(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1は反力発生装置をアーム部材側から見た斜視図を、
図2は反力発生装置を減速機構付モータ側から見た斜視図を、
図3は反力発生装置の内部構造を示す断面図を、
図4は反力発生装置の電気系統を示すブロック図を、
図5(a),(b)は電磁クラッチのオフ状態/オン状態を説明する説明図を、
図6はAFPコントローラによるトルク(駆動トルク/滑り出しトルク)の制御内容を示す特性グラフをそれぞれ示している。
【0019】
図1ないし
図3に示される反力発生装置10は、エンジンと電動モータのうちの何れか一方または双方を動力源として走行する車両(図示せず)に搭載されるものである。反力発生装置10は、動力源の出力をコントロールするアクセルペダル(操作部材)APの近傍に設けられ、運転者(操作者)により操作されるアクセルペダルAPに対して、必要に応じて反力を与えるようになっている。反力発生装置10によって反力が与えられるアクセルペダルAPは、支軸(図示せず)を中心に所定の角度範囲で回動自在となっている。
【0020】
反力発生装置10は、細長い板状のアーム部材(出力部材)11を備えており、当該アーム部材11は、アクセルペダルAPの長手方向に沿う支軸側とは反対側を支持している。アーム部材11の長手方向一側にはリターンスプリング12が設けられ、当該リターンスプリング12の付勢力により、アーム部材11の長手方向他側(アクセルペダルAP)が、
図1に示される基準位置に復帰(保持)される。なお、アクセルペダルAPは、運転者の踏み込み操作により、リターンスプリング12の付勢力に抗して、基準位置から約30°の角度範囲で回動される。
【0021】
運転者によってアクセルペダルAPが踏み込まれると、つまりアクセルペダルAPに所定の大きさの操作力(踏力)が負荷されると、アクセルペダルAPはリターンスプリング12の付勢力に抗して押し方向(矢印a方向)に回動される。アクセルペダルAPが押し方向に回動されると、その回動角度および回動速度に応じて、動力源の出力が増大するようになっている。
【0022】
これに対し、運転者がアクセルペダルAPに対する踏み込みを解除、つまりアクセルペダルAPへの操作力の負荷を解除すると、アクセルペダルAPはリターンスプリング12の付勢力により、押し方向とは逆向きの戻し方向(矢印b方向)に回動されて基準位置に戻る。そして、アクセルペダルAPの戻し方向への回動に伴って、動力源の出力が減少される。
【0023】
反力発生装置10は、上述のように操作されるアクセルペダルAPに対して、必要に応じて所定の反力を与えるように作動する。具体的には、反力発生装置10のアーム部材11は、アクセルペダルAPの押し方向への回動により矢印c方向に押圧される。このとき、例えば、アクセルペダルAPの押し方向への回動が過剰である場合には、反力発生装置10は、アーム部材11を矢印d方向に駆動して、アクセルペダルAPに戻し方向への反力を伝達する。
【0024】
そして、反力発生装置10からの反力を運転者が感じ取ることで、運転者はアクセルペダルAPの過剰な踏み込み操作に気付き、ひいては燃費向上重視の走行に切り換えることが可能となる。また、例えば、運転者の不注意によりアクセルペダルAPが急激に踏み込まれた場合には、より大きな反力を反力発生装置10に発生させて、車両の急発進を防止させることもできる。
【0025】
反力発生装置10は、AFP(Active Force Pedal)コントローラ40を備えており、AFPコントローラ40にはCAN(Controller Area Network)通信により車載コントローラCN(
図4参照)が接続されている。そして、AFPコントローラ40には、車載コントローラCNから、アクセル開度信号等に基づいて得られた指令信号OSG(
図4参照)が入力される。
【0026】
これにより、AFPコントローラ40は、入力された指令信号OSGに基づいて、アーム部材11を所定のタイミングで駆動させる。なお、他の車載機器と協調制御を行うために、AFPコントローラ40からは、車載コントローラCNに向けて、反力発生装置10の動作状態を示すフィードバック信号FBAFP(
図4参照)が出力される。
【0027】
次に、反力発生装置10の構造について、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
図1ないし
図3に示されるように、反力発生装置10は、減速機構付モータ20,電磁クラッチ30,AFPコントローラ40,ブラケット部材50を備えている。
【0029】
減速機構付モータ20は、本発明における電動モータを構成しており、反力発生装置10の駆動源として機能する。具体的には、減速機構付モータ20は、ブラシ付モータ21とウォーム減速機構22とを備えている。
【0030】
ブラシ付モータ21は、薄い鋼板をプレス加工等することで有底筒状に形成されたモータケース21aを備えている。モータケース21aの内壁には、断面が略円弧形状に形成された複数の永久磁石(図示せず)が固定されている。複数の永久磁石の内側には、所定の隙間を介してアーマチュア(図示せず)が回転自在に収容されている。
