(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のアタッチメントの前記アタッチメント本体部上にチャイルドシートを配置可能であり、前記アタッチメント本体部は、前記チャイルドシートと係合可能な係合部を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の乳母車。
前記一対のアタッチメントの前記アタッチメント本体部上に支持され、前記一対のアタッチメントを介して前記乳母車本体に取り外し可能に保持されるチャイルドシートを、さらに備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の乳母車。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0019】
図1〜
図11は本発明による乳母車の一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1には、乳母車の全体構成が示されている。乳母車10は、乳幼児を連れ出す際に用いられる。
図1に示された乳母車10は、乳母車本体15と、乳母車本体15に装着されたベース布状材11と、乳母車10に乗車した乳幼児の上方に位置する幌12と、乳母車10に乗車した乳幼児の下方に配置されたかご13と、両端を乳母車本体15に取り付けられたガード部材70と、を有している。ガード部材70は、乳母車10に乗車した乳幼児の前方を幅方向に延びる。
図2は、
図1に示された乳母車10の側面図である。なお、ベース布状材11は、
図2並びに後述する図面において図示を省略している。
【0020】
一方、
図3〜
図5に示すように、乳母車10は、乳母車本体15に取り外し可能に取り付けられるアタッチメント60を、さらに有している。このアタッチメント60は、乳母車本体15に取り付けられた状態において、乳母車10に乗車した乳幼児の前側方に位置することができる。
図3に示すように、このアタッチメント60にガード部材70を取り付けることができる。また、
図4及び
図5に示すように、このアタッチメント60上にチャイルドシート80を支持することもできる。以下に説明する乳母車10は、乳母車本体15に加え、付属品としてのアタッチメント60、ガード部材70、及び、チャイルドシート80を適宜組み合わせて使用することによって、幅広い月齢の乳幼児に対して適したものとなっている。
【0021】
以下、乳母車本体15、アタッチメント60、ガード部材70、及び、チャイルドシート80について順に説明していく。
【0022】
なお、本明細書中において、乳母車10およびその構成要素に対して用いる「前」、「後」、「上」および「下」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車10のベース布状材11上に着座した乳幼児を基準とする「前」、「後」、「上」および「下」を意味する。したがって、「前後方向」とは、
図1における紙面の左下と右上とを結ぶ方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、乳幼児が向く側であり、
図1における紙面の左下側が「前側」となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに乳母車10の接地面に直交する方向である。したがって、乳母車10の接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「横方向」および「幅方向」とは、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。さらに、「右」および「左」についても、それぞれ、乳幼児を基準とした横方向または幅方向における「右」および「左」のことを意味する。
【0023】
まず、乳母車本体15について説明する。
図1、
図2、
図7及び
図8に示すように、乳母車本体15は、シート支持体40と、シート支持体40を支持する車体フレーム18と、を有している。このうちまず、主として
図8を参照しながら、シート支持体40について説明する。
【0024】
シート支持体40は、主たる構成として、乳幼児の上半身の後方に位置し乳幼児を後方から支持するようになる背部支持体42と、乳幼児の臀部の下方に位置し臀部を下方から支持するようになる座部支持体50と、を有している。背部支持体42は、座部支持体50に後方から接続している。背部支持体42は、座部支持体50に対して揺動可能となっている。背部支持体42の座部支持体50に対する揺動角度、すなわちリクライニング角度は、背部支持体42の背面を通過して車体フレーム18に取り付けられたリクライニング調節ベルト33(
図2参照)の長さを調節することによって、調節し得る。
【0025】
