(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の方向から照射されるX線を用いて、所定の撮像条件で時系列に撮像した造影画像データと非造影画像データを差分して第1の差分画像データを生成し、第2の方向から照射されるX線を用いて、前記所定の撮像条件と略同一の撮像条件で時系列に撮像した造影画像データと非造影画像データを差分して第2の差分画像データを生成する差分画像生成部と、
前記第1の差分画像データの各位置に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てた第1のカラー画像データを所定の処理条件で生成するとともに、前記第2の差分画像データの各位置に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てた第2のカラー画像データを前記所定の処理条件と略同一の処理条件で生成するカラー画像生成部と、
前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データに基づく立体視画像を表示させる表示制御部と
を備え、
前記カラー画像生成部は、前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データの同一位置を同一色で描出する、X線診断装置。
前記差分画像生成部は、血管の走行方向に応じて前記第1の方向と前記第2の方向との間の視差の角度方向を導出し、導出した前記第1の方向及び前記第2の方向のそれぞれで、前記第1の差分画像データ及び前記第2の差分画像データを生成する、
請求項1に記載のX線診断装置。
前記カラー画像生成部は、第1の差分画像データの各位置における前記画素値の経時的変化に基づいて、被検体に注入される造影剤の流入時間を同定し、同定した流入時間に応じて前記カラーを各位置に割り当てて前記第1のカラー画像データを生成するとともに、第2の差分画像データの各位置における前記画素値の経時的変化に基づいて、被検体に注入される造影剤の流入時間を同定し、同定した流入時間に応じて前記カラーを各位置に割り当てて前記第2のカラー画像データを生成する、
請求項1又は2に記載のX線診断装置。
前記差分画像生成部は、前記造影剤の注入条件、前記X線の照射条件、前記X線が照射される視野サイズ、前記X線を照射するX線管球の焦点と前記X線の検出器との間の距離、前記被検体が載置される寝台の位置、及び、前記X線管球及び前記検出器を支持する支持機の回転中心のうち、少なくとも一つが略同一である前記撮像条件を用いて、前記第1の差分画像データ及び前記第2の差分画像データを生成し、
前記カラー画像生成部は、前記流入時間の同定方法、及び、前記経時的変化に応じて割り当てられるカラーが規定されたカラーコードのうち、少なくとも一つが略同一である前記処理条件を用いて、前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データを生成する、
請求項3に記載のX線診断装置。
前記差分画像生成部は、前記造影剤の注入開始から前記造影画像データの撮像開始までの時間、前記造影剤の注入速度、前記造影剤の注入器に加える圧力、及び、前記注入速度に到達する前の立ち上がり曲線のうち、少なくとも一つが略同一である前記注入条件を用いて、前記第1の差分画像データ及び前記第2の差分画像データを生成する、
請求項4に記載のX線診断装置。
前記差分画像生成部は、前記X線による撮像のフレームレート、前記X線管球の管電圧、前記X線管球の管電流、前記X線のパルス幅、前記X線管球のコリメータの位置、前記X線管球のビームフィルタの種類及び厚み、及び、前記X線管球の補償フィルタの位置のうち、少なくとも一つが略同一である前記照射条件を用いて、前記第1の差分画像データ及び前記第2の差分画像データを生成する、
請求項4に記載のX線診断装置。
前記カラー画像生成部は、前記第1の差分画像データ及び前記第2の差分画像データの同一位置から求まる前記流入時間を揃える補正処理を行って、前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データのうち少なくとも一方を再生成する、
請求項3〜6のいずれか一つに記載のX線診断装置。
前記カラー画像生成部は、前記流入時間の変化に対する前記カラーの周期的な変化が規定された周期的カラーコードを用いる場合に、フレームの数、及び、前記周期的カラーコードにおけるフレーム間の時間変化量のうち、少なくとも一つが略同一である前記処理条件を用いて、時系列順に並んだ複数フレームの前記第1のカラー画像データ及び時系列順に並んだ複数フレームの前記第2のカラー画像データを生成し、
前記表示制御部は、同一時相のフレームの前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データに基づく立体視画像を時系列順に表示させる、
請求項3〜7のいずれか一つに記載のX線診断装置。
前記表示制御部は、非同期再生の要求を受け付けると、前記複数フレームの第1のカラー画像データ及び前記複数フレームの第2のカラー画像データのうちいずれか一方について、時系列順に表示されるフレームの時相を変更する、
請求項8に記載のX線診断装置。
前記カラー画像生成部は、前記処理条件を変更する指示を受け付けた場合に、変更された処理条件を用いて、前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データを再生成する、
請求項1〜9のいずれか一つに記載のX線診断装置。
前記差分画像生成部は、予め設定された視差角度及び視差の角度方向のうち少なくとも一方を用いて前記第1の方向及び前記第2の方向を導出し、導出した前記第1の方向及び前記第2の方向のそれぞれで、前記第1の差分画像データ及び前記第2の差分画像データをそれぞれ生成する、
請求項1〜10のいずれか一つに記載のX線診断装置。
前記差分画像生成部は、前記X線の照射を指示するためのX線トリガーボタンの半押しを受け付けた場合に、前記第1の方向から前記第2の方向へのX線照射方向の変更を実行する、
請求項1〜11のいずれか一つに記載のX線診断装置。
前記差分画像生成部は、前記X線の照射方向の変更を指示するための装置駆動ボタンの押下を受け付けた場合に、前記第1の方向から前記第2の方向へのX線の照射方向の変更を実行する、
請求項1〜11のいずれか一つに記載のX線診断装置。
注目領域を指定する操作を受け付けた場合に、撮像系機器に対する前記注目領域の位置を同定し、同定した前記注目領域の位置を撮像するように前記撮像系機器を制御する注目領域同定部を更に備える、
請求項1〜13のいずれか一つに記載のX線診断装置。
前記差分画像生成部は、前記第1の差分画像データ及び前記第2の差分画像データのそれぞれを、2つの焦点を切り替えながらX線を照射するX線管球を用いて同一の期間に生成し、
前記カラー画像生成部は、前記2つの焦点を切り替える時間差を補正した上で、前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データを生成する、
請求項1〜9のいずれか一つに記載のX線診断装置。
前記撮像条件及び前記処理条件のうち少なくとも一つを、前記第1の差分画像データ及び前記第2の差分画像データの撮像、並びに、前記第1の差分画像データ及び前記第2の差分画像データを用いた処理において一致させることが予め設定された撮像設定情報を有する、
請求項1〜9のいずれか一つに記載のX線診断装置。
第1の方向から所定の撮像条件で時系列に撮像した造影画像データと非造影画像データを差分して第1の差分画像データを生成し、第2の方向から前記所定の撮像条件と略同一の撮像条件で時系列に撮像した造影画像データと非造影画像データを差分して第2の差分画像データを生成する差分画像生成部と、
前記第1の差分画像データの各位置に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てた第1のカラー画像データを所定の処理条件で生成するとともに、前記第2の差分画像データの各位置に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てた第2のカラー画像データを前記所定の処理条件と略同一の処理条件で生成するカラー画像生成部と、
前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データに基づく立体視画像を表示させる表示制御部と
を備え、
前記カラー画像生成部は、前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データの同一位置を同一色で描出する、画像処理装置。
第1の方向から所定の撮像条件で時系列に撮像した造影画像データと非造影画像データを差分して第1の差分画像データを生成し、第2の方向から前記所定の撮像条件と略同一の撮像条件で時系列に撮像した造影画像データと非造影画像データを差分して第2の差分画像データを生成する差分画像生成ステップと、
前記第1の差分画像データの各位置に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てた第1のカラー画像データを所定の処理条件で生成するとともに、前記第2の差分画像データの各位置に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てた第2のカラー画像データを前記所定の処理条件と略同一の処理条件で生成するカラー画像生成ステップと、
前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データに基づく立体視画像を表示させる表示ステップと
を含み、
前記カラー画像生成ステップは、前記第1のカラー画像データ及び前記第2のカラー画像データの同一位置を同一色で描出する、画像診断支援方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係るX線診断装置、画像処理装置、及び画像診断支援方法を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、X線撮像機構10と、画像処理装置100とを有する。
【0011】
X線撮像機構10は、X線管球11と、検出器(Flat Panel Detector:FPD)12と、C型アーム13と、寝台14とを有し、インジェクター60が接続される。
【0012】
インジェクター60は、被検体Pに挿入されたカテーテルから造影剤を注入するための装置である。ここで、インジェクター60からの造影剤注入開始は、後述する画像処理装置100を介して受信した注入開始指示に従って実行される場合であってもよいし、術者などの操作者が直接インジェクター60に対して入力した注入開始指示に従って実行される場合であってもよい。
【0013】
C型アーム13は、X線管球11と、X線管球11から照射されたX線を検出する検出器12とを支持する。C型アーム13は、図示しないモータにより、寝台14上に横臥する被検体Pの周りをプロペラのように高速回転する。ここで、C型アーム13は、直交する3軸であるXYZ軸に関してそれぞれ回転可能に支持され、図示しない駆動部によって各軸で個別に回転する。なお、C型アーム13は、支持機の一例である。
【0014】
図2A及び
