特許第6758804号(P6758804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758804
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】衣料用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/29 20060101AFI20200910BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20200910BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20200910BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20200910BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20200910BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20200910BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20200910BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20200910BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20200910BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   C11D1/29
   C11D17/08
   C11D1/72
   C11D1/62
   C11D3/43
   C11D3/20
   C11D1/04
   C11D3/386
   C11D1/68
   D06F35/00 Z
【請求項の数】11
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-145617(P2015-145617)
(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公開番号】特開2017-25208(P2017-25208A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】的場 美樹
(72)【発明者】
【氏名】喜多 亜矢子
(72)【発明者】
【氏名】飯田 稔明
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−141661(JP,A)
【文献】 特開2014−028942(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/104044(WO,A1)
【文献】 特開2012−233144(JP,A)
【文献】 特開2015−105270(JP,A)
【文献】 特開平07−053995(JP,A)
【文献】 特開平06−122893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1/00−19/00
D06F35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分20質量%以上60質量%以下、(b)成分30質量%以下、(c)成分0.5質量%以上5質量%以下、(d)成分0.5質量%以上5質量%以下、(e)成分5質量%以上40質量%以下、及び水を含有し、
(b)成分として下記(b1)成分を含有し、
(b1)成分の含有量と(a)成分との含有量との質量比が、(b1)成分/(a)成分で、0.12以上1.6以下であり、
(b1)成分の含有量と(b)成分との含有量との質量比が、(b1)成分/(b)成分で、0.40以上0.90以下であり、
(b)成分の含有量と(a)成分の含有量との質量比が、(b)成分/(a)成分で、0.2以上1.6以下である、
衣料用液体洗浄剤組成物。
(a)成分:下記一般式(a)で表される陰イオン界面活性剤
1a−O−〔(AO)/(EO)〕−SOM (a)
〔式中、R1aは炭素数8以上22以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、p及びqは平均付加モル数を示し、pは1以上5以下の数、qは0以上10以下の数である。“/”はAO基及びEO基が、順不同にブロック又はランダムで結合していることを示す。Mは陽イオンである。〕
(b)成分:下記一般式(b)で表される化合物
1b−O−(AO)−H (b)
〔式中、R1bは炭素数8以上18以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基を示し、mは0以上30以下の整数である。〕
(b1)成分:下記一般式(b1)で表される化合物
2b−O−(EO)−H (b1)
〔式中、R2bは炭素数8以上18以下の炭化水素基を示し、EOはエキレンオキシ基を示し、nは2以上5以下の整数である。〕
(c)成分:下記一般式(c)で表される化合物
【化1】

〔式中、R1cは、炭素数8以上16以下の炭化水素基であり、R2c、R3c、R4cは、それぞれ、炭素数8以上10以下の炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、−(AO)−H、又はベンジル基から選ばれる基であり、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、kは1以上5以下の数であり、Xは、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである。但し、R1cが炭素数12以上16以下の炭化水素基である場合には、R2cは、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、−(AO)−H、又はベンジル基から選ばれる基であり、R1cが炭素数8以上11以下の炭化水素基である場合には、R2cは炭素数8以上11以下の炭化水素基である。〕
(d)成分:炭素数4以上12以下であり、2価以上4価以下のカルボン酸又はその塩
(e)成分:水酸基を1つ以上有する有機溶剤
【請求項2】
(a)成分が、一般式(a)中の(AO)基及び(EO)基が、順不同にブロックで結合している陰イオン界面活性剤である、請求項1に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(a)成分が、下記一般式(a−1)で表される陰イオン界面活性剤及び一般式(a−2)で表される陰イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤である、請求項1又は2に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
2a−O−(AO)p1−(EO)q1−SOM (a−1)
〔式中、R2aは炭素数8以上22以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、p1及びq1は平均付加モル数を示し、p1は1以上5以下の数、q1は0以上10以下の数である。Mは陽イオンである。〕
2a−O−(EO)q2−(AO)p2−SOM (a−2)
〔式中、R2aは炭素数8以上22以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、p2及びq2は平均付加モル数を示し、p2は1以上5以下の数、q2は0.5以上5以下の数である。Mは陽イオンである。〕
【請求項4】
(e)成分として、炭素数2以上5以下のジオールを含有する、請求項1〜3の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に(f)成分として、炭素数12以上16以下の脂肪酸又はその塩を含有する、請求項1〜4の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
(f)成分として、炭素数12の脂肪酸又はその塩と炭素数14以上16以下の脂肪酸又はその塩とを含有する、請求項5に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
更に(g)成分として、酵素を含有する、請求項1〜6の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
水と、請求項1〜7の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物0.01質量%以上0.1質量%以下とを含有する、温度が0℃以上35℃以下の洗浄液で、衣料を、洗浄液の量(リットル)/衣料の質量(kg)=3以上50以下の条件で、1分以上7分以下洗浄する、衣料の洗浄方法。
【請求項9】
衣料を3分以上7分以下洗浄する、請求項8に記載の衣料の洗浄方法。
【請求項10】
衣料の洗浄を、回転式洗濯機を用いて行う、請求項8又は9に記載の衣料の洗浄方法。
【請求項11】
回転式洗濯機が、ドラム式全自動洗濯機、パルセータ式全自動洗濯機又はアジテータ式全自動洗濯機である、請求項10に記載の衣料の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用液体洗浄剤組成物と衣料の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界規模でのエネルギー問題、二酸化炭素排出量の削減、渇水化問題などが深刻化しており、環境に対する意識が高まっている。容器樹脂量の削減、輸送燃料費の削減、使用後のゴミの削減等から、高濃度タイプの液体洗浄剤組成物に関する技術が開示されている。特許文献1には、(a)エチレンオキシ基の平均付加モル数が1以上10の以下非イオン界面活性剤、(b)炭素数3及び/又は4のアルキレンオキシ基を有する陰イオン界面活性剤、並びに(c)特定の溶剤を含有し、(a)成分と(b)成分の含有量及び質量比が特定範囲にある、洗浄性と洗浄速度に優れた衣料用液体洗浄剤組成物が開示されている。
【0003】
