特許第6759063号(P6759063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759063
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】ガス除去装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20200910BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20200910BHJP
   B01D 61/00 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   A61M1/16 165
   A61M1/16 179
   A61M1/16 190
   B01D19/00 H
   B01D61/00
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-220468(P2016-220468)
(22)【出願日】2016年11月11日
(62)【分割の表示】特願2013-130852(P2013-130852)の分割
【原出願日】2009年1月16日
(65)【公開番号】特開2017-60802(P2017-60802A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2016年11月11日
【審判番号】不服2018-10874(P2018-10874/J1)
【審判請求日】2018年8月8日
(31)【優先権主張番号】61/021,965
(32)【優先日】2008年1月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508180910
【氏名又は名称】フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子
(74)【代理人】
【識別番号】100192337
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100206092
【弁理士】
【氏名又は名称】金 佳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100208535
【弁理士】
【氏名又は名称】松坂 光邦
(74)【代理人】
【識別番号】100213986
【弁理士】
【氏名又は名称】横山 麻理子
(72)【発明者】
【氏名】グーラ、ビクター
(72)【発明者】
【氏名】エゾン、カルロス、ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】マスード、ベイザイ
【合議体】
【審判長】 高木 彰
【審判官】 和田 将彦
【審判官】 栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−80602(JP,A)
【文献】 米国特許第4325715(US,A)
【文献】 実開平2−83001(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M1/16
B01D19/00
B01D61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.入口と、第1の長さと、第1の内側チャンバーを規定する内側壁と、前記第1の長さに亘って形成された外側壁と、を有する第1のハウジングと、
b.前記第1のハウジングとの位置関係が環状になるよう前記第1の内側チャンバー内に配置され、外側壁と、出口と、第2の長さと、第2の内側チャンバーを規定する内側壁とを有し、前記内側壁は不連続に形成されており液体中にガスが溶入した流体からガスを現出させ、収集し、気泡を形成するようにし、前記第2の長さは前記第1の長さより短く、前記第1の長さと前記第2の長さの間の空間が隙間を形成する第2のハウジングと、
c.前記入口と、前記隙間と、前記出口とにより規定されるガス除去装置内を通る流路と、
d.前記隙間の上方で、前記第1のハウジングに配設された疎水性膜と、
を有することを特徴とするガス除去装置。
【請求項2】
前記隙間は略0.51ミリメートル(0.02インチ)から2.54ミリメートル(0.1インチ)の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のガス除去装置。
【請求項3】
