(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758954
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】トロカールチッププロテクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/115 20060101AFI20200910BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
A61B17/115
A61B17/34
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-130135(P2016-130135)
(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公開番号】特開2017-29704(P2017-29704A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2019年5月31日
(31)【優先権主張番号】14/810,979
(32)【優先日】2015年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ラミロ カブレラ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ポール
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド バレンタイン
【審査官】
高松 大
(56)【参考文献】
【文献】
特表2000−513631(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02676617(EP,A1)
【文献】
国際公開第2014/172215(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用システムであって、
外科用器具であって、前記外科用器具は、前記外科用器具に解放可能に結合された延長アセンブリを含み、前記延長可能アセンブリは、前記延長アセンブリの遠位端内に配置されたトロカール部材を含み、前記トロカール部材は、前記トロカール部材の外側表面に規定された係合特徴を含む、外科用器具と、
前記延長アセンブリに除去可能に取り付け可能であるアンビルアセンブリと、
前記トロカール部材の前記係合特徴に解放可能に結合された保護デバイスであって、これにより、前記トロカール部材のチップに隣接する障壁を提供する、保護デバイスと
を備える、外科用システム。
【請求項2】
前記保護デバイスは、前記保護デバイスの第1の端部に配置された複数の脚をさらに含み、前記複数の脚は、前記保護デバイスの前記第1の端部から軸方向に延びている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項3】
前記複数の脚は、前記複数の脚の内側表面に規定されたかかり部で終わり、前記かかり部は、前記外科用器具の前記トロカール部材の前記係合特徴を解放可能に係合するように構成されている、請求項2に記載の外科用システム。
【請求項4】
前記トロカール部材の前記係合特徴は、前記トロカール部材の外側表面に規定されたリップであり、前記リップは、前記保護デバイスに配置された相補的係合特徴を係合するように構成されている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項5】
前記保護デバイスの第2の端部は、鈍いチップを規定する円錐構成を含み、これにより、臨床医が前記トロカール部材の前記チップと接触することを阻害する、請求項2に記載の外科用システム。
【請求項6】
環状溝が前記保護デバイスの外側表面に規定されており、前記環状溝は、前記保護デバイスを把持することを可能にするように構成されている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項7】
前記保護デバイスは、滅菌プロセスにおける使用のために適切な材料から形成されている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項8】
前記保護デバイスの第2の端部は、平面状の構成を規定する、請求項2に記載の外科用システム。
【請求項9】
前記保護デバイスの第2の端部は、フランジを含み、前記フランジは、前記第2の端部上に配置されており、かつ、把持するために構成されている、請求項2に記載の外科用システム。
【請求項10】
前記保護デバイスの前記第2の端部は、矩形の基部を含み、前記矩形の基部は、前記外科用器具のハウジングの外径より大きい外側周囲を有する、請求項8に記載の外科用システム。
【請求項11】
前記保護デバイスの前記第2の端部は、前記トロカール部材を取り囲むハウジングの外径より大きい外径を有するフランジを含む、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項12】
外科用デバイスを滅菌する方法であって、
