特許第6758705号(P6758705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758705
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】改ざん防止包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/43 20060101AFI20200910BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   B65D5/43
   B65D5/54 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-146200(P2016-146200)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-16337(P2018-16337A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】392031859
【氏名又は名称】上六印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】三島 基司
【審査官】 西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3183806(JP,U)
【文献】 特開2010−208674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒を構成する4面の側壁(2〜5)と、前記角筒の上部開口を塞ぐ上蓋(7)及び下部開口を再封緘不可能に塞ぐ底蓋(16)と、前記上蓋(7)の内側に折り込まれる対向一対の内フラップ(11,11)と、前記上蓋(7)の一辺に折り目線(8)を介して連なる差込片(9)と、前記内フラップ(11)の内側に折り込まれる押え込みフラップ(12)とを備え、
前記上蓋(7)は、前記対の内フラップ(11,11)が連なった側壁(3,4)と隣り合う位置の側壁(2)の上端に折り目線(13)を介して連設され、さらに、この上蓋(7)は前記差込片(9)を切り離す破断線(10)を有し、
前記押え込みフラップ(12)は、前記上蓋(7)が連設された側壁(2)と対向した位置にある側壁(5)の上端に折り目線(15)を介して連設され、
前記差込片(9)が、前記折り目線(8)に沿って折り返えされて前記内フラップ(11)と前記押え込みフラップ(12)との間に差し込まれ、
前記押え込みフラップ(12)が、下部開口から箱の内部に収納される物品に押し上げられてその押え込みフラップ(12)と前記内フラップ(11)との間に前記差込片(9)が挟み込まれるように構成された改ざん防止包装箱。
【請求項2】
前記上蓋(7)と前記差込片(9)との間にある前記折り目線(8)の両端に切り込み(22)を入れ、さらに、前記対の内フラップ(11,11)の箱の組み立て状態において前記押え込みフラップ(12)の根元側にくる縁に突片(23)を設け、前記差込片(9)を前記押え込みフラップ(12)と内フラップ(11)との間に差し込んだときに前記突片(23)が前記切り込み(22)に差し込まれて係合するようにした請求項1に記載の改ざん防止包装箱。
【請求項3】
箱の下側を、前記底蓋(16)の内側に折り込まれる対向一対の内フラップ(17,17)と、底蓋(16)が連設された側壁(2)と対向する位置の側壁(5)の下端に折り目線(21)を介して連設される連結フラップ(18)を備える構造にし、前記連結フラップ(18)を対の内フラップ(17,17)の外側に折り重ね、その連結フラップ(18)上に底蓋(16)を重ねて前記連結フラップ(18)にその底蓋(16)を接着して下部開口を封緘するようにした請求項1または2に記載の改ざん防止包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、売り場の陳列棚などに置かれた包装箱入り商品が、いたずらなどによって包装箱が開封された際に、それが一見して判るようにした改ざん防止包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
いたずらによる開封や異物混入などの防止を目的として開発されている改ざん防止包装箱の従来例として、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載された包装箱は、4面の側壁を有する箱であって、上部開口を塞ぐ蓋と、各蓋の内側に折り込まれる対向配置の一対のフラップと、各蓋の外面上に折り重ねて蓋の外面に接着する上側突片を備えている。
【0004】
前記蓋と上側突片は対向2側壁の端部にそれぞれ連設され、前記フラップは、もう一組の対向2側壁の端部にそれぞれ連設されている。
【0005】
