(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758840
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
E03F 5/046 20060101AFI20200910BHJP
E01C 11/22 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
E03F5/046
E01C11/22 A
E01C11/22 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-15573(P2016-15573)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-133291(P2017-133291A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2019年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138314
【氏名又は名称】株式会社ヤマウ
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕司
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−144261(JP,A)
【文献】
特開平09−137498(JP,A)
【文献】
特開2008−208518(JP,A)
【文献】
特開2009−155928(JP,A)
【文献】
特開2007−063887(JP,A)
【文献】
特開2000−328641(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3168876(JP,U)
【文献】
中国特許出願公開第105648874(CN,A)
【文献】
特開2001−173084(JP,A)
【文献】
特開2005−273154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00−11/00
E01C 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝ブロック部と、前記側溝ブロック部の上部に配される縁石ブロック部であり、前記側溝ブロック部の長手方向に延びる縁石ブロック部とが、生コンクリートにより一体に成型されて製造された縁石一体型側溝ブロックであって、
前記側溝ブロック部と前記縁石ブロック部との境界部分の下方位置に、前記縁石ブロック部に沿って埋め込まれた分離用部材であり、前記側溝ブロック部と前記縁石ブロック部との境界部分の長手方向からみた左右幅よりも幅広な帯状の平板である分離用部材を有し、
前記側溝ブロック部の上面であって前記縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、前記分離用部材の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を有する
縁石一体型側溝ブロック。
【請求項2】
側溝ブロック部と、前記側溝ブロック部の上部に配される縁石ブロック部であり、前記側溝ブロック部の長手方向に延びる縁石ブロック部とが、生コンクリートにより一体に成型されて製造された縁石一体型側溝ブロックであって、
前記側溝ブロック部と前記縁石ブロック部との境界部分の下方位置に、前記縁石ブロック部に沿って形成された分離用空洞部であり、前記側溝ブロック部と前記縁石ブロック部との境界部分の長手方向からみた左右幅よりも幅広な分離用空洞部を有し、
前記側溝ブロック部の上面であって前記縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、前記分離用空洞部の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を有する
縁石一体型側溝ブロック。
【請求項3】
前記作業領域に、前記切れ目を入れる位置の目印が形成された請求項1または2に記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項4】
前記目印は、前記側溝ブロック部の上面に形成された凸状部である請求項3記載の縁石一体型側溝ブロック。
【請求項5】
側溝ブロック部と、前記側溝ブロック部の上部に配される縁石ブロック部であり、前記側溝ブロック部の長手方向に延びる縁石ブロック部とが一体化された縁石一体型側溝ブロックの製造方法であって、
