特許第6759095号(P6759095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6759095質量分析向けの細長いトラッピング領域を有する小型荷電粒子トラップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759095
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】質量分析向けの細長いトラッピング領域を有する小型荷電粒子トラップ
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/42 20060101AFI20200910BHJP
   G01N 27/62 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   H01J49/42
   G01N27/62 B
【請求項の数】14
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-500080(P2016-500080)
(86)(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公表番号】特表2016-517138(P2016-517138A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】US2013042031
(87)【国際公開番号】WO2014143101
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2016年4月12日
【審判番号】不服2019-5399(P2019-5399/J1)
【審判請求日】2019年4月23日
(31)【優先権主張番号】13/840,653
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501345323
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ラムジー,ジェイ.マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,ケヴィン
【合議体】
【審判長】 瀬川 勝久
【審判官】 松川 直樹
【審判官】 野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−535759(JP,A)
【文献】 特開2005−158694(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0111067(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J49/00-49/48
G01N27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子をトラップする為の小型電極装置であって、
縦方向に沿って、
第1のエンドキャップ電極と、
開口を有する中央電極と、
第2のエンドキャップ電極と
を備え、
前記開口が、前記中央電極を通って前記縦方向に沿って延在し、及び前記中央電極が、前記縦方向に対して垂直な横方向の面内の前記開口を囲繞して、荷電粒子をトラップする為の横断空洞を画定し、
前記中央電極内の前記開口が、前記横方向の面において細長く、前記開口の大きい方の寸法と小さい方の寸法との比が5.0よりも大きく、前記大きい方の寸法が、前記横方向の面内の前記開口を横断する最も長い直線の距離であり、前記小さい方の寸法が、前記大きい方の寸法に対応する前記直線に対して垂直な前記横方向の面内の前記開口を横断する最も長い直線の距離であり、
前記横断空洞の前記縦方向の寸法2zが、50mmと100μmの間であり、
前記横断空洞の前記縦方向の寸法と前記小さい方の寸法との比が1.1以上である、
装置。
【請求項2】
前記開口の大きい方の寸法と小さい方の平均寸法との比が1.0よりも大きく、
前記大きい方の寸法が、前記横方向の面内の前記開口を横断する最も長い直線の距離であり、及び、
前記小さい方の平均寸法が、前記大きい方の寸法に沿ったあらゆる位置において、前記大きい方の寸法に対して垂直な前記横方向の面内の前記開口を横断するそれぞれの直線に沿った前記距離の積算平均である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記大きい方の寸法と前記小さい方との平均寸法との比が1.5よりも大きい、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記小さい方の寸法が10mm未満であり、又は、
前記小さい方の平均寸法が10mm未満である、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のエンドキャップ電極と前記第2のエンドキャップ電極の各々が、前記縦方向に対して横方向に延在する平面導電部材であって、前記縦方向に沿って前記導電部材を通って延在する複数の孔を有する平面導電部材を含み、
各平面導電部材が導線メッシュであり、
前記縦軸に沿って前記中央電極に突出する各導電メッシュの突起が、前記横方向の面における前記中央電極内の前記開口を完全に取り囲む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のエンドキャップ電極と前記第2のエンドキャップ電極の各々が、
前記縦方向に沿った前記荷電粒子用の経路を画定する為の空間を有する導電材料を含み、前記経路が前記第1のエンドキャップ電極と前記第2のエンドキャップ電極の前記空間及び中央電極の前記開口を通って延在し、
前記第1のエンドキャップ電極と前記第2のエンドキャップ電極の少なくとも一方の内の前記空間が、前記中央電極内の前記開口の前記大きい方の寸法よりも大きい周辺部を有する円形開口を備える、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のエンドキャップ電極と前記第2のエンドキャップ電極の少なくとも一方の内の前記空間が、細長いスリットを備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記開口が細長いスリットを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記開口部の断面形状は、一定の小さい方の寸法からなる中央領域と、前記中央領域の両端に設けられた領域であって、変化する小さい方の寸法を有する末端領域とを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記横断空洞の前記縦方向の前記寸法と前記小さい方の寸法との前記比が1.1と1.3の間である、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記小さい方の寸法に平行な方向における前記開口部の横幅は、前記大きい方の寸法の少なくとも一部に沿って変化する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記中央電極が1つ又は複数の追加の開口を備え、前記追加の開口の各々が、前記中央電極を通って前記縦方向に沿って延在し、荷電粒子をトラップする為のそれぞれの横断空洞を前記中央電極内に画定し、
前記追加の開口の各々が、前記横方向の面において細長い、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の小型電極装置と、
前記小型電極装置に結合された少なくとも1つの電気信号源と、
イオン源と、
少なくとも1つの検出器と、
前記少なくとも1つの電気信号源に動作可能に結合された制御装置と、
を備える質量分析装置であって、
前記質量分析装置の動作中に、
前記イオン源が、前記小型電極装置内にトラップされるイオンを注入又は形成し、
前記小型電極装置が、前記電気信号源からの信号に応答して電磁場を生成して、横断空洞内に配置されたイオントラッピング領域を生成し、
前記制御装置が、前記電気信号源を調整して、前記トラッピング領域からのイオンの質量選択放出を実行し、
前記検出器が、前記第1のエンドキャップ電極と前記第2のエンドキャップ電極の少なくとも一方を通って前記小型電極装置から放出されたイオンを検出する、
装置。
【請求項14】
前記イオントラッピング領域を取り囲むチャンバを備え、前記質量分析装置の動作中に、前記チャンバのバックグラウンドガス圧力が133Paより高くなるように構成される、請求項13に記載の質量分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発に関する記載
本発明は、米国陸軍研究局から授与された助成金W911NF−10−1−0447の下で、政府の助成によってなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月15日出願の「質量分析向けの細長いトラッピング領域を有する小型荷電粒子トラップ(MINIATURE CHAGED PARTICLE TRAP WITH ELONGATED TRAPPING REGION FOR MASS SPECTROMETRY)」という名称の米国仮特許出願第13/840653号明細書の利益を主張し、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0003】
本発明は、質量分析向けの細長いトラッピング領域を有する小型荷電粒子トラップに関する。
【背景技術】
【0004】
この背景技術のセクションは、情報を提供することのみを目的とするものであり、本明細書に含まれる主題のいずれも、本出願に対して従来技術を限定することにはならず、またそれを認めない。
【0005】
質量分析(MS)は、分析技法の中で最も有益なものである。速度、選択性、及び感度の組合せにより、MSには、微量元素分析、非常に複雑な試料での生体分子特性評価、同位体比の確定などの領域において広範囲の用途がある。しかし、MSシステムによっては、サイズが大きく、重量が重く、電力消費が大きい(SWaP)為、一般に、こうした分析は研究室の環境に限定される。現場での迅速な測定が望ましいか、又は研究室内での分析が最適ではない用途であれば、持ち運び可能な小型のMSシステムの開発から恩恵を受けるであろう。
【0006】
MS作業においてSWaPが増大し、ますます複雑になるのは、ほとんどの質量分析器に必要とされる高真空(10−5〜10−9トル)を実現するのに必要な真空システムに原因がある。従って、SWaPを低減する為の1つの手法は、それよりも圧力が高い状態でMSを実行できることである。イオントラップは、10−4トルよりも圧力が高い状態で動作することができ、従って小型システム用の質量分析器として使用することができる。しかし、場合によっては、数ミリトルを著しく超えてイオントラップ内の圧力を高めると、解像度及び信号強度に有害な影響が生じる。圧力を更に高めてバッファガスとの衝突数が増大すると、電場によってイオンの軌道を制御しにくくなる。トラップの動作周波数(通常は、高周波即ち「RF」)を上げると、1サイクル毎に中性衝突がほとんど生じることがなく、圧力が高い状態での動作の負の影響が軽減されるが、対応してトラップの寸法を小さくして、必要となるRF電圧振幅を低減することが必要になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,847,240号明細書
【特許文献2】米国特許第6,469,298号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来サイズのセンチメートル規模のトラップ幾何形状の寸法をただ小さくするのみでは問題となることを、これまで本出願人らは知っていた。トラップのサイズを小さくするにつれて、従来の機械加工技法を用いて、イオントラップ電極の従来の双曲面形状を製造することがますます困難になる。トラップの幾何形状を簡略化する為に、これらの双曲面形状を平面の電極で置き換えてもよい。
【0009】
しかし、イオントラップを小型化するに当たっての制限は、空間電荷効果により、トラップの寸法が小さくなるにつれてイオントラッピング能力が低下することである。シミュレーションでは、1μm規模のトラップが、単一イオンに近い電荷容量を有することになる。
【0010】
