特許第6758975号(P6758975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6758975外科手術用ステープル留め器具のための装填ユニットロッキングバンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758975
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】外科手術用ステープル留め器具のための装填ユニットロッキングバンド
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   A61B17/115
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-143243(P2016-143243)
(22)【出願日】2016年7月21日
(65)【公開番号】特開2017-23746(P2017-23746A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2019年6月18日
(31)【優先権主張番号】14/805,547
(32)【優先日】2015年7月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ポール シリカ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ペナ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック モズディエーズ
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−086795(JP,A)
【文献】 特開昭54−128194(JP,A)
【文献】 特開2016−123864(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0024594(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0132964(US,A1)
【文献】 米国特許第04207898(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位に延びる環状本体を有するシェルアセンブリであって、該環状本体は、互いに対向する2つのフック用開口部と、該フック用開口部の間に位置する突起用開口部と、外科手術用器具の一部分を受容するための中心通路を規定する、シェルアセンブリと、
ロッキングバンドであって、該ロッキングバンドは、2つの端部を有する弓形本体と、保持フックと、突起とを有し、該保持フックは、該本体の各端部に隣接して位置し、かつ、該本体の内側表面から延び、該突起は、該保持フックの間に位置し、かつ、該本体の内側表面から延び各保持フックは、該フック用開口部のそれぞれ1つの内部に配置されて、該ロッキングバンドの該端部のそれぞれ1つを該環状本体に保持し、該突起は、該装填ユニットを該外科手術用器具に固定するように、該突起用開口部を通って該中心通路内へと配置可能である、ロッキングバンド
を備える、装填ユニット。
【請求項2】
前記保持フックの各々は、脱係合した構成を有し、該保持フックの両方が該脱係合した構成にあるとき、前記突起は、前記突起用開口部を通って前記中心通路内に延びている、請求項1に記載の装填ユニット。
【請求項3】
前記本体の各端部は、前記保持フックのそれぞれ1つを、係合した構成の方に移動させるように、移動可能であり、その結果、該保持フックの一部分は、それぞれの前記フック用開口部と前記突起用開口部との間で、前記環状本体と係合し該保持フックの係合した位置の方への移動は、前記突起を、該環状本体の前記中心通路の外側に持ち上げて、前記外科手術用器具の前記一部分を前記ロッキングバンドから解放する、請求項2に記載の装填ユニット。
【請求項4】
前記環状本体は、前記フック用開口部の間に凹部を規定し、該凹部は、前記ロッキングバンドの前記本体を受容するように構成されている、請求項1に記載の装填ユニット。
【請求項5】
前記ロッキングバンドは、前記本体から遠位に延びるタブを備え前記シェルアセンブリは、前記凹部と連絡するタブ受部を規定し、該タブ受部は、該ロッキングバンドの該タブを受容して、該ロッキングバンドを該シェルアセンブリと回転方向に整列させるように構成されている、請求項4に記載の装填ユニット。
【請求項6】
前記タブは、前記突起と軸方向に整列している、請求項5に記載の装填ユニット。
【請求項7】
前記環状本体は、各フック用開口部に隣接する平坦部を備え、該平坦部は、互いに対して平行である面を規定する、請求項1に記載の装填ユニット。
【請求項8】
前記ロッキングバンドの各端部は、前記環状本体の前記平坦部のそれぞれ1つとスライド可能に係合する直線状の内側表面を有し、各保持フックは、該直線状の内側表面のそれぞれ1つから内向きに延びている、請求項7に記載の装填ユニット。
【請求項9】
前記ロッキングバンドの各端部は、移動止めを備え、前記移動止めは、前記それぞれの直線状の内側表面から内向きに延び、かつ、前記保持フックおよび前記突起から離れた位置にあり、前記環状本体の前記平坦部の各々は、該移動止めのそれぞれ1つを受容するように構成された移動止め用ウェルを規定する、請求項8に記載の装填ユニット。
【請求項10】
前記ロッキングバンドのロックされた構成において、該ロッキングバンドの各移動止めは、前記移動止め用ウェルのそれぞれ1つに受容されており、かつ、前記突起は、前記突起用開口部を通って前記中心通路内に位置しており該ロッキングバンドのロック解除された構成において、該ロッキングバンドの各移動止めは、該移動止め用ウェルのそれぞれ1つに受容されており、かつ、該突起は、該中心通路の外側に位置している、請求項9に記載の装填ユニット。
【請求項11】
前記ロッキングバンドの解放された構成において、前記移動止めのうちの少なくとも1つは、前記フック用開口部のそれぞれ1つの内部に配置されており、かつ、前記突起は、前記中心通路の外側に位置している、請求項10に記載の装填ユニット。
【請求項12】
近位に延びる環状本体を有するシェルアセンブリであって、該環状本体は、該環状本体の外側表面に規定された、互いから間隔を空けた2つの移動止め用ウェルと、該環状本体を通って延びる突起用開口部と、外科手術用器具の遠位端部分を受容するための中心通路を規定する、シェルアセンブリと、
2つの端部を有する弓形本体を有するロッキングバンドであって、各端部は、該本体の内側表面から延びる移動止めを有し、該本体は、該端部の間に位置する内向きに延びる突起を備え、該ロッキングバンドは、ロックされた構成と、ロック解除された構成と、解放された構成を有し、該ロックされた構成において、各移動止めは、それぞれの移動止め用ウェルに受容されており、かつ、該突起は、該突起用開口部を通って該中心通路内に延びており、該ロック解除された構成において、各移動止めは、それぞれの移動止め用ウェルに受容されており、かつ、該突起は、該中心通路の外側に位置しており該解放された構成において、少なくとも1つの移動止めは、該環状本体の周囲で、それぞれの移動止め用ウェルと該突起用開口部との間に位置しており、かつ、該突起は、該中心通路の外側に位置している、ロッキングバンド