図2Bは、第1の実施形態に係るC型アーム13の回転方向について説明するための図である。
図2Aには、Y軸の正方向から被検体Pを見た図を例示し、
図2Bには、X軸の正方向から被検体Pを見た図を例示する。
【0015】
図2Aに示すように、被検体Pの正面を示すZ軸を基準とし、被検体Pの左方向への回転は、LAO(Left Anterior Oblique)と呼ばれ、LAOの反対の回転は、RAO(Right Anterior Oblique)と呼ばれる。また、
図2Bに示すように、被検体Pの正面を示すZ軸を基準とし、被検体Pの頭頂方向への回転は、CRA(CRANIAL)と呼ばれ、CRAの反対の回転は、CAU(CAUDAL)と呼ばれる。例えば、X線管球11がZ軸の正方向(つまり、患者正面)に位置する場合、C型アーム13の角度は、(RAO/LAO 0,CRA/CAU 0)と表される。これは、RAO/LAO角が0度であり、CRA/CAU角が0度であることを表す。
【0016】
X線管球11は、図示しない高電圧発生器から供給される高電圧を用いてX線を発生するX線源である。検出器12は、被検体Pを透過したX線を検出するための複数のX線検出素子がマトリックス状に配列された装置である。この検出器12が有する各X線検出素子は、被検体Pを透過したX線を後述するA/D変換器21に出力する。
【0017】
画像処理装置100は、
図1に示すように、A/D(Analog/Digital)変換器21と、画像メモリ22と、サブトラクション回路23と、フィルタリング回路24と、アフィン変換回路25と、LUT(Look Up Table)26と、撮像制御回路27と、3次元再構成回路31と、3次元画像処理回路32と、処理回路33と、ディスプレイ40と、入力インターフェース50を有する。
【0018】
ディスプレイ40は、画像処理装置100によって処理された各種画像や、GUI(Graphical User Interface)などの各種情報を表示する。例えば、ディスプレイ40は、CRT(Cathode Ray Tube)モニタや液晶モニタなどである。
【0019】
ここで、ディスプレイ40は、左目用の画像データと右目用の画像データとに基づいて立体視することが可能な立体視画像を表示させることができる立体視専用のディスプレイである。例えば、ディスプレイ40は、表示面にかまぼこのような形状のレンズを幾つも並べたようなレンチキュラーシートや、ハエの目のような多数のレンズからなるハエの目レンズを張り付けた構造をしており、立体視専用メガネを使用しなくてもレンズで光の軌跡を変更することにより裸眼で立体画像を観察することができる。なお、ディスプレイ40は、裸眼立体視専用のディスプレイでなくてもよい。かかる場合、ディスプレイ40は、立体視専用メガネと同期するディスプレイであり、左目用の画像データを表示している時間はメガネの左側だけ透過し、右側は不透過となる。逆に右目用の画像データを表示している時間はメガネの右側だけ透過し、左側は不透過となる。あるいは、ディスプレイ40は、表示面に偏光フィルタを張り付けた構造をしており、例えば偶数画素ラインには横偏光、奇数画素ラインには縦偏光を施す。立体視専用メガネの左目側では横偏光の光のみを、右目側では縦偏光の光のみを透過させるようになっており、偶数画素ラインに左目用の画像データ、奇数画素ラインに右目用の画像データを表示させる。このように立体視専用のメガネを用いることで、立体視可能なX線画像データを表示させる。
【0020】
入力インターフェース50は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の入力装置に対応する。入力インターフェース50は、操作者からの各種指示を受け付け、受け付けた各種指示を画像処理装置100の各回路に対して適宜転送する。
【0021】
また、例えば、入力インターフェース50には、X線の照射を指示するためのX線トリガーボタンが含まれる。X線トリガーボタンが操作者により押下されると、X線診断装置1は、X線画像データの撮像を開始する。また、例えば、入力インターフェース50には、X線の照射方向の変更を指示するための装置駆動ボタンが含まれる。装置駆動ボタンが操作者により押下されると、X線診断装置1は、予め設定された方向にC型アーム13を回転させることでX線の照射方向を変更する。
【0022】
A/D変換器21は、検出器12に接続され、検出器12から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をX線画像データとして画像メモリ22に格納する。
【0023】
画像メモリ22は、X線画像データを記憶する。また、画像メモリ22は、後述する3次元再構成回路31によって再構成された再構成データ(ボリュームデータ)や、3次元画像処理回路32によって生成された3次元画像を記憶する。なお、画像メモリ22は、コンピュータによって実行可能なプログラムを記憶可能である。
【0024】
サブトラクション回路23は、DSA(Digital Subtraction Angiography)画像データなどの差分画像データを生成する。例えば、サブトラクション回路23は、画像メモリ22に記憶されたマスク画像データ及びコントラスト画像データを用いてDSA画像データを、又は2つのボリュームデータを用いて血管構造を有するボリュームデータを生成する。ここで、マスク画像データは、造影剤を注入される前に撮像されたX線画像データ(非造影画像データ)に対応する。また、コントラスト画像データは、造影剤を注入しながら撮像されたX線画像データ(造影画像データ)に対応する。
【0025】
フィルタリング回路24は、高周波強調フィルタリングなどを行う。アフィン変換回路25は、画像の拡大や縮小、移動などを行う。LUT26は、諧調変換を行うためのテーブルを記憶する。
【0026】
撮像制御回路27は、後述する処理回路33の制御のもと、X線撮像機構10による撮像に係る各種処理を制御する。例えば、撮像制御回路27は、C型アーム13を回転させながら所定のフレームレートでX線画像を撮像する回転撮像を制御する。一例を挙げると、撮像制御回路27は、インジェクター60から造影剤注入開始時に出力される信号を契機として、単一の造影剤注入の後に複数回のX線画像データの回転撮像を制御する。ここで、撮像制御回路27は、単一の造影剤の注入開始時刻を起点とした経過時間により複数回の回転撮像のスタートを制御することで、各回転撮像の対象に造影剤が到達するタイミングに合わせた回転撮像を行う。
【0027】
また、撮像制御回路27は、C型アーム13を回転制御している間、図示しない高電圧発生器を制御してX線管球11からX線を連続的又は断続的に発生させ、検出器12によって被検体Pを透過したX線を検出させるように制御する。ここで、撮像制御回路27は、後述する処理回路33によって回転撮像ごとに設定されるX線の発生条件に基づいて、X線管球11からX線を発生させる。
【0028】
3次元再構成回路31は、X線撮像機構10による回転撮像によって収集されたX線画像から再構成データ(ボリュームデータ)を再構成する。例えば、3次元再構成回路31は、サブトラクション回路23によってマスク画像データとしての回転X線画像データとコントラスト画像としての回転X線画像の中でマスク画像データと角度が略一致するX線画像とが差分され、画像メモリ22によって記憶されたサブトラクション後の投影データから血管構造を有するボリュームデータを再構成する。或いは、3次元再構成回路31は、画像メモリ22に記憶されたマスク画像データとしての回転X線画像データとコントラスト画像データとしての回転X線画像データとを用いて別々にボリュームデータを再構成し、2つのボリュームデータをサブトラクションすることで血管構造を有するボリュームデータを生成する。そして、3次元再構成回路31は、再構成したボリュームデータを画像メモリ22に格納する。
【0029】
3次元画像処理回路32は、画像メモリ22によって記憶されたボリュームデータから3次元医用画像データを生成する。例えば、3次元画像処理回路32は、ボリュームデータからボリュームレンダリング画像データや、MPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する。そして、3次元画像処理回路32は、生成した3次元医用画像データを画像メモリ22に格納する。また、3次元画像処理回路32は、LUT26を参照して、3次元医用画像データの階調変換を行う。
【0030】
処理回路33は、X線診断装置1全体を制御する。具体的には、処理回路33は、X線撮像機構10によるX線画像データの撮像、表示画像の生成、ディスプレイ40における表示画像の表示などに係る各種処理を制御する。例えば、処理回路33は、X線撮像機構10による回転撮像や、回転撮像によって撮像されたX線画像データから3次元画像データを生成してディスプレイ40に表示させる。
【0031】
また、処理回路33は、
図1に示すように、パラメトリック画像生成機能332と、表示制御機能333とを実行する。ここで、例えば、
図1に示す処理回路33の構成要素であるパラメトリック画像生成機能332と、表示制御機能333とが実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でX線診断装置1の記憶装置(例えば、画像メモリ22)に記録されている。処理回路33は、各プログラムを記憶装置から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路33は、
図1の処理回路33内に示された各機能を有することとなる。
【0032】
なお、
図1に図示した内容は、一例に過ぎない。例えば、
図1には、サブトラクション回路23、フィルタリング回路24、アフィン変換回路25、撮像制御回路27、3次元再構成回路31、3次元画像処理回路32、及び処理回路33の複数の回路(プロセッサ)を例示したが、これらの回路は必ずしも独立して構成されなくともよい。例えば、これらの回路のうち任意の回路を適宜組み合わせて構成されてもよい。
【0033】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0034】
以上、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を説明した。このような構成を有するX線診断装置1は、パラメトリックイメージングにおいて立体視可能な画像を提供するために、処理回路33は、DSA画像生成機能331と、パラメトリック画像生成機能332と、表示制御機能333とを実行する。
【0035】
すなわち、DSA画像生成機能331は、視点が異なる2つのDSA画像データを、互いに略同一の撮像条件で時系列に沿って生成する。なお、DSA画像生成機能331は、差分画像生成部の一例である。また、DSA画像データは、差分画像データの一例である。
【0036】
続いて、パラメトリック画像生成機能332は、生成された2つのDSA画像データを用いて、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを、互いに略同一の処理条件で生成する。ここで、パラメトリック画像データは、造影剤の流入時間に関するパラメータを画像化したものである。例えば、パラメトリック画像データは、DSA画像データの各位置に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てたカラー画像データである。パラメトリック画像生成機能332は、カラー画像生成部の一例である。