【0031】
アーマチュアの回転中心には、回転軸21b(
図3参照)が固定されている。回転軸21bの先端側は、ギヤケース22aの内部にまで延在されている。そして、複数のブラシを介して整流子からコイル(何れも図示せず)に駆動電流を供給することで、アーマチュアが所定の回転数および回転方向に回転される。なお、本実施の形態においては、ブラシ付モータ21に替えてブラシを備えないブラシレスモータを採用することもできる。
【0032】
ウォーム減速機構22は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで略バスタブ形状に形成されたギヤケース(第1ハウジング)22aを備えている。ギヤケース22aには、
図2に示されるように、3つの固定ねじS1によりモータケース21aが固定されている。すなわち、ブラシ付モータ21およびウォーム減速機構22は、3つの固定ねじS1により互いに一体化(ユニット化)されている。
【0033】
図3に示されるように、ギヤケース22aの内部には、回転軸21bの先端部分に設けられたウォーム22bが回転自在に収容されている。また、ギヤケース22aの内部には、プラスチック等の樹脂材料により略円板形状に形成され、ウォーム22bに噛み合わされるウォームホイール22cが回転自在に収容されている。これにより、ウォーム22b(回転軸21b)の回転が所定の回転速度にまで減速されて、高トルク化された回転力がウォームホイール22cから外部のアーム部材11に出力される。すなわち、アーム部材11は、ウォーム減速機構22により回転され、ウォーム減速機構22の回転をアクセルペダルAPに伝達するようになっている。
【0034】
なお、ギヤケース22aの開口部分(
図3中上方側)は、ギヤケースカバー22dによって密閉されている。
【0035】
ギヤケース22aの内部に収容されたウォームホイール22cは、ギヤケース22aに一体に設けられた支持軸22a1に回転自在に支持されている。そして、ウォームホイール22cには、ウォーム22bに噛み合わされる大径歯部22c1と、電磁クラッチ30の入力側回転部材33に動力伝達可能に連結される小径連結部22c2と、が設けられている。
【0036】
このように、減速機構付モータ20の減速機構に、ウォーム減速機構22を採用することで、従前のスパーギヤによる減速機構(スパー減速機)に比して、小型でありながら大きな減速比が得られるようになっている。よって、反力発生装置10のさらなる小型化かつ高出力化を実現することができる。
【0037】
ギヤケース22aには、コネクタ接続部22eが取り付けられている。コネクタ接続部22eには、AFPコントローラ40から延びる第1配線L1の端部がコネクタ(図示せず)を介して電気的に接続されている。第1配線L1は、複数の電線を束ねて形成され、減速機構付モータ20とAFPコントローラ40との間で、減速機構付モータ20を駆動するための駆動電流MA(
図4参照)や、減速機構付モータ20の駆動状態を示すフィードバック信号FBM(
図4参照)を行き来させるようになっている。
【0038】
図3に示されるように、ウォーム減速機構22とアーム部材11との間には、ウォーム減速機構22とアーム部材11との間の動力の伝達具合を調整する電磁クラッチ30が設けられている。
【0039】
電磁クラッチ30は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで略バスタブ形状に形成されたクラッチケース(第2ハウジング)31を備えている。クラッチケース31の内部には、コイル32a(詳細図示せず)が巻装された電磁石32が収容されている。電磁石32は、クラッチケース31の底壁部31aに、複数の固定ピン32b(図示では2つのみ示す)によって固定されている。
【0040】
また、クラッチケース31の内部には、ウォームホイール22cの小径連結部22c2に対して、一体回転可能に連結される入力側回転部材33が回転自在に収容されている。入力側回転部材33は、一端側が小径連結部22c2に固定された筒状部材33aと、当該筒状部材33aの他端側に固定された第1円板部材33bとを備えている。ここで、筒状部材33aおよび第1円板部材33bは何れも鋼材よりなり、ウォーム減速機構22から伝達される高トルク化された回転力を、がたつくこと無く受けられるようにしている。
【0041】
第1円板部材33bの直径寸法は、筒状部材33aの直径寸法よりも大きくされている。これにより、電磁クラッチ30の軸方向に沿う第1円板部材33bと底壁部31aとの間に、電磁石32が配置されている。なお、筒状部材33aの一端側は、底壁部31aの中心部分から外部に露出されており、これにより小径連結部22c2に連結可能となっている。
【0042】