一方向に細長いトラッピング空洞を有する小型化トラップを実現することによって、この制限を軽減又は克服できることを、これまで本出願人らは知っていた。次元数を増やすことにより、同じく製造が容易なままで、対称なトラッピング空洞を有する同様のトラップよりも記憶容量を上げることができる。従って、本明細書に記載のイオントラップの各実施形態は、高いレベルの小型化と有利には大きな電荷容量の両方を実現することができる。
【0011】
一態様では、荷電粒子をトラッピングする為の小型電極装置が開示される。実施形態によっては、この装置は、縦方向に沿って、第1のエンドキャップ電極と、開口を有する中央電極と、第2のエンドキャップ電極とを備える。実施形態によっては、この開口は、中央電極を通って縦方向に延在し、及びこの中央電極は、縦方向に対して垂直な横方向の面内の開口を囲繞して、荷電粒子をトラップする為の横断空洞を画定する。
【0012】
実施形態によっては、中央電極内の開口は、横方向の面において細長い。様々な実施形態において、以下の方法のいずれでも、細長い開口が特徴となり得る。
【0013】
実施形態によっては、細長い開口は、大きい方の寸法と小さい方の寸法との比が1.0よりも大きく、ここで、大きい方の寸法は、横方向の面内の開口を横断する最も長い直線の距離であり、及び小さい方の寸法は、大きい方の寸法に対応する直線に対して垂直な横方向の面内の開口を横断する最も長い直線の距離である。こうした実施形態によっては、大きい方の寸法と小さい方の寸法との比は、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、10.0、50.0、100.0よりも大きいか、又はそれを上回る。実施形態によっては、小さい方の寸法は、10mm、5mm、1mm、0.1mm、0.01mm、0.001mmよりも小さいか、又はそれを下回る。
【0014】
実施形態によっては、細長い開口の大きい方の寸法と小さい方の平均寸法との比が1.0よりも大きく、ここで、大きい方の寸法は、横方向の面内の開口を横断する最も長い直線の距離であり、及び小さい方の平均寸法は、大きい方の寸法に対応する線に沿ったあらゆる位置において、大きい方の寸法に対応する線に対して垂直な横方向の面内の開口を横断するそれぞれの直線に沿った距離の積算平均である。こうした実施形態によっては、大きい方の寸法と小さい方の平均寸法との比は、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、10.0、50.0、100.0よりも大きいか、又はそれを上回る。実施形態によっては、小さい方の平均寸法は、10mm、5mm、1mm、0.1mm、0.01mm、0.001mmよりも小さいか、又はそれを下回る。
【0015】
実施形態によっては、細長い開口は、第1及び第2の端部を有する細長いチャネルを含み、ここで、この細長いチャネルでは、チャネル長とチャネル幅との比が1.0よりも大きく、ここで、チャネル長は、第1の端部から第2の端部まで横方向の面内のチャネルを横断する最も短い曲線の距離であり、及びチャネル幅は、チャネル長に対応する曲線に対して垂直な横方向の面内のチャネルを横断する最も長い直線の距離である。こうした実施形態によっては、チャネル長とチャネル幅との比は、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、10.0、50.0、100.0よりも大きいか、又はそれを上回る。実施形態によっては、チャネル幅は、10mm、5mm、1mm、0.1mm、0.01mm、0.001mmよりも小さいか、又はそれを下回る。
【0016】
実施形態によっては、各エンドキャップは、平面導電部材であって、縦方向に沿って導電部材を通って延在する複数の孔を有する平面導電部材を含む。実施形態によっては、各平面導電部材は、縦軸に対して横方向に延在し、且つ電子透過性又はイオン透過性になるように構成される。実施形態によっては、各平面導電部材は導電メッシュである。実施形態によっては、縦軸に沿って導電メッシュが中央電極に突出して、横方向の面における中央電極内の細長い開口を完全に取り囲む。
【0017】
実施形態によっては、各エンドキャップ電極は、エンドキャップ及び中央電極の開口を通る縦方向に沿った荷電粒子用の経路を画定する為の開口を有する導電材料を含む。実施形態によっては、少なくとも1つのエンドキャップ内の開口が、導電メッシュで略満たされる。
【0018】
様々な実施形態において、少なくとも1つのエンドキャップ内の開口は、任意の適切な形状を有してもよい。実施形態によっては、少なくとも1つのエンドキャップ内の開口は、中央電極内の開口の大きい方の寸法よりも大きい周辺部を有する円形開口を含み、ここで、この大きい方の寸法は、前述の各方法のいずれかで画定される。実施形態によっては、少なくとも1つのエンドキャップ内の開口は、中央電極内の開口のチャネル長よりも大きい周辺部を有する円形開口を備える。実施形態によっては、少なくとも1つのエンドキャップ内の開口は、細長いスリットを含む。
【0019】
実施形態によっては、中央電極内の細長い開口は、任意の適切な形状を有してもよい。実施形態によっては、細長い開口は、細長いスリット、2つ以上の交差した細長いスリット、蛇行部分、らせん部分、円形スリットの一部分、及びそれらの任意の組合せを含む。
【0020】
実施形態によっては、縦方向に沿って、第1のエンドキャップ電極と中央電極との間に配置された第1の絶縁スペーサ、及び中央電極と第2のエンドキャップ電極との間に配置された第2の絶縁スペーサを備えるものもある。
【0021】
実施形態によっては、各電極に結合されて、中央電極とエンドキャップ電極との間に振動電磁場を生成する電源を備えるものもある。
【0022】
実施形態によっては、中央電極内の横方向に細長い開口によって画定された横断空洞は、第1のエンドキャップから第2のエンドキャップまでの縦方向における垂直方向の寸法が、約10mm、10mm、5mm、1mm、0.1mm、0.01mm、0.001mmよりも小さい、又はそれを下回る。実施形態によっては、中央電極内の横方向に細長い開口によって画定された横断空洞は、その垂直方向の寸法が空洞の横方向の範囲にわたって実質的に均一である。実施形態によっては、中央電極内の横方向に細長い開口によって画定された横断空洞は、その垂直方向の寸法が空洞の横方向の範囲のうちの1つ又は複数にわたって変化する。
【0023】
実施形態によっては、中央電極内の横方向に細長い開口によって画定された横断空洞は、その垂直方向の寸法が、第1のエンドキャップから第2のエンドキャップまでの縦方向において、小さい方の寸法、小さい方の平均寸法、又は細長い開口のチャネル幅と等しいか、又はそれよりも大きい。
【0024】
実施形態によっては、中央電極内の細長い開口は、横方向の長さ及び横方向の幅を有する少なくとも1つのチャネル部分を含み、且つこの幅は、チャネル部分に沿って実質的に均一である。
【0025】
実施形態によっては、中央電極内の細長い開口は、横方向の長さ及び横方向の幅を有する少なくとも1つのチャネル部分を含み、且つこの幅は、チャネル部分の横方向の長さに沿って変化する。
【0026】
実施形態によっては、横断空洞の局所領域との間の電子又はイオンの伝達を阻止するように構成される、少なくとも1つのマスク要素を含むものもある。
【0027】
実施形態によっては、中央電極は複数の開口を備え、この複数の開口が、荷電粒子をトラップする為のそれぞれの横断空洞をそれぞれ画定するように構成されている。
【0028】
実施形態によっては、細長い開口は、複数の実質的に直線の部分、及びこの実質的に直線の部分の対を連結する複数の湾曲部分を有する蛇行スリットを中央電極内に備える。実施形態によっては、湾曲部分に対応する横断空洞の局所領域からのイオン伝達を阻止するように構成される、1つ又は複数のマスク要素を備えるものもある。実施形態によっては、直線部分に対応する横断空洞の局所領域からのイオン伝達を阻止するように構成される、1つ又は複数のマスク要素を備えるものもある。
【0029】
他の態様では、荷電粒子をトラップする為の小型電極組立体を備える質量分析装置が開示されており、この組立体は、イオントラップ組立体に結合された少なくとも1つの電気信号源と共に、前述のタイプのいずれかの装置を備える。実施形態によっては、電極組立体は、電気信号源からの信号に応答して電磁場を生成して、イオントラッピング領域を生成するように構成される。
【0030】
実施形態によっては、電気信号源に動作可能に結合され、及びこの信号源を調整して、トラッピング領域からのイオンの質量選択放出を実行するように構成された制御装置を備えるものもある。
【0031】
実施形態によっては、エンドキャップ電極のうちの少なくとも1つが、トラッピング領域からのイオンの放出を可能にするように構成される。
【0032】
実施形態によっては、トラッピング領域内にトラップされるイオンを注入又は形成するように構成されたイオン源を備えるものもある。
【0033】
実施形態によっては、組立体から放出されたイオンを検出するように構成される、少なくとも1つの検出器を備えるものもある。実施形態によっては、この少なくとも1つの検出器は、ファラデーカップ検出器又は電子増倍管を備える。
【0034】
実施形態によっては、イオントラッピング領域を含むチャンバが設けられ、動作中、このチャンバは100ミリトル、1トル、10トル、100トル、500トル、760トル、1000トルよりも高いか、又はそれを超えるバックグラウンド圧力を有するように構成される。
【0035】
実施形態によっては、中央電極は複数の開口を備え、この開口のそれぞれが、荷電粒子をトラップする為の横断空洞を画定し、各空洞が複数のイオントラッピング空洞領域のうちの別々の領域を含む。実施形態によっては、質量分析装置は、複数のイオントラッピング空洞領域から出力される結合された質量選択的なイオン放出に基づいて、強化された出力信号を生成するように構成される。
【0036】
別の態様では、荷電粒子をトラップする為の小型電極組立体に電気信号を印加するステップであって、この組立体が、荷電粒子をトラップする為の前述のタイプのうちの任意のタイプの小型電極装置を含むステップを含む質量分析法が開示される。実施形態によっては、この電気信号に応答して、イオントラップ組立体の空洞内に位置するイオントラッピング領域を有する電磁場を生成するステップを含むものもある。実施形態によっては、信号源を調整して、トラッピング領域からのイオンの質量選択放出を実行するステップと、トラッピング領域から放出されたイオンを検出して、質量分析信号を生成するステップと、質量分析信号を出力するステップとを含むものもある。
【0037】
実施形態によっては、トラッピング領域でトラップされるイオンを注入又は形成するステップを含むものもある。実施形態によっては、第1及び第2のエンドキャップ電極のうちの少なくとも1つは、平面導電部材であって、平面導電部材を通って延在する複数の孔を有する平面導電部材を備え、この平面導電部材は、電子透過性又はイオン透過性になるように構成されている。実施形態によっては、この方法は、平面導電部材内の複数の孔を介して、イオン又は電子をトラッピング領域に注入するステップを含む。
【0038】
実施形態によっては、トラッピング領域の局所部分からイオンを放出するステップを含むものもある。実施形態によっては、この局所部分は、トラッピング領域の横方向の端部又はトラッピング領域の中央部分に対応する。実施形態によっては、トラッピング領域内の複数の位置でイオンを形成又は注入するステップと、トラッピング領域内の実質的に単一の位置からイオンを放出するステップとを含むものもある。
【0039】
実施形態によっては、トラッピング領域の第1の部分でイオンを形成又は注入するステップと、第1の部分の容積よりも小さい容積を有するトラッピング領域の第2の部分からイオンを放出するステップとを含むものもある。実施形態によっては、トラッピング領域は、複数の実質的に直線の部分、及びこの実質的に直線の部分の対を連結する複数の湾曲部分を有する端点の対の間を延在する蛇行領域を含み、第1の部分が、実質的に直線の部分のうちの1つ又は複数に対応し、及び第2の部分が、湾曲部分及び端点のうちの少なくとも1つに対応する。
【0040】
実施形態によっては、トラッピング領域の一部分から放出されたイオンを選択的に阻止して、イオンが検出されるのを防止するステップを含むものもある。実施形態によっては、発生源からの電子又はイオンがトラッピング領域の一部分に入らないよう選択的に阻止するステップを含むものもある。
【0041】
実施形態によっては、電気信号に応答して、複数の別々のイオントラッピング領域を有する電磁場を生成するステップを含むものもある。実施形態によっては、イオントラッピング領域のうちの少なくとも2つが、異なるイオントラッピング安定特性を有する。実施形態によっては、イオントラッピング領域のそれぞれが、実質的に同じイオントラッピング安定特性を有する。
