【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1に係る工作機械の構造について、
図1から
図6Cを参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、工作機械1には、床面に水平に固定されるベッド11が設けられている。ベッド11には、水平方向(X軸方向)に移動可能なテーブル12が設けられており、このテーブル12には、被加工物であるワークWが載置(設置)されるようになっている。
【0025】
また、工作機械1には、ベッド11を跨ぐように門形のコラム13が設けられている。コラム13には、その前面に設置されて当該コラム13に対して鉛直方向(Z
1軸方向)に移動可能なクロスレール14が設けられており、このクロスレール14には、当該クロスレール14に対して水平方向(X軸と直交するY軸方向)に移動可能なサドル15が設けられている。サドル15には、当該サドル15に対して鉛直方向(Z
2軸方向)に移動可能なラム16が設けられており、このラム16の先端部(
図1においては、下方側端部)には、アタッチメント17が着脱可能に装着されている。
【0026】
図2に示すように、アタッチメント17は、ラム16の下面に固定される筒状の固定部21と、この固定部21に回転可能に支持される旋回部22と、この旋回部22に回転可能に支持されると共に工具Tが着脱可能に装着される主軸部23とから概略構成されている。アタッチメント17には、主軸回転モータ24が設けられており、この主軸回転モータ24によって主軸部23および工具Tが回転駆動されるようになっている。ここで、主軸部23および主軸回転モータ24は、旋回部22に内蔵されており、アタッチメント17の割出回転動作において旋回部22と共に固定部21に対して回転(旋回)されるようになっている。
【0027】
よって、工作機械1は、テーブル12と、クロスレール14と、サドル15と、ラム16と、アタッチメント17の主軸部23とを駆動することにより、テーブル12に設置されたワークWに所定の加工を施すことができ、ラム16に対してアタッチメント17を割出回転動作することによってワークWへの多面加工を行うことができる。
【0028】
ラム16には、アタッチメント17の割出回転動作に使用される割出回転モータ31と、この割出回転モータ31と連結されて当該割出回転モータ31によって回転駆動されるモータ回転ギヤ32と、このモータ回転ギヤ32と噛み合って当該モータ回転ギヤ32と共に回転駆動される割出回転ギヤ33とが設けられている。
【0029】
割出回転ギヤ33には、鉛直方向下側に延びる筒状(中空)の第一動力伝達軸34と、鉛直方向上側に延びる筒状(中空)の第二動力伝達軸35とがそれぞれ同軸心上に固定されており、割出回転モータ31によってモータ回転ギヤ32が回転駆動されると、割出回転ギヤ33と共に第一動力伝達軸34および第二動力伝達軸35が同軸心上で回転駆動されるようになっている。
【0030】
ここで、アタッチメント17における旋回部22の上部には、キー22aが設けられており、第一動力伝達軸34の下端部(
図1においては、下方側端部)には、キー22aと係合するキー溝34aが設けられている。よって、割出回転モータ31の駆動によって第一動力伝達軸34が回転駆動されると、当該第一動力伝達軸34の回転動作がキー22aおよびキー溝34aを介して旋回部22に伝達され、当該旋回部22(主軸部23および主軸回転モータ24を含む)が固定部21に対して回転(旋回)されるようになっている。
【0031】
また、ラム16の外殻であるハウジング36の下端部(
図1においては、下方側端部)およびアタッチメント17における旋回部22の上端部(
図1においては、上方側端部)には、互いに噛み合うハースカップリング36a,22bが設けられており、工作機械1におけるアタッチメント17の向き、すなわち、ラム16および固定部21に対する旋回部22の旋回角度が精度良く位置決めされるようになっている。なお、アタッチメント17の割出回転動作は、ハースカップリング36a,22bの噛み合いが解除された状態でなされる。
【0032】
図3に示すように、ラム16には、外部の電線との接続がなされる配線室S