外科用器具を提供することであって、前記外科用器具は、延長アセンブリの遠位端内に配置されたトロカール部材を含む前記外科用器具に解放可能に結合された延長アセンブリを含み、前記トロカール部材の少なくとも一部は、前記延長アセンブリの前記遠位端から突出し、前記トロカール部材は、前記トロカール部材の外側表面内に規定された係合特徴を含む、ことと、
前記延長アセンブリに除去可能に取り付け可能であるアンビルアセンブリを提供することと、
前記トロカール部材の前記係合特徴に解放可能に結合されるよう構成された保護デバイスを提供することと、
前記トロカール部材の尖った遠位チップが露出されるように、前記トロカール部材から前記アンビルアセンブリを除去することと、
前記トロカール部材上で、かつ、前記延長アセンブリの前記遠位端内に規定された空洞内に部分的に、前記保護デバイスが前記トロカール部材の前記係合特徴を解放可能に係合するまで前記保護デバイスを進めることであって、これにより、前記トロカール部材の前記尖った遠位チップに隣接する障壁を提供することと、
前記保護デバイスが解放可能に取り付けられた前記延長アセンブリを前記外科用器具から除去することと、
前記保護デバイスが解放可能に取り付けられた前記延長アセンブリを滅菌チャンバの中に置くことと
を含む、方法。
【請求項13】
前記保護デバイスを提供することは、その遠位端に配置された複数の脚を有する保護デバイスを提供することを含み、前記複数の脚は、前記保護デバイスから軸方向に延びており、かつ、前記複数の脚の内側表面上に規定されるかかり部で終わり、前記複数の脚の各かかり部は、前記トロカール部材の係合特徴を係合し、これにより、前記保護デバイスを前記トロカール部材に解放可能に結合する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記保護デバイスを提供することは、近位端を有する保護デバイスを提供することを含み、前記近位端は、鈍いチップを規定する円錐構成を含み、これにより、臨床医が前記トロカール部材の前記尖った遠位チップと接触することを阻害する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記保護デバイスを提供することは、外側表面に規定される環状溝を有する保護デバイスを提供することを含み、前記環状溝は、前記細長い本体を把持することを可能にするように構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記保護デバイスを提供することは、滅菌プロセスにおける使用のために適切な材料から構築されている保護デバイスを提供することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記保護デバイスを提供することは、近位端を有する保護デバイスを提供することを含み、前記近位端は、平面状構成を規定し、これにより、臨床医が前記トロカール部材の前記尖った遠位チップと接触することを阻害する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記保護デバイスを提供することは、近位端を有する保護デバイスを提供することを含み、前記近位端は、フランジを含み、前記フランジは、前記近位端上に配置されており、かつ、把持するために構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記外科用器具を提供することは、アダプタアセンブリを有する外科用器具を提供することを含み、前記アダプタアセンブリは、第1の端部上で前記外科用器具に選択的に固定され、かつ、第2の端部上で前記延長アセンブリに選択的に固定されるように構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記保護デバイスが解放可能に取り付けられた前記延長アセンブリを前記滅菌チャンバの中に置くことは、前記アダプタアセンブリおよび前記延長アセンブリを前記滅菌チャンバの中に置くことを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
1.技術分野
本開示は概して外科用ステープル留めデバイスに関する。より特定すれば、本開示は、再使用可能なアダプタのための選択的に除去可能な保護デバイス、および外科用ステープル留めデバイスの作動ユニットのための延長アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の背景
外科的手順において使用されるための動力付きおよび手動の外科用ステープル留めデバイスは、代表的には、ハンドルアセンブリおよびエンドエフェクタを含む。これらの外科用ステーブル留めデバイスのハンドルアセンブリの再使用を許容するため、そしてハンドルアセンブリが種々のエンドエフェクタとともに使用され得るように、アダプタアセンブリおよび延長アセンブリが、ハンドルアセンブリへの、および種々のエンドエフェクタへの選択的取り付けのために開発されている。使用後、これらアダプタおよび/または延長アセンブリは再使用のために滅菌され得る。
【0003】