図8に示すように、背部支持体42は、幅方向に離間して配置された一対の側枠部44と、一対の側枠部44,44の上端部に枢着された上部枠部47と、を有している。各側枠部44の下端部は、座部支持体50に枢着されている。上部枠部47は、各側枠部44に接続する一対の側部47a,47aと、一対の側部47a,47a間を幅方向に延びる連結部47bと、を含み、三方枠状に形成されている。
図1に示すように、シート支持体40にベース布状材11(
図1参照)が装着された場合、一対の側枠部44,44の間の領域に乳幼児の背中を支持する面が形成され、上部枠部47で取り囲まれた領域内に乳幼児の頭部を支持または保護する面が形成される。
【0026】
図8に示すように、背部支持体42は、上部枠部47の各側部47aに一端部を枢着された一対の接続枠部48を、さらに有している。接続枠部48の他端部は、
図7に示すように、ハンドル28に枢着されている。接続枠部48は、ベース布状材11(
図1参照)を支持し、乳母車10に着座した乳幼児を側方から保護する。また、接続枠部48は、リクライニング動作に応じて、上部枠部47を側枠部44に対して回動させるリンク材としても機能する。
【0027】
次に、引き続き
図8を主として参照しながら、座部支持体50について説明する。座部支持体50は、前後方向に延びる一対の側枠部分50a,50aと、一対の側枠部分50a,50aの先端部間を連結する連結枠部分50bと、を含み、枠状に形成されている。ただし具体的な構成としては、座部支持体50は、背部支持体42の各側枠部44と枢着された一対の端部接続材52,52と、各端部接続材52に前方から接続し且つ一対の端部接続材52,52間を連結する枠材54と、を有している。端部接続材52は、例えば樹脂成形品からなり、枠材54は、筒状金属を曲げ加工して作製した部材からなる。枠材54の両端部は、対応する側の端部接続材52に、締結具56を介して、固着されている。なお、端部接続材52と枠材54の一部分とによって、側枠部分50aが形成され、枠材54のその他の部分によって、連結枠部分50bが形成されている。
【0028】
なお、
図8に示すように、シート支持体40は、一対の端部接続材52,52の間を連結する後上部連結部材41を、さらに有している。
【0029】
次に、主として
図1、
図2及び
図7を参照しながら、以上の構成からなるシート支持体40を支持する車体フレーム18について説明する。なお、
図7においては、図面における手前側(乳母車10における右側)に配置されるべき一部の構成要素を省略している。
図1から理解され得るように、シート支持体40の両側に、フレーム部材20、前脚22及び後脚25が設けられている。各フレーム部材20は、乳母車10に着座した乳幼児の側方に位置する。このフレーム部材20の前方部分(図示された例では、前端部)に、対応する側の前脚22及び後脚25の上方部分(図示された例では、上端部)が、揺動可能に接続されている。一対の前脚22,22の下端部に、それぞれ、前輪23が回転可能に支持されている。一対の後脚25,25の下端部に、それぞれ、後輪26が回転可能に支持されている。
【0030】
一対のフレーム部材20の後方部分(図示された例では、後端部)が、ハンドル28に揺動可能に接続されている。ハンドル28は、幅方向に離間して配置された一対の延出部28a,28aと、一対の延出部28a,28aの間を連結する把持部28bと、を有し、全体として略U字状に形成されている。延出部28aは、棒状に延びており、ハンドル28の中間部分または下方部分に、フレーム部材20が枢着されている。
【0031】
図2及び
図7に示されているように、車体フレーム18は、各前脚22の中間部に枢着された一対の前脚連結部材38と、各後脚25の中間部に枢着された一対の後脚連結部材39と、を有している。
図2及び
図7に示されているように、車体フレーム18は、この前脚連結部材38及び後脚連結部材39において、シート支持体40に接続している。なお上述したように、車体フレーム18は、シート支持体40の接続枠部48とも接続している。前脚連結部材38は、その下端部(前端部)を、前脚22に揺動可能に接続されている。一方、前脚連結部材38の上端部(後端部)は、座部支持体50の側枠部分50aに接続されている。より詳しくは、前脚連結部材38の上端部(後端部)は、座部支持体50をなす端部接続材52に固着されている。後脚連結部材39は、その下端部を、後脚25に揺動可能に接続されている。後脚連結部材39の上端部は、シート支持体40の座部支持体50に揺動可能に接続されている。とりわけ図示された例においては、背部支持体42の座部支持体50に対する揺動軸線を中心として、シート支持体40に対して揺動可能となるよう、後脚連結部材39はシート支持体40に枢着されている。したがって、後脚連結部材39は、座部支持体50だけでなく、背部支持体42に対しても揺動可能に接続している。
【0032】