【0042】
実施形態によっては、信号源を調整して、トラッピング領域のそれぞれからのイオンの質量選択放出を実行するステップを含むものもある。実施形態によっては、複数のトラッピング領域から放出されるイオンを、単一の検出器を用いて検出して、結合された質量分析信号を生成するステップを含むものもある。実施形態によっては、複数のトラッピング領域のそれぞれから放出されるイオンを、それぞれの検出器を用いて検出して、それぞれの質量分析信号を生成するステップを含むものもある。
【0043】
様々な実施形態は、単独又は任意の適切な組合せで、前述の要素のいずれを含んでもよい。
【0044】
本明細書に記載の様々な実施形態では、荷電粒子をトラッピングする為の小型電極装置が開示される。この装置は、縦方向に沿って、第1のエンドキャップ電極と、開口を有する中央電極と、第2のエンドキャップ電極とを備える。この開口は、中央電極を通って縦方向に沿って延在し、この中央電極は、縦方向に対して垂直な横方向の面内の開口を囲繞して、荷電粒子をトラップする為の横断空洞を画定する。中央電極内の開口は、横方向の面において細長い。様々な実施形態において、以下の方法のいずれでも、細長い開口が特徴となり得る。
【0045】
以下に述べるように、例えば図1〜4及び図17を参照しながら示すように、細長い開口は、任意の細長い形状でもよい。図18A図18Cを参照すると、形状は、以下の方法のいずれかを特徴としてもよい。
【0046】
実施形態によっては、細長い開口は、大きい方の寸法と小さい方の寸法との比が1.0よりも大きく、ここで、大きい方の寸法は、横方向の面内の開口を横断する最も長い直線の距離であり、小さい方の寸法は、大きい方の寸法に対応する直線に対して垂直な横方向の面内の開口を横断する最も長い直線の距離である。こうした実施形態によっては、大きい方の寸法と小さい方の寸法との比は、1.5超、2.0、3.0、4.0、5.0、10.0、50.0、100.0以上である。実施形態によっては、小さい方の寸法は、10mm未満、5mm、1mm、0.1mm、0.01mm、0.001mm以下である。
【0047】
図18Aに示すように、開口の大きい方の寸法は、横方向の面内の開口を横断する最も長い直線の距離として定義され、小さい方の寸法は、大きい方の寸法に対応する直線に対して垂直な横方向の面内の開口を横断する最も長い直線の距離である。こうした実施形態によっては、大きい方の寸法と小さい方の寸法との比は、1.0超、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、10.0、50、100以上である。実施形態によっては、小さい方の寸法は、10mm未満、5mm、1mm、0.1mm、0.01mm、0.001mm以下である。図1A〜1Eに示すスリット形状の開口の場合、大きい方の寸法はyに対応し、小さい方の寸法は2xに対応する。
【0048】
図18Bに示すように、開口の大きい方の寸法は、横方向の面内の開口を横断する最も長い直線の距離として定義され、小さい方の平均寸法は、大きい方の寸法に対応する線に沿ったあらゆる位置において、大きい方の寸法に対応する線に対して垂直な横方向の面内の開口を横断するそれぞれの直線に沿った距離の積算平均である。こうした実施形態によっては、大きい方の寸法と小さい方の平均寸法との比は、1.0超、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、10.0、50、100、1000以上である。実施形態によっては、小さい方の平均寸法は、10mm未満、5mm、1mm、0.1mm、0.01mm、0.001mm以下である。
【0049】
実施形態によっては、図18Cに示すように、細長い開口は、第1及び第2の端部を有する細長いチャネルである。こうした場合には、チャネル長は、第1の端部から第2の端部まで横方向の面内のチャネルを横断する最も短い曲線の距離として定義され、チャネル幅は、チャネル長に対応する曲線に対して垂直な横方向の面内のチャネルを横断する最も長い直線の距離として定義される。こうした実施形態によっては、チャネル長とチャネル幅の比は、1.5超、2.0、3.0、4.0、5.0、10.0、50、100、1000以上である。実施形態によっては、チャネル幅は、10mm未満、5mm、1mm、0.1mm、0.01mm、0.001mm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1A】乃至
図1E】荷電粒子をトラップする為の小型電極装置の図を示す。図1Aは、斜視図である。図1Bは、別の角度での第2の斜視図である。図1Cは、上面図である。図1Dは、面AA’に沿った垂直断面図である。図1Eは、面AA’に沿った斜視断面図である。
図2A】乃至
図2C】荷電粒子をトラップする為の小型電極装置を含むイオントラップの図を示す。図2Aは、斜視図である。図2Bは、上面図である。図2Cは、分解図である。
図3】荷電粒子をトラップする為の小型電極装置を含むイオントラップの写真である。
図4図1A〜1Eに示すタイプの小型電極装置の中央電極用の幾つかの代替デザインの概略図を示す。
図5A】質量分析装置の概略図である。
図5B】質量分析装置の詳細な機能図である。
図5C】質量分析装置の詳細な機能図である。
図5D】質量分析装置の例示的なタイミング図である。
図6】差動排気チャンバを特徴とする質量分析装置の概略図である。
図7】トラップ幅が変化する際に分解能が変化するストレッチトレングスイオントラップ(SLIT)を使用して得られる、30ミリトルのヘリウムバッファガス内での10−4トルのXeの質量スペクトルを示す。
図8A】乃至
図8B】SLITと円筒形イオントラップ(CIT)の性能比較を示す。図8Aは、SLIT(上側の線)及びCIT(下側の線)を用いて記録した、Heバッファガスが51ミリトルでの、10−4トルのXeの質量スペクトルを示す。参考までに、XeについてのNIST EIスペクトラムの棒グラフが、グラフの下部に沿って示してある。5つの主要ピークの平均FWHMは、SLIT及びCITにおいて、それぞれ0.41Th及び0.44Thである。図8Bは、SLIT(上側の線)の感度がCIT(下側の線)の感度を上回って大きく増加することを示す試料圧力の関数として、全てを統合したXe信号を示す。測定値をなぞった線の傾斜は、SLIT及びCITについて、それぞれ0.52μV*s/トル、及び1.52μV*s/トルであり、SLITにおける感度は10倍高くなる。垂直のエラーバーは、各圧力において連続的に3回得られたスペクトルの標準偏差を表し、水平のエラーバーは、フルレンジ圧力計の不正確さを表す。
図9】トラッピング長の延びの関数としてのSLIT信号のグラフを示す。個々のスペクトルは、33ミリトルのHeにおける10−4トルでのXeのものであった。エラーバーは、連続的に3回得られたスペクトルの標準偏差を表す。
図10】Heバッファガス圧が202〜1002ミリトルの場合に得られる、XeのSLIT質量スペクトルを示す。圧力が高まるにつれて、分解能と信号が劣化する。イオン化時間、エミッタバイアス電圧、及びエミッタ電流を調整することによってイオン化電子の総量を増大させることにより、信号損失が調整される。圧力が低い状態での略0.5Thのピーク幅が、1トルでは推定で2Thのピーク幅にまで劣化する。
図11図10に示す圧力が高い状態での質量スペクトルについての実験条件の表を示す。
図12】9ミリトル〜1000ミリトルの圧力での窒素バッファガスを用いて、有機化合物メシチレンの質量スペクトルをSLITが得たことを示す。圧力を上げてトラップ内でのイオン化電子を増やすにつれて、イオン化条件を調整した。この圧力範囲にわたって、主要なメシチレンのピークの幅が2.3Th〜7.2Thに大きくなる。
図13A】3つのトラッピング空洞を特徴とするSLITトラップ用の中央電極を示す。
図13B図13Aに示す中央電極を特徴とするSLITトラップを使用して得られる、30ミリトルのヘリウムバッファガス内での10−4トルのXeの質量スペクトルを示す。
図14A】乃至
図14B】蛇行スリットトラップの全長方向に沿ってイオンのトラッピングを示す実験結果を示す。
図15】線形トラップのアレイを使用する質量分析実験の実験結果を示す。
図16】単一の線形トラップを使用する質量分析実験の実験結果を示す。
図17】先細の線形トラップを使用する質量分析実験の実験結果を示す。
図18A】乃至
図18C】細長い開口での形状を特徴付ける為の様々な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
様々な実施形態において、例えば、質量分析装置内の質量分析器として使用する為のストレッチトレングスイオントラップ(SLIT)が設けられている。イオントラップは、2つの寸法方向に沿って小型化され、ただし第3の寸法方向に沿って引き伸ばされた、即ち細長いトラッピング領域を特徴とする。
【0052】
例えば、図1A図1Eには、荷電粒子をトラップする為の小型電極装置100の図が示してある。図1Aは斜視図である。図1Bは、別の角度での第2の斜視図である。図1Cは、上面図である。図1Dは、面AA’に沿った垂直断面図である。’図1Eは、面AA’に沿った斜視断面図である。
【0053】
小型電極装置100は、縦方向(各図においてz方向で示す)に沿って積み重ねられた3つの電極を備える。各電極は、第1のエンドキャップ電極102、中央電極104、及び第2のエンドキャップ電極106を備える。中央電極104は、細長い開口108を備える。この開口108は、中央電極を通って縦方向zに沿って延在し、この中央電極104は、縦方向に対して垂直な横方向の面内(x−y面で示す)の開口108を囲繞して、荷電粒子をトラップする為の横断空洞を画定する。
【0054】
中央電極及びエンドキャップ電極102、104、106は、金属(例えば、銅、金、ステンレス鋼)などの任意の適切な導電材料、又は高濃度ドープのn若しくはpタイプのシリコンなどのドープされた半導体材料から作製してもよい。各電極は、例えば、フライス削り、エッチング(例えばウェットエッチング)、及びレーザ切断を含め、任意の適切な製造技法を使用して形成してもよい。
【0055】
開口108は、横方向の面で「引き伸ばされており」、即ち細長い。例えば図に示すように、開口108は、x方向よりもy方向に長い、細長いスリットである。
【0056】
様々な実施形態において、開口108は、任意の細長い形状をとってもよい。例えば、様々な実施形態において、この開口は、横方向の面内で開口を横断する最も長い直線距離である大きい方の寸法、及びこの大きい方の寸法に垂直な横方向の面内で開口を横断する最も長い直線距離である小さい方の寸法を有する。図1A図1Eに示す例では、大きい方の寸法が長さyに対応し、小さい方の寸法が距離2xに対応する(図1Cに最も良好に示してある)。慣例により、本明細書においてxは開口の幅の半分として定義され、y0は開口の全長であることに留意されたい。
【0057】
実施形態によっては、大きい方の寸法と小さい方の寸法との比は、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、100.0、150、200よりも大きいか、又はそれを上回る。例えば、実施形態によっては、大きい方の寸法と小さい方の寸法との比は、1.1〜1000の範囲、又はその任意の部分範囲にある。
【0058】
例えば、荷電粒子トラッピング動作を相対的に高い周波数で実行できるよう、電極装置100は小型でもよい。例えば、実施形態によっては、開口108に小さい方の寸法は、50mm、10mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1.0mm、0.1mm、0.01mm、0.05mm、又は0.001よりも小さい。例えば、実施形態によっては、小さい方の寸法は、0.001mm〜50mmの範囲、又はその任意の部分範囲にある。実施形態によっては、小さい方の寸法は、電極装置が動作して、大きい方の寸法に沿って延びる単一荷電粒子の線又は面のみをトラップするように十分小さい。
【0059】