クラッチケース31の内部には、さらに、出力側回転部材34が回転自在に収容されている。出力側回転部材34は、一端側が筒状部材33aの他端側に相対回転可能に装着され、他端側にアーム部材11の長手方向一側が固定された円柱部材34aと、当該円柱部材34aの一端側寄りに、ワンウェイクラッチOCを介して固定された第2円板部材34bとを備えている。ここで、円柱部材34aおよび第2円板部材34bは何れも鋼材よりなり、ウォーム減速機構22から伝達される高トルク化された回転力を、がたつくこと無く出力できるようにしている。なお、第2円板部材34bは、本発明における鋼板を構成している。
【0043】
ここで、ワンウェイクラッチOCは、円柱部材34aに固定されるクラッチ内側部OC1と、第2円板部材34bに固定されるクラッチ外周部OC2とを備えている。そして、アクセルペダルAP(
図1参照)が踏み込まれると、クラッチ内周部OC1およびクラッチ外周部OC2は一緒に回転される。これに対し、アクセルペダルAPが戻されると、クラッチ内周部OC1のみが回転されて、クラッチ外周部OC2は回転されない。
【0044】
なお、クラッチケース31の開口部分(
図3中上方側)は、クラッチケースカバー35によって密閉されている。ここで、クラッチケースカバー35は、本発明におけるカバー部材を構成している。
【0045】
クラッチケースカバー35は、プラスチック等の樹脂材料により略円板状に形成され、その中心部分には、アーム部材11の長手方向一側の一部を収容する収容部35aが設けられている。収容部35aは、電磁クラッチ30の軸方向に突出された円筒壁35bの内側に形成され、
図1に示されるように、その一部には切欠部35b1が設けられている。この切欠部35b1を介して、アーム部材11の長手方向一側の一部が収容部35aに収容されている。また、切欠部35b1は所定の大きさに切り欠かれており、これによりアーム部材11の回動角度が略60°に規制されている。
【0046】
収容部35aの内部には、リターンスプリング12が収容されている。リターンスプリング12は、
図1および
図3に示されるようにトーションスプリングとされ、その一端部12aは円筒壁35bに固定され、他端部12bはアーム部材11に固定されている。これにより、リターンスプリング12の付勢力により、アクセルペダルAPは、基準位置(
図1に示される位置)に向けて押圧される。
【0047】
図1に示されるように、電磁クラッチ30とAFPコントローラ40との間には、コネクタ部材36を介して第2配線L2が設けられている。第2配線L2は、複数の電線を束ねて形成され、電磁クラッチ30とAFPコントローラ40との間で、電磁クラッチ30を駆動するための駆動電流CA(
図4参照)や、電磁クラッチ30の駆動状態を示すフィードバック信号FBC(
図4参照)を行き来させるようになっている。
【0048】
具体的には、電磁クラッチ30への駆動電流CAをゼロにすると、
図5(a)に示されるように、電磁クラッチ30は「オフ(解放)」とされ、電磁クラッチ30を形成する入力側回転部材33(
図5(a)の濃色網掛部参照)と、電磁クラッチ30を形成する出力側回転部材34(
図5(a)の淡色網掛部参照)とが、相対回転可能とされる。つまり、アクセルペダルAPおよびアーム部材11は、軽い力で略抵抗無く回動自在とされる。
【0049】
これに対し、電磁クラッチ30に所定の大きさの駆動電流CAを供給すると、
図5(b)に示されるように、電磁クラッチ30は「オン(締結)」とされ、コイル32aが通電されて電磁石32が磁化される。すると、当該電磁石32が発生する磁力により、出力側回転部材34の第2円板部材34bが吸引されて、矢印Mの方向に移動される。これにより、第2円板部材34bが第1円板部材33bに強く押し付けられて、両者間の摩擦力が増大される。よって、第2円板部材34bは第1円板部材33bに対して一体回転(共回り)するようになる(
図5(b)の濃色網掛部参照)。
【0050】
ここで、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30は、それぞれ別の組み立て工程で組み立てられて、その後、反力発生装置10の組み立て時に互いに接続されて一体化される。具体的には、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30は、
図2および
図3に示されるように、3つの固定ねじS2により互いに強固に固定されている(図示ではそれぞれ1つのみ示す)。これらの3つの固定ねじS2は、ウォームホイール22c,入力側回転部材33,出力側回転部材34を中心に、その周囲に略等間隔(略120°間隔)で配置されている(詳細図示せず)。これにより、反力発生装置10の作動時において、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30の歪みが確実に防止される。
【0051】
また、
図1に示されるように、ブラケット部材50は、電磁クラッチ30の軸心を挟むようにして、2つの固定ボルトBLによりクラッチケース31に強固に固定されている。ここで、ブラケット部材50は、クラッチケース31に対して、小さな固定ねじでは無く大きな固定ボルトBLで固定しているが、これは、ブラケット部材50のクラッチケース31に対する固定強度をより増加させるためである。なお、ブラケット部材50は、アクセルペダルAPの近傍の車体フレーム(図示せず)等に強固に固定される。
