具。
図1
図2
図3
図4