多くのアダプタアセンブリおよび延長アセンブリは、遠位端から突出するトロカールを含む。トロカールは、組織を穿刺し、そしてアダプタまたは延長アセンブリをエンドエフェクタをより容易に整列させるためのガイドとして作用するために使用され得る。組織の穿刺を容易にするため、トロカールは代表的には、鋭い遠位チップを含む。
【0004】
外科的手順の間に、トロカールを有するアダプタまたは延長アセンブリが使用される例では、滅菌手順の準備において、アダプタおよび/または延長アセンブリのトロカールは剥き出しにされ、手術室要員またはアセンブリを取り扱うその他の要員に穿刺または裂傷の危険性を呈し得る。従って、動力付き、および/または手動のステープル留めデバイスの作動ユニットのために再使用可能なアダプタアセンブリおよび延長アセンブリのための取り外し可能な保護デバイスに対する必要性が存在する。
【0005】
要旨
本開示は、外科用器具および保護デバイスを含む外科用システムに関する。この外科用器具は、それに解放可能に連結された延長アセンブリを含み、そしてその遠位端内に配置されたトロカール部材を含む。トロカール部材は、その外側表面に規定される係合特徴を含む。保護デバイスは、トロカール部材の係合特徴に解放可能に連結され、それによって、トロカール部材のチップに隣接する障壁を提供する。
【0006】
保護デバイスはまた、その第1の端部に配置され、そしてそれから延びる複数の脚を含み得る。
【0007】
この複数の脚は、その内側表面に規定されるかかり部で終了し得る。このかかり部は、外科用器具のトロカール部材の係合特徴を解放可能に係合するように構成され得る。
【0008】
トロカール部材の係合特徴は、その外側表面に規定されるリップであり得る。このリップは、保護デバイス上に配置される相補的係合特徴を係合するように構成され得る。
【0009】
保護デバイスの第2の端部は、鈍いチップを規定する円錐構成を含み得、それによって、臨床医がトロカール部材のチップに接触することを阻害する。
【0010】
保護デバイスは、保護デバイスを把持することを可能にするよう構成された、その外側表面に規定される環状溝を含み得る。
【0011】
保護デバイスは、滅菌プロセスにおける使用のために適した材料から形成され得る。
【0012】
保護デバイスの第2の端部は、平面状の構成を規定し得る。
【0013】
保護デバイスの第2の端部は、それに配置されたフランジを含み得る。このフランジは、把持のために構成され得る。
【0014】
保護デバイスの第2の端部は、外科用器具のハウジングの外径より大きい外側周囲を有する矩形の基部を含み得る。保護デバイスの第2の端部は、トロカール部材を取り囲むハウジングの外径より大きな外径を有するフランジを含み得る。
【0015】
別の局面によれば、本開示は、外科用デバイスを滅菌する方法に関する。この方法は、解放可能に連結された延長アセンブリを有する外科用器具を提供する工程を含む。この延長アセンブリは、その遠位端内に配置されたトロカール部材を含み、このトロカール部材の少なくとも一部分は、この延長アセンブリの遠位端から突出する。このトロカール部材は、その外側表面内に規定される係合特徴を含む。
【0016】
この方法はさらに、トロカール部材の係合特徴に解放可能に連結されるように構成される保護デバイスを提供する工程、保護デバイスをトロカール部材上で、そして上記延長アセンブリの遠位端内に規定される空洞内に部分的に、保護デバイスがトロカール部材の係合特徴を解放可能に係合し、それによってトロカール部材の尖った遠位チップに隣接する障壁を提供するまで進める工程、保護デバイスを解放可能に取り付けて、外科用器具から延長アセンブリを取り除く工程、および保護デバイスを解放可能に取り付けて、延長アセンブリを滅菌チャンバに配置する工程を含む。
【0017】
上記方法はまた、その遠位端に配置された複数の脚を有する保護デバイスを含み得る。この複数の脚は、保護デバイスの遠位端から軸方向に延び、そしてその内表面上に規定されるかかり部で終了し得る。複数の脚の各かかり部は、トロカール部材の係合特徴を係合し得、それによって、保護デバイスをトロカール部材に解放可能に連結する。
【0018】
上記方法は、鈍いチップを規定する円錐構成を有する保護デバイスの近位端を含み得、それによって、臨床医がトロカール部材の尖った遠位チップと接触することを阻害する。
【0019】
保護デバイスは、細長い本体を把持することを可能にするように構成された、その外側表面に規定される環状溝を有し得る。
【0020】
上記方法は、滅菌プロセスにおける使用に適切な材料から構築される保護デバイス含み得る。
【0021】
上記方法は、平面状構成を規定する保護デバイスの近位端を含み得、それによって、臨床医がトロカール部材の尖った遠位チップと接触することを阻害する。
【0022】
上記方法は、把持するために構成されたその上に配置されるフランジを含む保護デバイスの近位端を含み得る。
【0023】
上記方法は、第1の端部上で外科用器具に選択的に固定され、そして第2の端部上で延長アセンブリに選択的に固定されるように構成されたアダプタアセンブリを有する外科用器具を含み得る。
【0024】