なお、ハンドル28の各延出部28aの下端部は、後脚連結部材39に揺動可能に接続されている。とりわけ図示された例においては、後脚連結部材39のシート支持体40に対する揺動軸線を中心として、後脚連結部材39に対して揺動可能となるよう、ハンドル28は後脚連結部材39に枢着されている。したがって、ハンドル28は、後脚連結部材39だけでなく、シート支持体40の背部支持体42及び座部支持体50に対しても揺動可能に接続している。
【0033】
図7に示すように、乳母車10の横方向(幅方向)に延びる部材として、一対の前脚22,22の間を連結するフットレスト30と、一対の後脚25,25の間を連結する後下部連結部材31と、が設けられている。
【0034】
なお、
図8に示すように、ガード部材70と接続可能な受け具58が、乳母車本体15に設けられている。図示された例において、受け具58は、シート支持体40、とりわけシート支持体40の端部接続材52に締結具56を介して固定されている。受け具58は、ガード部材70の端部を受ける受け凹部58aを有している。受け凹部58aは、受け具58内に形成されたガード部材70を受け入れるための中空空間であって、受け具58先端面に開口している。ただし、図示された例に限られず、受け具58は、端部接続材52以外の座部支持体50に固定されていてもよいし、或いは、端部接続材52や車体フレーム18に固定されていてもよい。
【0035】
以上のような全体構成を有した乳母車本体15は、各構成部材を互いに回動させることにより、折り畳むことができる。具体的には、ハンドル28をいったん後上方に引き上げ、その後、下方に押し下げることによって、後脚連結部材39を後脚25に対し
図2において時計回り方向に回動させる。この操作にともなって、フレーム部材20及び前脚連結部材38はハンドル28に対し
図2において時計回り方向に回動する。このような操作により、側面視においてハンドル28と前脚22とが接近して略平行に配置されるとともに、ハンドル28の配置位置が下げられるようになる。以上のようにして、乳母車本体15を折り畳むことができ、乳母車の前後方向および上下方向に沿った寸法を小型化することができる。
図6には、アタッチメント60を取り付けられた乳母車本体15を折り畳んだ状態が示されている。一方、乳母車本体15を折り畳み状態から展開するには、上述した折り畳み操作と逆の手順を踏めばよい。
【0036】
次に、アタッチメント60について説明する。
図3〜
図5に示すように、右側の前脚22に右側のアタッチメント60が取り付けられ、左側の前脚22に左側のアタッチメント60が取り付けられている。一対のアタッチメント60は、対称的に構成されていることを除き、同一の構成を有している。
図9及び
図10に示すように、各アタッチメント60は、対応する前脚22に取り外し可能に取り付けられるアタッチメント取り付け部61と、アタッチメント取り付け部61の上方部分に設けられ前方に延び出すアタッチメント本体部65と、を有している。
【0037】
図示された例において、アタッチメント取り付け部61は、例えばアルミニウム製や樹脂性の筒状材からなる軸部材62と、軸部材62に固定された上側留め具63及び下側留め具64と、を有している。軸部材62は、対応する前脚22と平行に延び、図示された例では前脚22と同様に直線状に延びている。下側留め具64は、軸部材62の下端部分に固定されている。上側留め具63は、軸部材62の軸線方向に沿って下側留め具64から離間した位置において、軸部材62に固定されている。図示された例において、軸部材62の上端部分にアタッチメント本体部65が固定されており、下側留め具64は、アタッチメント本体部65の直ぐ下となる位置、すなわち軸部材62の上方部分に固定されている。上側留め具63及び下側留め具64は、軸部材62を前脚22に取り外し可能に取り付け得る種々の形式で構成され得る。
【0038】
なお、図示された例では、
図10に示すように、上側留め具63及び下側留め具64は、ともに、前脚22を周状に包囲する筒状部63a,64aを形成し得る。この筒状部63a,64aを開放することで、アタッチメント60を前脚22から取り外すことができる。そして、上側留め具63は、
図10に示すように、筒状部63aの内面に突起63bを有している。一方、前脚22には、この突起63bを収容し得る穴(図示せず)が形成されている。上側留め具63の突起63bと前脚22の穴とを係合させることにより、前脚22の長手方向に沿った特定の位置にアタッチメント60を配置することができる。その一方で、上側留め具63の突起63bが前脚22の穴に入り込んでいない場合には、筒状部63aを形成することができない。
【0039】
アタッチメント本体部65は、例えば樹脂成形物からなり、軸部材62への接続位置から前方且つ上方へと広がっている。図示された例において、アタッチメント本体部65は、板状(プレート状)に形成されている。また、アタッチメント本体部65は、平坦な上方面65aを有しており、アームレストとして機能する。