1と、外部の管との接続がなされる配管室S
2とが設けられており、これら配線室S
1および配管室S
2は、第二動力伝達軸35の上端部近傍に位置している。
【0033】
図4Aに示すように、配線室S
1には、外部の多数の電線が集約される電線集約部41と、この電線集約部41に接続されてラム16内に配設される多数の電線42と、これら多数の電線42を第二動力伝達軸35の内部に案内する配線ユニット43とが設けられている。
【0034】
配線ユニット43は、電線42を保持する多数の電線ガイド部材51が連結されて成る長尺部材であり、隣接する電線ガイド部材51が互いに水平面内(第二動力伝達軸35の回転軸と直交する方向)で回転可能に連結されることによって可撓性を有する。
【0035】
配線ユニット43の長手方向一端に位置する電線ガイド部材51(ユニット一端部43a)は、電線集約部41の近傍に位置し、ハウジング36と接続された床面44に固定されている。また、配線ユニット43におけるユニット一端部43aの近傍には、略U字形状に湾曲されたユニット弛緩部43bが形成されており、配線ユニット43は、緊張せずに弛んだ状態で配設されている。ここで、ユニット弛緩部43bは、ユニット一端部43aから一方側(第二動力伝達軸35と反対の側であって、
図4Aにおいては右方側)へ向けて延びると共に他方側(第二動力伝達軸35の側であって、
図4Aにおいては左方側)へ向けて折り返されて成る。
【0036】
配線ユニット43の長手方向他端に位置する電線ガイド部材51(ユニット他端部43c)は、第二動力伝達軸35の近傍に位置し、第二動力伝達軸35の径方向外側に接続された略円盤形状の旋回盤45に固定されている。ユニット他端部43cは、第二動力伝達軸35および旋回盤45と共に回転され、配線ユニット43におけるユニット他端部43cの近傍には、第二動力伝達軸35の周りを周回するユニット周回部43dが形成されるようになっている。
【0037】
例えば、アタッチメント17の割出回転動作によって第二動力伝達軸35が一方側へ回転(
図4Aおよび
図4Bにおいては、左回転)されると、ユニット他端部43cが当該第二動力伝達軸35と共に一方側へ回転され、配線ユニット43は第二動力伝達軸35の周りに巻き取られるように湾曲動作される(
図4Aおよび
図4B参照)。このとき、ユニット弛緩部43bが短く(小さく)なることによってユニット周回部43dが形成されるので、配線ユニット43は緊張しないようになっている。
【0038】
一方、アタッチメント17の割出回転動作によって第二動力伝達軸35が他方側へ回転(
図4Aおよび
図4Cにおいては、右回転)されると、ユニット他端部43cが当該第二動力伝達軸35と共に他方側へ回転され、配線ユニット43は第二動力伝達軸35の周りから巻き出されるように湾曲動作される(
図4Aおよび
図4C参照)。このとき、ユニット弛緩部43bは長く(大きく)なることによって配線ユニット43の巻き出された余剰分が吸収されるので、ハウジング36等に干渉しないようになっている。
【0039】
また、
図4Aに示すように、配線室S
1には、配線ユニット43の湾曲動作(巻き取りおよび巻き出し)が円滑になされるように、当該配線ユニット43を案内する第一の案内板46aと、第二の案内板46bと、第三の案内板46cと、第四の案内板46dとが設けられている。
【0040】
第一の案内板46aは、第二動力伝達軸35から所定距離離間した略半円の環状部材であり、ユニット他端部43cの径方向外側に位置して旋回盤45に固定されている。第一の案内板46aの径方向外側には、配線ユニット43が巻き取られる(ユニット周回部43dが形成される)ようになっており、配線ユニット43が当該第一の案内板46aよりも径方向内側に突出しないようになっている。なお、第一の案内板46aの径方向内側には、ユニット他端部43cから第二動力伝達軸35の内部に案内される多数の電線42が配設されており、この多数の電線42が当該第一の案内板46aよりも径方向外側に突出しないようになっている。
【0041】
第二の案内板46bは、旋回盤45の周縁に沿う略半円の環状部材であり、旋回盤45の径方向外側に位置して床面44に固定されている。第二の案内板46bの径方向内側において、アタッチメント17の割出回転動作によって巻き出される配線ユニット43は、当該第二の案内板46bよりも径方向外側に突出せず、ユニット周回部43dからユニット弛緩部43bへ向けて円滑に案内されるようになっている。
