【実施例】
【0106】
ストレッチトレングスイオントラップ電極
以下の例では、質量スペクトルを得る為のSLITタイプのトラップの使用について説明する。比較の為に、場合によっては、2002年10月22日発行の(特許文献2)に記載されたタイプの、円筒型の対称形トラッピング開口を有する中央電極を特徴とするトラップを使用してもスペクトルが得られた。この円筒形イオントラップタイプは、以下では「CIT」と呼ぶことにする。
【0107】
SLIT及びCITトラップは、以下の技法を使用して構成された。中間電極用の800μm厚の銅シートストック、及びエンドキャップ電極用の250μm厚のベリリウム銅シートストックが、フォトリソグラフィでパターン付けされ、化学的にウェットエッチングされて、
図1Aに示す基本形状になった(タウンテクノロジーズ(Towne Technologies)、サマービル、ニュージャージー)。中間電極の空間は、1mmのエンドミルを用いて通常通りに機械加工された。CITは、追加で長さを増やすことなく作製されて、半径r
0=0.5mmの円筒形開口を生成し、SLIT機構は、y
0寸法が2mm〜6mmの範囲で機械加工された。エンドキャップ支持電極が直径5mmにまでドリルで孔開けされ、その後、100ラインズパーインチ(LPI)で、73%透過率の電鋳メッシュが開口全体に接着された(プレシジョンエレクトロフォーミング(Precision Electroforming)、コートランド、ニューヨーク)。カプトンワッシャを用いてエンドキャップと中央電極の間の250μmの間隔を実現し、限界寸法がz
0=650μm、x
0=500μmのトラップを作製した。この例では、z
0は、中央電極の厚さの半分と、中央電極とエンドキャップの間の間隔との和になるように規定され、x
0は、SLIT空間の狭い寸法の幅の半分である。他のz
0/x
0比はまた、幅が0.94mm〜1.17mmの範囲にあるSLITの幅をミリング加工し、Xeの安定同位元素を試料として使用する場合での、質量スペクトルの分解能の変化を観察することによって調査された。
【0108】
機器の設計及び動作
SLIT電極組立体は、
図5B〜5Dを参照しながら図示して説明するタイプの質量分析装置を特徴とする特注機器の内部に配置され、高い又は低いバックグラウンド圧力において動作する検出器と共に使用するのに適したデュアルチャンバ設計を含むように修正された。簡略化された機器構成が
図6に示してあり、これは、コンダクタンスを制限する役割を果たすトラッピング電極を用いる差動圧力動作用の特注アルミニウムデュアルチャンバの設計を含む。
【0109】
メシチレンガス状試料(シグマオールドリッチ(Sigma Aldrich))、及びXe10%/He90%混合物(エアリキッド(Air Liquide)、純度99.999%)が、精密リーク弁(ULV−150、バキュームプロダクツ(Vacuum Products))を介して注入され、フルレンジ真空計(FRG−700、バリアン(Varian))を用いて測定され、未訂正値として報告された。ヘリウム又は窒素のバッファガスが、100sccm質量流量制御装置(オメガ(Omega) FMA5408)を通して中に入れられ、0.12%精度の2トルフルスケールキャパシタンスマノメータ(MKS627D)を用いて、絶対圧力が測定された。機器の動作は、通常のトラップ内電子イオン化方法で実行された。イットリア被覆したイリジウムのディスクエミッタ(ES−525、キンブルフィジックス(Kimball Physics))を、80LPIのステンレス鋼メッシュゲート電極と共に使用して、トラッピング領域を電子で照射した。全ての実験では、6.4MHzのトラッピング周波数と、バックエンドキャップをチャンバに接地した状態を維持しながら、2.23MHzの軸方向RFをフロントエンドキャップに印加した状態での1/3ヘクサポール共鳴の周りの非線形共鳴放出とを利用したが、共鳴軸方向RF周波数が、それぞれ個々のトラップについて観察された。選択的に質量放出されたイオンが、様々な方法によって検出された。100ミリトル未満の圧力が低い状態での動作においては、電子増倍管(2300、ディテック(DeTech))を用いてイオンが検出され、結果として得られた信号が増幅され(SR570、スタンフォードリサーチシステムズ(Stanford Research Systems))、16ビットのアナログ入力カード(PXI−6122、ナショナルインスツルメンツ(National Instruments))を介してデジタル化された。比較の為に、この実験設定を使用して、CITを用いた実験も実施した。圧力が高い状態の窒素をバッファガスとして使用する実験においては、ファラデーカップ検出器を使用し、これは、イオンを収集するのに使用される直径12.5mmの真鍮板から構成されていた。