を備える、装填ユニット。
【請求項13】
前記環状本体は、該環状本体の対向する側に、互いに対して平行である2つの平坦部を規定し、前記移動止め用ウェルのそれぞれ1つが、該平坦部の各々に規定されている、請求項12に記載の装填ユニット。
【請求項14】
前記シェルアセンブリは、フック用開口部を、前記移動止め用ウェルの各々と前記突起用開口部の各々との間に規定する、請求項12に記載の装填ユニット。
【請求項15】
前記ロッキングバンドは内向きに延びる保持フックを備え、該保持フックは、前記移動止めの各々と前記突起との間に位置し、該保持フックは、前記解放された構成で前記環状本体と係合して、該ロッキングバンドの前記端部のそれぞれ1つを前記環状本体に固定するように構成されている、請求項14に記載の装填ユニット。
【請求項16】
前記解放された構成において、前記少なくとも1つの移動止めは、前記フック用開口部のそれぞれ1つの内部に位置している、請求項14に記載の装填ユニット。
【請求項17】
前記環状本体は、該環状本体の対向する側に、互いに対して平行である2つの平坦部を規定し、前記移動止め用ウェルのそれぞれ1つおよび前記フック用開口部のそれぞれ1つが、該平坦部の各々に規定されている、請求項16に記載の装填ユニット。
【請求項18】
遠位端部分を有する外科手術用器具であって、該遠位端部分は、突起用窓を規定する、外科手術用器具と、
近位に延びる環状本体を有するシェルアセンブリを備える装填ユニットであって、該環状本体は、互いに対向する2つのフック用開口部と、該フック用開口部の間に位置する突起用開口部と、該外科手術用器具の該遠位端部分を受容する中心通路を規定する、装填ユニットと、
ロッキングバンドであって、該ロッキングバンドは、2つの端部を有する弓形本体と、保持フックと、突起とを有し、該保持フックは、該本体の各端部に隣接して位置し、かつ、該本体の内側表面から延び、該突起は、該保持フックの間に位置し、かつ、該本体の内側表面から延び各保持フックは、該フック用開口部のそれぞれ1つの内部に配置されて、該ロッキングバンドの端部のそれぞれ1つを該環状本体に保持し、該本体のロックされた構成において、該突起は、該環状本体の該突起用開口部および該外科手術用器具の該突起用窓を通して配置されて、該装填ユニットを該外科手術用器具の該遠位端部分に固定する、ロッキングバンド
を備える、外科手術用システム。
【請求項19】
前記環状本体は、内側表面から延び、かつ、前記シェルアセンブリの長手方向軸に対して平行であるキーを備え前記外科手術用器具の前記遠位端部分は、該遠位端部分の長手方向軸に対して平行であるキー溝を規定し、該キー溝は、該キーをスライド可能に受容して、該シェルアセンブリを該外科手術用器具の該遠位端部分に対して回転整列させ、そして固定する、請求項18に記載の外科手術用システム。
【請求項20】
前記遠位端部分は、互いに対向するフック用窓を規定し、該フック用窓の各々は、前記ロッキングバンドの前記保持フックのうちの1つを受容する、請求項18に記載の外科手術用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
1.技術分野
本開示は一般に、外科手術用ステープル留め器具に関する。より特定すると、本開示は、交換可能な装填ユニットを有する円形ステープル留め器具に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の背景
外科手術手順中に組織の部分を接合するように構成された外科手術用ステープル留め器具は、周知である。これらの器具は、その器具の長手方向軸に対して平行または横断方向に配向した直線状エンドエフェクタを備える。これらの器具はまた、円形エンドエフェクタを備える。代表的に、直線状ステープル留め器具は、使い捨て装填ユニットまたは交換可能カートリッジを備え、これは、このステープル留め器具が複数回使用されることを可能にする。これとは対照的に、従来の円形ステープル留め器具は代表的に、その器具に固定的に取り付けられたカートリッジまたはシェルアセンブリを備え、その結果、この器具は、1回の使用の後に処分されなければならない。
当該分野において、カートリッジまたはシェルアセンブリを円形ステープル留め器具に、取り外し可能であるがしっかりと固定して、このステープル留め器具の再使用を容易にするための、単純な、安価な器具が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
近位に延びる環状本体を有するシェルアセンブリであって、該環状本体は、互いに対向する2つのフック用開口部、該フック用開口部の間に位置する突起用開口部、および外科手術用器具の一部分を受容するための中心通路を規定する、シェルアセンブリ;ならびに
ロッキングバンドであって、該ロッキングバンドは、2つの端部を有する弓形本体、該本体の各端部に隣接して位置し、そして該本体の内側表面から延びる保持フック、および該保持フックの間に位置し、そして該本体の内側表面から延びる突起を有し、各保持フックは、該フック用開口部のそれぞれ1つの内部に配置されて、該ロッキングバンドの該端部のそれぞれ1つを該環状本体に保持し、該突起は、該装填ユニットを該外科手術用器具に固定するように、該突起用開口部を通って該中心通路内へと配置可能である、ロッキングバンド
を備える、装填ユニット。
(項目2)
上記保持フックの各々は、脱係合した構成を有し、該保持フックの両方が該脱係合した構成にあるとき、上記突起は、上記突起用開口部を通って上記中心通路内に延びている、上記項目に記載の装填ユニット。
(項目3)
上記本体の各端部は、上記保持フックのそれぞれ1つを、係合した構成の方に移動させるように、移動可能であり、その結果、該保持フックの一部分は、それぞれの上記フック用開口部と上記突起用窓との間で、上記環状本体と係合し、そして該保持フックの係合した位置の方への移動は、上記突起を、該環状本体の上記中心通路の外側に持ち上げて、上記外科手術用器具の上記一部分を上記ロッキングバンドから解放する、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目4)
上記環状本体は、上記フック用開口部の間に凹部を規定し、該凹部は、上記ロッキングバンドの上記本体を受容するように構成される、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目5)