【0037】
そして、表示制御機能333は、生成された2つのパラメトリック画像データに基づく立体視画像を表示させる。これにより、X線診断装置1は、パラメトリックイメージングにおいてステレオ観察可能な画像を提供することができる。
【0038】
なお、処理回路33が実行する各機能は、例えば、X線パラメトリックイメージング用撮像プログラムとして予め設定される。例えば、X線パラメトリックイメージング用撮像プログラムには、視差角度が予め登録されている。視差角度は、ステレオ観察を行うために設定される2つの視点の位置を決定するための角度である。厳密には、視差角度は、ステレオ観察を行う観察者の左右の眼球間の距離に依存して変化するが、一般的には3〜5度が適切と考えられている。本実施形態では、視差角度として「5度」が登録されている場合を説明するが、これに限らず、任意の角度が視差角度として設定可能である。また、視差角度は、予め設定される場合に限らず、例えば、撮像を行うごとに任意に設定されても良い。
【0039】
また、X線パラメトリックイメージング用撮像プログラムには、例えば、造影画像データ及び非造影画像データを撮像するための撮像条件、及び、パラメトリック画像データを生成するための処理条件が予め登録されている。なお、撮像条件及び処理条件については、後述する。
【0040】
図3は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の処理手順を示すフローチャートである。
図3に示す処理手順は、例えば、X線パラメトリックイメージング用撮像プログラムの処理を開始する旨の指示が操作者によって入力されることにより、開始される。
【0041】
図3に示すように、処理回路33は、撮像が開始されたか否かを判定する(ステップS101)。例えば、処理回路33は、X線パラメトリックイメージング用撮像プログラムの処理を開始する旨の指示が操作者によって入力されると、撮像が開始されたと判定し、ステップS102以降の処理を実行する。また、このとき、処理回路33は、インジェクター60と通信を行って、造影剤注入の準備を行う。なお、ステップS101が否定される場合には、処理回路33は、撮像を開始せず、以下の処理は待機状態である。
【0042】
続いて、処理回路33は、観察方向の変更を受け付ける(ステップS102)。ここで、観察方向とは、1回目の撮像と2回目の撮像との間の視差の角度方向に対応する。例えば、観察方向としては、「患者左右方向」や「患者上下方向」が設定される。「患者左右方向」は、例えば、1回目の撮像から2回目の撮像へ移行する際に、X線管球11の位置が患者(被検体P)の左右方向(RAO/LAO)に移動するようにC型アーム13を回転させることを表す。また、「患者上下方向」は、例えば、1回目の撮像から2回目の撮像へ移行する際に、X線管球11の位置が患者の上下方向(CRA/CAU)に移動するようにC型アーム13を回転させることを表す。
【0043】
例えば、X線パラメトリックイメージング用撮像プログラムには、デフォルトの観察方向として「患者左右方向」が設定されている。そして、処理回路33は、X線パラメトリックイメージング用撮像プログラムの処理を開始する旨の指示が操作者によって入力されてから数秒の間に観察方向の変更を受け付ける。この数秒(5秒〜10秒程度)の間に、操作者がマウスやキーボードなどの入力装置を介して観察方向を「患者上下方向」に変更する旨の指示を入力すると、処理回路33は、デフォルトの観察方向を操作者により指示された観察方向に変更する。また、数秒の間に操作者が観察方向を変更する旨の指示を入力しない場合には、処理回路33は、デフォルトの観察方向を用いて以下の処理を行う。なお、ここでは観察方向として「患者左右方向」若しくは「患者上下方向」が設定される場合を説明するが、これに限らず、任意の方向が観察方向として設定可能である。
【0044】
なお、観察方向(視差の角度方向)は、血管の走行方向に応じて決定されるのが好ましい。例えば、観察対象である血管が患者の上下方向に走行している場合には、観察方向は「患者左右方向」に設定されるのが好ましい。また、観察対象である血管が患者の左右方向に走行している場合には、観察方向は「患者上下方向」に設定されるのが好ましい。これは、観察方向と血管の走行方向が略平行である場合には、ステレオ観察用の立体視画像を表示しても立体に見え難い、或いはぼやけた見え方になってしまう場合があるからである。このため、観察方向は、血管の走行方向に対して平行ではなく、直交する方向に近いほど好ましい。なお、処理回路33は、血管の走行方向に応じて観察方向を自動的に決定しても良いが、この処理回路33の処理については後述する。
【0045】
ステップS103において、DSA画像生成機能331は、DSA画像生成処理を実行する。ステップS103のDSA画像生成処理は、1回目の撮像におけるDSA画像データ(以下、「第1のDSA画像データ」とも表記する)を生成するための処理である。
【0046】
例えば、DSA画像生成機能331は、X線が照射される位置(照射位置)にX線管球11を移動させ、DSA画像生成処理を実行する。例えば、操作者は、X線の照射位置を患者側面(LAO 90,CRA/CAU 0)に指定する操作を行う。この操作により、DSA画像生成機能331は、C型アーム13を回転させてX線管球11を患者側面(LAO 90,CRA/CAU 0)の位置に移動させ、DSA画像生成処理を開始する。なお、ここでは、1回目の撮像におけるX線の照射位置が操作者により指定される場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、X線の照射位置は、デフォルトの照射位置が予め設定される場合であってもよいし、撮像部位、視差角度、及び視差の角度方向などに基づいて決定される場合であってもよい。
【0047】
図4は、第1の実施形態に係るDSA画像生成処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図4に示すDSA画像生成処理の処理手順は、
図3に示したステップS103の処理に対応する。
【0048】
図4に示すように、DSA画像生成機能331は、X線トリガーボタンの押下を受け付ける(ステップS201)。例えば、DSA画像生成機能331は、X線トリガーボタンが操作者により押下されると(ステップS201肯定)、X線管球11にX線を照射させ、ステップS202以降の処理を開始する。なお、本実施形態では、ステップS201におけるX線トリガーボタンの押下が継続している間(つまり、長押し状態の間)に、X線の撮像が行われる場合を説明する。言い換えると、操作者は、X線トリガーボタンを長押しする時間を任意に変更することで、撮像期間及び撮像フレーム数を調整する。なお、X線トリガーボタンが押下されるまで(ステップS201否定)、DSA画像生成機能331は、ステップS202以降の処理を開始しない。
【0049】
なお、X線トリガーボタンの押下により開始される造影画像データ及び非造影画像データの撮像条件は、上述したX線パラメトリックイメージング用撮像プログラムに予め登録されている。ここで登録されている撮像条件としては、例えば、適切な画像レベルを決定するターゲット入射線量(所望の画像ノイズレベルを設定)、適切なX線収集条件を得るためのターゲット管電圧、管電圧の許容範囲、パルス幅の許容範囲、X線焦点サイズの選択肢など、従来の撮像プログラムに予め登録されている撮像条件が含まれる。
【0050】
続いて、DSA画像生成機能331は、非造影画像データを撮像する(ステップS202)。例えば、DSA画像生成機能331は、予め決められた枚数(1枚、若しくは複数枚)の非造影画像データを撮像する。DSA画像生成機能331は、撮像した非造影画像データを画像メモリ22に格納する。
【0051】
続いて、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入を開始させる(ステップS203)。例えば、DSA画像生成機能331は、インジェクター60に対して造影剤の注入を開始する旨の注入開始信号を送信する。インジェクター60は、DSA画像生成機能331から送信された注入開始信号を受信すると、造影剤の注入を開始する。
【0052】
続いて、DSA画像生成機能331は、造影画像データを撮像する(ステップS204)。例えば、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入が開始されてから予め設定された時間が経過した時点で、造影画像データの撮像を開始する。そして、DSA画像生成機能331は、X線トリガーボタンがリリース(解放)されるまで(ステップS205否定)、造影画像データを時系列に沿って連続的に撮像する。DSA画像生成機能331は、造影画像データを撮像するごとに、撮像した造影画像データを画像メモリ22に格納する。X線トリガーボタンのリリース(解放)を受け付けると(ステップS205肯定)、DSA画像生成機能331は、造影画像データの撮像を停止する(ステップS206)。
【0053】
そして、DSA画像生成機能331は、DSA画像データを生成する(ステップS207)。例えば、DSA画像生成機能331は、時系列に沿って連続的に撮像された複数フレームの造影画像データそれぞれから、非造影画像データをサブトラクションすることで、時系列に沿った複数フレームのDSA画像データを生成する。なお、サブトラクションに用いられる非造影画像データは、ノイズを低減させるため、複数枚の非造影画像データが加算平均(若しくはボトムトレース)された画像データであるのが好適であるが、任意の1枚の非造影画像データであってもよい。また、生成されたDSA画像データ(若しくは造影画像データ)は、ディスプレイ40に適宜表示されてよい。
【0054】
このように、DSA画像生成機能331は、時系列に沿った複数フレームのDSA画像データ(第1のDSA画像データ)を生成する。そして、DSA画像生成機能331は、生成した複数フレームのDSA画像データをパラメトリック画像生成機能332へ出力する。
【0055】
なお、上述した
図4の処理手順は、あくまで一例であり、
図4の例に限定されるものではない。例えば、
図4の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、DSA画像データを生成する処理(ステップS207)は、必ずしも撮像が停止された後(ステップS206)に実行されなくてもよい。例えば、DSA画像生成機能331は、時系列に沿って造影画像データを撮像するごとに、撮像した造影画像データから非造影画像データをサブトラクションすることで、DSA画像データを順次生成してもよい。
【0056】
また、例えば、撮像の停止は、X線トリガーボタンのリリースに限らず、例えば、再びX線トリガーボタンを押下することで行われてもよい。この場合、ステップS201においてX線トリガーボタンが長押しされなくてもよい。また、撮像の停止は、撮像を停止するための専用のボタンを押下することで行われてもよい。
【0057】
図3の説明に戻る。パラメトリック画像生成機能332は、パラメトリック画像生成処理を実行する(ステップS104)。ここで、ステップS104のパラメトリック画像生成処理は、1回目の撮像におけるパラメトリック画像データ(以下、「第1のパラメトリック画像データ」とも表記する)を生成するための処理である。
