(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759098
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】基板表面上に特定のパターンを有する材料を適用するための改良された、そして新規な方法
(51)【国際特許分類】
B05D 5/08 20060101AFI20200910BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20200910BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20200910BHJP
B41M 1/40 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
B05D5/08 Z
B05D1/28
B05D3/00 B
B41M1/40 C
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-520653(P2016-520653)
(86)(22)【出願日】2014年10月3日
(65)【公表番号】特表2016-536110(P2016-536110A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】US2014059032
(87)【国際公開番号】WO2015054054
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年9月27日
【審判番号】不服2019-11603(P2019-11603/J1)
【審判請求日】2019年9月4日
(31)【優先権主張番号】61/887,756
(32)【優先日】2013年10月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/505,823
(32)【優先日】2014年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500092413
【氏名又は名称】プラクスエア エス.ティ.テクノロジー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハント、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、トーマス
【合議体】
【審判長】
加藤 友也
【審判官】
神田 和輝
【審判官】
植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−276155(JP,A)
【文献】
特開平11−173263(JP,A)
【文献】
特開2004−52850(JP,A)
【文献】
特表平7−504260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
Derwent Innovation(DWPI)
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面上に所定のパターンを生成する方法であって、
遠位端を含む非多孔質膜を提供するステップと、
トラフを有するプレートを提供し、前記トラフは、前記トラフ上に直接配置されるまで前記プレートに沿ってスライドするドライフィルム潤滑剤(DFL)材料容器からの選択される材料で充填されており、その内部に所定のパターンで刻まれているステップと、
前記DFL材料容器が前記トラフから離れてスライドし、それにより前記トラフを大気に曝露するステップと、
前記遠位端が前記トラフに浸漬されないような場所で前記プレートに向かって前記非多孔質膜を降下するステップと、
前記非多孔質膜の選択される表面を前記材料と係合するステップと、
前記膜の表面上に前記トラフから前記材料を移し、前記材料は、前記トラフ内に含まれる前記所定のパターンに従う方法で前記膜に付着するステップと、
前記非多孔質膜の選択される表面を前記基板と係合するステップと、
前記基板に沿って選択される場所で前記膜から前記基板に前記材料を移すステップと、
前記基板から離して前記膜を持ち上げ、それによって前記基板上に前記パターンを生成するステップと、
を含んでなる、前記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記プレートの表面上を動くように構成された封入材料容器を提供するステップと、
前記封入材料容器の中に材料を充填するステップと、
前記プレート上に前記封入材料容器を配置するステップと、
前記容器から前記プレートのトラフの中に材料を移すステップと、