上記ロッキングバンドは、上記本体から遠位に延びるタブを備え、そして上記シェルアセンブリは、上記凹部と連絡するタブ受部を規定し、該タブ受部は、該ロッキングバンドの該タブを受容して、該ロッキングバンドを該シェルアセンブリと回転方向に整列させるように構成されている、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目6)
上記タブは、上記突起と軸方向に整列している、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目7)
上記環状本体は、各フック用開口部に隣接する平坦部を備え、該平坦部は、互いに対して平行である面を規定する、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目8)
上記ロッキングバンドの各端部は、上記環状本体の上記平坦部のそれぞれ1つとスライド可能に係合する直線状の内側表面を有し、各保持フックは、該直線状の内側表面のそれぞれ1つから内向きに延びている、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目9)
上記ロッキングバンドの各端部は、上記それぞれの直線状の内側表面から内向きに延び、上記保持フックおよび上記突起から離れた位置にある、移動止めを備え、そして上記環状本体の上記平坦部の各々は、該移動止めのそれぞれ1つを受容するように構成された移動止め用ウェルを規定する、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目10)
上記ロッキングバンドのロックされた構成において、該ロッキングバンドの各移動止めは、上記移動止め用ウェルのそれぞれ1つに受容されており、そして上記突起は、上記突起用開口部を通って上記中心通路内に位置しており、そして該ロッキングバンドのロック解除された構成において、該ロッキングバンドの各移動止めは、該移動止め用ウェルのそれぞれ1つに受容されており、そして該突起は、該中心通路の外側に位置している、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目11)
上記ロッキングバンドの解放された構成において、上記移動止めのうちの少なくとも1つは、上記フック用開口部のそれぞれ1つの内部に配置されており、そして上記突起は、上記中心通路の外側に位置している、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目12)
近位に延びる環状本体を有するシェルアセンブリであって、該環状本体は、該環状本体の外側表面に規定された、互いから間隔を空けた2つの移動止め用ウェル、該環状本体を通って延びる突起用開口部、および外科手術用器具の遠位端部分を受容するための中心通路を規定する、シェルアセンブリ;ならびに
2つの端部を有する弓形本体を有するロッキングバンドであって、各端部は、該本体の内側表面から延びる移動止めを有し、該本体は、該端部の間に位置する内向きに延びる突起を備え、該ロッキングバンドは、ロックされた構成、ロック解除された構成、および解放された構成を有し、該ロックされた構成において、各移動止めは、それぞれの移動止め用ウェルに受容されており、そして該突起は、該突起用開口部を通って該中心通路内に延びており、該ロック解除された構成において、各移動止めは、それぞれの移動止め用ウェルに受容されており、そして該突起は、該中心通路の外側に位置しており、そして該解放された構成において、少なくとも1つの移動止めは、該環状本体の周囲で、それぞれの移動止め用ウェルと該突起用開口部との間に位置しており、そして該突起は、該中心通路の外側に位置している、ロッキングバンド
を備える、装填ユニット。
(項目13)
上記環状本体は、該環状本体の対向する側に、互いに対して平行である2つの平坦部を規定し、上記移動止め用ウェルのそれぞれ1つが、該平坦部の各々に規定されている、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目14)
上記シェルアセンブリは、フック用開口部を、上記移動止め用ウェルの各々と上記突起用開口部の各々との間に規定する、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目15)
上記ロッキングバンドは、上記移動止めの各々と上記突起との間に位置する、内向きに延びる保持フックを備え、該保持フックは、上記解放された構成で上記環状本体と係合して、該ロッキングバンドの上記端部のそれぞれ1つを上記環状本体に固定するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目16)
上記解放された構成において、上記少なくとも1つの移動止めは、上記フック用開口部のそれぞれ1つの内部に位置している、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目17)
上記環状本体は、該環状本体の対向する側に、互いに対して平行である2つの平坦部を規定し、上記移動止め用ウェルのそれぞれ1つおよび上記フック用開口部のそれぞれ1つが、該平坦部の各々に規定されている、上記項目のいずれかに記載の装填ユニット。
(項目18)
遠位端部分を有する外科手術用器具であって、該遠位端部分は、突起用窓を規定する、外科手術用器具;
近位に延びる環状本体を有するシェルアセンブリを備える装填ユニットであって、該環状本体は、互いに対向する2つのフック用開口部、該フック用開口部の間に位置する突起用開口部、および該外科手術用器具の該遠位端部分を受容する中心通路を規定する、装填ユニット;ならびに
ロッキングバンドであって、該ロッキングバンドは、2つの端部を有する弓形本体、該本体の各端部に隣接して位置し、そして該本体の内側表面から延びる、保持フック、および該保持フックの間に位置し、そして該本体の内側表面から延びる、突起を有し、各保持フックは、該フック用開口部のそれぞれ1つの内部に配置されて、該ロッキングバンドの端部のそれぞれ1つを該環状本体に保持し、該本体のロックされた構成において、該突起は、該環状本体の該突起用開口部および該外科手術用器具の該突起用窓を通して配置されて、該装填ユニットを該外科手術用器具の該遠位端部分に固定する、ロッキングバンド
を備える、外科手術用システム。
(項目19)
上記環状本体は、内側表面から延び、そして上記シェルアセンブリの長手方向軸に対して平行であるキーを備え、そして上記外科手術用器具の上記遠位端部分は、該遠位端部分の長手方向軸に対して平行であるキー溝を規定し、該キー溝は、該キーをスライド可能に受容して、該シェルアセンブリを該外科手術用器具の該遠位端部分に対して回転整列させ、そして固定する、上記項目に記載の外科手術用システム。
(項目20)
上記遠位端部分は、互いに対向するフック用窓を規定し、該フック用窓の各々は、上記ロッキングバンドの上記保持フックのうちの1つを受容する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用システム。
摘要