【0058】
図5は、第1の実施形態に係るパラメトリック画像生成処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図5に示すパラメトリック画像生成処理の処理手順は、
図3に示したステップS104の処理に対応する。
【0059】
図5に示すように、パラメトリック画像生成機能332は、流入時間を同定する(ステップS301)。ここで、流入時間は、DSA画像データの各位置における画素値の変化を造影剤濃度の変化と見なし、各画素値の時系列変化に基づいて定義されるパラメータである。流入時間の同定方法としては、TTP(Time-to-Peak)及びTTA(Time-to-Arrival)のうち任意の同定方法が選択可能である。例えば、TTPは、画素値の時間変化が最大となる時間を流入時間として同定する方法である。また、TTAは、画素値の時間変化が所定値に到達する時間、若しくは、画素値の時間変化における最大値に対して所定割合に到達する時間を流入時間として同定する方法である。
【0060】
図6は、第1の実施形態に係るパラメトリック画像生成機能332の処理を説明するための図である。
図6には、DSA画像データに含まれる任意の画素について解析された時間濃度プロファイルを例示する。
図6において、横軸は時間(造影画像データの撮像時間)に対応し、縦軸は画素値に対応する。なお、
図6では、流入時間の同定方法がTTAである場合を説明する。
【0061】
図6に示すように、例えば、パラメトリック画像生成機能332は、DSA画像生成機能331によって生成されたDSA画像データに含まれる各画素について、時間濃度プロファイルを解析することで流入時間を同定する。
図6の例では、パラメトリック画像生成機能332は、最大の画素値(Cmax)に対して20%(0.2×Cmax)に到達する時間を流入時間として特定する。
【0062】
なお、
図6の内容はあくまで一例であり、
図6の例に限定されるものではない。例えば、
図6では、TTAにより流入時間を同定するための割合として「20%」が設定される場合を説明したが、これに限らず、任意の割合(若しくは値)が設定されてもよい。また、流入時間の同定方法は、TTAに限らず、TTPであってもよい。
【0063】
続いて、パラメトリック画像生成機能332は、カラーコードを生成する(ステップS302)。例えば、パラメトリック画像生成機能332は、静止画としてパラメトリック画像データを生成する場合には、1つのカラーコードを生成する。また、パラメトリック画像生成機能332は、動画としてパラメトリック画像データを生成する場合には、動画に含まれるフレーム数に対応する数のカラーコードを生成する。以下、静止画生成におけるカラーコード生成処理と、動画生成におけるカラーコード生成処理とを、順に説明する。なお、カラーコードを生成するための生成条件は、デフォルトの条件が予め設定されているが、操作者により適宜設定されてもよい。
【0064】
図7A及び
図7Bは、第1の実施形態に係る静止画生成におけるカラーコード生成処理を説明するための図である。なお、
図7A及び
図7Bでは、流入時間の同定方法がTTAである場合を説明する。TTAでは、カラーコードの周期及び初期値は、デフォルトとして「Auto」が設定されている。なお、「Auto」は、DSA画像データの収集時間(撮像期間)によって自動的に設定されることを表す。
【0065】
図7Aに示すように、例えば、パラメトリック画像生成機能332は、DSA画像データの収集時間が0〜T秒である場合には、カラーコードの周期を「T」、カラーコードの初期値を「0」にそれぞれ設定する。このカラーコードでは、流入時間tが「0」のときに「赤」となり、「0」から「T/2」にかけて「赤」から「緑」に徐々に変化し、「T/2」のときに「緑」となることが規定される。また、このカラーコードでは、「T/2」から「T」にかけて「緑」から「青」に徐々に変化し、「T」のときに「青」となることが規定される。
【0066】
また、他の例としては、
図7Bに示すように、DSA画像データに含まれる全画素の流入時間の最小値「Tmin」をカラーコードの初期値としてもよい。このカラーコードでは、流入時間tが「Tmin」のときに「赤」となり、「Tmin」から「(T+Tmin)/2」にかけて「赤」から「緑」に徐々に変化し、「(T+Tmin)/2」のときに「緑」となることが規定される。また、このカラーコードでは、「(T+Tmin)/2」から「T」にかけて「緑」から「青」に徐々に変化し、「T」のときに「青」となることが規定される。なお、
図7Bのカラーコードは、「0」から「Tmin」にかけてはカラーを割り当てないので、流入時間の変化に対するカラーの変化が大きくなる。このため、
図7Bのカラーコードは、流入時間の小さい変化を描出するのに適していると言える。
【0067】
このように、パラメトリック画像生成機能332は、静止画用のカラーコードを生成する。なお、
図7A及び
図7Bの内容はあくまで一例であり、
図7A及び
図7Bの例に限定されるものではない。例えば、
図7A及び
図7Bでは、流入時間の同定方法がTTAである場合を説明したが、これに限らず、TTPであってもよい。また、カラーコードに規定されるカラーの順序は、
図7A及び
図7Bの例に限定されるものではなく、任意に設定されてよい。
【0068】
図8は、第1の実施形態に係る動画生成におけるカラーコード生成処理を説明するための図である。
図8では、動画としてパラメトリック画像データを生成する生成方法がCCC(Circular Color Coding)である場合を説明する。なお、CCCにおける流入時間の同定方法は、TTAであってもTTPであってもよい。
【0069】
図8に示すように、例えば、パラメトリック画像生成機能332は、DSA画像データの収集時間が0〜T秒である場合には、カラーコードの周期を「L(L<T)」、カラーコードの初期値を「0」、カラーコードのステップを「ΔT」にそれぞれ設定する。そして、パラメトリック画像生成機能332は、動画に含まれるフレーム数に対応する数のカラーコードを生成する。例えば、動画のフレーム数が「N」であれば、パラメトリック画像生成機能332は、1フレーム目からNフレーム目までのN個のカラーコードをそれぞれ生成する。
【0070】
例えば、1フレーム目のカラーコードでは、流入時間tが「0」のときに「赤」となり、「0」から「L/3」にかけて「赤」から「緑」に徐々に変化し、「L/3」のときに「緑」となることが規定される。また、1フレーム目のカラーコードでは、「L/3」から「2L/3」にかけて「緑」から「青」に徐々に変化し、「2L/3」のときに「青」となることが規定される。また、1フレーム目のカラーコードでは、「2L/3」から「L」にかけて「青」から「赤」に徐々に変化し、「L」のときに「赤」に戻ることが規定される。このように、1フレーム目のカラーコードでは、流入時間tが「0」から「L」に変化する間に、「赤→緑→青→赤」と変化する。また、「L」以降については、「0」から「L」までのカラーの変化の繰り返しになる。つまり、1フレーム目のカラーコードでは、流入時間tが「L」から「2L」に変化する間に、「赤→緑→青→赤」と変化する。また、1フレーム目のカラーコードでは、流入時間tが「2L」から「3L」に変化する間に、「赤→緑→青→赤」と変化する。これ以降も同様に、1フレーム目のカラーコードでは、流入時間tが「T」に到達するまで、「赤→緑→青→赤」と変化する。
【0071】
2フレーム目のカラーコードは、1フレーム目のカラーコードを「ΔT」ずらすことにより生成される。例えば、2フレーム目のカラーコードでは、流入時間tが「Δt」のときに「赤」となり、「Δt」から「L/3+Δt」にかけて「赤」から「緑」に徐々に変化し、「L/3+Δt」のときに「緑」となることが規定される。また、2フレーム目のカラーコードでは、「L/3+Δt」から「2L/3+Δt」にかけて「緑」から「青」に徐々に変化し、「2L/3+Δt」のときに「青」となることが規定される。また、2フレーム目のカラーコードでは、「2L/3+Δt」から「L+Δt」にかけて「青」から「赤」に徐々に変化し、「L+Δt」のときに「赤」に戻ることが規定される。なお、「L+Δt」以降についても、1フレーム目のカラーコードと同様に、「ΔT」から「L+ΔT」までのカラーの変化の繰り返しになる。
【0072】
すなわち、Nフレーム目のカラーコードは、N−1フレーム目のカラーコードを「ΔT」ずらすことにより生成される。言い換えると、Nフレーム目のカラーコードは、1フレーム目のカラーコードを「ΔT×(N−1)」ずらすことにより生成される。
【0073】
なお、
図8の内容はあくまで一例であり、
図8の例に限定されるものではない。例えば、カラーコードに規定されるカラーの順序は、
図8の例に限定されるものではなく、任意に設定されてよい。
【0074】
このように、パラメトリック画像生成機能332は、動画用のカラーコードとして、動画のフレーム数に対応する数のカラーコードを生成する。動画用のカラーコードは、流入時間の変化に対するカラーの周期的な変化が規定された周期的カラーコードであると言える。なお、パラメトリック画像生成処理における処理条件は、上述したX線パラメトリックイメージング用撮像プログラムに予め登録されている。ここで登録されている処理条件としては、例えば、流入時間の同定方法、カラーコードの周期、カラーコードの位相、カラーコードの初期値、及び、静止画であるか動画であるかを示す情報などが含まれる。
【0075】
図5の説明に戻る。パラメトリック画像生成機能332は、パラメトリック画像データを生成する(ステップS303)。例えば、パラメトリック画像生成機能332は、DSA画像データの各画素に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てることにより、パラメトリック画像データを生成する。
【0076】
図9は、第1の実施形態に係るパラメトリック画像生成機能332の処理を説明するための図である。
図9には、被検体Pの脳の血管が描出されたパラメトリック画像データを例示する。
【0077】
図9に示すように、例えば、パラメトリック画像生成機能332は、ステップS302において生成したカラーコードを参照し、各画素の流入時間に対応するカラーを割り当てて、パラメトリック画像データを生成する。
【0078】
具体的には、パラメトリック画像生成機能332は、静止画のパラメトリック画像データを生成する。例えば、パラメトリック画像生成機能332は、
図7A(若しくは
図7B)に示した静止画用のカラーコードを参照し、各画素の流入時間に対応するカラーを割り当てて、パラメトリック画像データを生成する。
【0079】
また、パラメトリック画像生成機能332は、動画のパラメトリック画像データを生成する。例えば、パラメトリック画像生成機能332は、