を含んでなる、前記方法。
【請求項3】
前記基板の動作環境に適合する性質を有するように前記材料を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記非多孔質膜と後続の係合のためにトラフを曝露するように材料で充填されるトラフから離れて前記封入材料容器を動かすステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プレートに沿って余分な材料をふき取るステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パターンは、前記基板で前記膜の各係合毎に約100ミクロン以下の増加の厚さで前記基板上に構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記材料がドライフィルム潤滑剤、コーティングマスキング剤、セラミック金属製薄膜、有機金属薄膜、セラミック−セラミック薄膜およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記選択される表面は、コンパウンド表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板表面に所定のパターンを生成する方法であって、
遠位端を含む非多孔質膜を提供するステップと、
トラフを有するプレートを提供し、前記トラフが、前記トラフ上に直接配置されるまで前記プレートに沿ってスライドするドライフィルム潤滑剤(DFL)材料容器からのドライフィルム潤滑剤(DFL)で充填されており、さらに前記トラフはその中で所定のパターンで刻まれているステップと、
前記DFL材料容器が前記トラフから離れてスライドし、それにより前記トラフを大気に曝露するステップと、
前記遠位端が前記トラフに浸漬されないような場所で前記プレートに向かって前記非多孔質膜を降下するステップと、
前記非多孔質膜の選択される表面を前記DFLと係合するステップと、
前記DFLを前記トラフから前記膜の表面上へ移し、前記DFLは、前記トラフ内に含まれる所定のパターンに従う方法で前記膜に付着するステップと、
前記非多孔質膜の選択される表面を前記基板と係合するステップと、
前記基板に沿って選択される場所で前記膜から前記基板に前記DFLを移すステップと、
前記基板から離して前記膜を持ち上げ、それによって前記基板上に前記パターンを生成するステップと、
を含み、
前記パターンは、基板の任意の部分をマスキングせずに生成される、上記方法。
【請求項10】
前記トラフにおける平らな幾何学的表面から、前記膜の選択されるコンパウンド表面に前記DFLを移すステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記パターンは、前記基板と前記膜の各係合毎に約100ミクロン以下の増加厚さで前記基板上に構築される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記DFLは、ドライフィルム潤滑剤、コーティングマスキング剤、セラミック金属製薄膜、有機金属薄膜、セラミック−セラミック薄膜およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で適用される基板の領域上に適用される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記プレートの表面上で動くように構成された封入DFL容器を提供するステップと、
前記封入DFL容器の中に前記DFLを充填するステップと、
前記封入DFL容器を前記プレート上に配置するステップと、
前記容器から、前記プレートの前記トラフの中にDFLを移すステップと、
を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記非多孔質膜と後続の係合のために前記トラフを曝露するようにDFLで充填された前記トラフから離れて前記封入DFL容器を動かすステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記プレートに沿って余分なDFLをふき取るステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記パターンが機能性フィルムである、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