上記方法は、解放可能に取り付けられた保護デバイスを含む、アダプタアセンブリおよび延長アセンブリを滅菌チャンバに配置する工程を含み得る。
【0025】
より特定すれば、本明細書は以下の項目に関する構成を記載している。
(項目1)
外科用システムであって、
解放可能に連結された延長アセンブリを含む外科用器具であって、上記延長可能アセンブリが、上記延長アセンブリの遠位端内に配置されたトロカール部材を含み、上記トロカール部材が、その外側表面に規定される係合特徴を含む、外科用器具;および
上記トロカール部材の係合特徴に解放可能に連結された保護デバイスであって、それによって上記トロカール部材のチップに隣接する障壁を提供する、保護デバイスを備える、外科用システム。
(項目2)
上記保護デバイスがさらに、その第1の端部に配置された複数の脚を含み、上記複数の脚が、それから軸方向に延びる、上記項目に記載の外科用システム。
(項目3)
上記複数の脚が、その内側表面に規定されるかかり部で終わり、上記かかり部が、上記外科用器具のトロカール部材の係合特徴を解放可能に係合するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科用システム。
(項目4)
上記トロカール部材の係合特徴が、その外側表面に規定されるリップであり、上記リップが上記保護デバイスに配置された相補的係合特徴を係合するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科用システム。
(項目5)
上記保護デバイスの第2の端部が、鈍いチップを規定する円錐構成を含み、それによって臨床医が上記トロカール部材のチップと接触することを阻害する、上記項目のいずれかに記載の外科用システム。
(項目6)
上記保護デバイスの外側表面に環状溝が規定され、上記環状溝が、上記保護デバイスを把持することを可能にするように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科用システム。
(項目7)
上記保護デバイスが、滅菌プロセスにおける使用のために適切な材料から形成される、上記項目のいずれかに記載の外科用システム。
(項目8)
上記保護デバイスの第2の端部が、平面状の構成を規定する、上記項目のいずれかに記載の外科用システム。
(項目9)
上記保護デバイスの第2の端部が、把持するために構成されたその上に配置されたフランジを含む、上記項目のいずれかに記載の外科用システム。
(項目10)
上記保護デバイスの第2の端部が矩形の基部を含み、上記矩形の基部が上記外科用器具のハウジングの外径より大きい外側周囲を有する、上記項目のいずれかに記載の外科用システム。
(項目11)
上記保護デバイスの第2の端部が、上記トロカール部材を取り囲むハウジングの外径より大きい外径を有するフランジを含む、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目12)
外科用デバイスを滅菌する方法であって:
外科用器具を提供する工程であって、上記外科用器具が、延長アセンブリの遠位端内に配置されたトロカール部材を含む上記外科用器具に解放可能に連結された延長アセンブリを含み、上記トロカール部材の少なくとも一部が、上記延長アセンブリの上記遠位端から突出し、上記トロカール部材が、その外側表面内に規定された係合特徴を含む、工程;
上記トロカール部材の係合特徴に解放可能に連結されるよう構成された保護デバイスを提供する工程;
上記保護デバイスを、上記トロカール部材上で、そして上記延長アセンブリの遠位端内に規定される空洞内に部分的に、上記保護デバイスが上記トロカール部材の係合特徴を解放可能に係合するまで進める工程であって、それによって上記トロカール部材の尖った遠位チップに隣接する障壁を提供する工程;
上記保護デバイスを上記延長アセンブリに解放可能に取り付けて、上記延長アセンブリを上記外科用器具から取り出す工程;および
上記保護デバイスを上記延長アセンブリに解放可能に取り付けて、滅菌チャンバ中に上記延長アセンブリを置く工程、を含む、方法。
(項目13)
上記保護デバイスを提供する工程において、その遠位端に配置された複数の脚を有する保護デバイスが含まれ、上記複数の脚が、上記保護デバイスから軸方向に延び、そして上記複数の脚の内側表面上に規定されるかかり部で終わり、上記複数の脚の各かかり部が上記トロカール部材の係合特徴を係合し、それによって上記保護デバイスを上記トロカール部材に解放可能に連結する、上記項目に記載の方法。
(項目14)
上記保護デバイスを提供する工程において、鈍いチップを規定する円錐構成を含む保護デバイスの近位端が含まれ、それによって、臨床医が上記トロカール部材の尖った遠位チップと接触することを阻害する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
