特許第6759062号(P6759062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759062
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】水中切断時の切り粉捕集方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/26 20060101AFI20200910BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20200910BHJP
   B26F 3/00 20060101ALI20200910BHJP
   E02D 9/04 20060101ALI20200910BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20200910BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20200910BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20200910BHJP
   E04G 23/08 20060101ALN20200910BHJP
【FI】
   B01D21/26
   B24C9/00 H
   B26F3/00 S
   E02D9/04
   E02D13/00 Z
   G21F9/30 531K
   G21F9/30 531E
   C02F1/28 A
   !E04G23/08 E
   !E04G23/08 J
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-220149(P2016-220149)
(22)【出願日】2016年11月11日
(65)【公開番号】特開2018-75547(P2018-75547A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松井 祐二
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−303942(JP,A)
【文献】 特開2007−024586(JP,A)
【文献】 特開2015−064316(JP,A)
【文献】 特開2001−083295(JP,A)
【文献】 特開2013−238069(JP,A)
【文献】 特開2009−235762(JP,A)
【文献】 特開平01−226979(JP,A)
【文献】 特開平01−094164(JP,A)
【文献】 米国特許第05001870(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00−21/34
C02F 1/28
B24C 9/00
B26F 3/00
E02D 9/04
E04G 23/08
G21F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中で切断対象を切断した時に発生する切り粉をサイクロン式捕集機で捕集する方法であって、
切断開始前に切断対象の表面を該切断対象と異なる色の吸着剤層で覆う被覆工程と、
前記吸着剤層で覆った前記切断対象を切断する切断工程と、
該切断工程で発生した水中浮遊物を捕集する捕集工程と、
を有することを特徴とする水中切断時の切り粉捕集方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水中切断時の切り粉捕集方法において、
前記吸着剤層を、水中で視認しやすい色に彩色した吸着剤で形成したことを特徴とする水中切断時の切り粉捕集方法。
【請求項3】
請求項1に記載の水中切断時の切り粉捕集方法において、
前記吸着剤層とは、
切断対象と同時に切断された時に水に不溶な切断吸着剤片に細断され、
細断された吸着剤片と切り粉が接触すると切り粉は吸着剤片に吸着し、
各吸着剤片は複数の切り粉を吸着した状態で水中浮遊物となる材質であることを特徴とする水中切断時の切り粉捕集方法。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載の水中切断時の切り粉捕集方法において、
前記切断工程は、ウォータージェット切断、または、アブレイシブウォータージェット切断により行われることを特徴とする水中切断時の切り粉捕集方法。
【請求項5】
請求項1または請求項3に記載の水中切断時の切り粉捕集方法において、
前記切断工程は、ボーリングにより行われることを特徴とする水中切断時の切り粉捕集方法。
【請求項6】
請求項5に記載の水中切断時の切り粉捕集方法において、
前記ボーリングによる切断工程の後に、ボーリング孔内に残存した切り粉を捕集するために、ボーリング孔内に高圧水を噴射する工程を有することを特徴とする水中切断時の切り粉捕集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断対象を水中で切断した時に発生する切り粉を効率的に回収する方法に関わり、特に、ウォータージェット切断、アブレイシブウォータージェット切断、あるいは、ボーリングで発生した切り粉をサイクロン式捕集機で効率的に捕集する方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