制御システムで前記所定のパターンを生成するための方法を自動化するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記封入DFL容器を封止するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2013年10月7日に出願された米国仮出願シリアル番号61/887,756の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、基板表面の特定領域で所定のパターンを生成するように制御された量の材料を適用する新規方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
フレッチングは、多くの産業や適用で普及している金属と金属の接触磨耗の型である。金属部品が一緒に強制され、摩擦作用が部品間で起こる場合、フレッチングが発生することがある。摩擦熱が発生して、金属表面の部分を潜在的に裂くおよび/または引き剥がすことがある。金属部品は最終的に、金属部品間の潤滑性の欠如の結果として一緒に固着する。
【0004】
ドライフィルム潤滑剤(以降、「DFL」という)は、フレッチングを低減するための手段として浮上している。DFLは、成分へのきれいな付着と摩擦の低減が要求されるグリースと油の優れた代替物である。DFLは、それ自体または他の合金材料と摺動または振動接触する場合、金属または金属合金成分が腐食する傾向を低下させることができる。それらは、摩擦作用を介して一緒に強制される部品の固着を防止するのに有効である。
【0005】
DFLは、様々な用途で有用性を有する。一例として、DFLは、摩擦力を低下させ、耐磨耗性を高めるために、多数の部品の選択的領域に適用されることができる。DFLが適用できる部品の例は、圧縮機翼、スラットトラックの受信ポケットまたはスライディング面へのシャフトまたはピンの係合部を含む。一般的に言えば、DFLは、DFL材料が許可されないこれらの領域で、DFLの不慮のオーバースプレーを生じないように、好ましくはマスクされるすぐそばの周辺領域から部品の所定の領域上にだけ適用される。
【0006】
現在、DFLは、一般的に、ブラッシング、エアブラッシング、噴霧または浸漬により手動で適用される。しかしながら、そのようなDFLの手動での適用は、多くの欠点がある。例えば、DFL、または他のあらゆる型の潤滑剤またはマスキング剤または他の材料の手動での適用は、部品の所望のセクションのみを覆うように制御された厚さでDFLを適用することができないことにより、厳しい障害がある。膜で覆われる部品の変化は、乏しい再現性につながり、最終的に材料の損失、部品のリワークや生産ロスになりうる。DFLの手動の適用はまた、溶媒の長期曝露につながる可能性があり、それによって生産担当者の安全上の問題を生む。
【0007】
手動での適用の欠点を克服するため、自動噴霧などの自動化方法は、部品上にフィルムを適用するための代替手段として出現した。しかしながら、様々な産業で現在利用される自動噴霧方法は、厚さの制御、部品上で生産されて得られるフィルムの品質、および再現性を含む、手動の適用に関連する問題の多くに悩まされ続けている。さらに、自動噴霧システムを介する乏しいマテリアルフロー(material flow)は、今日の自動噴霧方法の多くの問題点である。
【0008】
ドライフィルム潤滑剤を適用するための従来の方法に関連する方法の問題を考慮すると、基板の選択される領域上に、制御される厚さと形状で選択的に適用できるDFLを適用するための改良方法に対する満たされていないニーズがある。本発明の他の利点と適用は、当業者にとって明らかになるだろう。
【0009】
発明の概要
本発明は、様々な組み合わせで以下の側面のいずれかを含むことができ、また、明細書で以下に説明する本発明の他の側面を含むことができる。
【0010】
第1の側面において、基板表面上に所定のパターンを製造する方法を提供する。遠位端を含む非多孔質膜を提供する。トラフ(trough)を有するプレートを提供し、それによって前記トラフは、選択される材料で充填され、その内部に所定のパターンが刻まれる。遠位端がトラフで浸漬されないような場所でプレートに向かって非多孔質膜を降下する。非多孔質膜の選択される表面は材料と係合される。材料は容器から膜の表面上に移され、その材料は、前記トラフ内に含まれる所定のパターンに従う方法で膜に付着する。非多孔質膜の選択される表面が基板と係合される。膜からの材料が、基板に沿って選択される場所で基板に移される。膜が基板から離して持ち上げられ、それによって基板上にパターンを生成する。
【0011】