装填ユニットは、シェルアセンブリおよびロッキングバンドを備える。このシェルアセンブリは、近位に延びる環状本体を有する。この環状本体は、互いに対向する2つのフック用開口部、これらのフック用開口部の間に位置する突起用開口部、および外科手術用器具の一部分を受容するための中心通路を規定する。このロッキングバンドは、2つの端部を有する弓形本体、およびこの本体の各端部に隣接して位置し、そしてこの本体の内側表面から延びる保持フックを有する。これらの保持フックの各々は、フック用開口部のそれぞれ1つの内部にそれぞれ配置されて、このロッキングバンドの端部のそれぞれ1つをこの環状本体に保持する。この突起は、この装填ユニットを外科手術用器具に固定するように、この突起用開口部を通してこの中心通路内に配置可能である。
【0004】
要旨
本開示の1つの局面において、装填ユニットは、シェルアセンブリおよびロッキングバンドを備える。このシェルアセンブリは、近位に延びる環状本体を有する。この環状本体は、互いに対向する2つのフック用開口部、これらのフック用開口部の間に位置する突起用開口部、および外科手術用器具の一部分を受容するための中心通路を規定する。このロッキングバンドは、2つの端部を有する弓形本体を有し、保持フックが、この本体の各端部に隣接して位置し、そしてこの本体の内側表面から延びる。これらの保持フックの各々は、フック用開口部のそれぞれ1つの内部に位置して、このロッキングバンドの端部のそれぞれ1つをこの環状本体に保持する。この突起は、この装填ユニットを外科手術用器具に固定するように、この突起用開口部を通ってこの中心通路内に配置可能である。
【0005】
ある局面において、これらの保持フックの各々は、脱係合した構成を有する。これらの保持フックの両方がこの脱係合した構成にあるとき、突起は、突起用開口部を通って中心通路内に延び得る。本体の各端部は、保持フックのそれぞれ1つを、係合した構成の方に移動させるように、移動可能であり得、その結果、この保持フックの一部分は、環状本体に、その対応するフック用開口部と突起用窓との間で係合する。これらの保持フックの、係合した位置への移動は、この突起をこの環状本体の中心通路の外側に持ち上げて、この外科手術用器具の一部分をこのロッキングバンドから解放し得る。
【0006】
いくつかの局面において、突起用開口部は、フック用開口部の間の中間に位置する。突起は、保持フックの間の中間に位置し得る。環状本体は、これらのフック用開口部の間に凹部を規定し得る。この凹部は、ロッキングバンドの本体を受容するように構成され得る。このロッキングバンドは、この本体から遠位に延びるタブを備え得る。シェルアセンブリは、この凹部と連絡するタブ受部を規定し得る。このタブ受部は、このロッキングバンドのタブを受容して、このロッキングバンドをこのシェルアセンブリと回転方向に整列させるように構成され得る。このタブは、この突起と軸方向に整列し得る。
【0007】
特定の局面において、環状本体は、各フック用開口部に隣接する平坦部を備える。これらの平坦部は、互いに対して平行である面を規定し得る。ロッキングバンドの各端部は、この環状本体の平坦部のそれぞれ1つとスライド可能に係合する、直線状の内側表面を有し得る。保持フックの各々は、直線状の内側表面のそれぞれ1つから内向きに延び得る。このロッキングバンドの各端部はまた、それぞれの直線状の内側表面から内向きに延びる移動止めを備え得、この移動止めは、保持フックおよび突起から離れた位置に位置する。この環状本体の平坦部の各々は、移動止め用ウェルを規定し得る。これらの移動止め用ウェルの各々は、移動止めのそれぞれ1つを受容するように構成され得る。このロッキングバンドのロックされた構成において、このロッキングバンドの各移動止めは、移動止め用ウェルのそれぞれ1つに受容され得、そしてこの突起は、突起用開口部を通って中心通路内に位置し得る。このロッキングバンドのロック解除された構成において、このロッキングバンドの各移動止めは、移動止め用ウェルのそれぞれ1つに受容され得、そしてこの突起は、この中心通路の外側に位置し得る。このロッキングバンドの解放された構成において、これらの移動止めのうちの少なくとも1つは、フック用開口部のそれぞれ1つの内部に配置され得、そしてこの突起は、この中心通路の外側に位置し得る。
【0008】
本開示の別の局面において、装填ユニットは、シェルアセンブリおよびロッキングバンドを備える。このシェルアセンブリは、近位に延びる環状本体を有する。この環状本体は、この環状本体の外側表面に規定された、互いから間隔を空けた2つの移動止め用ウェル、この環状本体を通って延びる突起用開口部、および外科手術用器具の遠位端部分を受容する中心通路を規定する。このロッキングバンドは、2つの端部を有する弓形本体を有する。この弓形本体の各端部は、この本体の内側表面から延びる移動止めを有する。この本体は、内向きに延びる突起を備え、この突起は、これらの端部の間に位置する。この本体のロックされた構成において、各移動止めは、それぞれの移動止め用ウェル内に受容されており、そしてこの突起は、この突起用開口部を通ってこの中心通路内に延びている。この本体のロック解除された構成において、各移動止めは、それぞれの移動止め用ウェルに受容されており、そしてこの突起は、この中心通路の外側に位置している。この本体の解放された構成において、少なくとも1つの移動止めは、この環状本体の周囲で、それぞれの移動止め用ウェルと突起用開口部との間に位置しており、そしてこの突起は、この中心通路の外側に位置している。
【0009】
ある局面において、この環状本体は、互いに対して平行である2つの平坦部を、この環状本体の対向する側に規定する。移動止め用ウェルのそれぞれ1つが、これらの平坦部の各々に規定され得る。シェルアセンブリは、フック用開口部を、これらの移動止め用ウェルの各々と突起用開口部との間に規定し得る。ロッキングバンドは、内向きに延びる保持フックを備え得、この保持フックは、移動止めの各々と突起との間に位置する。これらの保持フックは、この環状本体を解放された構成に係合して、このロッキングバンドの端部のそれぞれ1つをこの環状本体に固定するように構成され得る。この解放された構成において、これらの移動止めのうちの少なくとも1つは、フック用開口部のそれぞれ1つの内部に位置している。この環状本体は、互いに対して平行である2つの平坦部を、この環状本体の対向する側に規定し得る。これらの移動止め用ウェルのそれぞれ1つと、これらのフック用開口部のそれぞれ1つとは、これらの平坦部の各々に規定され得る。
【0010】