上記保護デバイスを提供する工程において、外側表面に規定される環状溝を有する保護デバイスが含まれ、上記環状溝が上記細長い本体を把持することを可能にするように構成される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記保護デバイスを提供する工程において、滅菌プロセスにおける使用のために適切な材料から構築される保護デバイスが含まれる、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記保護デバイスを提供する工程において、平面状構成を規定する保護デバイスの近位端が含まれ、それによって、臨床医が上記トロカール部材の尖った遠位チップと接触することを阻害する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
上記保護デバイスを提供する工程において、保護デバイスの近位端が含まれ、上記近位端がその上に把持するために構成されたフランジを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
上記外科用器具を提供する工程において、第1の端部上で上記外科用器具に選択的に固定され、そして第2の端部上で上記延長アセンブリに選択的に固定されるように構成されたアダプタアセンブリがさらに含まれる、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
上記保護デバイスを上記延長アセンブリに解放可能に取り付けて、滅菌チャンバ中に上記延長アセンブリを置く工程において、上記延長センブリに解放可能に取り付けられた上記保護デバイスが含まれ、上記アダプタアセンブリおよび上記延長アセンブリを、滅菌チャンバ中に置くことが含まれる、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0026】
(摘要)
外科用器具および保護デバイスを含む外科用システムが含まれる。この外科用システムは、延長アセンブリを有する外科用器具を含み、延長アセンブリは外科用器具に解放可能に連結される。この延長アセンブリは、この延長アセンブリの遠位端内に配置されたトロカール部材を含み、そしてこのトロカール部材は、その外側表面に規定される係合特徴を含む。上記保護デバイスは、上記トロカール部材の係合特徴に解放可能に連結され、それによって上記トロカール部材のチップに隣接する障壁を提供する。外科用デバイスを滅菌する方法もまた、提供される。
【0027】
より特定すれば、本明細書は以下の項目に関する構成を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の上記およびその他の局面、特徴、および利点は、添付の図面と組み合わせて読まれるとき、以下の詳細な説明を考慮してより明らかになる。
【
図1】
図1は、パーツが分離された、本開示の実施形態に従う、トロカールチッププロテクタとの使用のために適した動力付き外科用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【
図2】
図2は、取り付けられたローディングユニットおよびアンビルアセンブリとともに示される、
図1の動力付き外科用ステープル留めデバイスのアダブタアセンブリおよび延長アセンブリの側面図である。
【
図3】
図3は、
図2のアンビルアセンブリが取り除かれた、
図1の動力付き外科用ステープル留めデバイスの延長アセンブリの遠位端の側方断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の延長アセンブリのトロカールアセンブリの前からの斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、線4A−4Aに沿ってとった
図1のトロカールアセンブリの側方断面図である。
【
図5】
図5は、本開示の例示の実施形態に従って提供されるトロカールチッププロテクタの前からの斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の例示の実施形態に従って提供される別のトロカールチッププロテクタの前からの斜視図である。
【
図7】
図7は、本開示の例示の実施形態に従って提供される別のトロカールチッププロテクタの前からの斜視図である。
【
図8】
図8は、
図2の延長アセンブリのトロカール上で進められた
図6のトロカールチッププロテクタの斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、線8A−8Aに沿ってとった、
図8の延長アセンブリの遠位端の側方断面図である。
【
図9】
図9は、本開示によるトロカールチッププロテクタとの使用に適した、手動の外科用ステープル留めデバイスの斜視図である。
【
図10】
図10は、本開示の例示の実施形態に従って提供される別のトロカールチッププロテクタの斜視図である。
【
図11】
図11は、
図2の延長アセンブリのトロカール上を進められた、
図10のトロカールチッププロテクタの側方断面図である。
【0029】
実施形態の詳細な説明