第2の側面において、基板表面の上に所定のパターンを生成する方法を提供する。遠位端を含む非多孔質膜を提供する。トラフを有するプレートを提供し、それによって前記トラフがドライフィルム潤滑剤(DFL)で充填される。トラフはその内部に所定のパターンで刻まれる。遠位端がトラフに浸漬されないような場所で、非多孔質膜は、プレートに向かって降下される。非多孔質膜の選択される表面がDFLと係合される。DFL材料が容器から膜の表面上に移される。DFLは、前記トラフ内に含まれる所定のパターンに従う方法で膜に付着する。非多孔質膜の選択される表面は基板と係合され、それによって基板に沿って選択される場所で膜から基板にDFLが移されることを可能にする。基板から離して膜を持ち上げ、基板上にパターンを生成する。パターンは、基板の任意の部分をマスキングせずに生成される。
【0012】
有利なことに、本発明は、基板の特定の場所の上に所定のパターンを形成するように制御された厚さと形状で、従来の方法で以前に達成できなかったカスタマイズレベルで、様々な材料を選択的に適用することができる。生産時間は、所定のパターンの品質、精度、および正確さを犠牲にすることなく、低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の目的と利点は、添付の図面に関連して、発明の好ましい態様自体の以下の詳細な説明から理解され、図面の中で同じ数字は一貫して同じ特徴を示す。
【0014】
【
図1】
図1は、幾何学的定義プレート(GDP)中に伸びるトラフ上に直接配置されるまで、GDPに沿ってスライドされるDFL材料容器を示す。
【0015】
【
図2】
図2は、十分にトラフから離れて配置されるまで、GDPの表面に沿ってスライドされた
図1の容器を示す。
【0016】
【
図3】
図3は、トラフから膜の選択されるコンパウンド表面への材料の移動について、
図2のGDPのトラフに向かって低下される非多孔質膜を示す。
【0017】
【
図4】
図4は、GDPから離して材料を持ち上げる非多孔質膜を示す。
【0018】
【
図5】
図5は、DFL容器が、DFL材料のさらなる蒸発または溶媒フラッシングを防止するように、
図3のトラフ上の位置に移動され、および戻されることを示す。
【0019】
【
図6】
図6は、
図4の非多孔質膜が、基板の表面上に降下されることを示す。
【0020】
【
図7】
図7は、基板から上向きに上げられて離される、
図5の膜を示す。
【0021】
【
図8】
図8は、本発明の原理にしたがった例示的な非多孔質膜を示す。
【0022】
【
図9】
図9は、GDPから紙標的基板に移されるDFLの様々なサイクルを示す。
【0023】
【
図10】
図10は、GDPから金属プレート基板に移されるDFLの様々なサイクルを示す。
【0024】
【
図11】
図11は、本発明の原理に従って、フィルムパターンを生成するDFL材料を適用することができる部品の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本発明の目的と利点は、その関連する好ましい態様の以下の詳細な説明からより深く理解されるだろう。本開示は、様々な基板上への潤滑剤と他の材料の適用のための新規な方法に関連する。本発明の方法は、タービンブレードの根元(すなわち、ダブテール)上への材料の適用に特に適する。本開示は、様々な態様で、および本発明の様々な側面と特徴を参照して本明細書に記載される。
【0026】
本発明の様々な要素の関係と機能は、以下の詳細な説明によりより、深く理解される。詳細な説明は、開示の範囲内であるように、様々な順列と組み合わせで特徴、側面および態様を意図している。本開示は、従って、それらの特定の特徴、側面および態様またはそれらの選択される一つまたは複数のそのような組み合わせおよび並び替えのいずれかを含む(comprising)、からなる(consisting)またはから本質的になる(consisting essentially of)として記載される。
【0027】
本発明の1つの態様を
図1〜7に関連して記載する。図は、基板の表面上にDFLを適用する改善された新規な方法を示す。DFLを基板表面の選択される表面と領域に沿って、制御される厚さで適用できる。以下に記載されるように、制御される厚さと形状でDFLを適用することの正確さと再現性により、材料を適用されることを意図していない基板の表面と領域をマスクする必要性がなくなる。
【0028】
図1を参照すると、DFL材料容器10は、幾何学的定義プレート(GDP)20中に延びるトラフ30の上に直接配置されるまで、GDP20に沿ってスライドされる。容器10がトラフ30の上に位置している場合、DFL材料40を容器10中に導入できる。容器10中にDFL材料40を充填するために何らかの適する方法を採用できる。例えば、容器10は、容器10の開口を曝露するためにカップ状の構造として裏返すことができ、それによって、材料40をその中に導入できる。その後、GDP20が充填された容器10の上の所定の位置に固定できる。容器GDPのアセンブリは、次いで