本開示の別の局面において、外科手術用システムは、外科手術用器具、装填ユニット、およびロッキングバンドを備える。この外科手術用器具は、突起用開口部を規定する遠位端部分を有する。この装填ユニットは、近位に延びる環状本体を有するシェルアセンブリを備える。この環状本体は、互いに対向する2つのフック用開口部、これらのフック用開口部の間に位置する突起用開口部、およびこの外科手術用器具の遠位端部分を受容する中心通路を規定する。このロッキングバンドは、2つの端部を有する弓形本体、この本体の各端部に隣接して位置して、この本体の内側表面から延びる保持フック、およびこれらの保持フックの間に位置して、この本体の内側表面から延びる突起を有する。これらの保持フックの各々は、フック用開口部のそれぞれ1つの内部に配置されて、ロッキングバンドのそれぞれ1つの端部をこの環状本体に保持する。この本体のロックされた構成において、この突起は、この環状本体の突起用開口部およびこの外科手術用器具の突起用窓を通って配置されて、この装填ユニットをこの外科手術用器具の遠位端部分に固定する。
【0011】
ある局面において、この環状本体は、内側表面から延びるキーを備え、このキーは、シェルアセンブリの長手方向軸に対して平行である。この外科手術用器具の遠位端部分は、この遠位端部分の長手方向軸に対して平行である、キー溝を規定し得る。このキー溝は、このキーをスライド可能に受容して、このシェルアセンブリを、この外科手術用器具の遠位端部分に対して回転整列させ、そして固定し得る。この遠位端部分は、互いに対向するフック用窓を規定し得る。これらのフック用窓の各々は、このロッキングバンドの保持フックのうちの1つを受容し得る。
【0012】
本開示の別の局面において、外科手術用器具を提供する方法は、装填ユニットを外科手術用器具と整列させる工程、およびこの装填ユニットの環状本体をこの外科手術用器具の遠位端部分でスライドさせる工程を包含する。この装填ユニットをこの外科手術用器具と整列させる工程は、この装填ユニットの長手方向軸をこの外科手術用器具の遠位端部分の長手方向軸と整列させることを包含する。この装填ユニットとこの外科手術用器具とが整列するとき、この装填ユニットのシェルアセンブリの環状本体に規定された突起用開口部が、この外科手術用器具の遠位端部分を通して規定された突起用窓と回転方向に整列する。この装填ユニットの環状本体がこの外科手術用器具の遠位端部分上をスライドするとき、この遠位端部分は、この環状本体の周囲に位置するロッキングバンドの突起と係合して、この装填ユニットがこの遠位端部分上をスライドするとき、これらの突起用窓がこの突起用開口部と整列するまで、この突起を外向きに動かす。これらの突起用窓とこの突起用開口部が長手軸方向に整列しているとき、このロッキングバンドの本体の弾力が、この突起用窓を通してこの突起をスナップ留めして、この装填ユニットをこの外科手術用器具の遠位端部分に固定する。このロッキングバンドは、弓形本体を有し、この弓形本体は、各端部に隣接して位置する移動止めを備える。各移動止めは内向きに延び、そしてこの環状本体に規定されたそれぞれの移動止め用ウェルに選択的に受容されて、この環状本体がこの外科手術用器具の遠位端部分上をスライドするとき、この本体の端部をこの環状本体に固定する。
【0013】
ある局面において、この方法は、この装填ユニットをこの外科手術用器具の遠位端部分から取り外す工程を包含し得る。このロッキングバンドの本体の端部のうちの一方を、この突起に向かう方向に動かすことにより、この端部がこの環状本体に対してスライドし得、その結果、この移動止めは、それぞれの移動止め用ウェルから脱係合する。この本体は、この本体の端部を動かすことに応答して曲がり得、この突起を突起用窓から外すように動かし、その結果、この外科手術用器具の遠位端部分から外す。この突起が、この外科手術用器具の遠位端部分の突起用窓から外れているとき、この方法は、この装填ユニットを、この外科手術用器具の遠位端部分から取り外す工程を包含し得る。
【0014】
さらに、矛盾しない程度まで、本明細書中に記載される局面の任意のものが、本明細書中に記載される他の局面のうちのいずれかまたは全てと組み合わせて使用され得る。
【0015】
本開示の種々の局面が、図面を参照しながら本明細書中で以下に記載される。図面は、本明細書に組み込まれ、そして本明細書の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示による外科手術用システムの斜視図である。
【0017】
図2図2は、アダプタに連結された装填ユニットを備える、図1に示される外科手術用システムの遠位端部分の斜視図である。
【0018】
図3図3は、図2の装填ユニットおよびアダプタの遠位端部分の近位端からの斜視分解図である。
【0019】
図4図4は、図2の装填ユニットおよびアダプタの遠位端部分の分解図である。
【0020】
図5図5は、図2の装填ユニットの近位端からの斜視図である。
【0021】
図6図6は、図5の切断線6−6に沿って見た断面図である。
【0022】
図7図7は、装填ユニットのロッキングバンドがロックされた構成にある、図2のアダプタの遠位端部分と整列した図2の装填ユニットの側面図である。
【0023】
図8図8は、図7の切断線8−8に沿って見た断面図である。
【0024】
図9図9は、ロッキングバンドがロック解除された構成にある、図7の装填ユニットに部分的に受容された図7のアダプタの遠位端部分の側面図である。
【0025】
図10図10は、図9の切断線10−10に沿って見た断面図である。
【0026】
図11図11は、図9の切断線11−11に沿って見た断面図である。
【0027】
図12図12は、ロッキングバンドがロックされた構成にあり、そしてアンビルが取り外されている、図1の切断線12−12に沿って見た断面図である。
【0028】
図13図13は、図12の切断線13−13に沿って見た断面図である。
【0029】
図14図14は、装填ユニットのロッキングバンドが解放された構成にある、図9に示されるアダプタの遠位端部分および装填ユニットの側面図である。
【0030】
図15図15は、図14の切断線15−15に沿って見た断面図である。
【0031】
図16図16は、図14の切断線16−16に沿って見た断面図である。
【0032】
図17図17は、装填ユニットのロッキングバンドが解放された構成にある、図14に示されるアダプタの遠位端部分および装填ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
実施形態の詳細な説明
本開示の実施形態が、ここで図面を参照しながら詳細に記載される。図面において、同じ参照番号は、数枚の図の各々において、同一の要素または対応する要素を表す。本明細書中で使用される場合、用語「臨床医」とは、医師、看護師、または他の治療提供者をいい、補助人員を含み得る。本明細書全体にわたって、用語「近位」とは、デバイスまたはその構成要素の、臨床医に最も近い部分をいい、そして用語「遠位」とは、デバイスまたはその構成要素の、臨床医から最も遠い部分をいう。
【0034】
本開示は一般に、装填ユニットを、外科手術用器具の遠位端部分、または外科手術用器具のアダプタに取り外し可能に固定する、ロッキングバンドを有する装填ユニットに関する。このロッキングバンドは、このロッキングバンドの各端部に隣接する移動止めおよび保持フックを有し、これらは、この装填ユニットがこの外科手術用器具の遠位端部分に固定されたり取り外されたりするときに、このロッキングバンドがこの装填ユニットから外れることを防止する。