前記第1のハウジングの前記内側壁と前記第2のハウジングの前記外側壁の間の隙間は略1.02ミリメートル(0.04インチ)から6.10ミリメートル(0.24インチ)の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のガス除去装置。
【請求項4】
前記流体から実質的に全てのガスを流量率が毎分20mlから450mlで除去可能に構成された請求項1に記載のガス除去装置。
【請求項5】
前記第2のハウジングがフィルタを備えたことを特徴とする請求項1に記載のガス除去装置。
【請求項6】
前記フィルタの厚さは約2.54ミリメートル(0.1インチ)から10.16ミリメートル(0.4インチ)の範囲にあることを特徴とする請求項に記載のガス除去装置。
【請求項7】
前記入口と前記出口はガス除去装置の同じ側に配列されていることを特徴とする請求項1に記載のガス除去装置。
【請求項8】
前記流体が前記入口から前記第1の内側チャンバー内に流入し、前記隙間を通って流れ、前記ガスは透過するが液体は透過しない材料に沿って通過し、前記液体は前記第2の内側チャンバーに流入して前記出口から流出することを特徴とする請求項1に記載のガス除去装置。
【請求項9】
ウレアーゼを備えた透析液再生装置と、透析器と、請求項1記載のガス除去装置を有することを特徴とする透析液回路。
【請求項10】
前記ガス除去装置は前記ウレアーゼを備えた透析液再生装置と前記透析器との間に配設されたことを特徴とする請求項9に記載の透析液回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用可能な透析システムに関し、より詳細には、透析器の溶質除去特性を低下させずに、透析装置の透析回路から二酸化炭素やその他のガスを効果的に除去するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
閉ループ・マルチパス吸着媒型透析器は、複数種の吸着媒を用いて透析液を再生させることができる一方で、携帯可能で小型であるという利点がある。通常、これらの吸着媒は使い捨てのカートリッジや容器に収容されており、従来の装置で使われていたものと同様なウレアーゼ、リン酸ジルコニウム、含水性酸化ジルコニウム、活性炭素のような吸着媒合成層で構成されている。透析器の中で、不純血液から拡散した尿素を含む疲弊した透析液が従来の吸着媒入りカートリッジを通過すると、二酸化炭素とアンモニアという2種類の不要な副次物が化学反応の結果生ずる。アンモニアはジルコニウムベースのカートリッジに吸着されるが、二酸化炭素は吸着されず、透析液に混ざり合い透析回路中に二酸化炭素の気泡として顕在化する。大量の二酸化炭素はもはや液中に溶解している状態ではなくなり、透析液のスムーズなポンピングを阻害することになる。更に、液中に溶解している他の種類のガスも処理過程でガスとして出現し、システム中のガスの容量を増加させることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる事情により、透析回路から二酸化炭素やその他の不要なガスを除去できるようなガス除去装置が必要となる。かかるガス除去装置は、特に携帯可能な透析器に適合したものである必要があり、透析器の向きによってガス除去装置の動作に変動をもたらしたり、あるいは効率が落ちないようにする必要がある。同時に、ガス除去装置は使い捨てできるよう、小型、軽量かつ低価格であることが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、二酸化炭素やその他のガス及び気泡を透析液回路から効果的に排気若しくは除去するガス除去装置を提供することにある。これら排気対象は、透析器の溶媒システムにおいて、ウレアーゼによって分離された尿素から生成されるものである。
【0005】
本発明の他の目的は、携帯型人工腎臓(PAK)のような携帯可能な血液透析器に特に適合可能なガス除去装置を提供することにあり、透析器の向きによってガス除去装置の動作が中断したり、効率が下がらないようにすることが肝心である。
【0006】
本発明の更に他の目的は、ガス除去装置を小型、軽量、低価格で提供し、使い捨て可能なものとすることにある。
【0007】
本発明の一実施の形態によるガス除去装置は、環状で同心配列された2つのリングで構成されており、これらが内側と外側のハウジングを構成する。内側ハウジングの上端は開放されており、外側ハウジングの上端は微小孔疎水性膜で封止されている。当該膜はガスを通過させることはできるが、液体は通過させることができない。内側ハウジングの上端開放面と当該膜の間には隙間が形成されている。環状で同心配列された2つのハウジングにより、内側第1チャンバーと、外側第2チャンバーが提供される。透析中は、二酸化炭素が混入した透析液が外側第2チャンバー内に入り込んで上方移動し、透析液から自動的に二酸化炭素が分離して小さな二酸化炭素の気泡となり、これが微小孔疎水性膜を通って排気される。この間、透析液は内側第1チャンバーに流れ込み、ガス除去装置から排出される。