また、いたずらによる蓋の開封防止は、上側も下側も同じ構造を採用して行っており、同文献の図1図8に示される箱は上下に関して方向性の無い箱になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−8269公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の包装箱は、蓋の外面に接着した上側突片を剥がすと、蓋の突片接着部に設けた剥離剤層が接着層と一緒に剥がれる。そのため、再接着ができず、いたずらされて上側突片が剥がされると、その上側突片は剥がれたままとなってその剥がれた状況が目視確認可能となる。
【0008】
このような構成であるので、改ざん防止に関する要求は十分に満たす。しかしながら、
この特許文献1の包装箱は、前記上側突片が蓋の外部に現れる。このために、外観が損なわれ、体裁が重視される化粧品などの商品の包装箱としては期待に十分にそえるものではなく改善の余地を残している。
【0009】
そこで、この発明は、改ざん防止の機能を外観の体裁を損なわずに付与した包装箱を実現して提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明においては、改ざん防止包装箱を以下の通りに構成した。
即ち、角筒を構成する4面の側壁と、前記角筒の上部開口を塞ぐ上蓋及び下部開口を再封緘不可能に塞ぐ底蓋と、前記上蓋の内側に折り込まれる対向一対の内フラップと、前記上蓋の一辺に折り目線を介して連なる差込片と、前記内フラップの内側に折り込まれる押え込みフラップとを備え、
前記上蓋は、前記対の内フラップが連なった側壁と隣り合う位置の側壁の上端に折り目線を介して連設され、さらに、この上蓋は前記差込片を切り離す破断線を有し、
前記押え込みフラップは、前記上蓋が連設された側壁と対向した位置にある側壁の上端に折り目線を介して連設され、
前記差込片が、前記折り目線に沿って折り返えされて前記内フラップと前記押え込みフラップとの間に差し込まれ、
前記押え込みフラップが、下部開口から箱の内部に収納される物品に押し上げられてその押え込みフラップと前記内フラップとの間に前記差込片が挟み込まれるものにした。
【0011】
この改ざん防止包装箱は、上蓋を先に閉じ、その後、前記押え込みフラップが箱の内部において垂れ下がれる状況下で上蓋の一辺に連なっている差込片を折り目線に沿って折り曲げ、前記内フラップと前記押え込みフラップとの間に差し込む。
その後、収納対象物品を下部開口から箱の内部に収納し、その物品で押え込みフラップを下から押し上げる。
【0012】
そして、その後に、下部開口を底蓋によって閉じる。その底蓋は、接着するなどして再封緘を不可能にする。
【0013】
この改ざん防止包装箱は、上蓋と前記差込片との間にある前記折り目線の両端に切り込みを入れ、さらに、前記対の内フラップの箱の組み立て状態において前記押え込みフラップの根元側に位置する縁に突片を設け、前記差込片を前記押え込みフラップと内フラップとの間に差し込んだときに前記突片が前記切り込みに差し込まれて係合するようにしておくことができる。
【0014】
なお、前記再封緘不可能な底蓋は、箱の下側を、底蓋の内側に折り込まれる対向一対の内フラップと、底蓋が連設された側壁と対向する位置の側壁の下端に折り目線を介して連設される連結フラップを備える構造にして、前記連結フラップを対の内フラップの外側に折り重ね、その連結フラップ上に底蓋を重ねて連結フラップに底蓋を接着するものが外観に優れて好ましいが、箱の下部開口の封緘は、その構造に限定されない。
【0015】
蓋の先端に設けた差込片を折り曲げて蓋の内側に差込み、その差込片に設けたロック片などを蓋の内側に折り込まれた内フラップなどに係止させることで差込片の差込み位置からの抜けを防止する箱の封緘構造などがこれまでにいくつか提案されており、そのような封緘構造でも、底蓋の再封緘を不可能にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の改ざん防止包装箱は、前記押え込みフラップを収納対象の物品で下から押し上げると、その押え込みフラップと内フラップとの間に入り込んでいる差込片が押え込みフラップに押されて上蓋と平行に近い状態になるまで折り曲げられ、前記物品による押え込みフラップの押し上げ終点(物品の収納完了点)で押え込みフラップと内フラップとの間に挟み込まれる。
【0017】
この状態では、前記差込片の差込み位置からの引き抜きが上蓋によって阻止される。このため、上蓋をあけるには、前記破断線に沿って前記上蓋から前記差込片を切り離す必要があり、これにより、上蓋による上部開口の再封緘ができなくなっていたずらによる開封、改ざんが防止される。
【0018】
この発明の改ざん防止包装箱は、構造が簡素で組み立てが簡単であり、しかも、上蓋の表面には貼付けられる突片などが存在せず、体裁が重視される商品の包装にも問題なく使用できる見栄えのよい箱になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の改ざん防止包装箱の一例を示す斜視図である。
図2図1の箱の展開図である。
図3】箱の上蓋封緘の第1行程(押え込みフラップの折り曲げ行程)を示す斜視図である。
図4】箱の上蓋封緘の第2行程(内フラップの折り曲げ行程)を示す斜視図である。
図5】上蓋を閉じて差込片を押え込みフラップと内フラップとの間に差し込んだ状態を示す断面図である。
