(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1通気孔と、該第1通気孔に通じる前記第1空間を形成可能な前記第1空間形成部とで一組となる前記第1通気孔及び前記第1空間形成部、並びに前記第2通気孔と、該第2通気孔に通じる前記第2空間を形成可能な前記第2空間形成部とで一組となる前記第2通気孔及び前記第2空間形成部のうちの少なくとも一方が、複数組設けられている、請求項1に記載の液体容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に記載されるような収縮変形可能な内袋を有する容器本体を用いて高温充填を行い、製品とする場合には、冷却過程で容器内に生じる減圧を内袋の収縮変形によって吸収することができる。また、そのような製品を冷凍や加温した場合には内容物の膨張が生じるが、その膨張に伴って、内袋と外郭体との間に導入されていた外気が通気孔から排出され、内袋が膨張変形(容積を増加させる変形)するため、容器本体の外郭にいびつな膨張変形が生じることや、内容物の吹きこぼれが生じることを抑制できる。ここで、前述したような内袋を有する液体容器をさらに改良し、冷凍や加温後の保温性能を高められるとなお良い。
【0006】
本発明は、このような着想に基づいて開発されたもので、収縮変形可能な内袋と外郭体とを有する容器本体において、内容物を充填した状態において、内袋と外郭体との間に空気層を形成し、内容物の保温性能等を高めることができる液体容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液体容器は、
液体を収容する収容空間に通じる口部を有する容器本体と、前記口部に装着可能なキャップと、を備える液体容器であって、
前記容器本体の外郭を形成するとともに、第1通気孔及び第2通気孔を有する外郭体と、
前記外郭体の内側に配置されて前記収容空間を区画する内袋と、を備え、
前記内袋は、該内袋の収縮変形に伴って前記外郭体との間に前記第1通気孔に通じる第1空間を形成可能な第1空間形成部と、前記内袋の収縮変形に伴って前記外郭体との間に前記第2通気孔に通じる第2空間を形成可能な第2空間形成部と、を有し、
前記第1空間は、前記第1通気孔を通じて外気を導入可能且つ排出可能であり、
前記第2通気孔を通じて、前記第2空間への外気の導入を許容する一方、前記第2空間から前記液体容器の外部への外気の排出を阻止する逆止弁をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る液体容器では、前記第1通気孔と、該第1通気孔に通じる前記第1空間を形成可能な前記第1空間形成部とで一組となる前記第1通気孔及び前記第1空間形成部、並びに前記第2通気孔と、該第2通気孔に通じる前記第2空間を形成可能な前記第2空間形成部とで一組となる前記第2通気孔及び前記第2空間形成部のうちの少なくとも一方が、複数組設けられていることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る液体容器では、前記第1空間形成部と前記第2空間形成部とがそれぞれ複数設けられ、且つ、周方向に交互に配置されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る液体容器では、
前記容器本体は、前記口部と、該口部よりも拡径した円筒状をなす胴部と、該胴部の下端に連なる底部と、を有するボトル形状をなしており、
前記第1通気孔及び前記第1空間形成部は、3組設けられており、
前記第2通気孔及び前記第2空間形成部は、3組設けられており、
3つの前記第1空間形成部及び3つの前記第2空間形成部は、同一の周方向幅を有していることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る液体容器では、
前記第2通気孔は、前記口部に設けられており、
前記キャップは、前記口部の外周面に当接することによって、前記口部を周方向に包囲するとともに全ての前記第2通気孔と連通する環状空間を形成可能な包囲体を有し、
前記逆止弁は、前記包囲体に設けられた連通口を通じて、前記環状空間への外気の導入を許容する一方、前記環状空間から前記液体容器の外部への外気の排出を阻止するように、前記包囲体に配置されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る液体容器では、
