特許第6758657号(P6758657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6758657-溶液を混合するためのシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758657
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】溶液を混合するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/26 20060101AFI20200910BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20200910BHJP
   G01N 27/10 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   G01N30/26 E
   G01N30/26 N
   G01N30/26 M
   G01N27/416 353Z
   G01N27/10
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-532662(P2017-532662)
(86)(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公表番号】特表2017-538129(P2017-538129A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2015080200
(87)【国際公開番号】WO2016097131
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】1451561-3
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】オロブソン,ビョルン・マルクス
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0175738(US,A1)
【文献】 特開昭62−266459(JP,A)
【文献】 特表2013−529781(JP,A)
【文献】 特開昭58−201064(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00236990(EP,A2)
【文献】 米国特許第04311586(US,A)
【文献】 特表2007−500852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 −30/96
B01J 20/281−20/292
B01F 1/00 − 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を混合するためのシステム(100、200)であって、
少なくとも1つの溶液を流すことができるスイッチバルブ(106、212)と、
前記スイッチバルブ(106、212)を通して前記少なくとも1つの溶液を圧送するための低圧ポンプ(108、210)と、
前記低圧ポンプ(108、210)と高圧ポンプ(114、216)との間に配置されたTジョイント(102、110、214)であって、前記低圧ポンプ(108、210)を通して前記少なくとも1つの溶液を受け取り、前記少なくとも1つの溶液を緩衝溶液と混合することができるTジョイント(102、110、214)と、
混合溶液を収集するための高圧ポンプ(114、216)と、
を含むシステム(100、200)。
【請求項2】
前記Tジョイント(102、110、214)は、少なくとも1つの直接接続を通して前記緩衝溶液を保持する容器(104、112、202、204、206、208)に接続される、請求項1に記載のシステム(100、200)。
【請求項3】
前記スイッチバルブ(106、212)は、前記緩衝溶液を前記容器(104、112、202、204、206、208)から流出させることができ、前記低圧ポンプ(108、210)は、前記スイッチバルブ(106、212)を通して前記緩衝溶液を圧送することができる、請求項2に記載のシステム(100、200)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの溶液は、酸、塩基および塩溶液のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム(100、200)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの溶液を供給するための前記低圧ポンプ(108、210)の動作を制御し、前記少なくとも1つの溶液を流すことができる前記スイッチバルブ(106、212)の機能を制御するように構成された制御システム(222)をさらに含む、請求項1に記載のシステム(100、200)。