【0042】
第三の案内板46cは、配線ユニット43に沿う略直線の板状部材であり、ユニット周回部43dとユニット弛緩部43bとの略中間であって配線ユニット43の外側(
図4Aにおいては、上方側)に位置して床面44に固定されている。第三の案内板46cの内側(
図4Aにおいては、下方側)において、アタッチメント17の割出回転動作によって巻き出される配線ユニット43は、当該第三の案内板46cよりも外側に突出せず、ユニット周回部43dからユニット弛緩部43bへ向けて円滑に案内されるようになっている。
【0043】
第四の案内板46dは、配線ユニット43に沿う略直線の板状部材であり、ユニット周回部43dとユニット弛緩部43bとの略中間であって配線ユニット43の内側(
図4Aにおいては、下方側)に位置して床面44に固定されている。第四の案内板46dの外側(
図4Aにおいては、上方側)において、アタッチメント17の割出回転動作によって巻き出される配線ユニット43は、当該第四の案内板46dの内側に突出せず、ユニット周回部43dからユニット弛緩部43bへ向けて円滑に案内されるようになっている。また、第四の案内板46dの外側において、アタッチメント17の割出回転動作によって巻き取られる配線ユニット43は、当該第四の案内板46dの内側に突出せず、ユニット弛緩部43bからユニット周回部43dへ向けて円滑に案内されるようになっている。
【0044】
つまり、第一の案内板46aおよび第二の案内板46bは、ユニット周回部43dの近傍に位置して配線ユニット43を挟んで配置されており、第三の案内板46cおよび第四の案内板46dは、ユニット周回部43dとユニット弛緩部43bとの間に位置して配線ユニット43を挟んで配置されており、これら第一の案内板46aと、第二の案内板46bと、第三の案内板46cと、第四の案内板46dとは、配線ユニット43の動作を規制して当該配線ユニット43の湾曲動作を案内している。
【0045】
図5Aから
図5Cに示すように、配線ユニット43を構成する電線ガイド部材51は、電線42が挿通(収容)される多数の挿通穴61aを有するガイド本体61と、このガイド本体61の鉛直方向(
図5Aおよび
図5Bにおいては、上下方向)両端部に設けられて隣接する電線ガイド部材51同士を連結する二つの連結板62とから成る。
【0046】
電線42は、挿通穴61aに挿通されることによって電線ガイド部材51に保持され、連結された多数の電線ガイド部材51に順に保持されることによって湾曲動作される配線ユニット43に沿って配設されるようになっている。また、多数の電線42は、電線ガイド部材51における多数の挿通穴61aにそれぞれ挿通されることにより、互いに絡まることなく保護されている。なお、配線ユニット43は、一つの挿通穴61aに一本の電線42のみが収容されるものに限定されず、一つの挿通穴61aに複数本の電線42が収容されるものであっても良い。
【0047】
電線集約部41と接続された多数の電線42は、ユニット一端部43aから配線ユニット43内に収容され、この配線ユニット43のユニット他端部43bから第二動力伝達軸35の内部に案内されている。なお、多数の電線42は、配線ユニット43内に収容された状態で電線集約部41と第二動力伝達軸35との間に配設されており、配線ユニット43と共に湾曲動作されるようになっている。
【0048】
図2および
図3に示すように、第二動力伝達軸35の内部に案内された多数の電線42は、第二動力伝達軸35内を当該第二動力伝達軸35に沿って(鉛直方向下側であって、
図2および
図3においては下方側へ向けて)配設されており、割出回転ギヤ33に形成された挿通穴33aおよび第一動力伝達軸34の内部を通って、アタッチメント17の旋回部22に接続されている。
【0049】
よって、割出回転モータ31によって割出回転ギヤ33が回転駆動されると、第一動力伝達軸34を介してアタッチメント17の旋回部22が回転されると共に、第二動力伝達軸35を介して旋回盤45とユニット他端部43cと当該ユニット他端部43cから第二動力伝達軸35内に案内される多数の電線42とが回転される。