【0008】
本発明の一実施の形態によるガス除去装置は、a)入口と、第1の長さと、第1の内側チャンバーを規定する内側壁とを有する第1のハウジングと、b)前記第1のハウジングとの位置関係が環状になるよう前記第1の内側チャンバー内に配置され、外側壁と、出口と、第2の長さと、第2の内側チャンバーを規定する内側壁とを有し、前記第2の長さは前記第1の長さより短く、前記第1の長さと前記第2の長さの間の空間が隙間を形成する第2のハウジングと、c)前記入口と前記隙間と、前記出口とにより規定されるガス除去装置内を通る流路と、d)前記隙間近傍であって前記第1のハウジングの上端面を覆うように配設された疎水性膜と、を有することを特徴としている。
【0009】
当該ガス除去装置の前記隙間は略0.51ミリメートル(0.02インチ)から2.54ミリメートル(0.1インチ)の範囲にあり、前記第1のハウジングの前記内側壁と前記第2のハウジングの前記外側壁の間の空間は略1.02ミリメートル(0.04インチ)から6.10ミリメートル(0.24インチ)の範囲にあり、更に、透析液から実質的に全てのガスを流量率が毎分20mlから450mlで除去可能に構成するのが好ましい。また、前記第2のハウジングはフィルタを備え、前記フィルタの厚さは約2.54ミリメートル(0.1インチ)から10,16ミリメートル(0.4インチ)の範囲にあり、前記疎水性膜は前記第2のハウジングから前記隙間に等しい距離だけ離間して配置されていることが好ましい。
【0010】
前記入口と前記出口はガス除去装置の同じ側に配列されており、ガスを含む流体が前記入口から前記第1の内側チャンバー内に流入し、前記隙間を通って流れ、前記疎水性膜を通過し、前記第2の内側チャンバーに流入し、前記出口から流出し、前記ガスは前記疎水性膜を通過し、液体は前記疎水性膜を通過しないように構成することが好ましい。透析液回路は、ウレアーゼを備えた透析液再生装置と、透析器とからなり、ウレアーゼと前記透析器の間に配設するのが好ましい。
【0011】
本発明の他の実施の形態による透析液回路は、a)ウレアーゼを備えた透析液再生装置と、b)外気に晒され、ガスを通過し、液体を通過させない外壁を有するハウジングと、c)透析器とからなり、前記チューブは前記ウレアーゼと前記透析器との間に配置されている。前記ハウジングは、好ましくはチューブ、チューブの一部若しくはチューブ製コイルの少なくとも一つからなり、チューブ内部には何も無い状態とし(外壁により規定される内側チャンバーには何らの構造物も障害物も存在しない)、外壁が外気に晒されているか、少なくともガス除去装置外側領域に露出した状態となっている。
【0012】
ハウジングは、長さが152.4ミリメートル(0.5フィート)から4876.8ミリメートル(16フィート)の範囲にある膜を備え、外径が略2.54ミリメートル(0.1インチ)から11.43ミリメートル(0.45インチ)の範囲にあり、内径が略2.54ミリメートル(0.1インチ)から10.16ミリメートル(0.4インチ)の範囲にある膜を備えることが好ましい。前記ハウジング(ガス除去装置)は、透析液から毎分略20mlから200mlの流量率で透析液からほぼ全てのガスを除去し、あるいは内圧が10lbf/in若しくはそれ以下で透析液からほぼ全てのガスを除去することが望ましい。また、前記透析液再生装置は、木炭を備え、前記ハウジングは前記木炭と透析器の間に配置されるようにするのがよい。
【0013】
本発明による着用可能な透析システムは、媒質を不純血液から透析液に取り除く着用可能な透析器と、前記透析器を介して血液と透析液のポンピングを行う着用可能なポンプと、前記透析器と連通可能なウレアーゼを有する着用可能な透析液再生システムと、前記透析液再生システムと連通可能に構成された着用可能なガス除去装置とを有しており、前記ガス除去装置は、外気に露出した外側壁を有する透析液ガス除去チューブを有し、前記外側壁は前記ガス除去装置がどのような向きにあってもガスを通過し液体を通過しない物質からなることを特徴とする。
【0015】
前記ガス除去装置は、前記ウレアーゼと前記透析器との間に配設するのが好ましい。
【0016】
また、前記透析液ガス除去チューブは、チューブをコイル状に構成したチューブ製コイルであることが好ましい。