前記側溝ブロック部と前記縁石ブロック部との境界となる部分の下方位置に、前記縁石ブロック部に沿って埋め込まれる分離用部材であり、前記側溝ブロック部と前記縁石ブロック部との境界部分の長手方向からみた左右幅よりも幅広な帯状の平板である分離用部材が配設された型枠であり、前記側溝ブロック部の上面となる位置であって前記縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、前記分離用部材の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を形成する型枠内に生コンクリートを流し込んで成型すること
を特徴とする縁石一体型側溝ブロックの製造方法。
【請求項6】
側溝ブロック部と、前記側溝ブロック部の上部に配される縁石ブロック部であり、前記側溝ブロック部の長手方向に延びる縁石ブロック部とが一体化された縁石一体型側溝ブロックの製造方法であって、
前記側溝ブロック部と前記縁石ブロック部との境界となる部分の下方位置に、前記縁石ブロック部に沿って分離用空洞部であり、前記側溝ブロック部と前記縁石ブロック部との境界部分の長手方向からみた左右幅よりも幅広な分離用空洞部を形成するための抜型が配設された型枠であり、前記側溝ブロック部の上面となる位置であって前記縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、前記分離用空洞部の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を形成する型枠内に生コンクリートを流し込んで成型すること
を特徴とする縁石一体型側溝ブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の端あるいは車道と歩道との境界に配置される縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の端あるいは車道と歩道との境界には、歩行者の安全を確保するために縁石ブロックが設けられる。この縁石ブロックは、道路の端に雨水排水設備としての側溝ブロックが設けられる場合、この側溝ブロック上に一部載せた状態で施工される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図15は従来の縁石ブロックおよび側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
まず、
図15の(a)に示すように道路端のアスファルト層100および地盤層101を掘削して、同図(b)に示すように溝102を形成し、同図(c)に示すようにぐり石およびモルタルにより側溝ブロックの基礎103を形成する。そして、同図(d)に示すように、この基礎103上に側溝ブロック104を配設し、同図(e)に示すように車道側の溝102に埋戻し材105の埋戻しを行う。
【0004】
また、同図(f)に示すように歩道側の溝102に埋戻し材105の埋戻しを行い、同図(g)に示すようにこの埋戻し材105の上にぐり石およびモルタルにより縁石ブロックの基礎106を形成する。さらに、同図(h)に示すようにこの基礎106および側溝ブロック104の切欠きの上に縁石ブロック107を配設し、同図(i)に示すようにこの縁石ブロック107の脇に埋戻し材108の埋戻しを行う。最後に埋戻し材108上にアスファルト層109を形成する。
【0005】
上記従来の施工方法では、側溝ブロック104の基礎103の幅およびこの側溝ブロック104の切欠きの上に一部載せた状態で施工される縁石ブロック107の基礎106の幅に応じて掘削を行う必要があるので、掘削量が多い。また、側溝ブロック104を配設した後、途中まで埋戻しを行い、さらに縁石ブロック107の基礎106を形成し、縁石ブロック107を配設した後で、埋戻しを行うので、作業性が悪い。さらに、縁石ブロック107と側溝ブロック104とをそれぞれ製造しなければならないので、型枠投資も大きく、製造時の作業性も悪い。
【0006】
そこで、これらの問題点を解決するものとして、縁石ブロックと側溝ブロックとを一体化した側溝ブロックが開発されている。例えば、特許文献2,3に記載の側溝ブロックは、側溝ブロックの成型時に縁石ブロックを一体成型したものである。
【0007】
ところで、将来、道路沿いに住宅や店舗等ができたときには、道路脇の縁石ブロックの段差を車両が乗り越えられないので、この段差をなくした車両乗り入れ部が必要となる。
【0008】
このとき、特許文献1に記載のように、縁石ブロックと側溝ブロックをそれぞれ別々に製造、施工したものは縁石ブロックだけを取り替えれば良いが、縁石ブロックを取り除いた後の基礎のはつり等、基礎をやり直さなければならない。また、特許文献2,3に記載のように、縁石ブロック一体型の側溝ブロックの場合は、縁石ブロック部だけを分離することができないので、側溝ブロック全体を取り替えなければならず、製品代、施工手間ともに、不経済である。
