(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758758
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20200910BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20200910BHJP
F21S 43/237 20180101ALI20200910BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20200910BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20200910BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20200910BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20200910BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20200910BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20200910BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20200910BHJP
【FI】
F21V8/00 310
F21V5/00 320
F21S43/237
F21S43/20
F21V5/04 650
G02B3/08
G02B5/02 C
G02B13/00
F21W103:00
F21Y115:10
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-170146(P2016-170146)
(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-37314(P2018-37314A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】大島 研介
(72)【発明者】
【氏名】岡村 建作
【審査官】
杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−072040(JP,A)
【文献】
特開2010−198992(JP,A)
【文献】
特開2008−192598(JP,A)
【文献】
特開2014−032747(JP,A)
【文献】
特開2015−201307(JP,A)
【文献】
特開2013−084381(JP,A)
【文献】
特開2013−161729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 43/20
F21S 43/237
F21V 5/00
F21V 5/04
G02B 3/08
G02B 5/02
G02B 13/00
F21W 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から光の入射を受けその光を所定方向に沿って伝搬させて同方向に伸長した棒状または帯状の領域から放射するライトガイドと、
前記ライトガイドから放射される光を略平行光に変換するためのコリメートレンズ面を含むレンズ体とを具備し、
前記コリメートレンズ面が前記所定方向に沿って複数段の区画に分割されており、同方向に沿って隣接する二つの区画のコリメートレンズ面の形状が同方向と直交する方向に沿ってずれている発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定方向に伸長した棒状または帯状の領域を発光させる発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
端面に配置した光源から光を入射させ、その光を所定方向に沿って伝搬させ、同方向に伸長した棒状または帯状の領域を略均一な明るさで照明するライドガイド(導光棒または導光板。例えば、下記特許文献を参照)が既知である。ライトガイドは、稠密な樹脂製の棒状材を主体とし、その棒状材の側面に、拡散反射を惹起するための微細な凹凸を形成し、または鏡面反射を惹起するための反射膜やマイクロプリズム等を設けることによって作製される。この種のライトガイドは、近時、車両のヘッドランプ(前照灯)やテールランプ(尾灯)等に用いられつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−150704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライトガイドの径を太くすることには限界がある。ライトガイド単独で車両用の灯具を構成しようとすると、発光する領域の幅が非常に狭くなり、意匠性も低下する。
【0005】
発光する領域の幅を広げるには、ライトガイドの前方にアクリルその他の樹脂製の透明または透光性を有するカバーを配置し、そのカバーの内面または外面に、ライトガイドから放たれる光を拡散させるレンズとして作用する形状を成形することが考えられる。しかしながら、光が拡散する分だけ、光の輝度即ち単位面積あたりの光束の量が低下することとなり、必要な輝度を担保するために高性能な照明光源を使用せざるを得なくなる。このことは、コストの高騰、及び車両における電力消費量の増大に繋がる。
【0006】
以上の問題に着目してなされた本発明は、棒状または帯状の領域を発光させる発光装置において、その発光する領域の幅をできるだけ広げながら、必要な方向に向かう光の輝度を高めることを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、光源から光の入射を受けその光を所定方向に沿って伝搬させて同方向に伸長した棒状または帯状の領域から放射するライトガイドと、前記ライトガイドから放射される光を略平行光に変換するためのコリメートレンズ面を含むレンズ体とを具備し、前記コリメートレンズ面が前記所定方向に沿って複数段の区画に分割されており、同方向に沿って隣接する二つの区画のコリメートレンズ面の形状が
同方向と直交する方向に沿ってずれている発光装置を構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、棒状または帯状の領域を発光させる発光装置において、その発光する領域の幅をできるだけ広げながら、必要な方向に向かう光の輝度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の発光装置を用いてなる車両用灯具を示す写真。