前記包囲体は、前記環状空間内で垂下する筒状をなす垂下筒部を有し、
前記逆止弁は、前記垂下筒部の外周面に嵌合する環状の嵌合体と、該嵌合体の外周面に全周に亘って一体に形成され、前記包囲体に設けられた環状の弁座に全周に亘って着座可能な弁体と、を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る液体容器では、
前記キャップは、
前記口部にねじ部を介して着脱可能な有頂筒状のキャップ本体と、
前記キャップ本体の下端部に破断予定部を介して連結され、前記キャップが前記口部に一旦装着されると前記口部に抜け止め保持されるタンパーエビデンスリングと、を備え、
前記包囲体は、前記タンパーエビデンスリングによって構成されていることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る液体容器では、
前記容器本体は、
前記外郭体を構成する外層体と、
前記内袋を構成する内層体と、
前記外層体と前記内層体との間において前記口部から前記底部まで延在し、前記外層体と前記内層体との剥離を阻止する複数の接着帯と、を有するブロー成形品であり、
前記複数の接着帯により、前記第1空間形成部のそれぞれ、及び前記第2空間形成部のそれぞれが区画されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、収縮変形可能な内袋と外郭体とを有する容器本体において、内容物を充填した状態において、内袋と外郭体との間に空気層を形成し、内容物の保温性能等を高めることができる液体容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1〜
図9を参照して、本発明の一実施形態に係る液体容器1について詳細に例示説明する。なお、本明細書では、容器本体4の口部3について、中心軸線Oに沿う方向を「軸方向」と称し、中心軸線Oと直交する方向を「径方向」と称し、中心軸線Oを中心に周回する方向を「周方向」と称する。また、その他の筒状をなす部分についても、同様に、「軸方向」、「径方向」、「周方向」を定めるものとする。また、本明細書において上下方向とは、口部3の軸方向を意味し、上側とは口部3が位置する側、下側とは底部16が位置する側を意味する。
【0018】
図1〜
図3に示すように、本実施形態に係る液体容器1(
図3参照)は、液体Lを収容する収容空間2に通じる口部3を有する容器本体4と、口部3に装着可能なキャップ5と、を備える。なお、液体容器1の内容物となる液体Lの粘度は特に限定されず、液体Lは、例えば水のような低粘度のものや、ゼリー等の高粘度のものであってもよい。
【0019】
また、液体容器1は、容器本体4の外郭を形成するとともに、第1通気孔6及び第2通気孔7を有する外郭体8と、外郭体8の内側に配置されて収容空間2を区画する内袋9と、を備える。
図4〜
図7に示すように、内袋9は、該内袋9の収縮変形に伴って外郭体8との間に第1通気孔6(
図9参照)に通じる第1空間10を形成可能な第1空間形成部11(
図6参照)と、内袋9の収縮変形に伴って外郭体8との間に第2通気孔7(
図8参照)に通じる第2空間12を形成可能な第2空間形成部13(
図6参照)と、を有する。
【0020】
第1空間10は、
図9に示すように、第1通気孔6を通じて外気を導入可能且つ排出可能である。液体容器1は、
図8に示すように、第2通気孔7を通じて、第2空間12への外気の導入を許容する一方、第2空間12から液体容器1の外部への外気の排出を阻止する逆止弁14をさらに備える。
【0021】
本実施形態ではさらに、容器本体4は、口部3と、該口部3よりも拡径した筒状をなす胴部15と、該胴部15の下端に連なる底部16と、を有するボトル形状をなしている。しかしながら、容器本体4は、このようなボトル形状をなすものに限られない。
【0022】
また、第1通気孔6と、該第1通気孔6に通じる第1空間10を形成可能な第1空間形成部11とで一組となる第1通気孔6及び第1空間形成部11は、複数組設けられている。しかしながら、第1通気孔6及び第1空間形成部11は、複数組に限られず、1組のみ設けてもよい。
【0023】