実施形態によっては、中央電極104内の横方向に細長い開口108によって画定された横断空洞の垂直方向の寸法2z図1Dに最も良好に示してある)は、約10mm、50mm、10mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1.0mm、0.1mm、0.01mm、0.05mm、又は0.001よりも小さい。zは、空洞の高さの半分として画定されてきており、例えば図に示すように、開口108の高さの半分に加えて、開口からエンドキャップ電極までの距離として画定されることに留意されたい。例えば、実施形態によっては、小さい方の寸法は、0.001mm〜50mmの範囲、又はその任意の部分範囲にある。実施形態によっては、小さい方の寸法は、電極装置が動作して、垂直方向の寸法に沿った単一荷電粒子のみをトラップするように十分小さい。実施形態によっては、zとxとの比は1よりも大きく、例えば1.1〜1.3の範囲にある。様々な実施形態では、エンドキャップ電極102及び106は、荷電粒子に対して少なくとも部分的に透過性である為、こうした粒子が横断空洞との間で出入りできるようになる。
【0060】
例えば、図に示すように、各エンドキャップ電極102及び106は、縦方向に沿って内部を通って延在する複数の孔を有する平面導電部材110を含む。図に示すように、各平面導電部材110は、縦軸に対して横方向に延在し、電子透過性又はイオン透過性になるように構成される。
【0061】
実施形態によっては、平面導電部材110は、電鋳メッシュ又は織物メッシュなどの導電メッシュである。様々な実施形態では、メッシュの開口率(即ち、メッシュを通って延在する通路を含むメッシュ表面の面積の百分率)は、荷電粒子に対する所望の透過性及び所望の機械的強度を実現するように選択することができる。実施形態によっては、メッシュは少なくとも50%開口、少なくとも75%開口、少なくとも80%開口、少なくとも90%以上でもよい。例えば、実施形態によっては、メッシュの開口率は、1%〜99%の範囲、又はその任意の部分範囲にある。
【0062】
実施形態によっては、エンドキャップ電極102及び106においてメッシュ110を使用することは、各電極102、104、及び106を精密に位置合せする必要が低減する為、有利である。例えば、図1Cに最も良好に示すように、各エンドキャップ電極102及び106において、縦軸に沿った中央電極への導電メッシュ110の突出により、横方向の面内の中央電極104での細長い開口108が完全に取り囲まれる。図に示すように、エンドキャップ電極102及び106のメッシュ部分110は、中央電極104内の開口108よりも幅が広くて長い、細長のスリットとして形状付けられている。図に示す構成では、メッシュ部分110の長さは、開口の長さと略等しいが、他の実施形態では、このメッシュ部分が、中央電極104内の開口108よりも長くても(又は短くても)よいことに留意されたい。様々な実施形態では、他の形状又は構成を使用してもよい。例えば、図3に示すように、メッシュは、エンドキャップ電極102又は106内の円形開口内に配置してもよく、この円形開口は、その直径が、中央電極104内の開口108の大きい方の寸法よりも長い。
【0063】
前述のタイプの実施形態では、x−y方向での横方向シフト、及び/又は縦軸の周りの回転などのミスアライメントが、イオントラップの動作に実質的に影響を及ぼすことにはならない。即ち、メッシュ110の特性は比較的一様である為、中央電極104内の細長い開口108に面する、エンドキャップ電極102又は106の一部分の構造が、こうしたミスアライメントによって変化することはない。従って、実施形態によっては、イオントラップの性能は、主として又は専ら電極102、104、及び106の垂直アライメントに依存する。以下で詳細に述べるように、実施形態によっては、例えば各電極間に配置された非導電性スペーサ要素を使用して、適切な垂直アラインメントを容易に維持してもよい。
【0064】
メッシュ110を使用すると有利な場合もあるが、実施形態によっては、メッシュを省いてもよく、またエンドキャップ電極102及び106のうちの一方又は両方が、空の開口を単に備えてもよい。この開口は、任意の適切な形状(例えば、細長いスリット又は円筒形開口)を有してもよい。様々な実施形態では、エンドキャップ102又は106内の開口は、中央電極104内の開口108の形状に実質的に対応する形状を有してもよく、又はそれと実質的に異なる形状を有してもよい。実施形態によっては、エンドキャップ102及び106の開口は、中央電極104内の開口108と同様の形状、ただしx方向の長さが開口108の対応する長さよりも短い形状を横方向の面内に有してもよい。例えば、図2A〜2Cに示す実施形態では、電極102、104、及び106のそれぞれが、細長いスリット開口を備え、各スリットが位置合せされている。
【0065】
図1A図1Eに示す実施形態では、中央電極104内の横方向に細長い開口108によって画定される横断空洞の垂直寸法は2z(エンドキャップ間の間隔に対応する)であり、これは、空洞の横方向のx及びyの範囲にわたって実質的に均一である。しかし、実施形態によっては、中央電極104内の横方向に細長い開口108によって画定される横断空洞は、例えばエンドキャップ電極102又は106のうちの一方が中央電極104に対してある角度で配置されている場合に、空洞の横方向の範囲の1つ又は複数にわたって変化する垂直寸法を有してもよいことを理解されたい。場合によっては、空洞の垂直範囲でのアライメントが変化すると、質量分析器として動作するときの分解能が劣化するという点で、この構成は不利である。しかし、他の場合では(例えば以下に述べるように、トラッピング空洞の局所領域から、トラップされた粒子が選択的に放出される場合では)、この構成が有利になることがある。
【0066】
一般に、各電極内の開口の形状は、所与の用途での要求に応じて修正してもよい。例えば、実施形態によっては、中央電極104内の細長い開口108は、横方向の長さと幅を有する少なくとも1つのチャネル部分を備える。場合によっては、この幅は、チャンネル部分に沿って実質的に均一でもよく、場合によっては、この幅は、チャネル部分の横の長さ方向に沿って変化する。
【0067】
図2A〜2Cには、荷電粒子をトラップする為の小型電極装置100を含むイオントラップ組立体200の図が示してある。図2Aは斜視図である。図2Bは、上面図である。図2Cは分解図である。
【0068】
図1A図1Eと同様に、小型電極装置100は、第1のエンドキャップ電極102、中央電極104、及び第2のエンドキャップ電極106を備える。中央電極104は、細長い開口108を備える。この開口108は、中央電極104を通って縦方向zに沿って延在し、この中央電極104は、縦方向に対して垂直な横方向の面内(x−y面で示す)の開口108を囲繞して、荷電粒子をトラップする為の横断空洞を画定する。
【0069】
装置100は、支持部材201上に配置される。電極102、104、及び106を相隔てる、非導電性スペーサ202が設けられる。任意の適切な非導体材料、例えばポリイミド、ポリアミド、カプトン、若しくはテフロン(登録商標)のフィルムなどの高分子フィルム、又はセラミック若しくはマイカなどの絶縁材料を、スペーサ202に使用してもよい。他の実施形態では、例えば、半導体処理例えば酸化ケイ素又は窒化ケイ素の膜の成長の分野で知られている技法を使用して、各電極のうち1つ又EEは複数の電極上に、非導電性材料を成長又は堆積させてもよい。6つのスペーサ202が示してあるが、様々な実施形態では、任意の適切な数を使用してもよい。
【0070】
電極102、104、106とスペーサ202とで構成されているサンドイッチ構造体は、任意の適切な取付け機構、例えばサンドイッチ構造体を通って支持部材201まで延在する1つ又は複数のねじを使用して、支持部材201に固定してもよい。実施形態によっては、このねじは、サンドイッチ構造体の縦軸の周りに対称に配置し、等しいトルクで締めて、電極102、104、106の平行アライメントを維持してもよい。
【0071】
実施形態によっては、支持部材201は、装置100を取り付ける際の補助となる1つ又は複数のアライメント機能を含んでもよい。例えば、実施形態によっては、支持部材201は、案内ポストを取り付ける為の1つ又は複数の孔を含んでもよい。次いで、電極102、104、及び106は、各電極が案内ポスト上を滑るようにして、組立て中に所望のアライメントを維持する為の案内孔を含んでもよい。実施形態によっては、これらの案内ポストは、電極を支持部材201に固定した後に取り外してもよい。
【0072】
図3は、荷電粒子をトラップする為の小型電極装置100を含むイオントラップ200の写真である。前述の通り、図に示す実施形態では、エンドキャップ電極102及び106でのメッシュ110が、エンドキャップ電極102及び106内の円形開口に配置されており、その直径は、中央電極104内の開口108の大きい方の寸法よりも大きい。エンドキャップ電極102及び106への電気接続部301。図に示すように、この接続部は、トラッピング電極へのハンダ接続部であるが、様々な実施形態では任意の適切な接続部を使用してもよい。
【0073】
上記の例では、中央電極104内のスリットとして形成された単一の細長い開口108を特徴としているが、他の実施形態では、別の開口形状及び/又は2つ以上の開口を設けてもよい。図4には、図1A〜1Eに示すタイプの小型電極装置の中央電極用の幾つかの代替デザインの概略図が示してある。
【0074】
中央電極401は複数の開口を含み、それぞれが、荷電粒子をトラップする為の別々の横断空洞を画定する。図に示すように、各開口は、規則正しい線形配列で配置された細長いスリットである。しかし、様々な実施形態では、2次元配列の開口、又は不規則若しくはランダムに配置された開口を含め、他の開口形状及び配置を使用してもよい。
【0075】
中央電極402は、蛇行形状の開口を備える。図に示すように、蛇行形状の開口は、相対的に短い曲線部分によって連結された、相対的に長い直線部分を含む。蛇行形状は、相対的にコンパクトな占有面積に収まっていながら、有効長(即ち、蛇行形状をまっすぐ伸ばした場合に開口が有する長さ)が非常に長いトラッピング空洞を実現できるという点で有利である。
【0076】
同様に、中央電極403は、らせん状の開口を備える。中央電極404は、円の各部分として形成された複数のスリット形状の開口を備える。様々な実施形態では、他の曲線開口形状を使用してもよい。
【0077】
実施形態によっては、例えば、中央電極は、1つ又は複数の交差スリット形状の開口を備えてもよい。例えば、中央電極405は、共通の端点で交わる2つのスリットを有する。中央電極406は、星形に配置された3つの交差スリットを有する。様々な実施形態では、任意の適切な数及び配置の交差スリットを使用してもよい。
【0078】
様々な実施形態では、開口のスリット形状部分は、任意の適切な形状を有してもよいことに留意されたい。例えば、各スリットの垂直の高さ、横方向の長さ、及び横方向の幅は、実質的に均一でもよい。実施形態によっては、各スリットの垂直の高さ、横方向の長さ、及び横方向の幅のうちの1つ又は複数が変化してもよい。
【0079】
図5Aは、質量分析装置500の概略図である。質量分析装置500は、荷電粒子をトラップする為の小型電極装置100を有するトラップ200を備え、これは、図1A〜2Cを参照しながら説明したタイプのものである。電気信号源501がイオントラップ組立体に結合されて、電気信号を供給する。電極装置100は、信号に応答して電磁場を生成する。この電磁場は、横断空洞内に配置された、各電極によって形成されるイオントラッピング領域を含む。例えば、実施形態によっては、信号源は、各電極に結合されて、中央電極とエンドキャップ電極の間に振動電磁場を生成する電源として動作する。実施形態によっては、この電磁場は、RF周波数、例えば1MHz〜1000GHz又はその任意の部分範囲で振動する。圧力が高い状態での動作においては、高い周波数が望ましく、従って、トラッピング場のある振動の期間は、トラップされた粒子が背景ガス内の粒子と衝突する平均時間よりもはるかに短いことに留意されたい。
【0080】
制御装置502は、電気信号源501に動作可能に結合され、この信号源を調整して、トラッピング領域からのイオンの質量選択放出を実行するように構成される。様々な実施形態では、質量選択放出を実現する為の任意の適切な技法を使用してもよい。例えば、実施形態によっては、トラップ200に印加されるRF電位は傾斜しており、その結果、質量a(>b)のイオンの軌道は安定しているが、質量bのイオンが不安定になり、(例えば、エンドキャップ電極のうちの1つを介して)縦軸上で放出されて、検出器503(以下に詳述)に至る。他の実施形態では、2次の軸方向のRF信号をエンドキャップ電極全体に印加して、トラップ内に双極性の電場を生成することを含め、別の技法を使用してもよい。この双極性電場は、イオンの永続周波数が軸方向のRF周波数と等しくなるとき、イオンを放出することができる。
【0081】
