(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部が前記周辺視野領域に存在する場合、前記通知情報を、前記第2の表示形態で前記表示部に表示させてから所定時間が経過した後に、前記第1の表示形態に切換えて前記表示部に表示させる請求項1に記載の情報表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用情報表示システム10の概略を示す図である。この図に示す車両用情報表示システム10は、車両1内の運転席の前方における任意の位置に設置された表示装置100の表示部101(
図2参照)に、その設置位置と運転者の視野との関係に応じて情報を表示させるシステムである。この車両用情報表示システム10は、表示装置100と、通信ユニット20と、サーバー30とを備える。表示装置100は、固定装置4により、車両のダッシュボード2の上やメーターパネル3の前等に固定することができる。
【0010】
図2は、表示装置100の前面を示す図である。この図に示すように、表示装置100は、表示部101と、撮像装置102とを備える移動可能な端末装置である。この表示装置100としては、スマートフォンやタブレット端末やPDA等の携帯端末を例示することができる。本実施形態の表示装置100はスマートフォンであり、表示部101は、液晶や有機EL等のディスプレイであり、撮像装置102は、インカメラである。また、表示装置100には、運転者の視野と表示装置100の設置位置との関係に応じた情報を表示部101に表示させる処理を実行するためのアプリケーションソフトウェアがインストールされている。運転者の視野と設置位置との関係に応じて表示部101に表示させる画像については後述する。
【0011】
通信ユニット20は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークに接続されており、ECU(Engine Control Unit又はElectronic Control Unit)等の車載機器から車両情報を受信する。この車両情報としては、速度、エンジンの回転数、ブレーキの状態、ステアリングの状態、車載カメラの撮影画像、ウィンカーの状態、前照灯スイッチや車幅灯スイッチのON/OFF、イグニッションスイッチのON/OFF等を例示することができる。また、通信ユニット20は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信又は有線LAN等の有線通信を介して表示装置100に接続されており、車両識別番号等の車両識別情報や車載機器から受信した車両情報等を表示装置100に送信する。
【0012】
サーバー30は、無線通信網に接続されており、表示装置100との間で情報を送受信する。この無線通信網としては、LTE(Long Term Evolution)や3G等の携帯電話用通信回線網、WiMAX(登録商標)等の無線通信網、及び、ビーコン等の高度道路交通システム用の無線通信網等を例示することができる。本実施形態では、サーバー30は、表示装置100から車両識別情報や車両情報や表示装置100の情報を取得し、情報表示処理に必要な情報(以下、表示処理情報という)を、表示装置100に送信する。なお、サーバー30と表示装置100との間での処理や機能の割り振りは適宜設定すればよい。例えば、サーバー30が、表示装置100から取得した情報に基づいて、表示装置100の表示部101に表示させる情報を生成して表示装置100に送信するように、サーバー30と表示装置100との連携を構築してもよい。
【0013】
図3は、車両用情報表示システム10の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、表示装置100は、上述の表示部101、及び撮像装置102に加えて、通信部104と、プロセッサ110とを備える。通信部104は、通信ユニット20から上述の車両識別情報や車両情報等を受信し、サーバー30との間で、車両識別情報や車両情報等の送信、及び、表示処理情報等の受信を行う。
【0014】
プロセッサ110は、表示制御プログラムが格納されたROM112と、ROM112に格納された表示制御プログラムを実行する動作回路としてのCPU111と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM113とを備えるコンピュータである。プロセッサ110は、情報取得処理、視線検出処理、視野領域設定処理、表示情報生成処理、及び表示制御処理を実行する機能を備え、各処理を実現するためのソフトウェアと上述のハードウェアとの協働により、各処理を実行する。