ここで、本開示の実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、図面においては、いくつかの図面の各々において、同様の参照番号は、同一または対応する要素を指定している。本明細書で用いられるとき、用語「臨床医」は、医師、看護師、または任意の他の介護提供者をいい、そして援助要員を含み得る。本説明の全体で、用語「近位」は、臨床医により近いデバイスまたはその構成要素の部分をいい、そして用語「遠位」は、臨床医からより遠いデバイスまたはその構成要素の部分をいう。さらに、以下の図面および説明において、前、後、上、下、頂部、底部および類似の方向の用語は、単に記載の簡便さのために使用され、そして本開示を制限することは意図されない。以下の説明において、周知の機能または構成は、不必要な詳細で本開示をあいまいにすることを避けるために詳細には記載されない。
【0030】
図1を参照して、トロカールチッププロテクタ(保護デバイス)200(
図5)との使用に適した動力付き外科用ステープル留めデバイス(外科用器具)が示され、そして概して参照番号100によって識別される。動力付き外科用ステープル留めデバイス100は、アダプタアセンブリ110、延長アセンブリ120、およびハンドルアセブリ130を含む。
図1に示されるように、ハンドルアセンブリ130は、アダプタアセンブリ110との選択的接続のために構成され、そして次にアダプタアセンブリ110は、延長アセンブリ120との選択的接続のために構成される。延長アセンブリ120は、ステープルの円形アレイ(示されてはいない)を組織(示されてはいない)に付与するために、円形のローディングユニット140(
図2)およびアンビルアセンブリ144(
図2)との選択的接続のために構成される。
【0031】
ハンドルアセンブリ130は、ハンドルハウジング132および下部ハウジング部分134、下部ハウジング部分134から延び、そして/またはそれに支持される中間ハウジング部分136、および中間ハウジング部分136上から延び、そして/またはそれに支持されそれる上部ハウジング部分138を含む。上部ハウジング部分138の遠位半分セクションは、アダプタアセンブリ110の対応する駆動連結アセンブリ(示されてはいない)を受容するように構成された鼻または接続部分138aを規定する。例示の外科用デバイスの構造および機能の詳細な説明については、その全体が本明細書中に参考として援用される本出願人が所有する米国特許出願公開第2012/0253329号を参照されたい。
【0032】
アダプタアセンブリ110は、ハンドルアセンブリ130の接続部分138aへの作動可能な接続のために構成された近位端112、および延長アセンブリ120への作動可能な接続のために構成された遠位端114を含む。例示のアダプタアセンブリの構造および機能の詳細な説明については、その全体が本明細書中に参考として援用される本出願人が所有する米国特許出願公開第2012/0253329号を参照されたい。
【0033】
延長アセンブリ120は、ステープルの円形のアレイ(示されてはいない)を組織(示されてはいない)に付与するために、アダプタアセンブリ110を、円形のローディングユニット140(
図2)およびアンビルアセンブリ144(
図2)と作動可能に接続するように構成される。延長アセンブリ120は、アダプタアセンブリ110の遠位端114と作動可能に接続するように構成された近位端122を含む。延長アセンブリ120の遠位端124は、ローディングユニット140およびアンビルアセンブリ144と作動可能に接続するように構成される。任意の適切なローディングユニット、アンビルアセンブリ、およびアダプタアセンブリが延長アセンブリ120とともに利用され得ることが予期される。例示のローディングユニットおよびアンビルアセンブリは、本出願人が所有する米国特許第8,590,763号および米国特許出願第14/056,301号および同第14/149,355号に記載され、各々の内容は、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0034】
図3に最良に示されるように、延長アセンブリ120は、延長アセンブリ120の外側スリーブ126内に配置され、そして遠位端124から突出するトロカールアセンブリ150(
図3、4、および4A)を含む。トロカールアセンブリは、遠位端155aを備えたハウジング155を含む。トロカールアセンブリ150の遠位端は、尖ったチップ152aを有するほぼ円筒形の構成を規定するトロカール部材152を含む。トロカール部材152の近位端は、その外側表面内に規定され、そしてアンビルアセンブリ144を選択的に係合するように適合された近位に面するリップ154aを形成する環状溝154を含む。
図5を参照して、本開示に従って提供されるトロカールチッププロテクタ(保護デバイス)の例示の実施形態が示され、そして概して参照番号200によって識別される。トロカールチッププロテクタ200は、近位端212および遠位端214を含む細長い本体210を含む。細長い本体210は、概して円形の断面を含むとして示されるが、細長い本体210は、正方形、矩形、八角形などのような任意の適した形状を含み得ることが予期される。近位端212は、概して鈍いチップ212aを規定する、ほぼ円錐の形状を規定するとして示される。凹部216は、細長い本体210の外側表面に規定され、そして臨床医が細長い本体210を容易に把持することを可能にするように適合される。概して円形の形状を有するとして示されてはいるが、凹部216は、把持の容易さを可能にする任意の適した形状を含み得ることが予期される。複数の脚218が、遠位端214から遠位に延び、そしてかかり部220中で終わる。各脚218のかかり部220は、半径方向の内方に、かかり部220がトロカール部材152の環状溝154を解放可能に係合し得るように延びる。このようにして、かかり部220は、外部力なくして環状溝154の近位に面するリップ154a上を遠位に通過すること(例えば、脚214はリップ154aの上方にかつそれの上に偏向する)を禁止される。