また、第2通気孔7と、該第2通気孔7に通じる第2空間12を形成可能な第2空間形成部13とで一組となる第2通気孔7及び第2空間形成部13は、複数組設けられている。しかしながら、第2通気孔7及び第2空間形成部13は、複数組に限られず、1組のみ設けてもよい。
【0024】
また、第1空間形成部11と第2空間形成部13とは、周方向に交互に配置されている。しかしながら、そのような交互の配置は必須のものではない。
【0025】
また、胴部15は円筒状をなしており、第1通気孔6及び第1空間形成部11は、3組設けられており、第2通気孔7及び第2空間形成部13は、3組設けられており、3つの第1空間形成部11及び3つの第2空間形成部13は、同一の周方向幅W(
図6参照)を有している。しかしながら、そのような構成は必須のものではない。例えば、胴部6は、断面が楕円形状、矩形状、又は正多角形状等の筒状をなしていてもよい。なお、胴部6を断面が正多角形状の筒状をなすものとする場合には、接着帯は角部(稜線部)に位置させることが好ましい。
【0026】
また、第2通気孔7は、口部3に設けられている。キャップ5は、
図8に示したように、口部3の外周面に当接することによって、口部3を周方向に包囲するとともに全ての第2通気孔7と連通する環状空間17を形成可能な包囲体18を有する。逆止弁14は、包囲体18に設けられた連通口19を通じて、環状空間17への外気の導入を許容する一方、環状空間17から液体容器1の外部への外気の排出を阻止するように、包囲体18に配置されている。しかしながら、そのような構成は必須のものではない。例えば、第2通気孔7を胴部に設けてもよい。また、逆止弁14を容器本体4に設けてもよい。この場合、逆止弁14は、例えば、第2通気孔7に嵌合によって固定されるダックビル弁で構成してもよい。
【0027】
また、包囲体18は、環状空間17内で垂下する筒状をなす垂下筒部20を有する。逆止弁14は、垂下筒部20の外周面に嵌合する環状の嵌合体21と、該嵌合体21の外周面に全周に亘って一体に形成され、包囲体18に設けられた環状の弁座22に全周に亘って着座可能な弁体23と、を有する。しかしながら、そのような構成は必須のものではない。例えば、逆止弁14は、連通口19に嵌合によって固定されるダックビル弁で構成してもよい。
【0028】
また、キャップ5は、口部3にねじ部24(雄ねじ部25及び雌ねじ部26)を介して着脱可能な有頂筒状のキャップ本体27と、キャップ本体27の下端部に破断予定部28を介して連結され、キャップ5が口部3に一旦装着されると口部3に抜け止め保持されるタンパーエビデンスリング29と、を備える。包囲体18は、タンパーエビデンスリング29によって構成されている。しかしながら、そのような構成は必須のものではない。例えば、包囲体18は、キャップ本体27から分断不能に設けられていてもよい。
【0029】
また、容器本体4は、外郭体8を構成する外層体30と、内袋9を構成する内層体31と、外層体30と内層体31との間において口部3から底部16まで延在し、外層体30と内層体31との剥離を阻止する複数の接着帯32と、を有するブロー成形品である。また、複数の接着帯32により、第1空間形成部11のそれぞれ、及び第2空間形成部13のそれぞれが区画されている。しかしながら、そのような構成は必須のものではない。例えば、容器本体4は、外郭体8と内袋9とをそれぞれ成形した後に、内袋9を外郭体8内に配置、接着することによって得てもよい。
【0030】
以上、説明した本実施形態に係る液体容器1によれば、例えば高温充填を行った場合にその後の冷却に伴い、まず、内袋9内の減圧によって、外気が第1通気孔6を通じて内袋9の第1空間形成部11と外郭体8との間に導入され、第1空間10が形成される(
図5参照)。また、冷却がさらに進行すると、外気が逆止弁14と第2通気孔7とを通じて内袋9の第2空間形成部13と外郭体8との間に導入され、第2空間12が形成される(
図6参照)。したがって、内袋9内の減圧は内袋9の収縮変形によって吸収されるため、容器本体4の外郭にいびつな陥没変形を生じてしまうことが抑制される。
【0031】