【0015】
プロセッサ110は、情報取得処理において、通信ユニット20から車両情報及び車両識別情報を取得し、サーバー30から表示処理情報を取得し、撮像装置102から撮影画像情報を取得する。なお、視線検出処理、視野領域設定処理、表示情報生成処理、及び表示制御処理については後述する。
【0016】
サーバー30は、通信部301と、データベース302と、プロセッサ310とを備える。通信部301は、表示装置100の通信部104との間で、車両識別情報や車両情報等の受信、及び、表示処理情報等の送信を行う。データベース302は、表示処理情報を格納している。
【0017】
プロセッサ310は、表示制御プログラムが格納されたROM312と、ROM312に格納された表示制御プログラムを実行する動作回路としてのCPU311と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM313とを備えるコンピュータである。プロセッサ310は、情報取得処理、及び表示処理情報抽出処理を実行する機能を備え、各処理を実現するためのソフトウェアと上述のハードウェアとの協働により、各処理を実行する。
【0018】
図4は、プロセッサ110の視線検出処理、及び視野領域設定処理を説明するための図である。
図4に示すように、表示装置100が、運転者の前方のダッシュボード2の上に設置された場合には、インカメラである撮像装置102の画角に運転者の顔が入ることになる。特に、ダッシュボード2上における運転者の正面に設置された表示装置100は、運転者の中心視野領域Cに存在することになる。また、表示装置100が、ダッシュボード2上における運転者から見て右端や、ダッシュボード2上における中央寄り(運転者から見て左側)に設置された場合には、当該表示装置100は、運転者の周辺視野領域Pに存在することになる。
【0019】
プロセッサ110は、視線検出処理において、撮像装置102により撮影された画像に含まれる顔画像を解析することによって、運転者の視線を検出する。以下、運転者の視線を検出する方法の一実施例について説明する。
【0020】
一実施例に係る視線検出方法では、撮像装置102により取得された顔画像に対して画像処理を行って顔の特徴点を抽出し、顔の各部位と眼球との位置関係から視線を抽出する。まず、撮像装置102の入力画像の輝度情報及び彩度情報に基づいて、入力画像から肌色の領域を抽出する。
【0021】
次に、入力画像の輝度情報及び色相情報に基づいて、左右の目頭及び目尻と鼻孔とを抽出する。次に、分離度フィルタを使用して瞳孔を抽出する。そして、抽出した目尻2点と鼻孔2点の中間点との3点を用いて顔面に相当する平面を作成し、この平面のカメラ座標系における3次元の位置と向きとを検出する。
【0022】
最後に、視線を抽出するところ、まず、顔に付随したローカル座標系を設置する。このローカル座標系では、抽出した目頭と目尻とを通る直線をX軸とし、X軸に直交し目頭を通る直線をY軸とする。抽出した瞳孔の中心位置(X
i,Y
i)と、正面視時の瞳孔の中心位置(X
0,Y
0)との差(瞳孔移動量)(X
0−X
i,Y
0−Y
i)を算出し、瞳孔移動量と眼球半径(既定値)とに基づいて視線を算出する。
【0023】
プロセッサ110は、視野領域設定処理において、中心視野領域C及び周辺視野領域Pを設定する。ここで、中心視野領域Cは、視線検出処理において検出した視線を中心として上下左右に所定角度(例えば、有効視野あるいは文字の認識限界とされる4〜20°)の領域に設定する。また、周辺視野領域Pは、例えば、視線検出処理において検出した視線を中心として左右に所定角度(例えば、最大視野角に相当する100°)、視線から上に所定角度(例えば、最大視野角に相当する50°)、視線から下に所定角度(例えば、最大視野角に相当する75°)の領域(ただし、中心視野領域Cを除く)に設定する。
【0024】
プロセッサ110は、設置位置判定処理において、表示装置100が、中心視野領域Cに存在するか否かを判定する。この設置位置判定処理では、視線検出処理で抽出した瞳孔と撮像装置102とを通過する直線が、視野領域設定処理で設定した中心視野領域Cを通過するか否かを判定する。
【0025】
図5及び
図6は、プロセッサ110の表示情報生成処理、及び表示制御処理を説明するための図である。表示装置100が中心視野領域Cの外側に存在する場合には、プロセッサ110は、表示情報生成処理において、