【0009】
そこで、この問題を解決するものとして、縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能な縁石一体型側溝ブロックが開発されている(特許文献4参照。)。
図16に示すように、この縁石一体型側溝ブロック200は、縁石ブロック部201と側溝ブロック部202との境界部分に帯状の鉄板203が埋め込まれている。この縁石一体型側溝ブロック200は道路端を掘削して形成した基礎210上に配設され、埋戻し材211の埋戻しの後、側溝ブロック部202の上面202aの位置までアスファルト層212が形成される。
【0010】
そして、将来縁石ブロック部201が不要になった際には、縁石ブロック部201の背面側のアスファルト層212および埋戻し材211を数十cm幅で浅く掘削して、縁石ブロック部201と側溝ブロック部202との境界部分を露出させ、この境界部分に形成されたスリット204に対して外力を加える。これにより、縁石ブロック部201が鉄板203から剥離し、縁石ブロック部201は側溝ブロック部202から分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−109673号公報(
図1)
【特許文献2】特開平9−137498号公報
【特許文献3】特開2004−108077号公報
【特許文献4】特許第4007988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、縁石一体型側溝ブロック200では、縁石ブロック部201を分離するために、浅いながらも必ずアスファルト層212および埋戻し材211を掘削して、縁石ブロック部201と側溝ブロック部202との境界部分を露出させなければならないという問題がある。
【0013】
そこで、本発明においては、アスファルト層等を掘削することなく、縁石ブロック部を分離させることが可能な縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の縁石一体型側溝ブロックは、側溝ブロック部と、側溝ブロック部の上部に配される縁石ブロック部であり、側溝ブロック部の長手方向に延びる縁石ブロック部とが、生コンクリートにより一体に成型されて製造された縁石一体型側溝ブロックであって、側溝ブロック部と縁石ブロック部との境界部分の下方位置に、縁石ブロック部に沿って埋め込まれた分離用部材を有し、側溝ブロック部の上面であって縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、分離用部材の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を有するものである。
【0015】
また、本発明の縁石一体型側溝ブロックの製造方法は、側溝ブロック部と、側溝ブロック部の上部に配される縁石ブロック部であり、側溝ブロック部の長手方向に延びる縁石ブロック部とが一体化された縁石一体型側溝ブロックの製造方法であって、側溝ブロック部と縁石ブロック部との境界となる部分の下方位置に、縁石ブロック部に沿って埋め込まれる分離用部材が配設された型枠であり、側溝ブロック部の上面となる位置であって縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、分離用部材の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を形成する型枠内に生コンクリートを流し込んで成型することを特徴とする。
【0016】
本発明の縁石一体型側溝ブロックでは、側溝ブロック部の上面であって縁石ブロック部の左右両側方位置に有する作業領域から、分離用部材の左右両端部へ向かってそれぞれ切れ目を入れると、分離用部材によって側溝ブロック部と縁石ブロック部とが上下に分離される。
【0017】
ここで、分離用部材は、側溝ブロック部と縁石ブロック部との境界部分の長手方向からみた左右幅よりも幅広な帯状の平板であることが望ましい。これにより、分離用部材の左右端部の真上が作業領域となるため、作業領域から分離用部材の左右両端部へ真下に向かって真っ直ぐに切れ目を入れることが可能となる。
【0018】