電荷感度の高い(クールフェット(CoolFET)A250CF、アンプテック(AmpTek))を使用して、収集された電荷を、アナログ入力カードで監視するのに適した電圧に変換した。ファラデーカップ検出器を用いる場合、2つのチャンバの中間の弁を開けることによって、両方のチャンバが同じ圧力で動作した。100ミリトルを超える圧力が高い状態でのヘリウムバッファガス実験では、やはり電子増倍管が使用された。CITに対してSLITのガスコンダクタンスがはるかに高い為、幾つかの修正がなされた。2つのチャンバ間のコンダクタンスを制限する為に、5mm×0.2mmのスロットを、0.250mm厚の電極内で機械加工し、検出器側のエンドキャップ電極の背後に配置した。更に、ディテック(DeTech)電子増倍管を、圧力耐性の更に高いメガスピルトン(MegaSpiralton)電子増倍管(フォトニス(Photonis)、スターブリッジ、マサチューセッツ)で置き換えた。
【0110】
実験結果
CIT用の3つの電極の位置合せが、トラップ性能に重要な関連のあることが分かった。イオン放出用のスロットを有する固いエンドキャップ電極を使用する場合、SLIT電極構造によって、別の自由度及びより複雑な位置合せが加わった。微細な電鋳メッシュ(
図3に示す)を使用して、平面エンドキャップ電極をシミュレーションして、このように位置合せから3つの自由度、即ち1つの回転自由度及び2つの横方向の自由度を取り除いた。説明した全ての実験において、電極組立体用にねじ孔アライメントのみを使用した。関心事である1次アライメント公差は、トラップの全長にわたっての距離z
0であった。トラップの全長にわたっての可変値z
0によって、イオン放出は、そのy軸の位置に依存することになり、潜在的にスペクトル分解能が劣化することになるはずである。
【0111】
トラッピング場にDC成分が存在しない場合、2次元の4極性場でのイオンのトラッピング及び放出を左右する関係式は、3次元の場合と同一である。従って、最適な電極間隔(250μm)は、CITでこれまで確定していた最適な間隔と同一であると考えられていた。様々なz
0/x
0比での最適なスペクトル分解能を観察することによって、これが実験的に確かめられた。幅が0.94mm〜1.17mmの範囲にあるSLITの幅をミリング加工し、結果として得られた
図7に示すXeスペクトルの分解能の変化を観察することによって、この特定のz
0/x
0比が最適であると判定された。最良のスペクトル分解能をもたらす実験的に観察されたz0/x0比の値は、1.3であり、CITにおいて観察されたz
0/r
0値と同様の引き伸ばされた構成に対応しており、これは、2002年10月22日発行の(特許文献2)に記載されている。調査されたSLITの引き伸ばし距離の長さであるy
0の全ての値について、この比が最適であると観察された。
【0112】
x
0(SLIT)=r
0(CIT)で、電極間隔が同一のSLITとCITを直接比較する、代表的なキセノンのスペクトルが、
図8Aに示してある。50ミリトルのHeで得られる1×10
−4トルのXe/He混合物の走査平均が500個得られ、両方とも正規化されて、相対的な分解能をより良好に比較した。XeのSLITスペクトルにおける5つの主要なピークのFWHMでの平均ピーク幅は、0.41Thであり、それと比較してCITでは0.44Thである。一般に、条件が同一なら、同様の分解能を維持しながら、SLITのスペクトルの信号強度が、CITで得られる信号強度よりも高いことが観察された。この増大した感度が
図8Bに定量化してあり、ここで、全てを統合した信号の変化と試料圧力とが、SLITとCITの両方についてプロットしてある。点ではなく直線範囲に沿ってイオンをトラップするのに固有のトラッピング容量の増大が、略10倍に感度が高まることではっきり示してある。更に、イオン信号全体は、SLITのy
0パラメータの値と線形の関係でなければならず、感度要求に対処する為の電極構造を設計できるようになることが見込まれる。この仮定を実証する為、様々な長さ、即ちy
0値の幾つかのSLIT電極が、他の全ての寸法を等しくした状態で機械加工された。
図9には、y0の長さの関数として、Xeスペクトル用の統合イオン電流が示してある。これらのデータは実際に、信号がトラッピング長に略線形に依存することを示しており、一定のトラップ長y
0を仮定すると、各トラップの長さが更に狭くなるにつれて、CITを上回るSLITの信号の相対利得が増大し続けることを示している。
【0113】
r
0値が500μmのCITは、1トルを超える圧力で質量スペクトルを生成することが実証された。SLITは、CITと同様に機能する為、やはり圧力が高い状態で動作するものと見込まれる。Heバッファガス圧力が0.2〜1トルでのSLIT質量スペクトルが、
図10に示してある。ポンピング速度を下げて1.3×10