【請求項6】
前記制御システム(222)は、前記少なくとも1つの低圧ポンプ(108、210)によって供給される前記少なくとも1つの溶液の流量を制御するように構成され、前記少なくとも1つの溶液の前記流量は、前記混合溶液の濃度を決定する、請求項5に記載のシステム(100、200)。
【請求項7】
前記高圧ポンプ(114、216)で受け取られた前記混合溶液の特性を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ(116、118、218、220)をさらに含む、請求項1に記載のシステム(100、200)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサ(116、118、218、220)のうちのセンサは、前記混合溶液に関連する導電率を測定するように構成される、請求項7に記載のシステム(100、200)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサ(116、118、218、220)のうちのセンサは、前記緩衝溶液に関連するpHレベルを測定するように構成される、請求項7に記載のシステム(100、200)。
【請求項10】
前記センサは、前記Tジョイントと前記高圧ポンプとの間に存在する請求項7から9のいずれか一項に記載のシステム(100、200)。
【請求項11】
クロマトグラフィシステム(300)であって、
少なくとも1つの溶液を流すことができるスイッチバルブ(106、212)と、
前記スイッチバルブ(106、212)を通して前記少なくとも1つの溶液を圧送する
ための低圧ポンプ(108、210)と、
前記低圧ポンプ(108、210)と高圧ポンプ(114、216)との間に配置されたTジョイント(102、110、214)であって、前記低圧ポンプ(108、210)を通して前記少なくとも1つの溶液を受け取り、前記少なくとも1つの溶液を緩衝溶液と混合することができるTジョイント(102、110、214)と、
混合溶液を収集してクロマトグラフィカラム(224)に送達するための高圧ポンプ(114、216)と、
を含むクロマトグラフィシステム(300)。
【請求項12】
前記Tジョイント(102、110、214)は、少なくとも1つの直接接続を通して前記緩衝溶液を保持する容器(104、112、202、204、206、208)に接続される、請求項11に記載のクロマトグラフィシステム(300)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの溶液は、酸、塩基および塩溶液のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のクロマトグラフィシステム(300)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの溶液を供給するための前記低圧ポンプ(108、210)の動作を制御し、前記少なくとも1つの溶液を流すことができる前記スイッチバルブ(106、212)の機能を制御するように構成された制御システム(222)をさらに含む、請求項11に記載のクロマトグラフィシステム(300)。
【請求項15】
前記制御システム(222)は、前記少なくとも1つの低圧ポンプ(108、210)によって供給される前記少なくとも1つの溶液の流量を制御するように構成され、前記少なくとも1つの溶液の前記流量は、前記混合溶液の濃度を決定する、請求項14に記載のクロマトグラフィシステム(300)。
【請求項16】
前記高圧ポンプ(114、216)で受け取られた前記混合溶液の特性を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ(116、118、218、220)をさらに含む、請求項9に記載のクロマトグラフィシステム(300)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセンサ(116、118、218、220)のうちのセンサは、前記混合溶液に関連する導電率を測定するように構成される、請求項16に記載のクロマトグラフィシステム(300)。
【請求項18】
前記少なくとも1つのセンサ(116、118、218、220)のうちのセンサは、前記混合溶液に関連するpHレベルを測定するように構成される、請求項16に記載のクロマトグラフィシステム(300)。