【0040】
図9及び
図10に示すように、図示された例において、アタッチメント本体部65には、ガード部材70が接続可能となっている。アタッチメント本体部65は、ガード部材70の端部を受ける受け凹部65bを有している。受け凹部65bは、アタッチメント本体部65内に形成されたガード部材70を受け入れるための中空空間であって、アタッチメント本体部65の前方面に開口している。また、受け凹部65b内には、受け凹部65b内に挿入されたガード部材70の突起75aと係合可能な係止溝65cが形成されている。係止溝65cは、アタッチメント本体部65の外表面にまで露出した孔として形成されている。
【0041】
さらに、
図4及び
図5に示すように、図示された例において、アタッチメント本体部65は、その上方面65a(
図9参照)において、チャイルドシート80を下方から支持する。そして、アタッチメント本体部65には、上方面65aの端に、チャイルドシート80を位置決めするための位置決め突出部65d(
図9参照)を有している。また、
図9及び
図10に示すように、上方面65a上に載置されたチャイルドシート80と係合可能な係合部67が、アタッチメント本体部65に設けられている。チャイルドシート80が、アタッチメント本体部65に設けられた係合部67と係合することで、チャイルドシート80の乳母車本体15及びアタッチメント60上での傾倒、及び、チャイルドシート80の乳母車本体15及びアタッチメント60上からの脱落を効果的に防止することができる。図示された例において、係合部67は、アタッチメント本体部65から側外方へ突出した側方突出ピン68として形成されている。
【0042】
さらに、
図9及び
図10に示すように、アタッチメント本体部65の内側面には、チャイルドシート80と係合可能な傾斜防止部65eが設けられている。傾斜防止部65eは、図示された例において、上下方向に延びる壁面として形成されている。アタッチメント60上に載置されたチャイルドシート80は、側方突出ピン68と係合していない状態において、アタッチメント60に対して傾斜可能となる。傾斜防止部65eは、チャイルドシート80と当接することで、側方突出ピン68と係合していないチャイルドシート80が、アタッチメント60上で傾斜してしまうことを規制する。
【0043】
図3〜
図5に示された例において、アタッチメント60が前脚22に取り付けられた状態において、上側留め具63は、前脚22上のうちの、前脚連結部材38との接続位置よりも上方に位置しており、下側留め具64は、前脚22上のうちの、前脚連結部材38との接続位置よりも下方に位置している。また、アタッチメント60が前脚22に取り付けられた状態において、軸部材62は、前脚22と平行に延びている。上述したように、アタッチメント60は、乳母車本体15から取り外し可能であることから、乳母車10に乗車する乳幼児の月齢に応じて、アタッチメント60を取り外して乳母車10を使用することができる。
【0044】
なお、
図9及び
図10に示された例において、一対のアタッチメント60は、連結軸部材69を介して互いに接合されている。連結軸部材69の各端部が、対応する側に位置するアタッチメント60のアタッチメント取り付け部61に接続している。より具体的には、連結軸部材69の各端部が、アタッチメント取り付け部61の下側留め具64に接続している。また、連結軸部材69は、各アタッチメント60から取り外し可能となっている。図示された例では、連結軸部材69は、筒状本体部69aと、筒状本体部69aから突出したピン69bとを有している。ピン69bは、ばね等の付勢部材により、筒状本体部69aの長手方向に直交する横断方向における外方へ向けて筒状本体部69aから突出するよう付勢されている。下側留め具64には、このピン69bを受けるための貫通孔(図示せず)が形成されている。ピン69bが貫通孔に嵌まることで、連結軸部材69がアタッチメント60に接続した状態に維持される。一方、ピン69bを筒状本体部69aへ向けて押し込むことで、ピン69bが貫通孔から抜け出し、連結軸部材69をアタッチメント60から取り外すことができる。
【0045】
次に、ガード部材70について説明する。ガード部材70は、
図9及び
図10に示すように、一対のアタッチメント60の間に取り付け可能となっている。また図示された例において、ガード部材70は、
図1に示すように、アタッチメント60を介すことなく、乳母車本体15に直接取り付け可能となっている。
【0046】
ガード部材70は、乳母車10に着座した乳幼児の前方に位置するようになる部材である。ガード部材70は、乳母車10に着座した乳幼児が前方にずれてしまうことを効果的に防止し、また、乳母車10に乗車した乳幼児を前方から保護する。その一方で、ガード部材70は、アタッチメント60及び乳母車本体15から取り外し可能となっている。例えば、乳母車10へ乳幼児を乗せ降ろしする際、ガード部材70を取り外すことができる。また、乳母車10に乗車する乳幼児の月齢によっては、ガード部材70は必ずしも必要ではなくなる。このような場合には、ガード部材70を取り外して乳母車10を使用することが可能となる。