システム500は、トラッピング領域内にトラップされるイオンを注入又は形成するように構成されたイオン源504を備える。様々な実施形態では、任意の適切な発生源を使用してもよい。例えば、実施形態によっては、電子発生源を使用して、(例えば、エンドキャップ電極のうちの1つの電極を介して)電子をトラップ200に送る。これらの電子は、トラップ200の横断空洞内で検体種をイオン化し、イオンを形成することができ、このイオンが電極構造体内でトラップされる。イオン発生源505は、動作可能なように制御装置に結合されて、例えば、動作中に要望通りこの発生源をオン/オフすることができる。
【0082】
システム500はまた、トラップ200から放出された荷電粒子(例えばイオン)を検出するように構成された検出器505を備える。様々な実施形態では、任意の適切な検出器を使用してもよい。圧力が高い用途では、高いバックグラウンド圧力で動作できる検出器、例えばファラデーカップタイプの検出器を使用することが有利になる場合がある。圧力が低い用途では、例えば電子増倍管検出器など、別のタイプの検出器を使用してもよい。検出器は、動作可能なように制御装置502に結合されて、例えば、制御装置に信号を送信し、処理して質量スペクトルを生成してもよい。
【0083】
システム500は、イオントラップ組立体を含むチャンバ(図示せず)を備えてもよい。このチャンバは、選択されたバックグラウンド圧力で維持してもよい。実施形態によっては、バックグラウンド圧力は、5ミリトル、10ミリトル、100ミリトル、1トル、10トル、100トル、500トル、又は760トルよりも高い。例えば、実施形態によっては、バックグラウンド圧力は、100ミリトル〜1000ミリトルの範囲、又はその任意の部分範囲にある。
【0084】
実施形態によっては、システム500は、前述の通り、2つ以上のトラッピング空洞を特徴とするイオントラップ200を備えてもよい。こうした場合には、空洞それぞれからの質量放出を単一の検出器505で検出して、結合され強化された質量スペクトル信号を生成してもよい。例えば、実施形態によっては、この信号は、少なくとも2、5、10、15、20、25、50、又は100以上のトラップからの結合された出力に基づいて生成してもよい。
【0085】
実施形態によっては、複数の空洞のそれぞれ(又は、そのサブセット)からの質量放出は、別々の専用検出器505によって検出してもよい。この構成は、各空洞(又は、空洞のサブセット)のトラッピング特性が異なる場合に有用になることがある。例えば、場合によっては、このタイプの構成により、システム500が分析できるイオン質量の範囲を広げることができる。
【0086】
細長いトラッピング領域を特徴とする実施形態によっては、イオンは、トラッピング領域の局所部分(例えば、端部又は中央部分)から優先的に放出される。従って、実施形態によっては、トラッピング領域内の複数の位置でイオンを形成又は注入してもよく、またトラッピング領域内の実質的に単一の位置からイオンを放出してもよい。実施形態によっては、トラッピング領域の第1の部分でイオンを形成又は注入してもよく、また、第1の部分の容積よりも小さい容積を有するトラッピング領域の第2の部分からイオンを放出してもよい。
【0087】
場合によっては、空間的に局所化された放出が有利になることがある。例えば、実施形態によっては、得られた質量スペクトルの分解能が改善されることがある。理論に束縛されるものではないが、実施形態によっては、この改善された分解能は、局所領域での電極アライメントの比較的わずかな変化に関係することが予想される。
【0088】
実施形態によっては、例えば、局所領域からイオンが優先的に放出される場合、1つ又は複数のマスク要素を配置して、トラップの選択領域(例えば、局所放出領域以外の領域)から放出されるイオンが検出器505に到達するのを阻止してもよい。実施形態によっては、これにより、検出された質量スペクトルの分解能が改善されることがある。
【0089】
例えば、前述の通り(例えば図4を参照)、実施形態によっては、トラッピング領域は、複数の実質的に直線の部分、及びこの実質的に直線の部分の各対を連結する複数の湾曲部分を有する1対の端点間を延在する蛇行領域を含んでもよい。こうした場合には、直線部分から放出されるイオンを検出器505に到達させながら、湾曲部分及び/又は端点から放出されるイオンを阻止することが有利になる場合がある。他の実施形態では、湾曲部分及び/又は端点から放出されるイオンを検出器505に到達させながら、直線部分から放出されるイオンを阻止する場合には、逆の構成を使用してもよい。
【0090】
様々な実施形態では、システム500は、携帯用ユニット、例えばハンドヘルドユニットとして実装してもよい。システム500を使用して、例えば、無機化合物、有機化合物、爆発物、環境汚染物質、及び危険物質を含め、任意の適切な検体から質量スペクトルを得てもよい。
【0091】
実施形態によっては、システム500は、選択領域内に配置されて、選択条件(例えば、1つ又は複数の選択対象物質の存在又はレベル)を監視する為の監視ユニットとして実装してもよい。実施形態によっては、システム500は、選択状態の検出を伝達するのに使用できるデータ伝送装置(例えば、有線又は無線の通信装置)を備えてもよい。
【0092】
図5Bには、質量分析システム7100(例えば携帯システム)が示してあり、質量分析組立体710を格納するハウジング7100hが、通常は真空チャンバ7105(組立体710の周りの破線で示してある)内にある。ハウジング7100hは、流路に接続される加圧されたバッファガス「B」のキャニスタ7110(又は他の発生源)を、真空チャンバ7105に外せるよう取り付けることができる。ハウジング7100hは、制御回路7200、及び様々な電源7205、7210、7215、7220を保持することができ、これらは、各配線に接続されて、イオン化、質量分析、及び検出を実行する。ハウジング7100hは、プロセッサ7255に接続されて質量スペクトル出力を生成する出力増幅器7250を含め、1つ又は複数の増幅器を保持することができる。システム7100は、携帯可能で軽量とすることができ、典型的には、使用する際にはバッファガス供給装置7110を含めて1〜15ポンド(真空ポンプは含まず)である。ハウジング7100hは、ゲームコントローラ、ノートブック、スマートフォンなどハンドヘルド型のハウジングとして構成することができ、場合によっては、制御回路7200を保持するピストルグリップ7100gを有してもよい。しかし、ハウジングの別の構成と共に制御回路の別の構成を使用してもよい。ハウジング7100hは、表示画面を保持し、グラフィックユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを有することができる。
【0093】
システム7100はまた、スマートフォン又は広く普及している他のコンピューティング装置と通信して、例えば、安全なAPP又は他のプログラム可能な無線通信プロトコルを用いて、動作を制御する為のデータを伝送するよう構成してもよい。
【0094】
システム7100は、約100ミリトルの圧力、又はそれを超えて大気圧までの圧力で動作するよう構成することができる。
【0095】
実施形態によっては、質量分析計7100は、イオン発生源(イオン化装置)730、(本明細書に記載のタイプのいずれかの)イオントラップ質量分析器720、及び検出器740が、略等圧の条件で、且つ100ミリトルを超える圧力で動作するように構成される。用語「略等圧の条件」は、任意の隣接する2つのチャンバ間の圧力が、100倍以下、ただし通常は10倍以下だけ異なる場合の条件を含む。
【0096】
図5Cに示すように、分光計100は、質量分析組立体710及び任意関数発生器215gを備えていて、共鳴放出の質量走査中に、低電圧の軸方向RF入力215をイオントラップ720に供給することができる。低電圧の軸方向RFは、約100mVpp〜約8000mVppの間、典型的には200〜2000mVppの間とすることができる。共鳴放出を容易にする為、質量走査中に、エンドキャップ722若しくは823、通常はエンドキャップ723、又は2つのエンドキャップ722と723の間に、軸方向のRF215sを印加することができる。
【0097】
図5B及び5Cに示すように、装置7100は、イオントラップ720の中央電極721に入力信号を供給するRF電源7205を備える。RF電源7205は、RF信号発生器、RF増幅器、及びRF電力増幅器を備えることができる。これら構成部品のそれぞれは、真空チャンバ7105内にイオントラップ720を格納するハウジング7100h内の回路板に保持することができる。実施形態によっては、RF信号発生器への入力として振幅傾斜波形を供給して、RF振幅を調整することができる。RF前置増幅器、次いで電力増幅器によって低電圧RFを増幅して、所望のRF信号を生成することができる。RF信号は、リング電極機構のサイズに応じて、約1MHz〜1000MHzの間とすることができる。当業者にはよく知られているように、RF周波数は、中央電極内の開口のサイズに依存することがある。図1A〜15に示すタイプで寸法xが500μmのスリット形状開口での典型的なRF周波数は、5〜20MHzになるはずである。電圧は、100V0p〜約1500V0pの間で、典型的には約500V0pまでとすることができる。
【0098】
概説するならば、電子は、よく知られた方法で発生源30によって生成され、加速電位によって質量分析器(例えばイオントラップ)720に送られる。電子は、質量分析器720内の試料ガスSをイオン化する。イオントラップ構成においては、RFトラッピング及び放出の回路が、質量分析器720に結合されて、イオントラップ720内に交流電場を生成して、イオンの質量/電荷の比に比例して、まずイオンをトラップし、次いでイオンを放出する。イオン検出器40は、特定のイオン質量に対応する様々な時間間隔で放出されるイオンの数を記録して、質量分光化学分析を実行する。イオントラップは、RF駆動信号7205sによって生成される動的な電場を使用して、測定試料からのイオンを動的にトラップする。イオンをトラップしている高周波(RF)電場の特性(例えば、振幅、周波数など)を変化させることにより、イオンの質量/電荷の比(質量(m)/電荷(z))に対応して、イオンが選択的に放出される。こうしたイオンの数を、分析する為にデジタル化し、スペクトルとしてオンボードプロセッサ及び/又は遠隔プロセッサ7255上に表示することができる。
【0099】
最も単純な形態では、一定のRF周波数の信号205sは、2つのエンドキャップ電極22、23に対して中央電極21に印加することができる。中央電極信号205sの振幅を直線状に増加させて、イオントラップ内に保持される様々なm/zのイオンを選択的に不安定化することができる。この振幅放出構成では、最適な性能又は分解能を実現できないことがある。しかし、エンドキャップ22、23にまたがって差動的に第2の信号215sを印加することによって、この振幅放出法を改善することができる。この軸方向のRF信号215sを使用すると、双極子の軸方向の励起が生じ、これによって、トラップ内での振動のイオンの永続周波数がエンドキャップの励起周波数に合致するとき、イオントラップからイオンの共鳴放出が実現する。
【0100】
イオントラップ720又は質量フィルタは、略純粋なキャパシタンスとして見える等価回路を有することができる。イオントラップ720を駆動する為の電圧7205sの振幅は高くてもよく(例えば、100V〜1500V)、高電圧を生成する為のトランス結合を利用することができる。トランス2次のインダクタンスとイオントラップのキャパシタンスとで、並列タンク回路を形成することができる。必要以上の損失及び/又は回路サイズの増大を避けるには、この回路を共振周波数で駆動することが望ましい場合がある。
【0101】
真空チャンバ7105は、少なくとも1つのポンプ(図示せず)と流体連結することができる。このポンプは、バリアン(Varian)(現在はアジレントテクノロジー(Agilent Technologies))社のTPS Benchコンパクトポンプシステム又はTPSコンパクトポンプシステムのうちの一方又は両方を含め、粗引きポンプ及び/又はターボポンプなど、任意の適切なポンプとすることができる。ポンプは、真空チャンバ105と流体連結することができる。実施形態によっては、真空チャンバは、動作中に圧力が高い状態、例えば100ミリを超えて大気圧までの圧力にすることができる。圧力が高い状態での動作により、ターボ分子ポンプ、拡散ポンプ、又はイオンポンプなどの高真空ポンプが必要でなくなる。ロータリベーンポンプ、往復動ピストンポンプ、又はスクロールポンプなど、機械式の容積型ポンプによって、略100ミリトルを超える動作可能な圧力を容易に実現することができる。