【請求項19】
前記センサは、前記Tジョイントと前記高圧ポンプとの間に存在する請求項16から18のいずれか一項に記載のクロマトグラフィシステム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、複数の溶液の混合に関する。より具体的には、本主題は、クロマトグラフィ用途におけるインライン条件用の複数の溶液の混合のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィは、化学物質と生物学的物質を分離するための確立された貴重な技術であり、研究や産業で広く使用されており、化合物の調製、精製、分析に多くの用途がある。クロマトグラフィの多くの異なる形態があり、液体クロマトグラフィは、タンパク質、ペプチドおよび核酸の調製、精製および分析のための製薬および生物学的産業において特に重要である。
【0003】
典型的な液体クロマトグラフィ装置は直立ハウジングを有し、その中に、通常は本質的に微粒子であって、多孔性媒体からなる充填材料のベッドが透過性保持層に載置されている。液体移動相は、入口、例えばカラムの頂部、通常、多孔質の穿孔フィルタ、メッシュまたはフリットを通って入り、充填材料のベッドを通過し、出口を介して、通常、第2のフィルタ、メッシュまたはフリットを通して除去される。
【0004】
多くの場合、pH、イオン強度、粘度、密度など、正確に知られている組成および/または他の特性の液体を得ることが重要である。さらに、液体の組成が各瞬間に正確に知られ制御されているだけでなく、正確かつ制御された方法で時間とともに変化することが珍しくない。このような液体は、通常は、混合システム、通常は現場の混合システムを用いて、2つ以上の液体を互いに混合またはブレンドすることによって得られ、アイソクラティックブレンドモードおよびグラジエントブレンドモード(段階勾配および直線勾配)の両方を提供することができる。液体の組成が最も重要な用途の1つは、特定のpHおよび任意選択的にイオン強度を有する緩衝液が利用される液体クロマトグラフィの分野であり、溶離液のpHおよびイオン強度は、イオン交換樹脂などのクロマトグラフィにおけるタンパク質分離の選択性を制御する2つの最も重要なパラメータである。別のそのような用途は濾過である。
【0005】
現在のシステムは、クロマトグラフィカラムに送達される必要のある混合溶液を形成するために、酸、塩基および塩などの異なる溶液/緩衝溶液を水とともにミキサーに送達するための複数の高圧ポンプの使用を含む。しかし、pHレベルおよび導電率などの混合溶液の特性は、クロマトグラフィカラムに供給する前に決定することができない。様々な量および濃度で複数の溶液を供給する必要があるので、スイッチバルブまたは4元バルブが使用される。スイッチバルブは、異なる溶液を切り替えることができ、溶液を混合ユニットに送達することができる。高圧ポンプは、溶液/緩衝溶液をそれらの容器からスイッチバルブを通してポンプ圧送するために一般的に使用される。クロマトグラフィカラムに供給される混合溶液の特性は、タンパク質の分離を効率的に行うために重要である。現在のシステムでは、混合溶液の特性を決定することは難しく、正確ではない。現在のシステムのスイッチバルブは、不正確な混合を提供し、低いパーセンテージでは正確ではない。これは、これらの特性を決定するセンサが、高圧ポンプによって圧送される溶液の圧力レベルに耐えられない可能性があるからである。センサは、一般に7バール、すなわち0.7MPaまでの圧力しか受け入れることができない。したがって、混合溶液は所望の特性を有することができず、あるいはpHレベルおよび導電率などの特性のばらつきを有する可能性がある。さらにより多くの高圧ポンプの使用は、クロマトグラフィシステムのコストを増加させる。
【0006】
したがって、クロマトグラフィのための溶液のインライン混合のための改良されたシステムに対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/103519号パンフレット
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の1つまたは複数の欠点を克服する、複数の溶液を混合する改良された方法を提供することである。これは、独立請求項に定義されているような単純かつ便利な設計で、複数の溶液および緩衝溶液からのクロマトグラフィのための溶液のインライン混合のためのシステムによって達成される。
【0009】