【0047】
図9に示すように、ガード部材70は、ベルト状のガード本体71と、ガード本体71の両端にそれぞれ固定された端部接続具72と、を有している。このうち、ガード本体71は、湾曲可能または屈曲可能に形成されている。一例として樹脂やゴムからなるベルト状の部材によって、ガード本体71を形成することができる。一方、一対の端部接続具72は、ガード本体71の両端部を把持し、ガード部材70の両端部を形成している。この端部接続具72は、アタッチメント60または乳母車本体15への接続部位を構成する。
【0048】
上述したように、ガード部材70の端部接続具72を受けるアタッチメント本体部65には、受け凹部65bが形成されている。この受け凹部65bには、ガード部材70の端部接続具72に形成されたタング部74が挿入されるようになる。受け凹部65bには係止溝65cが形成され、タング部74には係止突起75aが形成されている。タング部74の係止突起75aが、受け凹部65bの係止溝65cに嵌り込むことにより、ガード部材70がアタッチメント60に固定される。また、係止突起75aと係止溝65cとの係合は、タング部74を撓ませることにより解除される。係止突起75aと係止溝65cとの係合が解除された状態にて、ガード部材70をアタッチメント60から取り外すことができる。
【0049】
なお、
図8に示すように、ガード部材70は、乳母車本体15の受け具58に取り付け可能である。受け具58の受け凹部58aは、アタッチメント60の受け凹部65bと同様に形成されている。また、受け具58には、アタッチメント60の係止溝65cと同様の係止溝58bが形成されている。
【0050】
ここで、
図9に示された一具体例に基づき、端部接続具72についてさらに詳述する。
図9に示すように、タング部74は、上述した係止突起75aが形成されたタング片75と、タング片75を支持する支持部76と、を有している。タング片75は、ガード部材70の先端となる側に位置する基端部75bにて支持部76に接続されている。基端部75bの反対側となるタング片75の先端部75cを押圧することにより、タング片75は支持部76に対して撓むことができる。第1部材73のタング部74が、アタッチメント60の受け凹部65b又は受け具58の受け凹部58aに挿入され、タング片75の係止突起75aが受け凹部65b,58aの係止溝65c,58bに嵌り込むことにより、ガード部材70がアタッチメント60又は受け具58に固定される。一方、タング片75の先端部75cを押圧することにより、係止突起75aが係止溝65c,58bから抜け出す。これにより、タング部74を受け凹部65b,58aから引き出し、ガード部材70をアタッチメント60又は受け具58から取り外すことが可能となる。
【0051】
次に、チャイルドシート80について説明する。チャイルドシート80は、体格が小さい乳幼児を、大人用に作製された車両の座席に安定して着座又は横臥させるために使用される。
図4及び
図5に示すように、乳母車本体15は、アタッチメント60を介してチャイルドシート80を保持可能となっている。したがって、例えばチャイルドシート80内に睡眠中の乳幼児を起こしてしまうことなく、車両から乳母車10へ乗せ替えること又は乳母車10から車両へ乗せ替えることが可能となる。
【0052】
図11に示すように、チャイルドシート80は、乳幼児を収容するケーシング81と、ケーシング81に取り付けられた把持取っ手84と、を有している。ケーシング81は、乳幼児を着座又は横臥させることができる収容体となっている。ケーシング81内には、図示しないクッション材が配置される。乳幼児は、このクッション材上に着座又は横臥する。ケーシング81は、上縁部に一対の位置決め突部82を有している。この位置決め突部82は、乳母車本体15上に載置された際に、
図4及び
図5に示すように、ハンドル28に当接するようになる。位置決め突部82がハンドル28に当接することにより、チャイルドシート80が乳母車本体15に対して後方に位置ずれすることが防止される。
【0053】
図11に示すように、ケーシング81は、その両側部に設けられた一対の側方膨出部83を有している。側方膨出部83は、側外方に膨出している。
図4に示すように、チャイルドシート80を乳母車本体15上に保持する場合、この側方膨出部83が、アタッチメント60のアタッチメント本体部65上に載置される。アタッチメント本体部65上に載置された側方膨出部83は、アタッチメント本体部65のガイド部65dと当接するようになる。側方膨出部83がガイド部65dに当接することにより、チャイルドシート80が乳母車本体15に対して前方に位置ずれすることが防止される。