図8および8Aに最良に示されるように、トロカールチッププロテクタ200は、尖った遠位チップ152aがトロカールチッププロテクタ200の本体210内に位置決めされ、それによって臨床医が鋭い遠位チップ152aと接触することを阻害するまで、トロカール部材152上を進む。トロカールチッププロテクタ200は、4つの脚を有するとして概して示されてはいるが、トロカールチッププロテクタ200が、トロカール部材152の環状溝154を解放可能に係合することを可能にする、2、3、5、6などのような任意の適切な数の脚が採用され得ることが予期される。認識され得るように、トロカールチッププロテクタ200は、金属、ポリマー、または複合材料のような、滅菌プロセスの間の使用のために任意の適切な材料から構築され得る。
【0035】
作動においては、
図1〜7を参照して、手順が患者に対して実施され、そしてローディングユニット140が発射された後、延長アセンブリ120は、アダプタアセンブリ110から除去され得る。アダプタアセンブリ110および延長アセンブリ120の両方が、ハンドルアセンブリ130からともに除去され得ることがまた予期される。延長アセンブリ120をアダプタアセンブリ110から除去した後、アンビルアセンブリ144は、トロカール部材152から除去され得、そしてその後、ローディングユニット140が延長アセンブリ120の遠位端から除去され得、それによって、トロカール部材152の鋭い遠位チップ152aを剥き出す。この時点で、トロカールチッププロテクタ200は、トロカール部材152の尖った遠位チップ152a上を、そして延長アセンブリ120の外側スリーブ126の遠位端124に規定される空洞126a中に進行され得る。トロカールチッププロテクタ200は、トロカール部材152上を、トロカールチッププロテクタ200のかかり部220がトロカール部材152の環状溝154を完全に係合するまで続けて進められ得、その結果、トロカールチッププロテクタ200の一部が空洞126a内に配置され、そしてトロカールチップ152aは本体210内に位置決めされる。トロカールチッププロテクタ200は、従って、尖った遠位チップ152aに隣接する障壁を提供し、そして臨床医またはその他の人によるそれとの接触を阻害する。このようにして、臨床医またはその他の人は、尖った遠位チップ152aとの接触から生じ得る穿刺創傷または擦り傷から保護される。延長アセンブリ120は、それに固定されたトロカールチッププロテクタ200を備え、次いで適切な滅菌チャンバ中に配置され得、そして滅菌プロセスが開始し得る。アダプタアセンブリ110、延長アセンブリ120、およびトロカールチッププロテクタ200は、組み立てられたユニットとして適切な滅菌チャンバ内に配置され得ることが予期される。滅菌プロセスが終了した後、延長アセンブリ120は、トロカールチッププロテクタ200をそれに取り付けられたままで、適切な滅菌チャンバから取り出され得、そして新たなローディングユニット140がそれに設置される準備が整うまで傍らに置かれる。この時点でのみ、トロカールチッププロテクタ200がトロカール部材152から取り除かれ、それによって臨床医を、上記に記載のプロセスの間に任意の擦り傷または穿刺創傷から保護する。
【0036】
ここで
図6を参照して、本開示の別の例示の実施形態に従って提供されるトロカールチッププロテクタ(保護デバイス)の別の実施形態が示され、そして概して参照番号300によって識別される。トロカールチッププロテクタ300は、本体310、凹部316、および本体310の遠位端314から延びる脚318上のかかり部320を含む。従って、トロカールチッププロテクタ300は、近位端312がほぼ平面状の構成を規定することを除いて、トロカールチッププロテクタ200に実質的に類似している。作動において、トロカールチッププロテクタ300は、トロカールチッププロテクタ200の様式と同様の様式で利用され、そしてそれ故、簡潔さのために、トロカールチッププロテクタ300の作動の詳細な説明は、本明細書中には与えられない。
【0037】
ここで、