複数の溶液と緩衝溶液とを混合するための開示されたシステムの1つの利点。本システムは、少なくとも1つの溶液を流すことができるスイッチバルブと、スイッチバルブを通して1つまたは複数の溶液を圧送するための低圧ポンプと、低圧ポンプを通して1つまたは複数の溶液を受け取り、1つまたは複数の溶液を緩衝溶液と混合することができるTジョイントと、を含む。混合溶液を収集するための高圧ポンプが存在する。低圧ポンプが使用されると、センサで経験される緩衝溶液の圧力がより低くなるので、センサは特性を決定するために正常に動作することができる。さらに、低圧ポンプは、システムをより安価にする。
【0010】
一実施形態では、溶液と緩衝溶液とを混合するためのシステムが開示される。このシステムでは、1つまたは複数の溶液を流すことができるスイッチバルブと、スイッチバルブを通して1つまたは複数の溶液を圧送するための低圧ポンプと、低圧ポンプを通して1つまたは複数の溶液を受け取り、1つまたは複数の溶液を緩衝溶液と混合することができるTジョイントと、が存在する。混合溶液を収集するための高圧ポンプが存在する。
【0011】
別の実施形態では、クロマトグラフィシステムが開示される。クロマトグラフィシステムは、少なくとも1つの溶液を流すことができるスイッチバルブと、スイッチバルブを通して1つまたは複数の溶液を圧送するための低圧ポンプと、を含む。Tジョイントは、低圧ポンプを通して1つまたは複数の溶液を受け取り、1つまたは複数の溶液を緩衝溶液と混合することができる。高圧ポンプは、混合溶液を収集してクロマトグラフィカラムに送達する。
【0012】
本発明のより完全な理解、ならびにそのさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による、緩衝溶液を調製するためのシステムの概略図である。
図2A】例示的な実施形態による、緩衝溶液を調製するためのシステムの概略図である。
図2B】別の例示的な実施形態による、緩衝溶液を調製するためのシステムの概略図である。
図3】例示的な実施形態による、中にある複数の溶液を混合するためのシステムを有するクロマトグラフィシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照し、例示のために実施可能な特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、当業者が実施形態を実施できるように十分詳細に記載されており、他の実施形態も利用することができること、ならびに論理的、機械的、およびその他の変更を、実施形態の範囲から逸脱せずに行うことができることを理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0015】
以下に詳細に説明するように、溶液と緩衝溶液とを混合するためのシステムの実施形態が開示される。このシステムでは、1つまたは複数の溶液を流すことができるスイッチバルブと、スイッチバルブを通して1つまたは複数の溶液を圧送するための低圧ポンプと、低圧ポンプを通して1つまたは複数の溶液を受け取り、1つまたは複数の溶液を緩衝溶液と混合することができるTジョイントと、が存在する。混合溶液を収集するための高圧ポンプが存在する。
【0016】
図1は、一実施形態による複数の溶液を混合するためのシステム100を示す。システム100は、溶液を緩衝溶液と混合するためのTジョイント102を含む。緩衝溶液は、例えば水であってもよい。しかし、異なる種類の緩衝溶液を使用してもよいことに留意されたい。溶液は、例えば、限定されないが、酸、塩、塩基および注射用水(WFI)であってもよい。この溶液は容器104から供給される。
【0017】
容器104内の溶液は、スイッチバルブ106に接続された低圧ポンプ108によって発生される圧送圧力によって、スイッチバルブ106を通って流れる。一実施形態では、スイッチバルブ106は、例えば、スイッチバルブ106が切り替えて、必要に応じて溶液と緩衝溶液とを交換可能に供給することができるような、複数の溶液を切り替えることができる4元バルブであってもよい。スイッチバルブ106は、異なる溶液の切り替えが可能であるように、より迅速に開閉することができる。低圧ポンプ108によって圧送された溶液は、Tジョイント110に供給される。Tジョイント110はまた、容器112から緩衝溶液を受け取る。Tジョイント110は、容器112に直接接続されており、したがって緩衝溶液は混合ユニット110に自由に流入する。一実施形態では、高圧ポンプ114は、容器112からTジョイント110内に緩衝溶液を圧送するように構成することができる。他の方法では、高圧ポンプ114によって生成された吸引圧力は、緩衝溶液が容器112からTジョイント110に流れることを可能にする。