−4トルのXe/He混合物を流し込み、Heバッファの流量を1sccm〜70sccmに調整することによって、実験を実施した。熱電子エミッタの冷却が増え、電子の平均自由行程が減る為、圧力が上昇するにつれて、イオン化に利用可能な電子束が減少する。圧力が上昇するトラップに対して、エミッタ電流、イオン化時間、及びエミッタバイアス電圧を増やすことによって、圧力に対する電子イオン化損失を補償しようと試みた。これら圧力が高い状態でのスペクトルを更に改善する為、軸方向のRF振幅も圧力と共に増大させた。
図10での各スペクトルについての実験条件が、
図11に示す表に提示してある。分解能の分析には、バッファガスと衝突すると、イオンの軌道を制御する際に電場と競合する為、予想通り、圧力が高くなるとピークが広がることが示してある。CITにおける圧力が高い状態でのデータと合致して、5つの主要な同位元素のピークが依然として明確であり、400〜500ミリトルの高さで平均ピーク幅が0.87Thである。
【0114】
圧力が高い状態でスペクトルを取り込むことを実証してきたが、結局は、機器動作の更なる調整を実行して、実用的で非常に携帯性の高い質量分析計を作製する必要がある。動作上の1つの変更は、ヘリウムの代わりに、バッファガスとして窒素又は空気を使用することになる。使用する時点で清浄な窒素と空気の両方を生成することができ、ヘリウム発生源を備える必要がなくなる。別の変更は、ファラデーカップなど、圧力耐性の更に高い検出器を使用することになる。従って、バッファガスとして窒素を用いて有機試料を分析し、圧力耐性の高いファラデーカップ検出器を使用しながら、SLIT設計がどのように機能するのか調べることが有用である。窒素バッファガス中での9ミリトル、80ミリトル、及び1000ミリトルで収集されたメシチレンのスペクトルが、
図12に示してある。窒素分子の衝突に関連する運動量伝達が大きくなる為、圧力が低い状態でも、ピーク幅はHeバッファガスのスペクトルよりも広い。この場合も、ピーク幅は、圧力と共に著しく増大する。バックグラウンドの不規則な形状は、検出器用のクールフェット(CoolFET)前置増幅器がどのように動作するのかの人為的結果であり、他の実験設計において容易に説明できることに留意されたい。
【0115】
1つの中間電極及び2つのエンドキャップ電極から複数SLITの並列アレイを形成することにより、トラップされるイオンの数が増大し、従って、単一のトラップ装置と動作的に何ら異なることなく最終的に検出される信号が増大する。例えば、
図13Aには、3つのSLITアレイの中間電極が示してある。1mm幅で0.5mmだけ分離された、3つの同一のSLIT機構を機械加工することによって、これを製造した。SLITアレイは、前述したように、同じ電鋳メッシュエンドキャップを利用する。
図13Bには、30ミリトルのキセノンとHeバッファ向けのこの構成を使用して得られる、質量スペクトルが示してある。このデータには、良好な信号が示してある。単一トラップに比べてピーク幅が適度に広がるのは、機械加工の精度によるトラップ公差のわずかな差に起因する。
【0116】
図14Aを参照すると、SLIT用の中央電極を1.0mmのエンドミルで通常通りに機械加工して、3つの直線区間(4mm)とそれを連結する2つの湾曲区間を有する蛇行開口を設ける実験を実施した。各直線区間は、0.5mm幅のポストによって互いに分離されている。トラップは、前述の従来型SLITと同じエンドキャップ電極及びスペーサで構成され、
図6に示すチャンバ内部に配置された。30ミリトルのHe中での8.0×10
−5トルのXeの質量分光分析を実行し、図に示すスペクトルを得た。十分な分解能及び良好な信号強度が見られた。
【0117】
図14Bを参照すると、蛇行トラップの長さ方向全体を通ってイオンが移動するのを観察する為、
図14Aに示したのと同じ電極セットを使用して以下の実験を設定した。イオン化及びイオン放出位置を制御する為、更に荷電粒子マスク要素を追加した。イオン化側のエンドキャップ上に単一の銅マスク要素を配置して、トラッピング空間の上部1/3のみのイオン化を可能にした。検出器側のエンドキャップ上に第2の銅マスク要素を配置して、トラップの下部1/3を除く全てからのイオン放射を阻止した。このようにして、イオン信号を見ることのできる唯一の方法は、蛇行SLIT構造体の上部1/3でイオンが形成され、少なくともイオンの一部分が、放出前に下部1/3にまで移動することである。30ミリトルのHeバッファガス中での3.5×10
−5トルのXeを使用して、これが観察された。Xeのスペクトルは、
図14Bに示してある。
【0118】
イオンがトラッピング空間全体を満たすのに要する最短時間を試験する為に、同じ実験設定を使用した。イオン化の開始と放出された第1のXeピークとの間の時間が可能な限り短縮された。イオンは依然として放出され、1.5msほどの短い時間で検出器において観察された。これは、この設定の実験限界である。従って、イオンが形成され、少なくとも1.5msほどの速さで、この蛇行トラップの長さ全体を移動することができると結論付けてもよい。