特定の鎖長の炭化水素基を有するカチオン界面活性剤は殺菌性能を有することが知られている。また、衣料に前記のカチオン界面活性剤を処理することで、衣料に抗菌性能を付与できることも知られている。アニオン界面活性剤を主成分とする洗浄剤組成物にカチオン界面活性剤を併用すると、カチオン界面活性剤の性能が低下することも知られており、種々の解決法が開示されている。特許文献2には、(a)カチオン系殺菌剤、(b)該殺菌剤の0.5倍モル以上の金属キレート剤、並びに(c)非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有する殺菌消毒洗浄剤組成物が開示されている。当該組成物は、陰イオン電荷を有する物質との共存下においても、カチオン系殺菌剤の活性が低下しないため、カチオン系殺菌剤本来の作用を充分に発揮することができ、洗浄力にも優れていることが開示されている。特許文献3には、アニオン性を示す界面活性剤に、特定の構造の第四級アンモニウム塩からなるカチオン界面活性剤を添加すると共に、エチレンジアミンテトラアセテート及びその塩、フィチン酸及びその塩、ポリカルボン酸及びその塩並びにポリリン酸及びその塩から選ばれる一種以上の金属キレート剤を添加配合してなる洗浄剤組成物が開示されている。当該組成物は、アニオン性を示す界面活性剤を主要成分としてカチオン界面活性剤を添加した洗浄剤組成物において、柔軟効果、静電気防止効果、殺菌効果及びリンス効果等といったカチオン界面活性剤の効果を失活させることなく発現できることが記載されている。特許文献4には、炭素数12の第1級の直鎖アルキル基を有し、特定の付加モル数のエチレンオキシ基を有する化合物と特定の構造のカチオン界面活性剤を併用することで衣料に抗菌効果が付与できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/104044号
【特許文献2】特開平7−53995号公報
【特許文献3】特開平6−122893号公報
【特許文献4】特開平2012−233144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、衣料に付着した汚れの洗浄力が良好で、且つ透明な外観を有し、衣料に抗菌性能を付与することができる衣料用液体洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記(a)成分20質量%以上60質量%以下、(b)成分、(c)成分0.5質量%以上5質量%以下、(d)成分0.5質量%以上5質量%以下、(e)成分5質量%以上40質量%以下、及び水を含有し、
(b)成分として下記(b1)成分を含有し、
(b1)成分の含有量と(a)成分との含有量との質量比が、(b1)成分/(a)成分で、0.07以上1.6以下であり、
(b1)成分の含有量と(b)成分との含有量との質量比が、(b1)成分/(b)成分で、0.2以上1以下であり、
(b)成分の含有量と(a)成分の含有量との質量比が、(b)成分/(a)成分で、0.2以上1.6以下である、
衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
(a)成分:下記一般式(a)で表される陰イオン界面活性剤
1a−O−〔(AO)/(EO)〕−SOM (a)
〔式中、R1aは炭素数8以上22以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、p及びqは平均付加モル数を示し、pは1以上5以下の数、qは0以上10以下の数である。“/”はAO基及びEO基が、順不同にブロック又はランダムで結合していることを示す。Mは陽イオンである。〕
(b)成分:下記一般式(b)で表される化合物
1b−O−(AO)−H (b)
〔式中、R1bは炭素数8以上18以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基を示し、mは0以上30以下の整数である。〕
(b1)成分:下記一般式(b1)で表される化合物
2b−O−(EO)−H (b1)
〔式中、R2bは炭素数8以上18以下の炭化水素基を示し、EOはエキレンオキシ基を示し、nは2以上5以下の整数である。〕
(c)成分:下記一般式(c)で表される化合物
【0007】
【化1】
【0008】
〔式中、R1cは、炭素数8以上16以下の炭化水素基であり、R2c、R3c、R4cは、それぞれ、炭素数8以上10以下の炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、−(AO)−H、又はベンジル基から選ばれる基であり、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、kは1以上5以下の数であり、Xは、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである。但し、R1cが炭素数12以上16以下の炭化水素基である場合には、R2cは、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、−(AO)−H、又はベンジル基から選ばれる基であり、R1cが炭素数8以上11以下の炭化水素基である場合には、R2cは炭素数8以上11以下の炭化水素基である。〕
(d)成分:炭素数4以上12以下であり、2価以上4価以下のカルボン酸又はその塩
(e)成分:水酸基を1つ以上有する有機溶剤
【0009】
また、本発明は、水と、上記本発明の衣料用液体洗浄剤組成物0.01質量%以上0.1質量%以下とを含有する、温度が0℃以上35℃以下の洗浄液で、衣料を、洗浄液の量(リットル)/衣料の質量(kg)=3以上50以下の条件で、1分以上7分以下洗浄する、衣料の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、衣料に付着した汚れの洗浄力が良好で、且つ透明な外観を有し、衣料に抗菌性能を付与することができる衣料用液体洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<(a)成分>
本発明では、(a)成分を、(b)成分及び(b1)成分と、それぞれ特定の比率で含有し、且つ特定量の(c)成分と(d)成分と併用することで、外観が透明で衣料に高い抗菌効果を付与できる衣料用液体洗浄剤組成物を得ることが出来る。
【0012】
(a)成分は、下記一般式(a)で表される陰イオン界面活性剤である。
1a−O−〔(AO)/(EO)〕−SOM (a)
〔式中、R1aは炭素数8以上22以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、p及びqは平均付加モル数を示し、pは1以上5以下の数、qは0以上10以下の数である。“/”はAO基及びEO基が、順不同にブロック又はランダムで結合していることを示す。Mは陽イオンである。〕
【0013】
(a)成分の一般式(a)中、R1aは炭素数8以上22以下の炭化水素基である。R1aは、洗浄力の点で炭素数8以上であり、好ましくは10以上であり、より好ましくは12以上であり、そして、(b1)成分と特定の質量比で用いることで、(c)成分による衣料への抗菌性を付与する効果がより高くなる点で、好ましくは16以下であり、より好ましくは14以下である。
1aの炭化水素基としては、洗浄力又は衣料への抗菌性を付与する効果がより高くなる点から、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。R1aは、洗浄力や原料の入手性の点から、直鎖の炭化水素基、更に直鎖のアルキル基、更に直鎖の第1級アルキル基が好ましい。R1aは、炭素数12以上14以下のアルキル基、更に直鎖アルキル基、更に直鎖の第1級アルキル基が好ましい。
【0014】
一般式(a)中のAOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基としては、オキシトリメチレン基、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシブタン−1,2−ジイル基、オキシブタン−1,3−ジイル基、オキシブタン−2,3−ジイル基、オキシテトラメチレン基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。入手性の点から、オキシプロパン−1,2−ジイル基〔一般的にプロピレンオキシ基と呼ばれることもある。〕及びオキシブタン−1,2−ジイル基(一般的にブチレンオキシ基と呼ばれることもある。)から選ばれる1種以上の基が好ましく、外観がより透明になり易い点でオキシプロパン−1,2−ジイル基がより好ましい。
【0015】
一般式(a)中のpは、AOの平均付加モル数であり、1以上5以下の数である。皮脂汚れに対する洗浄力の点又は(c)成分を含有しても、本発明の組成物の外観が透明になりやすい点から、pは、好ましくは1.1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、より好ましくは1.3以上であり、より好ましくは1.4以上であり、より好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.8以上である。そして、洗浄速度を向上できる点から、pは、5以下であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下であり、より好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.9以下であり、より好ましくは2.8以下であり、より好ましくは2.5以下である。(a)成分は、洗浄性と本発明の組成物の外観が透明になりやすい観点から、一般式(a)中のpが1以上3以下の数の陰イオン界面活性剤が好ましい。
【0016】
一般式(a)中のqは、EOの平均付加モル数であり、洗浄力の点で0以上10以下の数である。(c)成分を含有しても組成物の外観が透明になりやすい点から、qは、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.8以上であり、より好ましくは1以上であり、より好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.8以上であり、より好ましくは2以上の数である。そして、衣料への抗菌性を付与する効果の向上の観点から、qは、10以下であり、好ましくは8以下であり、より好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下の数である。なお、qが0でない場合、AO基及びEO基は、R1a−O−に、順不同にブロック又はランダムに結合している。(c)成分を含有しても本発明の外観が濁りにくい点で、一般式(a)中の(AO)基及び(EO)基は、R1a−O−に、順不同ブロックに結合していることが好ましい。すなわち、(a)成分が、一般式(a)中の(AO)基及び(EO)基が、順不同にブロックで結合している陰イオン界面活性剤であることが好ましい。
【0017】
また、一般式(a)中のMは陽イオンである。Mの好ましい例は、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、及び炭素数1以上6以下のアルカノールアンモニウムイオンが挙げられる。
アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンが挙げられ、アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオンが挙げられ、炭素数1以上6以下のアルカノールアンモニウムイオンとしては、モノエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオンが挙げられる。これらの中では、洗浄力の点で、ナトリウムイオン、カリウムイオンのアルカリ金属イオン又はモノエタノールアンモニウムイオンが好ましく、モノエタノールアンモニウムイオンがより好ましい。