【0102】
試料Sは、入力ポートを通してイオントラップ720に向けて、バッファガスBと共に真空チャンバ7105に投入してもよい。環境からハウジング100hへのSの取込みは、任意の適切な位置にすることができる(ほんの一例として底部からの状態を示してある)。1つ又は複数の試料取込みポートを使用することができる。
【0103】
バッファガスBは、発生源としてバッファガスの加圧されたキャニスタ7110として供給することができる。しかし、任意の適切なバッファガス、又は、空気、ヘリウム、水素若しくは他のガスを含むバッファガス混合物を使用することができる。空気を使用する場合、空気は大気から吸入することができ、加圧されたキャニスタ又は他の発生源を必要としない。通常、バッファガスはヘリウムを含み、典型的には、適切な純度で約90%ヘリウムを超える(例えば99%以上)。質量流量制御装置(MFC)を使用して、加圧されたバッファガス発生源110からの加圧されたバッファガスBと共に試料Sの、チャンバ105への流れを制御することができる。バッファガスとして環境空気を使用する場合、制御された漏れを使用して、空気バッファガス及び環境試料を真空チャンバに注入することができる。制御された漏れの設計は、利用するポンプの性能、及び所望の動作圧力に依存することになるはずである。
【0104】
図9Dには、質量分析計7100の様々な構成部品を作動/制御するのに使用できる、例示的なタイミング図が示してある。質量走査全体を通してRF振幅を調整する傾斜波形を使用して、RF振幅駆動信号を駆動することができ、また、その他の3つのパルスが、イオン化、検出、及び印加された軸方向のRF電圧を制御する。図に示すように、初めに、任意選択としてゲートレンズ750(使用する場合)に0Vを印加して、イオン化期間中に電子が通過できるようにすることができる。或いは、この信号をイオン化装置30に直接印加して、電子又はイオンの生成をオン/オフすることができる。RF振幅駆動7205sは、イオン化期間中は固定電圧に保持して、トラップ720内部で生成されるイオンをトラップすることができる。イオン化期間の最後で、ゲートレンズ電圧(使用する場合)が、ある電位にまで駆動されて、イオン化装置730の電子ビームを阻止し、イオン化を停止する。次いで、RF振幅駆動205sは、規定時間、例えば約5msの間は一定に保持されて、トラップされたイオンが衝突によって冷却されてトラップの中央に向かうようにすることができる。RF振幅駆動7205sは、直線的に増加して、質量不安定性走査を実行し、増加するm/z順に検出器40に向けてイオンを放出することができる。軸方向のRF信号7215sは、RF振幅信号の直線的な上昇の上昇開始時点(t=6msで示してあるが、他の時点を使用してもよい)で同期して印加して、実質的に同時にゲートをオンにして、分解能及び質量範囲を改善する為に質量走査中に共鳴放出を実行することができる。質量不安定性走査中にデータを取得して、質量スペクトルを生成する。最後に、RF振幅駆動7205sを低い電圧にまで低下させて、残っているイオンをトラップ720から取り除き、次の走査に向けて準備することができる。当業者にはよく知られているように、幾つかのイオン操作の方法を、CITなどのイオントラップ装置に適用することができる。放出し、隔離し、衝突分離する為の様々な方法の全てを、本出願において議論されるイオントラッピング構造体に適用することができる。
【0105】
様々な実施形態では、本明細書に記載の装置を使用して、タンデム質量分析(例えば、(特許文献1)に記載)を含め、当技術分野で知られている質量分析技法を実施してもよい。本明細書に記載の装置は、他の用途、例えば量子コンピューティング、精密な時刻基準若しくは周波数基準、又は他の任意の適切な目的などの目的の為に荷電粒子をトラッピングする際に使用してもよい。
【実施例】
【0106】
ストレッチトレングスイオントラップ電極
以下の例では、質量スペクトルを得る為のSLITタイプのトラップの使用について説明する。比較の為に、場合によっては、2002年10月22日発行の(特許文献2)に記載されたタイプの、円筒型の対称形トラッピング開口を有する中央電極を特徴とするトラップを使用してもスペクトルが得られた。この円筒形イオントラップタイプは、以下では「CIT」と呼ぶことにする。
【0107】
SLIT及びCITトラップは、以下の技法を使用して構成された。中間電極用の800μm厚の銅シートストック、及びエンドキャップ電極用の250μm厚のベリリウム銅シートストックが、フォトリソグラフィでパターン付けされ、化学的にウェットエッチングされて、図1Aに示す基本形状になった(タウンテクノロジーズ(Towne Technologies)、サマービル、ニュージャージー)。中間電極の空間は、1mmのエンドミルを用いて通常通りに機械加工された。CITは、追加で長さを増やすことなく作製されて、半径r=0.5mmの円筒形開口を生成し、SLIT機構は、y寸法が2mm〜6mmの範囲で機械加工された。エンドキャップ支持電極が直径5mmにまでドリルで孔開けされ、その後、100ラインズパーインチ(LPI)で、73%透過率の電鋳メッシュが開口全体に接着された(プレシジョンエレクトロフォーミング(Precision Electroforming)、コートランド、ニューヨーク)。カプトンワッシャを用いてエンドキャップと中央電極の間の250μmの間隔を実現し、限界寸法がz=650μm、x=500μmのトラップを作製した。この例では、zは、中央電極の厚さの半分と、中央電極とエンドキャップの間の間隔との和になるように規定され、xは、SLIT空間の狭い寸法の幅の半分である。他のz/x比はまた、幅が0.94mm〜1.17mmの範囲にあるSLITの幅をミリング加工し、Xeの安定同位元素を試料として使用する場合での、質量スペクトルの分解能の変化を観察することによって調査された。
【0108】
機器の設計及び動作
SLIT電極組立体は、図5B〜5Dを参照しながら図示して説明するタイプの質量分析装置を特徴とする特注機器の内部に配置され、高い又は低いバックグラウンド圧力において動作する検出器と共に使用するのに適したデュアルチャンバ設計を含むように修正された。簡略化された機器構成が図6に示してあり、これは、コンダクタンスを制限する役割を果たすトラッピング電極を用いる差動圧力動作用の特注アルミニウムデュアルチャンバの設計を含む。
【0109】
メシチレンガス状試料(シグマオールドリッチ(Sigma Aldrich))、及びXe10%/He90%混合物(エアリキッド(Air Liquide)、純度99.999%)が、精密リーク弁(ULV−150、バキュームプロダクツ(Vacuum Products))を介して注入され、フルレンジ真空計(FRG−700、バリアン(Varian))を用いて測定され、未訂正値として報告された。ヘリウム又は窒素のバッファガスが、100sccm質量流量制御装置(オメガ(Omega) FMA5408)を通して中に入れられ、0.12%精度の2トルフルスケールキャパシタンスマノメータ(MKS627D)を用いて、絶対圧力が測定された。機器の動作は、通常のトラップ内電子イオン化方法で実行された。イットリア被覆したイリジウムのディスクエミッタ(ES−525、キンブルフィジックス(Kimball Physics))を、80LPIのステンレス鋼メッシュゲート電極と共に使用して、トラッピング領域を電子で照射した。全ての実験では、6.4MHzのトラッピング周波数と、バックエンドキャップをチャンバに接地した状態を維持しながら、2.23MHzの軸方向RFをフロントエンドキャップに印加した状態での1/3ヘクサポール共鳴の周りの非線形共鳴放出とを利用したが、共鳴軸方向RF周波数が、それぞれ個々のトラップについて観察された。選択的に質量放出されたイオンが、様々な方法によって検出された。100ミリトル未満の圧力が低い状態での動作においては、電子増倍管(2300、ディテック(DeTech))を用いてイオンが検出され、結果として得られた信号が増幅され(SR570、スタンフォードリサーチシステムズ(Stanford Research Systems))、16ビットのアナログ入力カード(PXI−6122、ナショナルインスツルメンツ(National Instruments))を介してデジタル化された。比較の為に、この実験設定を使用して、CITを用いた実験も実施した。圧力が高い状態の窒素をバッファガスとして使用する実験においては、ファラデーカップ検出器を使用し、これは、イオンを収集するのに使用される直径12.5mmの真鍮板から構成されていた。電荷感度の高い(クールフェット(CoolFET)A250CF、アンプテック(AmpTek))を使用して、収集された電荷を、アナログ入力カードで監視するのに適した電圧に変換した。ファラデーカップ検出器を用いる場合、2つのチャンバの中間の弁を開けることによって、両方のチャンバが同じ圧力で動作した。100ミリトルを超える圧力が高い状態でのヘリウムバッファガス実験では、やはり電子増倍管が使用された。CITに対してSLITのガスコンダクタンスがはるかに高い為、幾つかの修正がなされた。2つのチャンバ間のコンダクタンスを制限する為に、5mm×0.2mmのスロットを、0.250mm厚の電極内で機械加工し、検出器側のエンドキャップ電極の背後に配置した。更に、ディテック(DeTech)電子増倍管を、圧力耐性の更に高いメガスピルトン(MegaSpiralton)電子増倍管(フォトニス(Photonis)、スターブリッジ、マサチューセッツ)で置き換えた。
【0110】
実験結果
CIT用の3つの電極の位置合せが、トラップ性能に重要な関連のあることが分かった。イオン放出用のスロットを有する固いエンドキャップ電極を使用する場合、SLIT電極構造によって、別の自由度及びより複雑な位置合せが加わった。微細な電鋳メッシュ(図3に示す)を使用して、平面エンドキャップ電極をシミュレーションして、このように位置合せから3つの自由度、即ち1つの回転自由度及び2つの横方向の自由度を取り除いた。説明した全ての実験において、電極組立体用にねじ孔アライメントのみを使用した。関心事である1次アライメント公差は、トラップの全長にわたっての距離zであった。トラップの全長にわたっての可変値zによって、イオン放出は、そのy軸の位置に依存することになり、潜在的にスペクトル分解能が劣化することになるはずである。
【0111】
トラッピング場にDC成分が存在しない場合、2次元の4極性場でのイオンのトラッピング及び放出を左右する関係式は、3次元の場合と同一である。従って、最適な電極間隔(250μm)は、CITでこれまで確定していた最適な間隔と同一であると考えられていた。様々なz/x比での最適なスペクトル分解能を観察することによって、これが実験的に確かめられた。幅が0.94mm〜1.17mmの範囲にあるSLITの幅をミリング加工し、結果として得られた図7に示すXeスペクトルの分解能の変化を観察することによって、この特定のz/x比が最適であると判定された。最良のスペクトル分解能をもたらす実験的に観察されたz0/x0比の値は、1.3であり、CITにおいて観察されたz/r値と同様の引き伸ばされた構成に対応しており、これは、2002年10月22日発行の(特許文献2)に記載されている。調査されたSLITの引き伸ばし距離の長さであるyの全ての値について、この比が最適であると観察された。
【0112】
(SLIT)=r(CIT)で、電極間隔が同一のSLITとCITを直接比較する、代表的なキセノンのスペクトルが、図8Aに示してある。50ミリトルのHeで得られる1×10−4トルのXe/He混合物の走査平均が500個得られ、両方とも正規化されて、相対的な分解能をより良好に比較した。XeのSLITスペクトルにおける5つの主要なピークのFWHMでの平均ピーク幅は、0.41Thであり、それと比較してCITでは0.44Thである。一般に、条件が同一なら、同様の分解能を維持しながら、SLITのスペクトルの信号強度が、CITで得られる信号強度よりも高いことが観察された。この増大した感度が図8Bに定量化してあり、ここで、全てを統合した信号の変化と試料圧力とが、SLITとCITの両方についてプロットしてある。点ではなく直線範囲に沿ってイオンをトラップするのに固有のトラッピング容量の増大が、略10倍に感度が高まることではっきり示してある。更に、イオン信号全体は、SLITのyパラメータの値と線形の関係でなければならず、感度要求に対処する為の電極構造を設計できるようになることが見込まれる。この仮定を実証する為、様々な長さ、即ちy値の幾つかのSLIT電極が、他の全ての寸法を等しくした状態で機械加工された。図9には、y0の長さの関数として、Xeスペクトル用の統合イオン電流が示してある。これらのデータは実際に、信号がトラッピング長に略線形に依存することを示しており、一定のトラップ長yを仮定すると、各トラップの長さが更に狭くなるにつれて、CITを上回るSLITの信号の相対利得が増大し続けることを示している。