【0119】
図15を参照すると、前述の5mm単一SLITと同一の3つのSLITのアレイを機械加工して、0.50mmだけ分離された1つの中間電極を設けた。図示した実験では、3つのトラップにわたってz
0が変化することによって、質量傾斜での様々なポイントにおいてイオン放出が生じる。最も平行なエンドキャップを確実なものにするようあらゆる予防措置をとり、この中間電極を使用して、トラップ(上部挿入物)が組み立てられた。結果として得られる、30ミリトルのHe中での3.0×10
−5トルのXeスペクトルが、上部のグラフに示してある。次いで、チャンバが開放され、他に修正することなく、図示した上部SLITアライメントねじ(下部挿入物)がオーバートルクで締め込まれて、中間電極に対して2つのエンドキャップに傾斜を設け、それによって、トラップのそれぞれでz0の値が互いに異なることになった。理論的に予測されるように、質量分析動作中、イオンは、RF傾斜内の様々なポイントで放出され、それによって、スペクトル全体が、互いに重なり合う3つの個々のスペクトルから構成されるようになる。この実験はまた、このオーバートルク技法によって、z寸法に十分な変化が生じて、質量スペクトルに明確な影響を及ぼすことを示している。
【0120】
図16を参照すると、追加実験が実行されて、単一トラップに沿ったz
0寸法を変化させる影響が示してある。前述のタイプの標準の5mmSLITが、前のスライドでの3つのSLITアレイと同じように組み立てられ、試験されたが、この単一SLITの例外は、90°回転していることであり、従って、z
0の変化が、そのy
0寸法に沿ったものになる。この場合、30ミリトルのHe中での3.0×10
−5トルのXeにおいて得られたスペクトルは、エンドキャップが平行であっても傾斜していても、いずれにせよ同一であった。トラップされた適量のイオン(1msのイオン化)と、トラップされた大量のイオン(50msのイオン化)の両方において、これが正しい。
【0121】
図17を参照すると、単一開口SLITを製造し、ここで、y
0寸法全体にわたってx
0寸法が10%変化し、
図16で説明した実験に対して補完的な実験になった。この場合も、基本質量分析実験を実行し、30ミリトルのHe中での3.0×10
−5トルのXeを分析した。結果として得られたスペクトルが示してある。このスペクトルは、これまでに示したスペクトルほど良好には鮮明でなく、理論によれば、単一ピークの幅が5Thを超えることになり、これによってスペクトルが完全に不鮮明になる。
図16の実験で示した結果と組み合わせたこの実験により、SLITの幾何形状が、最初に予想した公差よりも不十分な機械的公差の影響を受けることがはるかに少ないことが示してある。
【0122】
x
0寸法とz
0寸法の両方の変化に対するSLIT性能の許容範囲は、構成によっては、空間的に特有のイオン放出に起因し、即ち、y
0寸法の狭い範囲にわたって全てのイオンが放出されると考えられている。x
0寸法及びz
0寸法は、
図16及び
図17に説明した実験において、y
0範囲全体にわたって著しく変化することが分かるが、この変化は、イオンが実際に放出されるy
0の範囲にわたって無視できる。トラップの半分の背後に銅シム電極を配置し、その区間からに全てのイオン放出を十分に阻止することにより、
図16に示す設定を用いて、この空間的に特有の放出を更に研究した。トラップのもう半分でこの実験を繰り返し、トラップ全体で観察されるイオン信号全体が、ほんの半分からの放出の結果であることが確定した。構成によっては、トラップの寸法は、任意の所望のポイントからのイオン放出に向けて調整することができ、装置の解像力は、放出領域内のトラップの幾何形状によって決定され、イオンが放出されていない領域の幾何形状には相対的に影響を受けにくいと考えられている。更に、このような構造は、全体のトラッピング電極構造アライメント公差の影響を受けにくくなるが、依然としてSLIT構造の全体寸法の電荷容量を実現する。
【0123】
振り返ると、水平方向にCITを伸ばすことによって、高容量のイオントラップを首尾よく開発してきた。このトラップは、限界寸法がz
0=0.650μm、x
0=500μm、及びy
0=5.00mmであり、同様の条件下で動作する同様のサイズのCITによって特徴付けられ、またそれと比較されてきた。信号は、CITと同じ分解能を維持しながら、1桁だけ増大するように見えた。トラッピング容量は、y方向の延長と共に直線的に増大するように見えた。
【0124】
1トルまでのバッファガス圧においてヘリウムと窒素の両方を使用して、バッファガス圧が上昇した際のSLITの動作が首尾よく実行された。差動排気真空チャンバ内の高圧電子増倍管、及び等圧チャンバ内のファラデーカップをそれぞれ使用して、キセノンとメシチレンの両方を分析した。