図8に示した動画用のカラーコードを参照し、動画に含まれるフレーム数に対応する数のパラメトリック画像データをそれぞれ生成する。具体的には、パラメトリック画像生成機能332は、各画素の流入時間に対応するカラーを、1フレーム目のカラーコードに基づいて割り当てることで、1フレーム目のパラメトリック画像データを生成する。また、パラメトリック画像生成機能332は、各画素の流入時間に対応するカラーを、2フレーム目のカラーコードに基づいて割り当てることで、2フレーム目のパラメトリック画像データを生成する。このように、パラメトリック画像生成機能332は、各画素の流入時間に対応するカラーを、Nフレーム目のカラーコードに基づいて割り当てることで、Nフレーム目のパラメトリック画像データを生成する。
【0080】
なお、
図9では、流入時間に応じて割り当てられるカラーについて説明したが、更に、各画素(ピクセル)の最大の画素値に基づいて明度(明るさ)を調整するのが好適である。例えば、各画素の明度は、DSA画像データに含まれる全画素のなかの最大の画素値「Dmax」に対する各画素の最大の画素値「D」の割合「D/Dmax」にするのが好適である。
【0081】
このように、パラメトリック画像生成機能332は、静止画若しくは動画のパラメトリック画像データ(第1のパラメトリック画像データ)を生成する。そして、パラメトリック画像生成機能332は、生成したパラメトリック画像データを表示制御機能333へ出力する。
【0082】
図3の説明に戻る。処理回路33は、X線の照射方向を変更する(ステップS105)。例えば、DSA画像生成機能331は、予め設定された視差角度及び視差の角度方向(観察方向)を用いて、2回目の撮像におけるX線の照射位置を導出する。ここで、例えば、視差角度は「5度」であり、視差の角度方向はステップS102の処理において設定された観察方向であり、例えば、「患者左右方向」である。
【0083】
例えば、1回目の撮像におけるX線の照射位置が患者側面(LAO 90,CRA/CAU 0)であった場合には、2回目の撮像におけるX線の照射位置としては、(LAO 85,CRA/CAU 0)及び(LAO 95,CRA/CAU 0)の2通りの候補が挙げられる。この場合、DSA画像生成機能331が特定のアルゴリズムに従って自動的に選択可能である。例えば、DSA画像生成機能331は、(RAO 0)〜(RAO 180)の間であれば右側(RAOの正方向)に、(LAO 0)〜(LAO 180)の間であれば左側(LAOの正方向)に観察方向を変更する。ただし、DSA画像生成機能331は、C型アーム13が機械的に回転できない場合には、自動的に逆方向に観察方向を変更する。
【0084】
また、X線の照射方向の変更は、例えば、X線トリガーボタンの半押しによって行われる。例えば、操作者がX線トリガーボタンの半押しを行っている間、DSA画像生成機能331は、C型アーム13を視差の角度方向「患者左右方向」に視差角度「5度」分回転させる。この結果、例えば、DSA画像生成機能331は、X線管球11を(LAO 95,CRA/CAU 0)の位置に移動させる。なお、このとき、DSA画像生成機能331は、SID(Source Image Distance)、コリメータの位置、ビームフィルタの種類及び厚み、及び、補償フィルタの位置などを変化させずにX線管球11を移動させる。なお、DSA画像生成機能331は、X線トリガーボタンの半押しに限らず、例えば、装置駆動ボタンの押下によってX線管球11を移動させてもよい。
【0085】
なお、ここでは、撮像部位(注目領域)とC型アーム13の回転中心とが略一致している場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、撮像部位とC型アーム13の回転中心とが異なる場合には、視差画像(パラメトリック画像データ)において撮像部位が描出される位置及び大きさが異なるが、例えば、視差画像上での画像処理(平行移動、拡大/縮小など)により一致させることが可能である。また、注目領域をX線管球11に近づけてX線光学系での拡大率を上げることも可能であるが、この処理については、後述する。
【0086】
続いて、DSA画像生成機能331は、DSA画像生成処理を実行する(ステップS106)。ステップS106のDSA画像生成処理は、2回目の撮像におけるDSA画像データ(以下、「第2のDSA画像データ」とも表記する)を生成するための処理である。
【0087】
ここで、DSA画像生成機能331は、ステップS105において変更されたX線の照射方向で撮像を行う点を除き、1回目のDSA画像生成処理における撮像条件と略同一の撮像条件で2回目のDSA画像生成処理を行う。すなわち、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入条件、X線の照射条件、X線が照射される視野サイズ(Field Of View:FOV)、X線を照射するX線管球11の焦点とX線の検出器と間の距離(SID)、寝台14の位置、及び、C型アーム13の回転中心(Iso-Center)が略同一である撮像条件を用いて、第1のDSA画像データ及び第2のDSA画像データを生成する。また、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入開始から造影画像データの撮像開始までの時間、造影剤の注入速度、注入剤の注入器に加える圧力、及び、注入速度に到達する前の立ち上がり曲線が略同一である注入条件を用いて、第1のDSA画像データ及び第2のDSA画像データを生成する。また、DSA画像生成機能331は、X線による撮像のフレームレート、X線管球11の管電圧、X線管球11の管電流、X線のパルス幅、X線管球11のコリメータの位置、X線管球11のビームフィルタの種類及び厚み、及び、X線管球11の補償フィルタの位置が略同一である照射条件を用いて、第1のDSA画像データ及び第2のDSA画像データを生成する。なお、上記の撮像条件は、必ずしも全ての条件が完全に一致していなくてもよい。例えば、注入剤の注入器に加える圧力が略同一であれば、注入速度に到達する前の立ち上がり曲線も略同一となる条件である。このため、注入剤の注入器に加える圧力、及び、注入速度に到達する前の立ち上がり曲線のうち、少なくとも一方が略同一であればよい。また、例えば、上記の条件は、パラメトリック画像データの生成に大きく影響を与えない範囲内で誤差を含んでいてもよい。すなわち、上記の撮像条件のうち、少なくとも一つが略同一であればよい。
【0088】
このように、DSA画像生成機能331は、ステップS105において変更されたX線の照射方向で撮像を行う点を除き、1回目の撮像における撮像条件と略同一の撮像条件で2回目の撮像を行う。なお、2回目の撮像においてDSA画像生成機能331が実行する処理は、
図4に示したDSA画像生成処理と基本的に同様であるので、説明を省略する。
【0089】
続いて、パラメトリック画像生成機能332は、パラメトリック画像生成処理を実行する(ステップS107)。ステップS107のパラメトリック画像生成処理は、2回目の撮像におけるパラメトリック画像データ(以下、「第2のパラメトリック画像データ」とも表記する)を生成するための処理である。
【0090】
ここで、パラメトリック画像生成機能332は、1回目のパラメトリック画像生成処理における処理条件と略同一の処理条件で2回目のパラメトリック画像生成処理を行う。すなわち、パラメトリック画像生成機能332は、流入時間の同定方法、及び、経時的変化に応じて割り当てられるカラーが規定されたカラーコードが略同一である処理条件を用いて、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データを生成する。また、パラメトリック画像生成機能332は、動画のパラメトリック画像データを生成する場合には、フレームの数、及び、動画用のカラーコード(周期的カラーコード)におけるフレーム間の時間変化量が略同一である処理条件を用いて、時系列順に並んだ複数フレームの第1のパラメトリック画像データ及び時系列順に並んだ複数フレームの第2のパラメトリック画像データを生成する。なお、上記の処理条件は、必ずしも全ての条件が完全に一致していなくてもよい。例えば、上記の処理条件は、パラメトリック画像データの生成に大きく影響を与えない範囲内で誤差を含んでいてもよい。すなわち、上記の処理条件のうち、少なくとも一つが略同一であればよい。
【0091】
このように、パラメトリック画像生成機能332は、1回目のパラメトリック画像生成処理における処理条件と略同一の処理条件で2回目のパラメトリック画像生成処理を行う。なお、2回目のパラメトリック画像生成処理においてパラメトリック画像生成機能332が実行する処理は、
図5に示したパラメトリック画像生成処理と基本的に同様であるが、同一のカラーコードを用いる場合には、カラーコードを生成する処理(ステップS302)は実行されなくてよい。また、流入時間を同定する処理(ステップS301)とパラメトリック画像データを生成する処理(ステップS303)については、同様であるので説明を省略する。
【0092】
そして、表示制御機能333は、視点が異なる2つのパラメトリック画像データに基づいて、立体視画像を表示させる(ステップS108)。例えば、表示制御機能333は、ステップS104において生成された第1のパラメトリック画像データと、ステップS107において生成された第2のパラメトリック画像データとに基づいて、立体視画像を表示させる。
【0093】
例えば、1回目の撮像におけるX線の照射位置が(LAO 90,CRA/CAU 0)であり、2回目の撮像におけるX線の照射位置が(LAO 95,CRA/CAU 0)である場合には、表示制御機能333は、第1のパラメトリック画像データを左目用とし、第2のパラメトリック画像データを右目用として、ステレオ表示を行う。具体的には、表示制御機能333は、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データを、裸眼で立体視画像を観察可能なディスプレイ、若しくは立体視専用メガネと同期するディスプレイに表示させることで、ステレオ表示を行う。なお、ステレオ表示を行うディスプレイとしては、従来の如何なるステレオ表示用ディスプレイが適用されてもよい。
【0094】
具体的には、表示制御機能333は、静止画の第1のパラメトリック画像データと、静止画の第2のパラメトリック画像データとに基づいて、静止画の立体視画像を表示させる。また、表示制御機能333は、動画の第1のパラメトリック画像データと、動画の第2のパラメトリック画像データとに基づいて、動画の立体視画像を同期表示させる。
【0095】
図10は、第1の実施形態に係る表示制御機能333による同期表示について説明するための図である。
図10には、再生時間の経過に伴って同期表示されるフレーム番号の順序を例示する。
【0096】
図10に示すように、動画の立体視画像を表示させる場合には、表示制御機能333は、同一時相のフレームの第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データに基づく立体視画像を時系列順に表示させる。具体的には、表示制御機能333は、1フレーム目の第1のパラメトリック画像データと、1フレーム目の第2のパラメトリック画像データとに基づいて、1フレーム目の立体視画像を表示させる。また、表示制御機能333は、2フレーム目の第1のパラメトリック画像データと、2フレーム目の第2のパラメトリック画像データとに基づいて、2フレーム目の立体視画像を表示させる。このように、表示制御機能333は、Nフレーム目の第1のパラメトリック画像データと、Nフレーム目の第2のパラメトリック画像データとに基づいて、Nフレーム目の立体視画像を表示させる。