【0052】
図1ないし
図3に示されるように、AFPコントローラ40は、本発明におけるコントローラを構成しており、制御基板(図示せず)を収容する筐体41を備えている。筐体41は、プラスチック等の樹脂材料からなり、ブラケット部材50に取り付けられている。そして、AFPコントローラ40の制御基板からは、減速機構付モータ20に接続される第1配線L1と、電磁クラッチ30に接続される第2配線L2と、車載コントローラCN(
図4参照)に接続される第3配線L3とが引き出されている。そして、第3配線L3の端部にはコネクタ部材42が設けられ、当該コネクタ部材42には、一端部が車載コントローラCNに接続されたCAN通信線(図示せず)の他端部が、CAN通信コネクタ(図示せず)を介して接続されるようになっている。
【0053】
図4に示されるように、AFPコントローラ40は、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30をそれぞれ制御するドライバ回路43を備えている。ドライバ回路43には、駆動電流算出部43aおよびPWM駆動回路43bが設けられている。そして、ドライバ回路43には、CAN通信線を介して、車載コントローラCNから指令信号OSGが入力されるようになっている。ここで、反力発生装置10の制御に用いられる指令信号OSGは、アクセル開度信号等に基づいて得られる。
【0054】
そして、駆動電流算出部43aは、入力された指令信号OSGに基づいて、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30を制御する駆動電流MA,CAを算出する。次いで、駆動電流算出部43aで算出された駆動電流MA,CAの情報に基づいて、PWM駆動回路43bにより、駆動電流MA,CAを生成するのに最適なデューティ比がそれぞれ決定される。その後、PWM駆動回路43bで生成されて高周波が重畳された駆動電流MA,CAが、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30に向けて出力される。
【0055】
これにより、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30がそれぞれ駆動制御されて、そのときに必要な所定の大きさの反力がアーム部材11から出力される。よって、アクセルペダルAPに戻し方向への反力が伝達される。なお、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30からは、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30に流れるそのときの電流値が、それぞれフィードバック信号FBM,FBCとして、AFPコントローラ40に入力される。これにより、アクセルペダルAPに対する操作力(踏力)が変化しても、それに対応して駆動電流MA,CAが調整されて、最適な大きさの反力を発生させることができる。
【0056】
具体的には、AFPコントローラ40は、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30を、それぞれ
図6に示されるように同期制御する。すなわち、反力発生装置10が作動するようなアクセルペダルAPの踏み込み操作(急激な踏み込み操作)が行われると、AFPコントローラ40は、電磁クラッチ30の第1円板部材33bと第2円板部材34bとが滑り出す滑り出しトルクTqCの方を、減速機構付モータ20の駆動トルクTqMよりも若干大きくするように、駆動電流MA,CAをそれぞれ制御する(TqC>TqM)。
【0057】
これにより、減速機構付モータ20により発生される反力発生装置10の反力を、アクセルペダルAPに効率良く必要最小限の駆動電流MAの大きさで伝達させることができる(電力消費低減)。また、アクセルペダルAPを、そのときの減速機構付モータ20の駆動トルクTqMよりも大きい踏力となるよう踏み増す(強く操作する)ことで、電磁クラッチ30を滑らせることができる。よって、運転者による意識的な強い力でのアクセルペダルAPの操作が可能となる。
【0058】
なお、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30を備えた反力発生装置10においては、以下に示すような独特な制御も実行可能である。つまり、車両を自動運転モード(前車との距離を自動で一定に保持するモード等)で走行させる場合には、スロットル開度制御を車載コントローラCNが行うことになる。そのため、運転者によるアクセルペダルAPの操作が不要になる。つまり、AFPコントローラ40は、車両が自動運転モードである場合には、運転者によるアクセルペダルAPの操作が不要であると判断する。
【0059】
したがって、AFPコントローラ40は、このような自動運転モードであることに基づいて、