【0018】
(a)成分としては、下記一般式(a−1)で表される陰イオン界面活性剤〔以下、(a1)成分という〕及び一般式(a−2)で表される陰イオン界面活性剤〔以下、(a2)成分という〕から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤が挙げられる。
2a−O−(AO)p1−(EO)q1−SOM (a−1)
〔式中、R2aは炭素数8以上22以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、p1及びq1は平均付加モル数を示し、p1は1以上5以下の数、q1は0以上10以下の数である。Mは陽イオンである。〕
2a−O−(EO)q2−(AO)p2−SOM (a−2)
〔式中、R2aは炭素数8以上22以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数3のアルキレンオキシ基及び炭素数4のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示し、p2及びq2は平均付加モル数を示し、p2は1以上5以下の数、q2は0.5以上5以下の数である。Mは陽イオンである。〕
【0019】
前記の一般式(a−1)で表される(a1)成分又は一般式(a−2)で表される(a2)成分において、R2a、AO、EO及びMの好ましい態様は、それぞれ、前記の一般式(a)で表される(a)成分の具体的な記載と同じである。
p1又はp2の好ましい態様は、それぞれ、前記の一般式(a)で表される(a)成分の具体的な記載で示したpと同じである。
q1又はq2の好ましい態様は、それぞれ、前記の一般式(a)で表される(a)成分の具体的な記載で示したqと同じである。
【0020】
一般式(a−1)で表される陰イオン界面活性剤の製法は特に限定されない。例えば、炭素数8以上22の炭化水素基を有するアルコール、好ましくは炭素数10以上14以下の直鎖1級の脂肪族飽和アルコール1モルに、炭素数3又は炭素数4のアルキレンオキサイド、好ましくはプロピレンオキサイドを1モル以上、好ましくは1.1モル以上、より好ましくは1.2モル以上、より好ましくは1.3モル以上、より好ましくは1.4モル以上、より好ましくは1.5モル以上、より好ましくは1.8モル以上、そして、5モル以下、好ましくは4モル以下、より好ましくは3モル以下、より好ましくは3.0モル以下、より好ましくは2.9モル以下、より好ましくは2.8モル以下、より好ましくは2.5モル以下の量で付加させた中間化合物(1)を得る。次に中間化合物(1)に対してエチレンオキサイドを0モル以上、好ましくは0.5モル以上、より好ましくは0.8モル以上、より好ましくは1モル以上、より好ましくは1.5モル以上、より好ましくは1.8モル以上、より好ましくは2モル以上、そして、10モル以下、好ましくは8モル以下、より好ましくは5モル以下、より好ましくは3モル以下の量で付加させて中間化合物(2)を得る。次に中間化合物(2)を硫酸化し、場合によっては中和することで、一般式(a−1)で表される陰イオン界面活性剤を得ることができる。
【0021】
一般式(a−2)で表される陰イオン界面活性剤の製法は特に限定されない。例えば、炭素数8以上22の炭化水素基を有するアルコール、好ましくは炭素数10以上14以下の直鎖1級の脂肪族飽和アルコール1モルに、エチレンオキサイドを0.5モル以上、好ましくは0.8モル以上、より好ましくは1モル以上、より好ましくは1.5モル以上、より好ましくは1.8モル以上、そして、5モル以下、好ましくは4モル以下、より好ましくは3モル以下、より好ましくは2.5モル以下の量で付加させて中間化合物(1’)を得る。次いで前記中間化合物(1’)に、炭素数3のアルキレンオキサイド及び/又は炭素数4のアルキレンオキサイド、好ましくはプロピレンオキサイドを1モル以上、好ましくは1.5モル以上、より好ましくは1.8モル以上、そして、5モル以下、好ましくは4モル以下、より好ましくは3モル以下、より好ましくは2.5モル以下の量で付加させた中間化合物(2’)を得る。次に中間化合物(2’)を硫酸化し、場合によっては中和することで、一般式(a−2)で表される陰イオン界面活性剤を得ることができる。
【0022】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、下記一般式(b)で表される化合物である。
1b−O−(AO)−H (b)
〔式中、R1bは炭素数8以上18以下の炭化水素基を示し、AOは炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基を示し、mは0以上30以下の整数である。〕
一般式(b)中、R1bは炭素数8以上18以下の炭化水素基であり、炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基が挙げられる。R1bの炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。一般式(b)中、AOは炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基であり、炭素数2のアルキレンオキシ基が好ましい。一般式(b)中、mは付加モル数であり0以上、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、30以下、好ましくは25以下、好ましくは21以下、好ましくは18以下、好ましくは14以下、より好ましくは12以下の整数である。本発明においてmが0の化合物も本発明の(b)成分とする。(b)成分中のmが0の化合物の割合は、外観をより透明に近づけることが出来る点で、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、15質量%以下がより更により好ましい。
【0023】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分として下記(b1)成分を含有する。(b1)成分:下記一般式(b1)で表される化合物
2b−O−(EO)−H (b1)
〔式中、R2bは炭素数8以上18以下の炭化水素基を示し、EOはエキレンオキシ基を示し、nは2以上5以下の整数である。〕
【0024】
(b)成分及び(b1)成分は非イオン界面活性剤である。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b1)成分を(a)成分と特定の比率で含有することで、(c)成分である特定の化合物により、衣料へより高い抗菌性を付与することができる。
また、(b1)成分を含む(b)成分を、特定の構造を有する(a)成分と併用することで、より広い範囲の非イオン界面活性剤において、(c)成分による衣料への抗菌性を付与する効果をより高める作用が発現する。すなわち、(b)成分として、例えば炭素数12以外の直鎖第1級の炭化水素基を有する非イオン界面活性剤、直鎖の第2級炭化水素基を有する非イオン界面活性剤、分岐鎖の第1級炭化水素基を有する非イオン界面活性剤を用いても、(c)成分による衣料への抗菌性を付与する効果をより高めることができる。
更には、(b1)成分を含む(b)成分を所定条件で用いることで、組成物の外観をより透明にすることができる。
【0025】
(b1)成分の一般式(b1)中、R2bは炭素数8以上18以下の炭化水素基である。R2bは、洗浄力の向上又は(c)成分による衣料への抗菌性を付与する効果をより高くできる点から、好ましくは炭素数10以上、より好ましくは11以上、そして、組成物の外観をより透明に出来る点から、好ましくは炭素数16以下、より好ましくは14以下の炭化水素基である。R2bの炭化水素基としては、洗浄力の向上の点から、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。R2bは、洗浄力の点から、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基が好ましく、直鎖の炭化水素基がより好ましい。洗浄力の向上の点から、R2bは、直鎖の炭化水素基は、直鎖の第1級の炭化水素基が好ましい。また、低温における水への溶解性を向上できる観点から、R2bは、分岐鎖の第1級の炭化水素基及び直鎖の第2級炭化水素基から選ばれる基が好ましい。洗浄力の向上の点から、R2bは、炭素数10以上16以下の直鎖の第1級のアルキル基が好ましい。
【0026】
一般式(b)の化合物を得る方法は、特に限定されるものではないが、炭素数8以上18以下の炭化水素基を有するアルコールに、エチレンオキシドを付加反応することによって得ることができる。
すなわち、(b)成分として、炭素数8以上18以下の炭化水素基を疎水基として含む化合物に、エチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加反応させて得られた非イオン界面活性が挙げられる。この場合、得られた非イオン界面活性剤は、一般式(b)の構造を有する化合物の複数からなり、通常、一般式(b)中のmが0以上30以下の化合物を複数含む。
このようにして得られた非イオン界面活性剤が、(b1)成分に該当する化合物を含む場合は、そのまま(b1)成分を含む(b)成分として用いることができる。また、化合物の分布を調整して本発明の条件を満たすように(b1)成分の量を調整して(b)成分として用いることもできる。
また、(b)成分は(b1)成分からなることができる。例えば、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物に含まれる(b)成分は、単一の化合物の(b1)成分であっても良く、複数の化合物の(b1)成分の混合物であっても良い。
(b)成分は、一般式(b)で表される2種以上の化合物であることが好ましい。
(b1)成分は、一般式(b1)で表される2種以上の化合物であることが好ましい。
【0027】
(a)成分と特定の質量比で併用することで、(c)成分による衣料への抗菌性を付与する効果がより高まる観点から、(b1)成分として、一般式(b1)中のR2bが炭素数10以上14以下の直鎖の第1級又は第2級のアルキル基であり、mが2以上5以下の整数である化合物を含有することが好ましい。
【0028】
(b)成分が、炭素数8以上18以下の炭化水素基を有するアルコールにエチレンオキシドを付加反応して得られた非イオン界面活性剤である場合、該(b)成分中の(b1)成分の含有量は、下記の液体クロマトグラフィーによる測定よって求めることが出来る。
クロマトグラフ:HITACHI ELITE La Chrom Shodex RI−71
検出器:RI
カラム:L−columnODS(長さ:250mm、内径:4.6mm)
カラム温度:25℃、溶離液:アセトニトリル65質量%水溶液、流量:1.0mL/min、サンプル注入量:20μL、サンプルの希釈溶媒:メタノール
【0029】
<(c)成分>
本発明の(c)成分は、下記一般式(c)で表される化合物である。
【0030】
【化2】
【0031】