また、本発明の縁石一体型側溝ブロックは、上記分離用部材に代えて、側溝ブロック部と縁石ブロック部との境界部分の下方位置に、縁石ブロック部に沿って形成された分離用空洞部を有し、側溝ブロック部の上面であって縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、分離用空洞部の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を有する構成とすることも可能である。これにより、側溝ブロック部の上面であって縁石ブロック部の左右両側方位置に有する作業領域から、分離用空洞部の左右両端部へ向かってそれぞれ切れ目を入れると、分離用空洞部によって側溝ブロック部と縁石ブロック部とが上下に分離される。
【0019】
この縁石一体型側溝ブロックの製造方法は、側溝ブロック部と縁石ブロック部との境界となる部分の下方位置に、縁石ブロック部に沿って分離用空洞部を形成するための抜型が配設された型枠であり、側溝ブロック部の上面となる位置であって縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、分離用空洞部の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を形成する型枠内に生コンクリートを流し込んで成型することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の縁石一体型側溝ブロックは、作業領域に、切れ目を入れる位置の目印が形成されたものであることが望ましい。これにより、側溝ブロック部の内部に有する分離用部材または分離用空洞部の左右両端へ向かって正確に切れ目を入れることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
(1)側溝ブロック部と縁石ブロック部との境界部分の下方位置に、縁石ブロック部に沿って埋め込まれた分離用部材を有し、側溝ブロック部の上面であって縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、分離用部材の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を有する構成により、側溝ブロック部の上面であって縁石ブロック部の左右両側方位置に有する作業領域から、分離用部材の左右両端部へ向かってそれぞれ切れ目を入れると、分離用部材によって側溝ブロック部と縁石ブロック部とが上下に分離されるので、アスファルト層等を掘削することなく縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能となる。
【0022】
(2)分離用部材が、側溝ブロック部と縁石ブロック部との境界部分の長手方向からみた左右幅よりも幅広な帯状の平板であることにより、分離用部材の左右端部の真上の作業領域から分離用部材の左右両端部へ真下に向かって真っ直ぐに切れ目を入れると、分離用部材によって側溝ブロック部と縁石ブロック部とが上下に分離され、作業性が向上する。
【0023】
(3)側溝ブロック部と縁石ブロック部との境界部分の下方位置に、縁石ブロック部に沿って形成された分離用空洞部を有し、側溝ブロック部の上面であって縁石ブロック部の長手方向からみて左右両側方位置に、分離用空洞部の長手方向からみて左右端部へ向かって切れ目を入れるための作業領域を有する構成により、側溝ブロック部の上面であって縁石ブロック部の左右両側方位置に有する作業領域から、分離用空洞部の左右両端部へ向かってそれぞれ切れ目を入れると、分離用空洞部によって側溝ブロック部と縁石ブロック部とが上下に分離されるので、アスファルト層等を掘削することなく縁石ブロック部だけを容易に分離することが可能となる。
【0024】
(4)作業領域に、切れ目を入れる位置の目印が形成されたものであることにより、この目印により側溝ブロック部の内部に有する分離用部材または分離用空洞部の左右両端へ向かって正確に切れ目を入れることが可能となり、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図である。
【
図2】
図1の縁石一体型側溝ブロックの断面図である。
【
図5】
図1の縁石一体型側溝ブロックを歩道側からみたスケルトン斜視図である。
【
図7】
図6の型枠の妻壁を閉じた状態で手前側の側壁を省略した斜視図である。
【
図8】分離用部材をセットした状態の型枠の手前側の側壁を省略した斜視図である。
【
図9】組立を完了した型枠の手前側の側壁を省略した斜視図である。
【
図10】中子を挿入した型枠の手前側の側壁を省略した斜視図である。
【
図11】脱型後の側溝ブロックを示す斜視図である。
【
図12】
図11の側溝ブロックを上下反転させた状態を示す斜視図である。
【
図13】側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
【
図14】縁石ブロックを除去する手順を示す工程図である。
【