図1に示す構成を生成するための一体構造として再反転される。あるいは、DFL材料40が容器10の頂部80に接続されるバルブアセンブリを通じて導入される自動再充填手順を利用できる。この態様では、容器10を反転する必要はない。
【0029】
容器10は、開放底部85を有するので、DFL40が容器10中に入るとき、DFL材料40は、GDP20のトラフ30中に流れ、充填される。容器10は、GDP20の表面上にDFL材料40が流れ込むのを最小化するため、完全に封入される。更に、容器10の周囲に沿うシール50は、容器10の内部領域内にDFL40を閉じ込める。トラフ30は、トラフ30内に含まれる、刻まれ、そして予め定められたパターンの表面を濡らすのに十分な量に充填される。パターンは、基板100上に適用される所望の形状で定義される。
【0030】
図2を参照すると、DFL40がトラフ30中に充填された後、容器10は、トラフ30から十分に離れて配置されるまで、GDP20の表面に沿ってスライドされる。容器10は、
図2で矢印によって示される方向にトラフ30から離れて移動される。容器10がGDP20の表面に沿ってスライドするとき、その硬化封止表面50は、トラフ30からGDP20の表面上にあふれ出たかもしれない余分なDFL40をこすり、ふき取る。このようにして、DFL材料40の満量(level volume)は、トラフ30の内部領域内で完全に閉じ込められる。
【0031】
トラフ30から離してDFL容器10を動かすと、
図2は、DFL材料40は十分な時間大気中に曝露されることを示す。曝露は、溶媒フラッシュがDFL材料の表面から発生することを可能にさせ、それによって、粘性の表面または粘着層を形成する。
【0032】
さらに、
図2を参照すると、遠位端65を有する非多孔質膜60は、容器10の頂部80に取り付けられる。容器10がGDP20のトラフ30から離れてスライドされるとき、膜60は、GDP20上に配置されるようになる。適切な膜は、圧縮性であるが、膜60の選択されるコンパウンド表面90におよびそこからの材料の移動を確実にするための十分な硬さを維持するように、選択される。本明細書で使用される用語「コンパウンド表面」は、単純な線、平面、斜めの起状または混合表面の組み合わせまたはそれらのいかなる組み合わせ、をも含むことができ、連続的または編物の表面プロファイルを作成する複合表面を意味することを意図する。膜60は、遠位端65が所定の距離までにトラフ30の端部から離れて間隔をあけるような位置でトラフ30上に配置される。
【0033】
この選択される位置で、膜60は、トラフ30に含まれるDFL材料40と係合することができる。
図3は、膜60がトラフ30に向かって降下されることを示す。下向きの矢印で示すように、遠位端65がプレート20の表面にきわめて接近してまたは隣接するまで、膜60は降下させることができる。遠位端65は、トラフ30に含まれるDFL材料40と接触させない。膜60の選択されるコンパウンド表面90だけが、トラフ30内に含まれるDFL材料40の粘性表面と接触し、係合する。膜60は、トラフ30の彫り込まれた、または刻まれた領域からのDFL材料40を受け入れるようにその形状を圧縮し、変更する。DFL材料40の増加する粘度はその表面で、その所定部分に膜60の選択されるコンパウンド表面90の上に容器10から移すことを可能にさせる。材料40は、所定のパターンに従うように非多孔質膜60に付着する。このようにして、本発明は、膜60のコンパウンド表面上に生成されるパターンの不慮のゆがみを回避し、それによって、得られるパターンの完全性が各サイクルで維持されることを保証する。
【0034】
図4に上向きの矢印で示すように、膜60の選択されるコンパウンド表面90上に粘性DFL材料40を移すと、膜60は上方向に上がり、トラフ30とプレート20から離れる。
図5に示されるように、トラフ30を曝露した状態で、DFL容器10は、DFL材料40のさらなる蒸発または溶媒フラッシングを防止するように(
図5の矢印で示されるように)スライドされ、トラフ30上の位置に戻される。更に、容器10がGDP20のトラフ30上に配置されるように、膜60は、所定の位置で、基板100の上に配置されるようになる。所定の位置に、
図6は、膜60が基板100の表面上に降下されることを示す。膜60は、適切な圧力で、基板100の表面に係合され、DFL材料40は、膜60のコンパウンド表面90から基板100の表面に移されて所望の潤滑特性を有する機能性フィルムパターン110を生成する。膜60の圧縮率は、それに損傷を与えることなく、基板100上に適切な圧力を適用することを可能にさせる。1つの態様において、材料40は、一様の厚さでフィルムパターン110を生成するように、薄層状で制御されたやり方で移動される。