【0125】
発明性のある様々な実施形態を、本明細書において説明し、図示してきたが、機能を実行し、且つ/又は、結果及び/若しくは本明細書に記載の利点のうちの1つ若しくは複数を得る為の様々な他の手段並びに/又は構造を当業者なら容易に思いつくことになり、このような変形形態及び/又は修正形態は、本明細書に記載の発明性のある実施形態の範囲内にあると見なされる。より具体的には、本明細書に記載のあらゆるパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的なものであることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、発明性のある教示が使用される具体的な用途に依存することが、当業者には容易に理解されよう。ほんの日常的な実験を用いれば、本明細書に記載の具体的で発明性のある実施形態に対する数多くの均等物が、当業者には認識又は確認できよう。従って、前述の実施形態は、ほんの一例として提示されるものであり、添付特許請求の範囲及びその均等物の範囲内であれば、具体的に説明され、特許請求の範囲に記載されているものとは異なる態様で、発明性のある実施形態を実施してもよいことを理解されたい。本開示の発明性のある実施形態は、本明細書に記載のそれぞれ個々の機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。更に、2つ以上のこうした機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組合せは、そうした機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾していない場合、本開示の発明性のある範囲内に含まれる。
【0126】
前述の実施形態は、数多くの方法のいずれにおいても実施することができる。例えば、各実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその組合せを使用して実施してもよい。ソフトウェアで実施されるとき、このソフトウェアコードは、単一のコンピュータに設けられていても、又は複数のコンピュータ間に分散されていても、任意の適切なプロセッサ、又は一群のプロセッサ上で実行することができる。
【0127】
また、コンピュータは、1つ又は複数の、入力装置及び出力装置を有してもよい。これらの装置を使用して、とりわけユーザインターフェースを提供することができる。ユーザインターフェースを提供するのに使用できる出力装置の例には、出力を視覚的に提示する為のプリンタ又は表示画面、及び、出力を音響的に提示する為のスピーカ又は他の音響生成装置が含まれる。ユーザインターフェース用に使用できる入力装置の例には、キーボード、及び、マウス、タッチパッド、デジタイズ用タブレットなどのポインティング装置が含まれる。他の例として、コンピュータは、音声認識を介して、又は他の音響形式で入力情報を受け取ってもよい。
【0128】
このようなコンピュータは、任意の適切な形式で1つ又は複数のネットワークによって相互接続してもよく、こうしたネットワークには、企業ネットワーク、インテリジェントネットワーク(IN)、インターネットなどの、ローカルエリアネットワーク又は広域ネットワークが含まれる。このようなネットワークは、任意の適切な技術に基づいてもよく、また任意の適切なプロトコルに従って動作してもよく、また無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は光ファイバネットワークを含んでもよい。
【0129】
本明細書に記載の機能の少なくとも一部分を実施するのに利用されるコンピュータは、メモリ、1つ又は複数の処理ユニット(本明細書では単に「プロセッサ」とも呼ばれる)、1つ又は複数の通信インターフェース、1つ又は複数の表示ユニット、及び1つ又は複数のユーザ入力装置を備えてもよい。メモリは、任意のコンピュータ読取り可能な媒体を含んでもよく、また本明細書に記載の様々な機能を実施する為のコンピュータ命令(本明細書では「プロセッサ実行可能な命令」とも呼ぶ)を記憶してもよい。処理ユニットを使用して、命令を実行してもよい。通信インターフェースは、有線又は無線のネットワーク、バス、又は他の通信手段に結合してもよく、従って、コンピュータが他の装置との間で通信情報を送信及び/又は受信できるようにしてもよい。表示ユニットを設けて、例えば、命令の実行に関連して、ユーザが様々な情報を見ることができるようにしてもよい。ユーザ入力装置を設けて、例えば、ユーザが手動で調整し、選択し、データ若しくは他の様々な情報を入力し、且つ/又は、命令実行中に、様々な方法のうち任意の方法でプロセッサと対話することができるようにしてもよい。
【0130】