図15】従来の縁石ブロックおよび側溝ブロックの施工手順を示す工程図である。
【
図16】従来の縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明の実施の形態における縁石一体型側溝ブロックの施工状態を示す正面図、
図2は
図1の縁石一体型側溝ブロックの断面図、
図3は
図2の縁石部拡大断面図、
図4は分離用部材の斜視図、
図5は
図1の縁石一体型側溝ブロックを歩道側からみたスケルトン斜視図である。
【0027】
図1から
図5において、本発明の実施の形態における縁石一体型側溝ブロック(以下、単に「側溝ブロック」と称す。)1は、道路端を掘削して敷設される基礎23上に配設される。基礎23は、例えば、ぐり石23aおよびモルタル23bにより形成される。側溝ブロック1は、側溝ブロック部3と、この側溝ブロック部3の上部に配される縁石ブロック部2(
図2においてハッチングで示した部分)とが一体化されたコンクリート製ブロックである。
【0028】
縁石ブロック部2は、側溝ブロック部3の長手方向に延びる略台形断面の棒状部である。縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分4(縁石ブロック部2の略台形断面の長辺部分)の下方位置には、縁石ブロック部2に沿って分離用部材5が埋め込まれている。分離用部材5は、縁石ブロック部2と側溝ブロック部3との境界部分4に沿って、縁石ブロック部2の長手方向に延びる帯状の鉄板である。なお、分離用部材5の長手方向からみた幅W5は、境界部分4の長手方向からみた左右幅W4よりも幅広となっている。また、分離用部材5は、側溝ブロック部3内に包み込まれており、外部には露出していない。
【0029】
また、
図4に示すように、本実施形態における分離用部材5には、その長手方向からみて左右縁部にそれぞれ沿うように延びる鉄筋51a,51bが設けられている。鉄筋51a,51bはそれぞれの長手方向中央部付近において鉄筋52により連結されている。また、分離用部材5の中央部付近には、分離用部材5の上面に対して垂直方向に延びる鉄筋53が設けられている。鉄筋51a,51b,52,53は分離用部材5の上面に溶接されている。鉄筋52は鉄筋51a,51bに、鉄筋53は鉄筋52にも溶接されている。さらに、鉄筋51a,51bおよび鉄筋53の端部には、それぞれ合成樹脂製のキャップ54が被せられている。なお、合成樹脂製のキャップは、鉄筋51a,51bに代えて分離用部材5の端部に被せるようにしても良い。
【0030】
後述するように、本実施形態における側溝ブロック1は上下反転した状態で製造され、分離用部材5は鉄筋51a,51b,52,53が設けられていない裏面側を上に向けた状態で型枠内にセットされ、コンクリート投入時にその荷重が掛かることになる。鉄筋51a,51bは、このコンクリート投入時に分離用部材5が変形しないようにするための補強として機能する。
【0031】
また、鉄筋53は、型枠内に分離用部材5をセットする際の高さ(深さ)を決めるためのスペーサの役割を果たすとともに、後述するように縁石ブロック部2を取り外す際に分離用部材5が縁石ブロック部2から剥がれないようにするためのアンカーの役割と、コンクリート投入時の衝撃に対して分離用部材5を支える役割も果たす。また、鉄筋52は、鉄筋51a,51bの間隔を取るための役割と、鉄筋53と分離用部材5との定着力を増す役割とを果たす。
【0032】
側溝ブロック部3は、中空部6を有する略矩形断面の筒状部である。側溝ブロック部3の上面であって縁石ブロック部2の長手方向からみて左右両側方位置には、分離用部材5の長手方向からみて左右端部5a,5bへ向かって切れ目を入れるための作業領域3a,3bを有する。作業領域3a,3bは、施工状態においてアスファルト層25により覆われない領域である。作業領域3a,3bには、切れ目を入れる位置の目印としての凸状部7が形成されている。凸状部7は、分離用部材5の長手方向に沿って、左右端部5a,5bの真上に所定間隔で形成されている。
【0033】
また、側溝ブロック部3の上部には、側溝ブロック部3の上面と中空部6とを部分的に連通させるための開口部8が設けられている。また、側溝ブロック部3の側面上方には、中空部6と連通された排水孔9が複数箇所に設けられている。
【0034】
次に、上記構成の側溝ブロック1の製造方法について、
図6〜
図12を参照して説明する。
図6は型枠30を開いた状態を示す斜視図であり、
図7は
図6の型枠30の妻壁31,32を閉じた状態で手前側の側壁33を省略した斜視図である。本実施形態における側溝ブロック1は、上下反転した状態で製造するため、型枠30の底面部に縁石ブロック部2を成形するための縁石枠部30aを有する。また、妻壁31,32の内側には、分離用部材5を設置するための凸部35が設けられている。