〔式中、R1cは、炭素数8以上16以下の炭化水素基であり、R2c、R3c、R4cは、それぞれ、炭素数8以上10以下の炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、−(AO)−H、又はベンジル基から選ばれる基であり、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、kは1以上5以下の数であり、Xは、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである。但し、R1cが炭素数12以上16以下の炭化水素基である場合には、R2cは、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、−(AO)−H、又はベンジル基から選ばれる基であり、R1cが炭素数8以上11以下の炭化水素基である場合には、R2cは炭素数8以上11以下の炭化水素基である。〕
【0032】
(c)成分としては、下記一般式(c−1)で表される化合物〔以下、(c1)成分という〕及び一般式(c−2)で表される化合物〔以下、(c2)成分という〕から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0033】
【化3】
【0034】
〔式中、R11cは、炭素数12以上16以下の炭化水素基であり、R12c、R13c、R14cは、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、−(AO)−H、又はベンジル基から選ばれる基であり、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、kは1以上5以下の数であり、Xは、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである。〕
【0035】
【化4】
【0036】
〔式中、R21c、R22cは、それぞれ、炭素数8以上10以下の炭化水素基であり、R23c、R24cは、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、−(AO)−H、又はベンジル基から選ばれる基であり、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、kは1以上5以下の数であり、Xは、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである。〕
【0037】
(c1)成分の一般式(c−1)中、R11cは、炭素数12以上16以下の炭化水素基であり、衣料への抗菌性を付与する効果がより高くなる点で、R11cの炭素数は13以上が好ましく、14以上がより好ましく、15以上が更に好ましく、16がより更に好ましい。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の外観がより透明になりやすい点で、R11cの炭素数は15以下が好ましく、14以下がより好ましく、13以下が更に好ましく、12が更に好ましい。R11cの炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、好ましくはアルキル基である。R11cの炭化水素基の具体例は、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基が挙げられる。
【0038】
一般式(c−1)中、R12c、R13c、R14cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、又はベンジル基から選ばれる基である。炭素数1以上3以下のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基の具体例は、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0039】
一般式(c−1)中、Xは、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである。ハロゲンイオンの具体例はクロルイオン、ブロモイオンであり、衣料の黄変抑制の点からクロルイオンが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンの具体例としては、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、プロピル硫酸イオンが挙げられる。製造の容易性の点から、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンが好ましい。
【0040】
より好ましい具体的な(c1)成分として、下記の(c1−1)〜(c1−4)から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
(c1−1):前記一般式(c−1)中、R11cが、炭素数12以上16以下の炭化水素基であり、R12c、R13c、R14cが、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基であり、Xが、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである化合物。
(c1−1)の更に具体的な化合物は、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩、N−テトラデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩、及びN−ヘキサデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物である。これらの塩としてはクロル塩、メチル硫酸塩、又はエチル硫酸塩が好ましい。
【0041】
(c1−2):前記一般式(c−1)中、R11cが、炭素数12以上16以下の炭化水素基であり、R12c、R13cが、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基であり、R14cが、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、Xが、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである化合物。
(c1−2)の更に具体的な化合物は、N−ドデシル−N−ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N−テトラデシル−N−ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、及びN−ヘキサデシル−N−ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物である。これらの塩としてはクロル塩、メチル硫酸塩、又はエチル硫酸塩が好ましい。
【0042】
(c1−3):前記一般式(c−1)中、R11cが、炭素数12以上16以下の炭化水素基であり、R12c、R13cが、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基であり、R14cが、ベンジル基であり、Xは、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである化合物。
(c1−3)更に具体的な化合物は、N−ドデシル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩、N−テトラデシル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩、及びN−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物である。これらの塩としてはクロル塩、メチル硫酸塩、又はエチル硫酸塩が好ましい。
【0043】
(c1−4):前記一般式(c−1)中、R11cが、炭素数12以上16以下の炭化水素基であり、R12c、R13cが、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基であり、R14cが、−(AO)−Hであり、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、kは1以上5以下の数であり、Xが、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる陰イオンである化合物。
【0044】
(c2)成分の一般式(c−2)中、R21c、R22cは、衣料への抗菌性を付与する効果をより高める点で、それぞれ、炭素数9以上が好ましく、10がより好ましい。R21c、R22cの具体例は、それぞれ独立に、オクチル基、ノニル基、デシル基であり、衣料への抗菌性を付与する効果をより高める点で、ノニル基、デシル基が好ましく、デシル基が更に好ましい。R23c、R24cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、−(AO)−H、又はベンジル基から選ばれる基であり、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、kは1以上5以下の数である。炭素数1以上3以下のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基の具体例は、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0045】
(c2)成分のより具体的な化合物は、N,N−ジオクチル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N,N−ジノニル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N,N−ジデシル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N,N−ジオクチル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩、N,N−ジノニル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩、及びN,N−ジデシル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。これらの塩としてはクロルイオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンが挙げられる。
衣料に抗菌性を付与する効果が高い点で、(c2)成分は、N,N−ジデシル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、及びN,N−ジデシル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。これらの塩としてはクロルイオン、メチル硫酸イオン、又はエチル硫酸イオンが好ましい。
【0046】