なお、液体容器1は、逆止弁14の作動性の設定等により、第1空間10と第2空間12とが同時に形成されるように構成してもよい。また、高温充填を行うことは前提ではなく、液体容器1は、液体充填時以降に冷却されることによって、第1空間10及び第2空間12が形成されるように構成してもよい。また、初期剥離処理として、液体充填前の容器本体4の内袋9を吸引(減圧)し、強制的に外郭体8から剥離させ、その状態で液体L又は空気を充填して元の状態に戻すこともある。逆止弁を予め配置可能な構成とした場合には、このような初期剥離処理によって第2空間12を形成することもできる。そのような構成の例としては、キャップ5の頂壁を後付け可能な別体品として構成したり、第2通気孔7に逆止弁としてダックビル弁を直接取付けたりすることが考えられる。
【0032】
そして、その後、内容物を冷凍や加温することで内容積が膨張する際には、その膨張により、第1空間10からは外気が第1通気孔6を通じて液体容器1の外部へ排出されるため、内袋が膨張変形する(
図7参照)。したがって、容器本体の外郭にいびつな膨張変形が生じることや、内容物の吹きこぼれが生じることが抑制される。
【0033】
一方、第2空間12では、逆止弁14によって外気の排出が阻止される。したがって、前記内容積の膨張後に残される第2空間12を断熱層として活用することができるため、液体容器1の保温性能を高めることができる。また、この第2空間12の外側に位置する容器本体4の外周面部分は、消費者が把持する際に、冷たすぎたり、熱すぎたりせず、強度も十分に保たれた把持部として利用することもできる。
【0034】
また、液体容器1は、容器本体4がボトル形状をなしているので、飲料品の容器とするのに好適である。
【0035】
また、液体容器1は、第1通気孔6及び第1空間形成部11が複数組設けられているので、内袋に生じる減圧と内容積の膨張とを安定して吸収することができる。
【0036】
また、液体容器1は、第2通気孔7及び第2空間形成部13が複数組設けられているので、前記減圧を安定して吸収することができ、また、冷凍や加温後等の保温性能を効果的に向上させることができる。
【0037】
また、液体容器1は、第1空間形成部11と第2空間形成部13とが周方向に交互に配置されているので、前記減圧と前記膨張とをより安定して吸収することができ、また、前記保温性能をより効果的に向上させることができる。
【0038】
また、液体容器1は、胴部15が円筒状をなしており、3つの第1空間形成部11及び3つの第2空間形成部13が同一の周方向幅Wを有している。したがって、前述した減圧及び膨張の吸収機能と保温性能とをさらに効果的に発揮することができる。
【0039】
また、液体容器1は、逆止弁14が、包囲体18に設けられた連通口19を通じて、環状空間17への外気の導入を許容する一方、環状空間17から液体容器1の外部への外気の排出を阻止するように、包囲体18に配置されているので、第2通気孔7が複数設けられた場合であっても、これらに対して、単一の逆止弁14を設ければよく、構成を簡素化することができる。
【0040】
また、液体容器1は、逆止弁14が、環状の嵌合体21と、該嵌合体21の外周面に全周に亘って一体に形成された弁体23と、を有するので、逆止弁14の構成を簡素化することができる。
【0041】
また、液体容器1は、包囲体18がタンパーエビデンスリング29によって構成されているので、口部3を開放させた状態でも、保温性能及び把持性(強度)を良好に維持することができる。
【0042】
さらに、液体容器1は、容器本体4がブロー成形品であるので、その製造を容易なものとすることができる。
【0043】
以下に、本実施形態に係る液体容器1の各部の詳細について、例示説明する。
【0044】
容器本体4は、外層体30の合成樹脂材料と内層体31の合成樹脂材料とを積層させてチューブ状に押し出し、金型で挟み、内部に空気を吹き込んで中空品を成形するEBM成形(Extrusion Blow Moulding/押出ブロー成形法)によって形成されている。
【0045】
外層体30の材料には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)又はポリプロピレン(PP)等を用いることができる。内層体31の材料には、例えば、エチレン―ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)又はナイロン等を用いることができる。なお、外層体30及び内層体31の材料には、相互に相溶性が低い他の樹脂を用いることができる。また、外層体30と内層体31との間には、接着帯32が設けられている。