【0035】
図7は、膜60が上方に上げられ、基板100から離れることを示す。基板100と膜40の間の付着が、膜60と材料40の間の付着より大きいので、膜60の選択されるコンパウンド表面90は、いずれの残留材料も含まない。この方法で、所定のパターン110を有する機能性フィルムは、基板100上に生成される。
【0036】
DFL材料40の第2の層は、
図1〜7における上述のステップに応じて第2のサイクルで適用できる。膜パターン110の所望の厚さが達成されるまで、その方法を繰り返し得る。溶媒および/または追加のDFL材料40を、必要とみなされる場合、トラフ30の中に間欠的に追加し得る。各後続の層は、各層の事実上の重複なしに前の層上に直接適用される。各層は、前の層上に正確に配置され、明確に定義されたパターンが構築され、生成されることを確保する。この方法で、本発明は、同じ形状、大きさ、位置および厚さで、基板100上に適用されるべき各DFL層に対する改良された再現性を提供し、それによって、膜パターン110に、従来の技術を使用して達成できない正確に制御された厚さと形状で、徐々に構築され、生成されることができる。DFL材料40を適用する従来の方法ではなく、本発明は、膜パターン110が、基板100を有する膜60の各係合あたり100ミクロン以下の増加厚さで、基板100上に構築されることを可能にさせる。所望の膜パターン110の作成においてそのような制御は、ブラッシング、噴霧、浸漬等のような方法により、DFL40の手動または自動化された適用で可能ではない。様々な変数、例えば、各サイクル毎に容器10の中で大気曝露を介する溶媒フラッシングの結果として形成される粘着DFL40の量、および膜60がトラフ30と、そしてその後に基板100と係合する圧力のような変数(これは例示であり、これらに制限することを意図するものではない)を制御することにより、本発明は、所定の上限値を超えた過度のDFL材料40を適用することのリスクを排除または実質的に低減する。
【0037】
また、DFL材料40は、好ましくは、DFL容器10の底部から引き出され、任意の固体沈殿が各サイクル毎にトラフ30内に含まれるDFL40中の固体濃度を好ましく増大させるであろうことを保証する。結果として、本発明は、沈殿上にすぐに形成することができるDFL材料の堆積物を定期的に再分散する必要性を排除する。
【0038】
容器10、非多孔質膜60およびGDP20は、機械的な結合、集積電気機械的動作またはプログラム可能な位置決め装置のような任意の適切な手段により、相互に連結できる。様々な構成要素の移動は、当技術分野で知られているように、制御システムの方法によって、自動的に調整できる。
【0039】
図11は、本発明の原理に従って、パターン1110を生成するようにDFL材料40で適用できる部品1100の例を示す。
図11は、1つ以上のサイクルを使用して徐々に構築される最終の厚さを有する明確に定義された矩形状のフィルムパターン1110を生成するために、本発明の方法によって、DFL40で適用されるタービンブレードの根元(すなわち、ダブテール)1100を示す。有利なことに、そして従来の技術とは対照的に、本発明の改良された精度と正確さは、DFL材料40を囲むタービンブレードの根元1100のそれらの領域をマスクする必要性を排除する。パターン1110は、DFL材料40が適用されることを意図されないところの部品1110の領域に接触する残留DFL材料40のリスクなしに、本発明によって作成できる。
【0040】
本発明の方法により、
図11に示されるような部品1100上に特定の形状と厚さを有する保護特性を有するカスタマイズされたフィルムパターン1110を適用する能力は、手動および自動の適用を超えて有意な進歩である。コーティングマスク剤(CMA)、セラミック金属製薄膜、セラミック−セラミック薄膜、または有機金属薄膜のような、ドライフィルム潤滑剤(DFL)または他の材料は、
図11のような、典型的に、ブラシ若しくは他の適切なアプリケーターの手動的または噴霧装置で自動的のいずれかで、部品に適用される。材料が適用されるであろう領域は、制限領域内で材料を適用するためオペレーターまたは適用装置の不能によってゆるく定義されることになるため、そのような従来の方法は、劣ったパターンを作成する。また、そのような方法は、その後に除去される必要があるいくつかの他のフレーミング材料によって制御されなければならないので、材料の効率と安全性のプロセスの利点は、従来の方法によって実現されていない。
【0041】