【0050】
つまり、アタッチメント17の割出回転動作において、アタッチメント17の旋回部22、第一動力伝達軸34、割出回転ギヤ33、第二動力伝達軸35、旋回盤45、ユニット他端部43c、および、当該ユニット他端部43cから旋回部22まで配設された多数の電線42は、互いの相対位置(位相)が変わることはなく同時に回転される。そして、ユニット他端部43cおよび当該ユニット他端部43cから旋回部22まで配設された多数の電線42の回転動作は、配線ユニット43の湾曲動作によって吸収されるので、多数の電線42の緊張、捻れ、絡まり等が生じることはない。
【0051】
図6Aに示すように、配管室S
2には、外部の多数の管が集約される管集約部71と、この管集約部71に接続されてラム16内に配設される多数の管72と、これら多数の管72を第二動力伝達軸35の外周部に案内する配管ユニット73とが設けられている。
【0052】
配管ユニット73は、配線ユニット43と同様の構成であり、管72を保持する多数の管ガイド部材81が連結されて成る長尺部材であり、隣接する管ガイド部材81が互いに水平面内で回転可能に連結されることによって可撓性を有する。
【0053】
配管ユニット73の長手方向一端に位置する管ガイド部材81(ユニット一端部73a)は、管集約部71の近傍に位置し、ラム16の外殻であるハウジング36と接続された床面74に固定されている。また、配管ユニット73におけるユニット一端部73aの近傍には、略U字形状に湾曲されたユニット弛緩部73bが形成されており、配管ユニット73が緊張せずに弛んだ状態で配設されている。
【0054】
配管ユニット73の長手方向他端に位置する管ガイド部材81(ユニット他端部73c)は、第二動力伝達軸35の近傍に位置し、第二動力伝達軸35の径方向外側に接続された略円盤形状の旋回盤75に固定されている。ユニット他端部73cは、第二動力伝達軸35および旋回盤75と共に回転され、配管ユニット73におけるユニット他端部73cの近傍には、第二動力伝達軸35の周りを周回するユニット周回部73dが形成されるようになっている。
【0055】
また、
図6Aに示すように、配管室S
2には、配線室S
1と同様に、配管ユニット73の湾曲動作(巻き取りおよび巻き出し)が円滑になされるように、当該配管ユニット73を案内する第一の案内板76aと、第二の案内板76bと、第三の案内板76cと、第四の案内板76dとが設けられている。
【0056】
第一の案内板76aは、第二動力伝達軸35から所定距離離間した略半円の環状部材であり、ユニット他端部73cの径方向外側に位置して旋回盤75に固定されている。第二の案内板76bは、旋回盤75の周縁に沿う略半円の環状部材であり、旋回盤75の径方向外側に位置して床面74に固定されている。第三の案内板76cは、配線ユニット43に沿う略直線の板状部材であり、ユニット周回部73dとユニット弛緩部73bとの略中間であって配管ユニット73の外側(
図6Aにおいては、上方側)に位置して床面74に固定されている。第四の案内板76dは、配管ユニット73に沿う略直線の板状部材であり、ユニット周回部73dとユニット弛緩部73bとの略中間であって配管ユニット73の内側(
図6Aにおいては、下方側)に位置して床面に固定されている。
【0057】
つまり、第一の案内板76aおよび第二の案内板76bは、ユニット周回部73dの近傍に位置して配管ユニット73を挟んで配置されており、第三の案内板76cおよび第四の案内板76dは、ユニット周回部73dとユニット弛緩部73bとの間に位置して配管ユニット73を挟んで配置されており、これら第一の案内板76aと、第二の案内板76bと、第三の案内板76cと、第四の案内板76dとは、配管ユニット73の動作を規制して当該配管ユニット73の湾曲動作を案内している。
【0058】
図5Aから
図5Cに示すように、配管ユニット73を構成する管ガイド部材81は、電線ガイド部材51と同様の構成から成り、管72が挿通(収容)される多数の挿通穴91aを有するガイド本体91と、このガイド本体91の鉛直方向(
図5Aおよび
図5Bにおいては、上下方向)両端部に設けられて隣接する管ガイド部材81同士を連結する二つの連結板92とから成る。