図5に示すように、アイコン等の抽象化した表示情報(以下、抽象化情報という)を生成し、表示制御処理において、生成した抽象化情報を表示部101に表示させる。一方、表示装置100が中心視野領域Cの内側に存在する場合には、プロセッサ110は、
図6に示すように、表示情報生成処理において、テキスト等の具現化した表示情報(以下、具現化情報という)を生成し、表示制御処理において、生成した具現化情報を表示部101に表示させる。
【0026】
抽象化又は具現化した表示情報としては、速度オーバーや急ブレーキ等の警告表示、及びエアコンやオーディオ等の車載機器についての情報の表示等を例示することができる。例えば、
図5及び
図6に示すように、速度オーバーの警告表示を表示部101に表示させる場合、抽象化情報としては、シンボルの認識限界とされる視野でも認識可能な情報であるアイコンを表示させ、具現化情報としては、文字の認識限界とされる視野で認識可能な情報であるテキストを表示させる。
【0027】
図7は、本実施形態に係る車両用情報表示システム10が実行する画像表示処理の制御手順を示すフローチャートである。この図のフローチャートに示す処理ルーチンは、表示装置100にインストールされたアプリケーションソフトウェアが起動されると開始される。本処理ルーチンの実行中、プロセッサ110は、通信ユニット20から車両情報及び車両識別情報を取得し、撮像装置102から撮影画像情報を取得する。
【0028】
まず、プロセッサ110は、撮像装置102の撮影画像に基づいて、運転者の視線を検出する(ステップS101)。次に、プロセッサ110は、ステップS101において検出した視線を中心とする中心視野領域Cを設定し、ステップS101において抽出した運転者の瞳孔と撮像装置102とを通過する直線が、中心視野領域Cを通過するか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102において肯定判定がされた場合には、ステップS103に移行し、ステップS102において否定判定がされた場合には、ステップS104に移行する。
【0029】
ステップS103において、プロセッサ110は、表示部101に表示させる情報の設定を、Disp=1に設定する。一方、ステップS104において、プロセッサ110は、表示部101に表示させる情報の設定を、Disp=2に設定する。
【0030】
ステップS103、S104の次に、プロセッサ110は、通信ユニット20から取得している車両情報に基づいて、表示部101にアイコンやテキスト等を表示させて通知する事象が発生したか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105において肯定判定がされた場合には、ステップS106に移行し、ステップS105において否定判定がされた場合には、ステップS109に移行する。
【0031】
ステップS106において、プロセッサ110は、表示部101に表示させる情報の設定が、Disp=1であるか否かを判定する。ステップS106において肯定判定がされた場合には、ステップS107に移行し、ステップS106において否定判定がされた場合には、ステップS108に移行する。
【0032】
ステップS107において、プロセッサ110は、具現化情報としてのテキスト情報を生成してテキストを表示部101に表示させる。一方、ステップS108において、プロセッサ110は、抽象化情報としてのアイコンの画像情報を生成してアイコンを表示部101に表示させる。
【0033】
ステップS107、S108の次に、プロセッサ110は、イグニッションスイッチがOFFであるか否かを判定する(ステップS109)。ステップS109において肯定判定がされた場合には、プロセッサ110は、アプリケーションソフトウェアを終了して処理を終了する。一方、ステップS109において否定判定がされた場合には、ステップS101に戻り、ステップS101〜S110の処理を繰り返す。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用情報表示システム10では、表示装置100と一体の撮像装置102に、表示装置100の使用者たる運転者を撮影させ、撮影画像から、運転者の視線を検出する。そして、検出した運転者の視線を中心とする中心視野領域Cと、その外側の周辺視野領域Pとの何れに、表示装置100の表示部101が存在するかを判定する。表示部101が中心野領域Cに存在する場合、警告情報等の通知情報を、第1の表示形態で表示部101に表示させる。一方、表示部101が周辺視野領域Pに存在する場合、警告情報等の通知情報を、第1の表示形態と比較して抽象度の高い第2の表示形態で表示部101に表示させる。これにより、周辺視野領域Pに存在する表示装置100に表示された通知情報についての運転者の認識時間の長大化を抑制できる。一方、中心視野領域Cに存在する表示装置100に表示された通知情報についての運転者の情報要求量の不足を抑制できる。従って、表示装置100に表示させる通知情報を、運転者の視線との関係で適切に設定できるという効果を奏する。