他の方法では、低圧ポンプ108と高圧ポンプ114とによって生成された圧力の差は、緩衝溶液を容器112からTジョイント110に流入させるための吸引圧力を生成する。高圧ポンプ114によって発生される圧力は、調製される必要がある混合溶液の要件に基づいて変化してもよい。Tジョイント110では、溶液と緩衝溶液とをブレンドまたは混合して混合溶液を形成する。混合溶液は、例えばタンパク質の混合物を精製するためのクロマトグラフィ用途のために様々な目的に必要とされる緩衝液であってもよい。しかし、緩衝液は他の任意の目的のためにも使用できることが想定される。一実施形態では、Tジョイント110は、溶液を緩衝溶液と混合することができる磁気攪拌器であってもよい。しかし、Tジョイント110は、溶液の混合を行うために当該技術分野において知られている他の任意の構造的および機能的構成もしくは配置を有することが想定されてもよい。
【0018】
例えば、容器112は、水を貯蔵することができ、容器104は酸を貯蔵することができる。低圧ポンプ108は、低圧で圧送して酸をTジョイント110に供給する。スイッチバルブ106が開き、酸がTジョイント110に流入することが可能になる。容器112内に存在する水は、Tジョイント110に直接流入する。別の例では、スイッチバルブ106は、その接続を切り替えて、水がTジョイント110に流入するようにしてもよい。ここで、低圧ポンプ108は、水をTジョイント110に圧送するための圧力を発生させることができる。一実施形態では、Tジョイントは混合ユニットであってもよい。混合ユニットは、酸を水と混合することができる。
【0019】
高圧ポンプ114によって圧送された混合溶液は、限定されないが、pH、導電率などのその特性を決定するために分析される。一実施形態では、センサ116およびセンサ118が、混合ユニット110と高圧ポンプ114との間に存在してもよい。センサ116は、混合溶液のpHレベルを決定するためのpHセンサであってもよく、センサ118は、混合溶液に関連する導電率を決定するための導電率センサであってもよい。混合溶液に関連する所望のpHレベルおよび導電率レベルに何らかの変化があると、低圧ポンプ108を通る溶液の流量および容器112からTジョイント110への緩衝溶液の流量も変化する。緩衝溶液の流量は、高圧ポンプ114によって発生される圧力を変化させることによって制御することができる。さらに、スイッチバルブ106を通過する容器104内に存在する溶液の流量は、低圧ポンプ108によって発生する圧力を変化させることによって変化させることができる。センサ116、118は、低圧ポンプ108に近接する低圧側に配置されているので、これらのセンサの動作または機能は、いかなる高圧によっても影響を受けず、したがって混合溶液の特性を正確に監視することができる。ここでは、センサ116とセンサ118の2つのセンサのみが説明され、図1に示されているが、混合溶液に関連する他の様々なパラメータを決定または監視するように配置されたセンサがさらに存在してもよい。
【0020】
図2Aは、別の実施形態による、複数の溶液を混合するためのシステム200を示す。システム200は、複数の溶液、例えば、容器202、容器204、容器206、および容器208などの4つの容器に格納された4つの溶液を含む。一実施形態では、容器202、容器204、容器206、および容器208は、酸、塩基、塩、および水を保持する。容器202、204、206、208は、スイッチバルブ212を通して低圧ポンプ210に接続されている。低圧ポンプ210は、溶液を容器のうちの1つから圧送して、スイッチバルブ212を通過させることを可能にする低圧を生成する。スイッチバルブ212は、容器を切り替えて、各溶液をTジョイント214内に供給することができる。スイッチバルブ212を通る各溶液の流量は、要件に基づいて変化してもよい。流量は、スイッチバルブ212が開かれる量に基づいて変化させることができる。別の例では、低圧ポンプ210によって発生する圧力は、溶液の流量を変化させるように変化し、それによって、送達される溶液の量が変化する。
【0021】