【0113】
値が500μmのCITは、1トルを超える圧力で質量スペクトルを生成することが実証された。SLITは、CITと同様に機能する為、やはり圧力が高い状態で動作するものと見込まれる。Heバッファガス圧力が0.2〜1トルでのSLIT質量スペクトルが、図10に示してある。ポンピング速度を下げて1.3×10−4トルのXe/He混合物を流し込み、Heバッファの流量を1sccm〜70sccmに調整することによって、実験を実施した。熱電子エミッタの冷却が増え、電子の平均自由行程が減る為、圧力が上昇するにつれて、イオン化に利用可能な電子束が減少する。圧力が上昇するトラップに対して、エミッタ電流、イオン化時間、及びエミッタバイアス電圧を増やすことによって、圧力に対する電子イオン化損失を補償しようと試みた。これら圧力が高い状態でのスペクトルを更に改善する為、軸方向のRF振幅も圧力と共に増大させた。図10での各スペクトルについての実験条件が、図11に示す表に提示してある。分解能の分析には、バッファガスと衝突すると、イオンの軌道を制御する際に電場と競合する為、予想通り、圧力が高くなるとピークが広がることが示してある。CITにおける圧力が高い状態でのデータと合致して、5つの主要な同位元素のピークが依然として明確であり、400〜500ミリトルの高さで平均ピーク幅が0.87Thである。
【0114】
圧力が高い状態でスペクトルを取り込むことを実証してきたが、結局は、機器動作の更なる調整を実行して、実用的で非常に携帯性の高い質量分析計を作製する必要がある。動作上の1つの変更は、ヘリウムの代わりに、バッファガスとして窒素又は空気を使用することになる。使用する時点で清浄な窒素と空気の両方を生成することができ、ヘリウム発生源を備える必要がなくなる。別の変更は、ファラデーカップなど、圧力耐性の更に高い検出器を使用することになる。従って、バッファガスとして窒素を用いて有機試料を分析し、圧力耐性の高いファラデーカップ検出器を使用しながら、SLIT設計がどのように機能するのか調べることが有用である。窒素バッファガス中での9ミリトル、80ミリトル、及び1000ミリトルで収集されたメシチレンのスペクトルが、図12に示してある。窒素分子の衝突に関連する運動量伝達が大きくなる為、圧力が低い状態でも、ピーク幅はHeバッファガスのスペクトルよりも広い。この場合も、ピーク幅は、圧力と共に著しく増大する。バックグラウンドの不規則な形状は、検出器用のクールフェット(CoolFET)前置増幅器がどのように動作するのかの人為的結果であり、他の実験設計において容易に説明できることに留意されたい。
【0115】
1つの中間電極及び2つのエンドキャップ電極から複数SLITの並列アレイを形成することにより、トラップされるイオンの数が増大し、従って、単一のトラップ装置と動作的に何ら異なることなく最終的に検出される信号が増大する。例えば、図13Aには、3つのSLITアレイの中間電極が示してある。1mm幅で0.5mmだけ分離された、3つの同一のSLIT機構を機械加工することによって、これを製造した。SLITアレイは、前述したように、同じ電鋳メッシュエンドキャップを利用する。図13Bには、30ミリトルのキセノンとHeバッファ向けのこの構成を使用して得られる、質量スペクトルが示してある。このデータには、良好な信号が示してある。単一トラップに比べてピーク幅が適度に広がるのは、機械加工の精度によるトラップ公差のわずかな差に起因する。
【0116】
図14Aを参照すると、SLIT用の中央電極を1.0mmのエンドミルで通常通りに機械加工して、3つの直線区間(4mm)とそれを連結する2つの湾曲区間を有する蛇行開口を設ける実験を実施した。各直線区間は、0.5mm幅のポストによって互いに分離されている。トラップは、前述の従来型SLITと同じエンドキャップ電極及びスペーサで構成され、図6に示すチャンバ内部に配置された。30ミリトルのHe中での8.0×10−5トルのXeの質量分光分析を実行し、図に示すスペクトルを得た。十分な分解能及び良好な信号強度が見られた。
【0117】
図14Bを参照すると、蛇行トラップの長さ方向全体を通ってイオンが移動するのを観察する為、図14Aに示したのと同じ電極セットを使用して以下の実験を設定した。イオン化及びイオン放出位置を制御する為、更に荷電粒子マスク要素を追加した。イオン化側のエンドキャップ上に単一の銅マスク要素を配置して、トラッピング空間の上部1/3のみのイオン化を可能にした。検出器側のエンドキャップ上に第2の銅マスク要素を配置して、トラップの下部1/3を除く全てからのイオン放射を阻止した。このようにして、イオン信号を見ることのできる唯一の方法は、蛇行SLIT構造体の上部1/3でイオンが形成され、少なくともイオンの一部分が、放出前に下部1/3にまで移動することである。30ミリトルのHeバッファガス中での3.5×10−5トルのXeを使用して、これが観察された。Xeのスペクトルは、図14Bに示してある。
【0118】
イオンがトラッピング空間全体を満たすのに要する最短時間を試験する為に、同じ実験設定を使用した。イオン化の開始と放出された第1のXeピークとの間の時間が可能な限り短縮された。イオンは依然として放出され、1.5msほどの短い時間で検出器において観察された。これは、この設定の実験限界である。従って、イオンが形成され、少なくとも1.5msほどの速さで、この蛇行トラップの長さ全体を移動することができると結論付けてもよい。
【0119】
図15を参照すると、前述の5mm単一SLITと同一の3つのSLITのアレイを機械加工して、0.50mmだけ分離された1つの中間電極を設けた。図示した実験では、3つのトラップにわたってzが変化することによって、質量傾斜での様々なポイントにおいてイオン放出が生じる。最も平行なエンドキャップを確実なものにするようあらゆる予防措置をとり、この中間電極を使用して、トラップ(上部挿入物)が組み立てられた。結果として得られる、30ミリトルのHe中での3.0×10−5トルのXeスペクトルが、上部のグラフに示してある。次いで、チャンバが開放され、他に修正することなく、図示した上部SLITアライメントねじ(下部挿入物)がオーバートルクで締め込まれて、中間電極に対して2つのエンドキャップに傾斜を設け、それによって、トラップのそれぞれでz0の値が互いに異なることになった。理論的に予測されるように、質量分析動作中、イオンは、RF傾斜内の様々なポイントで放出され、それによって、スペクトル全体が、互いに重なり合う3つの個々のスペクトルから構成されるようになる。この実験はまた、このオーバートルク技法によって、z寸法に十分な変化が生じて、質量スペクトルに明確な影響を及ぼすことを示している。
【0120】
図16を参照すると、追加実験が実行されて、単一トラップに沿ったz寸法を変化させる影響が示してある。前述のタイプの標準の5mmSLITが、前のスライドでの3つのSLITアレイと同じように組み立てられ、試験されたが、この単一SLITの例外は、90°回転していることであり、従って、zの変化が、そのy寸法に沿ったものになる。この場合、30ミリトルのHe中での3.0×10−5トルのXeにおいて得られたスペクトルは、エンドキャップが平行であっても傾斜していても、いずれにせよ同一であった。トラップされた適量のイオン(1msのイオン化)と、トラップされた大量のイオン(50msのイオン化)の両方において、これが正しい。
【0121】
図17を参照すると、単一開口SLITを製造し、ここで、y寸法全体にわたってx寸法が10%変化し、図16で説明した実験に対して補完的な実験になった。この場合も、基本質量分析実験を実行し、30ミリトルのHe中での3.0×10−5トルのXeを分析した。結果として得られたスペクトルが示してある。このスペクトルは、これまでに示したスペクトルほど良好には鮮明でなく、理論によれば、単一ピークの幅が5Thを超えることになり、これによってスペクトルが完全に不鮮明になる。図16の実験で示した結果と組み合わせたこの実験により、SLITの幾何形状が、最初に予想した公差よりも不十分な機械的公差の影響を受けることがはるかに少ないことが示してある。
【0122】
寸法とz寸法の両方の変化に対するSLIT性能の許容範囲は、構成によっては、空間的に特有のイオン放出に起因し、即ち、y寸法の狭い範囲にわたって全てのイオンが放出されると考えられている。x寸法及びz寸法は、図16及び図17に説明した実験において、y範囲全体にわたって著しく変化することが分かるが、この変化は、イオンが実際に放出されるyの範囲にわたって無視できる。トラップの半分の背後に銅シム電極を配置し、その区間からに全てのイオン放出を十分に阻止することにより、図16に示す設定を用いて、この空間的に特有の放出を更に研究した。トラップのもう半分でこの実験を繰り返し、トラップ全体で観察されるイオン信号全体が、ほんの半分からの放出の結果であることが確定した。構成によっては、トラップの寸法は、任意の所望のポイントからのイオン放出に向けて調整することができ、装置の解像力は、放出領域内のトラップの幾何形状によって決定され、イオンが放出されていない領域の幾何形状には相対的に影響を受けにくいと考えられている。更に、このような構造は、全体のトラッピング電極構造アライメント公差の影響を受けにくくなるが、依然としてSLIT構造の全体寸法の電荷容量を実現する。
【0123】
振り返ると、水平方向にCITを伸ばすことによって、高容量のイオントラップを首尾よく開発してきた。このトラップは、限界寸法がz=0.650μm、x=500μm、及びy=5.00mmであり、同様の条件下で動作する同様のサイズのCITによって特徴付けられ、またそれと比較されてきた。信号は、CITと同じ分解能を維持しながら、1桁だけ増大するように見えた。トラッピング容量は、y方向の延長と共に直線的に増大するように見えた。
【0124】
1トルまでのバッファガス圧においてヘリウムと窒素の両方を使用して、バッファガス圧が上昇した際のSLITの動作が首尾よく実行された。差動排気真空チャンバ内の高圧電子増倍管、及び等圧チャンバ内のファラデーカップをそれぞれ使用して、キセノンとメシチレンの両方を分析した。
【0125】
発明性のある様々な実施形態を、本明細書において説明し、図示してきたが、機能を実行し、且つ/又は、結果及び/若しくは本明細書に記載の利点のうちの1つ若しくは複数を得る為の様々な他の手段並びに/又は構造を当業者なら容易に思いつくことになり、このような変形形態及び/又は修正形態は、本明細書に記載の発明性のある実施形態の範囲内にあると見なされる。より具体的には、本明細書に記載のあらゆるパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的なものであることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、発明性のある教示が使用される具体的な用途に依存することが、当業者には容易に理解されよう。ほんの日常的な実験を用いれば、本明細書に記載の具体的で発明性のある実施形態に対する数多くの均等物が、当業者には認識又は確認できよう。従って、前述の実施形態は、ほんの一例として提示されるものであり、添付特許請求の範囲及びその均等物の範囲内であれば、具体的に説明され、特許請求の範囲に記載されているものとは異なる態様で、発明性のある実施形態を実施してもよいことを理解されたい。本開示の発明性のある実施形態は、本明細書に記載のそれぞれ個々の機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。更に、2つ以上のこうした機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組合せは、そうした機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾していない場合、本開示の発明性のある範囲内に含まれる。
【0126】
前述の実施形態は、数多くの方法のいずれにおいても実施することができる。例えば、各実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその組合せを使用して実施してもよい。ソフトウェアで実施されるとき、このソフトウェアコードは、単一のコンピュータに設けられていても、又は複数のコンピュータ間に分散されていても、任意の適切なプロセッサ、又は一群のプロセッサ上で実行することができる。