【0054】
側方膨出部83は、アタッチメント本体部65の係合部67(側方突出ピン68)と係合する切欠を形成されている。また、側方膨出部83は、不図示の切欠に収容された側方突出ピン68を保持する不図示のロック手段を有している。このロック手段によって、チャイルドシート80がアタッチメント60から意図せず外れてしまうことを回避することができる。把持取っ手84は、U字状の形状を有している。把持取っ手84の両端部が側方膨出部83に側外方から被さるようにして、把持取っ手84はケーシング81に取り付けられている。把持取っ手84は、ケーシング81に対して揺動可能となっていてもよい。
【0055】
以上に説明してきた、乳母車10は、乳幼児の成長段階に合わせて、月齢が低い時期から順に、次の第1〜第5の使用形態を取ることができる。第1の使用形態乃至第5の使用形態から乳幼児の月齢に応じて適した形態を選択することにより、幅広い月齢の乳幼児に対して適した乳母車とすることができる。
【0056】
まず、最も月齢の低い乳児に適した第1使用形態は、
図4及び
図5に示すように、アタッチメント60及びチャイルドシート80を乳母車10に装着する使用形態である。月齢の低い乳児は、チャイルドシート80によって、より安全に保護されるようになる。また、
図4及び
図5に示された例において、チャイルドシート80内の乳児は、乳母車10の進行方向における後方を向くようになる。したがって、ハンドル28を把持して乳母車10を後方から操縦する保護者は、月齢の低い乳児の顔を見て乳幼児の状態を容易に確認することができる。
【0057】
図4及び
図5では、ガード部材70がアタッチメント60に取り付けられている。したがって、チャイルドシート80を乳母車本体15に取り付ける際、チャイルドシート80が配置されるべきスペースが、一対のフレーム部材20と、一対のアタッチメント60と、ガード部材70とによって区画される。これにより、視覚的にチャイルドシート80の配置を認識することができ、チャイルドシート80を乳母車本体15により確実に取り付けることができる。
【0058】
その一方で、
図4及び
図5に示された形態において、ガード部材70は、その乳幼児を前方から保護するといった本質的な機能を発揮していない。したがって、第1の形態では、ガード部材70を取り外しても良い。その一方で、ガード部材70がアタッチメント60に取り付けられた状態でも、チャイルドシート80をアタッチメント60及び乳母車本体15上に載置することができる。しかも、ガード部材70は、チャイルドシート80の前方へのずれを規制することに寄与し得る。さらにガード部材70の紛失を防止する観点から、アタッチメント60にガード部材70を取り付けたままとすることも有用である。
【0059】
次に、第2の使用形態は、
図3に示すように、チャイルドシート80が取り外され、その一方で、アタッチメント60が乳母車本体15に取り付けられ且つ及びガード部材70がアタッチメント60に取り付けられる。
図3に示された第2の使用形態において、アタッチメント60は、乳母車10に着座した乳幼児の側方に位置することができ、ガード部材70は、乳母車10に着座した乳幼児の前方に位置する。これにより、このアタッチメント60及びガード部材70により、乳幼児を側方および前方から保護することができ、また、保護者に対して視覚的な安心感を与えることができる。さらに、チャイルドシート80を取り外したことにより、乳母車10が大幅に軽量化される。したがって、乳母車10の取り扱い性を大幅に改善することができる。
【0060】
とりわけ図示された例では、アタッチメント60のアタッチメント本体部65が、シート支持体40の座部支持体50よりも上方に位置し、且つ、フレーム部材20と少なくとも部分的に重複する高さ位置において当該フレーム部材20の前方に位置している。加えて、アタッチメント本体部65は、前後方向および上下方向に広がるプレート状に形成されている。これらの構成により、アタッチメント本体部65は効果的に乳幼児を側方から保護することができる。
【0061】
また、アタッチメント60が乳母車本体15に取り付けられた状態において、アタッチメント本体部65は、フレーム部材20から離間してフレーム部材20の前方に位置している。すなわち、フレーム部材20とアタッチメント本体部65との間に隙間が形成されている。したがって、チャイルドシート80の取り付け及び取り外し時、乳母車10の折り畳み時及び展開時、並びに、乳母車10の走行中にアタッチメント60が前脚22に対して振動した際に、アタッチメント本体部65とフレーム部材20との間に衣類等が挟まってしまうことを効果的に防止することができる。とりわけ、図示された例では、アタッチメント本体部65とフレーム部材20との間の隙間が、前脚22とアタッチメント取り付け部61との間の隙間よりも大幅に、例えば5倍〜15倍大きくなっている。したがって、アタッチメント本体部65とフレーム部材20との間への挟み込みを単に防止し得るだけでなく、アタッチメント本体部65とフレーム部材20との間に腕等が挟まった場合に、抜け無くなってしまうことを効果的に防止することができる。