【0097】
このように、表示制御機能333は、視点が異なる2つのパラメトリック画像データに基づいて、立体視画像を表示させる。これによれば、X線診断装置1は、パラメトリックイメージングにおいて立体視可能な画像を提供することができる。
【0098】
そして、処理回路33は、補正処理を実行する(ステップS109)。例えば、処理回路33は、パラメトリック画像データを再生成する補正処理、同一位置の流入時間を揃える補正処理、及び非同期表示モードによるフレーム番号の補正処理のうち、操作者の要求に応じて任意の補正処理を実行する。以下、各補正処理について順に説明する。
【0099】
(パラメトリック画像データを再生成する補正処理)
パラメトリック画像データを再生成する補正処理は、パラメトリック画像生成処理の処理条件を変更する指示を受け付けた場合に実行される補正処理である。例えば、パラメトリック画像生成機能332は、パラメトリック画像生成処理の処理条件を変更する指示を受け付けると、変更された処理条件を用いて、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データを再生成する。
【0100】
例えば、処理条件の一つであるカラーコードの周期を「T」から「T/2」に変更する旨の指示を操作者から受け付けると、パラメトリック画像生成機能332は、変更されたカラーコードの周期「T/2」を用いて、カラーコードを再生成する。そして、パラメトリック画像生成機能332は、再生成されたカラーコードを用いて、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データを再生成する。
【0101】
このように、パラメトリック画像生成機能332は、パラメトリック画像データを再生成する補正処理を実行する。
【0102】
(同一位置の流入時間を揃える補正処理)
同一位置の流入時間を揃える補正処理は、視点が異なる2つのパラメトリック画像データにおける同一位置を同定することで実行される補正処理である。例えば、パラメトリック画像生成機能332は、同一位置の流入時間を揃える補正処理を実行する旨の指示を操作者から受け付けると、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データにおける同一位置を同定する。
【0103】
例えば、パラメトリック画像生成機能332は、2つのパラメトリック画像データの解剖学的な特徴を利用して、第1のパラメトリック画像データの各位置(画素)と、第2のパラメトリック画像データの各位置との対応づけを行う。そして、パラメトリック画像生成機能332は、同一位置における流入時間を比較して、流入時間を揃える補正を行う。
【0104】
具体的には、パラメトリック画像生成機能332は、第1のパラメトリック画像データ上で代表的な領域(例えば、血管の分岐を示す画素)を選択する。そして、パラメトリック画像生成機能332は、第1のパラメトリック画像データ上の代表的な領域と、解剖学的な構造が略一致する第2のパラメトリック画像データ上の領域を同定する。同定した領域において、1回目の撮像における流入時間と2回目の撮像における流入時間との間の誤差を算出する。そして、パラメトリック画像生成機能332は、算出した誤差が無くなるように、1回目の撮像又は2回目の撮像の全画素の流入時間を補正する。そして、パラメトリック画像生成機能332は、補正後の流入時間を用いて、流入時間が補正された側のパラメトリック画像データを再生成する。
【0105】
このように、パラメトリック画像生成機能332は、第1のDSA画像データ及び第2のDSA画像データの同一位置から求まる流入時間を揃える補正処理を行う。そして、パラメトリック画像生成機能332は、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データのうち少なくとも一方を再生成する。
【0106】
なお、上記の説明はあくまで一例であり、上記の例に限定されるものではない。例えば、上記の説明では、代表的な領域を一つ選択する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、代表的な領域が複数選択される場合であってもよい。この場合、パラメトリック画像生成機能332は、複数の領域の流入時間の平均値を用いて誤差を算出するのが好適である。
【0107】
また、例えば、上記の説明では、同一領域における流入時間を用いて誤差を算出する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、パラメトリック画像生成機能332は、同一領域における時間濃度プロファイルを用いて、誤差を算出してもよい。
【0108】
また、例えば、上記の説明では、操作者から指示を受け付けることにより、同一位置の流入時間を揃える補正処理を実行する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、パラメトリック画像生成機能332は、操作者からの指示を受け付けなくとも、自動的に本補正処理を実行してもよい。なお、自動的に本補正処理を実行する場合には、本補正処理は、立体視画像を表示する処理(ステップS108)が実行される前に実行されてもよい。
【0109】
(非同期表示モードによるフレーム番号の補正処理)
非同期表示モードによるフレーム番号の補正処理は、動画としてパラメトリック画像データが生成される場合(CCC)に、非同期表示モードにおいて実行される補正処理である。
【0110】
例えば、表示制御機能333は、非同期表示モードの要求を受け付けると、複数フレームの第1のパラメトリック画像データ及び複数フレームの第2のパラメトリック画像データのうちいずれか一方について、時系列順に表示されるフレームの時相を変更する。
【0111】
図11は、第1の実施形態に係る非同期表示モードによるフレーム番号の補正処理について説明するための図である。
図11には、
図10の同期表示において非同期表示モードの要求が操作者によって行われた場合を例示する。
【0112】
図11に示すように、非同期表示モードの要求を操作者から受け付けると、表示制御機能333は、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データの同期表示を解除する。ここで、操作者がいずれか一方のフレーム番号を変更する指示を行うと、表示制御機能333は、指示された方のフレーム番号を変更する。例えば、表示制御機能333は、1フレーム目の第1のパラメトリック画像データと、1フレーム目の第2のパラメトリック画像データとが表示される場合に、第2のパラメトリック画像データのフレーム番号を繰り上げる旨の指示を操作者から受け付ける。この場合、表示制御機能333は、受け付けた指示に応じて、第2のパラメトリック画像データのフレーム番号を繰り上げる補正を行う。つまり、表示制御機能333は、1フレーム目の第1のパラメトリック画像データと、2フレーム目の第2のパラメトリック画像データとに基づいて、1フレーム目の立体視画像を表示させる。なお、操作者が非同期表示モードを終了する旨の指示を行うと、表示制御機能333は、非同期表示モードを終了し、同期表示モードに戻る。
【0113】
このように、表示制御機能333は、非同期表示モードの要求を受け付けると、複数フレームの第1のパラメトリック画像データ及び複数フレームの第2のパラメトリック画像データのうちいずれか一方について、時系列順に表示されるフレームの時相(フレーム番号)を変更する。
【0114】
このように、処理回路33は、補正処理を実行する。そして、処理回路33は、例えば、撮像を終了する旨の指示を操作者から受け付けると、
図3の処理を終了する。
【0115】
なお、上述した
図3の処理手順は、あくまで一例であり、
図3の例に限定されるものではない。例えば、
図3の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、補正処理(ステップS109)は、必ずしも実行されなくてもよい。例えば、補正処理は、操作者が必要に応じて実行すればよい。また、例えば、同一位置の流入時間を揃える補正処理(ステップS109)が自動的に実行される場合には、補正処理は、立体視画像を表示する処理(ステップS108)が実行される前に実行されてもよい。さらに補正処理はフレーム単位での時相変更について説明したが、フレーム単位より細かく時間変更をしても良い。具体的にはΔt/5ずつ時間を変更しても良い。この場合Δt/5ずらした第2のパラメトリック画像データは存在しないので、パラメトリック画像データを作成し直す必要がある。
【0116】
また、
図3の例では、専用の撮像プログラムとしてX線パラメトリックイメージング用撮像プログラムが用いられる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、従来のDSA画像撮像用プログラムを用いて2回の撮像を略同一の撮像条件で実行する場合であってもよい。この場合、撮像された2つのDSA画像データに対して、略同一の処理条件で従来のパラメトリックイメージング用プログラムを適用することにより、視差の異なる2つのパラメトリック画像データが生成される。
【0117】
上述してきたように、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、視点が異なる2つのDSA画像データを、互いに略同一の撮像条件で時系列に沿って生成する。そして、X線診断装置1は、互いに略同一の処理条件で、生成した2つのDSA画像データから視点が異なる2つのパラメトリック画像データを生成する。そして、X線診断装置1は、生成した2つのパラメトリック画像データに基づいて、立体視画像を表示させる。これにより、X線診断装置1は、パラメトリックイメージングにおいてステレオ観察可能な画像を提供することができる。
【0118】
ところで、ステレオ表示を行うためには、左右の画像における同一位置が同一色で描出されていなければ立体視できないという問題がある。また、パラメトリックイメージングでは造影剤濃度の時系列変化に基づいて画像化を行うため、時系列変化を観察可能なレベルのフレームレートが要求される。すなわち、パラメトリックイメージングにおいてステレオ観察可能な画像を提供するためには、一定以上のフレームレートを維持しつつ、同一位置を同一色で描出した視差画像を生成することが要求される。そこで、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、以下の処理により、一定以上のフレームレートを維持しつつ、同一位置を同一色で描出した視差画像(パラメトリック画像データ)を生成する。
【0119】
図12は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の効果を説明するための図である。
図12に示すように、例えば、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、ステレオ表示用の左右のパラメトリック画像データを撮像するために、2回の撮像を行う。すなわち、X線診断装置1は、1回目の撮像を行ってからX線の照射方向を変更し、2回目の撮像を行うことで、視点が異なる2つのDSA画像データを撮像する。そして、X線診断装置1は、撮像した2つのDSA画像データにおいて造影剤の流入時間を算出し、算出した流入時間に応じたカラーを割り当てることで、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを生成する。