【0035】
また、本実施形態に係る車両用情報表示システム10では、表示部101に表示させる通知情報の第1の表示形態がテキストを含むので、中心視野で認識する通知情報に対して運転者が要求する情報量を充足することができる。一方、表示部101に表示させる通知情報の第2の表示形態がアイコンを含むので、周辺視野領域Pに存在する表示装置100に表示された通知情報についての運転者の認識時間を短縮できる。
【0036】
また、本実施形態に係る車両用情報表示システム10では、表示装置100は、車両内の運転席の前方に配置され、表示部101に表示させる通知情報は、運転者に対して通知する情報である。これにより、正面を向いて運転する運転者の中心視野で認識される通知情報は、テキスト等の具現化情報となって運転者の情報要求量を満足させるものとなる。一方、正面を向いて運転する運転者の周辺視野で認識される通知情報は、アイコン等の抽象化情報となって運転者による短時間での認識を可能とするものとなる。
【0037】
図8は、他の実施形態に係る車両用情報表示システム11の概略構成を示すブロック図である。なお、上述の実施形態に係る車両用情報表示システム10と同様の構成については説明を省略して上述の説明を援用する。
【0038】
図8に示すように、表示装置100は、上述の表示部101、撮像装置102、通信部104、及びプロセッサ110に加えて、加速度センサ105を備える。加速度センサ105は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)3軸加速度センサ等であり、X軸、Y軸、Z軸の3方向の加速度の加速度を計測でき、重力(静的加速度)の計測にも対応できる。また、本実施形態の通信部104は、通信ユニット20から上述の車両識別情報や車両情報等を受信し、サーバー30との間で、車両識別情報や車両情報等の送信、及び、表示処理情報等の受信を行う。また、本実施形態のプロセッサ110は、上述の情報取得処理、視線検出処理、視野領域設定処理、表示情報生成処理、及び表示制御処理に加えて、設置位置推定処理を実行する機能を備える。
【0039】
図4及び
図9は、プロセッサ110の設置位置推定処理を説明するための図である。
図4に示すように、表示装置100が、運転者の前方のダッシュボード2の上に設置された場合には、インカメラである撮像装置102の画角に運転者の顔が入り、撮影画像に運転者の顔が含まれることになる。
【0040】
以下の説明では、右ハンドル車におけるダッシュボード2上の中央寄り(運転者から見て左側)の設置位置を設置位置(1)、ダッシュボード2上の運転者の正面の設置位置を設置位置(2)、ダッシュボード2上の運転者から見て右側の設置位置を設置位置(3)と称する。設置位置(1)、及び設置位置(3)に設置された表示装置100は、正面を向いた運転者の周辺視野領域Pに存在する。一方、設置位置(2)に設置された表示装置100は、正面を向いた運転者の中心視野領域Cに存在する。なお、矩形状の表示装置100は、横向きにして設置されているものとする。また、撮像装置102は、表示部101の左側又は右側に位置するものとする。
【0041】
図9は、設置位置(1)〜(3)に設置された表示装置100の表示部101に撮像装置102の撮影画像を表示させた場合に、運転者の顔が表示される位置及び運転者の顔の向きを示す図である。この図に示すように、インカメラである撮像装置102の撮影画像は、鏡像となって表示部101に表示される。
【0042】
運転者から見て右上の設置位置(3)に表示装置100が設置されている場合と、運転者から見て左上の設置位置(1)に表示装置100が設置されている場合とでは、表示部101での運転者の顔の表示位置が左右反転する。なお、設置位置(1)に表示装置100が設置されている場合には、運転者の顔は表示部101の真ん中よりやや右側に表示される。
【0043】