【0062】
さらに、第2の使用形態から第5の使用形態において、乳母車10に着座した乳幼児は、乳母車10の進行方向前方を向くようになる。したがって、乳母車10に乗車した乳幼児の快適性を向上させることができる。
【0063】
なお、
図6に示すように、アタッチメント60は、前脚22のみに接続している。したがって、アタッチメント60及びガード部材70を乳母車本体15に取り付けたままの状態で、乳母車10の展開すること及び折り畳むことが可能となる。とりわけ、
図9に示された例においては、アタッチメント60及びガード部材70を取り付けたままの状態で折り畳まれた乳母車10が、自立するようになっている。したがって、収納および保管時における乳母車10の取り扱い性を向上させることができる。
【0064】
次に、第3の使用形態は、
図3に示された状態からガード部材70を取り除いた状態である。すなわち、第3の使用形態では、乳母車本体15にアタッチメント60のみを取り付けた状態となる。第3の使用形態では、第2の使用形態と同様に、アタッチメント60により、乳幼児を側方から保護することができ、また、保護者に対して視覚的な安心感を与えることができる。また、乳幼児の前方の視界にガード部材70が存在しないことから、乳幼児は、開放感のある快適性を享受することができる。
【0065】
なお、第3の使用形態では、シート支持体40自体に設けられたベルト材等によって、乳幼児を乳母車本体15に固定するようにしてもよい。シート支持体40自体のベルト材等に代えて又は加えて、アタッチメント60から取り外したガード部材70を乳母車本体15に直接取り付け、このガード部材70を用いて、乳幼児を乳母車本体15に固定してもよい。
【0066】
第4の使用形態は、
図1及び
図2に示すように、アタッチメント60を取り外し、乳母車本体15にガード部材70を直接取り付けた状態である。第4の形態では、乳母車本体15に取り付けたガード部材70によって、乳母車本体15に乳幼児を安定して固定することができる。その一方で、乳幼児の前方および側方の視界にガード部材70やアタッチメント60が存在しないことから、乳幼児は、開放感のある快適性を享受することができる。また、アタッチメント60を取り外すことにより、乳母車10が軽量化され、乳母車10の取り扱い性がさらに改善される。
【0067】
第5の使用形態は、
図3に示された状態からガード部材70を取り除いた状態である。すなわち、第5の形態では、アタッチメント60、ガード部材70及びチャイルドシート80がすべて乳母車本体15から取り外された状態となっている。したがって、乳母車10の更なる計量化が実現され、乳母車10の取り扱い性をさらに向上させることができる。なお、第5の使用形態では、シート支持体40自体に設けられたベルト材等によって、乳幼児を乳母車本体15に固定することができる。
【0068】
以上に説明してきた本実施の形態において、乳母車10は、一対の前脚22を有した乳母車本体15と、各前脚22に取り外し可能に取り付けられる一対のアタッチメント60と、を有している。各アタッチメント60は、対応する前脚22に取り外し可能に取り付けられるアタッチメント取り付け部61と、アタッチメント取り付け部61の上方部分に設けられ前方に延び出すアタッチメント本体部65と、を有している。すなわち、この乳母車10では、アタッチメント60を乳母車本体15の前脚22に取り付けることにより、アタッチメント60のアタッチメント本体部65を、乳母車10に乗車した乳幼児の側方に配置することができる。このアタッチメント本体部65により、乳幼児を側方から保護することができる。したがって、アタッチメント60を乳母車本体15に取り付けた状態において、月齢の比較的低い乳児をより安全に乳母車10に乗車させることができる。一方、乳母車本体15は、別途のアタッチメント60が取り付け可能であることから、そのフレーム構造を乳幼児の側方まで設ける必要がない。したがって、乳母車本体15の軽量化を図ることができる。この場合、アタッチメント60を乳母車本体15から取り外した状態において、乳母車10の軽量化を図ることができ、乳母車10の取り扱い性を向上させることができる。すなわち、アタッチメント60を乳母車本体15から取り外すことで、月齢の比較的高い幼児に対してより適した乳母車とすることができる。以上のように、アタッチメント60の取り付け及び取り外しによって、幅広い月齢の乳幼児に対して乳母車10を使用することができる。
【0069】