【0120】
ここで、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、2回の撮像において、それぞれの照射方向で固定した状態で時系列に沿った複数フレームのDSA画像データを撮像する。このため、X線診断装置1は、それぞれの照射方向におけるDSA画像データのフレームレートを一定以上に保つことができる。
【0121】
また、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、2回の撮像において、X線の照射方向(X線管球11の照射位置)が異なっている点を除き、略同一の撮像条件で2つのDSA画像データを撮像し、略同一の処理条件で2つのパラメトリック画像データを生成する。例えば、X線診断装置1は、X線の照射方向以外の照射条件や、造影剤を注入する注入条件、視野サイズ、SID、寝台14の位置、及び、Iso-Centerなどの撮像条件を略同一として、視点が異なる2つのDSA画像データを撮像する。また、例えば、X線診断装置1は、流入時間の同定方法やカラーコード(若しくは動画用の周期的カラーコード)の処理条件を略同一として、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを生成する。このため、X線診断装置1は、同一位置を同一色で描出した2つのパラメトリック画像データを生成することができる。
【0122】
このように、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、一定以上のフレームレートを維持しつつ、同一位置を同一色で描出した2つのパラメトリック画像データを生成する。これによれば、X線診断装置1は、パラメトリックイメージングにおいてステレオ観察可能な画像を提供することができる。
【0123】
また、例えば、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、パラメトリック画像生成処理の処理条件を変更する指示を受け付けて、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを再生成する補正処理を実行する。これによれば、X線診断装置1は、例えば、操作者がパラメトリック画像生成処理の処理条件を変更しても、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを常に同一の処理条件で生成/表示することができる。
【0124】
また、例えば、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、第1のDSA画像データ及び第2のDSA画像データの同一位置から求まる流入時間を揃える補正処理を行う。そして、パラメトリック画像生成機能332は、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データのうち少なくとも一方を再生成する。これによれば、X線診断装置1は、例えば、同一位置の流入時間に誤差が生じた場合に、この誤差を補正することができる。
【0125】
また、例えば、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、動画表示において非同期表示モードの要求を受け付けると、複数フレームの第1のパラメトリック画像データ及び複数フレームの第2のパラメトリック画像データのうちいずれか一方について、時系列順に表示されるフレームの時相(フレーム番号あるいはフレーム時間)を変更する。これによれば、X線診断装置1は、動画であるパラメトリック画像データのカラーコードのステップの時間の単位あるいはそれより細かい時間単位で、パラメトリック画像データのフレームの時相を変更することができる。例えば、動画表示においては、カラーコードの変化が急峻であるので、流入時間に僅かな誤差があるだけで同一位置を同一色で描出できなくなってしまうことがある。具体例を挙げると、1回目の撮像と2回目の撮像との間において、医師が、被検体Pに挿入したカテーテル位置を動かしてしまった場合には、流入時間に誤差が生じてしまう。このような場合に、X線診断装置1は、カラーコードのステップの時間の単位(ΔT)あるいはそれより細かい時間単位でフレームの時相を変更するので、非常に細かいピッチでパラメトリック画像データの色を調整することができる。
【0126】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態において説明した観察方向は、血管の走行方向に応じて自動的に決定することができる。
【0127】
例えば、X線診断装置1は、部位ごとに、各部位における主要な血管の走行方向の情報を記憶する。例えば、X線診断装置1は、「脳」に対して、「患者上下方向」という情報を記憶装置に記憶している。
【0128】
そして、処理回路33は、撮像部位を指定する旨の指示を操作者から受け付ける。そして、処理回路33は、各部位における主要な血管の走行方向の情報を参照し、受け付けた撮像部位に対応する血管の走行方向の情報を取得する。例えば、撮像部位として「脳」が指定されると、処理回路33は、「患者上下方向」の情報を記憶装置から取得する。そして、処理回路33は、取得した血管の走行方向の情報に基づいて、観察方向を決定する。ここで、処理回路33は、血管の走行方向に対して直交するように、観察方向を決定する。例えば、処理回路33は、血管の走行方向が「患者上下方向」であれば、「患者左右方向」を観察方向として決定する。そして、処理回路33は、決定した観察方向を用いて撮像を行う。なお、ここでは説明を簡単にするために血管の走行方向を「患者上下方向」、「患者左右方向」に限定して説明している。しかし血管の走行方向はその2方向に限定されず、例えばX軸方向からY軸方向に45度傾いた走行をしている血管や、あるいはさらにZ軸方向に45度傾いた走行をしている血管などある。そのような場合、その走行方向に垂直な平面内で観察方向を変更することが、目的の血管を立体として観察するには最も望ましい。従って血管の走行方向を例えば3DCT画像などから同定し、その同定した角度から観察方向を決定しても良い。あるいは立体的な位置関係がある程度分かれば良いような場合は、「患者左右方向」あるいは「患者上下方向」に観察角度を変更してもある程度立体構造は認識できる。この方法は複雑な角度指定が不要になり、例えば「患者左右方向」あるいは「患者上下方向」と言う単純な二者択一になると言うメリットがある。
【0129】
これによれば、X線診断装置1は、操作者が血管の走行方向を意識して観察方向を指定しなくとも、各部位の主要な血管の走行方向に応じた観察方向を決定することができる。なお、上記の内容はあくまで一例であり、上記の例に限定されるものではない。例えば、血管の走行方向の情報は、血管の種類ごとに記憶されてもよい。この場合、操作者が撮像対象となる血管を指定することにより、処理回路33は、血管の種類に応じた観察方向を決定する。また、血管の走行方向ではなく、血管の走行方向に応じた観察方向が記憶されてもよい。この場合、操作者が撮像部位(若しくは血管)を指定することにより、処理回路33は、血管の種類に応じた観察方向を記憶装置から読み出すことができる。
【0130】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、1つの焦点を有するX線管球11が適用される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線管球11として、2つの焦点を有するステレオX線管球が適用される場合であってもよい。ステレオX線管球は、2つの焦点を切り替えながらX線を照射するX線管球である。
【0131】
すなわち、第2の実施形態に係るDSA画像生成機能331は、第1のDSA画像データ及び第2のDSA画像データのそれぞれを、ステレオX線管球を用いて同一の期間に生成する。そして、パラメトリック画像生成機能332は、2つの焦点を切り替える時間差を補正した上で、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データを生成する。
【0132】
図13は、第2の実施形態に係るステレオX線管球を用いた撮像について説明するための図である。
図13には、焦点F1と焦点F2とを有するステレオX線管球を用いて撮像する場合を例示する。
【0133】
図13に示すように、DSA画像生成機能331は、X線トリガーボタンの押下を受け付けると、焦点F1と焦点F2とを切り替えながら時系列に沿った複数フレームのDSA画像データを生成する。つまり、DSA画像生成機能331は、1回の造影剤注入で、複数フレームの第1のDSA画像データと、複数フレームの第2のDSA画像データとを撮像する。言い換えると、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入条件やX線の照射条件が同一である状況下で複数フレームの第1のDSA画像データと、複数フレームの第2のDSA画像データとを撮像する。なお、第2の実施形態に係るDSA画像生成機能331の処理は、1回の造影剤注入で視差のある2つのDSA画像データを生成する点を除き、第1の実施形態にて説明した内容を同様であるので、説明を省略する。
【0134】
ここで、焦点F1と焦点F2との切り替えにより、各焦点で撮像されるDSA画像データには時間差が生じる。例えば、「焦点F1→焦点F2→焦点F1→焦点F2→・・・」の順で切り替えながら撮像される場合には、焦点F2で撮像された各フレームの撮像時間は、焦点F1で撮像された各フレームの撮像時間より時間差(例えば、0.1秒)分遅くなる。
【0135】
そこで、パラメトリック画像生成機能332は、焦点の切り替えにかかる時間差を補正した上で、第1のパラメトリック画像データ及び第2のパラメトリック画像データを生成する。例えば、「焦点F1→焦点F2→焦点F1→焦点F2→・・・」の順で切り替えながら撮像される場合には、1フレーム目の画像は焦点F1と焦点F2で撮影した画像がペアで記録される。この時ペアで記録された画像には同じ撮像時間が記録されている。例えば1フレーム目の焦点F1の画像の撮像時間が0秒だったとし、焦点F1の画像を撮像してから焦点F2の画像を撮像するまでの時間差を0.1秒とすると、焦点F2の画像の撮像時間は0.1秒となる。しかし記録時には焦点F1の画像と焦点F2の画像は1ペアの画像として記録されるため、1つの撮像時間が記録される。その結果焦点F2の画像の撮像時間は実際の撮像時間と誤差を生じる。そこでパラメトリック画像生成機能332は、焦点F2で撮像された各フレームの撮像時間それぞれに焦点F1の画像を撮像してから焦点F2の画像を撮像するまでの時間差(今回の例では0.1秒)を加算する。これにより、焦点F1で撮像された各フレームの撮像時間と焦点F2で撮像された各フレームの撮像時間との時間差を補正する。そして、パラメトリック画像生成機能332は、各フレームの撮像時間の時間差が補正されたDSA画像データを用いて、パラメトリック画像データを生成する。なお、第2の実施形態に係るパラメトリック画像生成機能332の処理は、焦点F1の画像を撮像してから焦点F2の画像を撮像するまでの時間差を補正する点を除き、第1の実施形態にて説明した内容を同様であるので、説明を省略する。