Tジョイント214内に受け取られた溶液は、互いに混合されて、高圧ポンプ216によって圧送される混合溶液を形成する。低圧ポンプ210により近い低圧側にあるTジョイント214内で溶液と緩衝溶液とが混合されるので、それらを良好に混合することができ、特性を決定することがより簡便になる。高圧ポンプ216は、低圧ポンプ210よりも大きな圧力を生成することができる。混合溶液は、限定されないが、pH、導電率などのその特性を決定するために分析される。一実施形態では、センサ218およびセンサ220が、Tジョイント214と高圧ポンプ216との間に存在してもよい。センサ218は、混合溶液のpHレベルを決定するためのpHセンサであってもよく、センサ220は、混合溶液に関連する導電率を決定するための導電率センサであってもよい。混合溶液に関連する所望のpHレベルおよび導電率レベルに何らかの変化があると、低圧ポンプ210を通る溶液の流量および容器208からTジョイント214への緩衝溶液の流量も変化する。容器208とTジョイント214との間の直接接続を通る緩衝溶液の流速は、高圧ポンプ216によって発生する圧力を変化させることによって制御することができる。さらに、スイッチバルブ212を通過する容器202、204、206のいずれかに存在する1つまたは複数の溶液の流量は、低圧ポンプ210によって発生する圧力を変化させることによって変化させることができる。センサ218、220は、低圧ポンプ210に近接する低圧側に配置されているので、これらのセンサの動作または機能は、いかなる高圧によっても影響を受けず、したがって混合溶液の特性を正確に監視することができる。ここでは、センサ218とセンサ220の2つのセンサのみが説明され、図2に示されているが、混合溶液に関連する他の様々なパラメータを決定または監視するように配置されたセンサがさらに存在してもよい。
【0022】
さらに図2Bは、別の例示的な実施形態による、複数の溶液を混合するためのシステム200を示す。この実施形態では、容器202、容器204、容器206、および容器208は、酸、塩基、塩、および水を保持する。容器202、204、206は、スイッチバルブ212を通して低圧ポンプ210に接続されている。容器208は、Tジョイント214に直接接続されている。一実施形態では、Tジョイント214と容器208とを接続するチェックバルブ(図2Bには示さず)を設けてもよい。チェックバルブはまた、溶液と容器208内の緩衝溶液との間で起こり得る混合を回避する。別の実施形態では、緩衝溶液を供給するために、Tジョイント214と容器208との間の接続の間に配置されたバルブとポンプの組み合わせが存在してもよい。例えば、Tジョイント102内に緩衝溶液を圧送するために2つのポンプが存在してもよい。ここで、1つのポンプは、システム100の完全な流量範囲を有していなくてもよいが、システム100の完全な圧力範囲を有してもよい。さらに、他のポンプは、システム100の完全な流量範囲を有してもよいが、完全な圧力範囲を有さなくてもよい。低圧ポンプ210は、溶液を容器のうちの1つから圧送して、スイッチバルブ212を通過させることを可能にする低圧を生成する。スイッチバルブ212は、容器202、204、206を切り替えて、各溶液をTジョイント214内に供給することができる。スイッチバルブ212を通る各溶液の流量は、要件に基づいて変化してもよい。流量は、スイッチバルブ212が開かれる量に基づいて変化させることができる。Tジョイント214は、容器208から溶液を受け取ることができる。別の例では、低圧ポンプ210によって発生する圧力は、溶液の流量を変化させるように変化し、それによって、送達される溶液の量が変化する。Tジョイント214内に受け取られた溶液は、互いに混合されて、高圧ポンプ216によって圧送される混合溶液を形成する。
【0023】
図2Aの設定例を考慮すると、高圧ポンプ216および低圧ポンプ210は、それぞれ100ml/分および20ml/分の流量能力を有することができる。2%の酸、4%の塩基、4%の塩溶液、および90%の緩衝溶液(例えば水)を有する混合溶液の場合には、スイッチバルブ212を開くためのサイクル時間は5秒であってもよい。緩衝溶液は、容器208とTジョイント214との間の方向接続部を通って流れることができ、ここでの流速は80ml/分であってもよい。次に、必要な流量の80%が方向接続部を通って流れる。スイッチバルブ212は、容器202、204、206、208のそれぞれと接続するように開閉することができ、溶液、すなわち酸溶液、塩基溶液および塩溶液および緩衝溶液をそれぞれそれらに供給する。スイッチバルブ212は、塩基を1秒間20ml/分で流し、その後塩を1秒間20ml/分で流し、酸を20ml/分で0.5秒間流し、緩衝溶液を20ml/分で2.5秒間流すことができる。したがって、低圧ポンプおよび容器208とTジョイント214との間の方向接続部が存在することによって、混合溶液を形成するために、酸、塩基および塩のより低い濃度を混合ユニット送達することができる。混合溶液は、クロマトグラフィシステムにおけるインラインコンディショニングのために使用することができる。インラインコンディショニングプロセスは、クロマトグラフィ用途における精製とともに、緩衝溶液の調製のために実施される。