【0017】
更に、前記チューブ製コイルの長さは、略0.5インチ(略1.27cm)から略16フィート(略487.8cm)の範囲内にあることが、前記透析液ガス除去チューブの外径は、略0.1インチ(略2.5mm)から略0.45インチ(略11.4mm)の範囲内にあることが、更に前記透析液ガス除去チューブの内径は、略0.1インチ(略2.5mm)から略0.4インチ(略10.2mm)の範囲内にあることが好ましい。
【0018】
前記ガス除去装置は、毎分略20mlから200mlの流量率で透析液からほぼ全てのガスを除去するのが好ましく、前記ガス除去装置は、略10lbf/in若しくは10lbf/inを下回る内圧で透析液からほぼ全てのガスを除去することが好ましい。
【0019】
前記透析液再生システムは更に木炭を備え、前記ガス除去装置は前記木炭と透析器の間に配置されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】着用可能な透析装置の例を示した実施の形態の概略図。
図2】透析を行う際の処理の流れの一例を示した概略図。
図3】本発明によるガス除去装置の例示的な実施の形態を示した図。
図4】本発明によるガス除去装置の他の例示的な実施の形態を示した図。
図5a】透析器との関係でガス除去装置を拡大した図。
図5b】液体を通過せずガスを通過させる材料でできたガス除去装置を別の視点から見た図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、多種多様の形態で実施可能であるが、本発明の理解を容易にするために、図示した実施の形態について説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されるものではない。本願明細書には、参照用として、米国特許出願第12/324,924号、同第12/210,080号、同第12/238,055号、同第12/237,914号、同第12/249,090号及び同第12/245,397号、米国特許第6,960,179号、米国特許出願第10/940,862号、同10/846,618号、同11/427,267号、同11/500,572号及び国際特許出願第PCT/US06/30923号の記載を含むものとする。
【0022】
閉ループ・マルチパス吸着媒を用いた透析装置では、複数の吸着媒カートリッジと適当な添加物からなる再生部に疲弊した透析液を送り込むことで、透析液を再生し再使用できるようにする。通常の吸着媒カートリッジ装置は、ウレアーゼカートリッジ、リン酸ジルコニウムカートリッジ、含水性酸化ジルコニウムカートリッジ、及び活性炭素カートリッジから構成されている。これらの吸着媒が、一般に利用されているREDY(登録商標)装置で使われている吸着媒と同じものであることは当業者の了解事項である。
【0023】
疲弊した透析液がREDY(登録商標)装置内を通過すると、吸着媒装置において、尿素から炭酸アンモニウムへの変換、アンモニアイオンから水素イオンへの交換、水素イオンと炭酸塩との反応により相当量の二酸化炭素が生成される。液相から泡状になった多量の二酸化炭素は、透析液をスムーズにポンピングする際の障害となるため、除去する必要がある。加えて、液相から泡状になる二酸化炭素以外のガスについても、二酸化炭素ガスと共に除去する必要がある。
【0024】
そこで、本発明は、二酸化炭素及びその他の種類のガスを閉回路構成の透析装置から除去するガス除去装置を提供するものである。本発明によるガス除去装置はどのような向きでも機能するように構成されており、使い捨て使用を可能にする程度に小型、低コストであり、そのため定期的なクリーニングや消毒を必要としない。
【0025】
図4は、本発明によるガス除去装置400を示したもので、2つの環状もしくは円筒状のハウジング405,410とからなる。これらハウジング405,410は同心円状に配列されている。内側ハウジング405の上端部は開放されており、円形の縁となって現れている。外側ハウジング410の上端部は微小孔が形成された疎水性膜415で封止されている。この疎水性膜415はガスを通過させるが、液体は通過させない。疎水性膜415は、このような機能を有すれば種類を問わず、PALL(登録商標)疎水性膜やGore(登録商標)疎水性膜を用いることができる。型番は、SMPL-MM317,MMT-RD-001, MMT-RD-002B,MMT-RD-002A等である。内側ハウジング405の上端部と外側ハウジング410の上端部に封止された疎水性膜との間には隙間が存在する。その隙間は、ガス泡が通過できるような寸法になっている。通常であれば、当該寸法は、0.51ミリメートル(0.02インチ)から6.35ミリメートル(0.25インチ)の範囲に設定すればよいが、本実施の形態では、1.27ミリメートル(0.05インチ)から3.81ミリメートル(0.15インチ)の範囲に設定している。内側ハウジング405は内側第2のチャンバー40を規定し、内側ハウジング405と外側ハウジング410の間の同心領域は第のチャンバー411を構成している。入口管420が第1のチャンバー411の入口孔に接続されており、出口管425が第のチャンバー401の出口孔に接続されている。