本明細書で概説した様々な方法又はプロセスは、様々なオペレーティングシステム若しくはプラットフォームを利用する1つ又は複数のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとして符号化してもよい。更に、このようなソフトウェアは、幾つかの適切なプログラミング言語、及び/又はプログラミングツール若しくはスクリプティングツールを使用して書いてもよく、フレームワーク又は仮想マシン上で実行される、実行可能な機械語コード又は中間コードとしてコンパイルしてもよい。
【0131】
この点において、様々な発明性のある概念は、コンピュータ読取り可能な記憶媒体(又は複数のコンピュータ読取り可能な記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ若しくは複数のフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体装置での回路構成、又は他の持続的な媒体若しくは有形のコンピュータ記憶媒体)として実施してもよく、これらの媒体は、1つ又は複数のコンピュータ若しくはプロセッサ上で実行されるとき、これまで論じた本発明の様々な実施形態を実施する方法を実行する、1つ又は複数のプログラムを用いて符号化される。コンピュータ読取り可能な媒体は可搬式とすることができ、従って、そこに記憶されるプログラムは、1つ又は複数の異なるコンピュータ若しくは他のプロセッサ上にロードして、前述の通り本発明の様々な態様を実施することができる。
【0132】
用語「プログラム」又は「ソフトウェア」は、本明細書では総称的な意味で使用されて、コンピュータ若しくは他のプロセッサをプログラムして、前述の通り実施形態の様々な態様を実施するのに利用できる、任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能な命令のセットを指す。更に、ある1つの態様によれば、実行されると本発明の方法を実行する1つ又は複数のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサに存在する必要はなく、複数の異なるコンピュータ又はプロセッサ間でモジュール式に分散して、本発明の様々な態様を実施してもよいことを理解すべきである。
【0133】
コンピュータ実行可能な命令は、1つ又は複数のコンピュータ又は他の装置によって実行される、プログラムモジュールなどの数多くの形態でもよい。一般に、プログラムモジュールには、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれており、これらは、特定のタスクを実行し、又は特定の抽象データ型を実装する。通常、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において要望される通り、組み合わせても、又は分散してもよい。
【0134】
また、データ構造は、コンピュータ読取り可能な媒体に任意の適切な形態で記憶してもよい。説明を簡単にする為に、データ構造は、このデータ構造内の位置を介して関連付けられるフィールドを有することを示してもよい。更に、このような関係は、位置を伴うフィールド用の記憶装置を、各フィールド間の関係を伝達するコンピュータ読取り可能な媒体に割り当てることによって実現してもよい。しかし、データ要素間の関係を確立する、ポインタ、タグ、又は他のメカニズムを使用することを含めて、任意の適切なメカニズムを使用して、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立してもよい。
【0135】
また、様々な発明性のある概念は、1つ又は複数の方法として実施してもよく、そこから実施例がもたらされた。方法の一部として実行される各動作は、任意の適切な方法で順序付けてもよい。従って、説明したのとは異なる順序で各動作が実行される実施形態を構成してもよく、このことは、例示的な実施形態では順次動作として示してあっても、幾つかの動作を同時に実行することを含んでもよい。
【0136】
本明細書で定義され、使用されるあらゆる定義は、辞書的定義、参照により組み込まれた文書での定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を踏まえて制御するものと理解しなければならない。
【0137】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、反対の意味が明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解すべきである。