【
図4】同実施形態の発光装置のレンズ体の内面に形成するコリメートレンズ面を示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に、本実施形態の発光装置1の使用例である車両用灯具を示している。このものは、車体の後部に設置されるテールランプであり、
図1(A)は消灯している状態、
図1(B)は点灯している状態である。本実施形態の発光装置1は、ちょうどL字形をなすように伸長した、棒状または帯状の領域を発光させる。
【0011】
図2及び
図3に、本実施形態の発光装置1の構造を示す。なお、本発光装置1が出力する光5の光束の一部を、図中に破線で表している。本発光装置1は、光源4から光5の入射を受け、その入射した光5を伝搬させながら面発光するように放射するライトガイド2と、ライトガイド2の前方(車両の前後を基準とすれば、後方)に所在し、ライトガイド2から放射される光5を略平行光に変換するためのコリメートレンズ面30を含むレンズ体3とを具備する。
【0012】
ライトガイド2は、上下方向に伸長し、かつその下端部において車両の内側方に向かって湾曲した形状をなしている。ライトガイド2自体は、既存のそれと同様の性質を有する。即ち、このライトガイド2は、稠密かつ透明な樹脂製の棒状材を主体とし、その棒状材の後面(車両の前後を基準とすれば、前面)に、拡散反射を惹起するための微細な凹凸21を形成している、または鏡面反射を惹起するための反射膜やマイクロプリズム等を設けているものである。
【0013】
発光装置1の光源4、例えば発光ダイオードが出力する光5は、ライトガイド2の上端側の端面20からライトガイド2内に入射する。入射した光5は、ライトガイド2の伸長する方向に沿ってライトガイド2内を伝搬する。その間、この光5は、ライトガイド2の後面側の微細な凹凸21により拡散反射し、または反射膜やマイクロプリズム等により鏡面反射して、ライトガイド2内からライトガイド2の前方に向かって出射し、当該ライトガイド2の前面を略均一な輝度で面発光させる。
【0014】
レンズ体3は、ライトガイド2の前方を覆うカバーである。レンズ体3は、透明または透光性を有する樹脂製の板状体を主体とし、その板状体におけるライトガイド2と対向する内面(車両の前後を基準とすれば、前面)に、ライトガイド2から出射する光5を通過させるコリメートレンズ面30を形成している。
図3に示すように、コリメートレンズ面30は、いわゆるフレネルレンズまたはこれに近いような横断面形状をなし、線光源4であるライトガイド2から前方に放たれた光5を略平行光に変換する作用を営む。但し、完全な平行光線を作るわけではなく、ある程度は光5を拡散させる。
【0015】
しかして、本実施形態では、
図2及び
図4に示すように、レンズ体3におけるコリメートレンズ面30を、ライトガイド2の伸長方向に沿って多数段の区画31、32に分割している。ライトガイド2の伸長方向に沿って並ぶ奇数段31のコリメートレンズ面30の横断面形状は、互いに等しいか略等しい。ライトガイド2の伸長方向に沿って並ぶ偶数段32のコリメートレンズ面30の横断面形状もまた、互いに等しいか略等しい。一方で、偶数段32のコリメートレンズ面30となるフレネルレンズの(光5の屈折面として働く)各部分は、奇数段31のコリメートレンズ面30となるフレネルレンズの各部分と比較して、その位置がライトガイド2の伸長方向と直交する方向に沿ってずれている。従って、ライトガイド2の伸長方向に沿って隣接する二つの区画31、32のコリメートレンズ面30の横断面形状は、相違している。
【0016】
また、
図2に示しているように、ライトガイド2の伸長方向に沿って並ぶ各段31、32のコリメートレンズ面30の縦断面形状は、当該コリメートレンズ面30を通過してレンズ体3の前方に放たれる光5の光軸が水平方向または斜め上方向を向くように成形してある。
【0017】
本実施形態では、光源4から光5の入射を受けその光5を所定方向に沿って伝搬させて同方向に伸長した棒状または帯状の領域から放射するライトガイド2と、前記ライトガイド2から放射される光5を略平行光に変換するためのコリメートレンズ面30を含むレンズ体3とを具備し、前記コリメートレンズ面30が前記所定方向に沿って複数段の区画31、32に分割されており、同方向に沿って隣接する二つの区画31、32のコリメートレンズ面30の形状が相違している発光装置1を構成した。
【0018】
本実施形態によれば、ライトガイド2から放たれる光5をコリメートレンズ面30を有したレンズ体3により整形することで、発光する棒状または帯状の領域の幅を拡張しながら、必要な方向に向かう光5の輝度を高めることができる。従って、高輝度・高性能な光源4を使用する必要から開放され、コストの削減、及び車両における電力消費量の抑制に寄与し得る。
【0019】
加えて、レンズ体3のコリメートレンズ面30を、ライトガイド2の伸長方向に沿って複数段の区画31、32に分割していることから、ライトガイド2の伸長方向に沿って一貫して連続した等断面形状のコリメートレンズ(フレネルレンズ)面を形成する場合と比較して、レンズ体3において同伸長方向に沿った筋が目立ってしまう不具合が生じず、レンズ体3を介して棒状のライトガイド2が露骨に透けて目立ってしまうことも抑制される。つまり、光源4を消灯し発光装置1を発光させていないときの見栄えがよい。さらに、光源4を点灯して発光装置1を発光させる際にも、細かいセグメントに分割されたコリメートレンズ面30の存在により、ちょうど反射板の如く無数のセグメントが一様に発光している様相を呈することとなり、意匠性が向上する。
【0020】
レンズ体3は、ライトガイド2そのものの発光のむら、即ちライトガイド2から出射する光束の量や向きの偏りを吸収し、発光装置1としての発光の一様性を向上させる。ライトガイド2を複雑な形状にする必要はなく、ライトガイド2の重量を軽減することも可能となる。
【0021】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、本発明の適用対象は、車両のテールランプには限定されない。
【0022】
その他、各部の具体的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、車両用の灯具等に適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1…発光装置
2…ライトガイド
3…レンズ体
30…コリメートレンズ面
31、32…複数段の区画
4…光源
5…光