【0035】
図1および図2は、本開示の1つの実施形態による、装填ユニット10およびアダプタ100を図示する。装填ユニット10は、アダプタ100を介しての、動力式の、手で持つ電気機械式器具200への選択的な接続のために構成される。あるいは、装填ユニット10は、手動で起動されるハンドルアセンブリまたはステープル留め器具(例えば、本明細書中に参考として援用される米国特許第8,789,737号(「’737特許」)に記載されるもの)への接続のために構成され得る。このような実施形態において、このステープル留め器具の細長本体部分は、図1に示されるようなアダプタ100と類似の構成を有し得る。図示される実施形態において、装填ユニット10は、アダプタ100の遠位端部分110に取り外し可能に連結され、そしてステープルカートリッジ12、シェルアセンブリ20、および装填ユニット10をアダプタ100に取り外し可能に固定するための取付部材またはロッキングバンド40を備える。装填ユニット10はまた、アンビル90を備え得る。アダプタ100は、ステープル留め器具(例えば、電気機械式器具200)の動きを変換して、シェルアセンブリ20を起動させ、アンビル90とステープルカートリッジ12との近接を行うように、そして組織(図示せず)を縫合および切断するように、構成される。アダプタ100の近位端102は、このステープル留め器具に取り付け可能であり、ステープルカートリッジ12を起動させる。アダプタ100の近位端102は、’737特許に記載されるような手動で起動される器具に取り付けられて、ステープルカートリッジ12を起動させてもよいことが想定される。
【0036】
例示的なアダプタおよび装填ユニットの構造および機能の詳細な説明については、共有に係る米国仮特許出願第62/066,518号(2014年10月21日出願、発明の名称「Adapter, Extension, and Connector Assemblies for Surgical Devices」)を参照のこと。例示的な電気機械式器具の構造および機能の詳細な説明については、共有に係る米国特許出願第13/484,975号(2012年5月31日出願、現在、米国仮特許出願公開第2012/0253329号として公開されている)を参照のこと。これらの出願の各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0037】
図3および図4を参照すると、アダプタ100の遠位端部分110または外科手術用器具は管状であり、そして突起用窓112(図4)、フック用窓114、およびキー溝116を規定する。突起用窓112は、遠位端部分110を通って延び、そして遠位端部分110の遠位端111から、リフトセクション113によって間隔を空けている。フック用窓114は、遠位端部分110の遠位端111から近位に、遠位端部分110の長手方向軸に対して平行な方向に延びる。遠位端部分110は、2つのフック用窓114を規定し、各々が、遠位端部分110の周囲で互いに逆方向に、突起用窓112から等しい距離で位置する。フック用窓114の各々は、遠位端部分110の周囲で、突起用窓112からおよそ90°ずれ得、その結果、フック用窓114は、互いに直径方向に対向する。キー溝116は、フック用窓114の間に、遠位端部分110の突起用窓112の反対側に位置する。図示においては、キー溝116は、フック用窓114のうちの一方に隣接しており、そしてフック用窓114のうちの他方からは間隔を空けている。しかし、キー溝116はフック用窓114の間で等しく間隔を空けてもよく、その結果、キー溝116が突起用窓112と対向することが想定される。キー溝116は、遠位端部分110の遠位端111から近位に、遠位端部分110の長手方向軸に対して平行な方向に延びる。アダプタ100は、アダプタ100の遠位端部分110の近位端の周囲に位置する、近位ストップ118を備える。近位ストップ118は、遠位端部分110より大きい直径を有し、そしてシェルアセンブリ20がアダプタ100上に配置されるとき、シェルアセンブリ20の近位端の周囲に位置する。
【0038】
シェルアセンブリ20は、近位部分22を有し、この近位部分は、以下に詳述されるように、アダプタ100の遠位端部分110を受容するための中心通路21を規定する。近位部分22は、環状凹部24を規定する環状本体23を備える。環状凹部24は、環状本体23の周のおよそ半分に延び、そして平坦部26を、環状凹部24の各端部に備える。平坦部26は、互いに対して実質的に平行であり、そして環状本体23上で、互いからおよそ180°離れて位置する。シェルアセンブリ20はまた、保持リングまたは近位リング27を備え、このリングは、環状本体23の直径に等しいかまたはそれより大きい、一定の直径を有する。
【0039】
環状本体23は、キー36を備え、そして突起用開口部32、フック用開口部34、およびタブ受部38を規定する。突起用開口部32は、環状本体23を貫通し、そして環状凹部24内で、平坦部26の間のおよそ半分の位置に位置する。フック用開口部34は、シェルアセンブリ20の長手方向軸を横断する方向に、環状本体23の平坦部26を貫通する。各平坦部26は、移動止め用溝または移動止め用ウェル35を規定し、これは、フック用開口部34から間隔を空けており、そして環状凹部24から離れた位置にある。タブ受部38は、シェルアセンブリ20の近位部分22に、環状凹部24の遠位に、環状凹部と連絡するように規定される。タブ受部38は、突起用開口部32と整列し、そして環状凹部24から遠位に、シェルアセンブリ20の長手方向軸に対して平行な方向に延びる。キー36は、環状本体23の内側表面から、フック用開口部24の間に延びる。近位部分22はまた、係合凹部28(図3)を、平坦部26に隣接した、環状凹部24から離れた位置に規定し得る。
【0040】
ロッキングバンド40は、本体42を備え、この本体は、端部44、突起52、保持フック54、移動止め55、およびタブ58を有する。本体42は、弓形または半円筒形の形状であり、そしてシェルアセンブリ20の環状本体23の周囲の環状凹部24に受容されるようなサイズである。突起52は、端部44の間のおよそ中間に位置し、そして本体42の内側表面から延びる。突起52は、角度の付いた近位表面53aおよび垂直な遠位ロッキング表面53bを備え、その結果、突起52は、実質的に楔の形状である。
【0041】