【0059】
管72は、挿通穴91aに挿通されることによって管ガイド部材81に保持され、連結された多数の管ガイド部材81に順に保持されることによって湾曲動作される配管ユニット73に沿って配設されるようになっている。また、多数の管72は、管ガイド部材81における多数の挿通穴81aにそれぞれ挿通されることにより、互いに絡まることなく保護されている。なお、配管ユニット73は、一つの挿通穴81aに一本の管72のみが収容されるものに限定されず、一つの挿通穴81aに複数本の管72が収容されるものであっても良い。
【0060】
旋回盤75には、第二動力伝達軸35の近傍かつ径方向外周側に位置して貫通する挿通穴75aが形成されており、管集約部71と接続された多数の管72は、ユニット一端部73aから配管ユニット73内に収容され、この配管ユニット73のユニット他端部73dから挿通穴75aを通って第二動力伝達軸35の外周部に案内されている。
【0061】
図2および
図3に示すように、第二動力伝達軸35の外周部に案内された多数の管72は、第二動力伝達軸35の外周部を当該第二動力伝達軸35に沿って(鉛直方向下側であって、
図2および
図3においては下方側へ向けて)配設されており、第二動力伝達軸35の下方部に形成された挿通穴35aを通って当該第二動力伝達軸35の内部に案内され、割出回転ギヤ33に形成された挿通穴33aおよび第一動力伝達軸34の内部を通って、アタッチメント17の旋回部22に接続されている。
【0062】
なお、第二動力伝達軸35の外周部には、当該第二動力伝達軸35の外周部に配設された多数の管72を保持する保持リング35bが軸方向(
図3においては、上下方向)に所定距離離間して複数設けられており、第二動力伝達軸35と共に当該第二動力伝達軸35の外周部に配設された多数の管72が回転されるようになっている。
【0063】
よって、割出回転モータ31によって割出回転ギヤ33が回転駆動されると、第一動力伝達軸34を介してアタッチメント17の旋回部22が回転されると共に、第二動力伝達軸35を介して旋回盤75とユニット他端部73cと当該ユニット他端部73cから第二動力伝達軸35の外周部に案内される多数の管72とが回転される。
【0064】
つまり、アタッチメント17の割出回転動作において、アタッチメント17の旋回部22、第一動力伝達軸34、割出回転ギヤ33、第二動力伝達軸35、旋回盤75、ユニット他端部73c、および、当該ユニット他端部73cから旋回部22まで配設された多数の管72は、互いの相対位置(位相)が変わることはなく同時に回転される。そして、ユニット他端部73cおよび当該ユニット他端部73cから旋回部22まで配設された多数の管72の回転動作は、配管ユニット73の湾曲動作によって吸収されるので、多数の管72の緊張、捻れ、絡まり等が生じることはない。
【0065】
本発明の実施例1に係る工作機械の動作について、
図1から
図6Cを参照して説明する。
【0066】
工作機械1は、アタッチメント17に内蔵された主軸回転モータ24を駆動し、当該アタッチメント17に装着された工具Tを回転駆動すると共に、テーブル12、クロスレール14、サドル15およびラム16をそれぞれの移動軸(X軸、Z
1軸、Y軸、Z
2軸)に沿って移動することにより、テーブル12に設置されたワークWに所定の加工を施す(
図1および
図2参照)。
【0067】
そして、ワークWに対して種々の角度からの加工を施す場合には、アタッチメント17の割出回転動作を行う。つまり、ラム16に内蔵された割出回転モータ31を駆動し、モータ回転ギヤ32および割出回転ギヤ33を介して第一動力伝達軸34および旋回部22を回転駆動することによって、アタッチメント17の向き(アタッチメント17に装着された工具Tの向きであって、加工方向)を変更する。
【0068】
このとき、旋回部22と共に、第二動力伝達軸35、旋回盤45、配線ユニット43のユニット他端部43cおよび当該ユニット他端部43cから旋回部22に接続される多数の電線42が同時に回転される(
図2、
図3、および、
図4Aから
図4C参照)。よって、それぞれ互いの相対位置(位相)が変わることはなく、多数の電線42が捻れや絡まりを生じることはない。
【0069】