また、本実施の形態において、乳母車10は、アタッチメント本体部65に取り付けられ一対のアタッチメント60を連結するガード部材70を、さらに有している。このカード部材70は、乳母車10に乗車した乳幼児の前方に位置するようになる。このガード部材70によって、乳幼児を前方から保護することができ、また、着座した乳幼児の前方への転落を効果的に防止することができる。したがって、ガード部材70付きのアタッチメント60を乳母車本体15に取り付けることで、月齢の比較的低い乳幼児に対してさらに適した乳母車10とすることができる。
【0070】
本実施の形態において、ガード部材70は、アタッチメント60から取り外し可能であり、アタッチメント60から取り外されたガード部材70は、乳母車本体15に取り外し可能に取り付けることができる。例えば、アタッチメント60を取り外した乳母車本体15に対してガード部材70を取り付けることができる。ガード部材70は比較的に軽量であることから、ガード部材70を乳母車本体15に取り付けることで乳母車10の重量を大きく増加させることはない。したがって、アタッチメント60を取り外してガード部材70を乳母車本体15に取り付けることで、月齢の比較的高い幼児に対して適した乳母車10とすることができる。
【0071】
本実施の形態において、アタッチメント本体部65はプレート状となっている。したがって、アタッチメント60を乳母車本体15に取り付けた際に、アタッチメント本体部65により、乳幼児を側方からより効果的に保護することができる。
【0072】
本実施の形態において、アタッチメント本体部65はアームレストとして機能する。したがって、アタッチメント60を乳母車本体15に取り付けた際に、アタッチメント本体部65により、乳母車10に乗車した乳幼児の快適性を向上させることができる。
【0073】
本実施の形態において、乳母車10は、一対のアタッチメント60のアタッチメント本体部65上に配置され、一対のアタッチメント60を介して乳母車本体15に取り外し可能に保持されるチャイルドシート80を、さらに有している。産後間もない乳児をより安全に乳母車10に乗車させることができる。したがって、アタッチメント60の取り付けおよびチャイルドシート80の使用によって、さらに幅広い月齢の乳幼児に対して適した乳母車とすることができる。
【0074】
本実施の形態において、アタッチメント本体部65が、チャイルドシート80と係合可能な係合部67を有している。この係合部67を用いることによって、チャイルドシート80をより安定して乳母車10に保持することが可能となる。
【0075】
本実施の形態において、アタッチメント取り付け部61に接続し一対のアタッチメント60を連結する連結軸部材69が、設けられている。すなわち、連結軸部材69によって、一対のアタッチメント60を一体的な部材とすることができる。これにより、アタッチメント60の乳母車本体15への取り付け状態を安定させることができる。したがって、乳幼児の座面が高い場合にも、保護部材として機能し得るアタッチメント60の配置を効果的に安定させることができ、また、チャイルドシート80を高い位置に安定して保持することもできる。
【0076】
本実施の形態において、連結軸部材69は、アタッチメント取り付け部61に取り外し可能に接続している。したがって、アタッチメント60を乳母車本体15から取り外し場合に、連結軸部材69と一対のアタッチメント60とを分解することで、これらの部品の保管スペースを省スペース化することができる。
【0077】
本実施の形態において、乳母車本体15は、その各構成要素を相対移動させることによって、展開状態から折り畳み状態に折り畳み可能となっている。アタッチメント60は、乳母車本体15を構成する複数の構成要素間に跨がって取り付けられておらず、前脚22のみに取り付けられている。したがって、アタッチメント60を乳母車本体15に取り付けたままの状態で、乳母車10を折り畳むこと又は展開することが可能となる。
【0078】
以上、本発明を図示する実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。例えば上述した一実施の形態において、アタッチメント60はチャイルドシート80を保持するように構成されている例を示したが、この例に限られず、チャイルドシート80が取り付け不可能となっていてもよい。
【0079】
また、上述した一実施の形態において、乳母車本体15が、受け具58を有しており、この受け具58を用いてガード部材70を乳母車本体15に取り付け可能とした例を示したが、これに限られず、ガード部材70が乳母車本体15に取り付け可能となっていなくてもよい。
【0080】
さらに、上述した一実施の形態において、一対のアタッチメント60を連結する連結軸部材69が、一対のアタッチメント60から取り外し可能となっている例を示したが、これに限られず、連結軸部材69が、アタッチメント60から取り外し不可能となっていてもよい。また、そもそもも、連結軸部材69が一対のアタッチメント60間に設けられていなくてもよい。