【0026】
一実施の形態では、内側ハウジング405の内面は不連続に形成されており、その不連続面上で液中のガスを現出させ、収集し、気泡を形成して上方に泳動させて疎水性膜を通過するようにしている。また、本実施の形態では、内側ハウジング405は、略2.54〜10.16ミリメートル(0.1〜0.4インチ)、好ましくは、6.35ミリメートル(0.25インチ)の厚さ、12.7〜38.1ミリメートル(0.5〜1.5インチ)、好ましくは25.4ミリメートル(1インチ)の内径、12.7〜63.4ミリメートル(0.5〜2.5インチ)、好ましくは38.1ミリメートル(1.5インチ)の外径を有するフィルタ膜を有している。更に、別の実施の形態では、内側ハウジング405と疎水性膜415の間に形成された頂部隙間は、略0.51〜2.54ミリメートル(0.02〜0.1インチ)、好ましくは、1.63ミリメートル(0.064インチ)に設定されており、内側ハウジング405の外側と外側ハウジング410の内側壁の間の隙間は略1.02〜6.10ミリメートル(0.04〜0.24インチ)、好ましくは3.58ミリメートル(0.141インチ)に設定されており、内側ハウジング405とガス除去装置400のベースには隙間はない。一実施の形態では、ガス除去装置400の高さは25.4〜127ミリメートル(1〜5インチ)、好ましくは76.2ミリメートル(3インチ)、外径は12.7〜76.2ミリメートル(0.5〜3インチ)、好ましくは44.45ミリメートル(1.75インチ)となっている。ガス除去装置は、毎分20〜450ml(好ましくは250ml)の流速の透析液からほぼ全てのガスを除去することができる。
【0027】
血液透析中、二酸化炭素を含む透析液が入口管420に入り、同心円上の第1のチャンバー411を通過し、隙間を介して内側の第のチャンバー401へ溢れ出る。そして、第のチャンバー401に接続された出口管425から流出する。透析液と二酸化炭素の混合物が入口管420に送られるこのプロセスの間、当該混合物は上方に移動し、二酸化炭素が透析液から分離され、小さな二酸化炭素の気泡を形成して、これが微小孔を有する疎水性膜415を介して排気される。二酸化炭素を含まない透析液は、出口管425から排出される。ガス除去室は透析流路中の様々な場所に配置することができるが、図5a及び図5bに示されているように、透析液を吸着媒容器で濾過する直前の流路に配置するのが好ましい。ガス除去室が装置内に設けられているか否かに拘わらず、ガス除去室は鉛直に維持する必要があり、疎水性膜415を頂部に配置して、気泡をガス除去装置400に向かわせ、同装置を通って同装置の外部に排出するようにする。
【0028】
図1は、携帯型透析装置100として構成された閉ループ・マルチパス透析器100を示したものである。本実施の形態では、当該透析器100は、血液と透析液の両者を透析器100内に送り込むためのシャトルポンプ若しくは2チャンネルパルスポンプ105と、0.6平方メータの膜面積を有する多束ポリスルホン透析器110と、透析液再生システム115と、電解質添加剤116及びpHコントロール回路(不図示)用容器と、ヘパリン117を血液回路に送り込むためのマイクロポンプ(不図示)と、超過分用超濾過器119と、血液漏出・気泡検出器及びポンプパワーアップ・アラーム遮断システム120とから構成される。上記透析液再生システム115は3つの特別に設計された容器からなり、それらの容器には複数種の溶剤が収容されている。容器122にはジルコニウム、リン酸塩が、容器123には活性炭が、容器121にはウレアーゼが収容されている。添加物としては、Mg,Ca,K、炭酸水素ナトリウムを用いる。全ては予め指定されたフローレートで流される。
【0029】