運転者から見て左側の設置位置(1)に表示装置100が設置されている場合には、運転者の顔が、左顔が前に出る向き(右向き)で表示部101に表示されるのに対して、運転者から見て右上の設置位置(3)に表示装置100が設置されている場合には、運転者の顔が、右顔が前に出る向き(左向き)で表示部101に表示される。また、運転者から見て正面の設置位置(2)に表示装置100が設置されている場合には、運転者の顔が、正面向きで表示部101に表示される。
【0044】
以上説明したように、表示装置100の設置位置と、撮像装置102の撮影画像における運転者の顔の位置及び向きとの間には相関関係がある。なお、表示装置100を設置位置(1)〜(3)に設置する場合には、運転者から表示部101が見え易いように、運転者が表示装置100の向きを調整していることが想定される。そのため、表示装置100が設置位置(1)〜(3)に設置されている場合には、撮像装置102の撮影画像における運転者の顔の位置には識別可能な差が生じない可能性がある。そこで、プロセッサ110は、情報取得処理において、撮像装置102の撮影情報(AF制御時の測距情報、及び撮影画像)を取得し、設置位置推定処理において、撮像装置102の撮影画像における運転者の顔の向きを判別し、その判別結果に基づいて、表示装置100の設置位置を推定する。
【0045】
図10及び
図11は、他の実施形態に係る車両用情報表示システム11が実行する画像表示処理の制御手順を示すフローチャートである。これらの図のフローチャートに示す処理ルーチンは、表示装置100にインストールされたアプリケーションソフトウェアが起動されると開始される。なお、上述の実施形態に係る車両用情報表示システム10と同様の手順については説明を省略して上述の説明を援用する。
【0046】
本実施形態に係る画像表示処理では、まず、表示装置100の設置位置を推定する処理を実行する(ステップS201〜S209)。ステップS201において、プロセッサ110は、表示装置100に搭載されたセンサの検出情報を取得する。本ステップにおいて取得するセンサの検出情報には、加速度センサ105により検出された加速度情報が含まれる。
【0047】
次に、プロセッサ110は、ステップS201において取得した加速度情報に基づいて、表示装置100が固定状態であるか否かを判定する(ステップS202)。本ステップにおいて、プロセッサ110は、加速度センサ105により検出された重力方向(Z軸方向)の加速度が、所定の閾値以下であるか否かを判定する。本ステップにおいて否定判定がされた場合には、ステップS201に戻り、本ステップにおいて肯定判定がされた場合には、ステップS203に進む。
【0048】
ステップS203において、プロセッサ110は、車速と操舵角とに基づいて、車両1が直線走行中であるか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップS204に移行し、否定判定がされた場合にはステップS203が繰り返し実行される。ステップS203において、プロセッサ110は、車速が所定の閾値以上であり、且つ、操舵角が所定の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、車速の閾値は、例えば10km/h等の車両1が走行中であると判定できる値に設定されている。また、操舵角の閾値は、例えば10°等の車両1が直進中であると判定できる値に設定されている。
【0049】
ステップS204において、プロセッサ110は、撮像装置102の撮影画像を解析することにより、撮影装置102の撮影画像における運転者の顔の向きを判別する。次に、プロセッサ110は、ステップS204において判別した運転者の顔の向きが正面向きであるか否かを判定する(ステップS205)。本ステップにおいて肯定判定がされた場合には、ステップS206に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合には、ステップS207に移行する。
【0050】
ステップS207において、プロセッサ110は、ステップS204において判別した運転者の顔の向きが右向き(左顔が前に出る向き)であるか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合には、ステップS208に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合には、ステップS209に移行する。
【0051】