【0024】
スイッチバルブ212、低圧ポンプ210、センサ218、220および高圧ポンプ216の動作および機能は、制御システム222によって制御される。センサ218、220は、Tジョイント214から制御システム222に受け取られた混合溶液の特性に関連するフィードバックを提供することができる。したがって、制御システム222は、混合溶液を生成するために生じる流量および圧力を変化させるように、スイッチバルブ212、低圧ポンプ210および高圧ポンプ216の機能を制御する。クロマトグラフィに使用される緩衝溶液などの混合溶液の特性は、任意のタンパク質の精製のための所望の緩衝能力を有する必要があり、さもなければ収率が低下する可能性がある。緩衝能力は、pH値に対応するpKa値などの複数の要因と関連し得る。
【0025】
前述の混合溶液をクロマトグラフィ用途に使用することができる。混合溶液は、クロマトグラフィカラムを通過することができる緩衝溶液であってもよい。図3は、例示的な実施形態による、中にある複数の溶液を混合するためのシステム200を有するクロマトグラフィシステム300を示す。高圧ポンプ216によって受け取られた混合溶液は、クロマトグラフィカラム224内に送達することができる。クロマトグラフィカラム224において、混合溶液は、例えばタンパク質などの異なる物質の精製および分離を容易にすることができる。タンパク質の特性および任意の精製もしくは分離の要件に基づいて、異なる種類の混合溶液を形成し、クロマトグラフィカラムに供給することができる。したがって、異なるタンパク質の精製および分離のための様々な濃度の混合溶液を供給するために、スイッチバルブ212、低圧ポンプ210、センサ218、220、および高圧ポンプ216をクロマトグラフィシステム300に組み込むことができる。クロマトグラフィシステム300は、容器202、204、206、208などの複数の容器を収容することができる。
【0026】
上記から、溶液の混合のための上記システムが開示されることが理解されるであろう。このシステムでは、低圧ポンプがスイッチバルブを通して混合ユニットに溶液を収集し供給するので、低圧ポンプと高圧ポンプとの間に配置されたセンサは、緩衝溶液の特性を決定することができる。低圧ポンプを使用して容器から溶液を圧送するので、スイッチバルブは、低い流量で溶液を供給するように適応することができる。溶液の混合は、低圧ポンプにより近い低圧側の混合ユニット内で行われる。センサは、低圧ポンプの近くに存在するので、センサが高圧の影響を受けず、混合溶液の特性を簡便かつ正確に決定することができる。さらに、緩衝溶液を保持している容器と混合ユニットとの間の方向接続部によって、必要な緩衝溶液の大部分をこの接続部を通して供給することができ、したがって、スイッチバルブサイクル時間のより多くの時間が、スイッチバルブと低圧ポンプを通して送達される他の溶液のために利用可能になる。この直接接続を通して形成され供給される混合溶液の主要なパーセンテージは緩衝溶液であるので、低圧ポンプを用いて他の溶液を混合ユニットに圧送することができる。低圧ポンプが存在するので、スイッチバルブを通る溶液の任意の所望の流量に適応することができる。さらに、低圧ポンプは、溶液の混合を低圧環境で行うことを可能にする。
【0027】
この明細書は、本発明を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も本発明を実施することができるように実施例を用いており、1つまたは複数の任意のコンピューティングシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到するその他の実施例を含むことができる。このような他の実施例が請求項の字義通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、または、それらが請求項の字義通りの文言と実質的な差異がない等価な構造要素を含む場合には、このような他の実施例は特許請求の範囲内であることを意図している。
【符号の説明】
【0028】
100 システム
102 Tジョイント
104 容器
106 スイッチバルブ
108 低圧ポンプ
110 Tジョイント/混合ユニット
112 容器
114 高圧ポンプ
116 センサ
118 センサ
200 システム
202 容器
204 容器
206 容器
208 容器
210 低圧ポンプ
212 スイッチバルブ
214 Tジョイント
216 高圧ポンプ
218 センサ
220 センサ
222 制御システム
224 クロマトグラフィカラム
300 クロマトグラフィシステム
図1
図2A
図2B
図3