主ポンプ105は3ワットのDCマイクロモータを使用している。ギヤヘッドは発振機構を収容しており、2チャンネルフローカートリッジと連携して、制御可能な割合として1チャンネル当たり毎分40〜100mlの血液と透析液双方の同時パルスフローを可能にしている。当該カートリッジでは、他のシステムやコンポーネントの構成は配置に応じて、血液と透析液を共に同じ方向に流す事も可能であるし、相互に反対方向に流すことも可能である。しかしながら、一方のチャンネルが流体を圧縮可能なチャンバーの外に押し出す場合には、他方のチャンネルがその圧縮可能なチャンバーを充填し、前記一方のチャンバーのピーク圧力と前記他方のチャンネルの圧力が同時に最も低いレベルになるようにする。
【0030】
一実施の形態においては、溶剤用容器にはおよそ下記に示す量の吸着媒が充填されている(透析液フローの順番で)。
【0031】
121、容器番号1:薄フィルタ紙後段にウレアーゼ50グラムとその先にジルコニウムリン酸塩335グラム
【0032】
122、容器番号2:薄フィルタ紙後段にジルコニウムリン酸塩335グラムとその先に含水性酸化ジルコニウム50グラム
【0033】
123:容器番号3:活性炭1150グラム
【0034】
ガス除去装置124はウレアーゼ容器121とジルコニウムリン酸塩容器122の間に配設されている。ウレアーゼ容器121におけるウレアーゼと尿素との反応によって生成される二酸化炭素ガスは、透析液がジルコニウムリン酸塩容器122内に入る前に、ガス除去装置124により除去される。ガス除去装置124は、回路内において、上記とは異なる位置に配設することも可能である。例えば、図5aに示すように、ガス除去装置124を全吸着剤容器の後段に配設し、その後に活性炭容器123を配設するようにしてもよい。即ち、ガス除去装置124はジルコニウムリン酸塩容器122の後段で活性炭容器123の前段に、若しくは、活性炭容器123の後段で透析器110の後段に配設することができる。
【0035】
ガス除去装置124の他の実施の形態を図5aと図5bに示す。ガス除去装置520は、GORE社により製造されているチューブ部材番号MMT−RD−002Aのようなガス透過性チューブコイルで構成されている。図5aにおいて、ガス除去装置520はチューブ522を介して透析器に接続されている。図5bは、チューブ522に接続されたガス除去装置520を示したものである。このチューブ522は全長2743.2ミリメートル(9フィート)で、外径が約6.99ミリメートル(0.275インチ)、壁厚が約6.35ミリメートル(0.25インチ)である。コイルアセンブリは外径が約57.15ミリメートル(2.25インチ)、高さが約63.5ミリメートル(2.5インチ)である。本実施の形態では、外側チャンバーの外壁全体がガス透過性であり、図4に示した実施の形態のようにガスが頂部からだけ拡散するのとは異なり、外壁のどの部分からも拡散できる。図1に示した透析装置に用いた場合に適合するように、本実施の形態によるガス除去装置の配設方向は基本的にどのようにも選定することができる。装置の一実施の形態では、チューブの全長は2743.2ミリメートル(9フィート)である。このようなサイズに設計することで、通常の消耗する人工腎臓に対するガス除去能力を提供するための適切な表面積を確保することができる。かかる人工腎臓とは、1日24時間、1週7日に亘って透析液と血液を毎分100ml若しくはそれ以下のフローレートで動作するものを指す。チューブがこれより短いと表面積が小さくなり、ガスの除去能力が低下する。フローレートを低下するか、チューブの全長を長くすれば、ガスの除去能力は増加する。
【0036】
動作について説明すると、ガス除去装置520におけるガス透過チューブの多重コイルの頂部に自己生成されるポケットにガスが収集される。このガスポケットの位置は装置の配列方向に応じて変わる。様々な配列方向において、重力により決定されるガス収集面を上方とする。装置の全長に亘ってガス透過性チューブで構成されているので、どこでガスポケットがガス収集をするにしても、チューブとガス収集位置とは重ならない。
【0037】
チューブのパッケージ化の別の方法は、長く曲がりくねった形状にして消耗する人工腎臓を使用している患者の腰の回りに付けられたベルトの形状に沿ったものにすることである。図5bに示されている実施の形態は、ガス除去装置の機能を失わせしめるものではない。重要な点は、装置の形状がどのようなものであっても、流体路を十分な長さ、即ち十分な表面積を有するガス透過性チューブで構成し、所望のガス量を除去することにある。
【0038】