【0035】
まず、この凸部35上に分離用部材5をセットする。
図8は分離用部材5をセットした状態の型枠30の手前側の側壁33を省略した斜視図である。このとき、分離用部材5の長手方向から突出した鉄筋51a,51bにキャップ54が、妻壁31,32内側の凸部35に支持される。その後、鉄筋かご55を設置して、側壁33,34を閉じ、型枠30の組立を完了する。
図9は組立を完了した型枠30の手前側の側壁33を省略した斜視図である。
【0036】
次に、
図10に示すように中子56をセットする。
図10は中子56を挿入した型枠の手前側の側壁33を省略した斜視図である。その後、コンクリートを打設し、硬化、養生後、中子56の取り出し、脱型により、
図11に示す側溝ブロック1が得られる。
図12は
図11の側溝ブロック1を上下反転させた状態を示している。
【0037】
次に、上記構成の側溝ブロック1の施工手順について説明する。
図13は側溝ブロック1の施工手順を示す工程図である。
【0038】
まず、
図13(a)に示すように道路端のアスファルト層20および地盤層21を掘削して、同図(b)に示すように溝22を形成し、同図(c)に示すようにぐり石23aおよびモルタル23bにより基礎23を形成する。そして、同図に示すように、この基礎23上に側溝ブロック1を配設し、同図(e)に示すように車道側および歩道側の両方の溝22に埋戻し材24の埋戻しを行い、同図(f)に示すように、この上にアスファルト層25を形成する。
【0039】
上記構成の側溝ブロック1において、将来、縁石ブロック部2が不要となった際には、
図14(a)に示すように、作業領域3a,3bからそれぞれ凸状部7を目印として分離用部材5の左右両端部5a,5bへ向かって切れ目26を入れると、同図(b)に示すように、分離用部材5によって側溝ブロック部3から縁石ブロック部2が上下に分離され、側溝ブロック部3に凹部27が形成される。
【0040】
その後、同図(c)に示すように、凹部27にモルタル28aを敷き、乗り入れ用の縁石29を施工し、隙間をモルタル28bで埋めることにより、作業が完了する。このように、本実施形態における側溝ブロック1では、アスファルト層25等を掘削することなく縁石ブロック部2だけを容易に分離することが可能である。
【0041】
なお、分離用部材5は、例えば発泡スチロール等の樹脂製やその他の材質の平板とすることも可能である。また、分離用部材5は、側溝ブロック部3と縁石ブロック部2とを分離する際にのみ機能すれば良く、通常の一体化された状態では側溝ブロック部2および縁石ブロック部3に何ら影響を与えない方が良いので、薄く平らな平板であることが好ましい。また、製造上も平板であれば容易に入手でき、特別な加工も不要であるため、コストを下げることが可能である。
【0042】
あるいは、分離用部材5に代えて、分離用空洞部を形成した構成とすることも可能である。このとき、分離用空洞部は、分離用部材5とほぼ同じ位置に、分離用部材と同様の形状で形成すれば良い。この場合も同様に、作業領域3a,3bからそれぞれ凸状部7を目印として分離用空洞部の左右両端部へ向かって切れ目を入れると、分離用空洞部によって側溝ブロック部3と縁石ブロック部2とが上下に分離される。
【0043】
また、本実施形態においては、切れ目26を入れる目印として作業領域3a,3bに所定間隔で凸状部7を形成した構成であるが、この目印を長手方向に延びるリブ状の凸状部としたり、所定間隔で凹状部を形成したり、長手方向に延びるスリット状の凹状部としたりすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、道路の端あるいは車道と歩道との境界に配置される縁石ブロックと側溝ブロックとが一体化された縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法として有用であり、特に、アスファルト層等を掘削することなく、縁石ブロック部を分離させることが可能な縁石一体型側溝ブロックおよびその製造方法として好適である。
【符号の説明】
【0045】
1 側溝ブロック
2 縁石ブロック部
3 側溝ブロック部
3a,3b 作業領域
4 境界部分
5 分離用部材
6 中空部
7 凸状部
8 開口部
9 排水孔
20,25 アスファルト層
21 地盤層
22 溝
23a ぐり石
23b モルタル
23 基礎
24 埋戻し材
26 切れ目
27 凹部
28 モルタル
30 型枠
30a 縁石枠部
31,32 妻壁
33,34 側壁
35 凸部
51a,51b,52,53 鉄筋
54 キャップ
55 鉄筋かご
56 中子