部品の選択される領域をマスキングするという排除は、廃棄物として発生した材料の量の削減になる。マスキング剤が排除されるだけでなく、増加の厚さでパターンを構築し、もっぱらトラフの内部容積内にDFL材料を閉じ込める能力により、発生するDFL廃棄物もより少なくなる。また、マスキング剤の除去および各サイクルの間に部品上へ有害な溶媒材料を手動でブラッシングまたは噴霧する人材の必要性の排除は、有害な材料への曝露を低減し、それによって、より安全な環境を作る。
【0042】
DFLの他に、任意の適切な材料が本発明で使用できることを理解すべきである。適切な材料の選択は、得られた材料の性質は、部品が曝露される操作環境に適合することを少なくとも保証することに基づく。1つの態様において、任意の機能性フィルムは、例えば、コーティングマスキング剤、セラミック金属製薄膜、有機金属薄膜またはセラミック−セラミック薄膜のような、基板の選択される表面上に直接適用できる。そのようなフィルムは、航空宇宙とエネルギーを含む様々な産業で使用を見つけることができる。部品上に適用されるために選択される材料の型は、材料が膜におよび膜から適切に移動できることを保証するようにサイクリング中に利用される非多孔質膜の型および設計を、少なくとも一部で、決定することができる。
【0043】
部品は、本明細書に記載のものを含む任意の適切な材料を適用することができる。1つの態様で、圧縮機翼は、翼の選択される位置で特定のパターンを生成するように、本発明の方法によって、セラミック金属製の薄い機能性フィルムを適用できる。部品の表面は、例えば、平坦、円筒形、球形、合成角、テクスチャまたは凹状および/または凸状表面などの任意の形状を有することができることを理解すべきである。得られたフィルムのパターンの歪みおよび/または喪失なしに、平らなGDP表面からコンパウンド表面に粘着性または非粘着性である様々な材料を移す本発明の能力は、従来の方法を超える有意な改善である。
【0044】
実施例1
試験は、本発明の方法に従って、紙標的基板上にDFLフィルムの所定のパターンを適用して実施された。DFL材料は、イギリス、バーミンガムに位置するIndestructible Paintによって作られ、販売される、商業的に入手可能なMolydag(登録商標)であった。幾何学的定義プレートは、所定のパターンで構成された。所定のパターンは、GDPから膜へのMolydag(登録商標)の移動能力、続いて膜から紙標的基板上へのMolydag(登録商標)DFLの移動能力を試験するために長方形の形状とした。
【0045】
シリコン圧縮性膜は、GDPから紙標的へMolydag(登録商標)DFLを移動するために選択された。膜を
図8に示す。膜は、サイクル数5で紙標的にMolydag(登録商標)の全てを成功裏に移ったことが観察された。パターンを
図9に示す。矩形パターンを保証する5サイクルが紙標的上に適切に生成されたことが、試験結果から観察された。
【0046】
パターンの全てが明確に定義された。Molydag(登録商標)DFLは、GDPからシリコーン膜に、次いで紙標的に一貫して正確に移された。増加の厚さは、制御された方法で構築された。サイクルの間、厚さは、GDPでトラフの深さまたは適用される層の数または両方の組み合わせのいずれかによって制御された。
【0047】
実施例2
紙標的上の矩形のパターンの成功裏な作成に続いて、試験の次のセットが金属プレート基板上で実施された。部品表面は、46メッシュの酸化アルミニウム媒体で表面を軽くブラストすることによって調製された冷間圧延鋼材の矩形バーであった。Molydag(登録商標)は、DFLとして使用された。
図8のシリコーン膜は、これらの試験で使用された。実施例1と同様のパターンを生成した。
【0048】
膜は、金属プレートにMolydag(登録商標)DFLの全てを成功裏に移したことが観察された。5サイクルで矩形パターンが、紙標的上に適切に生成されたことを保証することが試験結果から観察された。実施例1の結果に基づいて、パターンを作成するために使用されるサイクル数は、それぞれ、3、4および5であった。
【0049】
結果を
図10に示す。パターンの全ては、明確に定義された。Molydag(登録商標)DFLはGDPからシリコーン膜に次いで紙標的に一貫して適切に移された。増加の厚さは、制御された方法で構築された。サイクルの間、厚さは、GDPにおいてトラフの深さまたは適用される層の数または両方の組み合わせのいずれかによって制御された。
【0050】
本発明の特定の態様であることが考えられるものを示し、記載してきたが、もちろん、形態や詳細における様々な修正や変更が本発明の意図や範囲から離れることなく簡単にされることができることは理解されるであろう。したがって、本発明は、正確な形態や明細書中に示される詳細に限定されず、明細書で開示され、以下に請求される発明の全体より少ないものでもないことが意図される。