ステップS206において、プロセッサ110は、表示装置100の設置位置を設置位置(2)と推定する。一方、ステップS208において、プロセッサ110は、表示装置100の設置位置を設置位置(1)と推定する。さらに、ステップS209において、プロセッサ110は、表示装置100の設置位置を設置位置(3)と推定する。そして、ステップS206、S208、S209から
図11のステップS101に移行する。
【0052】
即ち、撮像装置102の撮影画像における運転者の顔の向きが、右向きである場合には、プロセッサ110は、表示装置100の設置位置を設置位置(1)と推定する。一方、撮像装置102の撮影画像における運転者の顔の向きが、右顔が左向きである場合には、プロセッサ110は、表示装置100の設置位置を設置位置(3)と推定する。さらに、プロセッサ110は、撮像装置102の撮影画像における運転者の顔の向きが、正面向きである場合には、表示装置100の設置位置を設置位置(2)と推定する。
【0053】
ステップS206、S208、S209の次に、上述したステップS101〜S104が実行される。ここで、
図12は、本実施形態のDisp=1に対応する表示画像を示す図であり、
図5は、本実施形態のDisp=2に対応する表示画像を示す図であり、
図6は、後述のDisp=3に対応する表示画像を示す図である。
【0054】
図12に示すように、本実施形態のDisp=1に対応する表示画像は、アイコン等の抽象化情報とテキスト等の具現化情報とを含む。一方、
図5に示すように、本実施形態のDisp=2に対応する表示画像は、アイコン等の抽象化情報のみである。さらに、
図6に示すように、本実施形態のDisp=3に対応する表示画像は、テキスト等の具現化情報のみである。ここで、抽象化情報は、スピード違反等の事象が発生したことを通知する事象発生通知情報である。一方、具現化情報は、発生した事象の内容を通知する発生事象内容通知情報である。
【0055】
図11のフローチャートに戻り、ステップS105において、プロセッサ110は、通信ユニット20から取得している車両情報に基づいて、表示部101に表示させて通知する事象が発生したか否かを判定する。ステップS105において肯定判定がされた場合には、ステップS106に移行し、ステップS105において否定判定がされた場合には、ステップS109に移行する。
【0056】
ステップS106において、プロセッサ110は、表示部101に表示させる情報の設定が、Disp=1であるか否かを判定する。ステップS106において肯定判定がされた場合には、ステップS301に移行し、ステップS106において否定判定がされた場合には、ステップS302に移行する。
【0057】
ステップS301において、プロセッサ110は、
図12に示すDisp=1に対応する画像を生成して表示部101に表示させる。一方、ステップS302において、プロセッサ110は、表示装置100の設置位置が設置位置(1)、(3)の何れか一方であるか否かを判定する。ステップS302において肯定判定がされた場合にはステップS303に移行し、ステップS302において否定判定がされた場合にはステップS306に移行する。
【0058】
ステップS303において、プロセッサ110は、
図5に示すDisp=2に対応する画像を生成して表示部101に表示させる。同様に、ステップS306において、プロセッサ110は、Disp=2に対応する画像を生成して表示部101に表示させる。即ち、表示装置100が周辺視野領域Pに存在する場合と周辺視野領域Pに存在しない場合との双方で、表示部101に抽象化情報(事象発生通知情報)を表示させる。
【0059】
ステップS303の実行後に、プロセッサ110は、所定時間(例えば、0.5sec等の1sec以下の時間)が経過したか否かを判定する(ステップS304)。ステップS304は、肯定判定がされるまで繰り返され、ステップS304において肯定判定がされた場合にはステップS305に移行する。
【0060】
ステップS305において、プロセッサ110は、
図6に示すDisp=3に対応する画像を生成して表示部101に表示させる。即ち、表示装置100が運転者の周辺視野領域Pに存在する場合には、抽象化情報が表示部101に所定時間(1sec以下の時間)表示されてから、表示部101の表示情報が抽象化情報から具現化情報に切換えられる。一方、表示装置100が運転者の中心視野領域Cのみならず周辺視野領域Pにも存在しない場合には、抽象化情報が表示部101に上記所定時間経過後も継続して表示される(ステップS306)。
【0061】