【0046】
なお、EBM成形に代えて、有底筒状に形成されたプリフォーム(容器素材)から中空品を形成する二軸延伸ブロー成形等のブロー成形によって形成してもよい。また、外層体30及び内層体31の層構成は、単層でも積層でもよい。
【0047】
容器本体4の口部3は、円筒状をなしている。なお、口部3は、円筒状以外の筒状をなしていてもよい。また、図示したように、胴部15の中心軸線は、口部3の中心軸線Oと一致している。
【0048】
口部3には、キャップ5を装着するためのねじ部24を構成する雄ねじ部25が設けられている。雄ねじ部25は、キャップ5に設けられた雌ねじ部26に螺合するように構成されている。なお、口部3にキャップ5を装着できれば、そのための構成は特に限定されない。例えば、ねじ部24に代えて、アンダーカット形状を介した嵌合によって装着する構成としてもよい。
【0049】
口部3における雄ねじ部25より下方の部分には、外郭体8を貫通する第1通気孔6が設けられている。なお、第1通気孔6は、他の部分に設けてもよく、例えば、胴部15に設けることもできる。
【0050】
口部3における第1通気孔6より下方の部分には、キャップ5のタンパーエビデンスリング29として構成された包囲体18を抜け止め保持するための係止リング部33が設けられている。係止リング部33は、口部3の全周に亘って径方向外側に突出している。なお、包囲体18をタンパーエビデンスリング29として構成するのではなく、キャップ本体27と分離不能に構成した場合には、係止リング部33を設ける必要はない。
【0051】
口部3における係止リング部33より下方の部分には、包囲体18に全周に亘って密着するための封止リング部34が設けられている。封止リング部34は、口部3の全周に亘って径方向外側に突出している。
【0052】
口部3における封止リング部34より下方の部分には、外郭体8を貫通する第2通気孔7が設けられている。なお、第2通気孔7は他の部分に設けてもよいことは、前述したとおりである。
【0053】
口部3における第2通気孔7より下方の部分には、包囲体18に全周に亘って密着するための封止段差部35が設けられている。封止段差部35は、口部3の全周に亘って径方向外側にフランジ状に延在する部分と、該部分の外周縁から垂下する筒状壁部分とで構成されている。封止段差部35の下端部には、円筒状をなす胴部15の上端部に向けて漸次拡径する円錐状の肩部42が設けられている。
【0054】
また、第1通気孔6と第2通気孔7とは、
図2に示すように、中心軸線Oの周りに60°毎に交互に配置されている。また、接着帯32は、口部3及び胴部15において、軸線Oを含む平面に沿って延在しており、また、中心軸線Oの周りに60°毎に配置されている。また、接着帯32と、第1通気孔6又は第2通気孔7とは、30°ずれて配置されている。
【0055】
キャップ5は、キャップ本体27と、タンパーエビデンスリング29と、を備える。有頂円筒状をなすキャップ本体27の頂壁の裏面には、パッキン36が配置されている。キャップ本体27の周壁の内周面には、雌ねじ部26が形成されている。
【0056】
キャップ本体27と、タンパーエビデンスリング29と、を繋ぐ破断予定部28は、周方向に等間隔を空けて配置された複数の連結片37からなっている。連結片37の相互間には、外気が径方向に通過可能な隙間が形成されている。なお、キャップ本体27、破断予定部28、タンパーエビデンスリング29は、例えば合成樹脂材料による射出成形によって一体に形成することができる。
【0057】
タンパーエビデンスリング29は、連結片37に連なる円筒状をなす上部周壁38と、上部周壁38の下端縁から径方向外側にフランジ状に延びるフランジ壁39と、フランジ壁39の外周縁から垂下する下部周壁40と、を有する。上部周壁38の下端縁からは、垂下筒部20が垂下している。
【0058】
上部周壁38の内周面には、液体容器1の製造過程において液体Lの充填後に行われるキャッピング時に、係止リング部33を上方から乗り越え、それ以降は係止リング部33に下方から係止することで、タンパーエビデンスリング29を口部3に抜け止め保持する係止片41が全周に亘って間欠状に形成されている。なお、係止片41は全周に亘って連続的に形成してもよい。