よって、工作機械1によれば、ラム16(機械本体部)とアタッチメント17(旋回部22)と間において、従来のロータリジョイント(例えば、特許文献1参照)を備えることなく多数の電線42を接続し、当該多数の電線42を介した電気の供給および電気信号の送受等を行うことができる。
【0070】
なお、アタッチメント17の割出回転動作において、配線ユニット43は、第一の案内板46aと、第二の案内板46bと、第三の案内板46cと、第四の案内板46dとによって円滑に湾曲動作(巻き取りおよび巻き出し)される。つまり、アタッチメント17の割出回転動作によって旋回盤45が一方側へ回転(
図4Aおよび
図4Bにおいては、左回転)された場合には、配線ユニット43は、第二の案内板46bと、第三の案内板46cと、第四の案内板46dとによって第一の案内板46aの径方向外側に円滑に巻き取られ、アタッチメント17の割出回転動作によって旋回盤45が他方側へ回転(
図4Aおよび
図4Cにおいては、右回転)された場合には、第二の案内板46bと、第三の案内板46cと、第四の案内板46dとによって第一の案内板46aの径方向外側から円滑に巻き出される。
【0071】
また、旋回部22と共に、第二動力伝達軸35、旋回盤75、配管ユニット73のユニット他端部73cおよび当該ユニット他端部73cから旋回部22に接続される多数の管72が同時に回転される(
図2、
図3、および、
図6Aから
図6C参照)。よって、それぞれ互いの相対位置(位相)が変わることはなく、多数の管72が捻れや絡まりを生じることはない。
【0072】
よって、工作機械1によれば、ラム16(機械本体部)とアタッチメント17(旋回部22)と間において、従来のロータリジョイント(例えば、特許文献1参照)を備えることなく多数の管72を接続し、当該多数の管72を介した切削油の供給および冷却油の給排等を行うことができる。
【0073】
また、配管室S
2においては、第一の案内板76aと、第二の案内板76bと、第三の案内板76cと、第四の案内板76dとによって、配管ユニット73が円滑に湾曲動作(巻き取りおよび巻き出し)される。つまり、アタッチメント17の割出回転動作によって旋回盤75が一方側へ回転(
図6Aおよび
図6Bにおいては、左回転)された場合には、配管ユニット73は、第二の案内板76bと、第三の案内板76cと、第四の案内板76dとによって第一の案内板76aの径方向外側に円滑に巻き取られ、アタッチメント17の割出回転動作によって旋回盤75が他方側へ回転(
図6Aおよび
図6Cにおいては、右回転)された場合には、第二の案内板76bと、第三の案内板76cと、第四の案内板76dとによって第一の案内板76aの径方向外側から円滑に巻き出される。
【0074】
本実施例によれば、配線室S
1(配線ユニット43)と配管室S
2(配管ユニット73)とが第二動力伝達軸35の軸方向に離間して設けられており、配線ユニット43によって電線42が第二動力伝達軸35の内部に案内され、配管ユニット73によって管72が第二動力伝達軸35の外周部に案内されるようになっている。よって、電線42および管72のメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0075】
もちろん、本発明は、本実施例に限定されず、可撓性部材を回転部材の軸方向に離間せずに一段だけ設けたものでも良く、電線および管の両方を一つの可撓性部材に沿って配設したものであっても良い。
【0076】
また、本実施例においては、工具Tを回転駆動するための主軸回転モータ24が内蔵されたアタッチメント17を備えた工作機械1について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0077】
例えば、
図7に示すように、工具Tを回転駆動するための主軸回転モータ137がラム116に内蔵されたものであっても良い。この構成においては、電線142および管172は、割出回転ギヤ133に形成された複数の挿通穴133aおよび第一動力伝達軸134の内部を通って、アタッチメント117の旋回部122に接続される。ここで、第一動力伝達軸134には、主軸回転モータ137が内蔵されており、電線142および管172は、第一動力伝達軸134の内部における主軸回転モータ137の周りに配設される。