ステップS301、S305、S306の実行後に、プロセッサ110は、イグニッションスイッチがOFFであるか否かを判定する(ステップS109)。ステップS109において肯定判定がされた場合には、プロセッサ110は、アプリケーションソフトウェアを終了して処理を終了する。一方、ステップS109において否定判定がされた場合には、
図10のステップS201に戻り、処理を繰り返す。
【0062】
なお、本実施形態では、表示部101が周辺視野領域Pに存在しない場合にも、通知情報を抽象度の高い第2の表示形態で表示部101に表示させたが、これは必須ではなく、表示部101が中心視野領域Cにも周辺視野領域Pにも存在しない場合には、通知情報を表示部101に表示させないようにしてもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用情報表示システム11では、表示装置100の表示部101が周辺視野領域Pに含まれる場合、通知情報を、アイコン等の抽象度の高い第2の表示形態で表示部101に表示させてから所定時間が経過した後に、テキスト等の具体度の高い第1の表示形態に切換えて表示部101に表示させる。これにより、運転者は、周辺視野で抽象度の高い事象発生通知情報を認識した状態で、具体度の高い発生事象内容通0知情報に視線を向けることができるので、具体度の高い発生事象内容通知情報の認識時間を短縮できる。
【0064】
また、本実施形態に係る車両用情報表示システム11では、表示装置100の表示部101が設けられた面の側に備えられた撮像装置102により運転者の顔を撮影し、撮影された運転者の顔の向きに基づいて、表示部101の位置を推定する。そして、推定した表示部101の位置が、周辺視野領域Pに含まれる場合、通知情報を、アイコン等の抽象度の高い第2の表示形態で表示部101に表示させてから所定時間が経過した後に、テキスト等の具体度の高い第1の表示形態に切換えて表示部101に表示させる。これにより、表示部101が周辺視野領域Pに含まれない場合に、不必要に、通知情報の表示形態の切換が実行されることを防止できる。
【0065】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態において開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0066】
例えば、上述の実施形態では、撮像装置102を表示装置100と一体としたが、これは必須ではなく、例えば、撮像装置102は、表示装置100を固定するための固定装置4に設ける等、表示装置100と別体として表示装置100の周囲に設けてもよい。この場合、撮像装置102を表示装置100に近接させることが好ましい。ここで、撮像装置102を表示装置100とは別体にして「周囲」に設け又は「近接」させる場合には、表示装置100と使用者の視野との関係が、撮像装置102を表示装置100と一体とする場合と同じになるように、撮像装置102と表示装置100との距離を設定すればよい。なお、「表示装置100と使用者の視野との関係が同じ」とは、撮像装置102を表示装置100と一体にする場合と別体にする場合との双方で、表示装置100が使用者の中心視野Cに存在するか、あるいは、撮像装置102を表示装置100と一体にする場合と別体にする場合との双方で、表示装置100が使用者の周辺視野Pに存在する状況を指す。また、「周囲」とは、例えば、使用者の表示装置100に対する中心視野及び周辺視野を把握可能な位置に、撮像装置102を表示装置とは離間して配置することを言う。さらに、「近接」とは、例えば、表示装置100の隣に撮像装置102を接して配置することを言う。
【0067】
また、表示部101は、警告情報等の1つの通知情報を専用で表示するものには限られず、ナビゲーション情報等を基本情報として表示し、一時的に警告情報等の通知情報を表示するものとしてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態では、通知事象の発生時に、表示部101が中心視野領域Cと周辺視野領域Cとの何れに存在するかを判定して通知情報の表示形態を決定したが、これは必須ではなく、通知事象の発生時には、通知情報を予め決められた表示形態で表示部101に表示させ、通知事象の発生後に、表示部101が中心視野領域Cと周辺視野領域Pとの何れに存在するかを判定し、判定結果に応じて、通知情報の表示形態を切換えるようにしてもよい。
【0069】
さらに、上述の実施形態では、表示装置100が車両内の運転者の前方に配置される状況を例に挙げて本発明を説明したが、船舶や航空機や建設機械等の車両以外の他の機械や、オフィスで使用される状況にも本発明を適用できる。