図7を参照して、本開示に従うトロカールチッププロテクタ(保護デバイス)のなお別の例示の実施形態が示され、そして概して参照番号400によって識別される。トロカールチッププロテクタ400は、本体410、凹部416、および本体410の遠位端414から延びる脚418上のかかり部420を含む。それ故、トロカールチッププロテクタ400は、近位端412が細長い本体410の外径より大きい外径を備えた円形形状を有するフランジ412aを規定するフレア付遠位端を含むことを除いてトロカールチッププロテクタ200に実質的に類似している。フランジ412aのより大きな外径は、臨床医が把持するために大きな表面積を提供する。近位端412の近位表面412bは、その中に形成された窪みを有するとして概して示されているが、近位表面412bは、凸状、平面状などのような任意の適切な形状を含み得ることが予期される。作動において、トロカールチッププロテクタ400は、トロカールチッププロテクタ200の様式と同様の様式で利用され、そしてそれ故、簡潔さのために、トロカールチッププロテクタ400の作動の詳細な説明は、本明細書中には与えられない。
【0038】
本明細書中でトロカールチッププロテクタは、動力付き外科用ステープル留めデバイスに関して記載されているが、本発明のトロカールチッププロテクタはまた、手動のステープル留めデバイスとの使用のために適切であることが勿論理解されるべきである。例えば、
図9を参照して、本開示に従うトロカールチッププロテクタとの使用に適切な手動の外科用ステープル留めデバイスが示され、そして概して参照番号500によって識別される。手動の外科用ステープル留めデバイス500は、概して、ハンドルアセンブリ150、それから遠位に延び、そして遠位端524で終わる延長アセンブリ520を含む。トロカールアセンブリ550は、延長アセンブリ520内に配置され、そしてそれから遠位に延びる。トロカールアセンブリ550は、上記で説明された延長アセンブリ120のトロカールアセンブリ150のそれと類似であり、そしてそれ故、簡潔さのために、トロカールアセンブリ550の詳細は、本明細書中では詳細に論議されない。例示の手動の外科用ステープル留めデバイスの構造および機能の詳細な説明については、米国特許出願公開第2014/0263548号への参照がなされ得、その内容はその全体が本明細書中に援用される。作動において、トロカールチッププロテクタは、トロカールアセンブリ550に選択的に、動力付き外科用デバイス100に関して上記に記載した方法と類似の様式で固定され得る。
【0039】
ここで、
図10および11を参照して、本開示に従うトロカールチッププロテクタ(保護デバイス)の別の例示の実施形態が示され、そして概して参照番号600によって識別される。トロカールチッププロテクタ600は、本体610、凹部616、および本体610の遠位端614から延びる脚618上のかかり部620を含む。それ故、トロカールチッププロテクタ600は、近位端612が矩形の基部617を含むことを除いて先に開示されたトロカールチッププロテクタ200、300、400に実質的に類似している。矩形の基部617は、本体610の外径およびローディングユニット140の外径より大きい外側周囲を有する。基部617の矩形の構成は、トロカールチッププロテクタ300の近位端312(
図6)およびトロカールチッププロテクタ400のフランジ412a(
図7)の表面積よりも大きい表面積を提供する。基部617のこの増加した表面積は、基部617が水平表面(例えば、テーブル、カウンタートップなど)上に配置されることを可能にし、その結果、臨床医がアダプタアセンブリ110をトロカールチップアセンブリ600に向かって、トロカールアセンブリ150の突出する尖ったチップ152aが本体610中に受容され、それによって、臨床医が鋭い遠位チップ152aと接触することを阻害するように押し得る。基部617の増加した表面積は、高い程度の安定性を提供し、そして基部617が、臨床医が尖ったチップ152aを本体610に挿入している間に移動またはふらつく可能性を低減する。さらに、トロカールチッププロテクタ600は、凹部616の近位に位置するフランジ615を有する。フランジ615は、遠位端614および脚618より大きい外径を有する。フランジ615の外径はまた、トロカールアセンブリ150のハウジング155の外径より大きい。フランジ615の外径がハウジング155の外径より大きいので、トロカールチッププロテクタ600は、トロカールチッププロテクタ600がトロカールアセンブリ150に連結される間、臨床医がトロカールアセンブリ150を完全に後退することを防ぐ。トロカール部材152の近位移動の量は、トロカール部材152の近位移動が、フランジ615がハウジング155の遠位端155aに接し、それによってトロカール部材152のさらなる近位移動を阻害するまで、トロカールチッププロテクタ600の対応する近位移動を引き起こすので、制限される。
【0040】
当業者は、本明細書に詳細に説明され、そして添付の図面に示されるデバイスおよび方法が非制限的な例示の実施形態であることを理解し得る。1つの例示の実施形態と組み合わせて示されるか、または説明される要素および特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく別の要素および特徴と組み合わせられ得ることが想定される。同様に、当業者はさらに、上記に記載の実施形態に基づく本開示のさらなる特徴および利点を認識し得る。従って、本開示は、添付の請求項によって示されるようなものを除き、詳細に示され、および記載されるものによって制限されない。