本体42の各端部44は、直線状または平坦な内側表面45を有し、この内側表面は、反対側の端部44の平坦な内側表面45に対して実質的に平行である。各保持フック54は、本体42の端部44に隣接して位置し、そして平坦な内側表面45から内向きに延びる。各保持フック54は、支持部材142およびフック部材144を備える。支持部材142は、平坦な内側表面45から垂直に、反対側の平坦な内側表面45に向かって延びる。フック部材144は、平坦な内側表面45に対して実質的に平行に、突起52に向かって延びる。フック部材144は、他方の保持フック54のフック部材144の平坦な外側表面146に対向する平坦な外側表面146、および端部44の平坦な内側表面45に対向する角度の付いた内側表面148を備える。フック部材144は、実質的に楔の形状であり、フック部材144の前端149は、フック部材144の後端145より小さい寸法を有する。各端部44はまた、移動止め55を備え、この移動止めは、平坦な内側表面45から突出し、そして保持フック54の支持部材142に隣接し、突起52から離れて位置する。本体42が環状凹部24に受容されるとき、タブ58は、本体42から遠位に、シェルアセンブリ20の長手方向軸に対して平行な方向に延びる。タブ58は、突起52と軸方向に整列し、そしてタブ受部38に受容されるようなサイズにされて、ロッキングバンド40をシェルアセンブリ20と位置合わせまたは整列させる。
【0042】
図5および図6をさらに参照すると、ロッキングバンド40の本体42は、シェルアセンブリ20の環状本体23の凹部24に受容されて、以下により詳細に記載されるように、シェルアセンブリ20をアダプタ100の遠位端部分110に選択的に固定する(図1)。ロッキングバンド40の本体42が凹部24に受容されるとき、タブ58は、本体42をシェルアセンブリ20の近位部分22と位置合わせまたは整列させ、その結果、突起52は突起用開口部32と整列し、そして各保持フック54はそれぞれのフック用開口部34と整列する。タブ58は、本体42と環状本体23との適切な整列に関して、見える印を提供する。突起52が突起用開口部32に受容されているとき、ロッキングバンド40は、シェルアセンブリ20に対する回転を防止される。
【0043】
図5および図6を続けて参照すると、保持フック54は、フック用開口部34内で脱係合した構成にある。この脱係合した位置において、保持フック54の後端145は、それぞれのフック用開口部34を規定する壁に隣接するか、またはこの壁と接触し、その結果、支持部材142は、それぞれのフック用開口部34を規定する壁に隣接するか、またはこの壁と接触する。この脱係合した位置において、移動止め55は、移動止め用ウェル35に受容されて、本体42のそれぞれの端部44が環状本体23に対して移動またはスライドすることを防止する。この脱係合した構成において、本体42のそれぞれの端部44は、端部44を突起52の方向にスライドさせるために、臨床医の指と係合し得る。この動きは、ロッキングバンド40の本体42を外向きに曲げて、それぞれの移動止め55をその移動止め用ウェル35から持ち上げ、そしてそれぞれの保持フック54をそのフック用開口部34から引き出す。
【0044】
図5および図6に示されるように、ロッキングバンド40をシェルアセンブリ20の近位部分22に選択的に連結するために、ロッキングバンド40は、内側平坦部45を近位部分22の平坦部26に置くことによって、近位部分22と整列する。内側平坦部45と環状本体23の平坦部26とが互いに接触しているとき、タブ58とタブ用凹部38との整列が目視確認されて、ロッキングバンド40の本体42が環状本体23と適切に整列していることを確認する。本体42が環状本体23と適切に整列しているとき、本体42に圧力が加えられ、その結果、本体42の端部44は、平坦部26上をスライドし、そして移動止め55は、それぞれの平坦部26と係合して、本体42を外向きに曲げる。端部44が平坦部26上をスライドすると、保持フック54は平坦部26と係合して、保持フック54がフック用開口部34と整列するまで、本体42の端部44を外向きに曲げる。保持フック54がフック用開口部34と整列すると、本体42の弾力は、端部44を内向きにスナップさせるかまたは曲げ、その結果、保持フック54はフック用開口部34を通過し、そして移動止め55は、フック用開口部34を越えた平坦部26と再度係合する。本体42に対するさらなる圧力は、図6に示されるように移動止め55が移動止め用ウェル35に受容されるまで、移動止め55を平坦部26に沿ってスライドさせる。移動止め55が移動止め用ウェル35に受容されるとき、移動止め55は、聞こえる印(例えば、「クリック音」)を提供して、臨床医に、ロッキングバンド40がシェルアセンブリ20の環状本体23に固定されたことを示し得る。移動止め55が移動止め用ウェル35に受容され、そして突起52が突起用開口部32を通過して中心通路21に入ったとき、ロッキングバンド40はロックされた構成にある。
【0045】
図7図13を参照すると、ロッキングバンド40は、以下に詳細に記載されるように、シェルアセンブリ20をアダプタ100の遠位端部分110または外科手術用器具に選択的に固定するために使用される。最初に図7および図8を参照すると、シェルアセンブリ20をアダプタ100に固定するために、シェルアセンブリ20の長手方向軸は、ロッキングバンド40がシェルアセンブリ20に連結された状態で、アダプタ100の遠位端部分110の長手方向軸と整列させられる。シェルアセンブリ20は、環状本体23のキー36が遠位端部分110のキー溝116と整列するように、アダプタ100の遠位端部分110と位置合わせまたは回転方向に整列させられる。シェルアセンブリ20がアダプタ100の遠位端部分110と回転方向に整列しているとき、遠位端部分110の突起用窓112は、シェルアセンブリ20の突起用開口部52と回転方向に整列し、そして遠位端部分110のフック用窓114は、シェルアセンブリ20のフック用開口部34と回転方向に整列する。
【0046】
図9図11を参照すると、シェルアセンブリ20とアダプタ100の遠位端部分110とが互いに長手軸方向および回転方向に整列しているとき、シェルアセンブリ20の環状本体23は、遠位端部分110上をスライドする。遠位端部分110が環状本体23の中心通路21に受容されるとき、キー36は、遠位端部分110のキー溝116に受容されて、シェルアセンブリ20をアダプタ100の遠位端部分110に対して回転方向に固定する。シェルアセンブリ20の環状本体23がアダプタ100の遠位端部分110上をスライドするとき、リフトセクション113(これは、遠位端部分110の遠位端111と突起用窓112との間に位置する)は、ロッキングバンド40の突起52と係合して、ロッキングバンド40をロックされた構成からロック解除された構成に移行させる。具体的には、リフトセクション113は、突起52の角度の付いた近位表面53aと係合して、本体42を外向きに曲げ、図10および図11に示されるように突起52が中心通路21の外側に位置するようになるまで、突起52を外向きに動かす。
【0047】