図6】差込片の差込み後に押え込みフラップを収納対象物品で押し上げた状態(上蓋封緘の完了状態)を図1のVI−VI線に沿って示す要部の断面図である。
図7】上蓋に設けた破断線に沿って差込片を上蓋から切り離した状態を示す断面図である。
図8】破断線に沿って差込片を上蓋から切り離して内フラップを開いた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面の図1図8に基づいて、この発明の改ざん防止包装箱の実施の形態を説明する。
【0021】
例示の改ざん防止包装箱1は、図1及び図2に示すように、角筒を構成する4面の側壁2〜5と、側壁5の一側縁に連ならせた糊代6と、前記角筒の上部開口を塞ぐ上蓋7と、
その上蓋7の先端に折り目線8を介して連ならせた差込片9と、差込片9を上蓋7から切り離すための上蓋7の途中に設けた破断線10と、上蓋7の内側に折り込まれる対向一対の内フラップ11,11と、側壁5に連ねた押え込みフラップ12を有する。
【0022】
上蓋7は、側壁2の上端に折り目線13を介して連設され、対の内フラップ11,11は、対向配置される側壁3,4の上端に折り目線14,14を介して連設され、さらに、押え込みフラップ12は側壁2に対向させる側壁5の上端に折り目線15を介して連設されている。
【0023】
4面の側壁で構成される前記角筒の下部開口の封緘は、例示の包装箱では底蓋16と、その底蓋16の内側に折り込まれる対向一対の内フラップ17,17と、その対の内フラップ17と底蓋16との間に折り込まれる連結フラップ18とによってなされる。
【0024】
底蓋16は、側壁2の下端に折り目線19を介して連設され、内フラップ17,17は、側壁3,4の下端に折り目線20を介して連設され、さらに、連結フラップ18は側壁5の下端に折り目線21を介して連設されている。
【0025】
なお、例示の改ざん防止包装箱1には、折り目線8の両端に切り込み22が形成され、さらに、対の内フラップ11,11の箱の組み立て状態において押え込みフラップ12の根元側に位置する縁に突片23,23を設けている。
【0026】
図2の24は各側壁2,3,4,5間の折り目線、25は側壁5と糊代6との間の折り目線である。
【0027】
以上の要素で構成される例示の改ざん防止包装箱1は、糊代6を側壁3の一側縁に糊付けして4面からなる角筒を構成する。
【0028】
その後、図3に示すように、押え込みフラップ12を折り目線15に沿って内側に折り曲げ、次いで、図4に示すように、対の内フラップ11,11を折り目線14に沿って内側に折り曲げる。
【0029】
そして、この後に、図5に示すように、上蓋7を折り目線13に沿って折り曲げて内フラップ11上に重ね、さらに、差込片9を折り目線8に沿って折り曲げて押え込みフラップ12と内フラップ11との間に差し込む。
【0030】
この差込み時に、押え込みフラップ12は、先端側(自由端側)の垂れ下がりが許容される状態になっているため、差込片9に押されて先端側が大きく垂れ下がる方向に逃げ、これにより、差込片9の差込が支障なく進行する。
【0031】
以上の作業を終えたら、未封緘の下部開口から図6に示すように、箱の内部に収納対象の物品Aを挿入する。そして、その物品Aで押え込みフラップ12を下から押し上げる。物品Aはその押し上げ状態を維持できるサイズのものが収納される。
【0032】
物品Aを収納したら、下側の対の内フラップ17,17を折り目線20に沿って内側に
折り曲げ、次いで、連結フラップ18を折り目線21に沿って折り曲げて内フラップ17上に重ね、その後、底蓋16を折り目線19に沿って折り曲げて連結フラップ18上に重ね、その底蓋16の内面を連結フラップ18に接着して箱の組み立てと物品Aの収納を完了する。
【0033】
図6の状態では、差込片9が押え込みフラップ12と内フラップ11との間に挟み込まれ、その差込片9の差込み位置からの引き抜きが上蓋7によって阻止される。
【0034】
例示の収納箱については、組み立て完了収納状態では、突片23が切り込み22に嵌って係合しており、そのために、上蓋7を曲げながら引き抜くことも防止される。
【0035】
そこで、上蓋7をあける際には、図7及び図8に示すように、破断線10に沿って差込片9を上蓋7から切り離す。これにより、上蓋7による上部開口の再封緘ができなくなる。そのために、いたずらによる開封、改ざんが防止される。
【0036】
なお、箱の下部開口の封緘は、実施例に挙げた構造が、見栄えがよく、組み立ても簡単で好ましいが、既述の通り、蓋の再封緘をできないようにする封緘構造は、従来からいくつか知られており、上部ほど目立たない箱の下部の封緘は、既知の構造を採用しても構わない。
【符号の説明】
【0037】
1 改ざん防止包装箱
2〜5 側壁
6 糊代
7 上蓋
8,13,14,15,19,20,21 折り目線
9 差込片
10 破断線
11,17 内フラップ
12 押え込みフラップ
16 底蓋
18 連結フラップ
22 切り込み
23 突片
A 収納対象物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8