【0059】
上部周壁38及び垂下筒部20のうち、少なくとも一方の内周面は、封止リング部34の外周面に全周に亘って密着している。また、下部周壁40の内周面は、封止段差部35の外周面に全周に亘って密着している。したがって、口部3、上部周壁38又は垂下筒部20、フランジ壁39及び下部周壁40によって、環状空間17が区画されている。
【0060】
垂下筒部20の外周面には、逆止弁14の嵌合体21が嵌合により固定されており、嵌合体21の外周面に一体に形成された弁体23は、径方向外側に向けて軸方向下側に傾斜するように延びている。弁体23の外周縁は、弁座22を構成する下部周壁40の内周面に着座している。フランジ壁39には、1つ又は複数の連通口19が周方向に等間隔を空けて配置されている。
【0061】
このような液体容器1を製造する要領は、例えば以下のとおりである。まず、容器本体4をブロー成形し、ブロー成形後に口部3に対し後加工によって第1通気孔6及び第2通気孔7を形成する。そして、第1通気孔6及び第2通気孔7から空気を吹き込む、口部3から空気を吸引する等によって、内層体31を外層体30から剥離させた後、口部3から空気を吹き込む等により第1通気孔6及び第2通気孔7から空気を排出させ、内層体31を外層体30に沿った形状に戻す、初期剥離処理を施す。その後、内容物として液体Lを容器本体4に高温充填し、キャップ5を装着させる。キャップ5の装着に際しては、タンパーエビデンスリング29の係止片41が係止リング部33を乗り越えることで、タンパーエビデンスリング29が口部3に抜け止め保持される。
【0062】
液体充填時以降の冷却に際しては、まず、内袋9内の減圧によって、3つの第1空間形成部11及び3つの第2空間形成部13に外気が導入され、その減圧が吸収される。例えば、冷却の初期段階では、
図4に示した状態から、まず、3つの第1空間形成部11に、
図5に示したように外気が導入される。このとき各第1空間形成部11には、外気が、
図9に示したように破断予定部28の連結片37同士の隙間を通り、対応する第1通気孔6を通じて流入し、対応する第1空間10が形成される。
【0063】
冷却がさらに進むことにより、或いは第1空間10の形成と同時に、3つの第2空間形成部13にも、
図6に示したように外気が導入される。このとき、
図8に示したように、まず、内袋9内の減圧により、逆止弁14の弁体23が弁座22から離れる。そして、各第2空間形成部13には、外気が、連通口19から、環状空間17内で逆止弁14の弁体23と弁座22との隙間を通って、対応する第2通気孔7を通じて流入し、対応する第2空間12が形成される。このようにして、内袋9内の減圧は内袋9の収縮変形によって吸収されるため、容器本体4の外郭にいびつな陥没変形を生じてしまうことが抑制される。
【0064】
そして、その後、内容物を冷凍や加温することで内容積が膨張する際には、
図7に示したように、第1空間10内に取り入れていた外気が第1通気孔6を介して排出されるため、内袋が膨張変形する。したがって、容器本体の外郭にいびつな膨張変形が生じることや、内容物の吹きこぼれが生じることが抑制される。
【0065】
一方、第2空間12に取り入れていた外気は、逆止弁14の弁体23が弁座22に着座することで、液体容器1の外部への排出が阻止される。したがって、前記内容積の膨張後に残される3つの第2空間12を断熱層として活用することができるため、液体容器1の保温性能を高めることができる。また、3つの第2空間12の外側に位置する容器本体4の外周面部分は、消費者が把持する際に、冷たすぎたり、熱すぎたりせず、強度も十分に保たれた把持部として利用することもできる。
【0066】
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、前述したところは本発明の一例を示したにすぎず、発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変更を加えてよいことは言うまでもない。
【0067】
例えば、接着帯32は6か所に均等の周方向間隔で設けたが、液体Lの体積収縮、膨張率によっては、接着帯32を増減させたり、接着帯32の周方向幅を変更したり、設ける第1空間形成部11と第2空間形成部13の数の比率や周方向幅W等を変更したりすることができる。