<(d)成分>
本発明の(d)成分は、炭素数4以上12以下であり、2価以上4価以下のカルボン酸又はその塩である。より具体的には下記の(d1)成分及び(d2)成分から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。下記の(d1)成分から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1)成分:アミノ基を含まない、炭素数4以上10以下の、2価又は3価のカルボン酸又はその塩
(d1)成分として、具体的にはクエン酸、酒石酸、コハク酸及びリンゴ酸から選ばれる1種以上のカルボン酸又はその塩が挙げられる。衣料への抗菌性を付与する効果をより高くできる点で、クエン酸又はその塩が好ましい。
(d2)成分:アミノ基を含み、炭素数4以上10以下の、2価以上4価以下のカルボン酸又はその塩
(d2)成分として、具体的には、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸、ジエチレントリアミン五酢酸及びヒドロキシメチルエチレンジアミン三酢酸から選ばれる1種以上のカルボン酸又はその塩が挙げられる。
【0047】
<(e)成分>
本発明の(a)成分、(b)成分、(b1)成分、(c)成分、(d)成分及び水を含有する衣料用液体洗浄剤組成物の外観をより透明に近づける点で、(e)成分として、水酸基を1つ以上有する有機溶剤を更に含有する。
水酸基を1つ以上有する有機溶剤としては、以下の(e1)成分〜(e6)成分から選ばれる1種以上の化合物が用いられる。
(e1)成分:炭素数2以上6以下の脂肪族炭化水素基を有する1価のアルコール
(e1)成分として、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及び1−ブタノールから選ばれる1価のアルコールが挙げられる。
(e2)成分:炭素数2以上6以下の2価以上6価以下のアルコール
(e2)成分として、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びグリセリンから選ばれる2価又は3価のアルコールが挙げられる。2−メチル−2,4−ペンタンジオールは、ヘキシレングリコールとも称される。
(e3)成分:炭素数2以上4以下のアルキレングリコール単位を含有するポリアルキレングリコール
(e3)成分として、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、重量平均分子量400以上4000以下のポリエチレングリコール及び重量平均分子量400以上4000以下のポリプロピレングリコールから選ばれるポリアルキレングリコールが挙げられる。
(e4)成分:炭素数2以上4以下のアルキレングリコール単位と、炭素数1以上4以下のアルキル基とを有する、(モノ又はポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル
(e4)成分として、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール及び1−エトキシ−2−プロパノールから選ばれる化合物が挙げられる。
(e5)成分:炭素数1以上8以下のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル
(e5)成分として、例えば1−メチルグリセリルエーテル、2−メチルグリセリルエーテル、1,3−ジメチルグリセリルエーテル、1−エチルグリセリルエーテル、1,3−ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、1−オクチルグリセリルエーテル及び2−エチルヘキシルグリセリルエーテルから選ばれるアルキルグリセリルエーテルが挙げられる。
(e6)成分:炭素数2又は3のアルキレングリコール単位を有する(モノ又はポリ)アルキレングリコールの芳香族アルキルエーテル、
(e6)成分として、例えば2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ベンジルオキシエタノール及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる化合物
【0048】
前記(e4)成分、(e6)成分において「(モノ又はポリ)アルキレングリコール」なる用語は、モノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールを意味する。また、「ポリアルキレングリコール」とは、アルキレングリコール単位が2個以上9個以下の量で含有することを意味する。
【0049】
(e)成分は、本発明の組成物の外観をより透明に近づけることができる点で、(e1)成分、(e2)成分、(e4)成分、及び(e6)成分から選ばれる1種以上、更に2種以上の化合物が好ましい。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(e)成分として、(e2)成分から選ばれる1種以上の化合物と、(e4)成分から選ばれる1種以上とを含有することが好ましい。より具体的には、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル及びトリエチレングリコールモノフェニルエーテルから選ばれる1種以上、更に2種以上の化合物を含有することが好ましい。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(e)成分として、プロピレングリコール及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上の有機溶剤を含有することが好ましく、プロピレングリコール及びジエチレングリコールモノブチルエーテルを含有することがより好ましい。
【0050】
<水>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、4℃〜40℃における状態を液体状態とする為に、水を含有する。水は脱イオン水(イオン交換水とも言う場合もある)や次亜塩素酸ソーダをイオン交換水に対して1mg/kg以上5mg/kg以下、添加した水を使用することが出来る。また、水道水も使用できる。
【0051】
<衣料用液体洗浄剤組成物>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分、及び水、並びに任意成分を含有する。以下、質量%は、特記しない限り、衣料用液体洗浄剤組成物の質量を基準とするものである。
【0052】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分を20質量%以上60質量%以下含有する。(a)成分の含有量は、衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の点で、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。そして、(a)成分の含有量は、衣料への抗菌性を付与する効果がより向上する点で、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下が更に好ましく、40質量%以下が更により好ましい。
なお、本発明において、(a)成分の含有量は、酸型化合物、すなわち一般式(a)中のMが水素イオンである化合物に換算した含有量である。
【0053】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分の含有量と(a)成分の含有量との質量比が、(b)成分/(a)成分で、0.2以上1.6以下である。衣料への抗菌性を付与する効果を高める点で、(b)成分/(a)成分の質量比は、0.25以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.35以上が更に好ましく、0.4以上が更により好ましく、0.45以上が更により好ましく、0.5以上が更により好ましい。そして、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の外観をより透明に近づける点で、1.5以下が好ましく、1.4以下がより好ましく、1.3以下がより好ましく、1.2以下がより好ましく、1.1以下が更に好ましく、1.0以下が更により好ましい。
【0054】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b1)成分の含有量と(a)成分との含有量との質量比が、(b1)成分/(a)成分で、0.07以上1.6以下である。(b1)成分/(a)成分の質量比は、衣料への抗菌性を付与する効果を高める点で、0.08以上が好ましく、0.09以上がより好ましく、0.10以上がより好ましく、0.11以上がより好ましく、0.12以上がより好ましく、0.13以上がより好ましく、0.14以上がより好ましく、0.15以上がより好ましく、0.18以上がより好ましく、0.20以上がより好ましく、0.25以上がより好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上がより好ましく、0.45以上がより好ましく、0.5以上がより好ましく、0.55以上がより好ましい。そして、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の外観をより透明に近づける点で、1.5以下が好ましく、1.4以下がより好ましく、1.3以下がより好ましく、1.2以下がより好ましく、1.1以下が更に好ましく、1.0以下が更により好ましい。
【0055】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b1)成分の含有量と(b)成分との含有量との質量比が、(b1)成分/(b)成分で、0.2以上1以下である。(b1)成分/(b)成分の質量比は、衣料への抗菌性を付与する効果を高める点で0.25以上が好ましく、0.30以上がより好ましく、0.35以上がより好ましく、0.40以上がより好ましい。そして、衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の点から、0.95以下が好ましく、0.90以下がより好ましく、0.8以下が更に好ましく、0.7以下がより更に好ましい。
【0056】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(c)成分を0.5質量%以上5質量%以下含有する。(c)成分の含有量は、衣料により高い抗菌性を付与できる点から、0.6質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.3質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、1.7質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。そして、(c)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の外観がより透明に近づく点で、4.5質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.5質量%以下が更に好ましく、3.0質量%以下が更により好ましい。本発明において、衣料用液体洗浄剤組成物中で(c)成分が、対イオンである陰イオン(X)が組成物中に含まれる他の陰イオンとイオン交換した化合物となって存在していたとしても、(c)成分の含有量は当該組成物の調製に用いた(c)成分の配合量と同義とみなす。