【0138】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される慣用句「及び/又は(and/or)」は、そのように結合した要素、即ち、場合によっては接続されるように存在し、また場合によっては分離されるように存在する要素の「いずれか又は両方(either or both)」を意味するものと理解すべきである。「及び/又は」を用いてリストされる複数の要素は、同じようにして、即ち、そのように結合された要素の「1つ又は複数」と解釈すべきである。場合によっては、具体的に指定された要素に関連していても、関連していなくても、「及び/又は」の句によって具体的に指定された要素以外の他の要素が存在してもよい。従って、非限定的な例として、「含む(comprising)」などのオープンエンド用語と関連して使用されるときに「A及び/又はB」と言及してあれば、例えば、ある実施形態では、Aのみ(場合によってはB以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Bのみ(場合によってはA以外の要素を含む)を指し、更に別の実施形態では、AとBの両方(場合によっては他の要素を含む)を指す。
【0139】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「又は(or)」は、前述の「及び/又は」と同じ意味を有していると理解すべきである。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包含的である、即ち要素の数又はリストのうち少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、場合によってはリストされていない追加項目を含むと解釈されるものである。「〜のうちの1つのみ(only one of)」若しくは「〜のうちのまさに1つ(exactly one of)」、又は特許請求の範囲で使用されるときの「〜から成る(consisting of)」など、明確に反対の意味で示される用語は、複数の又はリストになった要素のうちのまさに1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される用語「又は」は、「いずれか(either)」、「〜のうちの1つ(one of)」、「〜のうちの1つのみ」、「〜のうちのまさに1つ」などの排他的な用語が先行するときに、専ら排他的な代替物(即ち、「一方又は他方であり、ただしその両方ではない」)を示すものと解釈されるものである。「〜から本質的に成る(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲で使用されるとき、特許法の分野で使用されるその元々の意味を有するものである。
【0140】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、1つ又は複数の要素のリストに関しての慣用句「少なくとも1つ(at least one)」は、要素リスト内の各要素のうち任意の1つ又は複数から選択された少なくとも1つの要素を意味するものと理解すべきであるが、要素リスト内に具体的にリストされたそれぞれあらゆる要素のうち少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、要素リスト内の各要素の任意の組合せを排除するものでもない。また、この定義により、場合によっては、具体的に指定された要素に関連していても、関連していなくても、慣用句「少なくとも1つ」が指す、要素のリスト内に具体的に指定された要素以外の要素が存在してもよい。従って、非限定的な例として、「A及びBのうち少なくとも1つ(at least one of A and B)」(又は、同様に、「A又はBのうち少なくとも1つ(at least one of A or B)」、若しくは同様に、「A及び/又はBのうち少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、例えば、一実施形態では、少なくとも1つ(場合によっては2つ以上を含む)のAを指し、Bは存在せず(場合によっては、B以外の要素を含み)、別の実施形態では、少なくとも1つ(場合によっては2つ以上を含む)のBを指し、Aは存在せず(場合によっては、A以外の要素を含み)、更に別の実施形態では、少なくとも1つ(場合によっては2つ以上を含む)のA、及び少なくとも1つ(場合によっては2つ以上を含む)のB(また、場合によっては他の要素も含む)を指す。
【0141】
特許請求の範囲並びに前述の本明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「保持する(holding)」、「〜から構成される(composed of)」などのあらゆる移行句は、オープンエンドであり、即ち、それを含むがそれのみに限定はされないことを意味すると理解されたい。移行句「〜から成る」及び「〜から本質的に成る」のみは、排他的又は半排他的な移行句となり、それぞれ、米国特許庁の特許調査手順マニュアルのセクション2111.03に記載されている。