切断対象を水中で切断した時には、どんな切断法であれ、何らかの切り粉が発生する。例えば、ウォータージェット切断(以下、「WJ切断」と記述)を用いた場合は、切断対象から発生した切り粉が水中に浮遊し、ウォータージェットにアブレイシブ材(研磨材)を添加して噴射するアブレイシブウォータージェット切断(以下、「AWJ切断」と記述)を用いた場合は、切り粉に加えアブレイシブ材も水中に浮遊する。
【0003】
これらの水中浮遊物を回収除去する公知技術としては、前段のサイクロンセパレータと後段のフィルタを組み合わせて浮遊物を捕集するものがある。例えば、特許文献1の図1等には、多段式サイクロンセパレータとフィルタの二段階の捕集装置を設けることにより、粒径の小さい浮遊物(切り粉)と粒径の大きい浮遊物(アブレイシブ材)を分けて捕集することや、粒径の小さい浮遊物も前段の多段式サイクロンセパレータで捕集し、後段のフィルタの負荷を低減することで、フィルタ交換作業を軽減し、工数削減等を図る技術が開示されている(同文献の段落0031など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4919694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術は、多段式サイクロンセパレータの流体出口側にフィルタを設けたことにより、前段の多段式サイクロンセパレータでの小さな粒径の浮遊物の捕集効率を向上させ、後段のフィルタの捕集負荷を低減している。また、フィルタの差圧が大きくなった場合には、逆洗によって差圧が回復できるので、フィルタの交換作業を延期することができる。しかしながら、フィルタの性能を回復するためには、所定時間毎にフィルタの逆洗作業が発生してしまい、その都度、切断作業が中断されてしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、サイクロン式捕集機での小さな粒径の浮遊物(切り粉)の捕集効率を更に向上させる水中切断時の切り粉捕集方法を提供することにある。そして、この結果として、後段のフィルタを省略しても良く、また、後段にフィルタがある場合には、フィルタの交換頻度を低減できる水中切断時の切り粉捕集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の水中切断時の切り粉捕集方法は、水中で切断対象を切断した時に発生する切り粉をサイクロン式捕集機で捕集する方法であって、切断開始前に切断対象の表面を該切断対象と異なる色の吸着剤層で覆う被覆工程と、前記吸着剤層で覆った前記切断対象を切断する切断工程と、該切断工程で発生した水中浮遊物を捕集する捕集工程と、を有するものとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水中切断で発生した切り粉をサイクロン式捕集機で捕集するときの捕集効率が向上する。また、サイクロン式捕集機の後段にフィルタがある場合には、フィルタの交換頻度を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】沸騰水型原子力発電プラントにおけるシュラウドの一次切断場所と二次切断場所の概略位置関係を示す説明図。
図2】実施例1における水中切断・切り粉捕集の手順を示すフロー図。
図3】実施例1における切断対象の表面を吸着剤層で覆う方法の説明図。
図4】実施例1において切断・切り粉捕集をするときの装置構成を示す説明図。
図5A】実施例2において海底鉱床を切断し始めるときの概要構成を示す説明図。
図5B】実施例2において海底鉱床の切断の継続状況を説明する説明図。
図5C】実施例2において切断した海底鉱床表層を採取した状況を説明する説明図。
図5D】実施例2において切断した海底鉱床表層を継続採取した状況を説明する説明図。
図6A】実施例3において海底鉱床の上にボーリングマシンを設置し鉱床の表面を吸着剤で覆う作業を説明する説明図。
図6B】実施例3においてビットで鉱床を切削する作業を説明する説明図。
図6C】実施例3において所定の深さまで切削してからビットを抜いた状態を説明する説明図。
図6D】実施例3においてコアを採取した後のボーリング孔内の切り粉を捕集する方法を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明による実施例1の水中切断時の切り粉捕集方法について、図1図4を参照しながら説明する。本実施例は、沸騰水型原子力発電プラントのシュラウドを二次切断する際に発生する切り粉をサイクロン式捕集機で効率よく捕集する例である。
【0012】
まず、図1を用いて、シュラウド1の一次切断場所と二次切断場所の概略位置関係を説明する。原子炉圧力容器3の内部に設置されたシュラウド1を細断する場合、原子炉圧力容器3内で細断するのではなく、ドライヤ・セパレータプール(DSP)7に移動させた後、WJ切断やAWJ切断によって細断する方法が採用される。以下では、原子炉圧力容器3からシュラウド1を分離する切断を一次切断と称し、DSP7内でシュラウド1を細断する切断を二次切断と称する。
【0013】