【0057】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(d)成分を0.5質量%以上5質量%以下含有する。(d)成分の含有量は、衣料に高い抗菌性を付与できる点から、0.6質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.3質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましい。そして、(d)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の外観がより透明に近づく点で、4.5質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.5質量%以下が更に好ましく、3.0質量%以下が更により好ましい。
【0058】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(e)成分を5質量%以上40質量%以下含有する。(e)成分の含有量は、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の外観をより透明にできる点から、6質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。そして、(e)成分の含有量は、経済性の点から、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が更に好ましい。
【0059】
水の含有量は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分及び後述する任意成分を除く残部である。
【0060】
<任意成分>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、更に(f)成分として、炭素数12以上16以下の脂肪酸又はその塩を含有することが好ましい。(f)成分は、洗浄後のすすぎ性向上の観点で好ましい成分である。(f)成分としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、及びパルミチン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸又はその塩が挙げられる。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(f)成分として、炭素数12の脂肪酸又はその塩〔以下、(f1)成分という〕と炭素数14以上16以下の脂肪酸又はその塩〔以下、(f2)成分という〕とを含有することが、洗浄後のすすぎ性向上の観点から、好ましい。(f1)成分の含有量と(f2)成分の含有量の質量比は、(f1)成分/(f2)成分で、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。(f)成分の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、そして、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.2質量%以下である。
【0061】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(g)成分として、(a)成分、(b)成分、(c)成分以外の界面活性剤を含有することができる。
(g)成分としては、(a)成分以外の陰イオン界面活性剤〔以下、(g1)成分という〕が挙げられる。(g1)成分としては、炭素数8以上22以下の脂肪族アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上22以下の脂肪酸、アルカンの炭素数が8以上20以下であるアルカンスルホン酸、炭素数8以上22以下の脂肪族アルキル基を有するアルキル硫酸エステル及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、及びこれらの塩が挙げられる。好ましい(g1)成分は、炭素数12以上16以下の脂肪族アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数12以上18以下の脂肪酸、及びこれらの塩である。(g1)成分の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及び炭素数1以上6以下のアルカノールアミン塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアンモニウム塩、及びトリエタノールアンモニウム塩から選ばれる1種以上の塩が好ましい。
【0062】
また、(g)成分として、本発明の目的を阻害しない範囲で(c)成分以外の陽イオン界面活性剤を含有しても良い。陽イオン界面活性剤としては、アミンで配合し水中のpHにより陽イオン界面活性剤となりえる化合物も便宜的に陽イオン界面活性剤と表す。具体的には炭素数11以上22以下の脂肪族アルキル基を有する第3級アミン塩、例えば、アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン〔アルカノイルは炭素数11以上21以下の脂肪族アルカノイル基を意味する。〕から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
【0063】
また、(g)成分として、両性界面活性剤を配合しても良い。両性界面活性剤としては、例えば、炭素数10以上18以下のアルキル基を有するスルホベタイン又はカルボベタインを挙げることができる。
【0064】
(g)成分の含有量は、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の全配合原料の合計に対して、好ましくは0.5質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。また3級アミンについては、窒素原子に結合する基のうち、有機基以外を水素原子に置換した構造の質量を該3級アミンの質量とする。(g)成分として、(c)成分以外の陽イオン界面活性剤を配合する場合は、皮脂汚れの洗浄性能の観点から、5質量%以下が好ましい。5質量%以下の量で配合するとは、配合しないか、又は0質量%を超え、5質量%以下の量で配合することを意味する。好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、(c)成分以外の陽イオン界面活性剤を配合しないことがより好ましい。
【0065】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物には、アルカリ剤〔以下、(h)成分という〕を配合することが洗浄力の点から好ましい。アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などの他に、窒素原子に結合する基のうち、1つ以上3つ以下が炭素数2以上4以下のアルカノール基であり、残りが炭素数1以上4以下のアルキル基又は水素原子であるアルカノールアミンを挙げることができる。このうちアルカノール基はヒドロキシアルキル基、更にヒドロキシエチル基であるものが好ましい。アルカノール基以外は水素原子、又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。アルカノールアミンとしては、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類が挙げられる。本発明では、(h)成分として、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選ばれるアルカノールアミンが好ましく、モノエタノールアミンがより好ましい。
また、(h)成分であるアルカリ剤は本発明の衣料用液体洗浄剤組成物のpHを所定の値に調整する為にも用いることが出来る。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物では、(h)成分を、後述するpHになるような量で配合しても良い。具体的には、(h)成分を、0.01質量%以上、更に0.5質量%以上、そして、10質量%以下、更に8質量%以下、配合しても良い。なかでも、(h)成分としてアルカノールアミンを、0.5質量%以上、更に1質量%以上、更に3質量%以上、そして、8質量%以下、更に7質量%以下、更に6質量%以下配合することが好ましい。なお、本発明では、(h)成分のアルカリ剤、中でもアルカノールアミンの含有量には、(a)成分や(g1)成分の対イオンなど、他の成分に由来して組成物中に配合される分も算入するものとする。
【0066】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物には、キレート剤〔以下、(i)成分という〕を配合しても良い。(i)成分からは、(d)成分は除かれる。(i)成分のキレート剤の具体例として、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらのアルカリ金属又は低級アミン塩等が挙げられる。(i)成分の含有量は、酸型とみなした場合に0.1質量%以上5質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上4質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上3質量%以下である。
【0067】
この他に、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物には、下記(j1)〜(j7)成分を配合しても良い。
(j1)ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロースなどの再汚染防止剤及び分散剤を0.01質量%以上10質量%以下
(j2)過酸化水素、過炭酸ナトリウム又は過硼酸ナトリウム等の漂白剤を0.01質量%以上10質量%以下
(j3)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6−316700号の一般式(I−2)〜(I−7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤を0.01質量%以上10質量%以下、