【0136】
このように、2つの焦点を有するステレオX線管球が適用される場合であっても、X線診断装置1は、パラメトリックイメージングにおいて立体視可能な画像を提供することができる。
【0137】
なお、上記の説明はあくまで一例であり、上記の例に限定されるものではない。例えば、上記の説明では、ステレオX線管球が適用される場合を説明したが、これに限らず、例えば、焦点位置を電磁偏向により切り替えるフライングフォーカスが適用される場合であってもよい。つまり、第2の実施形態は、2つの焦点を切り替えながらX線を照射するX線管球を用いる場合に適用可能である。
【0138】
(第3の実施形態)
上記の実施形態では、撮像部位(注目領域)とC型アーム13の回転中心(Iso-Center)とが略一致している場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、注目領域をX線管球11に近づけてX線光学系での拡大率を上げることも可能である。
【0139】
図14は、第3の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示す図である。第3の実施形態に係るX線診断装置1は、
図1に例示したX線診断装置1と同様の構成を備え、処理回路33が注目領域同定機能334を更に備える点が相違する。そこで、第3の実施形態では、第3の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、
図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0140】
注目領域同定機能334は、注目領域を指定する操作を受け付けた場合に、撮像系機器に対する注目領域の位置を同定し、同定した注目領域の位置を撮像するように撮像系機器を制御する。なお、撮像系機器は、例えば、X線管球11、検出器12、及びC型アーム13を含む。
【0141】
図15〜
図19は、第3の実施形態に係る注目領域同定機能334の処理を説明するための図である。
図15〜
図19には、X線光学系での拡大率を上げる場合の注目領域及び撮像系機器の位置関係の遷移を例示する。なお、
図15では、SIDが1000[mm]であり、FOVが6[inch]であり、X線管球11の焦点からIso-Centerまでの距離が700[mm]である場合を説明する。なお、X線光学系での拡大率を上げる場合には、X線画像におけるぼけを防止するために最小の焦点サイズを用いるのが好適である。
【0142】
図15に示すように、注目領域同定機能334は、例えば、視点が異なる2つのX線透視画像上で注目領域を指定する操作を操作者から受け付けると、X線光学系での拡大率を決定する。具体的には、注目領域同定機能334は、X線透視画像上で注目領域の中心点及び注目領域の範囲を指定する操作を受け付けると、受け付けた注目領域の範囲を予め設定されたFOVで撮影できるように、X線光学系での拡大率を決定する。例えば、操作者により指定された注目領域の大きさが52.5[mm]であれば、SIDが1000[mm]であり、FOVが6[inch]であるので、注目領域同定機能334は、X線光学系での拡大率を2.86倍と算出する。この場合、X線管球11の焦点から注目領域の中心までの距離は350[mm]となるので、X線管球11の焦点からIso-Centerまでの距離(700[mm])と比較して非常に拡大率の大きい撮像となる。
【0143】
また、注目領域同定機能334は、X線透視画像上で指定された注目領域の中心点から、3次元空間(実空間)における注目領域の中心位置を同定する。つまり、注目領域同定機能334は、3次元空間における注目領域と撮像系機器との位置関係を同定する。
【0144】
続いて、
図16に示すように、視差角度を8度としてIso-Centerを中心としてC型アーム13の回転が行われると、検出器(FPD)12上に投影される注目領域の位置がシフトする。そこで、注目領域同定機能334は、このシフト量を同定し、同定したシフト量に応じて撮像系機器を制御する。なお、
図16では、回転後におけるX線管球11及び検出器12の位置を実線で表し、回転前におけるX線管球11及び検出器12の位置を破線で表す。
【0145】
例えば、
図17及び
図18に示すように、注目領域同定機能334は、シフトした注目領域が検出器12上に含まれる場合には、検出器12上で画像を読み込む領域をシフトさせる。例えば、注目領域同定機能334は、検出器12が12[inch]であれば、6[inch]の画像読み込み領域を69.9268[mm]シフトするように撮像系機器を制御する。なお、
図18では、回転(シフト)後における画像読み込み領域の位置を実線で表し、回転前における画像読み込み領域の位置を破線で表す。
【0146】
また、例えば、
図19に示すように、注目領域同定機能334は、シフトした注目領域が検出器12上に含まれない場合には、シフトした注目領域が検出器12上に含まれるようにC型アーム13を水平移動させる。
図19の例では、注目領域同定機能334は、検出器12の中心に注目領域の中心点が一致するように、C型アーム13を水平移動させる。なお、
図19では、水平移動後におけるX線管球11及び検出器12の位置を実線で表し、水平移動前におけるX線管球11及び検出器12の位置を破線で表す。
【0147】
このように、第3の実施形態に係るX線診断装置1は、撮像系機器に対する注目領域の位置を同定し、同定した注目領域の位置を撮像するように撮像系機器を制御する。これによれば、X線診断装置1は、X線光学系での拡大率を上げた場合にも、注目領域の中心点が常に視差画像の中心となるように撮像することができる。
【0148】
なお、X線光学系での拡大率を上げた場合には、視差画像である2つのパラメトリック画像データに描出される注目領域の大きさが異なってしまう場合がある。この場合、パラメトリック画像データ上で画像処理として拡大/縮小を行うことにより、注目領域の大きさを揃えるのが好適である。なお、立体視に影響を与えない程度の違いであれば、画像処理を行わずにステレオ表示に用いてもよい。
【0149】
なお、上記の説明はあくまで一例であり、上記の例に限定されるものではない。例えば、
図17では、画像読み込み領域をシフトさせる場合を説明したが、これに限らず、例えば、検出器12自体をシフトさせてもよい。具体的には、検出器12をシフトさせるための移動機構をC型アーム13が備える場合には、検出器12自体をシフトさせることができる。
【0150】
また、例えば、
図19では、C型アーム13の水平移動によって検出器12の中心に注目領域の中心点を一致させる場合を説明したが、水平移動のみでは一致させることができない場合も考えられる。この場合、例えば、
図17で説明した画像読み込み領域のシフトを組み合わせてもよい。また、検出器12の中心に注目領域の中心点が一致していなくても、検出器12の範囲内にあれば、撮像後にパラメトリック画像データ上で画像処理として平行移動を行うことにより一致させてもよい。
【0151】
また、上記の説明では、X線透視画像上で注目領域の中心点及び注目領域の範囲が指定される場合を説明したが、3次元画像上で指定されてもよい。例えば、操作者は、3次元画像のMPR(Multi Planar Reconstructions)断面上に注目領域の立体的な形状パターンを配置することで、3次元画像上で注目領域の中心点及び注目領域の範囲を指定してもよい。
【0152】
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0153】
(X線パラメトリックイメージング用撮像プログラム)
例えば、上記のX線パラメトリックイメージング用撮像プログラムでは、1度の条件設定(撮像条件、処理条件)により2方向の撮像を一連の処理として実行される。
【0154】
例えば、X線診断装置1は、撮像条件及び処理条件のうち少なくとも一つを、第1の差分画像データ及び第2の差分画像データの撮像、並びに、第1の差分画像データ及び第2の差分画像データを用いた処理において一致させることが予め設定された撮像設定情報を有する。この撮像設定情報は、例えば、X線診断装置1の記憶回路に記憶される。
【0155】
そして、処理回路33は、記憶回路に記憶された撮像設定情報を読み出して、読み出した撮像設定情報に基づいて、DSA画像生成機能331及びパラメトリック画像生成機能332を実行する。具体的には、処理回路33は、撮像設定情報において撮像条件及び処理条件を設定する操作を操作者から受け付ける。そして、処理回路33は、受け付けた撮像条件を用いて、第1の方向からの第1の差分画像データの生成と、第2の方向からの第2の差分画像データの生成とを実行する。また、処理回路33は、受け付けた処理条件を用いて、第1のカラー画像データの生成と、第2のカラー画像データの生成とを実行する。これにより、例えば、操作者は、1度の条件設定で2方向の撮像を行うことが可能となる。
【0156】
(画像処理装置)
また、上記の実施形態にて説明した内容は、X線診断装置に限らず、任意の画像処理装置においても実現可能である。
【0157】
すなわち、DSA画像生成機能331は、第1の方向から所定の撮像条件で時系列に撮影した造影画像データと非造影画像データを差分して第1の差分画像データを生成し、第2の方向から所定の撮像条件と略同一の撮像条件で時系列に撮影した造影画像データと非造影画像データを差分して第2の差分画像データを生成する。そして、パラメトリック画像生成機能332は、第1の差分画像データの各位置に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てた第1のカラー画像データを所定の処理条件で生成するとともに、第2の差分画像データの各位置に、画素値の経時的変化に応じたカラーを割り当てた第2のカラー画像データを所定の処理条件と略同一の処理条件で生成する。そして、表示制御機能333は、第1のカラー画像データ及び第2のカラー画像データに基づく立体視画像を表示させる。
【0158】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0159】
また、上記の実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0160】
また、上記の実施形態及び変形例で説明した撮像方法(画像診断支援方法)は、予め用意された撮像プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この撮像方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この撮像方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0161】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、パラメトリックイメージングにおいて立体視可能な画像を提供することができる。
【0162】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。