図3に示されている他の実施の形態では、ガス除去装置300はチューブ、ハウジング、コイル状チューブの一部にあるか、若しくは別の形状310であって、その内部にチャンバー325とフローパス305が形成されている。ハウジング310の外壁は、ガスを透過させるが流体を通過させないような材料315で形成されている。通過するガスの量が生成されるガスの量と等しくなるか、生成されるガスの量を超えるように、材料315のサイズを決定しなければならない。ガスの発生は、患者の尿素レベルと透析フローレートの積となる。ガス除去装置300を通過するガスは、壁面積とチューブのガス通過率の積に、チューブに作用する外部圧力に対するチューブ内の流体による内部圧力を加えたものである。当業者であれば、与えられたパラメータに基づき、材料の選択を適宜行い、意図した応用をすることができるであろう。
【0039】
一実施の形態によるガス除去装置は、長さが152.4〜4876.8ミリメートル(0.5フィート〜16フィート)の間。好ましくは2743.2ミリメートル(9フィート)長で、外径が約2.54〜11.43ミリメートル(0.1〜0.45インチ)、好ましくは6.99ミリメートル(0.275インチ)、内径が約2.54〜10.16ミリメートル(0.1〜0.4インチ)、好ましくは6.35ミリメートル(0.25インチ)で、隙間のないコイルを備え、任意の形状のGORE膜を有する。前記実施の形態によるガス除去装置300は、フローレートが約毎分20ml〜200ml(好ましくは毎分100ml)及び/又はチューブ内圧力が10lbf/in若しくはそれ以下(好ましくは5lbf/in若しくはそれ以下)で透析液から実質的に全てのガスを除去する。前記実施の形態によるガス除去装置300は吸着媒容器(具体的には、木炭吸着媒)と透析器の間に配設される。前記実施の形態によるガス除去装置300はウレアーゼ容器の後段、透析器の前段に配設される。
<特性例1>
【0040】
図1に示した透析器100の様々な構成について試験を行い、動作特性、とりわけガス除去装置124と520のガス除去能力についての評価を行った。図2を参照する。透析器と塩水を用意し、透析器200を大きな容器205(40〜80リットル)に接続する。容器205には適切に処理された水溶液(ここでは「血液」と呼ぶことにし、イオンを取り除いた水から、若しくは使われた人間の透析液から生成したもの)が充填されており、この血液は末期腎臓病(ESRD)である典型的な人の血液を的確に再現したものである。この「血液」は実際の人の血液成分に近似するよう生成されたもので、約50mg/dLの血液尿素窒素(BUN)、10mg/dLのクレアチニン、5mmol/Lのカリウム(K)及びその他の溶媒を含んでいる。添加物は含んでおらず、超濾過も行っていない。しかしながら、透析液のpHは炭酸水素ナトリウムをマニュアル注入することで最適値に維持されている。これは生成された二酸化炭素の量に関する効果を測定するためである。「血液」と透析液試料は30分毎に引かれ、pH、BUN及びクレアチニンに対する試料の評価分析を行った。
【0041】
ガス除去装置520を組み立てるためにGoreチューブMMT−RD―002Aを使ったある実験では、溶媒用容器には50グラムのウレアーゼ、670グラムのジルコニウムリン酸塩、50グラムの含水性酸化ジルコニウム、150グラムの活性化炭素が充填されており、毎分55.6mLの平均血液フローレート、毎分43.2mLの平均透析物フローレートで動作し、a)ポンプと容器番号1の間が300〜400mmHg、b)容器番号1と2の間が150〜220mmHg、c)容器番号2と3の間が55〜65mmHg、d)透析器とポンプの間が2〜35mmHg(0以下となることは滅多にない)となるように圧力読取発振レンジを測定した。フローレートにより決定される量のウレアーゼから発生した二酸化炭素と共に血液尿素窒素(BUN)として測定された尿素及び尿素濃度が存在する。かかる条件は、実際の人を対象とする透析で案内するためにセットアップされたものである。このような条件下で、ガス除去装置により発生した全ての二酸化炭素を首尾良く除去することができた。
【0042】
現時点で本発明の最も好ましいと思われる実施の形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更や改変を行うこと、また以上説明した実施の形態の各要素をそれらの均等物で置き換えることは、当業者がなしうる範囲内のことである。加えて、本発明の要旨から逸脱しない範囲で、特定の状況あるいは本発明の重要なポイントに適合するような変形例を提供することが可能である。即ち、本発明は、発明を実施する上で最適であるとして説明された特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の発明に包摂される全ての実施の形態を含む。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b