(j4)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ及びリパーゼから選ばれる1種以上の酵素、好ましくはアミラーゼ及びプロテアーゼから選ばれる1種以上の酵素0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、そして2質量%以下、好ましくは1質量%以下。(j4)成分としては、より速い洗浄速度が得られる点でアミラーゼを含む酵素が好ましい。皮脂汚れが付着した衣料上に、ミートソースなどの食べこぼし汚れが付着した汚れに対して、より高い洗浄性が得られる点でアミラーゼ及びプロテアーゼを含む酵素であることが好ましい。
(j5)蛍光染料、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料を0.001質量%以上1質量%以下
(j6)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤を0.01質量%以上2質量%以下
(j7)色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤を適量。
【0068】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の20℃のpHは、優れた洗浄性能を得る点で、6以上、更に6.5以上、更に7以上が好ましく、そして、11以下、更に9以下、更に8以下が好ましい。pHは、実施例に記載の方法で測定し、その際、温度は記載の20℃で測定する。洗浄性能と本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の取扱いのし易さの点から、前記の方法で測定したpHは、6以上9以下が好ましく、6.5以上8以下がより好ましい。
【0069】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、取り扱いの容易さの点で、10mPa・s以上が好ましく、そして、500mPa・s以下、更に400mPa・s以下、更に300mPa・s以下が好ましい。(c)成分によりこのような範囲になるように調整することが好ましい。本発明において粘度はB型粘度計により測定する。ローターは粘度に合ったものを選択する。回転数60r/minで回転し、回転開始から60秒後の粘度を液体洗浄剤組成物又は希釈液の粘度とする。粘度の測定温度(液温)は、それぞれの目的に合わせて選定する。
【0070】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分、(b1)成分を含む(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分、及び水を混合することで製造できる。その際、衣料用液体洗浄剤組成物中の(b1)成分の含有量と(a)成分との含有量との質量比が、(b1)成分/(a)成分で、0.07以上1.6以下、(b1)成分の含有量と(b)成分との含有量との質量比が、(b1)成分/(b)成分で、0.2以上1以下、(b)成分の含有量と(a)成分の含有量との質量比が、(b)成分/(a)成分で、0.2以上1.6以下となるように混合する。また、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分、及び水は、衣料用液体洗浄剤組成物中の含有量が(a)成分20質量%以上60質量%以下、(c)成分0.5質量%以上5質量%以下、(d)成分0.5質量%以上5質量%以下、(e)成分5質量%以上40質量%以下となるように用いられる。(b1)成分を含む(b)成分は、1種又は2種以上を用いることができる。また、(b1)成分を含まない(b)成分の1種又は2種以上と、(b1)成分の1種又は2種以上とを、本発明の要件を満たすように用いることができる。
【0071】
〔衣料の洗浄方法〕
本発明は、水と、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物0.01質量%以上0.1質量%以下とを含有する、温度が0℃以上35℃以下の洗浄液で、衣料を、洗浄液の量(リットル)/衣料の質量(kg)=3以上50以下の条件で、1分以上7分以下洗浄する、衣料の洗浄方法を提供する。
【0072】
洗浄液は、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、そして、0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.08質量%以下含有する。
また、洗浄液は(a)成分と(b)成分とを合計で0.006質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、0.08質量%以下、更に0.07質量%以下含有することが好ましい。
【0073】
洗浄液を調製する水としては、如何なる水でも良い。例えば、水道水、イオン交換水、井戸水、河川水等が挙げられる。また、洗浄に適した水の硬度としては、ドイツ硬度で1°DH以上10°DH以下が挙げられる。
【0074】
洗浄液の温度は、洗浄速度の向上の点で0℃以上であり、3℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましい。そして、洗浄液の温度は、衣料を構成する繊維自身に含まれる油剤を落としすぎず、繊維の風合いを維持する点で、35℃以下であり、30℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下がより好ましい。本発明の洗浄方法は、冬季での洗浄のように、洗浄液の温度が0℃を超え10℃以下、更には3℃を超え8℃以下の低い温度で衣料を洗浄しても、皮脂汚れの洗浄力に優れ、衣料に優れた抗菌性を付与できる。
【0075】
近年、洗濯機が大型化し、衣料の質量(kg)と洗浄液の水量(リットル)の比で表される浴比の値、すなわち洗浄液の水量(リットル)/衣料の質量(kg)(以下、この比を浴比とする場合もある)の値が小さくなる傾向にある。浴比が小さくなると、家庭用洗濯機を用いた場合には、攪拌による機械力が衣料に伝わりにくくなり、洗浄力が低下すると言われている。本発明の衣料の洗浄方法は、浴比が小さい洗浄条件下でも、洗浄力を維持できる。本発明の衣料の洗浄方法は、洗浄力の点で、浴比は、4以上、更に5以上が好ましい。そして、浴比は、45以下、更に40以下、更に30以下、更に20以下であっても洗浄力を維持できる。
【0076】
本発明の衣料の洗浄方法は、洗浄時間が短くても十分な洗浄力が得られる。洗浄力の点で洗浄時間は1分以上であり、2分以上が好ましく、3分以上がより好ましい。経済性の点で、7分以下であり、5分以下が好ましい。
【0077】
本発明の衣料の洗浄方法は、繊維の精練方法のように、ローラー等で繊維を送りながら、精錬に使用する液に浸漬する方法よりも、消費者の用途に合わせて繊維を構成した衣料の様に、均一に機械力がかからないような対象物に対して、本発明の効果が得られる。また、回転式洗浄方法において本発明の洗浄方法は適している。回転式洗浄方法とは、回転機器に固定されていない衣料が洗浄液と共に、回転軸の周りに回転する洗浄方法を意味する。回転式洗浄方法は回転式洗濯機により実施できる。従って、本発明では、衣料の洗浄を、回転式洗濯機を用いて行うことが好ましい。回転式の洗濯機としては、具体的には、ドラム式全自動洗濯機、パルセータ式全自動洗濯機又はアジテータ式全自動洗濯機が挙げられる。これらの回転式洗濯機は、それぞれ、家庭用として市販されているものと使用することができる。
【0078】
洗浄速度の向上と食べこぼし汚れの洗浄力をより実感できる点で、本発明の好ましい衣料の洗浄方法は、回転式洗濯機を用いる回転式洗浄方法であり、回転式洗濯機の中で、洗浄に使用する水と衣料と本発明の衣料用液体洗浄剤組成物を撹拌する洗浄方法である。回転式洗濯機は、好ましくはドラム式全自動洗濯機、パルセータ式全自動洗濯機又はアジテータ式全自動洗濯機であり、パルセータ式全自動洗濯機又はアジテータ式全自動洗濯機がより好ましく、パルセータ式全自動洗濯機がより好ましい。この方法において、衣料の質量(kg)と、洗浄に使用する水と洗浄剤組成物が混合した洗浄液の容量(リットル)の比で表される浴比の値が、衣料の質量(kg)/洗浄液の容量(リットル)で、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、更には20以下がより好ましい洗浄方法であり、洗浄液の温度が0℃を超え、好ましくは3℃を超え、更には15℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい洗浄方法であり、洗浄に使用する水と衣料と洗浄剤組成物が撹拌を開始して、洗濯機からの洗浄液の排出を始めるまでの時間が、1分以上が好ましく、2分以上がより好ましく、3分以上がより好ましく、更には7分以下が好ましく、6分以下がより好ましく、5分以下がより好ましい洗浄方法である。
【0079】
従って、本発明の衣料の洗浄方法として、水と、上記本発明の衣料用液体洗浄剤組成物0.01質量%以上0.1質量%以下とを含有する、温度が0℃を超え、好ましくは3℃を超え、そして15℃以下、好ましくは10℃以下の洗浄液で、衣料の質量と前記洗浄液の量(リットル)の比で表される浴比が、洗浄液の量(リットル)/衣料の質量(kg)=5以上、好ましくは10以上、そして20以下の条件で、衣料を1分間以上、好ましくは2分間以上、より好ましくは3分間以上、そして7分間以下、好ましくは6分間以下、より好ましくは5分間以下、回転式洗濯機、好ましくはドラム式全自動洗濯機、パルセータ式全自動洗濯機又はアジテータ式全自動洗濯機、より好ましくはパルセータ式全自動洗濯機又はアジテータ式全自動洗濯機、より好ましくはパルセータ式全自動洗濯機で洗浄する、衣料の洗浄方法が挙げられる。これらの回転式洗濯機は、それぞれ、家庭用として市販されているものと使用することができる。
【実施例】
【0080】
<配合成分>
実施例、比較例、及び配合例では、以下の成分を用いた。
(a)成分
(a−1):一般式(a−1)において、R2aが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基であり、AOがプロピレンオキシ基、Mがモノエタノールアンモニウムイオンであり、p1が平均2.0、q1が平均2.0の化合物
(a−2):一般式(a−2)において、R2aが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基であり、AOがプロピレンオキシ基、Mがモノエタノールアンモニウムイオンであり、p2が平均2.0、q2が平均2.0の化合物
(a−3):一般式(a−1)において、R2aが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基であり、AOがプロピレンオキシ基、Mがモノエタノールアンモニウムイオンであり、p1が平均2.0、q1が平均1.1の化合物
(a−4):一般式(a−1)において、R2aが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基であり、AOがプロピレンオキシ基、Mがモノエタノールアンモニウムイオンであり、p1が平均2.0、q1が平均4.0の化合物