図6に示されるように電磁クラッチ30に比較的大きな駆動電流(CA)を供給するようにする。これにより、電磁クラッチ30の滑り出しトルクが比較的大きな滑り出しトルク(TqC)となり、アクセルペダルAPをフットレストとして使用可能となる。よって、運転者は両足を踏ん張ることができ、自動運転モード時にシートに安定して座ること等が可能となる。ここで、
図6に示される電磁クラッチ30への駆動電流(CA)は、本発明における所定値を構成している。
【0060】
ただし、自動運転モード時には、減速機構付モータ20への駆動電流をゼロとして、減速機構付モータ20が発生する駆動トルクをゼロとする。これにより、減速機構付モータ20での無駄な電力消費を無くして、電磁クラッチ30での電力消費のみにできる。なお、従前のように電磁クラッチを備えない反力発生装置によりアクセルペダルをフットレスト化しようとすると、モータでの電力消費が大きくなってしまう。この場合のモータでの電力消費は、電磁クラッチ30のみの電力消費よりも多くなり、この点においても、本実施の形態に係る上述の反力発生装置10は有利となる。
【0061】
以上詳述したように、本実施の形態に係る反力発生装置10によれば、回転軸21bの回転をウォーム減速機構22で減速させ、ウォーム減速機構22とアーム部材11との間に、ウォーム減速機構22とアーム部材11との間の動力の伝達具合を調整する電磁クラッチ30が設けられるので、小型でありながらスパー減速機よりも大きな減速比を得て、十分な反力を発生させることができる。また、強い力でアクセルペダルAPを操作した場合には、電磁クラッチ30を滑らせてアクセルペダルAPの操作を許容することができる。さらに、反力発生装置10の無通電時には、電磁クラッチ30を解放することができるので、ウォーム減速機構22を介さずに軽い力で容易にアクセルペダルAPを操作することができる。
【0062】
また、本実施の形態に係る反力発生装置10によれば、電磁クラッチ30は、アーム部材11の長手方向一側を収容する収容部35aを備えたクラッチケースカバー35を有し、収容部35aに、アーム部材11の長手方向他側を基準位置に復帰させるリターンスプリング12が収容されている。
【0063】
これにより、電磁クラッチ30に予めアーム部材11を組み付けた状態(サブアッシー化された状態)にできる。したがって、アーム部材11が組み付けられた電磁クラッチ30と、別の組み立て工程で組み立てられた減速機構付モータ20とを互いに一体化するだけで、容易に反力発生装置10を組み立てることができる。
【0064】
さらに、本実施の形態に係る反力発生装置10によれば、ウォーム減速機構22は、回転軸21bにより回転されるウォーム22bおよび当該ウォーム22bに噛み合わされるウォームホイール22cを収容するギヤケースカバー22dを備え、電磁クラッチ30は、通電により磁力を発生する電磁石32および当該電磁石32に吸引される第2円板部材34bを収容するクラッチケースカバー35を備え、ギヤケースカバー22dとクラッチケースカバー35とが互いに接続されている。
【0065】
これにより、ウォーム22bおよびウォームホイール22cに塗布されたグリス(図示せず)が、第2円板部材34bに飛散することを確実に防止することができる。したがって、電磁クラッチ30の滑り出しトルクTqCを、製品毎にばらつくこと無く容易に管理することが可能となり、
図6に示される「電流−トルク特性」を安定して得ることができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る反力発生装置10によれば、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30をそれぞれ制御するAFPコントローラ40が設けられ、AFPコントローラ40は、減速機構付モータ20および電磁クラッチ30への駆動電流MA,MCをそれぞれ調整して、減速機構付モータ20の駆動トルクTqMよりも電磁クラッチ30の滑り出しトルクTqCの方を大きくする制御を行う。
【0067】
これにより、減速機構付モータ20により発生される反力発生装置10の反力を、アクセルペダルAPに効率良く必要最小限の駆動電流MAの大きさで伝達させることができる(電力消費低減)。また、アクセルペダルAPを、そのときの減速機構付モータ20の駆動トルクTqMよりも大きい踏力となるよう踏み増す(強く操作する)ことで、電磁クラッチ30を滑らせることができる。よって、運転者による意識的な強い力でのアクセルペダルAPの操作が可能となる。
【0068】
さらに、本実施の形態に係る反力発生装置10によれば、AFPコントローラ40は、運転者によるアクセルペダルAPの操作が不要と判断されたとき(自動運転モード時)に、減速機構付モータ20への駆動電流MAをゼロにし、かつ電磁クラッチ30への駆動電流CAを所定値で固定(
図6における駆動電流(CA)で固定)する制御を行う。
【0069】
これにより、アクセルペダルAPをフットレストとして使用することができる。このとき、減速機構付モータ20での無駄な電力消費を無くして、電磁クラッチ30での電力消費のみにできる。
【0070】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。