一次切断を行うには、原子炉停止後、原子炉圧力容器3を開放し、ドライヤやセパレータなどの炉内機器を取出し、シュラウド1を分離するための切断加工装置を設置してシュラウド1を一次切断する。その後、切断されたシュラウド1は、天井クレーン8によって原子炉ウェル5を通してDSP7に移動され、DSP7内に配置した架台9の上に設置される。DSP7にシュラウド1を設置すると、ゲートが封鎖され原子炉ウェル5とDSP7が隔離される。
【0014】
その後、DSP7では、後述する本実施例の水中切断時の切り粉捕集方法を用いてシュラウド1が二次切断される。そして、WJ切断やAWJ切断により、二次切断されたシュラウドは、遮蔽能力を有する輸送容器に格納され、DSP7から引き揚げられ、図示しないサイトバンカプールで保管される。
【0015】
次に、図2のフローチャートと図3図4を用いて、本実施例の二次切断を詳細に説明する。まず、切断対象のシュラウド1を切断場所(架台9の上)に設置したら(S1)、次に、シュラウド1の表面を吸着剤で覆う被覆工程を実行する(S2)。
【0016】
図3はシュラウド1の表面を吸着剤層32で被覆する工程を説明する斜視図である。ここに示すように、シュラウド1の上端に薄い金属性の型枠31を設置して、吸着剤の原液を流し込んで反応させることで、シュラウド1の表面に吸着剤層32を形成する。ここで用いられる吸着剤は、表面に接触した切り粉を吸着する性質の物質である。また、水中で不溶であって、表面が粘着性を持つものであり、具体的には、でんぷんや、洗濯糊と硼砂からなるスライムなどで形成されるものである。
【0017】
図4に、DSP7内でのシュラウド1の二次切断作業の装置構成を示す。図3に示すように、架台9上に設置したシュラウド1の切断部表面は吸着剤層32で覆われている。切断装置21で加圧した高圧水、または、アブレイシブ材添加の高圧水を、走査機構22の先端に取付けた切断ノズル23から噴射し、吸着剤層32の上からシュラウド1をWJ切断、または、AWJ切断する(S3)。なお、吸着剤層32が自重で変形しない程度の硬度になっている場合には、型枠31の一部を取り除いてからWJ(AWJ)切断を行っても良いが、型枠31の上からWJ(AWJ)切断を行っても良い。
【0018】
このとき、シュラウド1から発生した切り粉の一部は、吸着剤層32の切断面に吸着するので吸着剤層32とともに回収することができる。また、吸着剤層32が細断された吸着剤片が水中を浮遊しているときに、同じく水中を浮遊している切り粉や他の吸着剤片と接触すると、これらが結合した状態の粒径の大きい浮遊物24が発生する。
【0019】
そして、ポンプ28を駆動すると、粒径が大きくなった浮遊物24は、水と一緒にコレクタ25に吸引された後、サイクロン式捕集機26で沈降分離され、下方の容器27内に回収される。サイクロン式捕集機26では、粒径の大きい浮遊物24ほど沈降しやすいので、本実施例のように、吸着剤を用いて浮遊物24の結合を促進することで、サイクロン式捕集機26における切り粉の捕集効率を向上させることができる。すなわち、サイクロン式捕集機26の後段にフィルタ29を配置した場合であっても、フィルタ29の捕集負荷を低減することができる。
【0020】
ある箇所の切断が終了した場合、予定していた切断が全て終了したかを確認する(S4)。そして、全ての切断が終了した場合は、シュラウド1の切断作業を終了し、細断したシュラウド1の輸送容器への格納作業を行う。
【0021】
一方、シュラウド1の切断が残っている場合は、サイクロン式捕集機26の後段に設置したフィルタ29が継続使用可能かを確認して(S5)、継続使用可能であれば次の切断作業を進め、継続使用不可であればフィルタ29を交換した後に(S6)、切断作業を再開する。なお、フィルタ29の目が詰まると差圧が上昇するので、継続使用可否は差圧の監視により判断することができる。
【0022】
上述した本実施例の水中切断時の切り粉捕集方法によれば、サイクロン式捕集機26での切り粉の捕集効率が向上しているので、サイクロン式捕集機26の後段に設置されたフィルタ29の交換頻度を低減することができる。
【実施例2】
【0023】
次に、本発明による実施例2の水中切断時の切り粉捕集方法を図5A図5Dを参照しながら説明する。本実施例は、レアメタルを含む海底鉱床52をWJ切断しながら採掘しているときに、レアメタルを含む切り粉も回収して有効活用する例である。なお、実施例1と共通する点は重複する説明を省略する。
【0024】
図5Aは、海底鉱床52をWJ切断するときの装置構成を示す図である。海51の底にレアメタルを含む海底鉱床52が存在する場合、海底鉱床52の上に型枠31を配置し、その中に吸着剤の原液を流し込んで吸着剤層32を形成する。なお、本実施例の吸着剤は、海水中でも視認性が良いように、例えば橙色に彩色している。
【0025】
その後、図示していない切断装置21で加圧した高圧水を、走査機構22の先端に取付けた切断ノズル23から噴射し、吸着剤層32の上から海底鉱床52に斜めの切断面を形成する。次に、走査機構22と切断ノズル23を、図5Bに示す位置に移動し、吸着剤層32の上から海底鉱床52に切断面を形成する。
【0026】
このとき、海底鉱床52から発生した切り粉の一部は、実施例1と同様に、吸着剤層32の切断面に吸着するので、吸着剤層32を回収すれば切り粉も一緒に回収できる。また、吸着剤層32が細断された吸着剤片が水中を浮遊しているときに、同じく水中を浮遊している切り粉や他の吸着剤片と接触すると、これらが結合した状態の粒径の大きい浮遊物24が発生する。粒径が大きくなった浮遊物24は水と一緒にコレクタ25に吸引された後、サイクロン式捕集機26で沈降分離され、下方の容器27内に回収される。サイクロン式捕集機26では、粒径の大きい浮遊物24ほど沈降しやすいので、本実施例のように、吸着剤を用いて浮遊物24の結合を促進することで、サイクロン式捕集機26における切り粉の捕集効率を向上させることができ、レアメタルの回収率を高めることができるようになる。