図11を特に参照すると、このロック解除された構成において、ロッキングバンド40の移動止め55は、環状本体23の移動止め用ウェル35の内部に配置されたままであり、突起52は、中心通路21の外側に位置する。図示されるように、ロッキングバンド40の本体42は、突起52が中心通路21の内部から移動するにつれて、ロッキングバンド40の端部44の間で外向きに曲がる。保持フック54はまた、フック用開口部34を規定する壁と係合して、ロッキングバンド40がシェルアセンブリ20の環状本体23から接続解除されるかまたは外れることを防止し得る。具体的には、フック部材144は、フック用開口部34を規定する壁を突起52に向けて捕捉して、移動止め55のうちの一方または両方がそれぞれの移動止め用ウェル35内から解放される場合でさえも、ロッキングバンド40を環状本体23に固定し得る。
【0048】
図12および図13を参照すると、アダプタ100の遠位端部分110を、環状本体23の中心通路21にさらに挿入すると、リフトセクション113がスライドして突起52の垂直表面53bを通過し、その結果、突起用窓112が移動して、突起用開口部32と整列する。これが起こるとき、ロッキングバンド40の本体42の弾力が突起52をスナップまたは推進して、アダプタ100の遠位端部分110の突起用窓112に入れ、その結果、ロッキングバンド40は、そのロックされた構成に戻る。突起52が突起用窓112内に位置するとき、突起52の垂直表面53b(図8)は、リフトセクション113と係合して、アダプタ100の遠位端部分110をシェルアセンブリ20の近位端22内に固定する(すなわち、垂直表面53bは、アダプタ100の遠位端部分110がシェルアセンブリ20の近位端22の中心通路21から引き出されることを防止する)。キー36は、キー溝116の端部に当接して、アダプタ100の遠位端部分110がシェルアセンブリ20内に過剰に延びることを防止し得る。さらに、または代替的に、保持フック54は、フック用窓114を規定する近位壁と係合して、遠位端部分110がシェルアセンブリ20内に過剰に延びることを防止し得る。図13を特に参照すると、突起52が突起用窓112内に位置してシェルアセンブリ20をアダプタ100に固定しているとき、移動止め55は移動止め用ウェル35に受容され、そして保持フック54はフック用窓114内に位置する。
【0049】
シェルアセンブリ20が外科手術用器具(例えば、アダプタ100)に連結されているとき、この外科手術用器具およびシェルアセンブリ20は、外科手術手順を実施するために使用され得る。外科手術手順が完了した後に、シェルアセンブリ20は、以下で詳細に議論されるように、外科手術用器具から連結解除され得るか、または外され得る。シェルアセンブリ20が外科手術用器具から連結解除されると、別のシェルアセンブリがこの外科手術用器具に連結されて、この外科手術手順における別のステープル留め操作を行い得る。あるいは、この外科手術用器具は、別の外科手術手順における使用のために滅菌され得るか、またはこの外科手術用器具は、処分され得る。さらに、使用済みシェルアセンブリ20は、別の外科手術手順における使用のために滅菌され得るか、または処分され得る。
【0050】
図14図17を参照すると、ロッキングバンド40は、シェルアセンブリ20をアダプタ100の遠位端部分110から連結解除または取り外すために操作され、その結果、シェルアセンブリ20は、アダプタ100の遠位端部分110から取り外し可能である。シェルアセンブリ20を取り外すために、ロッキングバンド40の端部44は、図14の矢印Fにより示されるように、突起52に向かう方向に移動またはスライドされて、ロッキングバンド40を解放された構成に移行させる。平坦部26は、端部44が臨床医の指によって係合可能であるように、ロッキングバンド40の端部44へのアクセスを提供する。図16に示されるように、ロッキングバンド40の端部44が突起52に向けて移動するとき、移動止め55は、移動して移動止め用ウェル35から出る。移動止め55が移動止め用ウェル35から持ち上げられると、保持フック54は、シェルアセンブリ20の環状本体23の一部分を引っ掛けるかまたは係合して、ロッキングバンド40がシェルアセンブリ20から分離することを防止する。具体的には、保持フック54のフック部材144は、環状本体23の、フック用開口部34と突起用開口部32との間の部分と係合する。フック部材144の前端149は、遠位端部分110のフック用窓114を規定する壁と係合し得、そして環状本体23は、支持部材142と係合して、ロッキングバンド40の端部44が突起用開口部32に向かう方向に過剰に動くことを防止し得る。端部44が突起52に向かう方向に動くと、ロッキングバンド40の本体42が曲がって、突起52を外向きに動かし、その結果、突起52は、アダプタ100の突起用窓112の外側に移動し、そして環状本体23の突起用開口部32の外側に移動し得る。
【0051】
図17を参照すると、ロッキングバンド40は、ロッキングバンド40の1つの端部44と係合することによって、シェルアセンブリ20をアダプタ100の遠位端部分110から取り外すために操作され得る。図17に示されるように、ロッキングバンド40の第一の端部44aが突起52に向かう方向に動くとき、第一の端部44aに隣接する第一の移動止め55aは、第一の移動止め用ウェル35aから脱係合し、そして第二の端部44bに隣接する第二の移動止め55bは、第二の移動止め用ウェル35bと係合したままになる。これが起こると、ロッキングバンド40の本体42が曲がり、その結果、突起52がアダプタ100の突起用窓112の外側に移動し、その結果、アダプタ100は、シェルアセンブリ20から分離可能になる。第一の端部44aに隣接する第一の保持フック54aは、環状本体23および/または遠位端部分110と係合して、上に詳述したのと類似の様式で、第一の端部44aが突起52に向かう方向に過剰に動くことを防止する。第二の端部44bに隣接する第二の保持フック54bおよび第二の移動止め55bは、環状本体23の特徴と係合して、第一の端部44aが突起52に向かう方向に動くとき、第二の端部44bの動きに抵抗するかまたはこの動きを防止する。具体的には、第二の保持フック54bの支持部材114bは、環状本体23のフック用開口部34を規定する壁と係合し、そして第二の移動止め55bは、移動止め用ウェル35bと係合して、本体42の第二の端部44bの、突起52から離れる方向への動きに抵抗するか、またはこの動きを防止する。
【0052】
本開示の数個の実施形態が図面に示されたが、本開示はこれらに限定されることを意図されない。なぜなら、本開示は当該分野が許容すると同程度に範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。上記実施形態の任意の組み合わせもまた想定され、そして添付の特許請求の範囲の範囲内である。本開示は、円形ステープル留め装填ユニットに限定されるものではなく、直線状ステープル留め器具または他の型の器具(例えば、電気焼灼器具もしくは超音波器具)のための装填ユニットへの用途も有する。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、他の改変を予測する。
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