【0127】
また、コンピュータは、1つ又は複数の、入力装置及び出力装置を有してもよい。これらの装置を使用して、とりわけユーザインターフェースを提供することができる。ユーザインターフェースを提供するのに使用できる出力装置の例には、出力を視覚的に提示する為のプリンタ又は表示画面、及び、出力を音響的に提示する為のスピーカ又は他の音響生成装置が含まれる。ユーザインターフェース用に使用できる入力装置の例には、キーボード、及び、マウス、タッチパッド、デジタイズ用タブレットなどのポインティング装置が含まれる。他の例として、コンピュータは、音声認識を介して、又は他の音響形式で入力情報を受け取ってもよい。
【0128】
このようなコンピュータは、任意の適切な形式で1つ又は複数のネットワークによって相互接続してもよく、こうしたネットワークには、企業ネットワーク、インテリジェントネットワーク(IN)、インターネットなどの、ローカルエリアネットワーク又は広域ネットワークが含まれる。このようなネットワークは、任意の適切な技術に基づいてもよく、また任意の適切なプロトコルに従って動作してもよく、また無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は光ファイバネットワークを含んでもよい。
【0129】
本明細書に記載の機能の少なくとも一部分を実施するのに利用されるコンピュータは、メモリ、1つ又は複数の処理ユニット(本明細書では単に「プロセッサ」とも呼ばれる)、1つ又は複数の通信インターフェース、1つ又は複数の表示ユニット、及び1つ又は複数のユーザ入力装置を備えてもよい。メモリは、任意のコンピュータ読取り可能な媒体を含んでもよく、また本明細書に記載の様々な機能を実施する為のコンピュータ命令(本明細書では「プロセッサ実行可能な命令」とも呼ぶ)を記憶してもよい。処理ユニットを使用して、命令を実行してもよい。通信インターフェースは、有線又は無線のネットワーク、バス、又は他の通信手段に結合してもよく、従って、コンピュータが他の装置との間で通信情報を送信及び/又は受信できるようにしてもよい。表示ユニットを設けて、例えば、命令の実行に関連して、ユーザが様々な情報を見ることができるようにしてもよい。ユーザ入力装置を設けて、例えば、ユーザが手動で調整し、選択し、データ若しくは他の様々な情報を入力し、且つ/又は、命令実行中に、様々な方法のうち任意の方法でプロセッサと対話することができるようにしてもよい。
【0130】
本明細書で概説した様々な方法又はプロセスは、様々なオペレーティングシステム若しくはプラットフォームを利用する1つ又は複数のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとして符号化してもよい。更に、このようなソフトウェアは、幾つかの適切なプログラミング言語、及び/又はプログラミングツール若しくはスクリプティングツールを使用して書いてもよく、フレームワーク又は仮想マシン上で実行される、実行可能な機械語コード又は中間コードとしてコンパイルしてもよい。
【0131】
この点において、様々な発明性のある概念は、コンピュータ読取り可能な記憶媒体(又は複数のコンピュータ読取り可能な記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ若しくは複数のフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体装置での回路構成、又は他の持続的な媒体若しくは有形のコンピュータ記憶媒体)として実施してもよく、これらの媒体は、1つ又は複数のコンピュータ若しくはプロセッサ上で実行されるとき、これまで論じた本発明の様々な実施形態を実施する方法を実行する、1つ又は複数のプログラムを用いて符号化される。コンピュータ読取り可能な媒体は可搬式とすることができ、従って、そこに記憶されるプログラムは、1つ又は複数の異なるコンピュータ若しくは他のプロセッサ上にロードして、前述の通り本発明の様々な態様を実施することができる。
【0132】
用語「プログラム」又は「ソフトウェア」は、本明細書では総称的な意味で使用されて、コンピュータ若しくは他のプロセッサをプログラムして、前述の通り実施形態の様々な態様を実施するのに利用できる、任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能な命令のセットを指す。更に、ある1つの態様によれば、実行されると本発明の方法を実行する1つ又は複数のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサに存在する必要はなく、複数の異なるコンピュータ又はプロセッサ間でモジュール式に分散して、本発明の様々な態様を実施してもよいことを理解すべきである。
【0133】
コンピュータ実行可能な命令は、1つ又は複数のコンピュータ又は他の装置によって実行される、プログラムモジュールなどの数多くの形態でもよい。一般に、プログラムモジュールには、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれており、これらは、特定のタスクを実行し、又は特定の抽象データ型を実装する。通常、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において要望される通り、組み合わせても、又は分散してもよい。
【0134】
また、データ構造は、コンピュータ読取り可能な媒体に任意の適切な形態で記憶してもよい。説明を簡単にする為に、データ構造は、このデータ構造内の位置を介して関連付けられるフィールドを有することを示してもよい。更に、このような関係は、位置を伴うフィールド用の記憶装置を、各フィールド間の関係を伝達するコンピュータ読取り可能な媒体に割り当てることによって実現してもよい。しかし、データ要素間の関係を確立する、ポインタ、タグ、又は他のメカニズムを使用することを含めて、任意の適切なメカニズムを使用して、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立してもよい。
【0135】
また、様々な発明性のある概念は、1つ又は複数の方法として実施してもよく、そこから実施例がもたらされた。方法の一部として実行される各動作は、任意の適切な方法で順序付けてもよい。従って、説明したのとは異なる順序で各動作が実行される実施形態を構成してもよく、このことは、例示的な実施形態では順次動作として示してあっても、幾つかの動作を同時に実行することを含んでもよい。
【0136】
本明細書で定義され、使用されるあらゆる定義は、辞書的定義、参照により組み込まれた文書での定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を踏まえて制御するものと理解しなければならない。
【0137】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、反対の意味が明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解すべきである。
【0138】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される慣用句「及び/又は(and/or)」は、そのように結合した要素、即ち、場合によっては接続されるように存在し、また場合によっては分離されるように存在する要素の「いずれか又は両方(either or both)」を意味するものと理解すべきである。「及び/又は」を用いてリストされる複数の要素は、同じようにして、即ち、そのように結合された要素の「1つ又は複数」と解釈すべきである。場合によっては、具体的に指定された要素に関連していても、関連していなくても、「及び/又は」の句によって具体的に指定された要素以外の他の要素が存在してもよい。従って、非限定的な例として、「含む(comprising)」などのオープンエンド用語と関連して使用されるときに「A及び/又はB」と言及してあれば、例えば、ある実施形態では、Aのみ(場合によってはB以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Bのみ(場合によってはA以外の要素を含む)を指し、更に別の実施形態では、AとBの両方(場合によっては他の要素を含む)を指す。
【0139】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「又は(or)」は、前述の「及び/又は」と同じ意味を有していると理解すべきである。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包含的である、即ち要素の数又はリストのうち少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、場合によってはリストされていない追加項目を含むと解釈されるものである。「〜のうちの1つのみ(only one of)」若しくは「〜のうちのまさに1つ(exactly one of)」、又は特許請求の範囲で使用されるときの「〜から成る(consisting of)」など、明確に反対の意味で示される用語は、複数の又はリストになった要素のうちのまさに1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される用語「又は」は、「いずれか(either)」、「〜のうちの1つ(one of)」、「〜のうちの1つのみ」、「〜のうちのまさに1つ」などの排他的な用語が先行するときに、専ら排他的な代替物(即ち、「一方又は他方であり、ただしその両方ではない」)を示すものと解釈されるものである。「〜から本質的に成る(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲で使用されるとき、特許法の分野で使用されるその元々の意味を有するものである。
【0140】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、1つ又は複数の要素のリストに関しての慣用句「少なくとも1つ(at least one)」は、要素リスト内の各要素のうち任意の1つ又は複数から選択された少なくとも1つの要素を意味するものと理解すべきであるが、要素リスト内に具体的にリストされたそれぞれあらゆる要素のうち少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、要素リスト内の各要素の任意の組合せを排除するものでもない。また、この定義により、場合によっては、具体的に指定された要素に関連していても、関連していなくても、慣用句「少なくとも1つ」が指す、要素のリスト内に具体的に指定された要素以外の要素が存在してもよい。従って、非限定的な例として、「A及びBのうち少なくとも1つ(at least one of A and B)」(又は、同様に、「A又はBのうち少なくとも1つ(at least one of A or B)」、若しくは同様に、「A及び/又はBのうち少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、例えば、一実施形態では、少なくとも1つ(場合によっては2つ以上を含む)のAを指し、Bは存在せず(場合によっては、B以外の要素を含み)、別の実施形態では、少なくとも1つ(場合によっては2つ以上を含む)のBを指し、Aは存在せず(場合によっては、A以外の要素を含み)、更に別の実施形態では、少なくとも1つ(場合によっては2つ以上を含む)のA、及び少なくとも1つ(場合によっては2つ以上を含む)のB(また、場合によっては他の要素も含む)を指す。
【0141】
特許請求の範囲並びに前述の本明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「保持する(holding)」、「〜から構成される(composed of)」などのあらゆる移行句は、オープンエンドであり、即ち、それを含むがそれのみに限定はされないことを意味すると理解されたい。移行句「〜から成る」及び「〜から本質的に成る」のみは、排他的又は半排他的な移行句となり、それぞれ、米国特許庁の特許調査手順マニュアルのセクション2111.03に記載されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16-1】
図16-2】
図17
図18A
図18B
図18C