【0027】
図5Cは、2次元断面図において、2つの切断面より上側にある切断済み鉱床81および切断済み吸着剤層82を採取したところを模式的に示すものである。なお、実際には、鉱床は3次元に広がっているため、少なくとも3以上の切断面が交わった部分の上側の海底鉱床52と吸着剤層32が採取対象となる。
【0028】
図5A図5Cで示した、WJ切断と鉱床・吸着剤層の採取を繰り返していくと、図5Dに模式的に示すように、海底鉱床52の最上層が採取され、第2層目が露出した状態になる。吸着剤層32が無い状態で第2層目以降のWJ切断を継続すると切り粉の捕集効率が低下するため、海底鉱床52が露出した部分に吸着剤原液を流し込み、吸着剤層32を補充する作業を行う。実施例2においては、吸着剤層32に橙色の彩色がしてあり、海水中でも視認性に優れるので、吸着剤層を採取して鉱床が露出している部分の確認や、吸着剤層が適正に補充されたかどうかの確認が容易となる。
【0029】
以上で説明した実施例2によれば、実施例1の効果に加え、レアメタルの回収率を向上させることができる。
【実施例3】
【0030】
次に、本発明による実施例3の水中切断時の切り粉捕集方法を図6A図6Dを参照しながら説明する。本実施例は、レアメタルを含む海底鉱床52をコアボーリングで採掘するときに、レアメタルを含む切り粉も回収して有効活用する例である。なお、実施例1または実施例2と共通する点は重複する説明を省略する。
【0031】
図6Aは、海底鉱床52の上にボーリングマシン93を設置し、海底鉱床52の表面を吸着剤で覆う作業を説明する説明図である。ここに示すように、海51の海底にレアメタルを含む海底鉱床52が存在する場合、着座台94の傾きを海底地形に合わせて、ボーリングマシン93を設置する。そして、ボーリングマシン93の下部から型枠31を伸展させて堰をつくり、堰内に吸着剤の原液を流し込んで吸着剤層32を形成する。
【0032】
その後、図6Bに示すように、吸着剤層32の上から、円筒形の回転コアビット102で海底鉱床52を切削する。海底鉱床52から発生した切り粉の一部は、吸着剤層32の切断面に吸着するので、吸着剤層32を回収すれば切り粉も一緒に回収できる。また、吸着剤層32が細断された吸着剤片が水中を浮遊しているときに、同じく水中を浮遊している切り粉や他の吸着剤片と接触すると、これらが結合した状態の粒径の大きい浮遊物24が発生する。粒径が大きくなった浮遊物24は水と一緒にコレクタ25に吸引された後、サイクロン式捕集機26で沈降分離され、下方の容器27内に回収される。サイクロン式捕集機26では、粒径の大きい浮遊物24ほど沈降しやすいので、本実施例のように、吸着剤を用いて浮遊物24の結合を促進することで、サイクロン式捕集機26における切り粉の捕集効率を向上させることができ、レアメタルの回収率を高めることができるようになる。
【0033】
その後、所定の深さまで切削してからコアビットを引抜くと、図6Cに示すように、海底鉱床52の表面に円筒形のコア103が形成された状態となる。図示していないマニュピレータでコア103を把持し横方向の力を加えると、コア103の根元の部分が折れるので、海底鉱床52からコア103を採取することができる。
【0034】
図6Dは、コア103を採取した後のボーリング孔104内の切り粉を捕集する方法を示す図である。残存した吸着剤層32の一部を図示しないマニュピレータで掴み取り、掴み取った吸着剤細片を、ボーリング孔104に投げ込む。ノズル105から高圧水をボーリング孔104に向けて噴射すると不規則な脈動流れが発生し、ボーリング孔104内に残存していた切り粉が脈動流れに伴って動き出す。複数の切り粉が吸着剤細片に吸着して粒径が大きい浮遊物となった状態で、ボーリング孔104の外に舞い出てくる。舞い出てきた浮遊物はコレクタ25で吸引し、サイクロン式捕集機26で沈降分離して、容器27に回収される。このようにすれば、ボーリング孔内に残存した貴重なレアメタルを含む切り粉も、サイクロン式捕集機26で効率的に捕集して有効活用することが可能となる。
【0035】
以上で説明した本実施例によっても、上述した実施例2と同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…シュラウド、
3…原子炉圧力容器、
5…原子炉ウェル、
6…燃料プール、
7…ドライヤ・セパレータプール(DSP)、
8…天井クレーン、
9…架台、
21…切断装置、
22…走査機構、
23…切断ノズル、
24…浮遊物、
25…コレクタ、
26…サイクロン式捕集機、
27…容器、
28…ポンプ、
29…フィルタ、
31…型枠、
32…吸着剤層、
51…海、
52…海底鉱床、
81…切断済み鉱床、
82…切断済み吸着剤層、
93…ボーリングマシン、
94…着座台、
102…回転コアビット、
103…コア、
104…ボーリング孔、
105…ノズル
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D