(a−5):一般式(a−1)において、R2aが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基であり、AOがプロピレンオキシ基、Mがモノエタノールアンモニウムイオンであり、p1が平均2.0、q1が0の化合物
(a−6):一般式(a)において、R1aが炭素数12、14の直鎖1級アルキル基であり、AOがプロピレンオキシ基、Mがモノエタノールアンモニウムであり、pが平均2.0、qが平均2.0で、プロピレンオキシ基とエチレンオキシ基がランダムに結合した化合物
【0081】
(b)成分
(b−1)〜(b−8):表1に記載の(b−1)〜(b−8)を用いた。(b−1)〜(b−8)は、(b1)成分と(b1)成分以外の化合物とを含み、(b1)成分/(b)成分の質量比が本発明の条件を満たす非イオン界面活性剤である。
(b’−1)〜(b’−2):表1に記載の(b’−1)〜(b’−2)を用いた。(b’−1)〜(b’−2)は、(b1)成分と(b1)成分以外の化合物とを含み、(b1)成分/(b)成分の質量比が本発明の条件を満たさない、非イオン界面活性剤である。
(b−1)〜(b−8)及び(b’−1)〜(b’−2)は、R1bが表1中のR2bに対応するアルキル基であり、AOがエキレンオキシ基であり、mが表1中のnに対応する数である化合物の群である。
【0082】
(c)成分
(c1−1):N−ミリスチル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウムエチルサルフェート
(c1−2):N−ラウリル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド
(c1−3):N−ミリスチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド
(c1−4):N−パルミチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド
(c1−5):N−アルキル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド(組成は、アルキル基がラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基である(c−4)成分の質量比が、〔ラウリル基である(c−4)成分〕/〔ミリスチル基である(c−4)成分〕/〔パルミチル基である(c−4)成分〕で58/40/2である。)
(c2−1):N,N−ジオクチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチルクロリド
(c2−2):N,N−ジデシル−N−メチル−N−エチルアンモニウムエチルサルフェート
【0083】
(c’)成分((c)成分の比較化合物)
(c’−1):N−デシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド
(c’−2):N−オクタデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド
【0084】
(d)成分
(d1−1):クエン酸
(d1−2):クエン酸三Na
【0085】
(e)成分
(e2−1):ジエチレングリコールモノブチルエーテル
(e4−1):プロピレングリコール
【0086】
(f)成分
(f−1):ラウリン酸
(f−2):ミリスチン酸
(f−3):混合脂肪酸(脂肪酸組成は質量比で、ラウリン酸/ミリスチン酸/パルミチン酸=35/60/5である。)
【0087】
その他任意成分
モノエタノールアミン:(a)成分の対イオンとしての含有量を含み、所定のpHにするのに必要な量を用いた。
ポリマー(1):特開平10−60476号公報の段落0020の合成例1の方法で合成した高分子化合物を、組成物中の含有量3質量%で用いた。
蛍光染料:チノパールCBS−X(商品名)(チバスペシャリティケミカルズ製)を、組成物中の含有量0.2質量%で用いた。
酵素(1):エバラーゼ16.0L−EX(商品名)(プロテアーゼ、ノボザイム社製)を、組成物中の含有量0.5質量%で用いた。
酵素(2):ステインザイム(商品名)(アミラーゼ、ノボザイム社製)を、組成物中の含有量0.3質量%で用いた。
色素(1):緑色202号を、組成物中の含有量0.0005質量%で用いた。
色素(2):黄色203号を、組成物中の含有量0.0003質量%で用いた。
【0088】
<実施例1〜20、比較例1〜8>
表2又は表3に示す各成分を表2又は表3の配合量で混合して、実施例及び比較例の組成物を得た。具体的には以下の方法で衣料用液体洗浄剤組成物を調製した。なお、(a)成分について、表中の含有量は、酸型化合物に換算した含有量である。
300mlのガラス製ビーカーに、直径60mmのスターラーピース(テフロン(登録商標)製)を入れ、出来上がり質量が200g、且つ表1に記載の含有量になるように(a)成分、(b)成分、(c)成分又は(c’)成分及び必要量の95質量%の水(次亜塩素酸ナトリウムを3mg/kg含有する水)を投入した。投入後、100回転/分の回転数で20分攪拌した。その後、必要に応じて(d)成分、(e)成分、モノエタノールアミンを除くその他任意成分を投入し、モノエタノールアミンで組成物のpHを表2又は表3に記載のpHに調整し、残分の水を用いて最終出来上がり質量(200g)になるように調整し、表2又は表3の衣料用液体洗浄剤組成物を得た。pHは、下記のpHの測定方法に従って測定した。
〔pHの測定法〕
pHメーター(HORIBA製 pHメーター D−51)にpH測定用電極(HORIBA製 型式6367)を接続した。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用した。
pHメーターの校正は、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ50mLビーカーに入れ、ウォーターバスに30分間浸漬し、標準液の温度を20℃に調整した。次に標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。
表に記載の組成物の温度をウォーターバスで20℃に調温し、pH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。
得られた各組成物を用い、下記の各評価を行った。結果を表2又は表3に示す。
【0089】
<抗菌性の試験方法>
(1)抗菌性試験に用いる布の調製
規格瓶(No.11)に木綿布(木綿#2003、谷頭商店製)2.5g、及び洗浄液(表の衣料用液体洗浄剤組成物を10g/Lとなるように水で希釈したもの)50mlを投入し、蓋を閉める。振とう機(STRONG SHAKER SR-2DW、TAITEC社製)に瓶をセットし、300r/minで洗浄10分、すすぎ3分の操作を5回累積して行ったものを試験布とした。水は全て煮沸滅菌済みの水道水を使用した。
【0090】
(2)抗菌性試験
着用済の衣料から分離したMoraxella osloensis KMC41株を用いて、JIS L 1902に則り抗菌性試験を行った。具体的には以下のように行った。
上記方法で作製した試験布を2cm四方に裁断し、試験片(1片あたりの質量は約0.4g)を検体とした。
Moraxella osloensis KMC41株をSCD−LP寒天培地を平板としたプレートに画線培養し、37℃24時間培養したものを白金耳でかきとり、ニュートリエント(NT)培地10mLに入れて、37℃、110rpmの条件で24時間前培養した。
前培養した培養液の濃度を吸光度法によって推定し、菌濃度を約1×10個/mLに調整した。その後、1/20NT培地で更に希釈し、菌濃度を1×10個/mLに調整し、試験菌液とした。
試験菌液をピペットで正確に0.2mL採取し、各検体又は未処理布である標準布(JIS L 1902の標準布)のそれぞれについて、1枚につき数ヵ所に接種し、バイアル瓶に投入し、蓋を閉めた状態で、37℃で18時間培養した。試験菌液の接種、培養は、検体と標準布のそれぞれについて、複数を行った。
培養後、及び接種直後の標準布を無作為に5つずつ選定し、洗い出し用LP希釈液20mLを加え、蓋を閉め、試験用攪拌器で30秒攪拌し、菌を洗い流し、菌数を計測した。
培養後の検体を無作為に5つ選定し、検体ごとに、洗い流し用LP希釈液20mLを加え、蓋を閉め、試験用攪拌器で30秒攪拌し、菌を洗い流し、菌数を計測した。
静菌活性値を下記の式で求めた。静菌活性値が2.2以上を合格とした。静菌活性値が高い程、抗菌性が高いことを表す。
静菌活性値=LogB−LogC
A:接種直後の標準布から回収した菌数の平均値
B:18時間培養後の標準布から回収した菌数の平均値
C:18時間培養後の検体から回収した菌数の平均値
ただし、試験成立条件である、LogB−LogAが1.5を超えることを満たすものとする。
【0091】
<外観の評価方法>
日本電色株式会社製NDH2000(濁度計)を用いて、表2又は表3に記載の衣料用液体洗浄剤組成物の濁度(カオリン濁度:mg/l)を測定した。濁度の測定には、セル幅が50mmのガラス製セルを用いた。測定は20℃で行った。光源はD65/Aを用いた。測定された濁度に基づき以下の判定基準で外観を評価した。判定基準の1又は2を合格とした。なお、この評価では、「濁度1」は、精製水にカオリン1mg/Lとなるよう懸濁させた時の濁り具合に相当する濁度である。
〔判定基準〕
1:濁度0〜3未満(目視で透明である水準)
2:濁度3以上〜7未満(目視でほぼ透明である水準)
3:濁度7以上〜10未満(目視でやや微濁である水準)
4:濁度10以上〜16未満(目視で微濁である水準)
5:濁度16以上〜25未満(目視で白濁である水準)
6:濁度25以上(目視で激しく白濁である水準)
【0092】
【表1】
【0093】
表1中、「C8〜C14の混合2級アルキル基」は、炭素数8〜14の混合2級アルキル基を意味する。
表1中、「(b1)成分以外の化合物」は、便宜的に一般式(b1)の構造で示したものである。
表1中、「(b1)成分における2級/直鎖1級の質量比」は、(b1)成分中の2級アルキル基を有する化合物と直鎖1級アルキル基を有する化合物の質量比を意味する。
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
表2、3の実施例の衣料用液体洗浄剤組成物は、家庭用の全自動洗濯機ドラム式全自動洗濯機、家庭用のパルセータ式全自動洗濯機又は家庭用のアジテータ式全自動洗濯機で衣料の洗浄した際に良好な洗浄力を示す。実施例の組成物の洗浄力は、例えば、回転式の洗浄を行う機器であるターゴトメーターによる洗浄力の評価で確認することができる。ターゴトメーターは、家庭用の全自動洗濯機ドラム式全自動洗濯機、家庭用のパルセータ式全自動洗濯機又は家庭用のアジテータ式全自動洗濯機のモデル洗浄機器として一般的に使用されている。
【0097】
<配合例>
表4に、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の配合例を示した。
【0098】
【表4】